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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062363
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】パルス電圧変換回路
(51)【国際特許分類】
   H03K 5/00 20060101AFI20230426BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H03K5/00 T
H02M1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172283
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219004
【氏名又は名称】島田理化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 慎也
【テーマコード(参考)】
5H740
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
(57)【要約】
【課題】出力パルス電圧のパルス特性を調整する機能(パルス特性調整機能)を有するパルス電圧変換回路を提供する。
【解決手段】入力パルス電源と、入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、入力パルス電源とNチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続した。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力パルス電源と、前記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、前記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、前記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、
前記入力パルス電源と前記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【請求項2】
入力パルス電源と、前記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、前記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、前記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、
前記入力パルス電源と前記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【請求項3】
入力パルス電源と、前記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、前記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、前記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、
前記入力パルス電源と前記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続し、かつ、前記第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【請求項4】
入力パルス電源と、前記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、前記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、前記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、
前記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、前記第3の抵抗を前記チャージ電源と前記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【請求項5】
入力パルス電源と、前記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、前記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、前記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、
前記入力パルス電源と前記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続し、
前記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、前記第3の抵抗を前記チャージ電源と前記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【請求項6】
入力パルス電源と、前記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、前記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、前記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、
前記入力パルス電源と前記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続し、
前記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、前記第3の抵抗を前記チャージ電源と前記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【請求項7】
入力パルス電源と、前記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、前記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、前記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、
前記入力パルス電源と前記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続し、かつ、前記第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続し、
前記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、前記第3の抵抗を前記チャージ電源と前記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【請求項8】
請求項4、5、6または7のいずれか1項に記載のパルス電圧変換回路において、さらに、
前記第3の抵抗と前記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に第1のダイオードを接続し、
前記ハイサイド電源と前記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に第2のダイオードを接続した
ことを特徴とするパルス電圧変換回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス電圧変換回路に関する。さらに詳細には、本発明は、例えば、TTL(Transistor-transistor logic)やCMOS(Complementary MOS)の出力のレベルのような低電圧パルス電圧(入力パルス電圧)を所望の波高値の高電圧のパルス電圧(出力パルス電圧)に変換する際などのように、入力パルス電圧を所望の波高値のパルス電圧(出力パルス電圧)に変換する際に用いて好適なパルス電圧変換回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、TTLやCMOSの出力のレベルのような低電圧パルス電圧(入力パルス電圧)を所望の波高値の高電圧のパルス電圧(出力パルス電圧)に変換するなどのように、入力パルス電圧を所望の波高値のパルス電圧(出力パルス電圧)に変換するパルス電圧変換回路が知られている。
【0003】
ここで、図1には、上記したような従来のパルス電圧変換回路の回路構成図が示されている。
【0004】
この図1に示す従来のパルス電圧変換回路100においては、電流出力端102における出力パルス電圧Voutの波高値は、ハイサイド電源(V1)104の電圧値およびハイサイドスイッチ(Q2)106を介して当該ハイサイド電源(V1)104に接続された抵抗分割回路108を構成する直列接続された抵抗(R4)110と抵抗(R5)112との分圧比に応じて、所望の値に設定することが可能である。
【0005】
なお、このパルス電圧変換回路100においては、ハイサイドスイッチ(Q2)106としてPNPトランジスタを用いた例を示している。
【0006】
より詳細には、ハイサイド電源(V1)104は、接続線114によりハイサイドスイッチ(Q2)106のエミッタ(E)に接続されている。
【0007】
また、抵抗分割回路108を構成する抵抗(R4)110は、ハイサイドスイッチ(Q2)106のコレクタ(C)と電流出力端102とに接続されていて、ハイサイドスイッチ(Q2)106を介してハイサイド電源(V1)104と電流出力端102とを接続している。
【0008】
一方、抵抗分割回路108を構成する抵抗(R5)112は、電流出力端102とグランドとを接続している。
【0009】
そして、このパルス電圧変換回路100においては、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース(B)と接続されている入力パルス電源116の入力パルス電圧Vinに応じて、ハイサイドスイッチ(Q2)104をON(オン)/OFF(オフ)制御することにより、出力パルス電圧Voutを生成する。
【0010】
また、パルス電圧変換回路100は、入力パルス電源116とハイサイドスイッチ(Q2)106のベース(B)との間にNチャネル型MOSFET(N-chanel MOSFET(Q1)118を接続しており、このNチャネル型MOSFET(Q1)118により、入力パルス電源116により発生される入力パルス電圧Vinに応じて、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース電圧を制御している。
【0011】
なお、パルス電圧変換回路100においては、入力パルス電源116とNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート(G)とを接続する接続線120に、グラウンドに接地するプルダウン抵抗(R1)122が接続されている。
【0012】
また、パルス電圧変換回路100においては、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン(D)とハイサイドスイッチ(Q2)106のベース(B)との間に、抵抗(R2)124とコンデンサ(C1)126とを並列接続して構成されるRC並列回路が接続されている。
【0013】
さらに、パルス電圧変換回路100においては、ハイサイド電源(V1)104とハイサイドスイッチ(Q2)106のエミッタ(E)とを接続する接続線114と、上記したRC並列回路とハイサイドスイッチ(Q2)106のベース(B)とを接続する接続線128との間に、当該接続線114と当該接続線128とを接続する抵抗(R3)130が接続されている。
【0014】
以上の構成において、まず、上記したパルス電圧変換回路100におけるパルス電圧変換の際のパルス立ち上がり時の動作について説明する。
【0015】
即ち、このパルス電圧変換回路100においては、入力パルス電源116により発生される入力パルス電圧Vinが立ち上がることにより、入力パルス電源116によりNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート(G)が駆動されて、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsが立ち上がる。
【0016】
そして、ゲート-ソース電圧Vgsの電位がNチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧を超えると、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン-ソース間が導通される。
【0017】
そうすると、Nチャネル型MOSFET(Q1)118によりハイサイドスイッチ(Q2)106のベース(B)が駆動され、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース電位が、ハイサイド電源(V1)104の電位から、ハイサイド電源(V1)104の電位を抵抗(R2)124と抵抗(R3)130とで分圧した値にまで低下する。
【0018】
そして、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeがハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧(このパルス電圧変換回路100においては負電圧である。)を超えると、ハイサイドスイッチ(Q2)106のコレクタ-エミッタ間が導通され、上記したベース-エミッタ電圧Vbeに応じた電流が、抵抗(R4)110と抵抗(R5)112とより構成される抵抗分割回路に供給される。
【0019】
これにより、ハイサイド電源(V1)104の電位を抵抗(R4)110と抵抗(R5)112とより分圧した電位が、電流出力端102において出力パルス電圧Voutとして立ち上がることになる。
【0020】
ここで、抵抗(R2)124に並列に接続されているコンデンサ(C1)126は、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン-ソース間導通に対する、ハイサイドスイッチ(Q2)106のコレクタ-エミッタ間の導通応答を改善(高速化)している。
【0021】
次に、上記したパルス電圧変換回路100におけるパルス電圧変換の際のパルス立ち下がり時の動作について説明する。
【0022】
即ち、このパルス電圧変換回路100においては、入力パルス電源116により発生される入力パルス電圧Vinが立ち下がることにより、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsが立ち下がる。
【0023】
そして、ゲート-ソース電圧Vgsの電位がNチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧を下回ると、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン-ソース間の導通が切断される。
【0024】
そうすると、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース電位が、ハイサイド電源(V1)104の電位を抵抗(R2)124と抵抗(R3)130とで分圧した値から、ハイサイド電源(V1)104の電位にまで上昇する。
【0025】
そして、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeがハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧(このパルス電圧変換回路100においては負電圧である。)を下回ると、ハイサイドスイッチ(Q2)106のコレクタ-エミッタ間の導通が切断され、抵抗(R4)110と抵抗(R5)112とより構成される抵抗分割回路への電流の供給が停止される。
【0026】
これにより、電流出力端102において出力パルス電圧Voutが立ち下がることになる。
【0027】
以上において説明した動作により、上記したパルス電圧変換回路100においては、入力パルス電源116により発生される入力パルス電圧Vinに応じて、所望の波高値の出力パルス電圧Voutへの変換が行われる。
【0028】
ところで、上記したような従来のパルス電圧変換回路100においては、出力パルス電圧Voutのパルス特性(波高値、パルス幅、立ち上がり時間ならびに立ち下がり時間である。)は、ハイサイドスイッチ(Q2)106の特性(閾値電圧やベース端子容量などである。)、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース電圧を制御するための素子であるNチャネル型MOSFET(Q1)118の特性(閾値電圧やゲート端子容量などである。)ならびに周辺回路(プルダウン抵抗(R1)122、抵抗(R2)124、抵抗(R3)130、抵抗(R4)110、抵抗(R5)112ならびにコンデンサ(C1)126である。)の定数に依存している。
【0029】
ここで、図2(a)(b)(c)(d)、図3(a’)(b’)(c’)(d’)ならびに図4(a’’)(b’’)(c’’)(d’’)には、上記した従来のパルス電圧変換回路100において、入力パルス電圧Vinが出力パルス電圧Voutに変換されるまでの入力パルス電圧Vin、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgs、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeならびに出力パルス電圧Voutの変移の様子が示されている。
【0030】
より詳細には、図2(a)、図3(a’)ならびに図4(a’’)には、入力パルス電圧Vinが出力パルス電圧Voutに変換されるまでにおける、入力パルス電圧Vinの電圧波形の変位が示されている。
【0031】
また、図2(b)、図3(b’)ならびに図4(b’’)には、入力パルス電圧Vinが出力パルス電圧Voutに変換されるまでにおける、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの電圧波形の変位が示されている。
【0032】
さらに、図2(c)、図3(c’)ならびに図4(c’’)には、入力パルス電圧Vinが出力パルス電圧Voutに変換されるまでにおける、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの電圧波形の変位が示されている。
【0033】
さらにまた、図2(d)、図3(d’)ならびに図4(d’’)には、入力パルス電圧Vinが出力パルス電圧Voutに変換されるまでにおける、出力パルス電圧Voutの電圧波形の変移の様子が示されている。
【0034】
まず、図2(a)(b)(c)(d)を参照しながら説明するが、この図2(a)(b)(c)(d)は、Nチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート端子容量、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧ならびにハイサイドスイッチ(Q2)106のベース端子容量が基準値である場合のパルス電圧変換の様子の一例を示している。
【0035】
なお、上記したように、図2(a)は入力パルス電圧Vinの電圧波形の変移を示し、図2(b)はNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの電圧波形の変位を示し、図2(c)はハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの電圧波形の変位を示し、図2(d)は出力パルス電圧Voutの電圧波形の変移を示している。
【0036】
ここで、図2(a)に示す電圧波形の入力パルス電圧Vinが入力された際において、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsについては、図2(b)に示すように、入力パルス電圧Vinの信号源である入力パルス電源116の出力インピーダンスとNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート端子容量とにより立ち上がり時間が鈍り(図2(b)の(イ)部を参照する。)、プルダウン抵抗(R1)122とNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート端子容量とにより立ち下がり時間が鈍る(図2(b)の(ロ)部を参照する。)。
【0037】
また、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeについては、図2(c)に示すように、立ち上がり(0V→負電圧)時間は、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの立ち上がり時間の鈍りに加え、抵抗(R2)124とハイサイドスイッチ(Q2)106のベース端子容量とによりさらに立ち上がり時間が鈍り(図2(c)の(ハ)部を参照する。)、立ち下がり(負電圧→0V)時間は、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの立ち下がり時間の鈍りに加え、抵抗(R3)130とハイサイドスイッチ(Q2)106のベース端子容量とによりさらに立ち下がり時間が鈍る(図2の(ニ)部を参照する。)。
【0038】
また、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの立ち上がり時間が鈍ったことにより、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsが立ち上がり始めてから、Nチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧を超えるまでの時間だけ、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち上がり(0V→負電圧)始めが遅延し(図2の(ホ)部を参照する。)、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの立ち下がり時間が鈍ったことにより、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsが立ち下がり始めてから、Nチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧を下回るまでの時間だけ、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち下がり(負電圧→0V)始めが遅延する(図2(c)の(へ)部を参照する。)。
【0039】
そして、出力パルス電圧Voutについては、図2(d)に示すように、立ち上がり時間Tonは、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち上がり(0V→負電圧)時間の鈍りに加え、抵抗(R4)110と出力パルス電圧Voutに接続される負荷の入力容量とによりさらに鈍り(図2(d)の(ト)部を参照する。)、立ち下がり時間Toffは、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち下がり(負電圧→0V)時間の鈍りに加え、抵抗(R5)112と出力パルス電圧Voutに接続される負荷の入力容量とによりさらに鈍る(図2(d)の(チ)部を参照する。)。
【0040】
また、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち上がり(0V→負電圧)時間が鈍ったことにより、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeが立ち上がり始めてから、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧を超えるまでの時間だけ、出力パルス電圧Voutの立ち上がり始めが遅延し(図2(d)の(リ)部を参照する。)、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち下がり(負電圧→0V)時間が鈍ったことにより、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeが立ち下がり始めてから、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧を下回るまでの時間だけ、出力パルス電圧Voutの立ち下がり始めが遅延する(図2(d)の(ヌ)部を参照する。)。
【0041】
以上において説明したように、出力パルス電圧Voutは図2(d)に示すようなパルス特性となる。
【0042】
これに対して、図3(a’)(b’)(c’)(d’)には、Nチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧が基準値よりも高く、かつ、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧が基準値よりも低い場合のパルス電圧変換の様子の一例を示している。
【0043】
なお、上記したように、図3(a’)は入力パルス電圧Vinの電圧波形の変移を示し、図3(b’)はNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの電圧波形の変位を示し、図3(c’)はハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの電圧波形の変位を示し、図3(d’)は出力パルス電圧Voutの電圧波形の変移を示している。
【0044】
また、図3(a’)(b’)(c’)(d’)においては、上記において図2(a)(b)(c)(d)を参照しながら説明した(イ)部、(ロ)部、(ハ)部、(ニ)部、(ホ)部、(ヘ)部、(ト)部、(チ)部、(リ)部ならびに(ヌ)部に相当する部位には、それぞれ「’」を付加して(イ’)部、(ロ’)部、(ハ’)部、(ニ’)部、(ホ’)部、(ヘ’)部、(ト’)部、(チ’)部、(リ’)部ならびに(ヌ’)部により示している。
【0045】
一方、図4(a’’)(b’’)(c’’)(d’’)には、Nチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧が基準値よりも低く、かつ、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧が基準値よりも高い場合のパルス電圧変換の様子の一例を示している。
【0046】
なお、上記したように、図4(a’’)は入力パルス電圧Vinの電圧波形の変移を示し、図4(b’’)はNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの電圧波形の変位を示し、図4(c’’)はハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの電圧波形の変位を示し、図4(d’’)は出力パルス電圧Voutの電圧波形の変移を示している。
【0047】
また、図4(a’’)(b’’)(c’’)(d’’)においては、上記において図2(a)(b)(c)(d)を参照しながら説明した(イ)部、(ロ)部、(ハ)部、(ニ)部、(ホ)部、(ヘ)部、(ト)部、(チ)部、(リ)部ならびに(ヌ)部に相当する部位には、それぞれ「’’」を付加して(イ’’)部、(ロ’’)部、(ハ’’)部、(ニ’’)部、(ホ’’)部、(ヘ’’)部、(ト’’)部、(チ’’)部、(リ’’)部ならびに(ヌ’’)部により示している。
【0048】
ここで、図3(a’)(b’)(c’)(d’)に示すNチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧が基準値よりも高く、かつ、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧が基準値よりも低い場合には、図2(a)(b)(c)(d)に示すNチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート端子容量、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧ならびにハイサイドスイッチ(Q2)106のベース端子容量が基準値である場合と比較すると、立ち上がり時間Tonおよび立ち下がり時間Toffに変化はないが、パルス幅Tpwが短くなっている。
【0049】
一方、図4(a’’)(b’’)(c’’)(d’’)に示すNチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧が基準値よりも低く、かつ、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧が基準値よりも高い場合には、図2(a)(b)(c)(d)に示すNチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート端子容量、ハイサイドスイッチ(Q2)106の閾値電圧ならびにハイサイドスイッチ(Q2)106のベース端子容量が基準値である場合と比較すると、立ち上がり時間Tonおよび立ち下がり時間Toffに変化はないが、パルス幅Tpwが長くなっている。
【0050】
即ち、上記において説明したことから明らかなように、上記した従来のパルス電圧変換回路100によれば、Nチャネル型MOSFET(Q1)118やハイサイドスイッチ(Q2)106の特性の個体間のばらつきによって、出力パルス電圧Voutのパルス特性が変化してしまうという問題点があった。
【0051】
同様に,上記において説明したことから明らかなように、上記した従来のパルス電圧変換回路100によれば、周辺回路(プルダウン抵抗(R1)122、抵抗(R2)124、抵抗(R3)130、抵抗(R4)110、抵抗(R5)112ならびにコンデンサ(C1)126である。)の定数の個体間のばらつきによっても、出力パルス電圧Voutのパルス特性が変化してしまうという問題点があった。
【0052】
なお、周辺回路の定数の個体間のばらつきに起因する出力パルス電圧Voutのパルス特性の変化は、当該周辺回路定数の変更(調整)により、概ね相殺することが可能であることが知られている。
【0053】
しかしながら、Nチャネル型MOSFET(Q1)118やハイサイドスイッチ(Q2)106の特性の個体間のばらつきに起因する出力パルス電圧Voutのパルス特性の変化は、単にNチャネル型MOSFET(Q1)118やハイサイドスイッチ(Q2)106を交換すれば解決できるという簡単なものでもない。
【0054】
即ち、同一のロット内の製品(部品)は同じような特性である場合が多いため、同一のロット内における所定の基準値の特性をもった製品(部品)を実装する際には、当該ロット内の製品(部品)を相互に交換したとしても、所望のパルス特性を得られる可能性は低い。
【0055】
そして、複数ロットにわたって部品を購入して交換作業を繰り返せば、所望のパルス特性を得られる可能性はあるが、部品費や交換にかかる作業工数増による製造コスト増加を引き起こすという新たな問題点を招来するものであった。
【0056】
なお、本願出願人が特許出願のときに知っている先行技術は、文献公知発明に係る発明ではないため、本願明細書に記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0057】
本発明は、上記したような従来の技術における種々の不具合や問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、出力パルス電圧のパルス特性を調整する機能(パルス特性調整機能)を有するパルス電圧変換回路を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0058】
上記目的を達成するために、本発明によるパルス電圧変換回路は、従来のパルス電圧変換回路の回路構成に加えて、出力パルス電圧のパルス特性を調整するためのパルス特性調整回路を有するようにしたものである。
【0059】
即ち、本発明によるパルス電圧変換回路は、パルス特性調整回路たるパルス幅調整回路として、Nチャネル型MOSFETの閾値電圧変化時の出力パルス電圧のパルス幅を調整するための抵抗分割回路(パルス幅調整回路)を、入力パルス電圧の信号源である入力パルス電源とNチャネル型MOSFETと間に設けるようにしたものである。
【0060】
また、本発明によるパルス電圧変換回路は、パルス特性調整回路たるパルス立ち上がり時間調整回路として、Nチャネル型MOSFETのゲート端子容量変化時の出力パルス電圧のパルス立ち上がり時間を調整するための抵抗―コンデンサ回路(RC回路)(パルス立ち上がり時間調整回路)を、入力パルス電圧の信号源である入力パルス電源とNチャネル型MOSFETと間に設けるようにしたものである。
【0061】
また、本発明によるパルス電圧変換回路は、パルス特性調整回路たるパルス立ち下がり時間調整回路として、ハイサイドスイッチのベース端子容量変化時の出力パルス電圧のパルス立ち下がり時間を調整するための抵抗およびチャージ電源(パルス立ち下がり時間調整回路)を、Nチャネル型MOSFETのドレインに設けるようにしたものである。
【0062】
また、本発明によるパルス電圧変換回路は、本発明によるパルス電圧変換回路がパルス立ち下がり時間調整回路を備える場合において、チャージ電源とハイサイド電源との電位が異なる場合でも使用できるように、各々の電源への電流の逆流を阻止するためのダイオード(逆流防止ダイオード)を設けるようにしたものである。
【0063】
従って、本発明によるパルス電圧変換回路によれば、従来のパルス電圧変換回路に上記したパルス幅調整回路を組み込んだり、あるいは、従来のパルス電圧変換回路に上記したパルス立ち上がり時間調整回路を組み込んだり、あるいは、従来のパルス電圧変換回路に上記したパルス立ち下がり時間調整回路を組み込んだりすることにより、出力パルス電圧のパルス特性を調整することが可能となる。
【0064】
また、本発明によるパルス電圧変換回路によれば、従来のパルス電圧変換回路に上記したパルス立ち下がり時間調整回路を組み込んだ際に、従来のパルス電圧変換回路に逆流防止ダイオードを組み込むことにより、チャージ電源とハイサイド電源との電位が異なる場合でも各々の電源への電流の逆流を阻止することが可能となる。
【0065】
こうした本発明によるパルス電圧変換回路は、Nチャネル型MOSFETやハイサイドスイッチの製造中止などの理由により代替部品に置き換えて設計変更を実施する際において、設計変更前の回路における出力パルス電圧のパルス特性と同等のパルス特性を得たいときや、量産時に各部品の特性のばらつきにより出力パルス電圧のパルス特性が変化してしまうのを周辺回路の定数変更で調整したいときなどに有効である。
【0066】
即ち、本発明は、入力パルス電源と、上記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、上記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、上記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、上記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、上記入力パルス電源と上記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続するようにしたものである。
【0067】
また、本発明は、入力パルス電源と、上記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、上記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、上記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、上記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、上記入力パルス電源と上記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続するようにしたものである。
【0068】
また、本発明は、入力パルス電源と、上記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、上記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、上記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、上記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、上記入力パルス電源と上記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続し、かつ、上記第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続するようにしたものである。
【0069】
また、本発明は、入力パルス電源と、上記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、上記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、上記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、上記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、上記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、上記第3の抵抗を上記チャージ電源と上記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続するようにしたものである。
【0070】
また、本発明は、入力パルス電源と、上記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、上記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、上記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、上記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、上記入力パルス電源と上記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続し、上記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、上記第3の抵抗を上記チャージ電源と上記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続するようにしたものである。
【0071】
また、本発明は、入力パルス電源と、上記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、上記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、上記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、上記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、上記入力パルス電源と上記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続し、上記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、上記第3の抵抗を上記チャージ電源と上記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続するようにしたものである。
【0072】
また、本発明は、入力パルス電源と、上記入力パルス電源により駆動されるNチャネル型MOSFETと、上記Nチャネル型MOSFETにより駆動されるハイサイドスイッチと、上記ハイサイドスイッチに接続されたハイサイド電源とを有し、上記入力パルス電源より入力される入力パルス電圧に応じて出力パルス電圧を生成するパルス電圧変換回路において、上記入力パルス電源と上記Nチャネル型MOSFETとの間に、第1の抵抗と第2の抵抗とにより構成される抵抗分割回路よりなるパルス幅調整回路を接続し、かつ、上記第1の抵抗とコンデンサとにより構成されるRC回路よりなるパルス立ち上がり時間調整回路を接続し、上記Nチャネル型MOSFETのドレインに、第3の抵抗とチャージ電源とより構成されるパルス立ち下がり時間調整回路を、上記第3の抵抗を上記チャージ電源と上記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に直列に接続するようにして接続するようにしたものである。
【0073】
また、本発明は、上記した本発明において、さらに、上記第3の抵抗と上記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に第1のダイオードを接続し、上記ハイサイド電源と上記Nチャネル型MOSFETのドレインとの間に第2のダイオードを接続するようにしたものである。
【発明の効果】
【0074】
本発明は、以上説明したように構成されているので、出力パルス電圧のパルス特性を調整する機能(パルス特性調整機能)を有するパルス電圧変換回路を提供することが可能になるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、従来のパルス電圧変換回路の回路構成図である。
図2図2(a)(b)(c)(d)は、図1に示す従来のパルス電圧変換回路において、Nチャネル型MOSFET(Q1)の閾値電圧が基準値であり、かつ、ハイサイドスイッチ(Q2)の閾値電圧が基準値である場合のパルス電圧変換の動作を示すタイミングチャート図である。
図3図3(a’)(b’)(c’)(d’)は、図1に示す従来のパルス電圧変換回路において、Nチャネル型MOSFET(Q1)の閾値電圧が基準値よりも高く、かつ、ハイサイドスイッチ(Q2)の閾値電圧が基準値よりも低い場合のパルス電圧変換の動作を示すタイミングチャート図である。
図4図4(a’’)(b’’)(c’’)(d’’)は、図1に示す従来のパルス電圧変換回路において、Nチャネル型MOSFET(Q1)の閾値電圧が基準値よりも低く、かつ、ハイサイドスイッチ(Q2)の閾値電圧が基準値よりも高い場合のパルス電圧変換の動作を示すタイミングチャート図である。
図5図5は、本発明の実施の形態の一例によるパルス電圧変換回路の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明によるパルス電圧変換回路の実施の形態の一例について詳細に説明するものとする。
【0077】
なお、以下の「発明を実施するための形態」の項の説明においては、図1乃至図4の各図を参照しながら説明した構成ならびに作用と同一あるいは相当する構成ならびに作用については、図1乃至図4の各図において用いた符号と同一の符号をそれぞれ付して示すことにより、その詳細な構成ならびに作用の説明は省略する。
【0078】
ここで、図5には、本発明の実施の形態の一例によるパルス電圧変換回路の回路構成図があらわされている。
【0079】
この図5に示す本発明の実施の形態の一例によるパルス電圧変換回路10と従来のパルス電圧変換回路100とを比較すると、パルス電圧変換回路10において、入力パルス電圧Vinの信号源たる入力パルス電源116とNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート(G)との間にパルス特性調整回路としてパルス幅調整回路が組み込まれている点で、両者は相違する。
【0080】
このパルス幅調整回路は、抵抗(Ra)12と抵抗(R1)122とからなる抵抗分割回路により構成される。
【0081】
ここで、抵抗(Ra)12は、入力パルス電源116とNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート(G)とを接続する接続線120上に、入力パルス電源116とNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート(G)とに直列に接続されている。
【0082】
このパルス電圧変換回路10においても、入力パルス電圧Vinに応じてNチャネル型MOSFET(Q1)118にゲート-ソース電圧Vgsが印加されるが、入力パルス電圧Vinの信号源たる入力パルス電源116には出力インピーダンスが存在し、また、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲートにはゲート端子容量が存在するため、ゲート-ソース電圧Vgsは立ち上がり時間および立ち下がり時間に傾斜をもった波形となる。
【0083】
そのため、Nチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧が変動すると、出力パルス電圧Voutのパルス幅Tpwが変化してしまうことになるが、パルス電圧変換回路10においては、抵抗(Ra)12と抵抗(R1)122とからなる抵抗分割回路により構成されるパルス幅調整回路を組み込まれているので、パルス幅調整回路を構成する抵抗分割回路の抵抗(Ra)12および/または抵抗(R1)122の定数を変更(調整)することにより、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの波高値を調整でき、それにより、Nチャネル型MOSFET(Q1)118の閾値電圧を超える時間および下回る時間を制御することによって,出力パルス電圧Voutのパルス幅Tpwを調整することができる。
【0084】
また、パルス電圧変換回路10とパルス電圧変換回路100とを比較すると、パルス電圧変換回路10において、入力パルス電圧Vinの信号源たる入力パルス電源116とNチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート(G)との間にパルス特性調整回路としてパルス立ち上がり時間調整回路が組み込まれている点で、両者は相違する。
【0085】
このパルス立ち上がり時間調整回路は、抵抗(Ra)12とコンデンサ(Ca)14とからなる抵抗―コンデンサ回路(RC回路)により構成される。
【0086】
ここで、コンデンサ(Ca)14は、抵抗(Ra)12と抵抗(R1)122との間における接続線120に、グラウンドに接地させて接続されている。
【0087】
なお、抵抗(Ra)12は、パルス立ち上がり時間調整回路と上記したパルス幅調整回路とに共用される。
【0088】
上記において説明したように、ゲート-ソース電圧Vgsは立ち上がり時間に傾斜をもつため、これに応じて出力パルス電圧Voutに立ち上がり時間Tonが生じる。
【0089】
この立ち上がり時間Tonは、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート端子容量の変動に伴い変化してしまうが、パルス電圧変換回路10においては、抵抗(Ra)12とコンデンサ(Ca)14とからなる抵抗―コンデンサ回路(RC回路)により構成されるパルス立ち上がり時間調整回路が組み込まれているので、パルス立ち上がり時間調整回路を構成する抵抗―コンデンサ回路(RC回路)の抵抗(Ra)12および/またはコンデンサ(Ca)14の定数を変更(調整)することにより、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsの立ち上がり時間を調整して制御することができ、それにより、出力パルス電圧Voutのパルス立ち上がり時間Tonを調整することができる。
【0090】
さらに、パルス電圧変換回路10とパルス電圧変換回路100とを比較すると、パルス電圧変換回路10において、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン(D)にパルス特性調整回路としてパルス立ち下がり時間調整回路を設けている点で、両者は相違する。
【0091】
このパルス立下り時間調整回路は、抵抗(Rb)16およびチャージ電源(Va)18により構成されるものである。
【0092】
ここで、抵抗(Rb)16は、チャージ電源(Va)18とNチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン(D)との間に直列に接続されている。
【0093】
パルス電圧変換回路10において、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン-ソース間の導通および切断を瞬時に行うことができたとしても、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeを、ハイサイド電源(V1)104と抵抗(R2)124および抵抗(R3)130で構成される抵抗分割回路にて生成する以上は、ベース端子容量が存在するため、ハイサイドスイッチ(Q2)104のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち下がり(負電圧→0V)時間は傾斜をもつことになり、これに応じて出力パルス電圧Voutに立ち下がり時間Toffが生じる。
【0094】
この立ち下がり時間Toffは、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン-ソース間導通速度(Nチャネル型MOSFET(Q1)118のゲート-ソース電圧Vgsに依存する。)や、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース端子容量の変動に伴い変化してしまうが、パルス電圧変換回路10においては、抵抗(Rb)16およびチャージ電源(Va)18により構成されるパルス立下り時間調整回路が組み込まれているので、パルス立下り時間調整回路を構成する抵抗(Rb)16の定数および/またはチャージ電源(Va)18の回路定数を変更(調整)することにより、ハイサイドスイッチ(Q2)106のベース-エミッタ電圧Vbeの立ち下がり(負電圧→0V)時間を調整して制御することができ、それにより、出力パルス電圧Voutのパルス立ち下がり時間Toffを調整することができる。
【0095】
さらにまた、パルス電圧変換回路10とパルス電圧変換回路100とを比較すると、パルス電圧変換回路10において、ハイサイド電源(V1)104の電位とチャージ電源(Va)18の電位とが等しくない場合でも、ハイサイド電源(V1)104やチャージ電源(Va)18への電流の逆流を防ぐため、逆流防止ダイオードとしてダイオード(Da)20が抵抗(Rb)16とNチャネル型MOSFET(Q1)118のドレインとの間に挿入されて直列接続されるとともに、逆流防止ダイオードとしてダイオード(Db)22が抵抗(R2)とNチャネル型MOSFET(Q1)118のドレインとの間、即ち、ハイサイド電源(V1)104とNチャネル型MOSFET(Q1)118のドレインとの間に挿入されて直列接続されている点で、両者は相違する。
【0096】
パルス電圧変換回路10において、出力パルス電圧Voutを所望の波高値に設定する際に、当該所望の波高値に応じてハイサイド電源(V1)104の電位は決定されるが、上記したチャージ電源(Va)18の電位が必ずしもハイサイド電源(V1)と同じ電位に設定できるとは限らない。
【0097】
従って、ハイサイド電源(V1)104の電位とチャージ電源(Va)18の電位とが異なる場合には、Nチャネル型MOSFET(Q1)118のドレイン-ソース間が非導通時に電位の高い方から電位の低い方へ電流が逆流してしまうが、パルス電圧変換回路10においては、ダイオード(Da)20およびダイオード(Db)22が挿入されているので、こうした電流の逆流を防ぐことができるため、ハイサイド電源(V1)104の電位とチャージ電源(Va)18の電位とをそれぞれ独立して設定することが可能となる。
【0098】
以上において説明したように、本発明によるパルス電圧変換回路10は、従来のパルス電圧変換回路100に上記したパルス幅調整回路を組み込んだり、あるいは、従来のパルス電圧変換回路100に上記したパルス立ち上がり時間調整回路を組み込んだり、あるいは、従来のパルス電圧変換回路100に上記したパルス立ち下がり時間調整回路を組み込んだりすることにより、出力パルス電圧のパルス特性を調整することが可能となる。
【0099】
また、本発明によるパルス電圧変換回路10は、従来のパルス電圧変換回路100に上記したパルス立ち下がり時間調整回路を組み込んだ際に、従来のパルス電圧変換回路100に逆流防止ダイオードを組み込むことにより、チャージ電源とハイサイド電源との電位が異なる場合でも各々の電源への電流の逆流を阻止することが可能となる。
【0100】
また、こうした本発明によるパルス電圧変換回路10は、Nチャネル型MOSFETやハイサイドスイッチの製造中止などの理由により代替部品に置き換えて設計変更を実施する際において、設計変更前の回路における出力パルス電圧のパルス特性と同等のパルス特性を得たいときや、量産時に各部品の特性のばらつきにより出力パルス電圧のパルス特性が変化してしまうのを周辺回路の定数変更で調整したいときなどに有効である。
【0101】
なお、上記した実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができるものである。即ち、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換えあるいは変更などを適宜に行うことができる。
【0102】
例えば、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(4)に説明するように変形してもよい。
【0103】
(1) 上記した実施の形態においては、本発明によるパルス電圧変換回路が、パルス幅調整回路とパルス立ち上がり時間調整回路とパルス立ち下がり時間調整回路と逆流防止ダイオードとを全て備えた場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0104】
即ち、本発明によるパルス電圧変換回路は、設計条件などに応じて、パルス幅調整回路のみを備えていたり、あるいは、パルス立ち上がり時間調整回路のみを備えていたり、あるいは、パルス立ち下がり時間調整回路のみを備えているようにしてもよい。
【0105】
あるいは、本発明によるパルス電圧変換回路は、パルス幅調整回路とパルス立ち上がり時間調整回路とパルス立ち下がり時間調整回路との3個の回路の中から、設計条件などに応じて適宜に選択したいずれか2個の回路のみを備えるようにしてもよい。
【0106】
具体的には、本発明によるパルス電圧変換回路は、パルス幅調整回路とパルス立ち上がり時間調整回路との2個の回路のみを備えるようにしてもよいし、あるいは、パルス幅調整回路とパルス立ち下がり時間調整回路との2個の回路のみを備えるようにしてもよいし、あるいは、パルス立ち上がり時間調整回路とパルス立ち下がり時間調整回路との2個の回路のみを備えるようにしてもよい。
【0107】
(2) 上記した実施の形態においては、本発明によるパルス電圧変換回路が、逆流防止ダイオードを備えた場合について説明したが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0108】
即ち、本発明によるパルス電圧変換回路は、設計条件などに応じて、逆流防止ダイオードを設けなくてもよい。
【0109】
特に、本発明によるパルス電圧変換回路がパルス立下り時間調整回路を備えていない場合には、逆流防止ダイオードを設ける必要はない。
【0110】
(3) 上記した実施の形態においては、パルス幅調整回路、パルス立ち上がり時間調整回路、パルス立ち下がり時間調整回路ならびに逆流防止ダイオードを含む各構成素子の定数などの詳細な説明は省略したが、こうした定数などは設計条件などに応じて適宜に設定すればよい。
【0111】
(4) 上記した実施の形態ならびに上記した(1)乃至(3)に示す各実施の形態や変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、TTLやCMOSの出力のレベルのような低電圧パルス電圧(入力パルス電圧)を所望の波高値の高電圧のパルス電圧(出力パルス電圧)に変換する際などのように、入力パルス電圧を所望の波高値のパルス電圧(出力パルス電圧)に変換する際に用いると極めて有用である。
【符号の説明】
【0113】
10 パルス電圧変換回路
12 抵抗(Ra)(第1の抵抗)
14 コンデンサ(Ca)
16 抵抗(Rb)(第3の抵抗)
18 チャージ電源(Va)
20 ダイオード(Da)(第1のダイオード)
22 ダイオード(Db)(第2のダイオード)
100 パルス電圧変換回路
102 電流出力端
104 ハイサイド電源(V1)
106 ハイサイドスイッチ(Q2)
108 抵抗分割回路
110 抵抗(R4)
112 抵抗(R5)
114 接続線
116 入力パルス電源
118 Nチャネル型MOSFET(N-chanel MOSFET(Q1)
120 接続線
122 プルダウン抵抗(R1)(第2の抵抗)
124 抵抗(R2)
126 コンデンサ(C1)
128 接続線
130 抵抗(R3)
図1
図2
図3
図4
図5