(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062452
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
D06F 35/00 20060101AFI20230426BHJP
D06F 43/00 20060101ALI20230426BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
D06F35/00 Z
D06F43/00 A
B08B3/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172446
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】新村 光則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肇
【テーマコード(参考)】
3B168
3B201
【Fターム(参考)】
3B168AA01
3B168AB04
3B168AD01
3B168BA33
3B168BA35
3B168BA42
3B168BA48
3B168FA01
3B168JM01
3B168JM02
3B168JM03
3B201AA46
3B201AB03
3B201BB02
3B201BB83
3B201BB94
(57)【要約】
【課題】手による洗濯物の洗いが行えるとともに、超音波を利用した洗濯物の部分洗いが行える洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄装置1は、洗濯物を洗うための水が溜められる洗浄槽30と、洗浄槽30の内部に設けられ、水が溜められる、洗浄槽30より開口面積が小さな貯水槽40と、貯水槽40の上方に位置し、貯水槽40内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部200と、を備える。貯水槽40は、洗浄槽30の底面に形成される。洗浄装置1は、超音波洗浄部200を、洗浄槽30の内部における貯水槽40の上方の位置と洗浄槽30の外部の位置との間で移動が可能となるように保持する保持機構300を、さらに備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を洗うための水が溜められる第1の槽と、
前記第1の槽の内部に設けられ、水が溜められる、前記第1の槽より開口面積が小さな第2の槽と、
前記第2の槽の上方に位置し、前記第2の槽内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部と、
を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置において、
前記第2の槽は、前記第1の槽の底面に形成される、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載の洗浄装置において、
前記超音波洗浄部を、前記第1の槽の内部における前記第2の槽の上方の位置と前記第1の槽の外部の位置との間で移動が可能となるように保持する保持機構を、さらに備える、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の洗浄装置において、
前記第2の槽に設けられた給水口と、
前記給水口を通じて前記第2の槽に給水する給水装置と、をさらに備える、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項4に記載の洗浄装置において、
前記給水装置は、
水に洗剤が含まれてなる洗剤水を供給する第1給水部と、
洗剤が含まれていない真水を供給する第2給水部と、
前記第1給水部からの洗剤水と前記第2給水部からの真水とが合流する合流部と、を含み、
前記合流部には、側壁面に前記第1給水部からの洗剤水が流れ込む第1導入口が設けられ、前記第1導入口よりも高い位置に前記第2給水部からの真水が流れ込む第2導入口が設けられ、
前記第1導入口は、下向きの開口を有するフード部により前記合流部の内部から覆われる、
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか一項に記載の洗浄装置において、
前記第2の槽は、前記第1の槽の底面の一部を凹ませることにより形成され、
前記第2の槽に、排水口が設けられる、
ことを特徴とする洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手による洗濯物の洗いが行えるとともに、超音波を利用した洗濯物の部分洗いが行える洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯機で洗濯できないデリケートな洗濯物には、たらいや洗面器、洗面台などに洗剤を含む水(以下、「洗剤水」という)を溜めて、人の手による洗い、いわゆる手洗いが行われていた。また、汚れの酷い洗濯物には、洗濯機で洗濯する前に、たらいなどに洗剤水を溜めて、人の手による洗い、いわゆる予洗いが行われていた。
【0003】
また、洗濯物に部分的に付着した汚れを落とすために、洗濯物全体が洗われる前に洗濯物の部分を洗う、いわゆる部分洗いが行われる場合がある。特許文献1には、部分洗いに利用される超音波洗浄装置が記載されている。この超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽と、超音波を発生させる超音波発生体とを含み、貯水槽内の水に漬けられて当該水が浸透した洗濯物の部分に超音波を作用させることにより、洗濯物に部分的に付着した汚れを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の超音波洗浄装置では、貯水槽は汚れの付着部分に浸透させる水を溜めるための槽であり、そのサイズが洗濯物に対して大幅に小さいため、洗浄槽に溜めた水を用いて洗濯物全体を洗うことは難しい。よって、部分洗いを行った後に洗濯物全体の手洗いや予洗いを行う場合は、別途、たらいなどを用意する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、手による洗濯物の洗いが行えるとともに、超音波を利用した洗濯物の部分洗いが行える洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る洗浄装置は、洗濯物を洗うための水が溜められる第1の槽と、前記第1の槽の内部に設けられ、水が溜められる、前記第1の槽より開口面積が小さな第2の槽と、前記第2の槽の上方に位置し、前記第2の槽内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、水が溜められた第1の槽内でユーザの手による洗濯物の洗いを行うことができるとともに、水が溜められた第2の槽内で超音波による洗濯物の部分洗いを行うことができる。
【0009】
しかも、第1の槽よりも開口面積が小さな第2の槽が設けられ、超音波による部分洗いが行われるときには当該第2の槽に水が溜められるような構成とされているので、洗濯物の洗浄される部分が漬かる深さだけ水を溜めるのに必要となる水の使用量が少なくなり、無駄水が生じることを防止できる。また、第2の槽が第1の槽の内部にあるため、超音波による洗濯物の部分洗いの際に水が洗浄装置の外に飛散しにくい。
【0010】
なお、第1の槽および第2の槽に溜められる水には洗剤が含まれてよい。
【0011】
本態様に係る洗浄装置において、前記第2の槽は、前記第1の槽の底面に形成され得る。
【0012】
上記の構成によれば、第1の槽内での洗濯物の洗いの際に、第2の槽が邪魔になりにくい。
【0013】
上記の構成とされた場合、前記超音波洗浄部を、前記第1の槽の内部における前記第2の槽の上方の位置と前記第1の槽の外部の位置との間で移動が可能となるように保持する保持機構を、さらに備えるような構成が採られ得る。
【0014】
このような構成とされれば、第1の槽内で洗濯物が洗われる際には、超音波洗浄部を第1の槽の外部へ退避させることができ、第1の槽内に溜められた水に超音波洗浄部が漬かってしまうことを防止できる。また、超音波洗浄部が第1の槽内で行われる洗いの邪魔になりにくくなる。
【0015】
上記の構成とされた場合、前記第2の槽に設けられた給水口と、前記給水口を通じて前記第2の槽に給水する給水装置と、をさらに備えるような構成が採られ得る。
【0016】
このような構成とされれば、給水装置により、第2の槽内に給水できるとともに、第2の槽から溢れさせるようにして第1の槽内に給水できる。よって、第1の槽と第2の槽に対する給水のための給水装置の給水径路を共通化できる。
【0017】
上記の構成とされた場合、前記給水装置は、水に洗剤が含まれてなる洗剤水を供給する第1給水部と、洗剤が含まれていない真水を供給する第2給水部と、前記第1給水部からの洗剤水と前記第2給水部からの真水とが合流する合流部と、を含むような構成とされ得る。この場合、前記合流部には、側壁面に前記第1給水部からの洗剤水が流れ込む第1導入口が設けられ、前記第1導入口よりも高い位置に前記第2給水部からの真水が流れ込む第2導入口が設けられ得る。前記第1導入口は、下向きの開口を有するフード部により前記合流部の内部から覆われ得る。
【0018】
このような構成とされれば、第2の槽内に洗剤水を供給でき、洗剤水が真水で希釈された希釈洗剤水を第1の槽内に供給できる。よって、洗濯物の部分を洗剤濃度が高めの洗剤水を用いて超音波により洗浄でき、洗剤水から生成された希釈洗剤水を、第1の槽内での洗いに用いることができる。
【0019】
しかも、合流部で真水が洗剤水と合流することにより、真水と洗剤水とが混ざりやすい。よって、第1の槽内に溜められた希釈洗剤水の濃度が均一になりやすい。さらに、第1導入口が下向きの開口を有するフード部により合流部の内部から覆われているので、第1の槽内に溜められた希釈洗剤水が第1導入口から第1給水部の中に逆流することを防止できる。
【0020】
第1の槽の底面に第2の槽が形成される構成とされた場合、前記第2の槽は、前記第1の槽の底面の一部を凹ませることにより形成され、前記第2の槽に、排水口が設けられるような構成が採られ得る。
【0021】
上記の構成によれば、第2の槽内から排水口を通じて排水できるとともに、第1の槽内から第2の槽を経由して排水できる。よって、第1の槽と第2の槽に対する排水のための排水径路を共通化できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、手による洗濯物の洗いが行えるとともに、超音波を利用した洗濯物の部分洗いが行える洗浄装置を提供できる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、洗浄装置の側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、洗浄装置の側面断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、洗浄装置の平面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、洗浄装置の内部構造を示す平面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および保持機構の一部断面平面図である。
【
図6】
図6は、変更例1に係る、洗浄装置の側面断面図である。
【
図7】
図7は、変更例2に係る、洗浄装置が組み込まれた洗面台の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の洗浄装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
<洗浄装置の構成>
図1および
図2は、洗浄装置1の側面断面図である。
図3は、洗浄装置1の平面図である。
図4は、洗浄装置1の内部構造を示す平面図である。
【0027】
図1および
図3には、超音波洗浄部200が使用位置にある開蓋状態の洗浄装置1が示されており、
図2には、超音波洗浄部200が退避位置にある開蓋状態の洗浄装置1が示されている。なお、
図1および
図2には、便宜上、第1給水部110および第2給水部120の主要部がブロックで示されている。また、
図4には、便宜上、筐体10が透明な状態で示されている。
【0028】
図1ないし
図4を参照して、洗浄装置1は、ほぼ方形箱状の筐体10を備える。筐体10の天面には、中折れ式の上蓋20が配置される。上蓋20には、取っ手21が設けられる。洗浄装置1が使用されないとき、
図1の二点鎖線に示すように、筐体10の天面のほぼ全体が上蓋20により覆われる。上蓋20は、筐体10の後端部に設けられた2つのヒンジ部11を支点にして開閉する。筐体10の底面には、四隅に脚12が設けられる。
【0029】
筐体10の天面には、前側に洗浄槽30が設けられる。洗浄槽30は、上方から見て、左右方向に長く前縁部が円弧状に膨らんだ、ほぼ長方形の形状を有する。洗浄槽30は、前側面が緩やかに下り傾斜し、後側面、左側面および右側面がほぼ垂直となり、底面がほぼ水平となる。洗浄槽30内には、当該洗浄槽30内で手洗い、予洗い、漬け置き洗いなどの手による洗濯物の洗いが行われる際に、洗剤を含む水が溜められる。洗浄槽30は、本発明の第1の槽に相当する。
【0030】
洗浄槽30は、その深さ寸法が、その前後左右の寸法よりも小さい。洗浄槽30は、通常サイズを有するシャツ等の衣類を、人の手により槽の中で十分に洗うことができるような容積とされることが望ましい。たとえば、洗浄槽30は、前後の寸法が300mm程度、左右の寸法が500mm程度、深さが100mm程度となるように構成され得る。
【0031】
洗浄槽30には、左後ろの角部に、底面から隆起する高台部31が設けられる。高台部31の天面に溢水口32が形成される。
【0032】
洗浄槽30の内部には、洗浄槽30よりも開口面積が小さな貯水槽40が設けられる。貯水槽40は、洗浄槽30の底面のほぼ中央部に、当該底面の一部を凹ませることにより形成される。貯水槽40は、上方から見て、左右方向に長いほぼ方形状を有する。貯水槽40は、前側面、左側面および右側面が下り傾斜し、後側面がほぼ垂直となり、底面がほぼ水平となる。貯水槽40内には、後述する超音波洗浄運転において、洗剤を含む水が溜められる。貯水槽40は、本発明の第2の槽に相当する。
【0033】
貯水槽40は、その深さ寸法が、その前後左右の寸法よりも小さい。たとえば、貯水槽40は、前後の寸法が100mm程度、左右の寸法が120mm程度、深さが20mm程度となるように構成され得る。
【0034】
貯水槽40には、後側面の中央部に給水口41が設けられる。給水口41は、円筒状を有し、貯水槽40の後方に突出する。
【0035】
貯水槽40には、その前端の中央部から前方へ延びる排水溝部40aが含まれる。排水溝部40aの底面には、排水口42が設けられる。排水口42は、円筒状を有し、貯水槽40の下方に突出する。排水口42は排水栓43により塞がれる。排水栓43は、人の手により排水口42に対して着脱される。なお、ボタン操作により排水栓43を開閉させる機構が設けられてもよく、排水栓43に替えて排水口42に電磁式の排水バルブが設けられてもよい。
【0036】
排水口42には、排水フィルタ44が配置される。排水に混入したリント等の異物が排水フィルタ44により捕獲される。ユーザは、持ち手部44aを持ち、排水フィルタ44を排水口42に対して着脱できる。
【0037】
筐体10内において、排水ホース50が排水口42に接続される。排水ホース50は、第1ホース51と、第2ホース52と、第1ホース51と第2ホース52とを繋ぐT型のホース継手53とで構成される。排水ホース50は、排水口42から左方向へ延びて、筐体10の左側面から機外へ引き出される。溢水口32に接続された溢水ホース54が、ホース継手53に接続される。溢水口32から溢れた水が溢水ホース54を通じて排水ホース50に流れ込む。
【0038】
筐体10の前面には、操作部60が設けられる。操作部60には、複数の操作ボタンが配置される。複数の操作ボタンには、超音波洗浄部200による超音波洗浄運転を行うときに操作される洗浄ボタン61、洗剤水を洗浄槽30内に自動給水するときに操作される洗剤水供給ボタン62、薬剤水を洗浄槽30内に自動給水するときに操作される薬剤水供給ボタン63、真水を洗浄槽30内に自動給水するときに操作される給水ボタン64などが含まれる。
【0039】
洗剤水は、洗剤が含まれた水である。薬剤水は、柔軟剤、漂白剤等の洗剤以外の衣類の処理に用いられる薬剤が含まれた水である。真水は、洗剤等を含まない単なる水である。
【0040】
筐体10内には、操作部60の後方に、制御部70が配置される。制御部70は、マイクロコンピュータ等を含み、後述する超音波発生体210、第1給水バルブ114、第2給水バルブ121などの電装部品の動作を制御する。制御部70は、洗浄ボタン61の操作に基づく超音波洗浄運転を実行する。また、制御部70は、洗剤水供給ボタン62、薬剤水供給ボタン63および給水ボタン64の操作に基づく自動給水の運転を実行する。
【0041】
筐体10内には、洗浄槽30の後方に、洗浄槽30内に溜められた水の水位を検出する水位検出装置80と、洗浄槽30および貯水槽40に水を供給する給水装置100とが配置される。
【0042】
水位検出装置80は、洗浄槽30の底部に接続されたエアトラップ81と、エアトラップ81にホース82を介して接続される水位センサ83とを含む。水位センサ83は、ダイヤフラム式の水位センサであり、エアトラップ81内の空気圧を検出することにより、洗浄槽30内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を出力する。
【0043】
給水装置100は、洗剤や洗剤以外の薬剤が含まれていない真水を供給する機能と、真水に洗剤を混合することにより洗剤水を生成し、生成した洗剤水を供給する機能と、真水に洗剤以外の薬剤を混合することにより薬剤水を生成し、生成した薬剤水を供給する機能を備える。
【0044】
給水装置100は、洗剤水と薬剤水とを選択的に供給する第1給水部110と、真水を供給する第2給水部120と、第1給水部110からの洗剤水または薬剤水と第2給水部120からの真水とが合流する合流部130と、合流部130と貯水槽40の給水口41との間を繋ぐ接続部140と、を含む。
【0045】
第1給水部110は、貯留タンク111と、供給ポンプ112と、第1水路部113と、第1給水バルブ114と、第1三方バルブ115と、第2三方バルブ116と、供給バルブ117と、接続パイプ118と、第1薬剤タンク150と、第2薬剤タンク160と、第1供給パイプ155と、第2供給パイプ165とを含む。
【0046】
貯留タンク111は、ほぼ方形の箱状を有し、洗剤水または薬剤水を貯留する。貯留タンク111は、超音波洗浄運転で貯水槽40に供給される1回の分量以上の洗剤水または薬剤水を貯留できる容積を有する。貯留タンク111の天面には、大気に開放された図示しない通気口が形成される。
【0047】
貯留タンク111の流入口に、供給ポンプ112の吐出口が接続される。供給ポンプ112は、たとえば、ピストン式ポンプとすることができる。
【0048】
供給ポンプ112の吸込口に、第1水路部113の出口が接続される。第1水路部113は、パイプ等により構成される。
【0049】
第1水路部113の入口に、第1給水バルブ114が接続され、第1水路部113の途中に、第1三方バルブ115と第2三方バルブ116が配置される。第1給水バルブ114は、後述の第2給水バルブ121と共通の入水口114aを有し、この入水口114aが図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。
【0050】
貯留タンク111の流出口に供給バルブ117の入口が接続される。供給バルブ117の出口に接続パイプ118の一端が接続される。
【0051】
第1薬剤タンク150は、ほぼ方形の箱状を有し、液体洗剤を原液の状態で貯留する。即ち、第1薬剤タンク150は、洗剤用のタンクである。第1薬剤タンク150には、天面に投入口151が設けられ、底面に排出口152が設けられる。投入口151は、開閉自在な蓋153により覆われる。第1供給パイプ155の一端が排出口152に接続される。第1供給パイプ155の他端は、第1三方バルブ115に接続される。
【0052】
第2薬剤タンク160は、ほぼ方形の箱状を有し、液体柔軟剤、液体漂白剤等の液体薬剤を原液の状態で貯留する。第2薬剤タンク160には、天面に投入口161が設けられ、底面に排出口162が設けられる。投入口161は、開閉自在な蓋163により覆われる。第2供給パイプ165の一端が排出口162に接続される。第2供給パイプ165の他端は、第2三方バルブ116に接続される。
【0053】
洗剤は、それ以外の薬剤よりも使用頻度が多い。このため、第1薬剤タンク150のサイズは、第2薬剤タンク160のサイズよりも大きくされる。第1薬剤タンク150と第2薬剤タンク160は、左右に並ぶようにして筐体10の天面に設けられた収容凹部13に収容される。第1薬剤タンク150と第2薬剤タンク160は、収容凹部13に対して着脱可能とすることができる。
【0054】
第2給水部120は、第2給水バルブ121と、第2水路部122とを含む。第2給水バルブ121の定格流量は、第1給水バルブ114の定格流量よりも多い。第2水路部122は、パイプ等により構成される。第2水路部122の入口が第2給水バルブ121に接続される。
【0055】
合流部130は、上端面が開放し下端面が閉鎖した、上下方向に長い円筒状の管である。合流部130の側壁面には、第1導入口131が設けられるとともに、第1導入口131よりも高い位置に第2導入口132が設けられる。第1導入口131は合流部130の後方に突出し、第2導入口132は合流部130の左方に突出する。さらに、合流部130の側壁面には、下端の位置に流出口133が設けられる。
【0056】
第1導入口131には、第1給水部110の接続パイプ118の他端が接続される。第2導入口132には、第2給水部120の第2水路部122の出口が接続される。第1給水部110からの洗剤水または薬剤水が、第1導入口131から合流部130に流れ込み、第2給水部120からの真水が、第2導入口132から合流部130に流れ込む。合流部130の底部において、洗剤水または薬剤水と真水とが合流する。
【0057】
第1導入口131は、フード部134により合流部130の内部から覆われる。フード部134は、第1導入口131よりも下方に延び、下端面に下向きの開口134aを有する。開口134aの高さ位置は、貯水槽40の上端の位置よりも低い。
【0058】
合流部130は、その上部に設けられた取付部135により筐体10に取り付けられる。合流部130の上端の開口130aに、筐体10の天面部から下方に突出する円筒部14が挿入される。円筒部14の外径は合流部130の内径よりもわずかに小さく、円筒部14の外壁と合流部130の内壁との間には僅かに隙間が生じる。また、合流部130の上端と筐体10の天面部との間にも僅かに隙間が生じる。合流部130内に洗剤水や真水が流れ込んだとき、合流部130内の空気は、このような断面が逆L字のラビリンス状の隙間を通って外部に逃げる。
【0059】
接続部140は、円筒状の管であり、流出口133に繋がるように合流部130と一体形成される。接続部140は、合流部130から前方に水平に延びて給水口41に接続される。
【0060】
洗浄装置1は、超音波洗浄部200と、保持機構300とを備える。超音波洗浄部200は、貯水槽40の上方に位置し、貯水槽40内の洗剤水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する。保持機構300は、超音波洗浄部200を、洗浄槽30の内部における貯水槽40の上方の位置(以下、「使用位置」と称する)と洗浄槽30外部の位置(以下、「退避位置」と称する)の間で移動が可能となるように保持する。
【0061】
図5は、超音波洗浄部200および保持機構300の一部断面平面図である。
図5において、一対の第1リンク部材310の部分では、一点鎖線P1よりも前側が前軸孔311の中心位置で水平に切断され、後側が後軸孔312の中心位置で水平に切断されている。同様に、
図5において、一対の第2リンク部材320の部分では、一点鎖線P2より前側が前軸孔321の中心位置で水平に切断され、後側が後軸孔322の中心位置で水平に切断されている。
【0062】
図1ないし
図4に加えて
図5を参照して、超音波洗浄部200は、超音波発生体210と、ハウジング220とを備える。超音波発生体210は、超音波振動子211と、超音波振動子211に結合される振動ホーン212とを含む。超音波発生体210は、超音波振動子211の高周波振動により、振動ホーン212の先端から超音波を発生させる。ハウジング220は、前後方向に長く、その先端部221が下方に屈曲するようなアーム形状を有する。ハウジング220内の前部に超音波発生体210が配置される。振動ホーン212の先端部がハウジング220の開口222から露出する。超音波洗浄部200が使用位置にあるとき、超音波発生体210の先端部が貯水槽40内に入り込む。
【0063】
ハウジング220の両側面には、後部に、円筒状を有する一対の第1回動軸223と一対の第2回動軸224とが前後に並ぶように設けられる。一対の第1回動軸223は、一対の第2回動軸224よりも長い。ハウジング220の側面には、一対の第1回動軸223の内部に連通する開口225が形成される。
【0064】
保持機構300は、いわゆる平行リンクにより超音波洗浄部200が移動できるよう、超音波洗浄部200を保持する機構である。保持機構300は、一対の第1リンク部材310と、一対の第2リンク部材320と、一対の第1支持部330と、一対の第2支持部340と、を含む。
【0065】
一対の第1リンク部材310および一対の第2リンク部材320は、ほぼL字形の中空な部材である。一対の第1リンク部材310および一対の第2リンク部材320には、それぞれ、前側の端部に円筒状の前軸孔311,321が形成され、後側の端部に円筒状の後軸孔312,322が形成される。
【0066】
一対の第1支持部330は、円筒状の回動軸331を有し、左右方向に回動軸331同士が対向するように筐体10の天面に一体形成される。一対の第2支持部340は、円筒状の回動軸341を有し、左右方向に回動軸341同士が背向するように筐体10の天面に一体形成される。一対の第2支持部340は、一対の第1支持部330よりも後方であって内側に配置される。一対の第1支持部330および一対の第2支持部340は、中空となるように形成されている。
【0067】
一対の第1リンク部材310の内側に、一対の第2リンク部材320が配置される。一対の第1リンク部材310の前軸孔311に、超音波洗浄部200の第1回動軸223が回動可能に挿入され、一対の第1リンク部材310の後軸孔312に、一対の第1支持部330の回動軸331が回動可能に挿入される。また、一対の第2リンク部材320の前軸孔321に、超音波洗浄部200の第2回動軸224が回動可能に挿入され、一対の第2リンク部材320の後軸孔322に、一対の第2支持部340の回動軸341が回動可能に挿入される。
【0068】
筐体10の天面には、一方の第1支持部330の内部に連通する開口15が設けられる。
図5に示すように、超音波洗浄部200の超音波振動子211に通電を行うための配線Cが、筐体10内から開口15、第1支持部330の内部および第1リンク部材310の内部を介してハウジング220内に導かれる。
【0069】
超音波洗浄部200が、
図1に示す使用位置にある状態から持ち上げられると、一対の第1リンク部材310と一対の第2リンク部材320が後方へ回動する。これにより、超音波洗浄部200は、使用位置での姿勢を維持したまま上方および後方へと移動し、
図2に示す退避位置まで移動する。退避位置は、筐体10の天面における洗浄槽30の後方位置であり、退避位置では超音波洗浄部200が洗浄槽30の真上の領域にも存在しない状態となる。
【0070】
なお、超音波洗浄部200は、ハウジング220の先端部221が、左右方向において先細り形状を有している。このため、超音波洗浄部200が退避位置に移動したとき、先端部221が一対の第2支持部340の間に位置し、一対の第2支持部340と干渉しない。また、超音波洗浄部200が使用位置ある状態で上蓋20が閉じられたとき、一対の第1リンク部材310、一対の第2リンク部材320、一対の第1支持部330および一対の第2支持部340が、上蓋20の裏側の空間に収容される。
【0071】
<洗浄装置の動作>
次に、洗浄装置1の動作について説明する。
【0072】
ユーザは、洗濯物の部分洗いを行う場合、超音波洗浄部200が使用位置にある状態で洗浄ボタン61を操作する。これにより、制御部70の制御の下、超音波洗浄運転が開始される。
【0073】
超音波洗浄運転が開始されると、給水装置100の第1給水部110により、以下のようにして貯水槽40内に洗剤水が供給される。
【0074】
まず、貯留タンク111内に洗剤水が溜められる。即ち、第1三方バルブ115が、第1供給パイプ155を第1水路部113における第1三方バルブ115の下流側に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ116が、第1水路部113における第2三方バルブ116の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられる。さらに、供給バルブ117が閉じられる。供給ポンプ112が作動し、第1水路部113内の空気が吸引されて負圧になり、第1薬剤タンク150内の液体洗剤が、第1供給パイプ155を介して第1水路部113内に吸引される。供給ポンプ112は所定時間動作し、所定量の液体洗剤が第1水路部113に溜まる。
【0075】
次に、第1三方バルブ115が、第1水路部113における第1三方バルブ115の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられ、第1給水バルブ114が開かれる。水道栓からの真水が第1水路部113へ流れ、液体洗剤を押し流す。真水と液体洗剤とが混合されて洗剤水となる。洗剤水は、供給ポンプ112を通り、貯留タンク111内に流入する。
【0076】
貯留タンク111内に所定量の洗剤水が溜まると、第1給水バルブ114が閉じられる。こうして、貯留タンク111に所定の洗剤濃度の洗剤水が溜められる。
【0077】
次に、供給バルブ117が開かれる。貯留タンク111内の洗剤水が、接続パイプ118、第1導入口131およびフード部134を通って開口134aから合流部130内に放出される。洗剤水は、接続部140および給水口41を通って貯水槽40へ流れ、貯水槽40内に溜まる。
図1の一点鎖線のように、貯水槽40内の水位がフード部134の開口134aの高さまで上昇し、開口134aが洗剤水で塞がれると、貯留タンク111内の空気圧と外部の空気圧とが釣り合う。これにより、供給バルブ117が開かれた状態のままで、貯留タンク111からの給水が停止する。貯留タンク111内には、満水時の3分の1程度の洗剤水が残る。超音波発生体210の先端が水面に触れる。
【0078】
貯水槽40内に洗剤水が溜められると、ユーザは、洗濯物の汚れの付着部分を、貯水槽40と超音波発生体210の振動ホーン212との間にセットする。洗濯物の汚れの付着部分が洗剤水に漬かり、洗濯物の内部に浸透した洗剤水が表面に浸み出す。洗濯物の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に振動ホーン212が接触する状態となる。
【0079】
洗濯物が吸水することにより、貯水槽40内の水量が減少して水位が下がり、フード部134の開口134aが洗剤水で塞がれなくなると、開口134aが再び洗剤水で塞がれるまで、貯留タンク111から貯水槽40内に洗剤水が補給される。これにより、貯水槽40内の水位、即ち水量が適正な状態に維持される。
【0080】
供給バルブ117が開かれた後に所定の待機時間が経過すると、超音波振動子211に通電が行われて超音波発生体210が作動する。振動ホーン212の先端から超音波が発生し、超音波の作用によって洗濯物から汚れが剥離する。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0081】
超音波発生体210が動作を開始してから、所定の運転時間が経過すると、超音波発生体210の動作が停止され、超音波洗浄運転が終了する。
【0082】
ユーザは、排水栓43を排水口42から取り外し、排水口42を開放する。排水口42が開放されると、貯水槽40内の洗剤水が排水ホース50へと流れて、機外へ排出される。このとき、供給バルブ117は開放されており、貯留タンク111に残った洗剤水も貯水槽40等を経由して機外へ排出される。
【0083】
次に、ユーザは、洗濯物の手洗い等を行う場合、超音波洗浄部200が使用位置にあれば退避位置へ移動させ、超音波洗浄部200が退避位置にある状態で洗剤水供給ボタン62を操作する。これにより、制御部70の制御の下、洗浄槽30内への自動給水が開始される。
【0084】
まず、超音波洗浄運転の場合と同様に、給水装置100の第1給水部110により貯水槽40内に洗剤水が供給される。
【0085】
次に、給水装置100の第2給水部120により真水の供給が行われる。即ち、第2給水バルブ121が開かれ、水道栓からの真水が第2水路部122を流れて、第2導入口132から合流部130内に放出される。放出された真水は、洗剤水と合流し、さらに、接続部140および給水口41を通って貯水槽40へと流れ、洗剤水とともに貯水槽40から溢れて洗浄槽30内に溜まっていく。真水が洗剤水と混ざって洗剤水が希釈され、当該洗剤水よりも洗剤濃度の低い希釈洗剤水が生成される。本実施の形態では、合流部130で真水が洗剤水と合流することにより、真水と洗剤水とが混ざりやすい。よって、洗浄槽30内に溜められた希釈洗剤水の濃度が均一になりやすい。
【0086】
洗浄槽30内の水位が上昇し、
図2の一点鎖線に示すような所定水位Lに到達すると、当該水位が水位検出装置80により検出される。これにより、第2給水バルブ121が閉じられ、第2給水部120による給水が停止する。所定水位Lは、溢水口32の高さ位置よりも少し低い水位である。また、溢水口32の高さ位置は、合流部130の第2導入口132の高さ位置よりも低い。
【0087】
なお、フード部134、第1導入口131および接続パイプ118内には洗剤水が満たされており、フード部134の開口134aは下向きに設けられている。このため、洗浄槽30内に溜められた希釈洗剤水は、所定水位Lより低い位置にある第1導入口131から第1給水部110の中へ逆流しない。
【0088】
こうして、洗浄槽30内に希釈洗剤水が溜まると、この希釈洗剤水を用いて、洗浄槽30内で洗濯物の手洗い等が行われる。即ち、ユーザの手により洗濯物が洗われる。
【0089】
ユーザは、洗濯物を洗い終わると、排水栓43を排水口42から取り外し、排水口42を開放する。洗浄槽30内の希釈洗剤水が、排水口42から排出されて排水ホース50を流れ、機外へ排出される。さらに、貯留タンク111に残った洗剤水も機外へ排出される。
【0090】
なお、第2導入口132から真水が放出されたとき、真水がフード部134に当たるなどして、上方に跳ねる場合がある。本実施の形態では、筐体10の天面部の円筒部14が合流部130の開口130aに挿入されることで生じるラビリンス状の隙間から合流部130の空気を逃がす構成とされているので、跳ねた水が合流部130から外に漏れ出しにくい。
【0091】
さらに、第2給水バルブ121や水位検出装置80の異常により給水が停止しなくなり、洗浄槽30内の水位が溢水口32の高さ位置を越えた場合、希釈洗剤水が溢水口32から溢れ、溢水ホース54および排水ホース50を通じて機外に排出される。これにより、希釈洗剤水が洗浄槽30から溢れたり第2導入口132から第2水路部122に逆流したりすることが防止される。
【0092】
次に、ユーザは、洗った洗濯物を真水ですすぐ場合、給水ボタン64を操作する。第2給水部120による真水の供給のみが行われて、洗浄槽30内に所定水位Lまで真水が溜められる。すすぎが終わると、洗浄槽30内から排水が行われる。
【0093】
なお、第2給水部120による給水の前に、供給バルブ117が閉じられる。これにより、フード部134、第1導入口131および接続パイプ118内に満たされた空気の逃げ場がなくなるので、洗浄槽30内に溜められた真水がフード部134の開口134aから第1給水部110の中へ逆流しない。
【0094】
次に、第2薬剤タンク160内に液体柔軟剤が貯留されており、真水でのすすぎの後に柔軟剤を含む水ですすぎが行われる場合や、第2薬剤タンク160内に液体漂白剤が貯留されており、漂白剤を含む水で洗濯物の漂白が行われる場合など、洗浄槽30内で薬剤水を用いた洗濯物の処理を行う場合、薬剤水供給ボタン63が操作される。
【0095】
手洗いの場合と同様な給水装置100の動作により、第1給水部110から薬剤水、即ち柔軟剤や漂白剤を含む水が供給された後、第2給水部120から真水が供給され、洗浄槽30内に所定水位Lまで、真水で希釈された薬剤水が溜められる。
【0096】
ただし、手洗いの場合と異なり、第1給水部110では、貯留タンク111内への薬剤水の供給を行うため、第2三方バルブ116が、第2供給パイプ165を第1水路部113における第2三方バルブ116の下流側に連通させる状態に切り替えられるとともに、第1三方バルブ115が、第1水路部113における第1三方バルブ115の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられる。これにより、供給ポンプ112が動作したときに、第2薬剤タンク160の液体薬剤、即ち液体柔軟剤や液体漂白剤が第1水路部113に吸引される。
【0097】
薬剤水を用いた洗濯物の処理が終わると、洗浄槽30内から排水が行われる。
【0098】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0099】
洗浄装置1は、洗濯物を洗うための水が溜められる洗浄槽30と、洗浄槽30の内部に設けられ、水が溜められる、洗浄槽30より開口面積が小さな貯水槽40と、貯水槽40の上方に位置し、貯水槽40内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部200と、を備える。
【0100】
この構成によれば、水が溜められた洗浄槽30内で手洗い、予洗い、漬け置き洗いなど、手による洗濯物の洗いを行うことができるとともに、水が溜められた貯水槽40内で超音波による洗濯物の部分洗いを行うことができる。
【0101】
しかも、洗浄槽30よりも開口面積が小さな貯水槽40が設けられ、超音波による部分洗いが行われるときには当該貯水槽40に水が溜められるような構成とされているので、洗濯物の洗浄される部分が漬かる深さだけ水を溜めるのに必要となる水の使用量が少なくなり、無駄水が生じることを防止できる。また、貯水槽40が洗浄槽30の内部にあるため、超音波による洗濯物の部分洗いの際に水が洗浄装置1の外に飛散しにくい。
【0102】
洗浄装置1において、貯水槽40は、洗浄槽30の底面に、当該底面の一部を凹ませることにより形成される。
【0103】
この構成によれば、底面の一部を凹ませることより洗浄槽30の内部に貯水槽40を容易に形成できる。また、洗浄槽30内での洗濯物の洗いの際に、貯水槽40が邪魔になりにくい。さらに、超音波による洗濯物の部分洗いの際に水が洗浄装置1の外に極めて飛散しにくい。
【0104】
洗浄装置1は、超音波洗浄部200を、洗浄槽30の内部における貯水槽40の上方の位置と洗浄槽30の外部の位置との間で移動が可能となるように保持する保持機構300を、さらに備える。
【0105】
洗浄槽30内で洗濯物の手洗いなどを行う場合に、超音波洗浄部200を洗浄槽30の外部の位置へ退避させることができるので、洗浄槽30内に溜められた水に超音波洗浄部200が漬かってしまうことを防止できる。また、超音波洗浄部200が手洗いなどの邪魔になりにくくなる。
【0106】
特に、保持機構300は、平行リンクを用いた機構であり、超音波洗浄部200を、貯水槽40の上方の位置にあるときの姿勢を保ったまま洗浄槽30の外部の位置へ移動させる構成であるので、超音波発生体210の先端や、その周りのハウジング220などに付着した水が開口222からハウジング220の内部に侵入しにくい。
【0107】
洗浄装置1は、貯水槽40に設けられた給水口41と、給水口41を通じて貯水槽40に給水する給水装置100と、をさらに備える。
【0108】
この構成によれば、給水装置100により、貯水槽40内に給水できるとともに、貯水槽40から溢れさせるようにして洗浄槽30内に給水できる。よって、洗浄槽30と貯水槽40に対する給水のための給水装置100の給水径路を共通化できる。
【0109】
洗浄装置1において、給水装置100は、洗剤水を供給する第1給水部110と、真水を供給する第2給水部120と、第1給水部110からの洗剤水と第2給水部120からの真水とが合流する合流部130と、を含む。合流部130には、側壁面に洗剤水が流れ込む第1導入口131が設けられ、第1導入口131よりも高い位置に真水が流れ込む第2導入口132が設けられる。第1導入口131は、下向きの開口134aを有するフード部134により合流部130の内部から覆われる。
【0110】
この構成によれば、貯水槽40内に洗剤水を供給でき、洗剤水が真水で希釈された希釈洗剤水を洗浄槽30内に供給できる。よって、洗濯物の部分を洗剤濃度が高めの洗剤水を用いて超音波により洗浄でき、洗剤水から生成された希釈洗剤水を、洗浄槽30内での手洗いなどに用いることができる。
【0111】
しかも、合流部130で真水が洗剤水と合流することにより、真水と洗剤水とが混ざりやすい。よって、洗浄槽30内に溜められた希釈洗剤水の濃度が均一になりやすい。さらに、第1導入口131が下向きの開口134aを有するフード部134により合流部130の内部から覆われているので、洗浄槽30内に溜められた希釈洗剤水が第1導入口131から第1給水部110の中に逆流することを防止できる。
【0112】
洗浄装置1は、貯水槽40に設けられた排水口42をさらに備える。この構成によれば、貯水槽40内から排水口42を通じて排水できるとともに、洗浄槽30内から貯水槽40を経由して排水できる。よって、洗浄槽30と貯水槽40に対する排水のための排水径路を共通化できる。
【0113】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0114】
<変更例1>
図6は、変更例1に係る、洗浄装置1Aの側面断面図である。
【0115】
上記実施の形態の洗浄装置1では、洗浄槽30の底面の一部を凹ませることにより、洗浄槽30の内部に貯水槽40が形成された。
【0116】
これに対し、本変更例の洗浄装置1Aでは、洗浄槽30内の後部中央部に、底面から隆起するほぼ直方体状の台部35が形成され、この台部35の天面に、ほぼ方形凹状の貯水槽45が形成される。即ち、貯水槽45は、洗浄槽30内の後部中央部の上部に配置される。貯水槽45の前面には、排水栓47により開閉される排水口46が形成される。排水栓47は、ユーザの手により排水口46に対して着脱される。
【0117】
洗浄槽30の底面では、貯水槽40が無くなり、排水溝部40aが給水口41まで延びる。
【0118】
給水装置100の第1給水部110には、供給バルブ117と接続パイプ118に替えて、貯留タンク111に繋がる供給ポンプ171と、供給ポンプ171から貯水槽45の上方に延びる供給ノズル172とが設けられる。また、給水装置100には、合流部130に替えて、合流部130から第1導入口131とフード部134とが無くされた構成を有する注水部130Aが設けられる。
【0119】
超音波洗浄部200は、筐体10の天面に設けられた保持台350により保持されて、貯水槽45の上方の位置に固定される。超音波発生体210の先端部が、貯水槽45内に入り込む。
【0120】
超音波洗浄運転の際には、排水口46が閉じられた状態で供給ポンプ171が所定時間動作する。貯留タンク111内の洗剤水が供給ノズル172を介して貯水槽45に供給され、貯水槽45内に所定水位まで洗剤水が溜まる。貯水槽45からの排水時には、2つの排水栓43,47が取り外されて、2つの排水口42,46が開放される。
【0121】
洗浄槽30内に希釈洗剤水が溜められる際には、貯水槽45の排水口46が開かれた状態で供給ポンプ171が所定時間動作する。貯留タンク111内の洗剤水が貯水槽45を経由して排水口46から洗浄槽30内に供給される。洗剤水の供給と同時または供給後に、第2給水部120から注水部130A、接続部140および給水口41を介して洗浄槽30内に所定水位Lに達するまで真水が供給される。
【0122】
本変更例の構成においても、上記侍実施の形態と同様、洗浄槽30内で洗濯物の手洗いなどを行うことができるとともに、貯水槽45内で超音波による洗濯物の部分洗いを行うことができる。さらに、超音波による洗濯物の部分洗いの際に、無駄水か生じにくく、また、洗剤水が洗浄装置1の外に飛散しにくい。
【0123】
さらに、本変更例によれば、洗浄槽30内に希釈洗剤水などの水が溜められた状態で、貯水槽45内で超音波による部分洗いを行うことができる。
【0124】
<変更例2>
図7は、変更例2に係る、洗浄装置1Bが組み込まれた洗面台2の上部の側面断面図である。
【0125】
本変更例では、洗浄装置1Bが洗面台2に組み込まれる。言い換えれば、洗浄装置1Bが洗面台2の一部を構成する。
【0126】
筐体10の後部には、カラン3が設置される。カラン3への給水パイプ4が、洗浄装置1Bの台座となる収納庫5から延びて筐体10を貫通する。貯水槽40の排水口42に接続された排水ホース50が下方へ延び、筐体10の底面から出て収納庫5内で排水パイプ6に接続される。筐体10には、天面に上蓋20が設けられず、底面に脚12が設けられない。
【0127】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、保持機構300は、超音波洗浄部200を、使用位置から上方向および後方向に移動できる構成、即ち鉛直方向と水平方向に移動できる構成であった。しかしながら、保持機構300は、超音波洗浄部200を鉛直方向にのみ移動できる構成とされてもよい。ただし、この場合、洗浄槽30の外部に移動した超音波洗浄部200が洗浄槽30の真上の領域に留まるので、上記実施の形態の構成に比べて、洗浄槽30内で手洗いなどが行われる際に超音波洗浄部200が邪魔になりやすくなる。
【0128】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄部200が退避位置に移動したとき、その全体が洗浄槽30の真上の領域から外れたが、その一部が洗浄槽30の真上の領域に残っていてもよい。
【0129】
さらに、上記実施の形態では、貯水槽40は、洗浄槽30の底面に、当該底面の一部を凹ませることにより形成された。しかしながら、洗浄槽30の底面の一部をリブなどの壁部で囲むことにより貯水槽40が形成されてもよい。
【0130】
さらに、給水装置100の構成は、上記実施の形態の構成に限定されない。たとえば、給水装置100は、第2薬剤タンク160が設けられず、洗剤以外の薬剤が含まれる薬剤水が供給されない構成とされてもよい。また、給水装置100は、上記実施の形態と異なる構成で洗剤水と真水とを供給する構成とされてもよい。さらに、給水装置100は、洗剤水でなく原液の液体洗剤と、真水とを供給する構成とされてもよい。さらには、給水装置100は、洗剤水および真水の何れかのみを供給する構成でとされてもよい。さらには、給水装置100は、水道栓に接続されず、水が溜められる貯水タンクを含むような構成とされてもよい。
【0131】
さらに、上記実施の形態では、洗浄装置1に給水装置100が設けられ、洗浄槽30および貯水槽40に対して自動給水が行われた。しかしながら、洗浄装置1は、給水装置100が設けられない構成とされてもよい。
【0132】
さらに、上記実施の形態において、保持機構300の一対の第1リンク部材310と一対の第2リンク部材320とがモータ等の駆動部により回動するような構成が採られることにより、ユーザのボタン等の操作に基づいて超音波洗浄部200が自動で使用位置と退避位置との間を移動するようにされてもよい。
【0133】
さらに、超音波洗浄部200の構成は、上記実施の形態の構成に限られず、貯水槽40内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させることができれば、如何なる構成であってもよい。
【0134】
さらに、洗浄装置1が、ドラム式洗濯機に組み込まれてもよい。この場合、ドラム式洗濯機の天面に洗浄装置1が設置されてもよい。さらに、洗浄装置1が、洗面台の収納庫に引き出し可能に収納されてもよい。
【0135】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0136】
1,1A,1B 洗浄装置
30 洗浄槽(第1の槽)
40,45 貯水槽(第2の槽)
41 給水口
42 排水口
100 給水装置
110 第1給水部
120 第2給水部
130 合流部
200 超音波洗浄部
300 保持機構