(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062390
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】スキル診断装置、スキル診断方法、およびスキル診断プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20230426BHJP
【FI】
G06Q10/06 332
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172335
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】507024459
【氏名又は名称】株式会社マネジメントソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100134511
【弁理士】
【氏名又は名称】八田 俊之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 年成
(72)【発明者】
【氏名】金子 啓
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 竜
(72)【発明者】
【氏名】張 怡
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】 各プロジェクトに所属させる組織メンバーのスキルを把握することができるスキル診断装置、スキル診断方法、およびスキル診断プログラムを提供する。
【解決手段】 スキル診断装置は、プロジェクトマネジメントに関するスキル診断のための質問を格納している質問格納部と、前記質問格納部から前記スキル診断のための質問を読み込み、組織メンバーが使用する第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取る診断実行部と、前記第1端末から受け取った回答結果を格納する回答結果格納部と、前記回答結果格納部が格納している回答結果に基づいて、前記組織メンバーのスキルを診断する診断部と、前記診断部の診断結果を出力する出力部と、を備え、前記診断結果は、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性を表す人財タイプの分類を含むことを特徴とする。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクトマネジメントに関するスキル診断のための質問を格納している質問格納部と、
前記質問格納部から前記スキル診断のための質問を読み込み、組織メンバーが使用する第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取る診断実行部と、
前記第1端末から受け取った回答結果を格納する回答結果格納部と、
前記回答結果格納部が格納している回答結果に基づいて、前記組織メンバーのスキルを診断する診断部と、
前記診断部の診断結果を出力する出力部と、を備え、
前記診断結果は、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性を表す人財タイプの分類を含むことを特徴とするスキル診断装置。
【請求項2】
前記スキル診断のための質問は、コンピテンシーを把握するための質問を含み、
前記診断部は、前記回答結果格納部が格納している回答結果のうち、前記コンピテンシーを把握するための質問に対する回答結果に基づいて、前記人財タイプを診断することを特徴とする請求項1に記載のスキル診断装置。
【請求項3】
前記診断実行部は、前記コンピテンシーを把握するための質問のうちの少なくとも一部を、前記組織メンバー以外のメンバーが使用する第2端末に送信し、前記第2端末から各質問に対する回答結果を受け取り、
前記診断部は、前記第2端末から受け取った回答結果を、前記人財タイプの診断に反映させることを特徴とする請求項2に記載のスキル診断装置。
【請求項4】
前記診断結果は、前記プロジェクトマネジメントに関する知識および経験についてのスキルレベルを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスキル診断装置。
【請求項5】
前記質問格納部は、プロジェクトに所属する組織メンバーの、プロジェクトに対するメンタル状況を把握するための質問を格納し、
前記診断実行部は、前記質問格納部から前記メンタル状況を把握するための質問を読み込み、前記第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取り、
前記診断部は、前記回答結果格納部が格納している回答結果のうち、前記メンタル状況を把握するための質問に対する回答結果に基づいて、前記プロジェクトに所属する組織メンバーのメンタル状況を診断することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスキル診断装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記診断部の診断結果を、前記第1端末に送信することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスキル診断装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記診断部による前記組織メンバーに対する過去の診断結果を前記第1端末に送信することを特徴とする請求項6に記載のスキル診断装置。
【請求項8】
前記出力部は、いずれかの端末からの要求に応じて、特定のプロジェクトに所属する複数の組織メンバーについての前記診断部による診断結果の集計結果を、前記いずれかの端末に送信することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のスキル診断装置。
【請求項9】
前記出力部は、プロジェクトの特性ごとに定められた、人財タイプの割合を前記いずれかの端末に送信することを特徴とする請求項8に記載のスキル診断装置。
【請求項10】
複数の組織メンバーが所属する特定のプロジェクトにおける前記複数の組織メンバーについて前記診断部によって診断された前記人財タイプの分類と、前記特定のプロジェクトの特性ごとに定められた人財タイプの割合との対比判定を行なう判定部を備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のスキル診断装置。
【請求項11】
プロジェクトマネジメントに関するスキル診断のための質問を格納している質問格納部から前記スキル診断のための質問を読み込み、組織メンバーが使用する第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取る処理と、
前記第1端末から受け取った回答結果を格納する処理と、
格納した前記回答結果に基づいて、前記組織メンバーのスキルを診断する処理と、
診断結果を出力する処理と、をコンピュータが実行し、
前記診断結果は、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性を表す人財タイプの分類を含むことを特徴とするスキル診断方法。
【請求項12】
コンピュータに、
プロジェクトマネジメントに関するスキル診断のための質問を格納している質問格納部から前記スキル診断のための質問を読み込み、組織メンバーが使用する第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取る処理と、
前記第1端末から受け取った回答結果を格納する処理と、
格納した前記回答結果に基づいて、前記組織メンバーのスキルを診断する処理と、
診断結果を出力する処理と、を実行させ、
前記診断結果は、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性を表す人財タイプの分類を含むことを特徴とするスキル診断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキル診断装置、スキル診断方法、およびスキル診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクトは、1人以上のプロジェクトメンバーによって構成され、特定の課題を解決するためのグループである。プロジェクトメンバーは、プロジェクトを管轄する組織の組織メンバーから選任(アサイン)される。組織リーダーは、組織メンバーおよび複数のプロジェクトを統括する責任者であり、例えば、課長、部長、経営者などである。なお、組織リーダーは、いずれかのプロジェクトのリーダーなどとして、いずれかのプロジェクトに所属することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクトとは、独自のプロダクトやサービスを創造するために実施する有期性のある業務である。また、プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功裏に完了させることを目指して行われる活動のことである。プロジェクトは、その目的や内容などに応じて、様々な特性を有し得る。例えば、実現すべきことや生成すべき成果物が明確で、短期間かつ高品質に完了させることが求められるプロジェクトもあれば、世の中に無い新たなサービスを生み出すために、革新的な思考や革新的な手順が想到されないと達成されないプロジェクトもある。
【0005】
したがって、プロジェクトの特性ごとに、プロジェクトメンバーとして選任する組織メンバーに求められるスキルが異なり得る。そこで、各プロジェクトに所属させる組織メンバーのスキルを把握することが望まれる。しかしながら、各組織メンバーのスキルを把握することは困難である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、各プロジェクトに所属させる組織メンバーのスキルを把握することができるスキル診断装置、スキル診断方法、およびスキル診断プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスキル診断装置は、プロジェクトマネジメントに関するスキル診断のための質問を格納している質問格納部と、前記質問格納部から前記スキル診断のための質問を読み込み、組織メンバーが使用する第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取る診断実行部と、前記第1端末から受け取った回答結果を格納する回答結果格納部と、前記回答結果格納部が格納している回答結果に基づいて、前記組織メンバーのスキルを診断する診断部と、前記診断部の診断結果を出力する出力部と、を備え、前記診断結果は、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性を表す人財タイプの分類を含むことを特徴とする。
【0008】
上記スキル診断装置において、前記スキル診断のための質問は、コンピテンシーを把握するための質問を含み、前記診断部は、前記回答結果格納部が格納している回答結果のうち、前記コンピテンシーを把握するための質問に対する回答結果に基づいて、前記人財タイプを診断してもよい。
【0009】
上記スキル診断装置において、前記診断実行部は、前記コンピテンシーを把握するための質問のうちの少なくとも一部を、前記組織メンバー以外のメンバーが使用する第2端末に送信し、前記第2端末から各質問に対する回答結果を受け取り、前記診断部は、前記第2端末から受け取った回答結果を、前記人財タイプの診断に反映させてもよい。
【0010】
上記スキル診断装置において、前記診断結果は、前記プロジェクトマネジメントに関する知識および経験についてのスキルレベルを含んでいてもよい。
【0011】
上記スキル診断装置において、前記質問格納部は、前記組織メンバーの、プロジェクトに対するメンタル状況を把握するための質問を格納し、前記診断実行部は、前記質問格納部から前記メンタル状況を把握するための質問を読み込み、前記第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取り、前記診断部は、前記回答結果格納部が格納している回答結果のうち、前記メンタル状況を把握するための質問に対する回答結果に基づいて、前記組織メンバーのメンタル状況を診断してもよい。
【0012】
上記スキル診断装置において、前記出力部は、前記診断部の診断結果を、前記第1端末に送信してもよい。
【0013】
上記スキル診断装置において、前記出力部は、前記診断部による前記組織メンバーに対する過去の診断結果を前記第1端末に送信してもよい。
【0014】
上記スキル診断装置において、前記出力部は、いずれかの端末からの要求に応じて、特定のプロジェクトに所属する複数の組織メンバーについての前記診断部による診断結果の集計結果を、前記いずれかの端末に送信してもよい。
【0015】
上記スキル診断装置において、前記出力部は、プロジェクトの特性ごとに定められた、人財タイプの割合を前記いずれかの端末に送信してもよい。
【0016】
上記スキル診断装置は、複数の組織メンバーが所属する特定のプロジェクトにおける前記複数の組織メンバーについて前記診断部によって診断された前記人財タイプの分類と、前記特定のプロジェクトの特性ごとに定められた人財タイプの割合との対比判定を行なう判定部を備えていてもよい。
【0017】
本発明に係るスキル診断方法は、プロジェクトマネジメントに関するスキル診断のための質問を格納している質問格納部から前記スキル診断のための質問を読み込み、組織メンバーが使用する第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取る処理と、前記第1端末から受け取った回答結果を格納する処理と、格納した前記回答結果に基づいて、前記組織メンバーのスキルを診断する処理と、診断結果を出力する処理と、をコンピュータが実行し、前記診断結果は、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性を表す人財タイプの分類を含むことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るスキル診断プログラムは、コンピュータに、プロジェクトマネジメントに関するスキル診断のための質問を格納している質問格納部から前記スキル診断のための質問を読み込み、組織メンバーが使用する第1端末に送信し、前記第1端末から各質問に対する回答結果を受け取る処理と、前記第1端末から受け取った回答結果を格納する処理と、格納した前記回答結果に基づいて、前記組織メンバーのスキルを診断する処理と、診断結果を出力する処理と、を実行させ、前記診断結果は、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性を表す人財タイプの分類を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、各プロジェクトに所属させる組織メンバーのスキルを把握することができるスキル診断装置、スキル診断方法、およびスキル診断プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】スキル診断における各用語の定義について説明するための図である。
【
図2】スキル診断を行なう目的を例示する図である。
【
図3】スキル診断について説明するための図である。
【
図4】プロジェクトマネジメントに求められる知識および経験について説明するための図である。
【
図5】プロジェクトマネジメントに求められるコンピテンシーについて説明するための図である。
【
図6】プロジェクトマネジメントに求められるコンピテンシーについて説明するための図である。
【
図7】実施形態に係るスキル診断システムのブロック図である。
【
図8】(a)はメンバー端末、スキル診断装置、および組織リーダー端末のブロック図であり、(b)はスキル診断装置のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【
図9】質問格納部が格納している質問データベースを例示する図である。
【
図10】表示装置に表示されたスキル診断画面を例示する図である。
【
図11】表示装置に表示されたメンタル診断画面を例示する図である。
【
図12】回答結果格納部が格納する入力結果データベースを例示する図である。
【
図14】表示装置に表示される個人診断結果の画面を例示する図である。
【
図15】表示装置に表示される個人診断結果の画面を例示する図である。
【
図16】表示装置に表示されるプロジェクト診断結果の画面を例示する図である。
【
図17】表示装置に表示されるプロジェクト診断結果の画面を例示する図である。
【
図18】表示装置に表示されるプロジェクト診断結果の画面を例示する図である。
【
図19】表示装置に表示されるプロジェクト診断結果の画面を例示する図である。
【
図20】表示装置に表示される組織診断結果の画面を例示する図である。
【
図21】表示装置に表示される組織診断結果の画面を例示する図である。
【
図22】表示装置に表示される組織診断結果の画面を例示する図である。
【
図23】表示装置に表示される組織診断結果の画面を例示する図である。
【
図24】スキル診断装置が実行する処理の一例を表すフローチャートである。
【
図25】スキル診断装置が実行する処理の一例を表すフローチャートである。
【
図27】予め定められた人財タイプの割合を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0022】
まず、本実施形態に係るスキル診断における各用語の定義について説明する。
図1で例示するように、「スキル」とは、プロジェクトマネジメントに対する知識、経験、およびコンピテンシーを保有し、実際のプロジェクトで適切に実践できる技能や技術のことである。
【0023】
「知識」とは、プロジェクトマネジメントの体系、技法、実践方法、およびアウトプットについて認識・理解していることである。プロジェクトマネジメントの体系、技法、実践方法、およびアウトプットについて、実践できるかは問われないものである。
【0024】
「経験」とは、プロジェクトに参画し、実際に見る、聞く、行動することにより得られた技能のことである。これらの技能について、再現できるかは問われないものである。
【0025】
「コンピテンシー」とは、高いパフォーマンスを発揮し、成果を生み出すために、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性のことである。コンピテンシーは、再現性を高める要素である。
【0026】
図2は、スキル診断を行なう目的を例示する図である。
図2で例示するように、組織メンバー個人に対するスキル診断は、プロジェクトマネジメントに関する自身のスキルを把握し、自己成長の参考情報とすることが目的である。また、プロジェクトに配属された組織メンバー個人に対するメンタル診断は、プロジェクトに配属された組織メンバーが自身のメンタル状況を把握することが目的である。
【0027】
組織メンバーに対するスキル診断は、プロジェクトマネジメントに関する組織メンバーそれぞれのスキルを把握し、メンバーの育成や、プロジェクトへのアサインの参考情報とすることが目的である。アサインとは、各プロジェクトへの各メンバーの配属のことである。また、各プロジェクトに対するメンタル診断は、プロジェクトに配属された組織メンバーのメンタル状況を収集し、プロジェクトと組織メンバーの状況を把握し、各組織メンバーがプロジェクトを遂行するためのメンタル環境が整っているか否かを把握することである。
【0028】
複数のプロジェクトを抱える組織に対するスキル診断は、プロジェクトマネジメントに関するメンバーそれぞれのスキルを把握し、各メンバーの育成計画の参考情報とすることが目的である。また、複数のプロジェクトを抱える組織に対するスキル診断は、プロジェクトマネジメントに関する組織全体のスキルを把握し、組織のマネジメント力強化の参考情報とすることも目的である。
【0029】
上述したように、「スキル」とは、プロジェクトマネジメントに対する知識、経験、およびコンピテンシーを保有し、実際のプロジェクトで適切に実践できる技能や技術のことであるため、
図3で例示するように、スキル診断は、知識、経験、およびコンピテンシーを基準化し、各レベルを総合的に評価することによって実現することができる。さらに、診断されたスキルに対し、プロジェクトを取り巻く環境などの外的要因を付加することで、各プロジェクトの成果・結果を評価することができるようになる。
【0030】
プロジェクトマネジメントに求められる知識および経験は、
図4で例示するように、5つの領域に分けることができる。5つの領域とは、「プロジェクトマネジメント」、「インダストリー/業務」、「テクノロジー/メソトロジー」、「ビジネスマネジメント」、および「パーソナルマネジメント」である。「プロジェクトマネジメント」の知識および経験は、プロジェクトマネジメントに最も主要な知識および経験であり、自己流の知識だけでなく、普遍的で体系的なプロジェクトマネジメントの知識である。「インダストリー/業務」の知識および経験は、エンドユーザとの良好なコミュニケーションや適切なシステムを構築するために、対象とする業界や業種、業務についての知識である。「テクノロジー/メソトロジー」の知識および経験は、プロジェクトで使用するハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのIT知識と、設計技法、テスト技法、見積り技法などのソフトウェアエンジニアリング知識とを含む。「ビジネスマネジメント」の知識および経験は、お客様との良好なリレーション、新規プロジェクトの提案、プロジェクト遂行上で発生するビジネスリスクの回避・軽減、契約や関連法規などのビジネスマネジメントに関する知識である。「パーソナルマネジメント」の知識および経験は、リーダーシップ、コミュニケーションやネゴシエーションなどの知識や、プロジェクトチームとしての組織を運営管理するための知識である。
【0031】
これらの5つの領域のうち、「ビジネスマネジメント」および「パーソナルマネジメント」は、コンピテンシーとの関係性が強いため、本実施形態においては、知識・経験ではなくコンピテンシーの結果と連動させる。
【0032】
本実施形態においては、
図5で例示するように、プロジェクトマネジメントに求められるコンピテンシーを、「ビジネスマネジメント」および「パーソナルマネジメント」の観点以外に、さらに6領域とする。6領域とは、「コミュニケーティング」、「リーディング」、「マネージング」、「エフェクティブネス(効果性)」、「コグニティブアビリティ(認知力)」、および「プロフェッショナリズム」である。
【0033】
図6で例示するように、「コミュニケーティング」は、「コミュニケーション」および「ネゴシエーション」をスキル種別に含む。「コミュニケーション」は、コミュニケーション目的に応じ、最適なコミュニケーションチャネル、技法(ドキュメンテーション、プレゼンテーション)を駆使し、またタイミングを考慮した、情報・メッセージの受発信を行い、その理解・浸透の効果を高めることである。「ネゴシエーション」は、目的達成のために自社・プロジェクト遂行者の利害だけでなく、相手の利害を損なうことなく関係性を作り、合意形成することである。
【0034】
「リーディング」は、「ビジョニング」、「チーム活性力」、「率先垂範」、および「動機づけ」をスキル種別に含む。「ビジョニング」は、プロジェクトの使命・存在意義を深く理解し、その実現のために進むべき方向(ビジョン)を発信することである。「チーム活性力」は、組織の生産性を向上させるために相互の信頼関係の構築を行うと共に、過酷な状況にあってもポジティブな感情を自身が作り出し、メンバーにも働きかけた上で建設的な雰囲気を醸成することである。「率先垂範」は、目標達成のために、必要と判断したことに対しては自発的に行動を起こし、周囲の人々の結束を主導することである。「動機づけ」は、賞罰・表彰・賞賛といった外的動機づけのみならず、部下の特性を把握し、価値観、好奇心、関心に働きかけることにより、メンバーのモチベーションを引き出すことである。
【0035】
「マネージング」は、「計画性」および「モニタリング」をスキル種別に含む。「計画性」は、経営資源の配分や、仕事の進め方、期日、遂行メンバーを明確化することである。「モニタリング」は、目標達成を確実にするために定期的なモニタリング(調達・成果物・品質・コスト・納期・進捗など)を行い、計画との差異を分析し、必要な軌道修正を行うことである。
【0036】
「エフェクティブネス(効果性)」は、「コンフリクトマネジメント」、「関係調整力」、および「判断力」をスキル種別に含む。「コンフリクトマネジメント」は、生産性、チームワークを維持・向上させるために、様々なコンフリクトについてステークホルダーを巻き込みながら、対応方針の明確化、情報共有、コミュニケーションプランの見直し等を行うことである。「関係調整力」は、組織の文化や公式/非公式のパワー、コミュニケーションチャネルを的確に把握し、業務を遂行する上で最適な対応をとることである。「判断力」は、適切な判断軸と解決オプションを想定した上で、効果的なタイミングで意思決定を行うことである。
【0037】
「コグニティブアビリティ(認知力)」は、「全体的戦略視点」、「情報収集」、「問題発見力」、および「問題解決力」をスキル種別に含む。「全体的戦略視点」は、様々な事象を捉える際に、自分の所属している組織や短期的な視点・メリットではなく、関係者全体を俯瞰的に見私、中長期的な視点を持った捉え方ができることである。「情報収集」は、あらゆる情報源や情報ルートを確立し、プロジェクトの遂行、意思決定で必要となる情報を早く正確に、かつ幅広く集めることである。「問題発見力」は、収拾した情報を分析し、プロジェクトが成功するために解決すべき問題・リスクを早期に予期、発見することである。「問題解決力」は、プロジェクトの問題に対してタイミングや効果を評価し、最適なソリューションを見つけ出すことである。
【0038】
「プロフェッショナリズム」は、「責任感」、「倫理観・誠実性」、および「多様性の尊重」をスキル種別に含む。「責任感」は、自分に与えられた仕事や役割、達成すべきゴールに向けて強い使命感やこだわりを持って最後まで成し遂げることである。「倫理観・誠実性」は、善悪・正邪の判断に置いて普遍的な基準を持っていると共に、企業活動に於いて法律を熟知し、自分自身が業務遂行する際にも、厳格に順守する姿勢を示すことである。「多様性の尊重」は、国籍/文化/性格などの違いによる様々な考え方やスタイルの違いを認め、尊重し、それらを考慮した適切な対応、行動をとることである。
【0039】
図7は、実施形態に係るスキル診断システム100のブロック図である。
図7で例示するように、スキル診断システム100は、1以上のメンバー端末10(第1端末)がインターネットなどの電気通信回線40を介してスキル診断装置20と接続され、1以上の組織リーダー端末30(第2端末)が電気通信回線40を介してスキル診断装置20と接続された構成を有する。メンバー端末10は、電気通信回線40を介して、スキル診断装置20との間で情報を送受信する。組織リーダー端末30は、電気通信回線40を介して、スキル診断装置20との間で情報を送受信する。メンバー端末10および組織リーダー端末30は、デスクトップPC、ノートPCなどの端末であってもよく、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。スキル診断装置20は、サーバなどである。電気通信回線40は、有線と無線とが混在した構成を有していてもよい。
【0040】
図8(a)は、メンバー端末10、スキル診断装置20、および組織リーダー端末30のブロック図である。
図8(a)で例示するように、メンバー端末10は、入力装置11、表示装置12などを備えている。組織リーダー端末30は、入力装置31、表示装置32などを備えている。入力装置11,31は、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。表示装置32は、液晶ディスプレイなどである。スキル診断装置20は、質問格納部21、診断実行部22、回答結果格納部23、スキル診断部24、メンタル診断部25、タイプ診断部26、出力部27、判定部28などを備える。
【0041】
図8(b)は、スキル診断装置20のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
図8(b)で例示するように、スキル診断装置20は、CPU101、RAM102、記憶装置103、通信装置104、入力機器105などを備える。これらの各機器は、バスなどによって接続されている。CPU(Central Processing Unit)101は、中央演算処理装置である。RAM(Random Access Memory)102は、CPU101が実行するプログラム、CPU101が処理するデータなどを一時的に記憶する揮発性メモリである。記憶装置103は、不揮発性記憶装置である。記憶装置103として、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどのソリッド・ステート・ドライブ(SSD)、ハードディスクドライブに駆動されるハードディスクなどを用いることができる。記憶装置103に記憶されているスキル診断プログラムをCPU101が実行することによって、スキル診断装置20の各部の機能が実現される。なお、スキル診断装置20の各部の機能は、それぞれ専用の回路等によって構成されていてもよい。通信装置104は、電気通信回線40に対するインタフェースである。入力機器105は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置である。
【0042】
質問格納部21は、質問を格納している。質問格納部21が格納している質問は、スキル診断のための質問と、メンタル診断のための質問とを含む。スキル診断のための質問は、知識の質問、経験の質問、コンピテンシーの質問の3つに分類される。知識の質問は、プロジェクトマネジメントに関する知識についてのスキルレベルを把握するための質問である。経験の質問は、プロジェクトマネジメントに関する経験についてのスキルレベルを把握するための質問である。コンピテンシーの質問は、組織メンバーのコンピテンシーを把握するための質問である。なお、コンピテンシーの質問は、プロジェクトに所属する組織メンバーが回答するものと、当該組織メンバー以外の人(例えば、当該組織メンバーの上長である組織リーダー)が当該組織メンバーについて回答するものと、を含んでいる。メンタル診断のための質問は、各組織メンバーのメンタル状況を把握するための質問である。
【0043】
図9は、質問格納部21が格納している質問データベースを例示する図である。
図9で例示するように、質問IDに、質問種別と、質問に答える回答者と、質問内容とが関連付けて格納されている。質問種別は、知識、経験、コンピテンシー、およびメンタル状況のいずれかである。質問IDは、各質問を識別するための識別子である。
【0044】
診断実行部22は、スキル診断を開始するか否かを判断する。例えば、診断実行部22は、組織メンバーからメンバー端末10を介して要求があった場合に、当該組織メンバーに対してスキル診断を開始する。または、診断実行部22は、予め定められた日数周期に基づいて、指定された組織メンバーに対してスキル診断を開始する。または、診断実行部22は、組織リーダーから組織リーダー端末30を介して要求があった場合に、組織リーダーから指定された組織メンバーに対してスキル診断を開始する。その他、診断実行部22は、要求に応じてスキル診断を開始するか否かを判断する。
【0045】
診断実行部22は、質問格納部21が格納している知識の質問、経験の質問、およびコンピテンシーの質問を読み込み、メンバー端末10の表示装置12に表示させる。コンピテンシーの質問については、組織メンバーが回答する質問だけが表示される。
図10は、表示装置12に表示されたスキル診断画面を例示する図である。
図10で例示するように、表示装置12には、各質問が順次表示される。組織メンバーは、メンバー端末10の入力装置11を用いて、各質問に対する回答を選択または入力する。
【0046】
次に、診断実行部22は、質問格納部21が格納しているメンタル診断のための質問を読み込み、表示装置12に表示させる。
図11は、表示装置12に表示されたメンタル診断画面を例示する図である。
図11で例示するように、表示装置12には、各質問が順次表示される。組織メンバーは、入力装置11を用いて各質問に対する回答を選択または入力する。
【0047】
次に、診断実行部22は、質問格納部21が格納しているコンピテンシーの質問のうち、組織メンバーの上長である組織リーダーが回答する質問を読み込み、組織リーダー端末30の表示装置32に表示させる。例えば、
図10で例示したような画面であって、組織リーダーが回答する質問を含む画面が表示される。組織リーダーは、組織リーダー端末30の入力装置31を用いて、各質問に対する回答を選択または入力する。
【0048】
回答結果格納部23は、入力装置11を介して入力された回答を格納する。
図12は、回答結果格納部23が格納する入力結果データベースを例示する図である。
図12で例示するように、診断IDに、診断日時と、メンバーIDと、組織リーダーIDと、質問IDと、入力された回答結果とが関連付けて格納されている。診断IDは、各診断を識別するための識別子である。メンバーIDは、各組織メンバーを識別するための識別子である。組織リーダーIDは、各組織リーダーを識別するための識別子である。回答結果格納部23は、スキル診断とメンタル診断とが行われた回数分の診断IDについて、
図12のような入力結果データベースを格納している。
【0049】
次に、スキル診断部24は、回答結果格納部23から、特定のスキル診断IDについての回答結果を読み込み、所定のアルゴリズムを用いて、
図4で例示した5つの領域ごとに、当該回答結果に対応するスキルレベルを取得する。例えば、スキル診断部24は、質問に対する回答を点数化する。この場合、例えば、スキルレベルが高いほど点数が高くなるようにする。コンピテンシーについては、点数化ではなく、行動特性が高い順に
図6で示したスキル種別を順位で表している。
【0050】
次に、メンタル診断部25は、回答結果格納部23から、当該特定の診断IDについての回答結果を読み込み、所定のアルゴリズムを用いて、所定のメンタル種別ごとに、当該回答結果に対応するメンタル状況を取得する。例えば、質問に対する回答を点数化する。この場合、例えば、メンタル状況が良好であるほど点数が高くなるようにする。
【0051】
次に、タイプ診断部26は、回答結果格納部23から、当該特定の診断IDについての回答結果を読み込み、所定のアルゴリズムを用いて、当該組織メンバーを複数の人財タイプのいずれかに分類する。例えば、コンピテンシーの質問に対する回答結果に、具体的な行動を起こすことができる能力または行動特性が現れやすいため、コンピテンシーの質問に対する回答結果を用いて組織メンバーを複数の人財タイプのいずれかに分類することができる。本実施形態においては、組織メンバーを7つのタイプに分類する。例えば、7つのタイプは、「目標達成型」、「問題解決型」、「調和型」、「開拓者型」、「価値創造型」、「価値連鎖型」、「持続可能性型」を含む。
【0052】
図13は、各人財タイプを説明するための図である。
図13で例示するように、各人財タイプについて、人財イメージが説明されている。また、各人財タイプについて、特徴的なコンピテンシーが関連付けられている。
【0053】
次に、出力部27は、スキル診断部24によるスキル診断結果、メンタル診断部25によるメンタル診断結果、およびタイプ診断部26によるタイプ診断結果をメンバー端末10の表示装置12に表示する。
図14および
図15は、表示装置12に表示される個人診断結果の画面を例示する図である。
図14で例示するように、人財タイプが表示されている。これにより、各組織メンバーは、自身の人財タイプを把握することができる。また、
図14および
図15で例示するように、スキル診断結果が表示されている。具体的には、知識、経験、およびコンピテンシーのそれぞれについて、各スキル種別に対するスキルレベルが表示されている。これにより、各組織メンバーは、各スキル種別について、どの程度のスキルを身に付けているかを把握することができる。また、
図15で例示するように、メンタル診断結果が表示されている。これにより、各組織メンバーは、自身のメンタル状況を把握することができる。また、
図15で例示するように、当該組織メンバーについて、過去の診断結果からの履歴が表示されている。これにより、各組織メンバーは、診断結果を時系列で把握することができる。
【0054】
また、出力部27は、組織リーダー端末30からの要求により、
図14および
図15の画面を、組織リーダー端末30の表示装置32にも表示する。それにより、組織リーダーは、各組織メンバーの人財タイプ、スキル、およびメンタル状況について詳細に把握することができる。組織リーダーは、各組織メンバーの人財タイプ、スキルレベル、およびメンタル状況を参考にすることで、適切なアサインを実現することができる。例えば、組織リーダーは、組織メンバーから、プロジェクトのリーダー、サブリーダー、非リーダーなどを適切に選択することができるようになる。
【0055】
また、出力部27は、組織リーダー端末30からの要求により、プロジェクト単位で、プロジェクトに所属する組織メンバーのスキル診断部24によるスキル診断結果、メンタル診断部25によるメンタル状況診断結果、およびタイプ診断部26によるタイプ診断結果を組織リーダー端末30の表示装置32に表示する。組織リーダーは、プロジェクト単位で、適切な組織メンバーがアサインされているか否かを判断することができる。また、組織リーダーは、各組織メンバーのメンタル状況を参考にすることで、各組織メンバーがプロジェクトを遂行するためのメンタル環境が整っているか否かを判断することができるようになる。
【0056】
図16~
図19は、表示装置32に表示されるプロジェクト診断結果の画面を例示する図である。
図16で例示するように、プロジェクト単位で、知識と経験に関するスキルレベルの集計結果が表示されている。この場合のスキルレベルとして、例えば、プロジェクトに配属された各組織メンバーの各スキル種別のスキルレベルの合計値の、プロジェクトに配属された各組織メンバー間の統計値(相対値、平均値、中央値、最頻値など)を用いることができる。過去の診断結果からの履歴が表示されていてもよい。
【0057】
図17で例示するように、
図16に含まれるプロジェクトのうち、選択されたプロジェクトに所属する各組織メンバーの人財タイプ、スキルレベル、メンタル状況が表示されている。過去の診断結果からの履歴が表示されていてもよい。
【0058】
図18で例示するように、プロジェクト単位で、メンタル状況が表示されている。この場合のメンタル状況として、例えば、各プロジェクトに配属された組織メンバーの各メンタル種別のメンタルレベルの合計値の、各プロジェクトに配属された組織メンバー間の統計値(相対値、平均値、中央値、最頻値など)を用いることができる。過去の診断結果からの履歴が表示されていてもよい。
【0059】
図19で例示するように、
図18に含まれるプロジェクトのうち、選択されたプロジェクトに所属する各組織メンバーのメンタル状況が表示されている。
【0060】
また、出力部27は、組織リーダー端末30からの要求により、複数のプロジェクトを抱える組織単位で、組織に所属するメンバーのスキル診断部24によるスキル診断結果、メンタル診断部25によるメンタル状況診断結果、およびタイプ診断部26によるタイプ診断結果を組織リーダー端末30の表示装置32に表示する。
【0061】
図20~
図21は、表示装置32に表示される組織診断結果の画面を例示する図である。
図20で例示するように、組織単位で、知識と経験に関するスキルレベルの集計結果が表示されている。この場合のスキルレベルとして、例えば、各組織メンバーの各スキル種別のスキルレベルの合計値の、各組織メンバー間の統計値(相対値、平均値、中央値、最頻値など)を用いることができる。過去の診断結果からの履歴が表示されていてもよい。
【0062】
図21で例示するように、
図20に含まれる組織のうち、選択された組織に所属する各組織メンバーの人財タイプ、スキルレベル、メンタル状況が表示されている。過去の診断結果からの履歴が表示されていてもよい。
【0063】
図22で例示するように、組織単位で、メンタル状況が表示されている。この場合のメンタル状況として、例えば、各組織メンバーの各メンタル種別のメンタルレベルの合計値の、各組織メンバー間の統計値(平均値、中央値、最頻値など)を用いることができる。過去の診断結果からの履歴が表示されていてもよい。
【0064】
図23で例示するように、
図22に含まれるプロジェクトのうち、選択されたプロジェクトに所属する各組織メンバーのメンタル状況が表示されている。
【0065】
図24は、スキル診断装置20が実行する処理の一例を表すフローチャートである。
図24で例示するように、診断実行部22は、質問格納部21が格納している知識の質問、経験の質問、およびコンピテンシーの質問を読み込み、指定されたメンバー端末10の表示装置12に表示させる(ステップS1)。この場合において、診断実行部22は、コンピテンシーの質問については、組織メンバーが回答する質問だけを読み込んで表示装置12に表示させる。組織メンバーは、メンバー端末10の入力装置11を用いて、各質問に対する回答を選択または入力することになる。入力された回答は、回答結果格納部23が格納する。
【0066】
次に、診断実行部22は、ステップS1で表示された全ての質問についての回答が入力されたか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2で「No」と判定された場合、所定時間が経過した後に、ステップS2が再度実行される。
【0067】
ステップS2で「Yes」と判定された場合、診断実行部22は、質問格納部21が格納しているメンタル状況の質問を読み込み、表示装置12に表示させる(ステップS3)。プロジェクトに所属する組織メンバーは、メンバー端末10の入力装置11を用いて、各質問に対する回答を選択または入力することになる。入力された回答は、回答結果格納部23が格納する。
【0068】
次に、診断実行部22は、ステップS3で表示された全ての質問についての回答が入力されたか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4で「No」と判定された場合、所定時間が経過した後に、ステップS4が再度実行される。
【0069】
ステップS4で「Yes」と判定された場合、診断実行部22は、質問格納部21が格納しているコンピテンシーの質問のうち、当該組織メンバーの上長である組織リーダーが回答する質問を読み込み、組織リーダー端末30の表示装置32に表示させる(ステップS5)。組織リーダーは、組織リーダー端末30の入力装置31を用いて、各質問に対する回答を入力することになる。入力された回答は、回答結果格納部23が格納する。
【0070】
次に、診断実行部22は、ステップS5で表示された全ての質問について回答が入力されたか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6で「No」と判定された場合、所定時間が経過した後に、ステップS6が再度実行される。
【0071】
次に、スキル診断部24は、回答結果格納部23から回答結果を読み込み、所定のアルゴリズムを用いて、
図6で例示したスキル種別ごとに、当該回答結果に対応するスキルレベルを取得する(ステップS7)。
【0072】
次に、メンタル診断部25は、回答結果格納部23から回答結果を読み込み、所定のアルゴリズムを用いて、所定のメンタル種別ごとに、当該回答結果に対応するメンタル状況を取得する(ステップS8)。
【0073】
次に、タイプ診断部26は、回答結果格納部23から回答結果を読み込み、所定のアルゴリズムを用いて、当該組織メンバーを複数の人財タイプのいずれかに分類する(ステップS9)。
【0074】
次に、出力部27は、スキル診断部24によるスキル診断結果、メンタル診断部25によるメンタル状況診断結果、およびタイプ診断部26によるタイプ診断結果をメンバー端末10の表示装置12に表示する(ステップS10)。
【0075】
図25は、スキル診断装置20が実行する処理の一例を表すフローチャートである。出力部27は、組織リーダー端末30から、スキル診断結果の表示を要求されたか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11で「No」と判定された場合、出力部27は、所定時間後にステップS11を再度実行する。
【0076】
ステップS11で「Yes」と判定された場合、出力部27は、指定されたスキル診断結果を当該組織リーダー端末30の表示装置32に表示させる(ステップS12)。
【0077】
本実施形態によれば、各プロジェクトに所属させる組織メンバーのスキル種別ごとのスキルレベルおよび人財タイプを把握することができる。それにより、組織リーダーによる適切なアサインが可能となる。
図26は、組織リーダー端末30の表示装置32に表示されるアサインを例示する図である。
図26で例示するように、組織リーダーが入力装置31を用いて所定のプロジェクト(
図26では革新的ロボットプロジェクト)について、複数の組織メンバーを入力してみる。出力部27は、当該所定のプロジェクトについて、各スキル種別に求められるスキルレベルを表示装置32に表示させる。また、出力部27は、入力された複数の組織メンバーの各スキル種別の(相対値、平均値、中央値、最頻値など)を「ユーザー合計」として表示装置32に表示させる。それにより、組織リーダーは、当該所定のプロジェクトについて、プロジェクトにアサインする組織メンバーの全体的なスキルレベルが、求められるスキルレベルに達しているか否かを判断することができる。
【0078】
また、出力部27は、プロジェクトの特性ごとに予め定められた、プロジェクトマネジメントチームに相応しい人財タイプの割合をいずれかの端末に送信してもよい。例えば、出力部27は、人財タイプの割合を組織リーダー端末30に送信してもよい。この場合、表示装置32に人財タイプの割合が表示される。
図27は、予め定められた人財タイプの割合を例示する図である。組織リーダーは、
図27の人財タイプの割合と、
図26で表示されている各プロジェクトメンバーの人財タイプとを対比することで、適切なアサインが実現できているか否かを判断することができる。
【0079】
なお、人財タイプの割合について、判定部28が自動的に判定してもよい。例えば、判定部28は、複数のプロジェクトメンバーが所属する特定のプロジェクトにおける複数のプロジェクトメンバーについてタイプ診断部26によって診断された人財分類と、特定のプロジェクトの特性ごとに定められた人財タイプの割合との対比判定を行なってもよい。例えば、判定部28は、両者の人財タイプの割合の類似度が高いほど、適切なアサインがなされていることを表す情報を表示装置32に表示させてもよい。
【0080】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 メンバー端末
11 入力装置
12 表示装置
20 スキル診断装置
21 質問格納部
22 診断実行部
23 回答結果格納部
24 スキル診断部
25 メンタル診断部
26 タイプ診断部
27 出力部
28 判定部
30 組織リーダー端末
31 入力装置
32 表示装置
40 電気通信回線
100 スキル診断システム
101 CPU
102 RAM
103 記憶装置
104 通信装置
105 入力機器