(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062356
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20230426BHJP
B65B 35/56 20060101ALI20230426BHJP
B65B 35/32 20060101ALI20230426BHJP
B65B 35/34 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G01G19/387 D
B65B35/56
B65B35/32
B65B35/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172272
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】本郷 栄助
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
【テーマコード(参考)】
3E054
【Fターム(参考)】
3E054AA05
3E054BA04
3E054CA01
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で、計量部の直下に整列排出部をコンパクトに配備した計量装置を提供する。
【解決手段】計量部Aの下方に、複数の縦枠11aを下窄まり状に組み立てた吊り下げフレーム11を配備し、この吊り下げフレーム11に、排出された物品を受け入れる集合ホッパ21、その下端を開閉するシャッタ機構22、及び、集合ホッパ21を加振する加振機構24を有する整列処理機構B1,B2を装着支持している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される物品を計量して下方に排出する計量部と、前記計量部から排出される物品を整列させて排出する整列排出部とを備える計量装置であって、
前記整列排出部は、前記計量部の下方に、複数の縦枠を下窄まり状に組み立てた吊り下げフレームと、前記吊り下げフレームに装着支持された整列処理機構とを備え、
前記整列処理機構は、排出される物品を受け入れる筒状のホッパと、前記ホッパの下端開口を開閉するシャッタ機構と、前記ホッパを振動させる加振機構とを有する、
ことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記整列排出部は、複数の前記整列処理機構を有し、前記複数の整列処理機構が、前記吊り下げフレームに、上下複数段に装着支持されている、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
各段の前記整列処理機構における振動方向が水平方向であって、かつ、互いの振動方向が交差する方向である、
請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記吊り下げフレームは、上下複数個所に水平に連結支持された支持枠を有し、各段に対応する支持枠に、前記整列処理機構が、それぞれ装着支持されており、各段の前記整列処理機構の前記ホッパ、前記シャッタ機構、及び、前記加振機構が、それぞれ同一仕様である、
請求項2ないし4のいずれか一項に記載の計量装置。
【請求項5】
前記吊り下げフレームの各段における前記支持枠が、前記縦枠の上下複数個所にボルト連結されると共に、各支持枠の連結箇所に、支持枠を下方から当接支持する高さ調整用のジャッキボルトを備える、
請求項4に記載の計量装置。
【請求項6】
前記加振機構は、前記ホッパを連結したピストンロッドを有する振動シリンダを有し、前記振動シリンダは、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで往復進退作動する、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を所定重量ずつ計量して排出する計量装置に係り、特には、計量した物品をその姿勢を揃えて排出する計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、細長い物品を整列して排出する計量装置としては、特許文献1に示されたものが知られている。
【0003】
この特許文献1に記載の組合せ計量装置は、下方に整列装置を備えており、この整列装置は、上流側より、棒状物品を斜め姿勢で滑落させる傾斜シュート、この傾斜シュートから排出される棒状物品を斜め姿勢で保持する下部タイミングホッパ、この下部タイミングホッパを水平方向に揺動させるホッパ揺動機構、下部タイミングホッパから排出される棒状物品を集合させると共に、下方のカップ状容器へ排出する下部排出シュート、及び、この下部排出シュートを水平方向に揺動させるシュート揺動機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の組合せ計量装置では、計量されて排出される棒状物品を所望の姿勢まで傾斜させるために、傾斜シュートを用いて傾斜させる必要があり、組合せ計量装置の直下でコンパクトに整列させることができず、平面スペースが大きいものとなる。また、整列した物品を包装機で袋詰め、あるいは、箱詰め処理する場合、組合せ計量装置の真下に包装機を設置することができず、処理ラインのレイアウトに制約を生じる。
【0006】
また、傾斜した物品を下部タイミングホッパに保持して揺動し、更に、この下部タイミングホッパから排出された物品を集合させた下部排出シュートを揺動させるようにしており、これら機構をサブフレームで支持する必要があり、組合せ計量装置の下方での構造レイアウトが複雑となる。
【0007】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、簡素な構成で、コンパクトに配置することが可能であって、計量した物品を整列させて排出できる計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0009】
(1)本発明に係る計量装置は、供給される物品を計量して下方に排出する計量部と、前記計量部から排出される物品を整列させて排出する整列排出部とを備える計量装置であって、
前記整列排出部は、前記計量部の下方に、複数の縦枠を下窄まり状に組み立てた吊り下げフレームと、前記吊り下げフレームに装着支持された整列処理機構とを備え、前記整列処理機構は、排出される物品を受け入れる筒状のホッパと、前記ホッパの下端開口を開閉するシャッタ機構と、前記ホッパを振動させる加振機構とを有する。
【0010】
本発明によると、下窄まり状に組み立てた吊り下げフレームは、縦枠を垂直に組み立てたものに比べて剛性が高いものとなり、加振機構の作動に伴い発生する振動が、上方の計量部に伝達されることが阻止され、計量精度に悪影響を及ぼす虞がない。
【0011】
しかも、物品を整列させて排出する整列排出部は、吊り下げフレームに装着支持されているので、整列排出部の下方の平面スペースを広く利用することができ、整列排出部の直下に包装機などを設置することができる。
【0012】
また、計量部と整列排出部とに亘る電気配線やエア配管等を、吊り下げフレームに沿って引き回して固定することができるので、計量装置の製造工程において、電気配線やエア配管等の引回しを略終えることができ、整列排出部を計量部から分離して床置き設置する場合のように、計量装置の設置現場において、計量部と整列排出部との位置合わせを行って、電気配線やエア配管等を引回して固定する必要がなく、設置作業が容易となる。
【0013】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記整列排出部は、複数の前記整列処理機構を有し、前記複数の整列処理機構が、前記吊り下げフレームに、上下複数段に装着支持されている。
【0014】
この実施態様によると、計量部から下方へ排出される物品に、複数の各段において、整列処理を順次施すことができるので、確実に整列、あるいは、くっつき易い物品の分離を促進して、円滑に整列させて包装機などに排出することが可能になる。
【0015】
(3)本発明の他の実施態様では、各段の前記整列処理機構における振動方向が水平方向であって、かつ、互いの振動方向が交差する方向である。
【0016】
この実施態様によると、水平方向の振動は、上下方向の振動や上下方向の振動成分を含む振動に比べて、計量へ及ぼす悪影響が少なく、計量部における計量精度を低下させることがない。
【0017】
また、物品を縦姿勢で整列させる場合、複数の各段において、互いに交差する水平方向にホッパをそれぞれ振動させることで、同一方向に振動させるのに比べて、縦姿勢の物品を効率よく整列させることができる。
【0018】
(4)本発明の一実施態様では、前記吊り下げフレームは、上下複数個所に水平に連結支持された支持枠を有し、各段に対応する支持枠に、前記整列処理機構が、それぞれ装着支持されており、各段の前記整列処理機構の前記ホッパ、前記シャッタ機構、及び、前記加振機構が、それぞれ同一仕様である。
【0019】
この実施態様によると、ホッパ等の各構成部品を複数段の整列処理機構に共用することができ、構成部品の種類が少なくなって製作コストの低減に有効になる。また、各構成部品をいずれの段へ組み付けてもよく、組み付ける段の間違えに気を付けるような必要はなく、組み付け作業性を高めることができる。
【0020】
(5)本発明の他の実施態様では、前記吊り下げフレームの各段における前記支持枠が、前記縦枠の上下複数個所にボルト連結されると共に、各支持枠の連結箇所に、支持枠を下方から当接支持する高さ調整用のジャッキボルトを備える。
【0021】
この実施態様によると、支持枠をジャッキボルトに仮り置きして水平出しを行い、その後、水平となった支持枠を固定すればよく、例えば、支持枠を各支持枠の連結箇所に仮り締めして軽く固定した上で、支持枠の連結箇所で支持枠を微少に高さ調整して水平を出し、その後、本締めして支持枠を水平に固定する場合に比べて、短時間で正しく水平に連結固定することができる。
【0022】
(6)本発明の更に他の実施態様では、前記加振機構は、前記ホッパを連結したピストンロッドを有する振動シリンダを有し、前記振動シリンダは、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで往復進退作動する。
【0023】
この実施態様によると、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで高速に往復進退作動する振動シリンダによって、ホッパを高速に水平振動させることができ、この高速な水平振動に伴う衝撃を物品に加えて、塊になり易いような物品であっても、その分離を促進して円滑に整列させることができる。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明に係る計量装置よれば、簡素な構成で、計量部の直下に、計量部から排出された物品を整列させて排出する整列排出部をコンパクトに配備して、包装機などへも容易に排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る計量装置の全体斜視図である。
【
図4】
図4は整列排出部における吊り下げフレーム構造を示す斜視図である。
【
図5】
図5は吊り下げフレーム構造を示す一部切欠き平面図である。
【
図6】
図6は吊り下げフレーム構造を示す一部切欠き平面図である。
【
図7】
図7は吊り下げフレーム構造の一部を拡大した縦断面図である。
【
図8】
図8は開放状態にあるシャッタ機構の斜視図である。
【
図9】
図9は閉止状態にあるシャッタ機構の平面図である。
【
図10】
図10は集合ホッパが原点位置にある加振機構の斜視図である。
【
図11】
図11は集合ホッパが進出位置にある加振機構の斜視図である。
【
図12】
図12は集合ホッパが原点位置に強制復帰された加振機構の縦断側面図である。
【
図13】
図13は集合ホッパが進出位置にある加振機構の要部横断平面図である。
【
図14】
図14は往復進退作動が停止された加振機構の要部横断平面図である。
【
図15】
図15は強制復帰部が作動した加振機構の要部横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る計量装置としての組合せ秤の全体斜視図であり、
図2は、その正面図である。
【0028】
この実施形態の組合せ秤は、主として、細長い菓子、例えば、ジャーキーなどの物品を、所定重量になるよう計量して包装機に投入し、袋詰めする計量包装ラインなどに利用される。
【0029】
この組合せ秤は、基本的に、供給された物品を組合せ計量して排出する計量部Aの下方に、排出された所定重量の物品に振動を付与して整列させて排出する整列排出部Bを配備した構造となっている。
【0030】
前記計量部Aは、中央部が大きく上下に貫通開口された中空構造の基台1が、床面Fに設置され、この基台1の上方に中空のセンター基体2が複数の脚部3を介して支持されている。
【0031】
センター基体2の上部中央には、図示されていない供給コンベヤから落下供給された物品を振動によって放射状に分散搬送する分散フィーダ4が装備されると共に、この分散フィーダ4の周囲に、分散搬送された物品を振動によって外方に向けて直進搬送する多数台のリニアフィーダ5が放射状に設けられている。更に、センター基体2の外周壁部に、各リニアフィーダ5からの物品を一旦貯留して排出する多数台の供給ホッパ6と、各供給ホッパ6から排出された物品を計量する多数台の計量ホッパ7とが装備されている。
【0032】
これらリニアフィーダ5、供給ホッパ6、計量ホッパ7を一連とする多数連の計量ユニットによって物品の組合せ計量及び排出が行われる。
【0033】
各計量ホッパ7の下方には、所定重量範囲となるように組合せ演算によって選択された複数の計量ホッパ7から排出された物品を滑落案内する樋状の集合シュート8が配備される。この集合シュート8の下端部には、集合シュート8から滑落してきた物品をセンター基体2の中心下方に集める円形漏斗状の集合ファネル9、10が配備されている。
【0034】
整列排出部Bは、計量部Aにおける基台1の下面に、吊り下げフレーム11を介して吊り下げ支持されている。吊り下げフレーム11は、基台1の四隅下面に連結される角筒材からなる4本の縦枠11aを、下側ほど互いに接近する下窄まり姿勢となるように、互いの上部を横ステー11bで連結して構成されている。各縦枠11aの上端には、後述の
図3、
図4にも示されるように、基台1の底面への連結用座板11cが設けられている。
【0035】
吊り下げフレーム11における各縦枠11aの上下中間部位と下端近傍部位には、上段ブラケット12と下段ブラケット13がそれぞれ設けられている。上段ブラケット12には、計量部Aの集合ファネル10から排出された所定重量の物品を加振して整列させる上段整列処理機構B1が装備されると共に、下段ブラケット13には、上段整列処理機構B1から排出された物品を再度加振して整列させる下段整列処理機構B2が装備されている。
【0036】
上段整列処理機構B1と下段整列処理機構B2とは、平面上の向きが90度異なるだけで、同一仕様の構造となっている。
【0037】
図3、
図4に示すように、上段整列排出部B1と下段整列排出部B2には、上段ブラケット12群及び下段ブラケット13群に亘って水平に連結される同一仕様の支持枠14がそれぞれ備えられている。支持枠14は、内向きに開口する略コの字形の縦断面形状に形成された周枠部材を結合して、平面形状が正方形となる中抜き枠状に構成されている。
【0038】
図5、
図7に示すように、上段ブラケット12の下部には、受け板15が溶接固着されると共に、受け板15に下方からジャッキボルト16が挿通装着されている。上段の支持枠14の四隅を各受け板15上に載置した上で、各ジャッキボルト16で支持枠14を下方から当接支持し、ジャッキボルト16の上方突出量を調節操作することで支持枠14の平面傾斜を調整する。そして、水平が出たところで、支持枠14のコーナー外側面を上段ブラケット12にボルト連結し、これによって、上段の支持枠14を、縦枠11a群の上下中間部位に亘って水平に連結支持するようになっている。
【0039】
また、
図6、
図7に示すように、縦枠11aの下端近傍には、下段の支持枠14を組み込む内向き切欠き17が形成されると共に、この内向き切欠き17の下端部に溶接固着した受け板18に、下方からジャッキボルト19が挿通装着されている。下段の支持枠14の四隅を内向き切欠き17に差し入れて受け板18上に載置した上で、各ジャッキボルト19の上方突出量を調節操作することで支持枠14の平面傾斜を調整する。水平が出たところで支持枠14の隅部外側面を下段ブラケット13にボルト連結し、これによって、下段の支持枠14を縦枠11a群の下部に亘って水平に連結支持するようになっている。
【0040】
なお、支持枠14を水平装着する際の高さ決めに使用したジャッキボルト16、19は、支持枠14を連結固定した後に機能しないので、装着したままでもよいが、取り外しておいてもよい。
【0041】
図1~
図3に示すように、上下の支持枠14には、それぞれ集合ホッパ21、集合ホッパ21の下端を開閉するシャッタ機構22、シャッタケース23、及び、集合ホッパ21を水平に振動させる加振機構24がそれぞれ装備されている。これら集合ホッパ21、シャッタ機構22、シャッタケース23、及び、加振機構24は、上下段それぞれ同一の仕様に構成されている。
【0042】
上段整列処理機構B1における集合ホッパ21は、計量部Aの中心部下方に配備された前記集合ファネル10に下方から臨むよう配備され、細長い物品を縦向き姿勢で収容できる高さを備えると共に、若干下窄まりの縦向き円筒状に構成されている。また、下段整列処理機構B2における集合ホッパ21は、上段の集合ホッパ21と同一仕様に構成されると共に、上段のシャッタケース23を挟んで上段の集合ホッパ21に臨むよう配備されている。
【0043】
各集合ホッパ21の下端開口を開閉するシャッタ機構22の詳細な構造が、
図8、
図9に示されている。
【0044】
シャッタ機構22は、平面形状が正方形の浅い箱状に形成されたシャッタケース23の中心部上面に装備されている。シャッタケース23は、
図4等に示すように、支持枠14の開口に上方から落とし込み装着され、支持枠14の内向き下辺14aに載置されて下方からボルト連結される。また、シャッタケース23の中心部には、集合ホッパ21の下端開口より少し大きい円形の物品排出口25が、上下に貫通して形成されている。
【0045】
シャッタ機構22は、3枚のシャッタ板26が縦向き支点a周りに同じ水平レベルで水平回動可能に配備されている。各シャッタ板26は、シャッタケース23内において、リンク機構27を介してエアシリンダ28に連動連結されている。エアシリンダ28が伸長作動することで、各シャッタ板26が互いに内向きに接近回動して、突合せ接合されたシャッタ板26によって平面視円形の物品排出口25が水平に閉止される。逆に、エアシリンダ28が短縮作動することで、各シャッタ板26が外向きに離間回動して、物品排出口25が開放される。
【0046】
上段整列処理機構B1及び下段整列処理機構B2において、各集合ホッパ21を水平振動させる加振機構24は、上段と下段においてその振動方向が直交するように配備されている。
【0047】
この加振機構24の詳細な構造及び機能を、
図10~
図15を参照して説明する。
【0048】
加振機構24は、
図10、
図11の斜視図及び
図12の縦断側面図に示すように、ベース板30に搭載した振動シリンダ31のピストンロッド32を高速で進退作動させることで、ピストンロッド32に連結した前記集合ホッパ21を所定ストロークで水平に高速で振動させるようになっている。ベース板30は、支持枠14の一辺に固設されたブラケット33に脱着可能にボルト連結されている。
【0049】
なお、以下の説明において、ピストンロッド32が進出する方向を前方、その逆方向を後方、また、この前後方向と直交する水平方向を左右方向と呼称する。
【0050】
この実施形態では、前記振動シリンダ31として、日精工機株式会社製の「サイクルシリンダ」が使用されている。この振動シリンダ31は、ピストンロッド32を進出作動させる後方のヘッド側エアポートPaと、ピストンロッド32を後退作動させる前方のロッド側エアポートPbとが備えられている。振動シリンダ31は、これらヘッド側及びロッド側の両エアポートPa、Pbに同時にエアの供給を行うことで、ピストンロッド32が所定のストロークをもって高速で往復進退作動するように構成されている。
【0051】
この振動シリンダ31は、ストローク(振幅)が、例えば、30mm~50mm程度であるのが好ましく、この実施形態では、例えば、50mmであり、往復で100mmである。この1往復を、例えば、0.2秒程度の高速で行う。この振動シリンダ31のピストンロッド32の最高速度は、約500mm/sec~約1000mm/secであるのが好ましい。この振動シリンダ31は、停止から最高速度に達するまでの加速時間、及び、最高速度から停止までの減速時間が短く、例えば、20msec以下である。
【0052】
このように振動シリンダ31のピストンロッド32は、高速で往復進退作動するので、このピストンロッド32に連結された集合ホッパ21に収容された物品は、高速な水平振動によって、円滑に整列する。更に、多少粘着性を有して塊になり易いような物品であっても、高速な水平振動に伴なう衝撃によって、物品の分離が促進されて、姿勢が揃えられて円滑に整列する。
【0053】
この振動シリンダ31は、設定時間に亘って高速に往復進退作動されるものであり、この設定時間で、集合ホッパ21に収容された物品を整列させる。
【0054】
この設定時間は、物品の性状や集合ホッパ21に収容される物品の重量等に応じて設定することができ、タイマ等によって制御するのが好ましい。
【0055】
ベース板30の前部には、直方体状の案内ブロック34が搭載連結されており、この案内ブロック34に左右一対のガイド軸35が、前後水平にスライド移動可能に挿通されている。両ガイド軸35の後端同士が、連結部材36で一体連結されると共に、連結部材36が、振動シリンダ31におけるピストンロッド32の前方突出部位に連結されている。
【0056】
ピストンロッド32は、連結部材36の左右中央部位に挿通され、
図12に示すように、ピストンロッド32に外嵌した前後のカラー37で連結部材36を挟持して前後に位置決めした上で、ピストンロッド32の前部ネジ部32aに装着した一対のナット38が締め込まれている。このようにして、ガイド軸35が、連結部材36を介してピストンロッド32に一体連結されている。
【0057】
ガイド軸35の前端部には、レバー操作可能な取付け金具39が装備され、この取付け金具39を介して集合ホッパ21が、縦向き姿勢で脱着可能に位置決め支持されている。
【0058】
以上のように、この加振機構24では、振動シリンダ31のヘッド側及びロッド側の両エアポートPa、Pbに同時にエアの供給を行うことによって、設定時間に亘ってピストンロッド32を高速で往復進退作動させ、ピストンロッド32に連結した集合ホッパ21を前後水平に高速振動させる。これによって、縦向き姿勢で集合ホッパ21に収容した細長い物品を円滑に整列させることができる。更に、多少粘着性を有して塊になり易いような物品であっても、高速な水平振動に伴なう衝撃によって、物品の分離を促進して円滑に整列させることができる。
【0059】
振動シリンダ31は、上記のようにヘッド側とロッド側の両エアポートPa、Pbに同時にエアの供給を行うことで、ピストンロッド32を高速で往復進退作動させることができる。しかし、エアの供給を止めて振動シリンダ31を作動停止させた場合、ピストンロッド32の停止位置は安定せず、一定位置で停止させたい対象物を振動駆動するには支障がある。
【0060】
この実施形態のように、振動対象物が組合せ秤の集合ホッパ21である場合、振動停止させた集合ホッパ21は、下段整列処理機構B2や包装機などへ整列させた物品を排出投下する一定位置にある必要があると共に、排出の後に後続の物品を受け入れるための一定位置にある必要がある。
【0061】
そこで、加振機構24においては、設定時間に亘って高速で往復進退作動した振動シリンダ31の作動を停止した時に、集合ホッパ21が、物品を受け入れ、及び、物品を排出するための一定位置(原点位置)Gから外れていても、集合ホッパ21を前記原点位置Gに復帰させるための強制復帰部を備えている。この原点位置Gは、
図12に示すように、シャッタ板26を開放したときに露出する円形の物品排出口25の中心を通る仮想鉛直線上の位置であり、この原点位置Gは、集合ファネル10の中心直下の位置である。
【0062】
以下、強制復帰部の詳細な構造について説明する。
【0063】
図12に示すように、前記案内ブロック34には、強制復帰部として、後ろ向きに進退作動する単動型のエアシリンダからなる強制復帰シリンダ41が組み込まれている。この強制復帰シリンダ41は、案内ブロック34に穿設したシリンダ孔42に、プランジャ43を後方から挿入装着した構造となっている。案内ブロック34内に形成した流路44にエアを供給することでプランジャ43が後方に突出移動され、エア供給を解除して流路44を開放することで、プランジャ43を外力によって前方へ押込み移動させることができるようになっている。
【0064】
強制復帰シリンダ41におけるプランジャ43は、ピストンロッド32の前端に、同心に突合せ配備されている。また、プランジャ43の外径は、ピストンロッド32に装着されたナット38より大径に設定されると共に、プランジャ43の後端には、ピストンロッド32のネジ部32aより大径でナット38の外径よりも小径の干渉回避口45が後ろ向きに形成されている。
【0065】
強制復帰部は、以上のように構成されており、次に、その強制復帰作動について説明する。
【0066】
図13は、集合ホッパ21が進出位置にある加振機構24、
図14は、設定時間に亘る高速の往復進退作動が終了して停止された加振機構24、及び、
図15は、強制復帰部が作動した加振機構24の各要部横断平面図である。
【0067】
この実施形態では、
図12に示すように、ヘッド側及びロッド側の両エアポートPa、Pbへ同時にエアを供給することで、上記のように振動シリンダ31を高速で往復進退作動させる。また、図示しない開閉弁を閉じてヘッド側エアポートPaのみへのエア供給を遮断することで振動シリンダ31を停止させるようにしている。
【0068】
なお、両エアポートPa、Pbへのエアの供給を共に断つことによっても振動シリンダ31の往復進退作動を停止させてもよいが、ロッド側エアポートPbにエア供給を行いながら、ヘッド側エアポートPaのみエア供給を断つと、内部の圧力バランスが崩れて、ピストンロッド32が後退移動して停止し易く、集合ホッパ21を原点位置Gに近づけて停止させ易いものとなる。
【0069】
図12に示すように、集合ホッパ11の原点位置Gは、シャッタケース23に設けた物品排出口25の中心上に設定されており、振動シリンダ31が、往復進退作動を開始すると、集合ホッパ21は、原点位置Gとその前方の所定位置に亘る一定ストローク(例えば上記50mm)で高速で水平に振動される。
【0070】
図13に、振動シリンダ31のピストンロッド32が最大限進出して、集合ホッパ21が原点位置Gから大きく前方へ移動された状態が示されている。
【0071】
振動シリンダ31が設定時間に亘って往復進退作動されると、ロッド側エアポートPbへのエアの供給を維持しながら、図示しない開閉弁を閉じてヘッド側エアポートPaのみへのエアの供給を遮断し、往復振動作動を停止させる。この場合、上記のように、ピストンロッド32は後退作動されるが、後退エンドに至るとは限らず、
図14に示すように、原点位置Gに対応する後退エンドの少し手前で停止することがある。
【0072】
集合ホッパ21の振動が停止されると、強制復帰部の強制復帰シリンダ41が起動されてプランジャ43が後方に突出作動する。この時、
図14に示すように、集合ホッパ21が原点位置Gから前方に外れた位置で停止していても、後方に進出移動するプランジャ43の後向き先端が、ピストンロッド32のナット38に当接し、引き続くプランジャ43の後方移動に伴って、
図15に示すように、集合ホッパ21が原点位置Gに至るまで、ピストンロッド32が強制的に後退移動される。
【0073】
ピストンロッド32と一体に前後移動する連結部材36の一端部には、磁性金属片47が連結されており、ベース板30の所定位置に取り付けた近接センサ48で磁性金属片47を検知することで、ピストンロッド32が原点位置に対応する後退エンドまで復帰されたことが検知され、この検知に基づいて、強制復帰部の強制復帰シリンダ41へのエア供給が停止される。
【0074】
また、集合ホッパ121が原点位置Gにあること検知された後、シャッタ機構22が開放作動し、整列された物品が排出される。物品排出が完了した後、シャッタ機構22が再び閉止され、原点位置Gにある集合ホッパ21に後続の物品が投下供給され、以下、上記作動が順次繰り返し実行される。
【0075】
遮断していたヘッド側エアポートPaへのエアの供給を再開して次の整列処理が開始されると、先ず、原点位置Gに対応する後退エンドに後退していた振動シリンダ31のピストンロッド32が前方に進出移動し、エア供給が停止されて自由状態なっている強制復帰部の強制復帰シリンダ41のプランジャ43が、ナット38の前方移動に伴ってシリンダ孔42の奥まで押し込まれる。
【0076】
次にピストンロッド32が後方に後退作動する際、プランジャ43は押し込まれた位置に残され、以降、ピストンロッド32が繰り返し前方への進出する際にプランジャ43に当接干渉することはない。
【0077】
上記のようにして、計量部Aから排出された物品は、上段の集合ホッパ21と下段の集合ホッパ21によって、直交する水平2方向から設定時間に亘って水平に高速で順次加振され、確実に整列及び分離されて下段の集合ホッパ21から排出されてゆく。
【0078】
このように本実施形態によれば、計量部Aの下方に配備した縦枠を下窄まり状に組み立てた吊り下げフレーム11に、物品を加振整列して排出する上段及び下段の整列処理機構B1,B2を装着支持しているので、縦枠を垂直に組み立てたものに比べて剛性が高いものとなり、上下の整列処理機構B1,B2の作動に伴い発生する振動が、上方の計量部Aに伝達されることが阻止され、計量精度に悪影響を及ぼす虞がない。
【0079】
更に、物品を整列させて排出する上下の整列処理機構B1,B2は、吊り下げフレーム11に装着支持されているので、下段の整列処理機構B2の下方の平面スペースを広く利用することができ、下段の整列処理機構B2の直下に包装機などを設置することができる。
【0080】
また、計量部Aと各整列処理機構B1,B2とに亘る電気配線やエア配管等を、吊り下げフレーム11に沿って引き回して固定することができるので、組合せ秤の製造工程において、電気配線やエア配管等の引回しを略終えることができる。これによって、整列排出機構を計量部から分離して床置き設置する場合のように、組合せ秤の設置現場において、計量部と整列排出機構との位置合わせを行って、電気配線やエア配管等を引回して固定する必要がなく、設置作業が容易となり、設置現場で引回して固定した電気配線やエア配管等が洗浄作業等のメンテナンスの邪魔になるといったこともない。
【0081】
また、支持枠14及びシャッタケース23の平面形状を正方形にしてあるので、吊り下げフレーム11に対する支持枠14の平面上での装着向き、及び、支持枠14に対するシャッタケース23の平面上での装着向きを90度ずつ任意に選択して組み付けることができる。従って、組合せ秤の設置現場における組合せ秤の据え付けレイアウト、エアの配管事情、電源配線事情、等に都合の良い平面向きで各部を組み上げ装備することができる。
【0082】
更に、本実施形態によれば、振動シリンダ31のピストンロッド32を高速で往復進退作動させ、ピストンロッド32に連結した集合ホッパ21を水平に高速振動させるので、集合ホッパ21に収容した細長い物品を円滑に整列させることができる。しかも、物品が多少粘着性を有し、塊になり易いような物品であっても、高速な水平振動に伴なう衝撃によって、物品の分離を促進して円滑に整列させることができる。
【0083】
また、高速な往復進退作動を停止した振動シリンダ31のピストンロッド32は、強制復帰部の強制復帰シリンダ41によって押圧移動されて、集合ホッパ21を原点位置に強制移動させるので、整列させた物品を原点位置で排出し、かつ、後続の物品を原点位置で的確に受け入れることができる。
【0084】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0085】
(1)上段と下段の各段で行う加振処理における設定時間や振幅などを異ならせてもよい。
【0086】
(2)整列処理機構は、上下2段に限らず、1段または3段以上としてもよい。
【0087】
(3)加振機構24のアクチュエータとしては、上記のように、ロッド側及びヘッド側の両エアポートへ同時にエアを供給することで高速に往復進退作動する振動シリンダ31を利用するものに限らず、電磁弁などを用いたエア供給制御でピストンロッドを振動作動させる一般的な複動型のエアシリンダ、電動モータ、電磁ソレノイド、等を任意に選択利用することもできる。
【0088】
(4)上段の支持枠14、シャッタ機構22、シャッタケース23、及び、加振機構24を互いに異なった仕様に構成して実施することもできる。
【符号の説明】
【0089】
11 吊り下げフレーム
11a 縦枠
14 支持枠
16 ジャッキボルト
21 集合ホッパ
22 シャッタ機構
24 加振機構
31 振動シリンダ
32 ピストンロッド
A 計量部
B 整列排出部
B1 上段整列処理機構
B2 下段整列処理機構
Pa ヘッド側エアポート
Pb ロッド側エアポート