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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062388
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】パイロットチェック弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/18 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
F16K15/18 Z
F16K15/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172329
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 憲司
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA03
3H058BB03
3H058CB02
3H058CD05
3H058DD12
3H058EE12
(57)【要約】
【課題】残圧排気部の不具合時に流体圧機器内の残圧を保持可能なパイロットチェック弁を提供する。
【解決手段】パイロットチェック弁10は、入力及び出力ポート11,12を有する第1ボディ18と、これらポートを連通する主流路13と、主流路に設けられ入力ポートから出力ポートに向かう圧力流体の流れを許容するチェック弁体14を有する。この弁体は、パイロット流体の給排で出力ポートから入力ポート側に向けての流れを阻止又は同流れを許容する。このチェック弁は、主流路の中央孔37に一端が接続され、他端がボディの排気孔56に接続された残圧排気流路15と、この排気流路に設けられたシール部材48と、チェック弁体を主流路の出力ポート側から入力ポート側に向かう流れを許容する位置に移動させると同時に、シール部を接続部から排気孔に向かう流れを許容する位置に移動させるプッシュロッド45と、を有する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポート及び出力ポートを有する第1ボディと、
前記第1ボディ内に設けられ、前記入力ポートと前記出力ポートとを連通する主流路と、
前記主流路上に設けられ、前記入力ポートに連通された一次側から前記出力ポートに連通された二次側に向かう圧力流体の流れを許容するチェック弁体と、を有し、
パイロット流体の給排によって、前記チェック弁体を、前記出力ポートから入力ポート側に向けての流れを阻止する位置と、同流れを許容する位置とに選択的に移動させることができるように構成されたパイロットチェック弁であって、
前記主流路の前記一次側に形成された接続部に一端が接続され、他端が前記第1ボディに開設された排気孔に接続された残圧排気流路と、
前記残圧排気流路上に設けられ、前記主流路の接続部から前記排気孔側へ向かう圧力流体の流れを阻止するシール部と、
前記チェック弁体を、前記主流路における前記二次側から一次側に向かう圧力流体の流れを許容する位置に移動させると同時に、前記シール部を、前記残圧排気流路における前記主流路の接続部から前記排気孔に向かう圧力流体の流れを許容する位置に移動させることが可能な操作部と、を有している、
ことを特徴とするパイロットチェック弁。
【請求項2】
前記第1ボディは、軸方向に延びて筒状に形成され、軸方向の両端に基端と先端とを有し、
前記第1ボディ内には、軸方向に沿って延びる貫通孔が形成され、
前記第1ボディの軸方向の中間部に開口する第1開口部に前記入力ポートが連通し、前記第1ボディの軸方向の基端部に開口する第2開口部に前記出力ポートが連通しており、
軸方向に延びる前記貫通孔の軸方向基端部には、前記チェック弁体が軸方向に移動可能に支持され、
前記チェック弁体よりも軸方向の先端側の前記貫通孔には、前記操作部が軸方向に移動可能に収容されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイロットチェック弁。
【請求項3】
前記操作部は、前記貫通孔に沿って延びるロッド部材であり、
前記ロッド部材の外径は、前記貫通孔の内径よりも小さく、
前記ロッド部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に形成される隙間が前記残圧排気流路を形成している、
ことを特徴とする請求項2に記載のパイロットチェック弁。
【請求項4】
前記シール部は、前記ロッド部材の外周面に環状に形成された凹溝と、前記凹溝内に収容されたシール部材と、を有し、
前記シール部材は、リップ型のシール部材であり、前記シール部材のリップ部は、軸方向の基端側に進むに従って径方向外側へ傾くように形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のパイロットチェック弁。
【請求項5】
前記第1開口部と前記第2開口部とを連通する前記貫通孔の一部が、前記主流路の一部を形成し、
軸方向に延びる前記貫通孔の軸方向基端部には、前記チェック弁体が当接可能な弁座が形成され、
前記チェック弁体は、前記弁座に当接して前記出力ポートから前記入力ポート側に向けての圧力流体の流れを阻止する逆止位置と、前記弁座から軸方向基端側に移動して同流れを許容する第1開放位置とに移動可能である、
ことを特徴とする請求項4に記載のパイロットチェック弁。
【請求項6】
前記ロッド部材は、前記チェック弁体側を向く力を受けることにより、前記貫通孔内を軸方向に沿って移動可能であり、
前記シール部材を前記接続部内の残圧排気位置に移動させると、前記主流路の接続部から前記排気孔に向かう圧力流体の流れが許容され、
前記チェック弁体を前記第1開放位置よりも軸方向基端側の第2開放位置に移動させると、前記主流路における前記二次側から一次側に向かう圧力流体の流れが許容され、
前記ロッド部材は、軸方向の移動によって、前記シール部材を前記残圧排気位置に移動させると同時に、前記チェック弁体を前記第2開放位置に移動させることが可能である、
ことを特徴とする請求項5に記載のパイロットチェック弁。
【請求項7】
前記チェック弁体には、この弁体を前記弁座側へ付勢する第1復帰ばねが設けられ、
前記ロッド部材には、これを軸方向の基端側へ付勢する第2復帰ばねが設けられている、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載のパイロットチェック弁。
【請求項8】
前記貫通孔の軸方向先端側には、排気弁室が形成され、
前記排気弁室の内部には、前記排気弁室を圧力室と排出室に区画して前記貫通孔内を摺動可能なピストンが設けられ、
前記第1ボディには、前記圧力室にパイロット圧を導入するためのパイロットポートと、前記シール部材と前記ピストンとの間に位置して前記排出室と外部とを連通する前記排気孔が形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のパイロットチェック弁。
【請求項9】
前記ロッド部材は、さらに前記ロッド部材の軸方向先端側に配されて前記貫通孔に沿って移動可能に設けられたピストンロッドを有し、
前記ピストンロッドの軸方向基端部は、前記ピストンに対して軸方向に移動可能に挿着されており、
前記ピストンロッドは、前記第1ボディの軸方向先端に開口する第3開口部から軸方向基端側へ向かう押圧操作がされると、前記ロッド部材を押圧して軸方向基端側へ移動させ、前記シール部材を前記残圧排気位置に移動させると同時に前記チェック弁体を前記第2開放位置に移動させることが可能である、
ことを特徴とする請求項8に記載のパイロットチェック弁。
【請求項10】
前記軸方向をX軸方向とし、X軸方向に対して直交する方向をZ軸方向とし、X軸方向及びZ軸方向に対して直交する方向をY軸方向としたときに、
前記第1ボディは、X軸方向に延びており、
前記第1ボディのX軸方向の基端側には、X軸方向と直交するZ軸方向に延びて一端に前記出力ポートを備える第2ボディが接続され、
前記第1ボディのX軸方向の先端部には、前記第1ボディに対してX軸回りに回動自在に外嵌されたパイロットボディが接続され、
前記パイロットボディよりもX軸方向の基端側には、前記第1ボディに対してX軸回りに回動自在に外嵌された接続管部が接続され、
前記接続管部には、X軸及びZ軸と直交するY軸回りに回動自在に連結された環状ボディが接続され、
前記第2ボディには、Z軸回りに回動自在に外嵌され、前記第1ボディの基端部を前記第2ボディに対して連結する筒状連結部が接続されている、
ことを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載のパイロットチェック弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダ等の流体圧機器内の残圧を排出する残圧排気機能を有したパイロットチェック弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、圧力流体源に接続するための入力ポートと、流体圧シリンダ等の流体圧機器に接続するための出力ポートと、これら入力ポート及び出力ポートの間を接続する主流路と、該主流路上に設けられて前記入力ポートから出力ポート側に向けて流体の流れを許容すると共に、パイロットエアの給排により、前記出力ポートから入力ポート側に向けての流れを阻止する第1位置と同流れを許容する第2位置とに選択的に移動させることが可能なチェック弁体と、を備えたパイロットチェック弁は、例えば、特許文献1に示すように、既に知られている。
【0003】
ところで、特許文献1に記載のパイロットチェック弁には、前記流体圧機器が何らかの原因により停止した際に、必要に応じて、該流体圧機器内に封じ込められた圧力流体(残圧)を、残圧排気流路を通じて排気孔から外部に排気させることを可能とする残圧排気部が設けられている。この残圧排気部はパイロットエアの給排によって開閉される弁体を有しており、そのパイロットエアの圧力が作用しているときには、前記弁体により、前記出力ポートから前記残圧排気流路を通じて前記排気孔に向かう圧力流体の流れが阻止されるようになっている。
【0004】
しかしながら、このような従来の残圧排気弁付パイロットチェック弁においては、前記残圧排気流路が、前記チェック弁体よりも出力ポート側の下流側で、前記主流路に接続されているため、万が一、前記残圧排気部で弁体による密閉性に不具合が生じると、電力供給の停止時等の非常時に、前記流体圧機器に封じ込めておくべき圧力流体が前記残圧排気流路を通じて前記排気孔から外部に排気されてしまう虞があり、その場合、前記主流路に設けられたチェック弁体の逆止機能を滅してしまうこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-9662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の技術的課題は、たとえ、万が一、残圧排気部において弁体による密閉性に不具合が生じたとしても、電力供給の停止時等の非常時に、チェック弁体の逆止機能により該チェック弁体よりも下流側に封じ込めた圧力流体を、そこに保持することが可能なパイロットチェック弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するため、本発明に係るパイロットチェック弁は、入力ポート及び出力ポートを有する第1ボディと、前記第1ボディ内に設けられ、前記入力ポートと前記出力ポートとを連通する主流路と、前記主流路上に設けられ、前記入力ポートに連通された一次側から前記出力ポートに連通された二次側に向かう圧力流体の流れを許容するチェック弁体と、を有し、パイロット流体の給排によって、前記チェック弁体を、前記出力ポートから入力ポート側に向けての流れを阻止する位置と、同流れを許容する位置とに選択的に移動させることができるように構成されたパイロットチェック弁であって、前記主流路の前記一次側に形成された接続部に一端が接続され、他端が前記第1ボディに開設された排気孔に接続された残圧排気流路と、前記残圧排気流路上に設けられ、前記主流路の接続部から前記排気孔側へ向かう圧力流体の流れを阻止するシール部と、前記チェック弁体を、前記主流路における前記二次側から一次側に向かう圧力流体の流れを許容する位置に移動させると同時に、前記シール部を、前記残圧排気流路における前記主流路の接続部から前記排気孔に向かう圧力流体の流れを許容する位置に移動させることが可能な操作部と、を有している、ことを特徴とする。
【0008】
この場合において、好ましくは、前記第1ボディは、軸方向に延びて筒状に形成され、軸方向の両端に基端と先端とを有し、前記第1ボディ内には、軸方向に沿って延びる貫通孔が形成され、前記第1ボディの軸方向の中間部に開口する第1開口部に前記入力ポートが連通し、前記第1ボディの軸方向の基端部に開口する第2開口部に前記出力ポートが連通しており、軸方向に延びる前記貫通孔の軸方向基端部には、前記チェック弁体が軸方向に移動可能に支持され、前記チェック弁体よりも軸方向の先端側の前記貫通孔には、前記操作部が軸方向に移動可能に収容されている。
【0009】
また、好ましくは、前記操作部は、前記貫通孔に沿って延びるロッド部材であり、前記ロッド部材の外径は、前記貫通孔の内径よりも小さく、前記ロッド部材の外周面と前記貫通孔の内周面との間に形成される隙間が前記残圧排気流路を形成している。
【0010】
また、好ましくは、前記シール部は、前記ロッド部材の外周面に環状に形成された凹溝と、前記凹溝内に収容されたシール部材と、を有し、前記シール部材は、リップ型のシール部材であり、前記シール部材のリップ部は、軸方向の基端側に進むに従って径方向外側へ傾くように形成されている。
【0011】
また、好ましくは、前記第1開口部と前記第2開口部とを連通する前記貫通孔の一部が、前記主流路の一部を形成し、軸方向に延びる前記貫通孔の軸方向基端部には、前記チェック弁体が当接可能な弁座が形成され、前記チェック弁体は、前記弁座に当接して前記出力ポートから前記入力ポート側に向けての圧力流体の流れを阻止する逆止位置と、前記弁座から軸方向基端側に移動して同流れを許容する第1開放位置とに移動可能である。
【0012】
また、好ましくは、前記ロッド部材は、前記チェック弁体側を向く力を受けることにより、前記貫通孔内を軸方向に沿って移動可能であり、前記シール部材を前記接続部内の残圧排気位置に移動させると、前記主流路の接続部から前記排気孔に向かう圧力流体の流れが許容され、前記チェック弁体を前記第1開放位置よりも軸方向基端側の第2開放位置に移動させると、前記主流路における前記二次側から一次側に向かう圧力流体の流れが許容され、前記ロッド部材は、軸方向の移動によって、前記シール部材を前記残圧排気位置に移動させると同時に、前記チェック弁体を前記第2開放位置に移動させることが可能である。
【0013】
また、好ましくは、前記チェック弁体には、この弁体を前記弁座側へ付勢する第1復帰ばねが設けられ、前記ロッド部材には、これを軸方向の基端側へ付勢する第2復帰ばねが設けられている。
【0014】
また、好ましくは、前記貫通孔の軸方向先端側には、排気弁室が形成され、
前記排気弁室の内部には、前記排気弁室を圧力室と排出室に区画して前記貫通孔内を摺動可能なピストンが設けられ、前記第1ボディには、前記圧力室にパイロット圧を導入するためのパイロットポートと、前記シール部材と前記ピストンとの間に位置して前記排出室と外部とを連通する前記排気孔が形成されている。
【0015】
また、好ましくは、前記ロッド部材は、さらに前記ロッド部材の軸方向先端側に配されて前記貫通孔に沿って移動可能に設けられたピストンロッドを有し、前記ピストンロッドの軸方向基端部は、前記ピストンに対して軸方向に移動可能に挿着されており、前記ピストンロッドは、前記第1ボディの軸方向先端に開口する第3開口部から軸方向基端側へ向かう押圧操作がされると、前記ロッド部材を押圧して軸方向基端側へ移動させ、前記シール部材を前記残圧排気位置に移動させると同時に前記チェック弁体を前記第2開放位置に移動させることが可能である。
【0016】
また、好ましくは、前記軸方向をX軸方向とし、X軸方向に対して直交する方向をZ軸方向とし、X軸方向及びZ軸方向に対して直交する方向をY軸方向としたときに、前記第1ボディは、X軸方向に延びており、前記第1ボディのX軸方向の基端側には、X軸方向と直交するZ軸方向に延びて一端に前記出力ポートを備える第2ボディが接続され、前記第1ボディのX軸方向の先端部には、前記第1ボディに対してX軸回りに回動自在に外嵌されたパイロットボディが接続され、前記パイロットボディよりもX軸方向の基端側には、前記第1ボディに対してX軸回りに回動自在に外嵌された接続管部が接続され、前記接続管部には、X軸及びZ軸と直交するY軸回りに回動自在に連結された環状ボディが接続され、前記第2ボディには、Z軸回りに回動自在に外嵌され、前記第1ボディの基端部を前記第2ボディに対して連結する筒状連結部が接続されている。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、たとえ、万が一、残圧排気部において弁体による密閉性に不具合が生じたとしても、電力供給の停止時等の非常時に、チェック弁体の逆止機能により該チェック弁体よりも下流側に封じ込めた圧力流体を、そこに保持することが可能なパイロットチェック弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係わるパイロットチェック弁の斜視図である。
図2】パイロットチェック弁の側面図である。
図3図2のIII-III矢視に相当するパイロットチェック弁の断面図である。
図4】チェック弁本体の部分斜視図である。
図5】パイロット圧によってピストンロッドが押圧された状態におけるパイロットチェック弁の部分断面図である。
図6】ピストンロッドが押圧操作された状態におけるパイロットチェック弁の部分断面図である。
図7】パイロットチェック弁を使用した空気圧回路の回路構成図であり、圧力流体が遮断された状態を示す図である。
図8図7の状態から、圧力流体を供給して流体圧シリンダを伸長させた場合の回路構成図である。
図9図7の状態から、圧力流体を供給して流体圧シリンダを縮小させた場合の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るパイロットチェック弁について説明する。本実施形態では、入力ポート、出力ポート及びパイロットポートの3つのポートを備えて、流体圧シリンダ内の残圧を保持可能なパイロットチェック弁について説明する。また、パイロットチェック弁を流れる圧力流体は、圧縮空気である場合について説明する。
【0020】
図1図6は、本発明に係るパイロットチェック弁の一実施形態を示すものである。このパイロットチェック弁10は、電磁切換弁72,75(図7参照)に接続される入力ポート11と、流体圧シリンダ80(図7参照)等の流体圧機器に接続される出力ポート12と、入力ポート11と出力ポート12とを結ぶ主流路13と、主流路13上の中間に設けられ、入力ポート11に連通された一次側から出力ポート12に連通された二次側に向かう圧力流体の流れを許容するチェック弁体14と、チェック弁体14よりも入力ポート11側に設けられた残圧排気流路15と、残圧排気流路15に移動可能に設けられ、出力ポート12側から残圧排気流路15側へ向かう圧力流体の流れを阻止するシール部材48と、パイロット流体を導入するパイロットポート55と、を有する。
【0021】
出力ポート12は、第1軸線L1に沿って細長く延びる実質的に筒状をしたボディ18の軸L1方向の基端18bに設けられている。主ボディ18には、軸L1回りに回動自在に外嵌された装着部24が設けられ、この装着部24には、軸L1及び後述する第2軸線L2に直交する第3軸線L3方向に突出する接続管部23が設けられている。この接続管部23には軸L3回りに回動自在に連結された環状ボディ25が設けられ、環状ボディ25の延出方向の先端部に、入力ポート11が設けられている。装着部24、接続管部23、環状ボディ25の詳細については後述する。
【0022】
また、ボディ18の基端部には、第1軸線L1と直交する第2軸線L2に沿って延びる実質的に円筒状をしたチェック弁ボディ20が装着され、出力ポート12は、チェック弁ボディ20の内側に配設された主ボディ21(第2ボディ)の軸L2方向の一端部(下端部)に開口している。
【0023】
また、ボディ18の軸L1方向の中間部には、ボディ18の外周面に外嵌された接続管部23が設けられている。接続管部23は、ボディ18の側面から突出して第1及び第2軸線L1,L2に直交する第3軸線L3に沿って延びる円筒状に形成されている。接続管部23には環状ボディ25が装着されており、入力ポート11は、環状ボディ25の一端部に接続されたポートブロック26に設けられている。
【0024】
ボディ18は、その先端18aに外嵌されて第1軸線L1に沿って延びる実質的に円筒状をしたパイロットボディ28を有している。パイロットポート55は、パイロットボディ28に形成された筒状のポート形成部28aに接続されたポートブロック29に設けられている。
【0025】
主流路13は、入力ポート11から、環状ボディ25、接続管部23、ボディ18の内部、チェック弁ボディ20を通って、主ボディ21の出力ポート12に至るように形成されている。ボディ18、チェック弁ボディ20、接続管部23、環状ボディ25及びパイロットボディ28は、アルミニウム合金等の金属素材や、合成樹脂素材等によって形成することができる。
【0026】
以下、パイロットチェック弁10の構成について更に詳細に説明する。先ず、接続管部23は、その軸L3方向の基端部に形成された筒状の装着部24を有し、この装着部24は、この内面に2つのOリング24aを介してボディ18の外周面に嵌合することにより、装着部24とボディ18とが気密に取り付けられている。
【0027】
環状ボディ25は、エルボ形をなすもので、ボディ18の側面に設けられた接続管部23に、接続管部23の中心軸線(第3軸線L3)を中心に正逆方向に回転自在なるようにOリング25aを介して気密に接続され、環状ボディ25の先端に取り付けられたポートブロック26に入力ポート11が形成されている。そして、環状ボディ25の内部の第2流路孔25bが、接続管部23の内部の接続孔23aに連通している。接続管部23の中心軸線、即ち第3軸線L3は、第1軸線L1及び第2軸線L2の両方と直交しており、入力ポート11は、第3軸線L3と直交する方向に開口している。
【0028】
ボディ18は、その基端の挿入部18cを、チェック弁ボディ20の側面に開口する接続部20aの開口端部側からシール部材31を介して挿入することにより、チェック弁ボディ20の開口端部を塞いだ状態で気密に取り付けられている。ボディ18は、その内部に軸L1方向に延びる貫通孔18dを有する。
【0029】
チェック弁ボディ20は、第2軸線L2を中心軸線とする筒状の主ボディ21と、主ボディ21の外周に嵌合された筒状連結部22とを有する。筒状連結部22は、その内面にOリング(図示せず)を介して主ボディ21に回転自在に嵌合し、それによって筒状連結部22は、主ボディ21に、第2軸線L2を中心にして正逆両方向に回転自在なるように連結されている。このため、筒状連結部22に連結されたボディ18、環状ボディ25、パイロットボディ28等を、主ボディ21に対して第2軸線L2の軸回りに回動可能である。
【0030】
主ボディ21には、その第2軸線L2の一端部(下端部)の位置に、流体圧機器の取付孔に直接に嵌合させて接続するための接続部21aが形成され、接続部21aの内側には出力ポート12が形成され、接続部21aの外周には凹凸が設けられている。なお、接続部21aは、雄ねじでもよく、また流体圧機器に配管を介して接続するように構成されていても良い。また、主ボディ21の内部には、出力ポート12から軸L2方向に沿って延びる第2流通孔21bが形成されると共に、第2流通孔21bに連通して放射方向に延びる複数の分岐孔21cが形成されている。複数の分岐孔21cは、筒状連結部22の内周と主ボディ21の外周との間に形成された第2環状流路20bに連通し、第2環状流路20bは、チェック弁ボディ20の筒状連結部22に形成された第3連通孔20cに連通する。
【0031】
挿入部18cの内側には、貫通孔18dの一部であって軸L1方向に沿って延びるチェック弁室33が形成されている。チェック弁室33は、チェック弁ボディ20の第3連通孔20cに連通している。チェック弁室33の軸L1方向の先端部には、ばね支持部34が挿着されている。ばね支持部34は、円柱状に形成されており、その内側には軸L1方向に貫通する連通孔34a(第2開口部)が形成され、外周部には周方向に間隔を有して設けられた複数の切り欠き孔34bが形成されている。また、ばね支持部34の軸L1方向の基端部には、径方向外側へ突出して環状に延びる段部34cが形成されており、この段部34cに第1復帰ばね36の一端部が当接した状態で係止されている。
【0032】
ボディ18に装着された接続管部23の装着部24の内周面とボディ18の外周面との間には、ボディ18を取り囲む第1環状流路32(第1開口部)が形成されている。この第1環状流路32は、接続管部23の接続孔23aに連通すると共に、ボディ18内に半径方向に延びる複数の第1連通孔35に連通し、この第1連通孔35は、ボディ18の中央に形成されて軸L1方向に延びる中央孔37(接続部)を通じて、中央孔37に隣接するチェック弁室33に連通する。中央孔37は、貫通孔18dの一部を構成する。チェック弁室33と中央孔37との境界には、中央孔37を取り囲む環状の弁座38が形成されている。
【0033】
チェック弁室33の内部には、チェック弁体14が、ばね支持部34との間に取り付けられた第1復帰ばね36で支持されることにより、軸L1方向に沿って変位自在なるように配設されている。チェック弁体14は、円板状の弁板部14aと弁板部14aの軸L2方向の先端から突出する突出部14bとを有して形成され、第1復帰ばね36の一端部がばね支持部34に係止され、第1復帰ばね36の他端部が突出部14bに係止されている。このチェック弁体14は、弁板部14aが弁座38に離接することによって入力ポート11と出力ポート12を繋ぐ主流路13を開閉するもので、第1復帰ばね36によりチェック弁体14は、弁座38に着座する逆止位置(図3参照)に向けて常時付勢されている。
【0034】
チェック弁体14は、主流路13中を入力ポート11から出力ポート12側へ向かう圧力流体の順方向の流れに対しては、この流れに押されて第1復帰ばね36を圧縮しながら弁座38から離間する第1開放位置P1(図5参照)に移動して、主流路13を開放することにより、圧力流体の順方向の流れを許容する。一方、チェック弁体14は、出力ポート12から入力ポート11側へ向かう圧力流体の逆方向の流れに対しては、この流れと第1復帰ばね36の付勢力とにより押されて弁座38に着座する逆止位置P2(図3参照)に移動し、主流路13を閉鎖して圧力流体の逆方向の流れを阻止する。即ち、このようなチェック弁体14の状態は、チェック弁体14が本来の逆止機能を発揮することができる「機能オン」の状態である。
【0035】
ボディ18の内部には、貫通孔18dの一部であり、中央孔37に通じて軸L1方向の基端側に向かって延びる残圧排気弁孔42が形成され、残圧排気弁孔42内には、プッシュロッド45(操作部)が軸L1方向に沿って摺動可能に収容されている。プッシュロッド45の外面と残圧排気弁孔42の内面との間には、空気が流通可能な隙間43が形成されており、この隙間43は軸L1方向に沿って延びる残圧排気流路15を形成している。残圧排気流路15は中央孔37に通じている。即ち、残圧排気流路15は、中央孔37から軸L1方向の先端側へ延びている。
【0036】
プッシュロッド45は、ロッド部45aと、ロッド部45aの軸L1方向の基端から延出する小径軸状の押圧部45bとを有していて、押圧部45bの先端は、中央孔37内でチェック弁体14に対向している。ロッド部45aの先端部には、リング溝45d(シール部)が環状に形成され、このリング溝45dにシール部材48(シール部)が収容されている。
【0037】
シール部材48は、円環状に形成されており、軸L1方向の先端側へ向かうに従って径方向外側へ傾くリップ部48aを有している。リップ部48aは、この先端部が残圧排気弁孔42の内面に押し当てられて残圧排気流路15を閉鎖し、軸L1方向の先端側から基端側への圧力流体の流通を阻止する。即ち、シール部材48が残圧排気弁孔42の内面に押し当てられた状態で、残圧排気流路15が遮断される。シール部材48は、プッシュロッド45の軸方向基端側への移動に伴って変位して中央孔37の位置する残圧排気位置P3に移動すると、リップ部48aが残圧排気弁孔42の軸方向の基端から離反して残圧排気流路15を開放させるとともに、中央孔37を閉鎖することなく圧力流体の流通が可能な状態で、中央孔37内に収容される(図5参照)。
【0038】
プッシュロッド45のロッド部45aの軸L1方向の先端部には、径方向外側へ突出する環状のフランジ部45cが形成されている。また、残圧排気弁孔42の軸L1方向の先端側には、ロッド部45aの外径よりも大きな内径を有するばね収容溝42aが形成されており、ばね収容溝42aの軸L1方向の基端には、径方向に延びる環状の段部42bが形成されている。そして、圧縮コイルばねである第2復帰ばね50は、この内側にロッド部45aが挿通されるとともにばね収容溝42aに収容された状態で、フランジ部45cとばね収容溝42aの段部42bとの間に配設されている。この第2復帰ばね50により、プッシュロッド45は軸L1方向の先端側へ向けて常時付勢されている。なお、フランジ部45cの外径は、ばね収容溝42aの内径よりも僅かに小さい。このため、フランジ部45cは、ばね収容溝42a内を軸L1方向に移動可能である。
【0039】
ボディ18の先端部に装着されたパイロットボディ28は、ボディ18の基端部の外周面に装着される筒状の装着部28bと、装着部28bの側面から突出する環状のポート形成部28aと、を有している。パイロットボディ28は、ボディ18の先端部に形成された円環状の係止段部を装着部28bの内周面に環状に形成された凹溝に嵌合させることにより、ボディ18に抜け止め可能で且つ軸L1回りに回動可能に取り付けられている。
【0040】
装着部28bの内周面の内側には、残圧排気弁孔42に通じる残圧排気連通孔28cが軸L1方向に沿って形成されている。残圧排気連通孔28cの内径は、残圧排気弁孔42のそれよりも大径であり、残圧排気連通孔28c内には排気弁室30が形成されている。排気弁室30の内部には、排気弁室30を圧力室30aと排気室30bに区画して残圧排気連通孔28c内を軸L1方向に沿って摺動可能なピストン51が設けられている。ピストン51の径方向外側の外面と残圧排気連通孔28cの内面との間には、空気が流通可能な隙間が形成されており、この隙間は軸L1方向に沿って延びる残圧排気流路15(図5参照)を形成する。この残圧排気流路15は、圧力室30a及び排気室30bに連通する。
【0041】
ピストン51の外周面には、周方向に延びる環状の凹溝が形成され、この凹溝内にピストン51の外周面と残圧排気連通孔28cの内周面との間をシールするシール部材53が装着されている。このシール部材53は、前述したシール部材48と同様のリップ型の構造を有するが、リップ部48aの向きが異なる点で相違する。シール部材53のリップ部53aは、軸L1方向の先端側へ向かうに従って径方向外側へ傾いている。このため、リップ部53aは、軸L1方向の先端側から基端側への圧力流体の流通を阻止する一方、軸L1方向の先基端側から先端側への圧力流体の流れを許容する。
【0042】
ピストン51の基端部には、先端側へ窪む凹溝51aが形成されており、この凹溝51a内にプッシュロッド45のフランジ部45cが当接した状態で収容されている。凹溝51aの深さは、フランジ部45cの厚さと略同様の大きさを有している。ピストン51の基端面は、軸L1回りに環状に形成されて軸L1方向に対して直交する方向に延びる。ピストン51の基端面がボディ18の先端面に当接すると、これら両面同士の間が気密に当接するため、残圧排気流路15が遮断されてしまう。このため、ボディ18の先端部には、図4に示す切り欠き孔19が設けられている。この切り欠き孔19によって、ピストン51の基端面がボディ18の先端面に当接した状態であっても、残圧排気流路15を連通させた状態にすることができる。
【0043】
ピストン51の中央部には、軸L1方向に沿って貫通する貫通孔51bが設けられ、この貫通孔51bにピストンロッド54の軸L1方向の基端部に装着されたOリング54aを介してピストンロッド54の基端部を嵌合させることにより、ピストン51の貫通孔51bにピストンロッド54が気密に取り付けられている。なお、ピストンロッド54は、ピストン51の貫通孔51bに対して軸L1方向に摺動可能に嵌合している(図5参照)。
【0044】
装着部28bの先端側の残圧排気連通孔28cには、円筒状のカバー部材60が装着されている。カバー部材60は、残圧排気連通孔28cの軸方向の先端に開口する開口部28e(第3開口部)から挿入されて、カバー部材60の軸L1方向の基端部に装着されたOリング61を介して残圧排気連通孔28cに嵌合させることにより、残圧排気連通孔28cに気密に取り付けられている。また、カバー部材60は、その外周面に複数段の段部が形成され、これらの段部を残圧排気連通孔28cの内面に形成された係合段部に当接させることにより、装着部28bに対して軸L1方向に位置決めした状態で取り付けられている。さらに、カバー部材60は、その外周面に形成された係止突起を残圧排気連通孔28cの内面に形成された係合凹部に係合させることにより、装着部28bに抜け止め可能な状態で取り付けられている。
【0045】
装着部28bの側面に形成されたポート形成部28aは、第1軸線L1に直交する方向に延びた円筒状に形成されており、パイロットポート55は、ポート形成部28aの一端側の開口部に挿着されたポートブロック29に形成されている。ポート形成部28aの底部には、連通孔28dが形成されており、この連通孔28dは、圧力室30aに連通する。この連通孔28dは、断面積が絞られたオリフィスであり、圧力室30aに導入されるパイロット圧を高めることができる。
【0046】
また、装着部28bには、排気室30bに連通する排気孔56が形成されている。この排気孔56は、ピストン51の軸L1方向の先端側への移動に伴って排気室30b内の空気を外部に排出するとともに、詳細は後述するが、流体圧シリンダ80(図7参照)内の残圧を排出することができる。
【0047】
このように構成されたパイロットチェック弁10は、パイロットポート55からパイロット流体が圧力室30aに導入されると、ピストン51が軸L1方向の基端側へ押圧されて、プッシュロッド45を第2復帰ばね50の付勢に抗して基端側へ移動させ、さらに、プッシュロッド45の先端部がチェック弁体14に当接して、この弁体14を第1復帰ばね36の付勢に抗して軸L1方向の基端側へ移動させる。なお、この状態で、シール部材48は、中央孔37よりも軸L1方向の基端側に位置して残圧排気流路15を閉塞している。従って、チェック弁体14が弁座38から離反して主流路13を開放するので、入力ポート11から出力ポート12側へ向かう圧力流体の流れが許容される。
【0048】
次に、パイロットチェック弁10を用いて流体圧機器(流体圧シリンダ80)を制御する場合の流体圧回路について説明する。
【0049】
図7には、流体圧機器の一例である流体圧シリンダ80を制御する場合の流体圧回路の一例が示されている。この流体圧回路は、圧力流体源71から吐出される圧力流体を2つの電磁切換弁72、75に供給し、流体圧シリンダ80と2つの電磁切換弁72、75のそれぞれの間にパイロットチェック弁10a,10bが接続されている。この2つのパイロットチェック弁10a,10bは、互いに同一構成を有するものである。また、2つの電磁切換弁72,75の一方は、流体圧シリンダ80の伸縮方向を切り換える方向切換用電磁弁72であり、他方はパイロットチェック弁10a,10bにパイロット圧を供給するためのパイロット圧供給用電磁弁75である。方向切換用電磁弁72は3位置5ポート式の切換弁であり、パイロット圧供給用電磁弁75は2位置5ポート式の切換弁である。これらの電磁弁72,75は、切換位置(101,102,201)が保持可能なデテント機能を有している。
【0050】
以下、流体圧回路について更に詳細に説明するが、記号化された2つのパイロットチェック弁10a,10bの具体的構成については、図1図6を参照するものとする。
【0051】
図7に示すように、方向切換用電磁弁72及びパイロット圧供給用電磁弁75の入力ポートPは、供給路73を通じて圧力流体源71に接続され、方向切換用電磁弁72の第1出力ポートA1は、第1出力路74を通じて第1パイロットチェック弁10aの入力ポート11に接続され、方向切換用電磁弁72の第2出力ポートA2は、第2出力路76を通じて第2パイロットチェック弁10bの入力ポート11に接続されている。また、第1パイロットチェック弁10aの出力ポート12は、第1連通路77を通じて流体圧シリンダ80のヘッド側ポート83に接続され、第2パイロットチェック弁10bの出力ポート12は、第2連通路84を通じて流体圧シリンダ80のロッド側ポート82に接続されている。
【0052】
更に、第1パイロットチェック弁10aのパイロットポート55は、第1パイロット供給路86を通じてパイロット圧供給用電磁弁75の第1出力ポートB1に接続され、第2パイロットチェック弁10bのパイロットポート55は、第2パイロット供給路87及び第1パイロット供給路86を通じて第1出力ポートB1に接続されている。第2パイロット供給路87は、第1パイロット供給路86から分岐して第2パイロットチェック弁10bのパイロットポート55に接続されている。
【0053】
図7に記載の流体圧回路は、圧力流体源71が流体圧回路から遮断されることによって圧力流体が供給されず、且つ、方向切換用電磁弁72が中立位置100を占める初期位置にあるとともに、パイロット圧供給用電磁弁75がパイロット圧を供給しない第1切換位置200を占める初期位置にある状態を示している。このとき、第1パイロットチェック弁10a及び第2パイロットチェック弁10bの各チェック弁体14は、何れも、パイロット流体が供給されないため、逆止機能を発揮可能な「機能オン」の状態にあり、シール部材48は残圧排気流路15を閉鎖している(図3参照)。従って、流体圧シリンダ80のヘッド側圧力室88及びロッド側圧力室89内の圧力流体は、第1パイロットチェック弁10a及び第2パイロットチェック弁10bのチェック弁体14によって主流路13が閉鎖された状態になっているので、そのまま封じ込められる。
【0054】
この状態から、図8に示すように、圧力流体源71が流体圧回路に接続されると共に、方向切換用電磁弁72の第1ソレノイド72aが励磁されて方向切換用電磁弁72が第1切換位置101に切り換えられると、圧力流体源71からの圧力流体は、供給路73を通じて方向切換用電磁弁72の入力ポートPに供給されると同時に、第1出力路74を通じて、第1パイロットチェック弁10aの入力ポート11に供給される。
【0055】
また、圧力流体源71が流体圧回路に接続されると共に、パイロット圧供給用電磁弁75の第1ソレノイド75aが励磁されてパイロット圧供給用電磁弁75が第2切換位置201に切り換えられると、圧力流体源71からの圧力流体は、供給路73を通じてパイロット圧供給用電磁弁75の入力ポートPに供給されて、第1パイロット供給路86を通じて、第1パイロットチェック弁10aのパイロットポート55に供給される。このため、第1パイロットチェック弁10aは、パイロットポート55からパイロット流体を圧力室30a内に導入して、ピストン51を介してプッシュロッド45を移動させてチェック弁体14によって主流路13を開放させた「機能オフ」の状態になる(図5参照)。
【0056】
このため、第1パイロットチェック弁10aの入力ポート11に供給される圧力流体は、第1パイロットチェック弁10aの主流路13を通じて出力ポート12から吐出されて流体圧シリンダ80のヘッド側圧力室88に導入される。
【0057】
一方、第2パイロットチェック弁10bにおいては、第1パイロット供給路86から第2パイロット供給路87を通じてパイロットポート55にパイロット流体が供給されることにより、第2パイロットチェック弁10bは「機能オフ」の状態になり、主流路13が開放された状態になる。このため、流体圧シリンダ80のロッド側圧力室89内の圧力流体は、第2連通路84、第2パイロットチェック弁10bの出力ポート12、主流路13、入力ポート11、第2出力路76、及び方向切換用電磁弁72を通じて外部に排出される。この結果、流体圧シリンダ80は、図8に示すように伸長する。
【0058】
次に、流体圧シリンダ80を伸長状態に保持させるときは、図7のように方向切換用電磁弁72を中立位置100に切り換え、且つパイロット圧供給用電磁弁75を第1切換位置200に切り換える。方向切換用電磁弁72を中立位置100に切り換え、且つパイロット圧供給用電磁弁75を第1切換位置200に切り換えたときには、第1パイロットチェック弁10aのチェック弁体14が、逆方向に流れようとする圧力流体及び第1復帰ばね36の復帰動作に押されて弁座38に着座し、主流路13を閉鎖して逆止機能を発揮するため、流体圧シリンダ80のヘッド側圧力室88内の圧力流体はそのままヘッド側圧力室88内に封じ込められる。また、流体圧シリンダ80のロッド側圧力室89内の圧力流体もそのままロッド側圧力室89内に封じ込められる。よって、流体圧シリンダ80は伸長位置に保持される。
【0059】
また、流体圧シリンダ80を縮小させるときは、図9に示すように、方向切換用電磁弁72の第2ソレノイド72bを励磁して方向切換用電磁弁72を第2切換位置102に切り換えるとともに、パイロット圧供給用電磁弁75の第1ソレノイド75aを励磁にして第2切換位置201に切り換える。そうすると、第1パイロットチェック弁10a及び第2パイロットチェック弁10bの作用が、流体圧シリンダ80を伸長させる場合と相互に逆転し、方向切換用電磁弁72から第2パイロットチェック弁10bを通じて流体圧シリンダ80のロッド側圧力室89に圧力流体が供給されると共に、第1パイロットチェック弁10aから方向切換用電磁弁72の第1排出ポートE1を通じてヘッド側圧力室88の圧力流体が排出され、流体圧シリンダ80は縮小して初期位置に復帰する。
【0060】
以上の説明は、流体圧回路が正常に動作した場合の例であるが、例えば、図8のように流体圧シリンダ80が伸長した状態で、方向切換用電磁弁72及びパイロット圧供給用電磁弁75への給電が遮断され、且つ第1パイロットチェック弁10aのシール部材48自体が密閉性に不具合が生じて逆止機能を失うような異常事態が生じた場合には、パイロットポート55からのパイロット流体の供給が停止されるとともに、入力ポート11からの圧縮流体の導入も停止するので、プッシュロッド45は、第2復帰ばね50の復帰動作と残圧排気流路15を流れる圧力流体によって、軸L1方向の先端側へ移動する。
【0061】
その結果、プッシュロッド45は、軸L1方向の先端側へ移動されるので、図3に示すチェック弁体14は、逆方向に流れようとする圧力流体及び第1復帰ばね36の復帰動作に押されて弁座38に着座し、主流路13を閉鎖して逆止機能を発揮する「機能オン」の状態になる。このため、流体圧シリンダ80のヘッド側圧力室88内の圧力流体を、そのままヘッド側圧力室88内に封じ込めることができる。
【0062】
一方、第2パイロットチェック弁10bも給電が遮断された状態にあるので、パイロット流体の供給はない。このため、プッシュロッド45は第2復帰ばね50の復帰動作に押されて軸L1方向の先端側へ移動されるので、図3に示すチェック弁体14は、逆方向に流れようとする圧力流体及び第1復帰ばね36の復帰動作に押されて弁座38に着座し、主流路13を閉鎖して逆止機能を発揮する「機能オン」の状態になる。このため、流体圧シリンダ80のロッド側圧力室89内の圧力流体を、そのままロッド側圧力室89内に封じ込めることができる。
【0063】
その結果、流体圧シリンダ80は伸長位置に保持されるため、流体圧シリンダ80に接続された流体圧機器の誤動作を防止することができる。なお、第2パイロットチェック弁10bのシール部材48が密閉性に不具合が生じた場合や、第1及び第2パイロットチェック弁10a,10bのそれぞれのシール部材48の両方が密閉性に不具合が生じた場合も、前述した第1パイロットチェック弁10aのシール部材48が損傷した場合に準じるので、その説明は省略する。
【0064】
このように、本実施形態のパイロットチェック弁10a,10bは、シール部材48による密閉性に不具合が生じたとしても、方向切換用電磁弁72及びパイロット圧供給用電磁弁75に対する電力供給の停止時等の非常時に、チェック弁体14が主流路13を閉鎖する逆止機能を発揮するように構成されているので、流体圧シリンダ80のヘッド側及びロッド側圧力室88,89内の各圧力流体(残圧)をそのまま保持することができる。
【0065】
ところで、この流体圧シリンダ80内に保持された残圧を流体圧シリンダ80から排気したい場合には、方向切換用電磁弁72を中立位置100に切り換えるとともに、パイロット圧供給用電磁弁75を第1切換位置200に切り換えた状態で、図5に示すように、パイロットチェック弁10a,10bの各ピストンロッド54を軸L1方向の基端側に向かって押圧操作すればよい。
【0066】
ピストンロッド54が押圧操作されると、図6に示すように、ピストンロッド54が軸L1方向の基端側へ移動すると、ピストン51及びプッシュロッド45も軸L1方向の基端側へ移動する。そして、ピストン51がボディ18の
軸方向の先端部に当接して移動が阻止され、さらにプッシュロッド45がピストン51に対して軸L1方向の基端側へ移動して、プッシュロッド45を介してチェック弁体14を第1開放位置P1よりも軸L1方向基端側に位置する第2開放位置P4に移動させる。また、これと同時に、シール部材48が中央孔37に移動する。その結果、チェック弁体14が弁座38から離反して主流路13を開放させるとともに、シール部材48が残圧排気流路15を開放させる。このため、出力ポート12は、主流路13及び残圧排気流路15を通じてパイロットポート55及び排気孔56に連通するので、流体圧シリンダ80のヘッド側圧力室88内の残圧を、第1パイロットチェック弁10aを通じて外部に排出することができる。また、これと同様に、流体圧シリンダ80のロッド側圧力室89内の残圧を、第2パイロットチェック弁10bを通じて外部に排出することができる。
【0067】
なお、本実施形態に係わるパイロットチェック弁10は、パイロットポート55を有するパイロットボディ28がボディ18に対して軸L1(X軸)回りに回動可能であり、また接続管部23がボディ18に対して軸L1回りに回動可能であり、環状ボディ25が接続管部23に対して軸L3(Y軸)回りに回動可能であり、さらに、筒状連結部22が主ボディ21に対して軸L2(Z軸)回りに回動可能である。このため、これらのボディに繋がるポートに接続される配管の配管方向の自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0068】
10,10a,10b パイロットチェック弁
11 入力ポート
12 出力ポート
13 主流路
14 チェック弁体
15 残圧排気流路
18 ボディ(第1ボディ)
18d 貫通孔
28e 開口部(第3開口部)
30 排気弁室
30a 圧力室
30b 排気室
32 第1環状流路(第1開口部)
34a 連通孔(第2開口部)
36 第1復帰ばね
37 中央孔(接続部)
45 プッシュロッド(操作部)
45d リング溝(シール部、凹溝)
48 シール部材(シール部)
50 第2復帰ばね
51 ピストン
54 ピストンロッド
55 パイロットポ-ト
56 排気孔
L1 第1軸(X軸)
P1 第1開放位置
P2 逆止位置
P3 残圧排気位置
P4 第2開放位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9