(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062456
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20230426BHJP
D06F 23/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
D06F58/02 Z
D06F23/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172451
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肇
(72)【発明者】
【氏名】新村 光則
【テーマコード(参考)】
3B165
3B166
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA05
3B165AB04
3B165AE01
3B165AE04
3B165AE05
3B165AE07
3B165BA52
3B165CA01
3B165CA02
3B165CA11
3B165CB02
3B165CB32
3B165CB33
3B165CB55
3B165CC02
3B165CD02
3B165CD05
3B165DW01
3B165DW02
3B165DW03
3B165DW05
3B165FA01
3B165FA02
3B165GA02
3B165GH02
3B165GH04
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB04
3B166AE01
3B166AE04
3B166AE05
3B166AE07
3B166BA52
3B166CA01
3B166CA02
3B166CB12
3B166CC02
3B166CD02
3B166CD05
3B166DA02
3B166DA31
3B166DB03
3B166DB14
3B166DB18
3B166DC03
3B166DC32
3B166DC37
3B166DC43
3B166DC45
3B166DC47
3B166DC48
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE04
3B166DE06
3B166FA06
3B166FA12
3B166GA12
3B166HA21
3B166HA22
3B166HA31
3B166HA36
3B166HA51
(57)【要約】
【課題】ユーザが、天面部での超音波による洗浄の際に洗濯物を扱いやすく、洗濯物を容易に洗浄でき得るドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】ドラム式洗濯機1は、筐体10の天面部10bが、後方に向かって下り傾斜する第1面部101と、第1面部101の後方であって第1面部101よりも低い位置に位置する第2面部102と、第2面部102の後方であって第2面部102よりも高い位置に位置する第3面部103と、第2面部102の後端から立ち上がり第3面部103の前端へ繋がる第4面部104と、を含む。第2面部102には、洗剤水が溜められる貯水槽110が設けられ、貯水槽110の上方には、第4面部104に固定され、貯水槽110内の洗剤水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部200が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の筐体と、
前記筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置された横軸型のドラムと、を備え、
前記筐体の前面部には、前記ドラム内に洗濯物を投入するための投入口が設けられ、
前記筐体の天面部は、
後方に向かって下り傾斜する第1面部と、
前記第1面部の後方であって前記第1面部よりも低い位置に位置する第2面部と、
前記第2面部の後方であって前記第2面部よりも高い位置に位置する第3面部と、
前記第2面部の後端から立ち上がり前記第3面部の前端へ繋がる第4面部と、を含み、
前記第2面部には、水が溜められる貯水槽が設けられ、
前記貯水槽の上方には、前記第4面部に固定され、前記貯水槽内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部が配置される、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載のドラム式洗濯機において、
前記超音波洗浄部は、前記第3面部よりも上方に張り出さず、
前記筐体内には、前記第3面部の真下で且つ前記第4面部の真後に形成された空間に、前記貯水槽内に洗剤を含む水を供給する洗剤水供給部が配置される、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項3】
請求項2に記載のドラム式洗濯機において、
前記貯水槽は、前記第4面部よりも後方に延び、
前記空間内には、前記洗剤水供給部からの前記洗剤を含む水を前記貯水槽における前記第4面部よりも後方の後側部分に放出する給水部材が配置される、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載のドラム式洗濯機において、
前記第1面部および前記第2面部の左縁部および右縁部には、これら縁部に沿って、前記第1面部および前記第2面部から立ち上がる左壁部および右壁部が設けられる、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載のドラム式洗濯機において、
前記第1面部、前記第2面部、前記貯水槽および前記超音波洗浄部を上方から開閉可能に覆うカバーを、さらに備え、
前記左壁部および前記右壁部は、前記第1面部および前記第2面部と前記カバーとの間の隙間を埋める、
ことを特徴とするドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯機に関する。かかるドラム式洗濯機は、洗濯から乾燥まで連続的に行うものであっても良いし、洗濯は行うが乾燥は行わないものであっても良い。
【背景技術】
【0002】
家庭内において、洗濯機で洗濯する前に、洗濯物に部分的に付着した汚れを落とすいわゆる部分洗いが行われる場合がある。特許文献1には、筐体の天面に設けられ、水が溜められる水槽と、超音波を発生させて、当該超音波により水槽内の水に浸された洗濯物の部分を洗浄する超音波発生装置と、を備え、洗濯物の部分洗いが行える洗濯機が記載されている。水槽内には、給水装置から給水されるとともに、洗剤供給装置から洗剤が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第104233698号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗濯機では、超音波発生装置が筐体に対して固定されたものではないため、洗浄の際、ユーザは超音波発生装置を手で持つ必要があり、洗濯物を両手でしっかりと保持できない。よって、ユーザが水槽内で洗濯物の汚れ部分を洗っているときに、筐体の天面からはみ出した部分の重みにより、洗濯物が天面からずり落ちやすくなるなど、洗濯物を洗浄しづらくなることが懸念される。
【0005】
そこで、本発明は、超音波により洗濯物の洗浄を行う構成が筐体の天面部に備えられる場合に、ユーザが、超音波による洗浄の際に洗濯物を天面部で扱いやすく、洗濯物を容易に洗浄でき得るドラム式洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様に係るドラム式洗濯機は、箱状の筐体と、前記筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置された横軸型のドラムと、を備える。ここで、前記筐体の前面部には、前記ドラム内に洗濯物を投入するための投入口が設けられる。前記筐体の天面部は、後方に向かって下り傾斜する第1面部と、前記第1面部の後方であって前記第1面部よりも低い位置に位置する第2面部と、前記第2面部の後方であって前記第2面部よりも高い位置に位置する第3面部と、前記第2面部の後端から立ち上がり前記第3面部の前端へ繋がる第4面部と、を含む。前記第2面部には、水が溜められる貯水槽が設けられ、前記貯水槽の上方には、前記第4面部に固定され、前記貯水槽内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部が配置される。
【0007】
上記の構成によれば、超音波洗浄部が第4面部に固定されているので、超音波による洗浄の際に、ユーザは、洗濯物を両手で保持できる。また、洗浄の際、第1面部の斜面によって洗濯物が後方へ押しやられるような状態となるので、ユーザは、洗濯物を強固に保持しなくても、洗濯物が天面部から前方へずり落ちにくい。さらに、ユーザが、洗濯物を左右に動かして汚れ部分を貯水槽の位置に持っていく際に第4面部が洗濯物のガイドとなるので、洗濯物を安定して左右に動かしやすい。よって、ユーザは、天面部において、超音波による洗濯物の洗浄を容易に行うことができる。
【0008】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記超音波洗浄部が、前記第3面部よりも上方に張り出さないような構成が採られ得る。さらに、前記筐体内には、前記第3面部の真下で且つ前記第4面部の真後に形成された空間に、前記貯水槽内に洗剤を含む水を供給する洗剤水供給部が配置され得る。
【0009】
上記の構成によれば、超音波洗浄部と洗剤水供給部とが、第4面部を挟んで前後方向に並ぶような配置構成となるので、ドラム式洗濯機の高さサイズが増加することを抑制できる。さらに、超音波洗浄部が、第3面部よりも上方に張り出さず、第2面部の真上の第3面部よりも低い空間に収まるので、筐体の天面部分のすっきりとした外観が得られる。また、洗濯かごなどの物品が第3面部に載せられる場合に、超音波洗浄部が邪魔になりにくい。
【0010】
上記の構成とされた場合、さらに、前記貯水槽は、前記第4面部よりも後方に延びるような構成とされ得る。この場合、前記空間内には、前記洗剤水供給部からの前記洗剤を含む水を前記貯水槽における前記第4面部よりも後方の後側部分に放出する給水部材が配置され得る。
【0011】
このような構成とされれば、貯水槽内に放出された洗剤を含む水が、第2面部における貯水槽の周辺部分に飛散しにくい。また、給水部材が、筐体の外に現れないので、筐体の天面部分の外観が一層すっきりとする。
【0012】
本態様に係るドラム式洗濯機において、前記第1面部および前記第2面部の左縁部および右縁部には、これら縁部に沿って、前記第1面部および前記第2面部から立ち上がる左壁部および右壁部が設けられ得る。
【0013】
上記の構成によれば、貯水槽内の水が第2面部に漏れ出しても左壁部および右壁部で堰き止めることができるので、機外への水の漏れ出しを防止できる。
【0014】
上記の構成とされた場合、前記第1面部、前記第2面部、前記貯水槽および前記超音波洗浄部を上方から開閉可能に覆うカバーを、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記左壁部および前記右壁部は、前記第1面部および前記第2面部と前記カバーとの間の隙間を埋めるような構成とされ得る。
【0015】
このような構成とされれば、カバーと左壁部および右壁部とにより上方向および左右方向から貯水槽および超音波洗浄部を保護できる。また、カバーの左右両端部を左壁部および右壁部により支えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが、天面部での超音波による洗浄の際に洗濯物を扱いやすく、洗濯物を容易に洗浄でき得るドラム式洗濯機を提供できる。
【0017】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の側面断面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る、第3面部の僅かに下の位置で切断された、ドラム式洗濯機の平面断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5(a)は、実施の形態に係る、洗浄運転を開始する際に行われる、洗浄運転と脱水工程とが重ならないための制御処理を示すフローチャートである。
図5(b)は、実施の形態に係る、洗濯運転で行われる、洗浄運転と洗濯運転の脱水工程とが重ならないための制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る、洗い工程の給水時に実行される制御処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)は、変更例1に係る、ドラム式洗濯機の上部の側面断面図である。
図7(b)は、変更例1に係る、ドラム式洗濯機の平面図である。
【
図8】
図8(a)ないし(d)は、その他の変更例に係る、ドラム式洗濯機の上部の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のドラム式洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<ドラム式洗濯機の構成>
図1は、ドラム式洗濯機1の側面断面図である。
図2は、ドラム式洗濯機1の平面図である。
図3は、第3面部103の僅かに下の位置で切断された、ドラム式洗濯機1の平面断面図である。なお、
図1には、便宜上、給水装置300および洗剤水供給部310がブロックで示されている。
【0021】
ドラム式洗濯機1は、ほぼ方形の箱状を有する筐体10を備える。筐体10は、当該筐体10の大部分を構成する、天面が開放された下側部材11と、当該筐体10の上端部分を構成する、底面が開放された上側部材12とにより構成される。
【0022】
筐体10の前面部10aには、洗濯物が投入される円形の投入口13が形成される。投入口13は、開閉自在なドア14により覆われる。
【0023】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21と図示しないスプリングとにより弾性的に支持される。外槽20内には、横軸型のドラム22が回転可能に配置される。ドラム22は、水平軸周りに回転する。外槽20およびドラム22は、前面が開口する。洗濯物は、投入口13と2つの開口とを通じてドラム22内に投入される。
【0024】
外槽20の開口の周縁部と筐体10の投入口13の周縁部が、弾性材料からなる環状のパッキン23により連結される。閉じられたドア14の周面がパッキン23に接触し、投入口13とドア14との間が水封される。
【0025】
ドラム22の内周面には、多数の脱水孔22aが形成される。また、ドラム22の内周面には、前部に環状のバランサ24が設けられるとともに、周方向に等しい間隔で複数のバッフル25が設けられる。
【0026】
外槽20の後方には、ドラム22を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム22を回転させ、脱水工程時には、洗濯物がドラム22の内周面に張り付く回転数でドラム22を回転させる。
【0027】
外槽20の底部には、下方に凹む凹部20aが設けられる。凹部20aの底面に設けられた排水口に第1排水バルブ40が接続される。
【0028】
第1排水バルブ40には、外槽20内の水を機外へ排出するための第1排水路50が接続される。
【0029】
第1排水路50には、フィルタ装置60が配置される。フィルタ装置60は、第1排水路50の一部を構成するフィルタケース61と、フィルタケース61内に取り出し可能に収容され、外槽20から排出された水に含まれるリント等の異物を捕集する排水フィルタ62とを含む。フィルタケース61は、筐体10の前面部10aの下部に設けられた出入口に接続され、出入口を通じてフィルタケース61内に排水フィルタ62を出し入れすることができる。出入口には、扉を設けることができる。フィルタ装置60として、たとえば、特開2020-103718号公報に記載のフィルタユニットを用いることができる。
【0030】
第1排水路50では、第1排水バルブ40の出口とフィルタケース61の流入口61aとに第1排水ホース51が接続される。また、フィルタケース61の流出口61bに第2排水ホース52が接続される。第2排水ホース52は、筐体10の外に引き出される。
【0031】
本実施の形態のドラム式洗濯機1は、筐体10の天面部10bに貯水槽110と超音波洗浄部200とを備え、超音波を利用して洗濯物の洗浄を行う機能を有する。即ち、ドラム式洗濯機1では、洗濯運転に加えて、超音波を利用して洗濯物の洗浄を行う洗浄運転が行われる。
【0032】
筐体10の天面部10bは、第1面部101と、第2面部102と、第3面部103と、第4面部104を含む。第1面部101は、方形の平板状を有し、天面部10bの前端部から後方に向かって下り傾斜する。第2面部102は、方形の平板状を有し、第1面部101の後方であって第1面部101よりも低い位置に位置し、水平に延びる。第2面部102の前端が、第1面部101の後端に繋がる。第3面部103は、方形の平板状を有し、第2面部102の後方であって第2面部102よりも高い位置に位置する。第3面部103は、その前後方向の寸法が第1面部101および第2面部102よりも大きい。第4面部104は、方形の平板状を有し、第2面部102の後端からほぼ垂直に立ち上がり第3面部103の前端へ繋がる。
【0033】
なお、第2面部102は、ほぼ水平であればよく、僅かに前後に傾いていてもよい。
【0034】
第1面部101と第2面部102とによって、天面部10bの前側ほぼ半分が占められる。第1面部101と第2面部102は、前後方向に同程度の寸法を有している。
【0035】
第2面部102の中央部には、当該第2面部102の一部を凹ませることにより、貯水槽110が形成される。貯水槽110は、上方から見て、ほぼ方形状を有する。貯水槽110には、洗剤が含まれた水である洗剤水が溜められる。
【0036】
貯水槽110は、第4面部104の後方まで延長されて筐体10の内部に入り込む。即ち、貯水槽110は、第2面部102に形成された前側部分111と第4面部104より後方の後側部分112とに分けられる。貯水槽110には、後側部分112に排水口113が設けられる。排水口113は、円筒状を有し、貯水槽110の左側面から左方に突出する。
【0037】
第4面部104は、貯水槽110の部分の下端が、他の部分の下端よりも僅かに低くなっており、貯水槽110内に僅かに入り込んでいる。
【0038】
なお、本実施の形態では、貯水槽110は、前側部分111と後側部分112とが左右方向に同じ幅を有するが、後側部分112の左右の幅が前側部分111の左右の幅より小さくされてもよい。
【0039】
第1面部101および第2面部102の左縁部および右縁部には、これら縁部に沿って、第1面部101および第2面部102から立ち上がる左壁部105Lおよび右壁部105Rが設けられる。左壁部105Lおよび右壁部105Rの上端は、その前端が第1面部101の前端と同じ高さを有するとともに、その後端が第3面部103の前端と同じ高さを有し、後方に向かって緩やかに直線的に傾斜する。
【0040】
貯水槽110の上方には、超音波洗浄部200が配置される。超音波洗浄部200は、貯水槽110内の洗剤水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する。
【0041】
超音波洗浄部200は、超音波発生体210と、ハウジング220とを備える。超音波発生体210は、超音波振動子211と、超音波振動子211に結合される振動ホーン212とを含む。振動ホーン212は、導電性を有する金属材料で形成され、先端側に向かうにつれて徐々に細くなる形状を有する。振動ホーン212の先端面212aの形状は、細長い長方形状となる。超音波発生体210は、超音波振動子211の高周波振動により、振動ホーン212の先端から超音波を発生させる。
【0042】
ハウジング220は、前後方向に長く、その先端部221が下方に屈曲するようなアーム形状を有する。ハウジング220内の前部に超音波発生体210が配置される。振動ホーン212の先端部がハウジング220の開口222から露出する。超音波発生体210の先端部が貯水槽110内に入り込む。
【0043】
ハウジング220の後端部が、第4面部104に固定される。これにより、超音波洗浄部200が、第4面部104に固定される。さらに、超音波洗浄部200は、第3面部103よりも上方に張り出さず、第2面部102の真上の第3面部103よりも低い空間S1に収まる。
【0044】
筐体10の内部には、第3面部103の真下で且つ第4面部104の真後に形成された空間S2に、給水装置300が配置される。さらに、空間S2には、供給ノズル400が配置される。供給ノズル400は、給水装置300から貯水槽110の後部へと延びる。供給ノズル400は、その先端部が下方に屈曲し、その先端部の下面に放出口401を有する。供給ノズル400は、本発明の給水部材に相当する。
【0045】
空間S2において、貯水槽110の後側部分112の真上の空間S2aは、第4面部104、左右の側面壁106および後面壁107によって囲まれており、周囲の空間S2bから遮断されている。左右の側面壁106および後面壁107は、貯水槽110の左右の側面および後面から連続し、上方に延びて第3面部103に繋がる。後面壁107に設けられた開口108を供給ノズル400が通される。供給ノズル400の先端部は、貯水槽110の後側部分112の上方に位置し、放出口401の高さが貯水槽110の上端の位置よりも低くなっている。
【0046】
給水装置300は、貯水槽110内に洗剤水を供給する洗剤水供給部310と、外槽20内に給水する給水部320とを含む。洗剤水供給部310は、外槽20内に洗剤および柔軟剤を投入する自動投入部としても機能する。
【0047】
洗剤水供給部310は、第1給水バルブ311と、第1水路部312と、第1三方バルブ313と、第2三方バルブ314と、第3三方バルブ315と、供給ポンプ316と、貯留タンク317と、供給バルブ318と、洗剤タンク350と、柔軟剤タンク360と、第1供給パイプ355と、第2供給パイプ365とを含む。
【0048】
第1給水バルブ311は、後述の第2給水バルブ321と共通の入水口311aを有し、この入水口311aが図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。第1給水バルブ311は、第1水路部312の入口に接続される。
【0049】
第1水路部312は、パイプ等により構成される。第1水路部312の途中には、第1三方バルブ313と第2三方バルブ314が配置される。また、第1水路部312には、第2三方バルブ314の下流に供給ポンプ316が配置され、供給ポンプ316の下流に第3三方バルブ315が配置される。供給ポンプ316は、たとえば、ピストン式ポンプとすることができる。第3三方バルブ315は、貯留タンク317の流入口に接続される。
【0050】
貯留タンク317は、ほぼ方形の箱状を有し、洗剤水を貯留する。貯留タンク317は、洗浄運転で貯水槽110に供給される1回の分量以上の洗剤水を貯留できる容積を有する。貯留タンク317の天面には、大気に開放された図示しない通気口が形成される。貯留タンク317の流出口が、供給バルブ318を介して供給ノズル400に接続される。
【0051】
第1水路部312は、第3三方バルブ315よりも下流側の部分が、空間S2から出て下方へ延び、外槽20の後面上部に設けられた注水口部26に接続される。
【0052】
洗剤タンク350は、ほぼ方形の箱状を有し、液体洗剤を原液の状態で貯留する。洗剤タンク350には、天面に投入口351が設けられ、底面に排出口352が設けられる。投入口351は、開閉自在な蓋353により覆われる。第1供給パイプ355の一端が排出口352に接続される。第1供給パイプ355の他端は、第1三方バルブ313に接続される。
【0053】
柔軟剤タンク360は、ほぼ方形の箱状を有し、液体柔軟剤を原液の状態で貯留する。柔軟剤タンク360には、天面に投入口361が設けられ、底面に排出口362が設けられる。投入口361は、開閉自在な蓋363により覆われる。第2供給パイプ365の一端が排出口362に接続される。第2供給パイプ365の他端は、第2三方バルブ314に接続される。
【0054】
洗剤タンク350と柔軟剤タンク360は、左右に並ぶようにして天面部10bの第3面部103に設けられた収容凹部109a,109bに収容される。洗剤タンク350と柔軟剤タンク360は、収容凹部109a,109bに対して着脱可能とすることができる。
【0055】
給水部320は、第2給水バルブ321と、第2水路部322とを含む。第2給水バルブ321の定格流量は、第1給水バルブ311の定格流量よりも多い。第2給水バルブ321は、第2水路部322の入口に接続される。
【0056】
第2水路部322は、パイプ等により構成される。第2水路部322は、空間S2を抜け出て下方へ延び、外槽20の後面上部に設けられた注水口部26に接続される。
【0057】
なお、給水装置300は、その下方の外槽20側へと延びる第1水路部312と第2水路部322とを除く構成の全てが空間S2に収まっていてもよいし、当該構成の一部が空間S2から下方にはみ出していてもよい。
【0058】
筐体10、即ち上側部材12の内部には、貯水槽110の後側部分112の左方に第2排水バルブ510が配置される。第2排水バルブ510は、排水口113に接続される。第2排水バルブ510には、第2排水路520が接続される。第2排水路520は、たとえば、ホースにより構成され、下方へと延びて外槽20の底部に接続される。なお、第2排水路520は、排水フィルタ62の上流側に接続されればよく、第1排水ホース51やフィルタケース61に接続されてもよい。
【0059】
図4は、ドラム式洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0060】
ドラム式洗濯機1は、上述した構成に加え、操作部611と、表示部612と、音声出力部613と、水位センサ614と、制御部615と、記憶部616と、モータ駆動部617と、8つのバルブ駆動部618~625と、ポンプ駆動部626と、振動子駆動部627と、ドアロック装置628とを備える。
【0061】
操作部611は、電源オンボタン611a、電源オフボタン611b、スタートボタン611c、コース選択ボタン611d、洗浄ボタン611e等の各種の操作ボタンを含み、操作ボタンに応じた操作信号を制御部615に出力する。
【0062】
電源オンボタン611aおよび電源オフボタン611bは、それぞれ、ドラム式洗濯機1に対する電源の投入および遮断を行うためのボタンである。スタートボタン611cは、洗濯運転を開始させるためのボタンである。コース選択ボタン611dは、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのボタンである。洗浄ボタン611eは、洗浄運転を開始させるためのボタンである。
【0063】
表示部612は、報知部であり、LED等の表示素子を含み、選択された運転コースの表示、エラーコードの表示など、洗濯運転および洗浄運転に係る情報の表示を行う。
【0064】
音声出力部613は、報知部であり、運転終了を知らせる音やボタン操作を受け付けたことを知らせる音など、報知音を出力する。報知音には、アラーム音などの他、音声が含まれる。
【0065】
水位センサ614は、外槽20内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部615に出力する。
【0066】
モータ駆動部617、8つのバルブ駆動部618~625、ポンプ駆動部626および振動子駆動部627は、それぞれ、制御部615からの制御信号に従って、駆動モータ30、第1給水バルブ311、第2給水バルブ321、第1三方バルブ313、第2三方バルブ314、第3三方バルブ315、第1排水バルブ40、第2排水バルブ510、供給ポンプ316および超音波振動子211を駆動する。ドアロック装置628は、制御部615からの制御信号に従って、ドア14のロックおよびロック解除を行う。
【0067】
記憶部616は、ROM、RAM等を含む。記憶部616には、各種運転コースの洗濯運転および洗浄運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部616には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0068】
制御部615は、CPU等を含み、操作部611、水位センサ614等からの各信号に基づいて、記憶部616に記憶されたプログラムに従い、表示部612、音声出力部613、モータ駆動部617、8つのバルブ駆動部618~625、ポンプ駆動部626、振動子駆動部627、ドアロック装置628等を制御する。
【0069】
<ドラム式洗濯機の動作>
ドラム式洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転を行うことができる。洗濯運転は、制御部615による制御の下で実行される。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順次行われる。運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0070】
洗い工程では、外槽20内に所定の洗い水位まで洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム22の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0071】
すすぎ工程では、外槽20内に所定のすすぎ水位までの水が溜められた状態でドラム22が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0072】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム22が、ドラム22内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム22の内周面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム22が回転する。
【0073】
洗い工程での給水時には、給水装置300により、外槽20内に給水が行われるとともに、液体洗剤が自動投入される。
【0074】
まず、洗剤水供給部310において、第1三方バルブ313が、第1供給パイプ355を第1水路部312における第1三方バルブ313の下流側に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ314が、第1水路部312における第2三方バルブ314の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられる。さらに、第3三方バルブ315が、第1水路部312における第3三方バルブ315の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられる。
【0075】
供給ポンプ316が作動し、第1水路部312内の空気が吸引されて負圧になり、洗剤タンク350内の液体洗剤が、第1供給パイプ355を介して第1水路部312内に吸引される。供給ポンプ316は所定時間動作し、所定量の液体洗剤が第1水路部312に溜まる。
【0076】
次に、第1三方バルブ313が、第1水路部312における第1三方バルブ313の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられ、第1給水バルブ311が開かれる。水道栓からの水が第1水路部312へ流れ、液体洗剤を押し流す。押し流された液体洗剤は、注水口部26へと流れ、注水口部26から外槽20内へ投入される。
【0077】
給水部320では、第1給水バルブ311が開かれると同時に第2給水バルブ321が開かれる。水道栓からの水が第2水路部322を通って注水口部26へと流れ、注水口部26から外槽20内へ放出される。
【0078】
外槽20内の水位が所定の洗い水位に到達すると、第1給水バルブ311と第2給水バルブ321が閉じられて、給水が終了する。なお、洗い水位は、投入口13の下縁の位置よりも高い位置に設定される。
【0079】
すすぎ工程の給水時には、給水装置300の給水部320による給水のみが行われて、外槽20内に所定のすすぎ水位まで水が溜められる。
【0080】
すすぎ工程が複数回行われる場合、最後のすすぎ工程では、給水時に、洗い工程での動作と同様な給水装置300の動作により、柔軟剤タンク360の液体柔軟剤が外槽20内に投入される。
【0081】
ただし、洗い工程での給水時と異なり、洗剤水供給部310では、第2三方バルブ314が、第2供給パイプ365を第1水路部312における第2三方バルブ314の下流側に連通させる状態に切り替えられるとともに、第1三方バルブ313が、第1水路部312における第1三方バルブ313の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられる。これにより、供給ポンプ316が動作したときに、柔軟剤タンク360の液体柔軟剤が第1水路部312に吸引される。
【0082】
洗い工程やすすぎ工程の排水時において、外槽20から排出された水は、第1排水路50内を流れて機外へ排出される。このとき、排水に含まれるリント等の異物が、排水フィルタ62により捕集される。これにより、機外への異物の排出が抑制される。
【0083】
ドラム式洗濯機1では、洗浄運転を行うことができる。洗浄運転は、制御部615による制御の下で実行される。洗浄運転により、ユーザは、洗濯運転を行う前に、洗濯物に部分的に付着した汚れを除去する、いわゆる部分洗いを行える。
【0084】
ユーザにより洗浄ボタン611eが操作されると、洗浄運転が開始される。
【0085】
洗浄運転が開始されると、給水装置300の洗剤水供給部310により、以下のようにして貯水槽110内に洗剤水が供給される。
【0086】
まず、貯留タンク317内に洗剤水が溜められる。即ち、第1三方バルブ313が、第1供給パイプ355を第1水路部312における第1三方バルブ313の下流側に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ314が、第1水路部312における第2三方バルブ314の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられる。さらに、第3三方バルブ315が、第1水路部312における第3三方バルブ315の上流側と貯留タンク317の流入口とを連通させる状態に切り替えられる。さらに、供給バルブ318が閉じられる。供給ポンプ316が所定時間動作し、所定量の液体洗剤が第1水路部312に溜まる。
【0087】
次に、第1三方バルブ313が、第1水路部312における第1三方バルブ313の上流側と下流側とを連通させる状態に切り替えられ、第1給水バルブ311が開かれる。水道栓からの水が第1水路部312へ流れ、液体洗剤を押し流す。水と液体洗剤とが混合されて洗剤水となる。洗剤水は、供給ポンプ316および第3三方バルブ315を通り、貯留タンク317内に流入する。
【0088】
貯留タンク317内に所定量の洗剤水が溜まると、第1給水バルブ311が閉じられる。こうして、貯留タンク317に所定の洗剤濃度の洗剤水が溜められる。
【0089】
次に、供給バルブ318が開かれる。貯留タンク317内の洗剤水が、供給ノズル400を通って放出口401から貯水槽110の後側部分112に放出され、貯水槽110内に溜まる。このとき、後側部分112は、第4面部104の後方、即ち筐体10の内部に存在するため、放出された洗剤水が、第2面部102における貯水槽110の周囲に飛散しにくい。また、後側部分112の真上の空間S2aが、左右の側面壁106および後面壁107により周囲の空間S2bと遮断されているで、放出された洗剤水が、空間S2b、即ち筐体10内における空間S2aの外部に飛散しにくい。
【0090】
図1の一点鎖線のように、貯水槽110内の水位が放出口401の高さまで上昇し、放出口401が洗剤水で塞がれると、貯留タンク317内の空気圧と外部の空気圧とが釣り合う。これにより、供給バルブ318が開かれた状態のままで、貯留タンク317からの給水が停止する。貯留タンク317内には、満水時の3分の1程度の洗剤水が残る。超音波発生体210の先端が水面に触れる。
【0091】
貯水槽110内に洗剤水が溜められると、ユーザは、洗濯物を第1面部101および第2面部102の上に載せて、洗濯物の汚れの付着部分を、貯水槽110と超音波発生体210の振動ホーン212との間にセットする。洗濯物の汚れの付着部分が洗剤水に漬かり、洗濯物の内部に浸透した洗剤水が表面に浸み出す。洗濯物の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に振動ホーン212が接触する状態となる。
【0092】
このとき、ユーザは、第1面部101の斜面を滑らせるように洗濯物を前方へ動かすことにより、汚れの付着部分をスムーズに貯水槽110の位置へ持っていくことができる。また、第4面部104に当たって洗濯物が止められるので、洗濯物が後方へ行き過ぎることがない。
【0093】
洗濯物が貯水槽110内の洗剤水を吸収することにより、貯水槽110内の水量が減少して水位が下がり、放出口401が洗剤水で塞がれなくなると、放出口401が再び洗剤水で塞がれるまで、貯留タンク317から貯水槽110内に洗剤水が補給される。これにより、貯水槽110内の水位、即ち水量が適正な状態に維持される。
【0094】
供給バルブ318が開かれた後に所定の待機時間が経過すると、超音波振動子211に通電が行われて超音波発生体210が作動する。振動ホーン212の先端から超音波が発生し、超音波の作用によって洗濯物から汚れが剥離する。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0095】
ユーザは、洗濯物を左右に動かしながら、汚れた部分を振動ホーン212に当てて当該部分の汚れを落としていく。このとき、第4面部104が洗濯物のガイドとなるので、ユーザは、洗濯物を安定して左右に動かしやすい。また、第1面部101の斜面によって洗濯物が後方へ押しやられるような状態となるので、ユーザは、洗濯物を強固に保持しなくても、洗濯物が筐体10の天面部10bから前方へずり落ちにくい。さらに、貯水槽110内の洗剤水が、洗濯物に押されるなどにして第2面部102に溢れて拡がってもても、傾斜する第1面部101と、左壁部105Lおよび右壁部105Rとに堰き止められ、筐体10の外へ漏れ出しにくい。
【0096】
超音波発生体210が動作を開始してから、所定の運転時間が経過すると、超音波発生体210の動作が停止され、洗浄運転が終了する。
【0097】
第2排水バルブ510が開放され、貯水槽110内の洗剤水が排水口113を通って第2排水路520へと流れる。第2排水路520を流れた洗剤水は、外槽20内に流入する。このとき、第1排水バルブ40は開放されており、洗剤水は、第1排水路50を流れて機外に排出される。洗剤水に混入しているリント等の異物が排水フィルタ62により捕集される。
【0098】
供給バルブ318は開放されており、貯留タンク317に残った洗剤水も貯水槽110等を経由して機外へ排出される。
【0099】
本実施の形態のドラム式洗濯機1では、洗濯運転と洗浄運転とを同時に行うことができる。即ち、洗濯運転中であっても洗浄運転を開始でき、洗浄運転中であっても洗濯運転を開始できる。
【0100】
ドラム式洗濯機1では、脱水時に筐体10が上下に大きく揺れやすい。よって、洗濯運転の脱水工程中、即ち中間脱水工程中または最終脱水工程中に洗浄運転が行われた場合、貯水槽110内の洗剤水が機外に飛散しやすくなる。そこで、本実施の形態では、制御部615により、以下に示す、洗浄運転と脱水工程とが重ならないための制御処理が実行される。これにより、洗浄運転において、貯水槽110内の洗剤水が筐体10の揺れにより機外に飛散することを防止できる。
【0101】
図5(a)は、洗浄運転を開始する際に行われる、洗浄運転と脱水工程とが重ならないための制御処理を示すフローチャートである。
【0102】
図5(a)を参照して、制御部615は、洗浄ボタン611eによる洗浄運転の開始操作がなされると(S101:YES)、脱水工程中であるか否かを判定する(S102)。制御部615は、脱水工程中でなければ(S102:NO)、洗浄運転を開始する(S103)。一方、制御部615は、脱水工程中であれば(S102:YES)、開始操作を無効とし(S104)、洗浄運転を開始しない。
【0103】
なお、制御部615は、脱水工程が終わると、自動的に洗浄運転を開始するようにしてもよい。
【0104】
図5(b)は、洗濯運転で行われる、洗浄運転と洗濯運転の脱水工程とが重ならないための制御処理を示すフローチャートである。
【0105】
図5(b)を参照して、制御部615は、脱水工程の前の工程、即ち洗い工程またはすすぎ工程が終了すると(S201:YES)、洗浄運転中であるか否かを判定する(S202)。制御部615は、洗浄運転中でなければ(S202:NO)、脱水工程を開始する(S203)。一方、制御部615は、洗浄運転中であれば(S202:YES)、洗浄運転が終了するまで待機する(S204:NO)。そして、制御部615は、洗浄運転が終了すると(S204:YES)、脱水工程を開始する(S203)。
【0106】
さらに、洗濯運転の洗い工程では、投入口13の下縁よりも高い洗い水位まで水が溜められるので、ドア14が開けられないように、ドアロック装置628によるドア14のロックが行われる。このため、給水の途中でドラム22内への洗濯物の追加投入が行えなくなる。洗濯運転が開始されたときに洗浄運転が行われていた場合、その洗浄運転で洗浄された洗濯物が、ドア14が開けられなくなる前に、ドラム22内に追加投入されやすくなるとよい。そこで、本実施の形態では、制御部615により、洗い工程の給水時に、以下に示す制御処理が実行される。
【0107】
図6は、洗い工程の給水時に実行される制御処理を示すフローチャートである。
【0108】
図6を参照して、洗い工程での給水が開始されると、制御部615は、水位センサ614の検出結果に基づいて、外槽20内の水位がドアロック水位に到達したか否かを監視する(S301)。ドアロック水位は、投入口13の下縁より低い所定水位に設定される。
【0109】
制御部615は、外槽20内の水位がドアロック水位に到達すると(S301:YES)、洗浄運転が行われているか否かを判定する(S302)。洗浄運転が行われている場合(S302:YES)、制御部615は、第1給水バルブ311および第2給水バルブ321を閉じて、外槽20内への給水を停止する(S303)。そして、制御部615は、表示部612での表示および/または音声出力部613からの音により、ユーザに洗濯物の追加を促す報知を行う(S304)。その後、制御部615は、スタートボタン611cによる再開操作を待つ(S305)。
【0110】
ユーザは、洗浄運転により洗い終えた洗濯物を追加した後、あるいは、当該洗濯物を追加しない場合、再開操作を行う。再開操作がなされると(S305:YES)、制御部615は、第1給水バルブ311および第2給水バルブ321を開いて、外槽20内への給水を再開するとともに(S306)、ドアロック装置628を動作させて、ドア14のロックを行う(S307)。
【0111】
なお、外槽20内の水位がドアロック水位に到達したときに洗浄運転が行われていない場合(S302:NO)、制御部615は、給水を停止させることなく、ドア14のロックを行う(S307)。
【0112】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0113】
ドラム式洗濯機1は、筐体10の天面部10bが、後方に向かって下り傾斜する第1面部101と、第1面部101の後方であって第1面部101よりも低い位置に位置する第2面部102と、第2面部102の後方であって第2面部102よりも高い位置に位置する第3面部103と、第2面部102の後端から立ち上がり第3面部103の前端へ繋がる第4面部104と、を含む。第2面部102には、洗剤水が溜められる貯水槽110が設けられ、貯水槽110の上方には、第4面部104に固定され、貯水槽110内の洗剤水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させて当該部分を洗浄する超音波洗浄部200が配置される。
【0114】
この構成によれば、超音波洗浄部200が第4面部104に固定されているので、超音波による洗浄の際に、ユーザは、洗濯物を両手で保持できる。また、洗浄の際、第1面部101の斜面によって洗濯物が後方へ押しやられるような状態となるので、ユーザは、洗濯物を強固に保持しなくても、洗濯物が天面部10bから前方へずり落ちにくい。さらに、ユーザが、洗濯物を左右に動かして汚れ部分を貯水槽110の位置に持っていく際に第4面部104が洗濯物のガイドとなるので、洗濯物を安定して左右に動かしやすい。よって、ユーザは、天面部10bにおいて、超音波による洗濯物の洗浄を容易に行うことができる。
【0115】
ドラム式洗濯機1は、超音波洗浄部200が、第3面部103よりも上方に張り出さず、筐体10内における、第3面部103の真下で且つ第4面部104の真後に形成された空間S2に、貯水槽110内に洗剤水を供給する洗剤水供給部310が配置される。
【0116】
この構成によれば、超音波洗浄部200と洗剤水供給部310とが、第4面部104を挟んで前後方向に並ぶような配置構成となるので、ドラム式洗濯機1の高さサイズが増加することを抑制できる。なお、超音波洗浄部200と洗剤水供給部310とが、上下方向、即ち筐体10の高さ方向に並ぶような構成とされた場合は、ドラム式洗濯機1の高さサイズが大きく増加しやすい。
【0117】
さらに、超音波洗浄部200が、第3面部103よりも上方に張り出さず、第2面部102の真上の第3面部103よりも低い空間S1に収まるので、筐体10の天面部分のすっきりとした外観が得られる。また、洗濯かごなどの物品が第3面部103に載せられる場合に、超音波洗浄部200が邪魔になりにくい。
【0118】
ドラム式洗濯機1において、第1面部101および第2面部102の左縁部および右縁部には、これら縁部に沿って、第1面部101および第2面部102から立ち上がる左壁部105Lおよび右壁部105Rが設けられる、
この構成によれば、貯水槽110内の洗剤水が第2面部102に漏れ出しても左壁部105Lおよび右壁部105Rで堰き止めることができるので、洗剤水の機外への漏れ出しを防止できる。
【0119】
ドラム式洗濯機1において、貯水槽110は、第4面部104よりも後方に延び、空間S2内には、洗剤水供給部310からの洗剤水を貯水槽110における第4面部104よりも後方の後側部分112に放出する供給ノズル400が配置される。
【0120】
この構成によれば、貯水槽110内に放出された洗剤水が、第2面部102における貯水槽110の周辺部分に飛散しにくい。また、供給ノズル400が、筐体10の外に現れないので、筐体10の天面部分の外観がすっきりとする。
【0121】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0122】
<変更例1>
図7(a)は、変更例1に係る、ドラム式洗濯機1の上部の側面断面図である。
図7(b)は、変更例1に係る、ドラム式洗濯機1の平面図である。
【0123】
本変更例のドラム式洗濯機1は、第1面部101、第2面部102、貯水槽110および超音波洗浄部200を上方から開閉可能に覆うカバー700を備える。
【0124】
カバー700は、後面と底面とが開放された方形の箱状を有する。カバー700の前後および左右の寸法は、天面部10bにおける第4面部104よりも前側部分の前後および左右の寸法と等しい。また、カバー700の上下の寸法は、第1面部101の上端と第3面部103の表面との間の距離と等しい。
【0125】
左壁部105Lおよび右壁部105Rの上端は、第1面部101の上端と同じ高さ且つ水平であり、それぞれが、カバー700の左側面部および右側面部の下端に接する。第1面部101および第2面部102とカバー700との間の隙間が、左壁部105Lおよび右壁部105Rによって埋められる。
【0126】
カバー700は、着脱することにより開閉可能とされ、貯水槽110と超音波洗浄部200が使用される際に開けられる。なお、カバー700の後端部と第3面部103の前端部との間にヒンジ部が設けられ、カバー700がヒンジ部を支点に開閉されるようにしてもよい。
【0127】
本変更例によれば、カバー700と左壁部105Lおよび右壁部105Rとにより上方向および左右方向から貯水槽110および超音波洗浄部200を保護できる。また、カバー700の左右両端部を左壁部105Lおよび右壁部105Rにより支えることができる。
【0128】
さらに、カバー700の天面と第3面部103の表面とが面一であるため、カバー700の天面を含めた筐体10の天面全体が平坦な状態となり、筐体10の上に洗濯かごなどの物品を載置しやすくなる。
【0129】
<その他の変更例>
第1面部101の構成は、上記実施の形態の構成に限られるものではない。たとえば、第1面部101は、その傾斜角度が途中で変化してもよい。たとえば、
図8(a)に示すように、第1面部101は、前側部分101aの傾斜角度が後側部分101bの傾斜角度よりも大きくされてもよく、
図8(b)に示すように、第1面部101は、後側部分101bの傾斜角度が前側部分101aの傾斜角度よりも大きくされてもよい。また、たとえば、第1面部101は、凹湾曲していてもよいし凸湾曲していてもよい。
【0130】
さらに、上記実施の形態では、第1面部101の後端が第2面部102の前端に繋がっていた。しかしながら、
図8(c)に示すように、第1面部101と第2面部102との間に段差が設けられてもよい。
【0131】
さらに、左壁部105Lおよび右壁部105Rの構成は、上記実施の形態の構成に限られるものではない。たとえば、左壁部105Lおよび右壁部105Rは、第1面部101の上端よりも高い壁部とされるのではなく、
図8(d)に示すように、第1面部101および第2面部102からほぼ等しい高さで立ち上がる、第1面部101の上端よりも低い壁部とされてもよい。この場合、大きな洗濯物を左右に動かす際に、左壁部105Lおよび右壁部105Rが邪魔になりにくい。さらに、左壁部105Lおよび右壁部105Rが第1面部101の途中部分まで設けられるような構成が採られてもよい。
【0132】
さらに、第1面部101および第2面部102に、左壁部105Lおよび右壁部105Rが設けられなくてもよい。
【0133】
さらに、洗剤水供給部310の構成は、上記実施の形態の構成に限られるものではなく、貯水槽110内に洗剤水が供給できれば如何なる構成であってもよい。たとえば、洗剤水供給部310が、貯留タンク317が設けられず、第1水路部312から直接、洗剤水が貯水槽110内に供給されるような構成とされてもよい。また、洗剤水供給部310は、第1水路部312で水と洗剤とが混ぜられるのではなく、洗剤タンク350から直接、貯留タンク317内に投入された洗剤と、第1水路部312から貯留タンク317内に供給された水とが、貯留タンク317内で混合されるような構成とされてもよい。
【0134】
さらに、上記実施の形態では、洗剤水供給部310が、外槽20内へ洗剤および柔軟剤を自動投入する機能を有していた。しかしながら、洗剤水供給部310が、このような機能を有していなくてもよい。この場合、洗剤水供給部310には、柔軟剤タンク360、第2供給パイプ365および第2三方バルブ314が設けられない。さらに、洗剤水供給部310が、外槽20内へ洗剤のみを自動投入する機能を有していてもよい。
【0135】
さらに、上記実施の形態では、貯水槽110が、第4面部104よりも後方へ延び、筐体10内に入り込むような構成とされた。しかしながら、貯水槽110が、第2面部102のみに設けられ、筐体10内に入り込まないような構成とされてもよい。この場合、筐体10の外部に露出する供給ノズル400から貯水槽110内に洗剤水が放出されてもよい。さらに、貯水槽110の前端部が第1面部101の後部まで延びるような構成が採られてもよい。
【0136】
さらに、上位実施の形態では、供給ノズル400により、貯水槽110内に洗剤水が放出された。しかしながら、供給ノズル400以外の形態を有する給水部材により、貯水槽110内に洗剤水が放出されるようになされてもよい。
【0137】
さらに、上記実施の形態では、
図5(a)の制御処理において、脱水工程中である場合に洗浄運転が開始されないようになされた。しかしながら、脱水工程ほどではないものの、洗い工程およびすすぎ工程においても筐体10は上下に揺れやすくなる。よって、脱水工程中のみならず、洗い工程およびすすぎ工程中も洗浄運転が開始されないように、
図5(a)の制御処理が変更されてもよい。同様に、
図5(b)の制御処理が、洗い工程またはすすぎ工程が開始されるときに洗浄運転が行われている場合、洗浄運転の終了を待って洗い工程またはすすぎ工程が開始されるように変更されてもよい。
【0138】
さらに、上記実施の形態では、筐体10内の第3面部103の真下で且つ第4面部104の真後に形成された空間S2に洗剤水供給部310と給水部320の双方が配置された。しかしながら、空間S2内には、少なくとも洗剤水供給部310が配置されればよく、給水部320が筐体10内の空間S2以外の場所に配置されてもよい。
【0139】
さらに、超音波洗浄部200の構成は、上記実施の形態の構成に限られず、貯水槽110内の水に浸された洗濯物の部分に超音波を作用させることができれば、如何なる構成であってもよい。
【0140】
さらに、上記実施の形態では、貯水槽110は、第1面部101の一部を凹ませることにより形成された。しかしながら、第1面部101の一部をリブなどの壁部で囲むことにより貯水槽110が形成されてもよい。
【0141】
さらに、上記実施の形態のドラム式洗濯機1は、乾燥機能を備えていないが、本発明は、乾燥機能を備えたドラム式洗濯機、即ち、ドラム式洗濯乾燥機に適用することもできる。
【0142】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 ドラム式洗濯機
10 筐体
10a 前面部
10b 天面部
13 投入口
20 外槽
22 ドラム
101 第1面部
102 第2面部
103 第3面部
104 第4面部
105L 左壁部
105R 右壁部
110 貯水槽
112 後側部分
200 超音波洗浄部
310 洗剤水供給部
400 供給ノズル(給水部材)
700 カバー
S2 空間