(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062392
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】燃料デリバリパイプ
(51)【国際特許分類】
F02M 55/02 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
F02M55/02 310Z
F02M55/02 350D
F02M55/02 350H
F02M55/02 360Z
F02M55/02 360A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172339
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000113942
【氏名又は名称】マルヤス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】大河内 翔太
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴登
(72)【発明者】
【氏名】竹井 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 和裕
【テーマコード(参考)】
3G066
【Fターム(参考)】
3G066AB02
3G066AC09
3G066AD05
3G066BA12
3G066BA22
3G066BA30
3G066BA47
3G066BA54
3G066CB05
3G066CB19
(57)【要約】
【課題】噴射弁ソケットと取付ブラケットとが配置される部分の強度と、燃料の脈動を吸収する脈動吸収機能との両方を高くすることを目的とする。
【解決手段】燃料デリバリパイプ10は、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケース20と、上側ケース20の下側の開口を塞ぐ底壁部31を少なくとも有した上側ケース20の下側を覆う下側ケース30と、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aに設けられて上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両端部を塞ぐ栓部材41,42と、下側ケース30に設けられた複数の噴射弁ソケット43と、下側ケース30に設けられてエンジンに取り付けるための取付ブラケット44とを備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方から他方を長手方向として延びる上壁部とこの上壁部の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケースと、
前記上側ケースの下側の開口を塞ぐ底壁部を少なくとも有して前記上側ケースとの間に燃料が通過する燃料通路が形成されるように前記上側ケースの下側を覆う下側ケースと、
前記上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部に設けられて前記上側及び下側ケースの間に形成される燃料通路の長手方向の両端部を塞ぐ栓部材と、
前記下側ケースに設けられて燃料噴射弁が液密に連結されて前記燃料通路と連通する噴射弁挿入穴を有する複数の噴射弁ソケットと、
前記下側ケースに設けられてエンジンに取り付けるための取付ブラケットとを備えたことを特徴とする燃料デリバリパイプ。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料デリバリパイプにおいて、
前記下側ケースは底壁部の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部を有して長手方向の両端と上側が開いており、前記下側ケースの側壁部の内周面に前記上側ケースの側壁部の下部の外周面を嵌合させたものであって、
前記上側ケースの長手方向の両端部には側壁部の下端部を前記下側ケースの底壁部まで突出させる突出部が形成されるとともに、前記下側ケースの長手方向の両端部には底壁部と側壁部との角部に曲面の潰し加工部が形成され、
前記上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部の内周面に前記栓部材として内栓部材を嵌合させて前記上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部を塞いだことを特徴とする燃料デリバリパイプ。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料デリバリパイプにおいて、
前記下側ケースは底壁部の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部を有して長手方向の両端と上側が開いており、前記下側ケースの側壁部の内周面に前記上側ケースの側壁部の下部の外周面を嵌合させたものであって、
前記上側ケースの長手方向の両端部には側壁部の下端を他の部分よりも下方に突出させる突出部が形成され、前記下側ケースの側壁部の下部の少なくとも長手方向の両端部には前記上側ケースと同じ幅となるように内側に凹ませて前記下側ケースの幅を狭くした幅狭部が形成されるとともに、前記下側ケースの側壁部の長手方向の両端部には少なくとも前記幅狭部よりも外側に広がる部分を切り欠いて前記突出部を前記幅狭部に段差なく連続させる切欠部が形成され、
前記上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部の前記突出部が前記幅狭部と連続する部分を含めた外周面に前記栓部材として外栓部材を嵌合させて前記上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部を塞いだことを特徴とする燃料デリバリパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多気筒エンジンの燃焼室内に燃料を噴射する場合に使用する燃料デリバリパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には多気筒エンジンの燃焼室内に燃料を噴射する場合に使用する燃料デリバリパイプの発明が開示されている。特許文献1の燃料デリバリパイプは、燃料ポンプから燃料が供給される燃料通路が内部に形成されたメインパイプと、このメインパイプに一体的に設けられて燃料噴射弁が液密に連結される噴射弁挿入穴を有する3つの噴射弁ソケットと、メインパイプに一体的に設けられてメインパイプをエンジンに取り付けるための2つの取付ブラケットとを備えている。特許文献1の燃料デリバリパイプにおいてはメインパイプは内部に燃料が通過する燃料通路が形成された中空の真直管材を用いたものであり、メインパイプの内部の燃料通路は長手方向の両端部に設けた蓋体によって塞がれている。また、メインパイプは、長手方向と直交する方向の断面形状が略長方形となっており、長手方向と水平方向にて直交する幅方向の両側面が燃料通路内の燃料圧力の脈動を吸収する脈動吸収面となっている。
【0003】
特許文献2の燃料デリバリパイプは、上側が開放された下部ケースと、下部ケースの上側を液密に覆って下部ケースとの間に燃料ポンプから供給される所定圧の燃料が充満される内部空間を形成する上部ケースと、下部ケースに一体的に設けられて燃料噴射弁が連結される噴射弁挿入穴を有する3つの噴射弁ソケットと、下部ケースに一体的に設けられてエンジンに取り付けるための2つの取付ブラケットとを備えている。この燃料デリバリパイプにおいては、上部ケースの上面の一部が燃料通路内の燃料圧力の脈動を吸収する脈動吸収面となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-159302号公報
【特許文献2】特開2009-197596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の燃料デリバリパイプにおいては、噴射弁ソケットと取付ブラケットとが配置される部分の強度を高くすることと、燃料圧力の脈動を吸収する脈動吸収機能を高くすることが求められている。特許文献1の燃料デリバリパイプおいては、メインパイプは周方向の厚みが一定の真直管材を用いたものであり、メインパイプの内部の燃料通路は長手方向の両端部に設けた蓋体によって塞がれている。このデリバリパイプにおいては、メインパイプの下部に噴射弁ソケットと取付ブラケットとが固着されているので、メインパイプの強度を高くするためにメインパイプの厚みを厚くしておく必要がある。しかし、メインパイプの厚みを厚くすると、メインパイプの一部の側面で十分に燃料圧力の脈動を吸収する脈動吸収機能を発揮できなくなる。このように、周方向の厚みが一定の真直管材の内部に燃料通路を形成するようにした燃料デリバリパイプでは、噴射弁ソケットと取付ブラケットとが配置される部分の強度を高くすることと、燃料圧力の脈動を吸収する脈動吸収機能を高くすることの両立が困難であった。
【0006】
また、特許文献2の燃料デリバリパイプにおいては、下部ケースは上部ケースと別体で構成されているので、下部ケースの厚みを厚くすることで噴射弁ソケットと取付ブラケットとを配設するための強度を高めるようにし、上部ケースの厚みを薄くすることで脈動吸収面による脈動吸収機能を有するようにすることができる。しかし、上部ケースは下部ケースとの間に燃料が充満される内部空間を形成するために下側に開いた略箱形をしているので、上部ケースの長手方向の端部に形成される角部が薄肉となることで応力集中が生じることになり、上部ケースの厚みを十分な脈動吸収機能を有するように薄くすることが容易ではなかった。本発明は、燃料デリバリパイプにおいて、噴射弁ソケットと取付ブラケットとが配置される部分の強度と、燃料の脈動を吸収する脈動吸収機能との両方を高くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、一方から他方を長手方向として延びる上壁部とこの上壁部の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケースと、上側ケースの下側の開口を塞ぐ底壁部を少なくとも有して上側ケースとの間に燃料が通過する燃料通路が形成されるように上側ケースの下側を覆う下側ケースと、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部に設けられて上側及び下側ケースの間に形成される燃料通路の長手方向の両端部を塞ぐ栓部材と、下側ケースに設けられて燃料噴射弁が液密に連結されて燃料通路と連通する噴射弁挿入穴を有する複数の噴射弁ソケットと、下側ケースに設けられてエンジンに取り付けるための取付ブラケットとを備えたことを特徴とする燃料デリバリパイプを提供するものである。
【0008】
上記のように構成した燃料デリバリパイプにおいては、上側ケースは、噴射弁ソケットと取付ブラケットとが設けられた下側ケースと別体で構成されているので、噴射弁ソケットと取付ブラケットとを配設するための強度を高めるために下側ケースの厚みを厚くしても、上側ケースの厚みを十分な脈動吸収機能を有するように薄くすることができる。また、上側及び下側ケースの間に形成される燃料通路の長手方向の両端部は栓部材によって塞がれているので、上側ケースの長手方向の両端部に薄肉となるような角部が形成されず、上側ケースの長手方向の両端部に応力集中が生じないようになり、上側ケースの厚みを十分な脈動吸収機能を有するように薄くすることができる。これによって、噴射弁ソケットと取付ブラケットとが配置される部分の強度と、燃料の脈動を吸収する脈動吸収機能との両方を高くすることができるようになる。
【0009】
この種の燃料デリバリパイプにおいては、内部に燃料通路が形成された真直管材の長手方向の両端部を栓部材により塞ぐようにしたものでは、真直管材の両端部と栓部材との間に隙間が生じにくい。これに対し、一方から他方を長手方向として延びる底壁部の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部を有して長手方向の両端と上側が開いた下側ケースの内側に、一方から他方を長手方向として延びる上壁部とこの上壁部の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケースを嵌合させ、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成される開口部に栓部材を設けるようにして、上側及び下側ケースの間に燃料通路を形成するようにしたものでは、上側及び下側ケースの間に形成される燃料通路の内周側及び外周側に上側及び下側ケースの重なり合う部分の端部に各ケースの板厚から生じる凹凸が生じ、上側及び下側ケースの長手方向の端部に形成される開口部を栓部材によって内周側または外周側から塞ぐようにしても、栓部材が各ケースの板厚から生じる凹凸の周囲を液密に塞ぎにくくなっている。
【0010】
これに対し、上記のように構成した燃料デリバリパイプにおいては、下側ケースは底壁部の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部を有して長手方向の両端と上側が開いており、下側ケースの側壁部の内周面に上側ケースの側壁部の下部の外周面を嵌合させたものであって、上側ケースの長手方向の両端部には側壁部の下端部を下側ケースの底壁部まで突出させる突出部が形成されるとともに、下側ケースの長手方向の両端部には底壁部と側壁部との角部に曲面の潰し加工部が形成され、上側及び下側ケースの長手方向の両端部の内周面に形成された開口部の栓部材として内栓部材を嵌合させて上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部を塞ぐようにしてもよい。
【0011】
このようにしたときには、上側及び下側ケースの長手方向の両端部は、上側ケースの側壁部の突出部が下側ケースの底壁部まで突出し、下側ケースの長手方向の両端部には底壁部と側壁部との角部に曲面が潰された潰し加工部が形成されており、上側及び下側ケースの長手方向の両端部では上側ケースの突出部の先端部が下側ケースの潰し加工部によって角部の底壁部に隙間なく当接するようになる。これにより、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成される開口部の内周面には、上側及び下側ケースの周方向に上側ケースの板厚から生じる凹凸が形成されないようになり、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成される開口部に内栓部材を隙間なく嵌合させることができ、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成される開口部は内栓部材によって液密に塞がれるようになる。
【0012】
上記のように構成した燃料デリバリパイプにおいては、下側ケースは底壁部の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部を有して長手方向の両端と上側が開いており、下側ケースの側壁部の内周面に上側ケースの側壁部の下部の外周面を嵌合させたものであって、上側ケースの長手方向の両端部には側壁部の下端を他の部分よりも下方に突出させる突出部が形成され、下側ケースの側壁部の下部の少なくとも長手方向の両端部には上側ケースと同じ幅となるように内側に凹ませて下側ケースの幅を狭くした幅狭部が形成されるとともに、下側ケースの側壁部の長手方向の両端部には少なくとも幅狭部よりも外側に広がる部分を切り欠いて突出部を幅狭部に段差なく連続させる切欠部が形成され、上側及び下側ケースの長手方向の端部に形成された開口部の突出部が幅狭部と連続する部分を含めた外周面に栓部材として外栓部材を嵌合させて上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成された開口部を塞ぐようにしてもよい。
【0013】
このようにしたときには、上側及び下側ケースの長手方向の両端部は、上側ケースの側壁部の突出部が下側ケースの側壁部の切欠部によって幅狭部と段差なく連続するようになる。これにより、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成される開口部の外周面には、上側及び下側ケースの周方向に下側ケースの板厚から生じる凹凸が形成されないようになり、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成される開口部の外周面に外栓部材を隙間なく嵌合させることができ、上側及び下側ケースの長手方向の両端部に形成される開口部は外栓部材によって液密に塞がれるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による燃料デリバリパイプの第1実施形態の正面図である。
【
図3】
図1の長手方向に沿った縦方向断面図である。
【
図6】燃料デリバリパイプの第1実施形態の変形例の
図3に相当する長手方向に沿った縦方向断面図である。
【
図7】本発明による燃料デリバリパイプの第2実施形態の正面図である。
【
図9】
図7の長手方向に沿った縦方向断面図である。
【
図12】燃料デリバリパイプの第2実施形態の変形例の
図9に相当する長手方向に沿った縦方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面により、本発明による燃料デリバリパイプの各実施形態の説明をする。
(第1実施形態)
第1実施形態の燃料デリバリパイプ10は、直列3気筒のエンジンに用いられるものであり、
図1~
図3に示したように、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケース20と、上側ケース20の下側の開口を塞ぐ底壁部31を少なくとも有して上側ケース20との間に燃料が通過する燃料通路40が形成されるように上側ケース20の下側を覆う下側ケース30と、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aに設けられて上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両端部を塞ぐ栓部材として内栓部材41,42とを備えている。
【0016】
図1~
図4に示したように、上側ケース20は、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有している。上側ケース20は、0.8mmの厚みの板金部材を下側が開いた溝形状にプレス加工したものを適宜な長さで切断したものであり、長手方向の両端と下側が開いたU字形の溝形状となっている。上側ケース20は、下側ケース30よりも厚さの薄い板金部材を用いたものであり、上壁部21及び両側の側壁部22で燃料の脈動を吸収する脈動吸収機能を有している。
図3及び
図5に示したように、上側ケース20の側壁部22の長手方向の両端部には下端部を下方に突出させる突出部22aが形成されており、突出部22aは下側ケース30の角部33の底壁部31まで突出している。なお、
図3では、上側ケース20の側壁部22の長手方向として図示左側の端部の突出部22aのみを拡大して図示しているが、側壁部22の長手方向として図示右側の端部にも突出部22aが同様に形成されている。
【0017】
図3~
図5に示したように、下側ケース30は、上側ケース20の下側の開口を塞ぐ底壁部31を有して上側ケース20との間に燃料が通過する燃料通路40が形成されるように上側ケース20の下側を覆うものである。この実施形態では、下側ケース30は、一方から他方を長手方向として延びる底壁部31と、底壁部31の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部32を有して長手方向の両端と上側が開いたU字形の溝形状をしている。下側ケース30は、強度を高くするために上側ケース20よりも厚さが厚い1.0mmの厚みの板金部材を浅いU字形の溝形状にプレス加工したものを適宜な長さで切断したものである。
【0018】
図3及び
図4に示したように、下側ケース30の底壁部31には噴射弁ソケット43を取り付けるための貫通孔よりなる3つの取付孔31aが形成されており、底壁部31の下面には各取付孔31aの位置に噴射弁ソケット43が固定されている。噴射弁ソケット43には燃料噴射弁(図示省略)が挿通される噴射弁挿入穴43aが形成されており、噴射弁挿入穴43aは取付孔31aを介して燃料通路40に連通接続されている。
図1~
図3に示したように、下側ケース30の底壁部31の下面にはエンジンに取り付けるための2つの取付ブラケット44が固定されており、左側の取付ブラケット44は左側と中央部の噴射弁ソケット43の間に配置され、右側の取付ブラケット44は中央部と右側の噴射弁ソケット43の間に配置されている。
【0019】
図1、
図4及び
図5に示したように、下側ケース30の側壁部32は、底壁部31の幅方向(長手方向と水平方向にて直交する方向)の両側の端部から鉛直方向上向きに延びており、側壁部32の上端部には外側に広がる外縁部32aが長手方向に沿って形成されている。側壁部32の上端部の外側に広がる外縁部32aは、上側及び下側ケース20,30をろう付けにより固着させるときにろう材を置きやすくしている。
図4に示したように、下側ケース30の底壁部31と側壁部32との間の角部33には曲面となるように曲げ加工部33aが形成され、この実施形態の曲げ加工部33aの外側の曲げ半径は2mm(内側の曲げ半径が1mm)となっている。
【0020】
図4及び
図5に示したように、下側ケース30の角部33の長手方向の両端部にはこの曲げ加工された部分を潰した潰し加工部33bが形成されている。この実施形態の潰し加工部33bは外側の曲げ半径が1.2mm(内側の曲げ半径が0.2mm)となるように潰し加工されている。
図4及び
図5では、
図3の側壁部33の左側の端部の潰し加工部33bを示しているが、
図3の側壁部の右側の端部にも
図4及び
図5と同様につぶし加工部33bが形成されている。下側ケース30の底壁部31と側壁部32との間の角部33には長手方向の両端部に曲げ加工した部分を潰した潰し加工部33bが形成されているので、上側ケース20の長手方向の両端部に形成された突出部22aは下側ケース30の角部33の底壁部31に隙間無く当接するようになる。このように、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの内周面には上側ケース20の板厚から生じる凹凸が形成されないようになる。なお、潰し加工部33bに残る僅かな曲面に当たらないようにするために、上側ケース20の突出部22aの先端部の外側の角部を切除するのが好ましい。
【0021】
図1~
図3に示したように、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aには栓部材として内栓部材41,42が設けられており、内栓部材41,42は上側及び下側ケース20,30の長手方向を厚み方向として上側及び下側ケース20,30の開口部20aと同じ略長方形のブロック形をしている。内栓部材41,42は、厚み方向の略半部が上側及び下側ケース20,30の長手方向の各々の端部に形成された開口部20aに嵌合され、上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両側を塞いでいる。
【0022】
上述したように、上側ケース20の側壁部22の突出部22aが、下側ケース30の角部33の潰し加工部33bが形成されている位置で底壁部31に隙間なく当接しているので、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの内周面には上側ケース20の板厚から生じる凹凸が形成されていない。上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部にて上側ケース20の板厚による凹凸が形成されていない開口部20aに内栓部材41,42が嵌合されているので、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aと内栓部材41,42との間に隙間が生じにくくなり、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部の開口部20aは内栓部材41,42によって液密に塞がれるようになる。また、
図3に示したように、この実施形態では、右側に配置される内栓部材41にはジョイント管部材45が貫挿されており、ジョイント管部材45には燃料ポンプから燃料が供給される燃料供給管(図示省略)が接続され、上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40には燃料ポンプ(図示省略)から燃料が供給される。
【0023】
この燃料デリバリパイプ10を製造するときには、下側ケース30の下面に3つの噴射弁ソケット43と2つの取付ブラケット44とを溶接等により仮止めし、この下側ケース30の内側に上側ケース20を嵌合させ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両方の端部の開口部20aに内栓部材41,42を嵌合させた状態で溶接等により仮止めする。下側ケース30に対して噴射弁ソケット43と取付ブラケット44と上側ケース20をろう付けするとともに、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aに内栓部材41,42をろう付けによって液密に固着させ、固着後に必要に応じて鍍金等の表面処理をする。
【0024】
上記のように構成した燃料デリバリパイプ10は、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケース20と、上側ケース20の下側の開口を塞ぐ底壁部31を少なくとも有して上側ケース20との間に燃料が通過する燃料通路40が形成されるように上側ケース20の下側を覆う下側ケース30と、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aに設けられて上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両端部を塞ぐ栓部材41,42と、下側ケース30に設けられて燃料噴射弁が液密に連結されて燃料通路と連通する噴射弁挿入穴43aを有する3つ(複数)の噴射弁ソケット43と、下側ケース30に設けられてエンジンに取り付けるための取付ブラケット44とを備えている。
【0025】
この燃料デリバリパイプ10においては、上側ケース20は、噴射弁ソケット43と取付ブラケット44とが設けられた下側ケース30と別体で構成されているので、噴射弁ソケット43と取付ブラケット44とを配設するための強度を高めるために下側ケース30の厚みを厚くしても、上側ケース20の厚みを十分な脈動吸収機能を有するように薄くすることができる。また、上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両端部に形成された開口部20aは内栓部材(栓部材)41,42によって塞がれているので、上側ケース20の長手方向の両端部に薄肉となるような角部が形成されず、上側ケース20の長手方向の両端部に応力集中が生じないようになり、上側ケース20の厚みを十分な脈動吸収機能を有するように薄くすることができる。これによって、この燃料デリバリパイプ10は、噴射弁ソケット43と取付ブラケット44とが配置される部分の強度と、燃料の脈動を吸収する脈動吸収機能との両方を高くすることができるようになる。
【0026】
また、燃料デリバリパイプ10は、一方から他方を長手方向として延びる底壁部31の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部32を有して長手方向の両端と上側が開いた下側ケース30の内側に、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケース20を嵌合させ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aに内栓部材(栓部材)41,42を設けるようにして、上側及び下側ケース20,30の間に燃料通路40を形成するようにしたものである。上側及び下側ケース20,30の内周側で上側及び下側ケース20,30の各側壁部22,32の重なり合う部分の端部に上側ケース20の板厚から生じる凹凸が生じ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの内周面に内栓部材(栓部材)41,42を嵌合させて塞ぐようにしても、内栓部材(栓部材)41,42が開口部20aの内側で上側ケース20の板厚から生じる凹凸の周囲を液密に塞ぎにくくなっている。
【0027】
このため、この燃料デリバリパイプ10は、上側ケース20の長手方向の両端部には側壁部22の下端部を下側ケース30の底壁部31まで突出させる突出部22aが形成されるとともに、下側ケース30の長手方向の両端部には底壁部31と側壁部32との角部33に曲面の潰し加工部33bが形成され、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aの内周面に栓部材として内栓部材41,42を嵌合させ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aを内栓部材41,42により塞ぐようにしている。
【0028】
上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部では、上側ケース20の側壁部22の突出部22aの先端部が下側ケース30の角部33の潰し加工部33bによって角部33の底壁部31に隙間なく当接するようになる。これによって、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの内周面には、上側及び下側ケース20,30の周方向に上側ケース20の板厚から生じる凹凸が形成されないようになる。上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aに内栓部材41,42を隙間なく嵌合させることができ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aはろう付け後の内栓部材41,42によって液密に塞がれるようになる。
【0029】
この実施形態の燃料デリバリパイプ10においては、下側ケース30の底壁下面に噴射弁ソケット43を別体で固定するようにしているが、これに限られるものでなく、
図6に示した変形例では、下側ケース30の底壁を内側に凹ませるようにすることで、下側ケース30の底壁に噴射弁ソケット43を一体的に設けるようにしたものであってもよい。また、下側ケース30は、少なくとも底壁部31を有していればよく、上側ケース20の側壁部22を底壁部31まで延出させることにより側壁部32を廃したものであったり、側壁部32を下方に延出したものであってもよい。
【0030】
(第2実施形態)
第1実施形態の燃料デリバリパイプ10は、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aの内側に内栓部材41,42を嵌合させて、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aを内栓部材41,42によって液密に塞ぐようにしたものであるのに対し、第2実施形態の燃料デリバリパイプ10Aは、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aの外側に外栓部材41A,42Aを嵌合させて、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部の開口部20aを外栓部材41A,42Aによって液密に塞ぐようにしたものである。以下に、第2実施形態の燃料デリバリパイプ10Aを第1実施形態の燃料デリバリパイプ10と異なる点を中心に説明する。
【0031】
第2実施形態の燃料デリバリパイプ10Aは、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケース20と、上側ケース20の下側の開口を塞ぐ底壁部31を少なくとも有して上側ケース20との間に燃料が通過する燃料通路40が形成されるように上側ケース20の下側を覆う下側ケース30と、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成された開口部20aに設けられて上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両端部を塞ぐ栓部材として外栓部材41A,42Aとを備えている。
【0032】
図7~
図10に示したように、上側ケース20は、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有している。上側ケース20は、0.8mmの厚みの板金部材を下側が開いた溝形状にプレス加工したものを適宜な長さで切断したものであり、長手方向の両端と下側が開いたU字形の溝形状となっている。上側ケース20は、下側ケース30よりも厚さの薄い板金部材を用いたものであり、上壁部21及び両側の側壁部22で燃料の脈動を吸収する脈動吸収機能を有している。
図9~
図11に示したように、上側ケース20の側壁部22の長手方向の両端部には下端部を下方に突出させる突出部22aが形成されており、突出部22aは後述する下側ケース30の側壁部32の幅狭部32bの位置まで突出している。突出部22aは、下側ケース30の側壁部32の長手方向の両端部における幅狭部32bと連続させることで、上側ケース20の側壁部22の外周面と下側ケース30の側壁部32の外周面とは各ケースによる板厚による凹凸が生じないように連続するようになる。なお、
図9では、上側ケース20の側壁部22の長手方向として図示左側の端部の突出部22aのみを拡大して図示しているが、側壁部22の長手方向として図示右側の端部にも突出部22aが同様に形成されている。
【0033】
図9~
図11に示したように、下側ケース30は、上側ケース20の下側の開口を塞ぐ底壁部31を有して上側ケース20との間に燃料が通過する燃料通路40が形成されるように上側ケース20の下側を覆うものである。この実施形態では、下側ケース30は、一方から他方を長手方向として延びる底壁部31と、底壁部31の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部32を有して長手方向の両端と上側が開いたU字形の溝形状をしている。下側ケース30は、強度を高くするために上側ケース20よりも厚さが厚い1.0mmの厚みの板金部材を浅いU字形の溝形状にプレス加工したものを適宜な長さで切断したものである。また、下側ケース30の底壁部31には噴射弁ソケット43を取り付けるための貫通孔よりなる3つの取付孔31aが形成されており、底壁部31の下面には各取付孔31aの位置に噴射弁ソケット43が固定されている。下側ケース30の底壁部31下面にはエンジンに取り付けるための2つの取付ブラケット44が固定されている。
【0034】
図10及び
図11に示したように、下側ケース30の側壁部32の上端部には外側に広がる外縁部32aが長手方向に沿って形成されており、下側ケース30の側壁部32の下部には上側ケース20と同じ幅となるように内側に凹ませて下側ケース30の幅を狭くした幅狭部32bが長手方向に沿って形成されている。下側ケース30の幅狭部32bが形成されている位置での幅(幅狭部32bが形成されている位置での両側の側壁部32の間の長さ)は上側ケース20の幅(両側の側壁部22の間の長さ)と同じ長さとなっており、下側ケース30の幅狭部32bより上側位置での幅(幅狭部32bが形成されている位置より上側での両側の側壁部32の間の長さ)は上側ケース20の幅(両側の側壁部22の間の長さ)よりも大きな長さとなっている。下側ケース30の側壁部32の幅狭部32bより上側の内周面に、上側ケース20の側壁部22の下部の外周面を嵌合させることができる。なお、この実施形態では、幅狭部32bは側壁部32の長手方向に沿って形成されているが、これに限られるものでなく、少なくとも下側ケース30の長手方向の両端部にのみ形成されていればよい。
【0035】
図9及び
図11に示したように、下側ケース30の長手方向の両端部には、幅狭部32bよりも外側に広がる部分を含めて切り欠いて上側ケース20の突出部22aを幅狭部32bに段差なく連続させる切欠部32cが形成されている。上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部は、切欠部32cによって上側ケース20の側壁部22の突出部22aの下端部が下側ケース30の幅狭部32bと段差なく連続するようになり、上側ケース20の側壁部22の外周面と下側ケース30の側壁部22の外周面とは上側ケース20の板厚による凹凸が生じないように連続するようになる。
図9及び
図10では、
図9の側壁部22の左側の端部の突出部22a、側壁部33の左側の端部の切欠部32cを示しているが、
図9の側壁部22,32の右側の端部にも
図9及び
図10と同様に突出部22aと切欠部32cが形成されている。
【0036】
図7~
図9に示したように、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部の開口部20aには栓部材として外栓部材41A,42Aが設けられており、外栓部材41A,42Aは上側及び下側ケース20,30の長手方向を軸線方向とした浅い有底筒形をしている。外栓部材41A,42Aは上側及び下側ケース20,30の長手方向の各々の端部の外周面に嵌合され、上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両方の端部を塞いでいる。上述したように、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部にて、上側ケース20の側壁部22の突出部22aは、切欠部32cによって下側ケース30の側壁部32の幅狭部32bと段差なく連続しており、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの外周面には下側ケース30の板厚から生じる凹凸が形成されていない。上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部にて下側ケース30の板厚による凹凸が形成されていない開口部20aの外周面に外栓部材41A,42Aが嵌合されているので、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部の開口部20aの外周面と外栓部材41A,42Aとの間に隙間が生じにくくなり、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aはろう付けした外栓部材41A,42Aによって液密に塞がれるようになる。また、この実施形態では、右側に配置される外栓部材41Aにはジョイント管部材45が貫挿されており、ジョイント管部材45には燃料ポンプから燃料が供給される燃料供給管(図示省略)が接続され、上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40には燃料ポンプから燃料が供給される。
【0037】
上記のように構成した燃料デリバリパイプ10Aは、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケース20と、上側ケース20の下側の開口を塞ぐ底壁部31を少なくとも有して上側ケース20との間に燃料が通過する燃料通路40が形成されるように上側ケース20の下側を覆う下側ケース30と、上側及び下側ケース20,30により形成される長手方向の両端部に形成された開口部20aに設けられて上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路40の長手方向の両端部を塞ぐ外栓部材(栓部材)41A,42Aと、下側ケース30に一体的に設けられて燃料噴射弁が液密に連結されて燃料通路40と連通する噴射弁挿入穴43aを有する3つ(複数)の噴射弁ソケット43と、下側ケース30に一体的に設けられてエンジンに取り付けるための取付ブラケット44とを備えている。
【0038】
この燃料デリバリパイプにおいて10Aは、第1実施形態の燃料デリバリパイプ10と同様に、上側ケース20は、噴射弁ソケット43と取付ブラケット44とが設けられた下側ケース30と別体で構成されているので、噴射弁ソケット43と取付ブラケット44とを配設するための強度を高めるために下側ケース30の厚みを厚くしても、上側ケース20の厚みを十分な脈動吸収機能を有するように薄くすることができる。また、上側及び下側ケース20,30の間に形成される燃料通路の長手方向の両端部に形成された開口部20aは外栓部材(栓部材)41A,42Aによって塞がれているので、上側ケース20の長手方向の両端部に薄肉となるような角部が形成されず、上側ケース20の長手方向の両端部に応力集中が生じないようになり、上側ケース20の厚みを十分な脈動吸収機能を有するように薄くすることができる。これによって、この燃料デリバリパイプ10は、噴射弁ソケット43と取付ブラケット44とが配置される部分の強度と、燃料の脈動を吸収する脈動吸収機能との両方を高くすることができるようになる。
【0039】
また、燃料デリバリパイプ10Aは、一方から他方を長手方向として延びる底壁部31の幅方向の両端部から上方に延びる一対の側壁部32を有して長手方向の両端と上側が開いた下側ケース30の内側に、一方から他方を長手方向として延びる上壁部21とこの上壁部21の幅方向の両端部から下方に延びる一対の側壁部22とを有して長手方向の両端部と下側が開いた上側ケース20を嵌合させ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aに外栓部材(栓部材)41A,42Aを設けるようにして、上側及び下側ケース20,30の間に燃料通路40を形成するようにしたものである。上側及び下側ケース20,30の外周側で上側及び下側ケース20,30の各側壁部22,32の重なり合う部分の端部に下側ケース30の板厚から生じる凹凸が生じ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの外周面に外栓部材(栓部材)41A,42Aを嵌合させて塞ぐようにしても、外栓部材(栓部材)41A,42Aが開口部20aの外周側で下側ケース30の板厚から生じる凹凸の周囲を液密に塞ぎにくくなっている。
【0040】
このため、この燃料デリバリパイプ10Aは、上側ケース20の長手方向の両端部には側壁部22の下端部を他の部分よりも下方に突出させる突出部22aが形成され、下側ケース30の側壁部32の下部には上側ケース20の幅(両側の側壁部22の間の長さ)と同じ幅となるように内側に凹ませて下側ケースの幅を狭くした幅狭部32bが形成されるとともに、下側ケース30の側壁部32の長手方向の両端部には少なくとも幅狭部32bよりも外側に広がる部分を切り欠いて突出部22aを幅狭部32bに段差なく連続させる切欠部32cが形成されている。
【0041】
上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部の外周面は、上側ケース20の側壁部22の突出部22aが下側ケース30の側壁部32の切欠部32cによって幅狭部32bと段差なく連続するようになる。これにより、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの外周面には、上側及び下側ケース20,30の周方向に下側ケース30の板厚から生じる凹凸が形成されないようになり、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aの外周面に外栓部材41A,42Aを隙間なく嵌合させることができ、上側及び下側ケース20,30の長手方向の両端部に形成される開口部20aはろう付け後の外栓部材41A,42Aによって液密に塞がれるようになる。
【0042】
この実施形態の燃料デリバリパイプ10Aにおいては、下側ケース30の底壁下面に噴射弁ソケット43を別体で固定するようにしているが、これに限られるものでなく、
図12に示した変形例では、下側ケース30の底壁を内側に凹ませるようにすることで、下側ケース30の底壁に噴射弁ソケット43を一体的に設けるようにしたものであってもよい。
【0043】
第1及び第2実施形態の燃料デリバリパイプ10は、直列3気筒のエンジンに対応して3つの噴射弁ソケット43を備えたものであるが、これに限られるものではなく、各実施形態の燃料デリバリパイプ10を2つ使用してV型6気筒のエンジンに用いるようにしたものであってもよい。第1及び第2実施形態の燃料デリバリパイプ10は、2つ以上の噴射弁ソケットを備えるようにして、2気筒以上の直列型またはV型のエンジンに使用するものであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
10,10A…燃料デリバリパイプ、20…上側ケース、20a…開口部、21…上壁部、22…側壁部、22a…突出部、30…下側ケース、31…底壁部、32…側壁部、32b…幅狭部、32c…切欠部、33…角部、33b…潰し加工部、40…燃料通路、41,42…栓部材,内栓部材、41A,42A…栓部材,外栓部材、43…噴射弁ソケット、44…取付ブラケット。