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特開2023-62443送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062443
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/18 20090101AFI20230426BHJP
【FI】
H04W28/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172431
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000102739
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 豊
(72)【発明者】
【氏名】作田 豊
(72)【発明者】
【氏名】菊池 太樹
(72)【発明者】
【氏名】永井 倫亮
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ43
(57)【要約】
【課題】安定的かつ効率的な通信を行う技術を提供する。
【解決手段】N個の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の送信装置に伝送させる伝送レートを制御する送信制御装置であって、各々の送信装置から、送信装置における変調符号化方式、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度を収集する収集部と、収集部により収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する演算部と、演算部により演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する設定部と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の送信装置に伝送させる伝送レートを制御する送信制御装置であって、
各々の送信装置から、送信装置における変調符号化方式、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度を収集する収集部と、
前記収集部により収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する演算部と、
前記演算部により演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する設定部と、
を備えた送信制御装置。
【請求項2】
前記演算部は、前記収集部により収集された変調符号化方式により定まる各々の送信装置の伝送レートに比例するように、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項3】
受信電波強度と、この受信電波強度における変調符号化方式とを対応付けた対応データを記憶する記憶部を備え、
前記演算部は、前記対応データを用いて、前記収集部により収集された受信電波強度に対応する変調符号化方式を取得し、取得された変調符号化方式により定まる各々の送信装置の伝送レートに比例するように、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項4】
受信電波強度と、この受信電波強度における変調符号化方式とを対応付けた対応データを記憶する記憶部を備え、
前記演算部は、前記対応データを用いて、前記収集部により収集された受信電波強度に対応する変調符号化方式を取得し、取得された変調符号化方式により定まる送信装置の伝送レートと、前記収集部により収集された変調符号化方式により定まる送信装置の伝送レートとの平均値を各々の送信装置ごとに求め、求められた平均値に比例するように、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する請求項1に記載の送信制御装置。
【請求項5】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の受信装置が受信したデータを受信する受信制御装置であって、
前記データを記憶する記憶部と、
前記記憶部において記憶された前記データに含まれる前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力部と、
を備えた受信制御装置。
【請求項6】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の送信装置に伝送させる伝送レートを制御する送信制御装置の制御方法であって、
送信制御装置が、各々の送信装置から、送信装置における変調符号化方式、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度を収集する収集ステップと、
送信制御装置が、前記収集ステップにより収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する演算ステップと、
送信制御装置が、前記演算ステップにより演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する設定ステップと、
を備えた制御方法。
【請求項7】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置の制御方法であって、
受信制御装置が、前記記憶部において記憶された前記データに含まれる前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力ステップ、
を備えた制御方法。
【請求項8】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の送信装置に伝送させる伝送レートを制御する送信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
各々の送信装置から、送信装置における変調符号化方式、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度を収集する収集部と、
前記収集部により収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する演算部と、
前記演算部により演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する設定部と、
して機能させるためのプログラム。
【請求項9】
N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、
前記記憶部において記憶された前記データに含まれる前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力部、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信制御装置、受信制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
Wifi(登録商標)やWiGig(登録商標)などの無線通信では、時々刻々と無線経路の状態が変化するため、各無線経路においてデータ量があふれたり、データ量が少なすぎるといった状況が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-145522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特に、複数の送信装置と複数の受信装置とが1対1で通信を行う通信システムの場合、安定的かつ効率的な通信を行うことは困難であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、複数の送信装置と複数の受信装置とが1対1で通信を行う通信システムにおいて、安定的かつ効率的な通信を行う技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の送信装置に伝送させる伝送レートを制御する送信制御装置であって、各々の送信装置から、送信装置における変調符号化方式、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度を収集する収集部と、前記収集部により収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する演算部と、前記演算部により演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する設定部と、を備えた送信制御装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、前記演算部は、前記収集部により収集された変調符号化方式により定まる各々の送信装置の伝送レートに比例するように、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、受信電波強度と、この受信電波強度における変調符号化方式とを対応付けた対応データを記憶する記憶部を備え、前記演算部は、前記対応データを用いて、前記収集部により収集された受信電波強度に対応する変調符号化方式を取得し、取得された変調符号化方式により定まる各々の送信装置の伝送レートに比例するように、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の送信制御装置において、受信電波強度と、この受信電波強度における変調符号化方式とを対応付けた対応データを記憶する記憶部を備え、前記演算部は、前記対応データを用いて、前記収集部により収集された受信電波強度に対応する変調符号化方式を取得し、取得された変調符号化方式により定まる送信装置の伝送レートと、前記収集部により収集された変調符号化方式により定まる送信装置の伝送レートとの平均値を各々の送信装置ごとに求め、求められた平均値に比例するように、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する。
【0010】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の受信装置が受信したデータを受信する受信制御装置であって、前記データを記憶する記憶部と、前記記憶部において記憶された前記データに含まれる前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力部と、を備えた受信制御装置である。
【0011】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の送信装置に伝送させる伝送レートを制御する送信制御装置の制御方法であって、送信制御装置が、各々の送信装置から、送信装置における変調符号化方式、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度を収集する収集ステップと、送信制御装置が、前記収集ステップにより収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する演算ステップと、送信制御装置が、前記演算ステップにより演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する設定ステップと、を備えた制御方法である。
【0012】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置の制御方法であって、受信制御装置が、前記記憶部において記憶された前記データに含まれる前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力ステップ、を備えた制御方法である。
【0013】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の送信装置に伝送させる伝送レートを制御する送信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータを、各々の送信装置から、送信装置における変調符号化方式、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度を収集する収集部と、前記収集部により収集された変調符号化方式、または受信電波強度にもとづき、送信装置の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する演算部と、前記演算部により演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する設定部と、して機能させるためのプログラムである。
【0014】
本発明の一態様は、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムにおいて、各々の受信装置が受信したデータを受信し、前記データを記憶する記憶部を備えた受信制御装置としてコンピュータを機能させるプログラムであって、前記記憶部において記憶された前記データに含まれる前記データの順番に従って、上位装置に前記データを出力する出力部、して機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、この発明によれば、安定的かつ効率的な通信を行う技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】送信制御装置、受信制御装置を含む通信システムの概略構成を示す図である。
図2】MCSと伝送レートとの対応例を示す図である。
図3】RSSIと、このRSSIにおけるMCSとを対応付けた対応データ例を示す図である。
図4】伝送レートと比率との一例を示す図である。
図5】データの割り当て例を示す図である。
図6】送信装置からMCSのみを取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図7】送信装置からRSSIのみを取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図8】送信装置からMCSとRSSIを取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】記憶部に記憶されるデータなどを示す図である。
図10】出力部の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る通信システムについて説明する。本実施形態で説明する通信システムは、N個(Nは2以上の整数)の送信装置とN個の受信装置とを含み、送信装置と受信装置とが1対1で通信する通信システムである。
【0018】
具体的に、図1を用いて説明する。図1は、送信制御装置10、および受信制御装置70を含む通信システム1の概略構成を示す図である。通信システム1は、送信制御装置10、送信サーバ40、送信装置50-1、…、50-N、受信装置60-1、…、60-N、受信制御装置70、および受信サーバ80を備える。以下の説明において、送信装置50-1、…、50-Nのそれぞれを区別しない場合には、送信装置50と表現する。受信装置60-1、…、60-Nのそれぞれを区別しない場合には、受信装置60と表現する。送信装置50は、受信装置60と1対1で通信する。本実施形態では、送信装置50-k(k=1~N)と受信装置60-kとが1対1で通信する。また、送信装置50、および受信装置60は、例えば無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて通信を行う。
【0019】
送信サーバ40は、送信制御装置10に受信サーバ80に送信するデータを送信する。送信制御装置10は、送信装置50に送信サーバ40から受信したデータを出力する。送信装置50は、送信制御装置10により出力されたデータを、無線により受信装置60にデータを送信する。受信装置60は、送信装置50から受信したデータを受信制御装置70に出力する。受信制御装置70は、受信装置60により出力されたデータを受信サーバ80に送信する。
【0020】
送信制御装置10の詳細について説明する。送信制御装置10は、演算部20、および送信制御部30で構成される。演算部20は、収集部21、レート演算部22、および通知部23で構成される。収集部21は、各々の送信装置50から、送信装置50における変調符号化方式(MCS(Modulation and Coding Scheme))、または送信装置と1対1で通信する受信装置における受信電波強度(RSSI(Received Signal Strength Indicator))を収集する。収集部21は、MCSおよびRSSIをSNMP(Simple Network Management Protocol)を用いて取得してもよい。
【0021】
レート演算部22は、収集部21により収集されたMCS、またはRSSIにもとづき、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する。演算方法については後述する。通知部23は、レート演算部22の演算結果である比率を送信制御部30の設定部31に出力する。
【0022】
送信制御部30は、設定部31、信号受信部32、および流量調整部33で構成される。設定部31は、通知部23から通知された比率を流量調整部33に出力する。信号受信部32は、送信サーバ40から送信されたデータを受信し、流量調整部33に出力する。流量調整部33は、比率にもとづき、信号受信部32から出力されたデータを送信装置50に振り分ける。これにより、送信装置50は、それぞれ対応する受信装置60に無線によりデータを送信する。受信装置60は、受信したデータを受信制御装置70に出力する。
【0023】
受信制御装置70は、信号受信部71、記憶部72、および出力部73で構成される。信号受信部71は、受信装置60から出力されたデータを受信する。記憶部72は、信号受信部71が受信したデータを一時記憶する。出力部73は、記憶部72において記憶されたデータに含まれるデータの順番に従って、受信サーバ80などの上位装置にデータを出力する。「データに含まれるデータの順番」については後述する。
【0024】
次に、レート演算部22の演算方法について説明する。上述したように、レート演算部22は、MCS、またはRSSIにもとづき、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する。MCSとRSSIのいずれも、まず送信装置50ごとに伝送レートを求める。まず、MCSから伝送レートを求める方法について説明する。
【0025】
図2は、MCSと伝送レートとの対応例を示す図である。MCSは、変調方式や符号化率がインデックス化されたものであるが、本実施形態では、説明を簡単にするために、MCS値(以下、単に「MCS」という)を送信装置50から取得する。そして、MCSと伝送レートとの対応を示す情報を用いて伝送レートを取得するものとするが、送信装置50から直接伝送レートを取得してもよい。
【0026】
MCSと伝送レートとの対応を示す情報は、例えばテーブルとして不図示の記憶部に記憶されていてもよいし、プログラムのif文またはcase文などを用いてプログラムに組み込んでいてもよい。レート演算部22は、収集部21が各々の送信装置50から収集したMCSに対応する伝送レートを各々の送信装置50ごとに取得する。例えば、送信装置50-1から、MCSとして2が収集された場合には、送信装置50-1の伝送レートとしてr2を取得する。
【0027】
次に、RSSIから伝送レートを求める方法について説明する。図3は、RSSIと、このRSSIにおけるMCSとを対応付けた対応データ例を示す図である。対応データは、不図示の記憶部に記憶されている。この対応データは、収集部21が送信装置50から複数回にわたりRSSIと、そのときのMCSとを取得し、その取得結果の統計をまとめたデータである。図3において、RSSIが、s9(dBm)以上の場合には、MCSが9であることを示す。同様に、RSSIがs7(dBm)~s8(dBm)の場合には、MCSが7であることを示す。レート演算部22は、収集部21が各々の送信装置50から収集したRSSIに対応するMCSを対応データから取得する。MCSが取得されると、図2に示したMCSと伝送レートとの対応から、伝送レートが取得される。
【0028】
レート演算部22は、各々の送信装置50の伝送レートを取得すると、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する。具体的に、レート演算部22は、各々の送信装置50の伝送レートに比例するように、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する。
【0029】
演算方法について具体的に説明する。図4は、伝送レートと比率との一例を示す図である。図4では、N=4の場合(送信装置A、B、C、Dの4つの送信装置)を例にしている。レート演算部22は、送信装置Aの伝送レートとして80(Mbps)を取得したとする。レート演算部22は、送信装置Bの伝送レートとして20(Mbps)を取得したとする。レート演算部22は、送信装置Cの伝送レートとして60(Mbps)を取得したとする。レート演算部22は、送信装置Dの伝送レートとして40(Mbps)を取得したとする。
【0030】
レート演算部22は、伝送レートの総和(200=80+20+60+40)を求める。レート演算部22は、求まった総和で各送信装置の伝送レートを除算することで比率を求める。図4では、一例として比率をパーセント表示としている。こうして求まった比率は、上述したように通知部23によって設定部31に通知される。
【0031】
設定部31は、送信装置Aの伝送レートを、送信サーバ40から受信したデータのうちの40%に設定する。設定部31は、送信装置Bの伝送レートを、送信サーバ40から受信したデータのうちの10%に設定する。設定部31は、送信装置Cの伝送レートを、送信サーバ40から受信したデータのうちの30%に設定する。設定部31は、送信装置Dの伝送レートを、送信サーバ40から受信したデータのうちの20%に設定する。
【0032】
図5は、データの割り当て例を示す図である。図5において、d1~d15は、固定長のパケットデータを示す。流量調整部33は、設定部31の設定した比率にもとづき、信号受信部32から出力されたデータを送信装置50に振り分ける。
【0033】
図5に示されるように、例えば、流量調整部33は、連続する10個のデータのうちの4つ(d1~d4)を送信装置Aに振り分ける。流量調整部33は、連続する10個のデータの1つ(d5)を送信装置Bに振り分ける。流量調整部33は、連続する10個のデータの3つ(d6~d8)を送信装置Cに振り分ける。流量調整部33は、連続する10個のデータの2つ(d9~d10)を送信装置Dに振り分ける。以降、同様に流量調整部33はデータを割り当てていく。
【0034】
このように、送信装置から取得されたMCSやRSSIにもとづき、比率を演算し、演算された比率に応じて、送信装置の各々に割り当てる伝送レートを設定する。これにより、送信装置50に過不足なくデータを振り分けることができるので、安定的かつ効率的な通信を行う技術を提供することができる。
【0035】
上述したd1~d15に示されるdの後に振られた番号はデータの順番を示す数字である。この順番を示す数字は、流量調整部33によって、送信されるデータに付与される。これにより、送信されるデータに順番が含まれることから、受信制御装置70は、データの正しい順番を認識できる。なお、順番には上限が設けられ、上限に達すると1が採番され、以降1つずつ増分した値が順番とされる。
【0036】
以上説明した送信制御装置10の処理をフローチャートを用いて説明する。図6は、送信装置50からMCSのみを取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0037】
図6において、収集部21は、各送信装置50からMCSを取得する(ステップS101)。レート演算部22は、取得されたMCSに対応する伝送レートを各送信装置50ごとに取得する(ステップS102)。レート演算部22は、各々の送信装置50の伝送レートを取得すると、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する(ステップS103)。通知部23は、求まった比率を設定部31に通知する(ステップS104)。設定部31は、比率に応じて、流量調整部33に対し、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートを設定する(ステップS105)。この処理により設定された伝送レートでデータが送信される。
【0038】
図7は、送信装置50からRSSIのみを取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。図7において、収集部21は、各送信装置50からRSSIを取得する(ステップS201)。レート演算部22は、取得されたRSSIに対応するMCSを各送信装置50ごとに、対応データを用いて取得する(ステップS202)。レート演算部22は、取得されたMCSに対応する伝送レートを各送信装置50ごとに取得する(ステップS203)。レート演算部22は、各々の送信装置50の伝送レートを取得すると、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する(ステップS204)。通知部23は、求まった比率を設定部31に通知する(ステップS205)。設定部31は、比率に応じて、流量調整部33に対し、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートを設定する(ステップS206)。この処理により設定された伝送レートでデータが送信される。
【0039】
図8は、送信装置50からMCSとRSSIを取得する場合の処理の流れを示すフローチャートである。図8において、収集部21は、各送信装置50からMCS(ここではMCSaとする)RSSIを取得する(ステップS301)。このステップS301で取得するMCSを後のMCSと区別するためにMCSaと表現する。レート演算部22は、取得されたRSSIに対応するMCSを各送信装置50ごとに、対応データを用いて取得する(ステップS302)。このステップS302で取得するMCSをMCSaと区別するためにMCSbと表現する。
【0040】
レート演算部22は、取得されたMCSaに対応する伝送レートRaを各送信装置50ごとに取得する(ステップS303)。レート演算部22は、取得されたMCSbに対応する伝送レートRbを各送信装置50ごとに取得する(ステップS303)。レート演算部22は、RaとRbの平均値を取得する(ステップS305)。ここでの平均値は、送信装置ごとに取得される。レート演算部22は、取得された平均値を、送信装置50の伝送レートとする。
【0041】
レート演算部22は、平均値を取得することで各々の送信装置50の伝送レートを取得すると、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートの比率を演算する(ステップS306)。通知部23は、求まった比率を設定部31に通知する(ステップS307)。設定部31は、比率に応じて、流量調整部33に対し、送信装置50の各々に割り当てる伝送レートを設定する(ステップS308)。この処理により設定された伝送レートでデータが送信される。
【0042】
次に、受信制御装置70の出力部73によって行われる、記憶部72において記憶されたデータに含まれるデータの順番に従って、受信サーバ80などの上位装置にデータを出力する処理について説明する。上述したように、送信制御装置10は複数の送信装置50にデータを振り分け、また複数の受信装置60でデータを受信するため、受信した順番と、データの順番とが一致しないこともある。
【0043】
図9は、記憶部72に記憶されるデータなどを示す図である。記憶部72は、信号受信部71が受信したデータを一時記憶する。図9は、信号受信部71が受信した順に、記憶部72に、d1、d2、d3、d5、d4、d6の順にデータが一時記憶されていることを示す。出力部73は、図6に示されるように、記憶部72において記憶されたデータに含まれるデータの順番に従って、受信サーバ80などの上位装置にデータを出力する。
【0044】
図10は、出力部73の処理の流れを示すフローチャートである。出力部73は、直前に受信サーバ80に出力したデータの順番を取得する(ステップS401)。出力部73は、記憶部72を参照して、次のデータが記憶されているか否かを判定する(ステップS402)。次のデータが記憶されていない場合には(ステップS402:NO)、データの記憶待ちとなる。次のデータが記憶されている場合には(ステップS402:YES)、出力部73は、次のデータを受信サーバ80に出力し(ステップS403)、ステップS401に戻る。
【0045】
このように、出力部73は、記憶部72において記憶されたデータに含まれるデータの順番に従って、受信サーバ80にデータを出力する。これにより、順番が担保されたデータを上位装置に出力することができるので、安定的かつ効率的な通信を行う技術を提供することができる。
【0046】
以上説明した実施形態において、収集部21がMCSまたはRSSIを収集するタイミングは、無線品質の変化の度合いに応じて定めるようにしてもよい。すなわち、無線品質の変化の度合いが大きい場合には、例えば1分ごとに収集して比率を求め、データの振り分けに反映させる。このようにすることで、刻々と変化する無線品質に対応することができる。一方、無線品質の変化の度合いが小さい場合には、例えば1日ごとに収集して比率を求め、データの振り分けに反映させる。このようにすることで、収集部21と送信装置50との通信頻度を無駄に多くする場合と比較して、収集部21と送信装置50との間のトラヒックを抑制でき、また演算部20の演算に要する処理も削減することができる。
【0047】
以上説明した実施形態において、送信制御装置10および受信制御装置70は、ソフトウェアで実現されていてもよいし、ハードウェアで実現されていてもよい。例えば、送信制御装置10において、データを送信装置50に振り分ける処理や、受信制御装置70においてデータを記憶部72に記憶させる処理をハードウェアで実現することで、より高速化することができる。また、演算部20をソフトウェアで実現し、送信制御装置10から演算部20の機能を除いたものをハードウェアで実現してもよい。
【0048】
上述した実施形態における送信制御装置10、受信制御装置70、または演算部20の処理をソフトウェアによりコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0049】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 通信システム、10 送信制御装置、20 演算部、21 収集部、22 レート演算部、23 通知部、30 送信制御部、31 設定部、32 信号受信部、33 流量調整部、40 送信サーバ、50 送信装置、60 受信装置、70 受信制御装置、71 信号受信部、72 記憶部、73 出力部、80 受信サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10