(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062397
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】枠状外装体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20230426BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B65D77/04 A
B65D25/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172350
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000128898
【氏名又は名称】株式会社オリエンタル
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉川 吉彦
【テーマコード(参考)】
3E062
3E067
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062JA04
3E062JA08
3E062JB08
3E062JC02
3E062JC05
3E067AA11
3E067AB01
3E067BA09C
3E067BA10B
3E067BB01C
3E067BB13C
3E067BB14B
3E067BB14C
3E067BC07B
3E067CA07
3E067CA17
3E067EA17
3E067EB27
3E067EE02
3E067EE08
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA01
3E067GA06
3E067GD09
(57)【要約】
【課題】容易にしてコスト安に枠状外装体を製造することができる画期的な枠状外装体の製造方法を提供する。
【解決手段】外周縁に係止片21が設けられた容器本体20を囲繞する枠状外装体30の製造方法であって、方形板状の基材1の上側部2及び下側部3を共に基材1の内面に折り曲げ重合し、内面に上側部2の下縁及び下側部3の上縁とで形成される溝4を備える帯板状基材1’を形成する帯状基材形成工程と、帯状基材1’の内面に配設される下側片部3の上縁を内方へ倒し状態にして容器本体20の係止片21を支承する支承部5を形成する支承部形成工程と、帯状基材1’を折り曲げ長手方向端部同士を接合して帯板状基材1’を枠状に成形する枠状成形工程とを含む枠状外装体の製造方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁に係止片が設けられた容器本体を囲繞する枠状外装体の製造方法であって、方形板状の基材の上側部及び下側部を共に該基材の内面に折り曲げ重合し、内面に前記上側部の下縁及び前記下側部の上縁とで形成される溝を備える帯板状基材を形成する帯状基材形成工程と、前記帯状基材の内面に配設される前記下側片部の上縁を内方へ倒し状態にして前記容器本体の前記係止片を支承する支承部を形成する支承部形成工程と、前記帯状基材を折り曲げ長手方向端部同士を接合して該帯板状基材を枠状に成形する枠状成形工程とを含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材の内面に、前記基材の上縁から所定の間隔をおいて該上縁に沿って上側溝を形成すると共に、前記基材の下縁から所定の間隔をおいて該下縁に沿って下側溝を形成する溝形成工程を含み、前記帯状基材形成工程は、前記基材の前記上側溝より上側の前記上側部を該上側溝に沿って内面に折り曲げ重合すると共に、前記基材の前記下側溝より下側の前記下側部を該下側溝に沿って該基材の内面に折り曲げ重合することを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の枠状外装体の製造方法において、前記上側溝及び前記下側溝は、前記基材の内面を凹状に切欠して形成したものであることを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記溝が設けられた前記帯状基材の内面に、前記溝と直交する折溝を複数形成する折溝形成工程を含み、前記枠体形成工程は、前記折溝に沿って前記帯状基材を折り曲げ該帯板状基材の長手方向端部同士を接合して、前記帯板状基材を枠状に形成することを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の枠状外装体の製造方法において、前記折溝は、前記帯状基材の内面を断面視V字状若しくは断面視W字状に切欠して形成したものであることを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材の外面に蓋体の外周縁が係合する蓋係合溝を形成する蓋係合溝形成工程を含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の枠状外装体の製造方法において、前記蓋係合溝は、前記基材の外面を押圧して形成したものであることを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、一枚の薄板状部材から前記基材を打ち抜き形成する基材形成工程を含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項9】
請求項1~8いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材は平面視長方形に形成され、長手方向一端部に第一接合片が設けられ、長手方向他端部に前記第一接合片と接合する第二接合片及び第三接合片が設けられていることを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項10】
請求項1~9いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記帯状基材形成工程は、前記上側部を前記基材の内面に着接する上側部着接工程と、前記下側部の上縁部を除く部分を前記基材の内面に着接する下側部着接工程とを含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【請求項11】
請求項1~10いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材は、外面のみに装飾が施されていることを特徴とする枠状外装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周縁に係止片が設けられた容器本体を囲繞する枠状外装体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1に開示される容器及び容器の製造方法(以下、「従来例」という。)を提案している。
【0003】
この従来例の容器は、内面に周方向に沿って溝部が設けられた枠状外装体と、この枠状外装体に組み付けられる容器本体とからなり、容器本体の外周縁に設けられた溝係合片を、枠状外装体の内面に設けられた溝部内に係止配設することで、溝係合片が溝部に設けられた支承部に支承され、接着剤等を使用しなくても、枠状外装体と容器本体とを一体的に組み付けることができるように構成され、さらに、この従来例の容器は、容器本体を支承する支承部が外装体の内側に向かって突出変形自在に構成され、これにより、容器本体への加重により溝係合片に負荷がかかり溝係合片に変形が生じるような場合でも、溝係合片にかかる負荷を支承部が吸収し、溝係合片の変形を抑制し、容器本体が枠状外装体から抜け落ちてしまうことを防止するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例は、美観に乏しい低廉な容器本体を美装して質感の高い容器とすることも目的としており、そのために、装飾が施された枠状外装体を用い、この装飾された枠状外装体により容器の美装を実現している。
【0006】
このように容器に美観を付与する場合、素地が露出しないよう表面に装飾が施された枠状外装体を用いる方が好ましく、このような表面に装飾が施された枠状外装体を用いる場合、枠状外装体を形成する部材に表裏両面に装飾が施されている部材を用いなければならず、このような部材は一側面に装飾が施されているものに比べて高価であり、その分、コスト高となってしまう。
【0007】
また、従来、枠状外装体の作製する場合、その多くは板状部材を所定形状に打ち抜き形成したブランク材が用いられている。
【0008】
しかしながら、表裏面に装飾が施された枠状外装体を作製する場合、表裏面に装飾が施された板状部材を所定形状に打ち抜きブランク材を形成するため、このようなブランク材は、前記打ち抜き処理により縁部(切断面)に装飾が施されていない素地が表出してしまう。そのため、素地が表出した縁部を装飾し隠蔽しなければならず、この処理がさらなるコスト高となる要因になっている。
【0009】
このように、従来例は、表裏面に装飾が施された枠状外装体を製造する場合、コスト高となってしまう問題を有している。
【0010】
本発明は、このような従来例の現状に鑑みなされたものであり、枠状外装体の製造において、容易にしてコスト安に枠状外装体を製造することができる画期的な枠状外装体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
外周縁に係止片21が設けられた容器本体20を囲繞する枠状外装体30の製造方法であって、方形板状の基材1の上側部2及び下側部3を共に該基材1の内面に折り曲げ重合し、内面に前記上側部2の下縁及び前記下側部3の上縁とで形成される溝4を備える帯板状基材1’を形成する帯状基材形成工程と、前記帯状基材1’の内面に配設される前記下側片部3の上縁を内方へ倒し状態にして前記容器本体20の前記係止片21を支承する支承部5を形成する支承部形成工程と、前記帯状基材1’を折り曲げ長手方向端部同士を接合して該帯板状基材1’を枠状に成形する枠状成形工程とを含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0013】
また、請求項1記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材1の内面に、前記基材1の上縁から所定の間隔をおいて該上縁に沿って上側溝6を形成すると共に、前記基材1の下縁から所定の間隔をおいて該下縁に沿って下側溝7を形成する溝形成工程を含み、前記帯状基材形成工程は、前記基材1の前記上側溝6より上側の前記上側部2を該上側溝6に沿って内面に折り曲げ重合すると共に、前記基材1の前記下側溝7より下側の前記下側部3を該下側溝7に沿って該基材1の内面に折り曲げ重合することを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0014】
また、請求項2記載の枠状外装体の製造方法において、前記上側溝6及び前記下側溝7は、前記基材1の内面を凹状に切欠して形成したものであることを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記溝4が設けられた前記帯状基材1’の内面に、前記溝4と直交する折溝8を複数形成する折溝形成工程を含み、前記枠体形成工程は、前記折溝8に沿って前記帯状基材1’を折り曲げ該帯板状基材1’の長手方向端部同士を接合して、前記帯板状基材1’を枠状に形成することを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0016】
また、請求項4記載の枠状外装体の製造方法において、前記折溝8は、前記帯状基材1’の内面を断面視V字状若しくは断面視W字状に切欠して形成したものであることを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材1の外面に蓋体40の外周縁41が係合する蓋係合溝9を形成する蓋係合溝形成工程を含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0018】
また、請求項6記載の枠状外装体の製造方法において、前記蓋係合溝9は、前記基材1の外面を押圧して形成したものであることを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0019】
また、請求項1~7いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、一枚の薄板状部材から前記基材1を打ち抜き形成する基材形成工程を含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0020】
また、請求項1~8いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材1は平面視長方形に形成され、長手方向一端部に第一接合片10が設けられ、長手方向他端部に前記第一接合片10と接合する第二接合片11及び第三接合片12が設けられていることを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0021】
また、請求項1~9いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記帯状基材形成工程は、前記上側部2を前記基材1の内面に着接する上側部着接工程と、前記下側部3の上縁部3aを除く部分を前記基材1の内面に着接する下側部着接工程とを含むことを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【0022】
また、請求項1~10いずれか1項に記載の枠状外装体の製造方法において、前記基材1は、外面のみに装飾が施されていることを特徴とする枠状外装体の製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上述のようにしたから、容易にしてコスト安に枠状外装体を製造することができる画期的な枠状外装体の製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施例における食品容器を示す分解斜視図である。
【
図2】本実施例における食品容器の要部を示す説明断面図である。
【
図4】本実施例の基材形成工程後の基材を示す正面図であり、(a)は内面側の平面図であり、(b)は外面側の平面図である。
【
図5】本実施例の溝形成工程及び蓋係合溝形成工程後の基材を示す正面図及び拡大断面図である。
【
図6】本実施例の帯状基材形成工程を示す説明断面図である。
【
図7】本実施例の帯状基材形成工程後の帯板状基材を示す正面図及び拡大断面図である。
【
図8】本実施例の支承部形成工程を示す説明断面図である。
【
図9】本実施例の折溝形成工程後の帯板状基材を示す説明正面図である。
【
図10】本実施例の枠状外装体を折り畳んだ状態を示す説明平面図である。
【
図11】本実施例の帯板状基材の接合部を示す斜視図である。
【
図12】本実施例の帯板状基材の接合部の別例を示す斜視図である。
【
図13】本実施例の枠状外装体を示す説明平面図である。
【
図14】本実施例における食品容器の別例を示す要部断面図である。
【
図15】本実施例における枠状外装体の別例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0026】
本発明は、帯状基材形成工程において、基材1の上側部2を基材1の内面に折り曲げ重合すると共に、基材1の下側部3を基材1の内面に折り曲げ重合して、基材1を帯状に形成し、帯板状基材1’を得る。
【0027】
この際、本発明は、基材1の内面に折り曲げ重合した上側部2の下縁及び下側部3の上縁が所定の間隔をおいて突き合わせ状態となるように、上側部2及び下側部3を基材1の内面側に折り曲げるので、帯板状基材1’の内面に上側部2(下側部3)の板厚分の深さを有する溝4が形成されることとなる。
【0028】
このように、本発明は、上側部2及び下側部3を夫々、基材1の内面側に折り曲げ、基材1の内面に重合させるだけで溝4を有する帯板状基材1’を形成することができるから、従来例のように基材を切欠して溝を形成する場合に比べて容易に溝4を形成することができる。
【0029】
また、上記のようにして形成される帯板状基材1’の内面は、基材1の内面に折り曲げ重合した上側部2及び下側部3の夫々の外面によって形成されることとなる。
【0030】
すなわち、本発明は、上側部2及び下側部3を折り曲げ重合する前の基材1の内面は、上側部2及び下側部3の折り曲げ重合によりこれらに隠蔽され、帯板状基材1’においては、この折り曲げ重合した上側部2及び下側部3の夫々の外面が内面となる。
【0031】
したがって、内外面に装飾が施された枠状外装体を製造する場合、従来例では、内外面に装飾が施された基材を用い、さらに、打ち抜き処理により素地が表出した縁部(切断面)を装飾し隠蔽する必要があったが、本発明では、基材1の外面のみに装飾が施されていれば、内外面及び縁部(上縁部及び下縁部)に装飾が施された帯板状基材1’を得ることができる。
【0032】
しかも、本発明は、基材1の上縁部及び下縁部が、上側部2及び下側部3の基材1の内面への折り曲げ重合によって溝4の対向する上下面となり、帯板状基材1’の内面に表出しないから、縁部に素地が表出していても枠状外装体の体裁を損ねず、ゆえに、素地が表出した縁部を装飾し隠蔽する必要がなく、その分、従来に比べてコストが掛からない。
【0033】
このように、本発明は、従来例に比べ、容易にしてコスト安に枠状外装体を製造することができる画期的な枠状外装体の製造方法となる。
【実施例0034】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0035】
本実施例は、
図1,2に示すような、蓋体40と容器本体20と枠状外装体30とからなる食品包装容器における枠状外装体の製造方法である。
【0036】
具体的には、基材形成工程、溝形成工程、蓋係合溝形成工程、帯状基材形成工程、支承部形成工程、折溝形成工程及び枠状成形工程を含み、
図3に示すような工程フローで行われるものである。
【0037】
以下、本実施例の枠状外装体30の製造方法に係る上記各工程について説明する。
【0038】
<基材形成工程>
基材形成工程は、一枚の薄板状部材から基材1を打ち抜き形成する工程である。
【0039】
具体的には、本実施例では、抗菌性インクを用いた美装印刷により片面に装飾が施された厚さ1~2mm程度の板紙材を用い、この板紙材を打ち抜き装置により打ち抜き、
図4に示すように、長手方向一側に第一接合片10を有し、他側に第二接合片11及び第三接合片12を有する外面(表面)のみに装飾が施された平面視長方形状の基材1を形成している。
【0040】
なお、本実施例では、基材1を形成するための薄板状部材は、コスト、耐久性、装飾容易性及び環境負荷等を考慮し、上記のように板紙材を用いているが、容器本体20を支承し得る枠状外装体30を形成し得るものであれば、樹脂製シートや木製シート等でも良い。
【0041】
また、上記素材にさらに冷凍保存や電子レンジ加熱等が可能な機能性を付与したものとしても良い。
【0042】
<溝形成工程>
溝形成工程は、基材形成工程において所定形状に形成された基材1の内面(非装飾面)に、後述する帯状基材形成工程において基材1の上側部2及び下側部3を基材1の内面に折り曲げ重合する際の折溝となる上側溝6と下側溝7を形成する工程である。
【0043】
具体的には、本実施例は、
図5に示すように、基材1の上縁から所定の間隔をおいて該上縁に沿って上側溝6を形成し、基材1の下縁から所定の間隔をおいて該下縁に沿って下側溝7を形成している。
【0044】
また、本実施例では、上側溝6及び下側溝7を、
図5に示すように、基材1の内面を凹状に切欠して形成している。これにより、後述する帯状基材形成工程において、上側部2及び下側部3の折り曲げ処理を円滑に行うことができる。
【0045】
なお、上側溝6及び下側溝7の形成位置は容器本体20の構成等により適宜変更し得るものである。
【0046】
また、上側溝6及び下側溝7は、基材1をローラー等の押圧具若しくは押圧装置を用い、基材1の外面を押圧し凹ませることにより形成しても良い。
【0047】
<蓋係合溝形成工程>
蓋係合溝形成工程は、
図2に示すような、基材1の外面に蓋体40の外周縁41が係合する蓋係合溝9を形成する工程である。
【0048】
具体的には、本実施例では、ローラー等の押圧具若しくは押圧装置を用い、基材1の外面を押圧し凹ませることにより、
図5に示すように、凹状の蓋係合溝9を形成している。
【0049】
なお、蓋係合溝9の形成に関しては、溝形成工程における上側溝6や下側溝7と同様、切欠により形成しても良い。また、この蓋係合溝形成工程は、上述した溝形成工程の前に行っても良い。
【0050】
<帯状基材形成工程>
帯状基材形成工程は、基材1の上側部2(基材1の上側溝6より上側の部分)及び下側部3(基材1の下側溝7より下側の部分)を共に、この基材1の内面に折り曲げ重合し、内面に溝4を備える帯板状基材1’を形成する工程である。
【0051】
具体的には、本実施例は、
図6に示すように、基材1の上側部2を上側溝6に沿って内面側に折り曲げて内面に重合し、また、基材1の下側部3を下側溝7に沿って内面側に折り曲げて内面に重合し、基材1の幅を狭めて帯状にし、基材1を帯板状基材1’に形成している。
【0052】
また、本実施例では、上記基材1を帯板状基材1’に形成するための上側部2及び下側部3の基材1の内面への折り曲げ重合により、帯板状基材1’を形成すると共に、
図7に示すように、基材1の内面に折り曲げ重合した上側部2の下縁(基材1の上縁)及び下側部3の上縁(基材1の下縁)とで帯板状基材1’の内面に直線状の溝4(凹条溝)が形成される。
【0053】
すなわち、本実施例では、この帯状基材形成工程において、帯板状基材1’と溝4とを同時形成している。
【0054】
また、本実施例は、上側部2及び下側部3の基材1の内面への折り曲げ重合により、帯板状基材1’の長手方向両端部に、この帯板状基材1’を枠状に形成する際の接合部13を、第一接合片10及び第二接合片11並びに第三接合片12によって同時形成している。
【0055】
本実施例は、この帯状基材形成工程における基材1の上側部2及び下側部3の基材1の内面への折り曲げ重合により、基材1における上側部2及び下側部3の外面が帯板状基材1’において内面となる。これにより、上記折り曲げ重合により装飾が施されていない基材1の内面が、装飾が施されている基材1の外面に覆われ、帯板状基材1’においては内外両面が装飾面となる。
【0056】
また、本実施例の帯状基材形成工程は、基材1の内面に重合した上側部2を基材1の内面に着接する上側部着接工程と、基材1の内面に重合した下側部3を基材1の内面に着接する下側部着接工程とを含む。
【0057】
具体的には、下側部着接工程は、下側部3全体を着接せず、下側部3の上縁部3aを除いた部分を基材1の内面に着接する。
【0058】
なお、図中符号14は着接手段であり、この着接手段14は、接着剤、糊、両面テープ等、上側部2及び下側部3を基材1の内面に適正に着接し得るものであれば適宜採用可能である。
【0059】
<支承部形成工程>
支承部形成工程は、帯状基材1’の内面に配設される下側片部3の上縁部3aを内方へ倒し状態にして、容器本体20の係止片を支承する支承部5を形成する工程である。
【0060】
具体的には、本実施例は、
図8に示すように、ローラー51と先端部に鉤状傾斜部52を有する治具50を用いて、下側部3の上縁部3aの基端部をローラー51で押圧し曲げ癖を付けながら鉤状傾斜部52で支承部5となる下側部3の上縁部3aを倒し傾斜させて支承部5を形成している。
【0061】
<折溝形成工程>
折溝形成工程は、溝4が設けられた帯状基材1’の内面に、この帯板状基材1’を枠状に折曲形成する際の折り曲げ線となる折溝8を形成する工程である。
【0062】
具体的には、本実施例は、帯板状基材1’を方形枠状に形成するため、
図9に示すように、帯板状基材1’の所定の4箇所に折溝8を、溝4と直交するように形成している。
【0063】
また、本実施例では、
図9に示すように、折溝8を断面視V字状若しくは断面視W字状に形成しており、具体的には、枠状に形成した際の対角線上に対向配設される一方の一対の角部となる位置に形成する折溝8をV字状に形成し、他方の一対の角部となる位置に形成する折溝8をW字状に形成している。
【0064】
このように形状の異なる折溝8を形成することで、本実施例の枠状外装体30は、
図10に示すように、平板状に折り畳むことができ、輸送時や収納時において、嵩張らないコンパクトな形態とすることができる。
【0065】
なお、折溝8をV字状に形成する場合、溝角度は45°~120°が好適であり、本実施例では、120°のV溝を形成している。
【0066】
また、折溝8の形状は、上記に限らず、例えば、全てW形状としても良く、また、全て同角度(90°若しくは120°)としても良い。
【0067】
また、折り畳み構造は、
図10に示すものに限定されず、例えば、折溝を追加し、つづら折りに折り畳むことができるように構成しても良い。
【0068】
<枠状成形工程>
枠状成形工程は、帯状基材1’を折り曲げて枠状に成形する工程である。
【0069】
具体的には、本実施例は、折溝形成工程で形成した折溝8に沿って帯状基材1’を折り曲げ、
図11に示す帯板状基材1’の長手方向端部に設けられた接合部13同士を適宜な接合手段により接合して、
図13に示すような方形枠状に形成している。
【0070】
なお、接合部13は、本実施例に示す構成に限定されるものではなく、例えば、
図12に示すようなアリ溝接合する構成としても良く、このようなアリ溝接合を採用にすることで、接合手段を用いずに接合部13同士の接合が可能となる。
【0071】
また、本実施例は、方形の枠状外装体を形成する場合であるが、本実施例の枠状外装体の製造方法は、三角形、五角形或いは六角形等の枠状外装体も製造可能である。
【0072】
また、本実施例では、片面に装飾が施された板紙材を用いて内外面の両面が装飾された枠状外装体30を製造する場合について説明したが、例えば、本実施例の枠状外装体の製造方法においては、無地の板状部材を用い、無地の基材1から帯板状基材1’を形成し、この無地の帯板状基材1’の木口面(帯板状基材1’の上縁及び下縁)のみに塗色などの装飾を施し、木口面のみに装飾が施された枠状外装体30とすることも可能である。
【0073】
以上のように製造される本実施例の作用効果について以下に説明する。
【0074】
本実施例の枠状外装体の製造方法は、内外面に装飾が施された枠状外装体を製造する場合、基材1の外面のみに装飾が施されていれば、内外面に装飾が施された帯板状基材1’を得ることができる。
【0075】
しかも、基材1の上縁及び下縁が、上側部2及び下側部3の基材1の内面への折り曲げ重合によって溝4の対向する上下面となり、帯板状基材1’の内面に表出しないから、打ち抜きにより基材1の上縁及び下縁に素地が表出していても枠状外装体30の体裁を損ねず、ゆえに、素地が表出した上縁及び下縁を装飾し隠蔽する必要がなく、その分、従来に比べてコストが掛からない。
【0076】
このように、本実施例の枠状外装体の製造方法は、従来例に比べ、容易にしてコスト安に枠状外装体を製造することができる画期的な枠状外装体の製造方法となる。
【0077】
また、上述のようにして製造される本実施例の枠状外装体30は、
図1,2に示すように、容器本体20の周面を囲繞する方形枠状に形成され、内面に容器本体20の外周縁に設けられた係止片21を挿入可能な溝4と、この溝4に挿入配設された係止片21を支承する支承部5とが周設され、また、外面上部側に蓋体40の外周縁41が係合する蓋係合溝9が設けられた構成であり、容器本体20の係止片21を溝4内に挿入配設することで係止片21が支承部5に支承され、接着剤等を用いることなく、容器本体20をこの枠状外装体30に一体的に組み付けることができるように構成され、さらに、本実施例の枠状外装体30は、支承部5が内側に向かって突出変形自在に構成され、これにより、容器本体20への加重により係止片21に負荷がかかり、係止片21に変形が生じるような場合でも、係止片21にかかる負荷を支承部5が変形により吸収し、係止片21の変形を抑制し、容器本体20の枠状外装体30からの抜け落ちを防止するように構成されるものとなる。
【0078】
なお、容器本体20に関し、本実施例は
図1に示すような箱状(深皿)の容器本体20の場合について説明したが、容器本体20の形状等はこれに限定されず、例えば、
図14に示すような平板状に形成されているものでも良い。また、その場合、図示するように、係止片21の形状も水平状(
図14(a))若しくは下り傾斜状(
図14(b))のいずれに構成しても良い。
【0079】
また、枠状外装体30においては、
図15に示すように、蓋係合溝9を有しない構成としても良い。
【0080】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。