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特開2023-62362自動ドア装置、自動ドア用スイッチ、自動ドア用スイッチの制御方法、自動ドア用スイッチの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062362
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】自動ドア装置、自動ドア用スイッチ、自動ドア用スイッチの制御方法、自動ドア用スイッチの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20230426BHJP
【FI】
E05F15/73
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172281
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松永 絢一
(72)【発明者】
【氏名】友弘 真実
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA04
2E052BA02
2E052BA06
2E052CA06
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA06
(57)【要約】
【課題】使用者の意図した動作が行われる確実性を上げることが可能な自動ドア装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ある態様の自動ドア装置100は、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の閉スイッチと、開スイッチおよび閉スイッチの各反応量について、所定の安定状態になるまでの反応量の推移を取得する推移情報取得部6と、扉に関する制御内容を決定する決定部5と、決定部5の決定結果に基づいて扉を制御する制御部91と、を備える。決定部は、開スイッチと閉スイッチのいずれか一方の所定の安定状態になった反応量が閾値を超えた場合、一方に関連づけられた内容を制御内容として決定し、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、推移情報取得部6で取得された反応量の推移に基づいて制御内容を決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、
前記開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の前記扉の閉スイッチと、
前記開スイッチおよび前記閉スイッチの各反応量について、所定の安定状態になるまでの反応量の推移を取得する推移情報取得部と、
扉に関する制御内容を決定する決定部と、
前記決定部の決定結果に基づいて前記扉を制御する制御部と、
を備え、
前記決定部は、
前記開スイッチと前記閉スイッチのいずれか一方の前記所定の安定状態になった反応量が閾値を超えた場合、前記一方に関連づけられた内容を前記制御内容として決定し、
前記開スイッチと前記閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、前記推移情報取得部で取得された反応量の推移に基づいて前記制御内容を決定する、
自動ドア装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記開スイッチと前記閉スイッチの両方の前記所定の安定状態になった反応量が閾値を超え、かつ前記開スイッチと前記開スイッチとの前記所定の安定状態になった反応量の差が閾値以上の場合、前記開スイッチと前記閉スイッチのうち安定状態の反応量が大きい方の検出部に関連づけられた内容を前記制御内容として決定する、請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記開スイッチと前記閉スイッチの両方の前記所定の安定状態になった反応量が閾値を超え、かつ前記開スイッチと前記開スイッチとの前記所定の安定状態になった反応量の差が閾値以下のときは、前記開スイッチと前記閉スイッチの各反応量の推移の最大値に基づいて前記制御内容を決定する、請求項1または2に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記開スイッチと前記閉スイッチのいずれか一方が、前記最大値と前記安定状態の反応量との差が所定範囲を超えるときは、他方に関連づけられた内容を前記制御内容として決定する、請求項3に記載の自動ドア装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記開スイッチと前記閉スイッチの各反応量の前記最大値と前記安定状態の反応量との差が所定の範囲以内であるときは、前記開スイッチと前記閉スイッチの各反応量に基づく前記制御内容の決定を無効にする、請求項3または4に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記決定部が前記制御内容の決定を無効にしたとき、その旨を報知する報知部を更に備える、請求項5に記載の自動ドア装置。
【請求項7】
互いに近接して設けられ、それぞれ使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部と、
前記複数の検出部の各反応量について、所定の安定状態になるまでの反応量の推移を取得する推移情報取得部と、
自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定する決定部と、
前記決定部で決定した制御内容を前記自動ドア駆動装置に出力する出力部と、
を備え、
前記決定部は、前記複数の検出部のうち2以上の検出部の前記所定の安定状態になった反応量が閾値を超えた場合、前記2以上の検出部に関して前記推移情報取得部で取得された反応量の推移に基づいて前記制御内容を決定する、自動ドア用スイッチ。
【請求項8】
前記決定部は、前記2以上の検出部の前記所定の安定状態になった反応量が閾値を超えかつ前記2以上の検出部の前記所定の安定状態になった反応量の差が閾値以上の場合、前記2以上の検出部のうち安定状態の反応量が最も大きい検出部に関連づけられた内容を前記制御内容として決定する、請求項7に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項9】
前記決定部は、前記2以上の検出部の前記所定の安定状態になった反応量が閾値を超え、かつ前記2以上の検出部の前記所定の安定状態になった反応量の差が閾値以上の場合、前記2以上の検出部の各反応量の推移の最大値に基づいて前記制御内容を決定する、請求項7または8に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項10】
前記決定部は、前記2以上の検出部のうちに、反応量の推移の最大値と前記安定状態の反応量との差が所定の範囲以内の検出部が1つあるときは、当該差が所定の範囲以内の検出部の反応量の推移に基づいて前記制御内容を決定する、請求項9に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項11】
前記決定部は、前記2以上の検出部のうちに、反応量の推移の最大値と前記安定状態の反応量との差が所定の範囲以内の検出部がないまたは当該差が所定の範囲以内の検出部が2つ以上あるときは、前記2以上の検出部の各反応量に基づく前記制御内容の決定を無効にする、請求項9または10に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項12】
前記複数の検出部は、前記扉の開閉スイッチである、請求項7から11のいずれか1項に記載の自動ドア用スイッチ。
【請求項13】
使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部の各反応量について、所定の安定状態になるまでの各反応量の推移を取得するステップと、
取得された各反応量の推移に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップと、
を含む、自動ドア用スイッチの制御方法。
【請求項14】
使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部の各反応量について、所定の安定状態になるまでの各反応量の推移を取得するステップと、
取得された各反応量の推移に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップと、
をコンピュータに実行させる、自動ドア用スイッチの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、自動ドア用スイッチ、自動ドア用スイッチの制御方法および自動ドア用スイッチの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触スイッチを用いて、開閉体の開閉停の各動作を制御する自動ドア装置が知られている。例えば、特許文献1には、非接触スイッチ手段(エリアセンサ)の検知状態に応じてスクリーンカーテンの開閉停の各動作を制御するロールスクリーン装置が記載されている。この装置は、開口部を開閉する開閉手段と、手指が接近した状態を非接触にて検知するエリアセンサと、当該エリアセンサの検知状態に応じて開閉手段の開閉停の各動作を制御する開閉制御手段とを備える。この装置では、2個以上のエリアセンサが隣接配置され、この各センサは、その一方または両方に手指が翳されることによって複数の検知状態となり、制御手段は、この複数の検知状態に応じて開閉停の各動作を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-095940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、2個のエリアセンサについて、両センサが検知状態にある場合、一方が検知状態にある場合および両センサが検知状態にない場合の4種類があり、両方が検知状態にある場合を停動作に、一方が検知状態にある場合をそれぞれ開動作と閉動作に対応させて開閉停動作を制御する。
【0005】
特許文献1の装置は、センサの検知状態と非検知状態の2つの状態のみに応じて制御する。しかし、2つのセンサに手指を翳す態様は多様であり、センサの検知状態と非検知状態の2つの状態だけでは使用者の意図した操作を検知できるとは限らない。したがって、2つの状態のみに応じて制御される場合、装置が使用者の意図と異なる動作をする懸念がある。つまり、特許文献1の装置は、使用者の意図した動作を行うという観点からは十分とはいえない。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、使用者の意図した動作が行われる確実性を上げることが可能な自動ドア装置の技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドア装置は、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の閉スイッチと、開スイッチおよび閉スイッチの各反応量について、所定の安定状態になるまでの反応量の推移を取得する推移情報取得部と、扉に関する制御内容を決定する決定部と、決定部の決定結果に基づいて扉を制御する制御部と、を備える。決定部は、開スイッチと閉スイッチのいずれか一方の所定の安定状態になった反応量が閾値を超えた場合、一方に関連づけられた内容を制御内容として決定し、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、推移情報取得部で取得された反応量の推移に基づいて制御内容を決定する。
【0008】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、使用者の意図した動作が行われる確実性を上げることが可能な自動ドア装置の技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の自動ドア装置を概略的に示す正面図である。
図2図1の自動ドア装置を概略的に示すブロック図である。
図3図1の自動ドア装置の検出部の反応量の推移を模式的に示す図である。
図4】推移参照動作の第1の例について反応量の推移を示す図である。
図5】推移参照動作の第2の例について反応量の推移を示す図である。
図6】第1検出部と第2検出部を側面視で示す模式図である。
図7】第1検出部と第2検出部を側面視で示す模式図である。
図8】第1検出部と第2検出部を側面視で示す模式図である。
図9】推移参照動作の第3の例について反応量の推移を示す図である。
図10】推移参照動作の第4の例について反応量の推移を示す図である。
図11】実施形態の自動ドア用スイッチの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0012】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部または全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部または全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【0013】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0014】
ある態様の自動ドア装置は、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の開スイッチと、開スイッチに近接して設けられ、使用者の動作を反応量として検出する非接触式の扉の閉スイッチと、開スイッチおよび閉スイッチの各反応量について、所定の安定状態になるまでの反応量の推移を取得する推移情報取得部と、扉に関する制御内容を決定する決定部と、決定部の決定結果に基づいて扉を制御する制御部と、を備える。決定部は、開スイッチと閉スイッチのいずれか一方の所定の安定状態になった反応量が閾値を超えた場合、一方に関連づけられた内容を制御内容として決定し、開スイッチと閉スイッチの両方の反応量が閾値を超えた場合、推移情報取得部で取得された反応量の推移に基づいて制御内容を決定する。なお、本明細書において、「閾値」は予め設定された値を意味し、「閾値以下」は「所定の値以下」または「所定の範囲以内」を意味し、「閾値以上」は「所定の値以上」を意味し、「閾値を超える」は「所定の値を超える」を意味する。
【0015】
この構成によれば、反応量の推移に基づいて扉の制御内容を決定するため、使用者の意図した動作が行われる確実性を上げることができる。
【0016】
一例として、決定部は、開スイッチと閉スイッチの両方の所定の安定状態になった反応量が閾値を超え、かつ開スイッチと開スイッチとの所定の安定状態になった反応量の差が閾値以上の場合、開スイッチと閉スイッチのうち安定状態の反応量が大きい方の検出部に関連づけられた内容を制御内容として決定してもよい。この場合、第1検出部と第2検出部への同時入力による操作無効を減らせる。また、反応量が大きい方の検出部に関連づけられた内容で制御するため、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0017】
一例として、決定部は、開スイッチと閉スイッチの両方の所定の安定状態になった反応量が閾値を超え、かつ開スイッチと開スイッチとの所定の安定状態になった反応量の差が閾値以下のときは、開スイッチと閉スイッチの各反応量の推移の最大値に基づいて制御内容を決定してもよい。この場合、第1検出部と第2検出部への同時入力による操作無効を減らせ、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0018】
一例として、決定部は、開スイッチと閉スイッチのいずれか一方が、最大値と安定状態の反応量との差が所定範囲を超えるときは、他方に関連づけられた内容を制御内容として決定してもよい。この場合、第1検出部と第2検出部への同時入力による操作無効を減らせ、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0019】
一例として、決定部は、開スイッチと閉スイッチの各反応量の最大値と安定状態の反応量との差が所定の範囲以内であるときは、開スイッチと閉スイッチの各反応量に基づく制御内容の決定を無効にしてもよい。この場合、反応量の差が小さい場合に、検出部に故障等の可能性があり、制御内容の決定を無効にすることにより、使用者の意図に沿わない扉動作を抑制できる。
【0020】
一例として、上記自動ドア装置は、決定部が制御内容の決定を無効にしたとき、その旨を報知する報知部を更に備えてもよい。この場合、使用者に制御内容の決定が無効になったことをフィードバックできる。
【0021】
ある態様の自動ドア用スイッチは、互いに近接して設けられ、それぞれ使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部と、複数の検出部の各反応量について、所定の安定状態になるまでの反応量の推移を取得する推移情報取得部と、自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定する決定部と、決定部で決定した制御内容を自動ドア駆動装置に出力する出力部と、を備える。決定部は、複数の検出部のうち2以上の検出部の所定の安定状態になった反応量が閾値を超えた場合、2以上の検出部に関して推移情報取得部で取得された反応量の推移に基づいて制御内容を決定する。
【0022】
この構成によれば、反応量の推移に基づいて扉の制御内容を決定するため、使用者の意図とは異なる動作を減らすことができる。
【0023】
一例として、上記スイッチの決定部は、2以上の検出部の所定の安定状態になった反応量が閾値を超え、かつ2以上の検出部の所定の安定状態になった反応量の差が閾値以上の場合、2以上の検出部の各反応量の推移の最大値に基づいて制御内容を決定してもよい。この場合、複数の検出部への同時入力による操作無効を減らせる。また、反応量が大きい方の検出部に関連づけられた内容で制御するため、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0024】
一例として、上記スイッチの決定部は、2以上の検出部の所定の安定状態になった反応量が閾値を超え、かつ2以上の検出部の所定の安定状態になった反応量の差が閾値以上の場合に、2以上の検出部が最大値と安定状態の反応量との差が所定の範囲を超える特定検出部を含むときは、2以上の検出部のうち当該特定検出部を除いた検出部の反応量の推移に基づいて制御内容を決定してもよい。この場合、複数の検出部への同時入力による操作無効を減らせ、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0025】
一例として、上記スイッチの決定部は、2以上の検出部のうちに、反応量の推移の最大値と安定状態の反応量との差が所定の範囲以内の検出部が1つあるときは、当該差が所定の範囲以内の検出部の反応量の推移に基づいて制御内容を決定してもよい。この場合、複数の検出部への同時入力による操作無効を減らせ、使用者の意図に沿った扉動作を実現できる。
【0026】
一例として、上記スイッチの決定部は、2以上の検出部のうちに、反応量の推移の最大値と安定状態の反応量との差が所定の範囲以内の検出部がないまたは当該差が所定の範囲以内の検出部が2つ以上あるときは、2以上の検出部の各反応量に基づく制御内容の決定を無効にしてもよい。この場合、制御内容の決定を無効にすることにより、使用者の意図に沿わない扉動作を抑制できる。
【0027】
一例として、上記スイッチの複数の検出部は、扉の開閉スイッチであってもよい。この場合、安価に自動ドア用スイッチを構成できる。
【0028】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態及び変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0029】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置100を説明する。一例として、自動ドア装置100は、駅、ホテル、デパート、病院、老人保健施設等の各種施設において、空間を仕切る壁等の間口を開閉するための扉を開閉動作させる装置である。図1は、本実施形態の自動ドア装置100を概略的に示す正面図である。この図は、多機能トイレとして使用されるトイレ室に適用された自動ドア装置100を示している。
【0030】
図2は、本発明に係る自動ドア装置100を概略的に示すブロック図である。図2に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0031】
図2に示すように、自動ドア装置100は、自動ドア用スイッチ10と、扉9を開閉駆動する自動ドア駆動装置90とを備える。自動ドア用スイッチ10は、使用者の動作を検知してその検知結果に応じて決定された制御内容を制御情報として自動ドア駆動装置90に送信する。自動ドア駆動装置90は、制御部91とドアエンジン92を含む。制御部91は、自動ドア用スイッチ10からの制御情報に基づいて扉9を開閉するようにドアエンジン92を制御する。自動ドア用スイッチ10からの制御情報を伝送する伝送路96に限定はないが、この例の伝送路96は、装置内バスを含む。ドアエンジン92は、制御部91の制御に基づいて、駆動モータ(不図示)を回転させて扉9を開閉駆動する。
【0032】
自動ドア用スイッチ10を説明する。自動ドア用スイッチ10は、情報処理部20と、複数の検出部4と、押ボタンスイッチ22、23とを有する。情報処理部20は、決定部5と、推移情報取得部6と、出力部8と、記憶部3と、入力部25とを備える。記憶部3は、取得情報や中間処理情報を時系列的に記憶できる。また、記憶部3は、後述する制御プログラムP100を記憶できる。入力部25は、第1検出部11と第2検出部12の各反応量を取得する。入力部25は、押ボタンスイッチ22、23の操作結果を取得する。第1検出部11は、非接触式の扉の開スイッチを例示し、第2検出部12は、非接触式の扉の閉スイッチを例示する。
【0033】
押ボタンスイッチ22、23は開押ボタンスイッチ22と、閉押ボタンスイッチ23とを含む。情報処理部20は、開押ボタンスイッチ22が押し下げられた場合、扉9を開くことを制御内容とする制御情報を制御部91に出力し、閉押ボタンスイッチ23が押し下げられた場合、扉9を閉じることを制御内容とする制御情報を制御部91に出力する。つまり、使用者は、押ボタンスイッチ22、23により扉9を開閉させることができる。
【0034】
複数の検出部4は、扉9に対する使用者の開閉につながる指示を検出するために、押ボタンスイッチ22、23とは別に設けられる。複数の検出部4は、互いに近接して設けられ、それぞれ使用者の動作を反応量として検出する。各検出部4が互いに近接配置される状態は、各検出部4が、使用者が立ち位置を変更せずに操作できる範囲内に配置された状態や手の前後長(例えば、18cm)以内に配置された状態等を含む。この例では、各検出部4は1つの操作盤上に配置される。一例として、検出部4は、公知の検出原理に基づいて使用者の動作を検出する非接触スイッチであってもよい。この検出原理としては、静電容量、超音波、マイクロ波、光(例えば赤外線)等を用いるものが挙げられる。検出部4の反応量は、例えば、使用者の手指が接近したとき、その手指との距離に応じて生成される物理量で、電圧値等のアナログ情報であってもよいし、その物理量に対応するデジタル情報であってもよい。以下、反応量がアナログ情報である例を説明する。
【0035】
複数の検出部4それぞれには、予め設定された扉9の動作に関する制御内容が関連づけられている。言い換えると、各検出部4には、予め制御内容が定義されている。図2の例では、複数の検出部4は、第1検出部11と第2検出部12を含む。この例では、第1検出部11は、扉9を開動作させる制御を含む制御内容に関連づけられ、第2検出部12は、扉9を閉動作させる制御を含む制御内容に関連づけられる。
【0036】
複数の検出部4は、3つ以上の検出部を含んでもよい。例えば、複数の検出部4は、開閉動作中の扉9を停止させる制御を含む制御内容に関連づけられた検出部を含んでもよい。
【0037】
推移情報取得部6は、複数の検出部4の各反応量について、所定の安定状態(後述する)になるまでの反応量の推移を取得する。つまり、推移情報取得部6は、各反応量を時系列的に取得し、その取得結果を記憶する。一例として、反応量の推移は、反応量が閾値を超えたタイミングから、反応量が安定状態になったと判断されたタイミングまでの範囲を含む。反応量の推移は、反応量が閾値を超える前の反応量を含んでもよいし、安定状態以後の反応量を含んでもよい。
【0038】
図3を参照して、検出部4の反応量の変化を説明する。図3は、検出部4の反応量の変化の例を模式的に示す図である。この図の横軸は、手指が接近するときの経過時間を示し、縦軸は反応量g1、g2を示す。この図の反応量g1、g2は、基準値に対する変化量を示している。g1は、閾値を超えて増加して安定状態に至る反応量の推移の例を示し、g2は、閾値を超えて増加しオーバーシュートして最大値に至り、当該最大値から減少して安定状態に至る反応量の推移の例を示す。
【0039】
このように、反応量g1、g2は、単調な変化だけでなく多様な変動を含む。反応量g1、g2が閾値近傍の場合、反応量g1、g2が閾値を超えたオン状態と、閾値を超えないオフ状態とを交互に繰り返すチャタリングを生じることがある。本明細書における「閾値を超えた状態」とは、チャタリングが収束して反応量が閾値を超え続ける状態をいい、一例として、反応量が所定の収束期間(例えば、10ms、100msなど)閾値を超え続ける状態をいう。閾値や所定の収束期間は、チャタリングの影響が所望のレベル以下になるように実験により設定できる。
【0040】
検出部4の反応量は、閾値を超えてから増加、減少、オーバーシュート等を続ける場合がある。そこで、本実施形態は、反応量の推移を取得し続けて、反応量が所定の安定状態になってから制御内容を決定する。本明細書における所定の安定状態(以下、単に「安定状態」ということがある)とは、反応量が予め設定されたレンジ(変動幅)に収束した状態をいう。図3の反応量g1の例では、反応量g1の変動が予め設定された変動幅D1内にある状態が所定の安定期間Tp(例えば、10ms、100msなど)の間継続したときに、決定部5は安定状態と判断し、安定状態と判断したときの反応量をg1の安定状態の反応量(以下、「安定値R1」という)として記憶する。反応量g2も同様であり、安定状態と判断したときの反応量をg2の安定値R2として記憶する。安定状態を規定する変動幅D1や安定期間Tpの条件は、使用者の意図を誤判定する頻度が所望のレベル以下になるように実験により設定できる。以下、反応量が安定状態になった状態を検知状態といい、それ以外の状態を非検知状態ということがある。
【0041】
使用者が選択を迷う場合に、使用者の最終的な選択に従うことが望ましい。そこで、本実施形態は、複数の検出部4のうち1つの検出部の反応量が安定状態になった後、所定の待ち期間Tw(例えば、10ms、100msなど)経過後に制御内容を決定する。図3の例は、先に反応量g2が安定状態になってから待ち期間Twが経過する前に反応量g1が安定状態になったため、両方の反応量g1、g2が安定状態になった場合を示している。この場合、決定部5は、反応量g1、g2に基づいて制御内容を決定する。
【0042】
もし、決定部5は、反応量g2が安定状態になってから待ち期間Twが経過した時点で反応量g1が安定状態でない場合は、反応量g1を無視して反応量g2に基づいて制御内容を決定してもよい。
【0043】
以下、複数の検出部4が第1検出部11、第2検出部12である例を説明する。決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の各反応量、および第1検出部11と第2検出部12の反応量の推移に基づいて扉に関する制御内容を決定する。出力部8は、決定部5で決定した制御内容を自動ドア駆動装置90の制御部91に出力する。
【0044】
(定常動作)
本実施形態の決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の一方の検出部の反応量が安定状態になり、他方の検出部の反応量が閾値を超えない場合、一方の検出部に関連づけられた内容を制御内容として決定する。以下、この動作を定常動作という。この結果、使用者の手指の接近により第1検出部11の反応量のみが安定状態になると扉9は開動作し、手指の接近により第2検出部12の反応量のみが安定状態になると扉9は閉動作する。
【0045】
(推移参照動作)
本実施形態の決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の反応量が安定状態になった場合、推移情報取得部6で取得された反応量の推移に基づいて制御内容を決定する。以下、この動作を推移参照動作という。
【0046】
(第1の例)
図4を参照して、推移参照動作の第1の例を説明する。図4は、第1検出部11の反応量g1と、第2検出部12の反応量g2の推移を示す。この例では、反応量g1の安定値R1は、反応量g2の安定値R2よりも大きい。第1の例では、決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の反応量が安定状態になった場合、第1検出部11と第2検出部12のうち安定状態の反応量が大きい方の検出部に関連づけられた内容を制御内容として決定する。この例では、決定部5は、第1検出部11に関連づけられた内容(扉9を開く)を制御内容として決定する。
【0047】
(第2の例)
図5を参照して、推移参照動作の第2の例を説明する。図5は、第1検出部11の反応量g1と、第2検出部12の反応量g2の推移を示す。この例では、反応量g1の安定値R1と反応量g2の安定値R2の差は小さい。また、反応量g2の最大値P2は、反応量g1の最大値P1よりも大きい。第2の例では、決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の反応量が安定状態になった場合に、安定状態における第1検出部11と第2検出部12の安定値R1、R2の互いの差が所定の範囲Wp以内であるときは、第1検出部11と第2検出部12の各反応量の推移の最大値P1、P2を比較した比較結果に基づいて制御内容を決定する。所定の範囲Wp(以下、単に「範囲Wp」ということがある)は、使用者の意図を誤判定する頻度が所望のレベル以下になるように実験により設定できる。例えば、決定部5は、最大値P2が最大値P1よりも大きい第2検出部12に関連づけられた内容(扉9を閉じる)を制御内容として決定できる。
【0048】
(第3の例)
図6図9を参照して、推移参照動作の第3の例を説明する。図6図8は、第1検出部11と第2検出部12を側面視で示す模式図である。これらの図は、使用者が開扉を意図して手指を下から第1検出部11に接近させる状態を第1段階から第3段階に分けて示す。図6に示す第1段階(経過時間T1)では、手指は第2検出部12に接近し第1検出部11からはかなり離れている。図7に示す第2段階(経過時間T2)では、手指は第2検出部12にさらに接近し、第1検出部11にも接近する。図8に示す第3段階(経過時間T3)では、手指は第1検出部11と第2検出部12に接近する。この状態では、第1検出部11と手指の距離は近いが対向面積は小さく、第2検出部12と手指の対向面積は大きいが距離は遠い。このため、安定値R1、R2の互いの差は小さい。
【0049】
図9は、第3の例の、第1検出部11の反応量g1と、第2検出部12の反応量g2の推移を示す。経過時間T1では、反応量g1は閾値未満で、反応量g2は閾値を超えている。経過時間T2では、反応量g1は閾値未満で、反応量g2は閾値を超えて最大値P2に近づいている。経過時間T3では、反応量g1は安定状態になり、反応量g2は最大値から低下し安定状態になっている。つまり、経過時間T3では、第1検出部11と第2検出部12の両方の安定値R1、R2が安定状態(検知状態)になる。
【0050】
図9の例では、安定状態での安定値R1、R2の差が小さく所定範囲Wp以内に収まっている。この場合に、第1検出部11と第2検出部12の検出結果を両方共に無効にするとユーザビリティが低下する。そこで、第3の例では、決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の安定値R1、R2が安定状態になった場合に、第1検出部11と第2検出部12の一方の検出部(第2検出部12)の反応量の推移で最大値P2と安定値R2との差(P2-R2)が所定の範囲Wqを超えるときは、他方の検出部(第1検出部11)に関連づけられた内容を制御内容として決定する。この例では、決定部5は、第1検出部11に関連づけられた内容(扉9を開く)を制御内容として決定する。所定の範囲Wq(以下、単に「範囲Wq」ということがある)は、使用者の意図を誤判定する頻度が所望のレベル以下になるように実験により設定できる。
【0051】
図9の例で、一方の検出部(第2検出部12)の反応量の推移で最大値P2と安定値R2との差(P2-R2)が範囲Wqを超えるときは、当該一方の検出部(第2検出部12)反応量に基づく制御内容の決定を無効にしてもよい。この場合、決定部5は、第1検出部11に関連づけられた内容(扉9を開く)を制御内容として決定する。
【0052】
(第4の例)
図10を参照して、推移参照動作の第4の例を説明する。図10は、第1検出部11の反応量g1と、第2検出部12の反応量g2の推移を示す。この例では、反応量g1の安定値R1と反応量g2の安定値R2の差は範囲Wp以内である。また、反応量g1の最大値P1と反応量g2の最大値P2との差も範囲Wp以内である。第4の例では、決定部5は、第1検出部11と第2検出部12の両方の反応量が安定状態になった場合に、第1検出部11と第2検出部12の反応量の推移において、各検出部の最大値と安定値との差が範囲Wq以内で、各検出部の安定値R1、R2の差(R1-R2)が範囲Wp以内であるときは、第1検出部11と第2検出部12の各反応量に基づく制御内容の決定を無効にする。
【0053】
本明細書で「反応量に基づく制御内容の決定を無効」にするとは、検出部の反応量が閾値を超えても、決定部5は、その検出部の検出結果に基づく動作を実行しないことをいう。例えば、第1検出部11と第2検出部12の各反応量に基づく制御内容の決定を無効にしたとき、これらの一方または両方の反応量が閾値を超えても、決定部5は、これらに関連づけられた扉9の動作に関する制御をしない。制御内容の決定を無効にする動作は、第1検出部11と第2検出部12の反応量の差が第2閾値を超えるまで継続される。
【0054】
図1図2を参照する。制御内容の決定を無効にした場合、例えば、使用者は扉を開けるつもりで第1検出部11に手をかざしているのに、着衣等の影響により第2検出部12でも同程度の反応量が出てしまって処理が無効となったケースが考えられる。この場合に、使用者に対して両検出部への同時入力が発生しているため処理を無効とした旨をフィードバックすることが望ましい。そこで、本実施形態は、決定部5が第1検出部11と第2検出部12の制御内容の決定を無効にしたとき、その旨を報知する報知部7を更に備える。報知部7は、外部の人間に覚知可能な光、音、画面表示等の合図を出力させるものであってもよい。本実施形態の報知部7は、報知結果に応じて発光装置72を発光させる。また、検出部が故障したことにより制御内容の決定が無効になる可能性もあり、この場合に管理者に対応を促すことができる。
【0055】
上述したように、自動ドア用スイッチ10は、複数の検出部4を備えてもよい。複数の検出部4を備える場合、決定部5は、複数の検出部4のうち2以上の検出部4の反応量が安定状態になった場合に、安定状態における当該2以上の検出部4のうち反応量が最も大きい検出部に関連づけられた内容を制御内容として決定してもよい。また、複数の検出部4を備える場合、決定部5は、複数の検出部4のうち2以上の検出部4の反応量が安定状態になった場合に、安定状態における2以上の検出部4の各反応量の差が範囲Wp以内であるときは、2以上の検出部4の反応量の推移における各反応量の最大値を比較した比較結果に基づいて制御内容を決定してもよい。
【0056】
また、決定部5は、複数の検出部4のうち2以上の検出部4の反応量が安定状態になった場合に、当該2以上の検出部4が、反応量の推移の最大値と安定値との差が範囲Wqを超える特定検出部を含むときは、2以上の検出部4のうち当該特定検出部を除いた検出部の反応量の推移に基づいて制御内容を決定してもよい。また、決定部5は、複数の検出部4のうち2以上の検出部4の反応量が安定状態になった場合、当該2以上の検出部4の反応量の推移において、各検出部の最大値と安定値との差が範囲Wq以内で、各検出部の安定値が範囲Wp以内であるときは、各検出部の各反応量に基づく制御内容の決定を無効にしてもよい。
【0057】
本実施形態の自動ドア用スイッチ10の動作の一例を説明する。図11は、自動ドア用スイッチ10の動作S110を示すフローチャートである。
【0058】
動作S110が開始されると、決定部5は、複数の検出部4の各反応量について、所定の安定状態になるまでの反応量の推移を取得する(ステップS111)。
【0059】
次に、決定部5は、複数の検出部4の反応量の1つ以上が安定状態にあるかどうかを判定する(ステップS112)。反応量のいずれも安定状態でない場合(ステップS112のN)、決定部5は、処理をステップS111の先頭に戻し、ステップS111~S112を繰り返す。
【0060】
1つ以上の反応量が安定状態である場合(ステップS112のY)、決定部5は、1つ以上の反応量が安定状態であると判定した時からの時間を計測し、その計測結果が所定の待ち期間Twを超えたかどうかを判定する(ステップS113)。
【0061】
計測結果が待ち期間Twを超えていない場合(ステップS113のN)、決定部5は、処理をステップS113の先頭に戻し、ステップS113を繰り返す。
【0062】
計測結果が待ち期間Twを超えている場合(ステップS113のY)、決定部5は、複数の検出部4の反応量の2つ以上が安定状態であるかどうかを判定する(ステップS114)。
【0063】
反応量の2つ以上が安定状態でない場合(ステップS114のN)、この場合は反応量の1つのみが安定状態であるので、決定部5は、反応量が安定状態である検出部4に関連づけられた内容を制御内容として決定する(ステップS115)。このステップを実行したら処理はステップS121に進む。
【0064】
2つ以上の反応量が安定状態である場合(ステップS114のY)、決定部5は、各検出部の安定値の差が所定の範囲Wp以内かどうかを判定する(ステップS116)。
【0065】
各検出部の安定値の差が所定の範囲Wpを超える場合(ステップS116のN)、決定部5は、安定値が最大である検出部4に関連づけられた内容を制御内容として決定する(ステップS117)。このステップを実行したら処理はステップS121に進む。
【0066】
各検出部の安定値の差が所定の範囲Wp以内である場合(ステップS116のY)、決定部5は、各反応量の推移において、決定部5は、最大値と安定値の差が範囲Wp以内の検出部4が1つあるかどうかを判定する(ステップS118)。
【0067】
最大値と安定値の差が範囲Wp以内の検出部4が1つである場合(ステップS118のY)、決定部5は、複数の検出部4のうち最大値と安定値の差が範囲Wp以内の検出部4に関連づけられた内容を制御内容として決定する(ステップS119)。このステップを実行したら処理はステップS121に進む。
【0068】
最大値と安定値の差が範囲Wp以内の検出部4がない、または2つ以上ある場合(ステップS118のN)、決定部5は、各検出部の各反応量に基づく制御内容の決定を無効にする(ステップS120)。このステップを実行したら動作S110は終了する。
【0069】
ステップS121では、出力部8は、決定部5で決定された制御内容を自動ドア駆動装置90に出力する(ステップS121)。このステップを実行したら動作S110は終了する。動作S110は、繰り返し実行されてもよい。上述の各ステップはあくまでも一例であって、各種の変形が可能である。
【0070】
以上が第1実施形態の説明である。
【0071】
以下、本発明の第2、第3実施形態を説明する。第2、第3実施形態の図面及び説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0072】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、自動ドア用スイッチの制御方法である。この方法は、使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部の各反応量について、所定の安定状態になるまでの各反応量の推移を取得するステップ(S111)と、取得された各反応量の推移に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップ(S112~S121)と、を含む。
【0073】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0074】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、自動ドア用スイッチの制御プログラムP100(コンピュータプログラム)である。このプログラムP100は、使用者の動作を反応量として検出する複数の検出部の各反応量について、所定の安定状態になるまでの各反応量の推移を取得するステップ(S111)と、取得された各反応量の推移に基づいて自動ドア駆動装置の扉に関する制御内容を決定するステップ(S112~S121)と、をコンピュータに実行させる。
【0075】
プログラムP100のこれらの機能は、自動ドア用スイッチ10の機能ブロックに対応する複数のモジュールが実装されたアプリケーションプログラムとして自動ドア用スイッチ10のストレージ(例えば記憶部3)にインストールされてもよい。プログラムP100は自動ドア用スイッチ10に組み込まれたコンピュータのプロセッサ(例えばCPU)のメインメモリに読み出しされて実行されてもよい。
【0076】
第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0077】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0078】
[変形例]
以下、変形例を説明する。変形例の図面及び説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0079】
実施形態の説明では、決定部5と、推移情報取得部6が自動ドア用スイッチ10に搭載される例を示したが、これに限定されない。決定部と推移情報取得部の一方または両方は自動ドア駆動装置に搭載されてもよい。
【0080】
実施形態の説明では、安定状態を規定する変動幅D1が絶対値である例を示したが、これに限定されない。安定状態を規定する変動幅は、反応量を基準とする相対値(例えば、10%、20%など)であってもよい。
【0081】
実施形態の説明では、押ボタンスイッチ22、23を有する例を示したが、これに限定されない。押ボタンスイッチを有することは必須ではない。
【0082】
実施形態の説明では、伝送路96が装置内バスを含む例を示したが、これに限定されない。伝送路として、有線または無線による公知の情報伝達手段を採用できる。
【0083】
実施形態の説明では、検出部4が非接触スイッチである例を示したが、これに限定されない。検出部は接触圧の大きさに応じた反応量を生成するセンサであってもよい。
【0084】
実施形態の説明では、報知部7が報知結果に応じて発光装置72を発光させる例を示したが、これに限定されない。報知部は、自動ドア装置の管理者の表示装置に報知結果を表示させてもよい。
【0085】
上述の変形例は、各実施形態と同様の作用と効果を奏する。
【0086】
上述した各実施形態及び変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態及び変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0087】
4 検出部、 5 決定部、 6 推移情報取得部、 7 報知部、 8 出力部、 9 扉、 10 自動ドア用スイッチ、 11 第1検出部、 12 第2検出部、 90 自動ドア駆動装置、 91 制御部、 100 自動ドア装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11