(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062365
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】節水成果報酬算出方法及び節水成果報酬算出システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20230426BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20230426BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20230426BHJP
B01D 53/40 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G06Q50/06
C02F1/00 A ZAB
B01D53/14 200
B01D53/40 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172287
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】596032177
【氏名又は名称】住友金属鉱山エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】村木 務
(72)【発明者】
【氏名】丸山 修
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
5L049
【Fターム(参考)】
4D002AA40
4D002AB01
4D002BA02
4D002BA14
4D002DA70
4D002EA07
4D002HA10
4D020AA10
4D020BA01
4D020CC01
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データとして当該設備の供給者側と需要者(使用者)側の双方において共有することにより、当該新規設備の導入の利益を公正に分配することを可能とする技術的手段を提供すること。
【解決手段】排ガス処理設備における節水成果報酬算出方法であって、再利用洗浄水量測定装置11によって、単位時間当りの前記再利用洗浄水の水量を測定する、再利用洗浄水量測定ステップST1と、節水成果報酬計算手段121によって、前記単位時間当りの再利用洗浄水の水量に、所定の係数を乗じる演算処理を行って、節水成果報酬金額を算出する、節水成果報酬算出ステップST2と、を含んでなる、節水成果報酬算出方法による。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式の排ガス処理装置と、排ガス処理に用いられた洗浄水を下水道に排水可能な処理済み排水とする排水処理装置と、を備え、前記処理済み排水の一部を再利用洗浄水として前記湿式の排ガス処理装置に繰り返して用いる排ガス処理設備における節水成果報酬算出方法であって、
再利用洗浄水量測定装置によって、単位時間当りの前記再利用洗浄水の水量を測定する、再利用洗浄水量測定ステップと、
節水成果報酬計算手段によって、前記単位時間当りの前記再利用洗浄水の水量に所定の係数を乗じる演算処理を行って、節水成果報酬金額を算出する、節水成果報酬算出ステップと、
を含んでなる、
節水成果報酬算出方法。
【請求項2】
前記排ガス処理設備は、設備外から補充される補充洗浄水と前記再利用洗浄水とを一時的に貯留し、前記補充洗浄水と前記再利用洗浄水の混合水である混合洗浄水を貯留し、及び、前記湿式の排ガス処理装置に供給する機能を有する洗浄水タンクを備え、
前記再利用洗浄水量測定ステップにおいては、前記洗浄水タンクに注入される前記再利用洗浄水の総水量を計測可能な位置に設置されている単一の前記再利用洗浄水量測定装置によって、前記単位時間当りの前記再利用洗浄水の総水量を測定する、請求項1に記載の節水成果報酬算出方法。
【請求項3】
前記所定の係数は、前記下水道の単位水量当りの使用料金と、所定の利益配分割合との積である、
請求項1又は2に記載の節水成果報酬算出方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の節水成果報酬算出方法において、
前記節水成果報酬算出ステップを演算処理部に実行させる、
節水成果報酬算出用のプログラム。
【請求項5】
湿式の排ガス処理装置と、排ガス処理に用いられた洗浄水を下水道に排水可能な処理済み排水とする排水処理装置と、を備え、前記処理済み排水の一部を再利用洗浄水として前記湿式の排ガス処理装置に繰り返して用いる排ガス処理設備における節水成果報酬算出システムであって、
再利用洗浄水量測定装置と、
節水成果報酬計算手段と、を備え、
前記節水成果報酬計算手段は、
前記再利用洗浄水量測定装置によって測定された単位時間当りの前記再利用洗浄水の水量に、所定の係数を乗じる演算処理を行って、節水成果報酬金額を算出する、
節水成果報酬算出システム。
【請求項6】
前記排ガス処理設備は、設備外から補充される補充洗浄水と前記再利用洗浄水とを一時的に貯留し、前記補充洗浄水と前記再利用洗浄水の混合水である混合洗浄水を貯留し、及び、前記湿式の排ガス処理装置に供給する機能を有する洗浄水タンクを備え、
前記再利用洗浄水量測定装置は、前記洗浄水タンクに注入される前記再利用洗浄水の総水量を計測可能な位置に設置されている単一の水量測定機器によって構成されている、
請求項5に記載の節水成果報酬算出システム。
【請求項7】
前記節水成果報酬計算手段が、有線又は無線の電気通信回線によって通信可能に前記再利用洗浄水量測定装置に接続されていて、前記排ガス処理設備から離隔した他の設備内に配置されている、
請求項5又は6に記載の節水成果報酬算出システム。
【請求項8】
前記湿式の排ガス処理装置が、少なくとも湿式の電気集塵装置を含む複数の排ガス処理装置が直列に配置されてなる複合的な排ガス処理装置である、
請求項5から7の何れかに記載の節水成果報酬算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式の排ガス処理を行う湿式の排ガス処理装置と排水処理装置とを備える排ガス処理設備における節水成果報酬算出方法及び節水成果報酬算出システムに関する。本発明の適用対象となる排ガス処理設備としては、排ガス処理を行う湿式の電気集塵装置と、排ガス処理に用いた洗浄水を下水道に排水可能な処理済み排水とする排水処理装置とを備える排ガス処理設備を挙げることができる。
【背景技術】
【0002】
上述の排ガス処理設備のように、大量の工業用水を消費する工業プロセスにおいて、節水の要請は近年益々高まっている。そのため、多くの排ガス処理設備において、様々な節水技術が開発されている。例えば、処理済排水の一部を洗浄水として排ガス処理設備側で繰り返し使用できるように、設備内の洗浄水の流路を変更することにより、工業用水の使用量を削減する技術が公開されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、最新の節水技術の導入には導入コストが嵩むことから、節水技術を広く普及させるためには、節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データとして当該設備の供給者側と需要者(使用者)側の双方において共有することにより、当該新規設備導入の利益を公正に分配する仕組みがあることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データとして当該設備の供給者側と需要者(使用者)側の双方において共有することにより、当該新規設備の導入の利益を公正に分配することを可能とする技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、以下の方法、システム等によって、上記課題が解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0007】
(1) 湿式の排ガス処理装置と、排ガス処理に用いられた洗浄水を下水道に排水可能な処理済み排水とする排水処理装置と、を備え、前記処理済み排水の一部を再利用洗浄水として前記湿式の排ガス処理装置に繰り返して用いる排ガス処理設備における節水成果報酬算出方法であって、再利用洗浄水量測定装置によって、単位時間当りの前記再利用洗浄水の水量を測定する、再利用洗浄水量測定ステップと、節水成果報酬計算手段によって、前記単位時間当りの前記再利用洗浄水の水量に所定の係数を乗じる演算処理を行って、節水成果報酬金額を算出する、節水成果報酬算出ステップと、を含んでなる、節水成果報酬算出方法。
【0008】
(1)の節水成果報酬算出方法によれば、処理済み排水の一部を再利用洗浄水として湿式の排ガス処理装置に繰り返して用いる排ガス処理設備において、節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データとして当該設備の供給者側と需要者(使用者)側の双方において共有することにより、当該新規設備の導入の利益を公正に分配することができる。
【0009】
(2) 前記排ガス処理設備は、設備外から補充される補充洗浄水と前記再利用洗浄水とを一時的に貯留し、前記補充洗浄水と前記再利用洗浄水の混合水である混合洗浄水を貯留し、及び、前記湿式の排ガス処理装置に供給する機能を有する洗浄水タンクを備え、前記再利用洗浄水量測定ステップにおいては、前記洗浄水タンクに注入される前記再利用洗浄水の総水量を計測可能な位置に設置されている単一の前記再利用洗浄水量測定装置によって、前記単位時間当りの前記再利用洗浄水の総水量を測定する、(1)に記載の節水成果報酬算出方法。
【0010】
(2)の節水成果報酬算出方法によれば、複雑な流路構成からなる排ガス処理設備においても、単一の再利用洗浄水量測定装置を適切な特定箇所に配置することによって、(1)に記載の節水成果報酬算出方法における再利用洗浄水の総水量の測定を簡便且つ正確に行うことができる。
【0011】
(3) 前記所定の係数は、前記下水道の単位水量当りの使用料金と、所定の利益配分割合との積である、(1)又は(2)に記載の節水成果報酬算出方法。
【0012】
(3)の節水成果報酬算出方法によれば、複雑な流路構成からなる排ガス処理設備においても、(1)又は(2)に記載の節水成果報酬算出方法を用いて、下水道使用料金の削減分の経済的成果を作業負担の少ない方法で正確に評価することができる。
【0013】
(4) (1)から(3)の何れかに記載の節水成果報酬算出方法において、前記節水成果報酬算出ステップを演算処理部に実行させる、節水成果報酬算出用のプログラム。
【0014】
(4)の節水成果報酬算出方法のプログラムによれば、処理済み排水の一部を再利用洗浄水として湿式の排ガス処理装置に繰り返して用いる排ガス処理設備において、節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データとして当該設備の供給者側と需要者(使用者)側の双方において共有することにより、当該新規設備の導入の利益を公正に分配することができる。
【0015】
(5) 湿式の排ガス処理装置と、排ガス処理に用いられた洗浄水を下水道に排水可能な処理済み排水とする排水処理装置と、を備え、前記処理済み排水の一部を再利用洗浄水として前記湿式の排ガス処理装置に繰り返して用いる排ガス処理設備における節水成果報酬算出システムであって、再利用洗浄水量測定装置と、節水成果報酬計算手段と、を備え、前記節水成果報酬計算手段は、前記再利用洗浄水量測定装置によって測定された単位時間当りの前記再利用洗浄水の水量に、所定の係数を乗じる演算処理を行って、節水成果報酬金額を算出する、節水成果報酬算出システム。
【0016】
(5)の節水成果報酬算出システムによれば、処理済み排水の一部を再利用洗浄水として湿式の排ガス処理装置に繰り返して用いる排ガス処理設備において、節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データとして当該設備の供給者側と需要者(使用者)側の双方において共有することにより、当該新規設備の導入の利益を公正に分配することができる。
【0017】
(6) 前記排ガス処理設備は、設備外から補充される補充洗浄水と前記再利用洗浄水とを一時的に貯留し、前記補充洗浄水と前記再利用洗浄水の混合水である混合洗浄水を貯留し、及び、前記湿式の排ガス処理装置に供給する機能を有する洗浄水タンクを備え、前記再利用洗浄水量測定装置は、前記洗浄水タンクに注入される前記再利用洗浄水の総水量を計測可能な位置に設置されている単一の水量測定機器によって構成されている、(5)に記載の節水成果報酬算出システム。
【0018】
(6)の節水成果報酬算出システムによれば、複雑な流路構成からなる排ガス処理設備においても、単一の再利用洗浄水量測定装置を適切な特定箇所に配置することによって、(5)に記載の節水成果報酬算出システムにおける再利用洗浄水の総水量の測定を簡便且つ正確に行うことができる。
【0019】
(7) 前記節水成果報酬計算手段が、有線又は無線の電気通信回線によって通信可能に前記再利用洗浄水量測定装置に接続されていて、前記排ガス処理設備から離隔した他の設備内に配置されている、(5)又は(6)に記載の節水成果報酬算出システム。
【0020】
(7)の節水成果報酬算出システムによれば、(5)又は(6)に記載の節水成果報酬算出システムにおいて、例えば、遠隔地に存在する排ガス処理設備における上述の節水効果の測定、成果報酬の算出を、排ガス処理設備の供給者側の設備内において行うことができる。又、多数の排ガス処理設備における上述の節水効果の測定、成果報酬の算出を、1か所の管理施設において効率良く行うことができる。
【0021】
(8) 前記湿式の排ガス処理装置が、少なくとも湿式の電気集塵装置を含む複数の排ガス処理装置が直列に配置されてなる複合的な排ガス処理装置である、(5)から(7)の何れかに記載の節水成果報酬算出システム。
【0022】
(8)の節水成果報酬算出システムによれば、大量の洗浄水を消費する工業設備であり、節水型の設備構成の普及が特に求められる湿式の電気集塵装置を含んでなる排ガス処理設備において、(5)から(7)の何れかに記載の節水成果報酬算出システムの奏する上記効果を享受して、節水型の排ガス処理設備の普及を促進させることができる。
【発明の効果】
【0023】
節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データとして当該設備の供給者側と需要者(使用者)側の双方において共有することにより、当該新規設備の導入の利益を公正に分配することができる。そして、これにより、節水型の排ガス処理設備の導入を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の節水成果報酬算出システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の節水成果報酬算出方法の流れを示すフロー図である。
【
図3】本発明の好ましい適用対象の一例である排ガス処理設備の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について適宜図面を参照しながら説明する。
【0026】
<排ガス処理設備>
図3は、本発明の「排ガス処理設備における節水成果報酬算出システム(以下、単に「節水成果報酬算出システム」とも言う。)」、又は、「排ガス処理設備における節水成果報酬算出方法(以下、単に「節水成果報酬算出方法」とも言う。)」の好ましい適用対象となる排ガス処理設備の一例である排ガス処理設備2の構成を模式的に示す図である。
【0027】
図3に示すように、本発明の節水成果報酬算出システム1又は節水成果報酬算出方法の、好ましい適用対象である排ガス処理設備2は、湿式の排ガス処理装置21と排水処理装置22とを備えてなる工業設備である。
【0028】
湿式の排ガス処理装置21は、少なくとも、湿式の電気集塵装置(EP)211(211A、211B、211C)を含んで構成されている。そして、この排ガス処理装置21は、その他にスクラバー212(212A、212B、212C)や、増湿塔(図示せず)等の複数の排ガス処理装置が直列に配置されてなる複合的な排ガス処理装置であってもよい。又、湿式の排ガス処理装置21の全体構成は、上述の通り、湿式の電気集塵装置(EP)211を含んでいる限りにおいて特に限定されないが、一例として、
図3に示すように、複数の湿式の排ガス処理装置21A、21B、21Cが並列に配置されている構成とすることもできる。
【0029】
排水処理装置22は、湿式の排ガス処理装置21において排ガス処理に用いられた洗浄水を下水道に排水可能な処理済み排水とする排水処理を行う装置である。処理済み排水は処理済み排水タンク23に貯留され、その一部が下水道に放流され、他の一部は、再利用洗浄水として用いるために洗浄水タンク24に送られる。
【0030】
そして、排ガス処理設備2には、
図3に示すように、設備外から補充される補充洗浄水と繰り返し洗浄水とを一時的に貯留し、補充洗浄水と再利用洗浄水の混合水である混合洗浄水を、湿式の排ガス処理装置21に所定の単位時間当り水量で排出する機能を有する洗浄水タンク24が設置されていて、この混合洗浄水は、主として、湿式の排ガス処理装置21を構成する湿式の電気集塵装置(EP)211等に供給される。
【0031】
上述の湿式の排ガス処理装置21と、排水処理装置22と、を備え、処理済み排水の一部を再利用洗浄水として湿式の排ガス処理装置21に繰り返して用いる排ガス処理設備2に、本発明の「節水成果報酬算出システム」又は「節水成果報酬算出方法」を適用することにより、節水技術を用いた新規設備の導入により得られた節水の成果を、客観性のある数値データ(「節水成果報酬金額」)として自動的に得ることができるようになる。
【0032】
ここで、本明細書において、「節水成果報酬金額」とは、上記構成からなる排ガス処理設備において、処理済み排水の一部を再利用洗浄水として再使用することによって使用水量が節減されたことにより生じた利益のうちの所定割合の金額であって、当該排ガス処理設備の供給者側に、節水の成果報酬として分配される報酬金額のことを言う。尚、上記の所定割合は装置の供給者側と装置の需要者(使用者)側との間の合意、契約に基づき予め任意の割合に決定すればよい。
【0033】
ここで、上記の排ガス処理設備においては、排ガス処理に用いられた大量の洗浄水の多くの部分は、排水可能な処理が施された処理済排水として大量に下水道に排出されている。そして、上記のような節水のための設備構成の変更によって、実際に、下水道の使用料金がどの程度節約できるかを過度の監視負担を要せずに客観的に評価する手段は現存しない。排ガス処理に係る一連のビジネス取引の中で、下水道使用料金の節約による経済効果は、ビジネスの何れの段階においても正確に評価されることなく看過されているのが現状であった。これに対して、詳細については後述する通り、本発明によれば、「節水成果報酬金額」を、下水道使用料金の節減分として評価することができる。これにより、ビジネスの何れの段階においても正確に評価されることなく看過されていた下水道使用料金の削減分を少ない監視負担で正確に評価することができる。
【0034】
<節水成果報酬算出システム>
図1は、本発明の「節水成果報酬算出システム」の一例である節水成果報酬算出システム1の構成を示すブロック図である。
【0035】
[全体構成]
図1に示す通り、節水成果報酬算出システム1は、再利用洗浄水量測定装置11及び演算処理部12を含んで構成される。演算処理部12は、節水成果報酬計算手段121を含んで構成される。
【0036】
[再利用洗浄水量測定装置]
再利用洗浄水量測定装置11は、排ガス処理設備2における単位時間当りの再利用洗浄水の水量を測定することができる各種の水量測定機器により構成することができる。測定された再利用洗浄水の水量に係るデータをデジタル形式の数値データとして演算処理部12に出力する機能を有する機器であることが望ましい。
【0037】
再利用洗浄水量測定装置11は、単位時間当りの再利用洗浄水の水量を測定することができるものであれば、既設の水量計等を、節水成果報酬算出システム1を構成するデバイスとしてそのまま用いることもできる。但し、再利用洗浄水量測定装置11は、全ての洗浄水が一旦貯留される洗浄水タンク24が存在する場合には、当該タンクに注入される再利用洗浄水の総水量を一か所で計測可能な位置、具体的には、
図3に示すように、洗浄水タンク24への再利用洗浄水の導入口の直近部分に単一の水量測定機器を設置する態様で構成することがより好ましい。これにより、再利用洗浄水の総水量の測定をより簡便に且つ正確に行うことができる。
【0038】
[演算処理部]
演算処理部12は、再利用洗浄水量測定装置11から出力された単位時間当りの再利用洗浄水の水量を入力値とし、「節水成果報酬金額」を出力値として算出する演算処理を行う。
【0039】
演算処理部12は、再利用洗浄水量測定装置11から再利用洗浄水の水量に係る数値データを受信することができるように、再利用洗浄水量測定装置11と接続されている。この接続は、専用の通信ケーブルを利用した有線接続、有線LANによる接続、或いは、無線LANや近距離無線通信、携帯電話回線等の各種無線通信を用いた接続とすることができる。尚、演算処理部12は、再利用洗浄水量測定装置11の近傍に配置せずに、有線又は無線の電気通信回線によって両者を通信可能に接続することにより、再利用洗浄水量測定装置11から離隔した、排ガス処理設備の供給者側の作業エリア内や、或いは、必要に応じて他の遠隔地に配置することもできる。
【0040】
又、演算処理部12は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末、スマートフォン等を利用して構成することができる。或いは、演算処理部12は、本発明の実施に係る動作に特化した専用装置として構成することもできる。又、演算処理部12は、以上の機能を備える情報処理装置をサーバーとしてクラウド上に構成して、これを多数のクライアントで共有する構成とすることによって、多数の排ガス処理設備における上述の節水効果の測定、成果報酬の算出を、1か所の管理施設において効率良く行うことができる構成とすることもできる。
【0041】
上記の何れの構成においても、演算処理部12は、CPU、メモリ、通信部等のハードウェアを備えている。そして、このような構成からなる演算処理部12において、本発明に係るコンピュータプログラムである「節水成果報酬算出用のプログラム」を実行することにより、以下に説明する各種動作、及び、排ガス処理設備における節水成果報酬算出方法を具体的に実行することができる。
【0042】
(節水成果報酬計算手段)
節水成果報酬計算手段121は、再利用洗浄水量測定装置11によって測定された単位時間当りの再利用洗浄水の水量に、所定の係数を乗じる演算処理を行って、節水成果報酬金額を算出する。単位時間当りの再利用洗浄水の水量は、実質的に、下水道に放流される排水量の節減量でもあるので、節水成果報酬金額の算出は、一例として、下記表1に示すように、単位水量当りの下水道使用料金と所定の利益配分割合との積を「所定の係数」とし、これらを「単位時間当りの再利用洗浄水」に乗じることによって行うことができる。
【0043】
【0044】
<節水成果報酬算出方法>
本発明の「節水成果報酬算出方法」は、好ましくは、上述した本発明の「排ガス処理設備における節水成果報酬算出システム」を用いることによって実行することができるプロセスである。この「節水成果報酬算出方法」は、
図2に示すように、再利用洗浄水量測定装置11において実行可能な再利用洗浄水量測定ステップST1、及び、節水成果報酬計算手段121において実行可能な節水成果報酬算出ステップST2が順次行われることによって、これらの各プロセスを含む全体プロセスとして実行される。
【0045】
(再利用洗浄水量測定ステップ)
再利用洗浄水量測定ステップST1は、再利用洗浄水量測定装置11によって、単位時間当りの再利用洗浄水の水量を測定する処理である。「再利用洗浄水」とは、処理済み排水の一部であって、として湿式の排ガス処理装置21に繰り返して用いられる洗浄水のことを言い、洗浄水タンク24を経て、設備外部から供給される補充洗浄水と共に湿式の排ガス処理装置21を構成する湿式の電気集塵装置211等に供給される。
【0046】
(節水成果報酬算出ステップ)
節水成果報酬算出ステップST2は、節水成果報酬計算手段121によって、再利用洗浄水量測定装置11によって測定された「単位時間当りの再利用洗浄水の水量」に、上述した通り、単位水量下水道使用料所定や所定の利益配分割合等からなる所定の係数を乗じる演算処理を行って、節水成果報酬金額を算出する処理である。
【0047】
節水成果報酬算出ステップST2の実行後に、演算処理部12が、節水成果報酬算出方法の実行を終了するか否かを判断する。例えば、処理終了の命令が入力された場合に終了と判断される。終了する場合には、節水成果報酬算出方法の実行を終了し、それ以外の場合には、再利用洗浄水量測定ステップST1へ戻り、節水成果報酬算出方法の実行を継続する。
【符号の説明】
【0048】
1 節水成果報酬算出システム
11 再利用洗浄水量測定装置
12 演算処理部
121 節水成果報酬計算手段
2 排ガス処理設備
21(21A、21B、21C) 湿式の排ガス処理装置
211(211A、211B、211C) 電気集塵装置(EP)
212(212A、212B、212C) スクラバー
22 排水処理装置
23 排水タンク
24 洗浄水タンク
ST1 再利用洗浄水量測定ステップ
ST2 節水成果報酬算出ステップ