(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062430
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】ニッケルビスマス蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/48 20100101AFI20230426BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230426BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230426BHJP
H01M 10/24 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
H01M4/48
H01M50/489
H01M4/62 C
H01M10/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172408
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小川 賢
【テーマコード(参考)】
5H021
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5H021HH00
5H028CC19
5H028HH00
5H028HH01
5H050AA07
5H050AA15
5H050BA11
5H050CA02
5H050DA10
5H050EA01
5H050FA03
5H050HA00
5H050HA01
(57)【要約】
【課題】レアアースを必須としない、長寿命かつ安全な電池を得る方法を提供する。
【解決手段】ニッケル種を含む正極活物質、ビスマス種を含む負極活物質、及び、通気度がガーレー値で3000秒以下であるセパレータを用いて構成されるニッケルビスマス蓄電池である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニッケル種を含む正極活物質、ビスマス種を含む負極活物質、及び、通気度がガーレー値で3000秒以下であるセパレータを用いて構成されるニッケルビスマス蓄電池。
【請求項2】
前記ニッケルビスマス蓄電池は、正極活物質の導電助剤としてコバルト種を含む
ことを特徴とする請求項1に記載のニッケルビスマス蓄電池。
【請求項3】
前記負極活物質は、ビスマスの質量割合が50質量%以上であるビスマス種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケルビスマス蓄電池。
【請求項4】
前記ニッケルビスマス蓄電池は、負極活物質の導電助剤として導電性カーボンを含む
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のニッケルビスマス蓄電池。
【請求項5】
前記セパレータは、通気度がガーレー値で500秒以下である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のニッケルビスマス蓄電池。
【請求項6】
前記ニッケルビスマス蓄電池は、更に、アルカリ性の水系電解液を含む
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のニッケルビスマス蓄電池。
【請求項7】
前記ニッケルビスマス蓄電池は、集電体、並びに、前記正極活物質及び/又は前記負極活物質を含んで構成されるバイポーラ電極を複数含み、
該複数のバイポーラ電極が積層されている
ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のニッケルビスマス蓄電池。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のニッケルビスマス蓄電池に用いられることを特徴とするニッケル種を含む負極活物質。
【請求項9】
請求項7に記載のニッケルビスマス蓄電池に用いられるバイポーラ電極であって、
該バイポーラ電極は、ニッケル種を含む正極活物質、集電体、及び、ビスマス種を含む負極活物質を含んで構成されることを特徴とするバイポーラ電極。
【請求項10】
請求項9に記載のバイポーラ電極が積層されていることを特徴とする積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニッケルビスマス蓄電池に関する。より詳しくは、ニッケルビスマス蓄電池、並びに、ニッケルビスマス蓄電池に用いられる、負極活物質、バイポーラ電極、及び、バイポーラ電極の積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型携帯機器から自動車等の大型用途まで多くの産業において、電池の重要性が急速に高まっている。例えば、亜鉛種を負極活物質とする亜鉛負極が、電池の普及とともに古くから研究されてきており、特に、空気・亜鉛一次電池、マンガン・亜鉛一次電池、銀・亜鉛一次電池は実用化され、広く世界で使用されている。
またビスマス・亜鉛一次電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
更に、類焼の懸念のない、充電可能な水系蓄電池として亜鉛蓄電池が開発され、ニッケル正極を用いたアルカリ蓄電池が検討されている(例えば、特許文献2、3参照)。
しかしながら、蓄電池に亜鉛負極等の充放電に伴って形態変化が起こる電極を用いると、電極表面で形成される充電生成物(デンドライト)によって正極と負極とが短絡し、電池が充放電できなくなるという課題があった。
【0004】
そこで、充電生成物による短絡の問題がなく長寿命かつ安全な電池としてニッケル水素電池が開発され(例えば、特許文献4参照)、ハイブリッド自動車等にすでに使われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2009-543313号公報
【特許文献2】特表2008-539559号公報
【特許文献3】特開2017-182996号公報
【特許文献4】特開2018-28982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ニッケル正極を用いると、充電末期には水の電気分解反応(酸素発生反応)が生じる。正極で酸素発生反応が生じると、正極と負極の間で充電量の不一致が生じたり、発生した酸素の影響で電解液が漏れたりするおそれがある。従来のニッケル正極を用いたアルカリ蓄電池では、生じる酸素を吸収する機構を設けるか、酸素が発生しないように充電量を制限する等の対策を取る必要があった。
またニッケル水素電池は、負極活物質である水素吸蔵合金にレアアースを用いるため、調達安定性等の観点から代替が求められている。
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、レアアースを必須としない、長寿命かつ安全な電池を得る方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、レアアースを必須としない、長寿命かつ安全な電池を得る方法について種々検討し、ニッケル種を含む正極活物質及びビスマス種を含む負極活物質を用いて構成されるニッケルビスマス蓄電池とすれば、ビスマスはカドミウム等とは異なり無毒であり、また、電解液中での溶解度が低く、亜鉛やカドミウムのように充電生成物が対極へ向かって成長しないため、充電生成物による短絡の問題が基本的に無いことを見出した。更に、充電生成物の対極への成長が実質的に無いため、セパレータとして酸素透過性のものを使用でき、ニッケル極から発生する酸素を、セパレータを透過させ、ビスマス種に吸収させる機構を構築できることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0009】
すなわち本発明は、ニッケル種を含む正極活物質、ビスマス種を含む負極活物質、及び、通気度がガーレー値で3000秒以下であるセパレータを用いて構成されるニッケルビスマス蓄電池である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のニッケルビスマス蓄電池によれば、レアアースを必須とすることなく、長寿命かつ安全な電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のニッケルビスマス蓄電池の構成を例示する模式図である。
【
図2】本発明のニッケルビスマス蓄電池がバイポーラ電極を含む場合のバイポーラ電極の構成を例示する模式図である。
【
図3】本発明のニッケルビスマス蓄電池がバイポーラ電極を含む場合のバイポーラ電極の積層体の構成を例示する模式図である。
【
図4】本発明のニッケルビスマス蓄電池の一実施形態における充放電容量に対する端子間電圧を示すグラフである。
【
図5】本発明のニッケルビスマス蓄電池の一実施形態におけるサイクル数に対する放電電力量を示すグラフである。
【
図6】本発明のバイポーラ電極の積層体の構成を例示する模式図である。
【
図7】本発明の積層体において短絡が生じる場合を示す模式図である。
【
図8】本発明のバイポーラ電極の構成を例示する模式図である。
【
図9】本発明のバイポーラ電極の積層体の構成を例示する模式図である。
【
図10】1セル構成の本発明のニッケルビスマス蓄電池における充放電容量に対する端子間電圧を示すグラフである。
【
図11】2つのセルを直列接続した本発明のニッケルビスマス蓄電池における充放電容量に対する端子間電圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の形態である。
【0013】
(ニッケルビスマス蓄電池)
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、ニッケル種を含む正極活物質、ビスマス種を含む負極活物質、及び、通気度がガーレー値で3000秒以下であるセパレータを用いて構成される。
【0014】
<ニッケル種を含む正極活物質>
上記正極活物質に含まれるニッケル種としては、例えば、ニッケルの単体や、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル含有化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
上記正極活物質に含まれるニッケル種の含有量は、正極活物質中、90質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
上記正極活物質は、ニッケル種以外の活物質を含んでいてもよいが、正極活物質中、ニッケル種以外の活物質の含有割合は、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。上記正極活物質は、ニッケル種以外の活物質を実質的に含まないことが特に好ましい。
【0015】
上記正極活物質は、平均粒子径が10nm~500μmであることが好ましい。より好ましくは100nm~400μmであり、更に好ましくは500nm~200μmであり、特に好ましくは、1μm~100μmである。
上記平均粒子径は、動的光散乱法による粒度分布測定により得られる、体積基準の粒度分布における平均粒子径である。
動的光散乱法による粒度分布測定器としては、大塚電子株式会社製 濃厚系粒径アナライザー FPAR-1000ASが用いられる。測定対象を分散媒(0.2%ヘキサメタりん酸ナトリウム含有イオン交換水)で希釈したものを測定試料とする。
【0016】
本発明のニッケルビスマス蓄電池における正極活物質の容量は、例えば、1~100mAh/cm2であることが好ましく、5~80mAh/cm2であることがより好ましく、10~40mAh/cm2であることが更に好ましい。
上記容量は、正極に搭載した正極の面積当たりの水酸化ニッケル量(g/cm2)に対して理論容量289mAh/gを乗じて算出されるものである。
【0017】
上記正極活物質の質量割合は、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる正極活物質、並びに、正極活物質のバインダーポリマー及び導電助剤の各固形分の合計含有量100質量%に対して、10~99質量%であることが好ましい。該活物質の質量割合は、より好ましくは、20~97質量%であり、更に好ましくは、30~95質量%であり、特に好ましくは、40~93質量%である。
なお、本発明のニッケルビスマス蓄電池が、上記正極活物質のバインダーポリマー、導電助剤のいずれか1つ以上を含まない場合、上記合計含有量は、含まない成分を除いた含有量である。
【0018】
<正極活物質のバインダーポリマー>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、更に、上記正極活物質のバインダーポリマーを含むことが好ましい。
上記バインダーポリマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等の芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等のエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコールやポリ(α-ヒドロキシメチルアクリル酸塩)等の水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンやN-置換ポリアクリルアミド等のアミド結う合含有ポリマー;ポリマレイミド等のイミド結合含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリメチレングルタル酸等のカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩等に代表されるカルボン酸塩含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有ポリマー;エポキシ樹脂;スルホン酸塩部位含有ポリマー;第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;共役ジエン系ポリマー;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等の糖類;ポリエチレンイミン等のアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは、正極活物質のバインダーとしてはたらき、例えば正極活物質を含む層(正極活物質層)においてクラックの発生を防止できる。
【0019】
上記バインダーポリマーは、中でも、ハロゲン原子、カルボン酸(塩)基、水酸基、及び、エーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有するポリマーであることが好ましい。より好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有ポリマーである。フッ素含有ポリマーを用いると、正極活物質及びバインダーポリマーを混錬する際に、ペースト化しやすくなり、扱いやすくなる。また、ポリマーの繊維化(短繊維化)が促進されるため、例えば正極活物質層においてクラックの発生を防止できる効果が顕著なものとなる。
【0020】
上記バインダーポリマーは、その構成単位に該当するモノマーより、ラジカル重合、ラジカル(交互)共重合、アニオン重合、アニオン(交互)共重合、カチオン重合、カチオン(交互)共重合、グラフト重合、グラフト(交互)共重合、リビング重合、リビング(交互)共重合、分散重合、乳化重合、懸濁重合、開環重合、環化重合、光、紫外線や電子線照射による重合、メタセシス重合、電解重合等により得ることができる。これらバインダーポリマーが官能基を有する場合には、それを主鎖及び/又は側鎖に有していても良く、架橋剤との結合部位として存在しても良い。これらバインダーポリマーは、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記バインダーポリマーは、架橋されていてもよい。
【0021】
上記バインダーポリマーは、重量平均分子量が、200~7000000であることが好ましい。ポリマーの重量平均分子量は、より好ましくは、1000~2000000であり、更に好ましくは、5000~800000である。
上記重量平均分子量は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算された重量平均分子量として測定することができる。
装置:東ソー株式会社製 HCL-8220GPC
カラム:TSKgel Super AWM-H
溶離液(LiBr・H2O、リン酸入りNMP):0.01mol/L
【0022】
上記バインダーポリマーの質量割合は、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる正極活物質、並びに、正極活物質のバインダーポリマー及び導電助剤の各固形分の合計含有量100質量%に対して、0.1~50質量%であることが好ましい。該ポリマーの質量割合は、より好ましくは、1~45質量%であり、更に好ましくは、5~40質量%であり、特に好ましくは、10~35質量%である。
【0023】
<正極活物質の導電助剤>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、更に、正極活物質の導電助剤を含むことが好ましい。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックス、銅・真鍮・ニッケル・銀・インジウム・鉛・錫・コバルト等の金属及び金属化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。本発明のニッケルビスマス蓄電池が正極活物質の導電助剤を含むことで、正極活物質の導電性能が高くなり、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる正極活物質を有効に利用して蓄電池の容量を更に高めることができる。なお、上記導電助剤は、正極活物質の表面全体又はその一部をコーティングしていてもよい。
中でも、上記導電助剤がコバルト種であることが好ましい。
【0024】
上記コバルト種としては、例えば、コバルト単体(金属コバルト)や、酸化コバルト、水酸化コバルト等のコバルト含有化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
【0025】
なお、導電助剤として機能する金属は、正極活物質としても働くものがある。
本明細書中、導電助剤は、上述した正極活物質(正極活物質として働くもの)以外のものをいう。
【0026】
上記導電助剤の質量割合は、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる正極活物質、並びに、正極活物質のバインダーポリマー及び導電助剤の各固形分の合計含有量100質量%に対して、0.1~30質量%であることが好ましい。該導電助剤の質量割合は、より好ましくは、0.3~20質量%であり、更に好ましくは、0.5~15質量%であり、特に好ましくは、1~10質量%である。
【0027】
<正極>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、上記正極活物質、必要に応じてバインダーポリマー、導電助剤、及び、その他の成分を含む活物質層、並びに、集電体を含んで構成される正極を含んでいてもよい。なお、本発明のニッケルビスマス蓄電池が該活物質層及び集電体を含む場合、活物質等が、集電体に含浸し、活物質層の少なくとも一部が集電体に含浸していてもよい。
【0028】
本発明のニッケルビスマス蓄電池における正極は、例えば、正極活物質に、必要に応じて導電助剤、ポリマー、溶媒等を混合してスラリー状として得られた正極活物質合剤を集電体に塗布、乾燥して得ることができる。また、プレス成形してペレットとすることもできる。
なお、本発明のニッケルビスマス蓄電池は、後述するように、正極及び負極を含む代わりに、正極と負極を兼ねるバイポーラ電極を含むものであってもよい。
【0029】
<集電体>
上記集電体としては、(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、導電性を付与した不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;銀;蓄電池に集電体や容器として使用される材料等が挙げられる。
【0030】
<ビスマス種を含む負極活物質>
上記負極活物質に含まれるビスマス種としては、例えば、ビスマスの単体や、酸化ビスマス、ビスマス元素と他の金属元素の少なくとも1種とを含む複合金属酸化物等のビスマス含有化合物が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
上記負極活物質に含まれるビスマス種の含有量は、負極活物質中、90質量%以上であることが好ましく、99質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
上記負極活物質は、ビスマス種以外の活物質を含んでいてもよいが、負極活物質中、ビスマス種以外の活物質の含有割合は、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。上記負極活物質は、ビスマス種以外の活物質を実質的に含まないことが特に好ましい。
【0031】
上記負極活物質としては、ビスマスの質量割合が50質量%以上であるビスマス種を含むことが好ましい。言い換えれば、本発明のニッケルビスマス蓄電池は、負極活物質として、ビスマスの質量割合が50質量%以上であるビスマス種を含むことが好ましい。上記ビスマス種におけるビスマスの質量割合は、ビスマス種100質量%中のビスマス元素の質量割合をいう。例えば、ビスマス種である酸化ビスマス(Bi2O3)は、分子量が465.96(208.98×2+16.00×3)であり、ビスマス種におけるビスマスの質量割合が89.7質量%({(208.98×2)/465.96}×100)である。また、ビスマスの単体は、ビスマスの質量割合が100質量%である。
上記ビスマス種におけるビスマスの質量割合は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。また、該ビスマス種におけるビスマスの質量割合は、その上限値は特に限定されず、100質量%であってもよい。
上記のようにビスマスの質量割合が上記の好ましい範囲に特定された負極活物質の質量割合は、本発明のニッケルビスマス蓄電池に含まれる負極活物質の合計量に対して、50質量%以上であることが好ましい。該負極活物質の質量割合は、その上限値は特に限定されず、100質量%であってもよい。
【0032】
また本発明のニッケルビスマス蓄電池に含まれる負極活物質の合計量に対するビスマスの質量割合が50質量%以上であることが好ましい。これが50質量%以上であることを、本明細書中、ビスマスを負極活物質の主成分として含む、ともいう。
本発明のニッケルビスマス蓄電池の好ましい実施形態の一つは、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる負極活物質の合計量に対するビスマスの質量割合が50質量%以上であるニッケルビスマス蓄電池である。
なお、負極活物質の中に、導電助剤としても機能するものがある場合は、導電助剤ではなく負極活物質に含める。
上記負極活物質の合計量に対して、ビスマスの質量割合は、60質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
上記負極活物質の合計量に対して、ビスマスの質量割合は、100質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましい。
本明細書中、上記負極活物質の合計量に対するビスマスの質量割合は、負極活物質に対する蛍光X線分析法により測定されるものである。
【0033】
上記負極活物質は、平均粒子径が1nm~50μmであることが好ましい。より好ましくは10nm~10μmであり、更に好ましくは30nm~5μmであり、特に好ましくは、100nm~1μmである。
なお、負極活物質の平均粒子径の測定方法は、正極活物質の平均粒子径の測定方法と同様である。
【0034】
本発明のニッケルビスマス蓄電池における負極活物質の容量は、例えば、1~100mAh/cm2であることが好ましく、5~80mAh/cm2であることがより好ましく、10~40mAh/cm2であることが更に好ましい。
また本発明のニッケルビスマス蓄電池における正極活物質の容量と負極活物質の容量との比は、特に限定されないが、例えば、1:3~3:1の範囲内とすることができ、1:2~2:1であることが好ましい。
上記容量は、各電極に搭載された電極の面積当たりの活物質重量に理論容量を乗じて算出されるものである。なお、水酸化ニッケルの理論容量は289mAh/gであり、酸化ビスマスの理論容量は345mAh/gである。
【0035】
上記負極活物質の質量割合は、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる負極活物質、並びに、負極活物質のバインダーポリマー及び導電助剤の各固形分の合計含有量100質量%に対して、10~99質量%であることが好ましい。該活物質の質量割合は、より好ましくは、20~97質量%であり、更に好ましくは、30~95質量%であり、特に好ましくは、40~93質量%である。
なお、本発明のニッケルビスマス蓄電池が、上記負極活物質のバインダーポリマー、導電助剤のいずれか1つ以上を含まない場合、上記合計含有量は、含まない成分を除いた含有量である。
【0036】
<負極活物質のバインダーポリマー>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、更に上記負極活物質のバインダーポリマーを含んでいてもよい。これにより、例えば負極活物質を含む層(負極活物質層)のクラックを防止できる。バインダーポリマーとしては、上記正極活物質のバインダーポリマーと同様のものを使用できるが、例えば、共役ジエン系ポリマーであることが好ましい。
【0037】
上記共役ジエン系ポリマーとしては、スチレン-ブタジエン系ポリマー(SBR)、カルボキシ変性スチレン-ブタジエン系ポリマー、ポリブタジエン系ポリマー、カルボキシ変性ポリブタジエン系ポリマー、ポリイソプレン系ポリマー、カルボキシ変性ポリイソプレン系ポリマー、アクリロニトリル-ブタジエン系ポリマー、カルボキシ変性アクリロニトリル-ブタジエン系ポリマー等の1種又は2種以上を好適に用いることができる。これらの中でも、スチレン-ブタジエン系ポリマー、カルボキシ変性スチレン-ブタジエン系ポリマーが好ましく、特にカルボキシ変性スチレン-ブタジエン系ポリマーが好ましい。
【0038】
上記共役ジエン系ポリマーは、脂肪族共役ジエン系モノマー由来のモノマー単位、芳香族ビニルモノマー由来のモノマー単位、カルボキシ基及び/又はその塩であるカルボキシレート基を有する不飽和モノマー由来のモノマー単位以外の、その他の不飽和モノマー由来のモノマー単位を有していてもよい。
上記共役ジエン系ポリマー100質量%中、その他の不飽和モノマー由来のモノマー単位の質量割合は、30質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
【0039】
上記バインダーポリマーの質量割合は、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる負極活物質、並びに、負極活物質のバインダーポリマー及び導電助剤の各固形分の合計含有量100質量%に対して、0.1~50質量%であることが好ましい。該ポリマーの質量割合は、より好ましくは、0.2~30質量%であり、更に好ましくは、0.3~10質量%であり、特に好ましくは、0.5~5質量%である。
【0040】
<負極活物質の導電助剤>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、更に、負極活物質の導電助剤を含むことが好ましい。
上記導電助剤としては、上記正極活物質の導電助剤と同様のものを使用できるが、中でも、本発明のニッケルビスマス蓄電池が、負極活物質の導電助剤として導電性カーボンを含むことが好ましい。
【0041】
上記導電性カーボンとは、該カーボン材料を混合することで導電性を付与することができるカーボン材料であり、該カーボン材料のみを絶縁基板上に塗布して形成したカーボン層のシート抵抗が106Ωcm以下となるカーボン材料をいう。
上記導電性カーボンとしては、例えば、天然黒鉛・人造黒鉛等の黒鉛、グラッシーカーボン、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、金属によりコートしたカーボン、カーボンコートした金属、ファイバー状カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、バルカン、アセチレンブラック、SiCコートカーボン、分散・乳化・懸濁・マイクロサスペンジョン重合等により表面処理したカーボン、マイクロカプセルカーボン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
中でも、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、グラフェン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、ファイバー状カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、バルカン、アセチレンブラックが好ましい。
【0042】
なお、導電助剤として機能する金属は、負極活物質としても働くものがある。
本明細書中、導電助剤は、上述した負極活物質(負極活物質として働くもの)以外のものをいう。
【0043】
上記導電助剤の質量割合は、ニッケルビスマス蓄電池に含まれる負極活物質、並びに、負極活物質のバインダーポリマー及び導電助剤の各固形分の合計含有量100質量%に対して、0.1~30質量%であることが好ましい。該導電助剤の質量割合は、より好ましくは、0.5~20質量%であり、更に好ましくは、1~15質量%であり、特に好ましくは、3~10質量%である。
【0044】
<保水成分>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、更に、負極活物質の充電反応に水を供給するための保水成分を含んでいてもよい。
上記保水成分とは、電極反応に必要な水分を活物質近傍で保持する成分のことであり、必要に応じて水分の出し入れができる物質で構成されることが好ましい。
上記保水成分は、例えばビスマスの電気化学反応が下記式(1)の通りであり、負極活物質の充電反応の際に水を消費するところ、この水を保持し、充電反応に供給することができるものである。
Bi2O3+3H2O+6e- ⇔ 2Bi+6OH- (1)
上記保水成分としては、ケイ酸、シリカゲル、ゼオライト等の粘土鉱物;綿、麻等の天然繊維;ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)等の保水性ポリマー;糖類;比表面積が100m2/g以上のカーボン材料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、更に、負極活物質の充電反応に水を供給するための保水成分を含むことにより、負極活物質における充電反応をより効率的に進めることができる。
【0045】
<負極>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、上記負極活物質、必要に応じてバインダーポリマー、導電助剤、及び、その他の成分を含む活物質層、並びに、集電体を含んで構成される負極を含んでいてもよい。なお、本発明のニッケルビスマス蓄電池が該活物質層及び集電体を含む場合、活物質等が、集電体に含浸し、活物質層の少なくとも一部が集電体に含浸していてもよい。
【0046】
本発明のニッケルビスマス蓄電池における負極は、例えば、負極活物質に、必要に応じて導電助剤、バインダーポリマー、溶媒等を混合してスラリー状として得られた負極活物質合剤を集電体に塗布、乾燥して得ることができる。また、プレス成形してペレットとすることもできる。
上記集電体としては、上述した正極活物質の同様の材質のものを使用でき、後述するバイポーラ電極のように、正極活物質の集電体そのものであってもよい。すなわち、後述するように、バイポーラ電極では、正極活物質(層)と負極活物質(層)とで集電体を共有することになり、集電体の一方の面に正極活物質層が配置され、該面とは反対側の面に負極活物質層が配置される。
【0047】
<セパレータ>
上記セパレータは、通気度がガーレー値で3000秒以下である。これにより正極活物質から発生する酸素ガスを充分に透過し、ビスマス種に吸収させることができる。
本発明のニッケルビスマス蓄電池において、上記セパレータは、通気度がガーレー値で500秒以下であることが好ましい。
また上記ガーレー値は、100秒以上であることが好ましい。上述したように、ビスマス種は、電解液中での溶解度が低く、亜鉛やカドミウムのように充電生成物が対極へ向かって成長しないため、充電生成物による短絡の問題は基本的に無いが、わずかに溶解析出することから、短絡が生じる可能性はある。上記ガーレー値とすることで、その可能性をより一層低いものとすることができる。
上記ガーレー値は、JIS P 8117に準じて、ガーレー測定器を用いて、100ccの空気が透過する時間を測定したものである。ガーレー値は、気体の通過しやすさを表す指標であり、値が大きいほど気体を通しにくい。
なお、上記ガーレー値は、セパレータが複数の膜が積層された積層体を含む場合は、積層体について測定されたガーレー値である。
【0048】
上記セパレータは、上述した正極活物質と負極活物質とを隔離しつつ、正極活物質と負極活物質との間のイオン伝導性を確保する部材であって、上記のように酸素ガスを透過できるように構成されたものであればよいが、その部材としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン部位含有ポリマー、ポリフッ化ビニリデン部位含有ポリマー、セルロース、フィブリル化セルロース、ビスコースレイヨン、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール含有ポリマー、セロファン、ポリスチレン等の芳香環部位含有ポリマー、ポリアクリロニトリル部位含有ポリマー、ポリアクリルアミド部位含有ポリマー、ポリハロゲン化ビニル部位含有ポリマー、ナイロン等のポリアミド部位含有ポリマー、ポリイミド部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸塩部位含有ポリマー、ポリイソプレノールやポリ(メタ)アリルアルコール等の水酸基含有ポリマー、ポリカーボネート等のカーボネート基含有ポリマー、ポリエステル等のエステル基含有ポリマー、ポリウレタン等のカルバメートやカルバミド基部位含有ポリマー、イオン交換膜性ポリマー、環化ポリマー、スルホン酸塩含有ポリマー、第四級アンモニウム塩含有ポリマー、第四級ホスホニウム塩ポリマー、環状炭化水素基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。上記ポリマーが特定の部位・官能基を含有するとは、ポリマーが、その一部において当該部位・官能基を有する単量体単位を含むものであればよく、当該部位・官能基を有さない単量体単位を含むものであってもよい。言い換えれば、ポリマーは、コポリマーであってもよい。
上記セパレータは、例えば、上記ポリマーから構成される、不織布又は微多孔膜であることが好ましい。
【0049】
上記ポリマーが官能基を有する場合には、該官能基は主鎖にあっても側鎖にあってもよい。また、主鎖がエステル結合、アミド結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、アゴスチック相互作用、水素結合、アセタール結合、ケタール結合、エーテル結合、ペルオキシド結合、炭素-炭素結合、炭素-窒素結合、カルバメート結合、チオカルバメート結合、カルバミド結合、チオカルバミド結合、オキサゾリン部位含有結合、トリアジン結合等を介して架橋されていてもよい。
中でも、セパレータの少なくとも負極側を保水性の高分子膜とすることが本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記保水性の高分子膜は、上述した保水成分における保水性ポリマーを使用でき、例えば、セルロース、フィブリル化セルロース、ビスコースレイヨン、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アリルアルコール等の水酸基含有ポリマー、ナイロン等のポリアミド部位含有ポリマー、ポリイミド部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸塩部位含有ポリマー等が挙げられ、例えば、水酸基含有ポリマーが好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0050】
上記セパレータは、空隙率が20体積%以上であることが好ましく、30体積%以上であることがより好ましい。また、該空隙率は、90体積%以下であることが好ましく、80体積%以下であることがより好ましい。
上記空隙率は、セパレータの体積に対するセパレータの空隙の体積で表されるものであり、水銀ポロシメーターにより測定することができる。
【0051】
上記セパレータは、平均膜厚が10μm~1mmであることが好ましい。10μm以上であると耐久性をより優れたものとすることができる。また、1mm以下であるとコスト面から有利となる上、イオンや酸素ガスの透過の能力も充分に優れる。該平均膜厚は、20μm以上であることがより好ましい。また、該平均膜厚は、500μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましく、150μm以下であることが特に好ましい。
本明細書中、平均膜厚は、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて任意の10点を測定した平均値である。
【0052】
<電解液>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、更に、電解質を含むことが好ましい。
上記電解質としては、蓄電池の電解質として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、有機溶剤系電解液、水系電解液、固体電解質等が挙げられる。有機溶剤系電解液としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、イオン性液体、フッ素含有カーボネート類、フッ素含有エーテル類、ポリエチレングリコール類、フッ素含有ポリエチレングリコール類等が挙げられ、これらの1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等などが挙げられる。これらの中でも、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液といったアルカリ性の水系電解液が好ましい。上記水系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液は、上記有機溶剤系電解液を含んでいてもよい。
【0053】
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、密閉されていてもよい。本発明のニッケルビスマス蓄電池は、充電時に発生する酸素をビスマスに吸収させるため、密閉するのに適している。本発明のニッケルビスマス蓄電池が密閉されていることにより、電解液が蒸発することを充分に防止できる。また、大気中の水分や二酸化炭素が混入することを充分に防止でき、例えば、大気中の二酸化炭素と電解液中の水酸化物イオンとの反応を抑制することができる。
【0054】
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、公知の方法を適宜用いて製造することができる。例えば、正極をセル中に配置し、電解質溶液をセル中に導入し、更に、セパレータ、負極等を配置してニッケルビスマス蓄電池を作製することができる。
【0055】
<バイポーラ電極>
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、バイポーラ電極を含むものであることが本発明の好ましい実施形態の1つである。バイポーラ電極は、基本的には、上記正極活物質、集電体、及び、上記負極活物質を含んで構成され、正極と負極を兼ねるものである。具体的には、バイポーラ電極は、集電体、集電体の一方の面に配置されたニッケル種を含む正極活物質、及び、該面とは反対側の面に配置されたビスマス種を含む負極活物質を含んで構成されるものである。
図2は、本発明のニッケルビスマス蓄電池がバイポーラ電極を含む場合のバイポーラ電極の構成を例示する模式図である。
図2に、バイポーラ電極140が、正極活物質であるニッケル種143を含む正極活物質層、集電体141の層、及び、上記負極活物質であるビスマス種145を含む負極活物質層がこの順に含んで構成される様子を示す。
【0056】
上記バイポーラ電極は、例えば、必要により集電体の外周に絶縁塗料を所定幅で塗布したうえで、ニッケル種、導電助剤等を含む正極活物質合剤を集電体の一面に塗布、乾燥して正極活物質層を形成し、また、ビスマス種、導電助剤等を含む負極活物質合剤を集電体の反対面に塗布、乾燥して負極活物質層を形成して得ることができる。なお、上記負極活物質層及び正極活物質層は、溶接、溶着、圧接、圧着等の方法により、集電体と接合してもよい。また、バイポーラ電極は、プレス成形により得ることもできる。
【0057】
上記バイポーラ電極は、更に、導電性多孔体を含むことが好ましい。導電性多孔体を含むことで、蓄電池の抵抗を低減することができる。導電性多孔体は、電極活物質等とともに、活物質層を形成する。導電性多孔体は、集電体の一面(正極活物質側の面又は負極活物質側の面)だけに配置されていてもよいし、集電体の両面に配置されていてもよい。
【0058】
導電性多孔体は、たとえば、銅・真鍮・ニッケル・銀・インジウム・鉛・錫・コバルト等の金属や金属化合物、導電性カーボン、導電性樹脂、これらが複合化したものから構成される。導電性多孔体は、金属不織布、発泡金属、パンチング金属板、金属メッシュ等であってもよく、樹脂製の不織布に金属メッキ処理されたものであってもよい。
【0059】
以下では、バイポーラ電極が導電性多孔体を含む場合のバイポーラ電極の作製方法について記載する。
活物質層を形成するうえで、例えば、板状の導電性多孔体が先ず集電体と接合し、集電体と接合している導電性多孔体上に、電極活物質合剤(正極活物質合剤又は負極活物質合剤)を塗布し、導電性多孔体内に充填・乾燥させて活物質層を形成することができる。乾燥後、活物質層が圧延されてもよい。また、板状の導電性多孔体を集電体と接合させる前に、導電性多孔体上に電極活物質合剤を塗布し、導電性多孔体内に充填・乾燥させて活物質層を形成し、得られた活物質層を集電体と接合してもよい。
【0060】
また電極活物質合剤と、導電性多孔体の粒子等とを混合し、混合物を例えば集電体上に塗布・乾燥させて活物質層を形成した後、活物質層を集電体と接合してもよい。
なお、上記導電性多孔体や活物質層は、溶接、溶着、圧接、圧着等の方法により、集電体と接合される。
【0061】
バイポーラ電極は、通常、複数のバイポーラ電極の積層体として用いられる。なお、積層体では、バイポーラ電極の一部が、正極活物質と負極活物質の一方のみを含んで構成されるものであってもよい。
図3は、本発明のニッケルビスマス蓄電池がバイポーラ電極を含む場合のバイポーラ電極の積層体の構成を例示する模式図である。
図3では、バイポーラ電極140A、140Bが積層されており、バイポーラ電極140A、140Bの間にセパレータ130Bが配置されている様子が示されている。
【0062】
上述したように、バイポーラ電極の積層体では、一部のバイポーラ電極は、集電体を含むとともに、上記正極活物質及び上記負極活物質の一方のみを含むものであってもよい。すなわち、本発明のニッケルビスマス蓄電池は、集電体、並びに、上記正極活物質及び/又は上記負極活物質を含んで構成されるバイポーラ電極を複数含み、該複数のバイポーラ電極が積層されていることが本発明における好ましい実施形態の1つである。なお、後述する
図6で、このようなバイポーラ電極の積層体を示している。
ビスマスの反応電位は、ニッケルの反応電位に対して約0.9V程度の電位差しかないが、本発明のニッケルビスマス蓄電池がバイポーラ電極の積層体を含むものとすることで、電圧(正極と負極との間の電圧である端子間電圧)をより高めることができる。言い換えれば、本発明のニッケルビスマス蓄電池を、バイポーラ構造によって直列接続されたものとすることで、蓄電池の起電力を高圧化できる。また、このようなバイポーラ型蓄電池は、1セル毎に配線を引き出すセルとは違い、セルごとに固有の集電体が必要ではなく、あるセルにおいて用いる集電体面の反対側の面をそのまま隣のセルでも用いるため、体積ロスや接続による抵抗ロスを低減することができる。
なお、上述したように、保水成分をバイポーラ電極の負極活物質層等に添加した場合は、負極活物質層内等に電解液を留めやすくなることから、後述する
図7に示されるような内部短絡が生じにくくなり、バイポーラ構造を有する電池を作りやすくなる。セパレータの負極側に保水性の高分子膜を配置することもまた本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0063】
このような本発明のニッケルビスマス蓄電池は、例えば、保水性ポリマーから構成される不織布等の、保水性の高分子膜(保水体)に、電解液を浸み込ませてバイポーラ電極の負極活物質側に配置し、その後、セパレータを介して電極を積層し、両面から圧力をかける等して接触させて作製することができる。保水体を用いる代わりに、例えば、負極活物質層内に保水成分を配合してもよい。
【0064】
上記積層体は、例えば、正極活物質層、負極活物質層、電解質等の電力発生部を密閉するために、積層されている集電体の外縁に沿って、外縁間をつなぐシール部が設けられていてもよい。なお、シール部には、電解液の漏れ又は外界からの大気や異物の侵入を防止する目的で、従来公知のガスケット、シールリング、シール剤等を適宜使用できる。
シール部を設けることにより、アルミラミネートフィルム等の電池の外装材や筐体を省略することかできる。なお、本発明のニッケルビスマス蓄電池は、上記積層体に上記シール部を設ける代わりに、又は、上記積層体に上記シール部を設けるとともに、電池の外装材や筐体で覆われる構成であってもよい。
【0065】
なお、上記積層体は、集電体と、集電体と直接接していない活物質層とを電気的に接続するためのリード線やタブ端子が適宜設けられていてもよく、これによりバイポーラ電極の少なくとも一部が実質的に並列に接続されていてもよい。
【0066】
本発明のニッケルビスマス蓄電池は、レアアースを必須とすることなく、長寿命かつ安全な電池を実現することができるため、小型携帯機器から自動車等の大型用途にわたって好適に使用できる。また、本発明のニッケルビスマス蓄電池は、バイポーラ型蓄電池とすることで、上述したように、蓄電池の起電力を高圧化できる。
【0067】
(負極活物質)
本発明は、本発明のニッケルビスマス蓄電池に用いられることを特徴とするニッケル種を含む負極活物質でもある。
【0068】
(バイポーラ電極)
本発明は、本発明のニッケルビスマス蓄電池に用いられるバイポーラ電極であって、該バイポーラ電極は、ニッケル種を含む正極活物質、集電体、及び、ビスマス種を含む負極活物質を含んで構成されることを特徴とするバイポーラ電極でもある。
ビスマス種を含む負極活物質としては、本発明のニッケルビスマス蓄電池において負極活物質として上述したものを好適に使用できる。また、ビスマス種を含む負極活物質の補助成分を使用することができ、補助成分として、本発明のニッケルビスマス蓄電池において負極活物質のバインダーポリマー、負極活物質の導電助剤、及び、負極活物質の保水成分等として上述したものを好適に使用できる。例えば保水成分を用いることで、活物質層内に水系電解液を留めやすく、内部短絡が生じにくくなるためバイポーラ構造を作りやすくなる。
バイポーラ電極における集電体は、正極活物質と負極活物質を隔てるとともに、電気的に導通するものであり、実質的に電解液を透過しないものである。集電体が、実質的に電解液を透過しないとは、電池を構成した際に、集電体が電解液を透過させて電池の内部短絡が生じることがないように、電解液を透過しない材料・形状であることをいい、例えば、本発明のビスマス亜鉛蓄電池が含む集電体として上述した各種金属箔・金属板を好適に使用できる。また、集電体が発泡金属、金属メッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングメタル等であっても、活物質等が集電体に含浸した結果、実質的に電解液を透過しないものであれば好適に使用できる。
言い換えれば、集電体は、透水性がないものを好適に使用できる。
【0069】
本発明のバイポーラ電極は、ニッケル種を含む正極活物質を更に含むことが好ましい。
ニッケル種を含む正極活物質としては、本発明のニッケルビスマス蓄電池において正極活物質等として上述したものを好適に使用できる。また、ニッケル種を含む正極活物質の補助成分を使用することができ、補助成分として、本発明のニッケルビスマス蓄電池において正極活物質のバインダーポリマー、正極活物質の導電助剤等として上述したものを好適に使用できる。なお、例えば正極活物質層内に水系電解液を留めるようにする観点から、保水成分を使用してもよい。
【0070】
(積層体)
本発明は、本発明のバイポーラ電極が積層されていることを特徴とする積層体でもある。
図6は、本発明のバイポーラ電極の積層体の構成を例示する模式図である。
図6に、バイポーラ電極140Aが、正極活物質であるニッケル種143Aを含む正極活物質層、集電体141Aの層、及び、上記負極活物質であるビスマス種145Aを含む負極活物質層がこの順に含んで構成される様子を示す。
【0071】
上述した
図6では、バイポーラ電極が積層されており、バイポーラ電極間にセパレータ130A、130Bが配置されている様子が示されている。
このように積層体とすることで、電池の起電力をより高圧化できる。
なお、
図6に示すように、本発明の積層体において、本発明のバイポーラ電極であるバイポーラ電極140Aの上側のバイポーラ電極や下側のバイポーラ電極は、集電のため、集電体の片面にのみ合剤を塗布したものであってもよい。
本発明の積層体は、本発明のバイポーラ電極を含む、集電体、並びに、上記正極活物質及び/又は上記負極活物質を含んで構成されるバイポーラ電極を複数含み、該複数のバイポーラ電極が積層されていることが本発明における好ましい実施形態の1つである。
【0072】
図7は、本発明の積層体において短絡が生じる場合を示す模式図である。
図7に示すように、電解液150がバイポーラ電極の外周部で干渉した場合は、内部短絡160が生じ、バイポーラ構造を有する電池が成立しなくなる。これを防止するために、上述したシール部等の部材を設けることができる。また、集電体が電解液を透過する場合も同様に、内部短絡が生じ、バイポーラ構造を有する電池が成立しなくなる。
【0073】
本発明の負極活物質、本発明のバイポーラ電極、本発明の積層体を用いて、本発明のニッケルビスマス蓄電池を好適に形成することができる。
【実施例0074】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0075】
(実施例1)
下記正極をセル中に配置し、7M-KOH水溶液を電解質溶液としてセル中に導入し、正極の両面にセパレータ、負極の順番に配置してニッケルビスマス蓄電池を構成した。
〔正極〕
コバルトでコートされた水酸化ニッケルとポリアクリル酸NaとPTFEエマルションと水を50:1:1:20の質量割合で混合しスラリーを調整し、それを発泡ニッケルに含侵させ、乾燥させた上で上下から圧延し電極とした。水酸化ニッケルによる容量は、15mAh/cm2程度であった。
〔負極〕
酸化ビスマスと天然黒鉛とSBRと水を40:4:0.5:20の質量割合で混合し、ニッケルメッシュ(#100)を集電体として塗布し、乾燥させて作成した。酸化ビスマスによる容量は、15mAh/cm2程度とした。
【0076】
〔セパレータ〕
セパレータとして、ビニロン不織布(90μm厚)を一枚用いた。
〔電解液〕
電解質溶液として用いた。
〔電池構成〕
上述のように電池を構成し、正極は1枚、負極は2枚用いているため、設計容量比は、正極:負極で1:2である。
【0077】
図4は、本発明のニッケルビスマス蓄電池の一実施形態における充放電容量に対する端子間電圧を示すグラフである。
図5は、本発明のニッケルビスマス蓄電池の一実施形態におけるサイクル数に対する放電電力量を示すグラフである。
【0078】
上記実施例のニッケルビスマス蓄電池は、ニッケル水素電池とは異なりレアアースを用いないが、充電生成物の対極への成長が実質的に無いため、充電生成物による電極間の短絡が無いものであり、
図5に示されるように充分な長寿命化を達成できた。また、充電生成物の対極への成長が実質的に無いため、セパレータとして酸素透過性のものを問題なく使用でき、ニッケル極から発生する酸素を、セパレータを透過させ、ビスマス種に吸収させる機構を構築することができた。
【0079】
(実施例2~5、比較例1)
上記正極をセル中に配置し、7M-KOH水溶液を電解質溶液としてセル中に導入し、正極の両面に下記表1に示したセパレータ、上記負極の順番に配置してニッケルビスマス蓄電池を作製した。電極容量は、Ni:250mAh,Bi:500mAhとして、電池はニッケル極容量で制限される設計を行った(ゆえに電池容量は250mAh)。
1サイクル目はエージングとして0.1Cレートで10時間充電し、端子間電圧が0Vになるまで放電した。
その後、1Cレートで、充電停止電圧1.25Vとして充電し、1Cレートで0Vまで放電してサイクル試験を実施した。
そのときのセパレータ種に対する容量を下記表1に示す。
【0080】
なお、下記表1に記載の有機無機複合セパレータは、以下のようにして調製した。
無機粒子として水酸化マグネシウム(平均粒子径250nm)、ポリマーとしてPTFE(平均粒子径300nm、ガラス転移温度115℃)を用い、結着剤としてSBR(ガラス転移温度-1℃)を用いて体積比5:4:1となるように混合し、スラリー化した分散液を不織布に含浸させて有機/無機複合膜とした。上記混合は、プロペラ型攪拌翼を備えたたて形撹拌機付き槽型攪拌装置を用い、プロペラ型攪拌翼と容器内壁とは十分な距離をあけてせん断応力が加わらない状態で回転数100rpmで5分行った。
【0081】
【表1】
※抵抗値は1cm×1cmに換算した数値である。
【0082】
充電レート1Cで充電し、1.25Vに端子間電圧が到達した時点で充電を止めるので、端子間抵抗が高いと1.25Vに早く到達されるため、セパレータ抵抗に依存して容量値が変化する。
ここで、ニッケル正極とビスマス負極はどちらも充放電反応の際にH2Oが出入りする。従って、ガーレー値が10000秒以上の上記セロハンセパレータの場合は、抵抗値は低いが、反応に必要な水が供給されないために容量がでないという結果になった。
他にもニッケル正極から発生する酸素をビスマス負極で吸収させるためにも、通気性があった方が良いという点で、ガーレー値が10000秒以上の上記セロハンセパレータは不適と考えられる。
【0083】
(実施例6、7)
(1)バイポーラ電極の作製
ニッケル箔(4cm×4cm)の外周に絶縁塗料としてSBR樹脂を5mm幅で塗布し、その一方の面にコバルトコートされた水酸化ニッケルを塗布し、もう一方の面に酸化ビスマスと導電助剤を含む負極合剤を塗布して形成した。
(2)バイポーラ型ニッケルビスマス蓄電池の作製
保水体として3cm×3cmに切り出した不織布(ビニロン、厚み100μm)を用い、7M-KOH水溶液を100mL浸み込ませてバイポーラ電極のビスマス種側(負極活物質側)へ配置し、1セル構成のニッケルビスマス蓄電池とした(実施例6)。
実施例6のニッケルビスマス蓄電池において、有機無機複合セパレータを介して電極を積層し、両面から圧力をかけて接触させ、2つのセルを直列接続した実施例7のニッケルビスマス蓄電池とした。
※
図9に示すように、両面の電極は集電のため片面塗布としている。
【0084】
図10は、1セル構成の実施例6のニッケルビスマス蓄電池における充放電容量に対する端子間電圧を示すグラフである。
図11は、2つのセルを直列接続した実施例7のニッケルビスマス蓄電池における充放電容量に対する端子間電圧を示すグラフである。
なお、
図10と
図11で横軸の容量が異なるのは、1セル構成の場合は3×3cm
2の電極(活物質層)で、2セル直列のバイポーラ構造の場合は2×2cm
2の電極(活物質層)で実験したためである。
実施例7のニッケルビスマス蓄電池は、実施例6のニッケルビスマス蓄電池と比べて、起電力をより高圧化できた。
また実施例7のニッケルビスマス蓄電池は、1セル毎に配線を引き出す従来のセルと違って、集電体の一方の面をそのまま隣のセルの集電体とするため、体積ロスや接続による抵抗ロスも低減できる。