(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062463
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】車載装置、車載システムおよび車両用情報提供方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20230426BHJP
G08G 1/0962 20060101ALI20230426BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0962
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172461
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】足立 貴之介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 順一
(72)【発明者】
【氏名】大澤 和哉
(72)【発明者】
【氏名】日高 淳
(72)【発明者】
【氏名】田端 宣治
(72)【発明者】
【氏名】町田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】片田 智章
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC08
2C032HD04
2C032HD07
2C032HD16
2C032HD26
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD14
2F129DD35
2F129EE43
2F129EE80
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2F129FF12
2F129GG17
2F129HH12
2F129HH20
5H181AA01
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制する技術を提供する。
【解決手段】ルーチントリップ判定部46は、運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定する。立寄地判定部50は、運転者の立寄に関連する付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する。終末点導出部52は、車両の現在位置から立寄地までの経路とルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、重複部分の終末点を導出する。報知制御部54は、終末点の近傍位置において、立寄地に向かうことを促すための報知情報を運転者に提供する。報知制御部54は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで報知情報の提供を抑制する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供する報知制御部と、
を備え、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、前記複数の終末点のうち前記車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで前記報知情報の提供を抑制する、
車載装置。
【請求項2】
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置で前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供する報知制御部と、
を備え、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、前記車両の走行状態に基づき前記複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、前記報知情報の提供を抑制する、
車載装置。
【請求項3】
報知制御装置と、報知装置と、を備え、
前記報知制御装置は、
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記報知装置から前記運転者に提供させる報知制御部と、を含み、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、前記複数の終末点のうち前記車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで前記報知装置による前記報知情報の提供を抑制させる、
車載システム。
【請求項4】
報知制御装置と、報知装置と、を備え、
前記報知制御装置は、
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記報知装置から前記運転者に提供させる報知制御部と、を含み、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、前記車両の走行状態に基づき前記複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、前記報知装置による前記報知情報の提供を抑制させる、
車載システム。
【請求項5】
車載装置が、
車両の運転者を識別し、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得し、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定し、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定し、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出し、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供し、
複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、前記複数の終末点のうち前記車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで前記報知情報の提供を抑制する、
車両用情報提供方法。
【請求項6】
車載装置が、
車両の運転者を識別し、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得し、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定し、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定し、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出し、
前記終末点の近傍位置で前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供し、
複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、前記車両の走行状態に基づき前記複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、前記報知情報の提供を抑制する、
車両用情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に車載装置、車載システムおよび車両用情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常的に車両を運転している運転者にとって、日常の目的地(例えば勤務地)とは異なる場所(例えば子供の幼稚園であり、以下「立寄地」とも呼ぶ。)への立ち寄りが突発的に必要になった場合、脳のメカニズムで習慣が優先され、立寄地に立ち寄ることなく日常の目的地へ向かってしまうことがある。以下の特許文献1には、このような事態を防止するため、日常の目的地への経路から立寄地へ分岐すべき場所に到達するタイミングで立寄地があることを運転者にリマインドする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、複数の立寄地がある場合、出発地に近い順に各立寄地が運転者にリマインドされる。そのため、運転者が意図的に近い立寄地以外の立寄地に向かう場合、近い立寄地のリマインド通知が繰り返し発生し、運転者に煩わしさを感じさせてしまうことがある。
【0005】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の車載装置は、車両の運転者を識別する運転者識別部と、運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、運転者に関するトリップ情報に基づいて、運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、車両の現在位置から立寄地までの経路とルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、終末点の近傍位置において、立寄地に向かうことを促すための報知情報を運転者に提供する報知制御部とを備える。報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、複数の終末点のうち車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで報知情報の提供を抑制する。
【0007】
本開示の別の態様もまた、車載装置である。この装置は、車両の運転者を識別する運転者識別部と、運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、運転者に関するトリップ情報に基づいて、運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、車両の現在位置から立寄地までの経路とルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、終末点の近傍位置で立寄地に向かうことを促すための報知情報を運転者に提供する報知制御部とを備える。報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、車両の走行状態に基づき複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、報知情報の提供を抑制する。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、車載システムである。この車載システムは、報知制御装置と、報知装置と、を備える。報知制御装置は、車両の運転者を識別する運転者識別部と、運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、運転者に関するトリップ情報に基づいて、運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、車両の現在位置から立寄地までの経路とルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、終末点の近傍位置において、立寄地に向かうことを促すための報知情報を報知装置から運転者に提供させる報知制御部とを含む。報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、複数の終末点のうち車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで報知装置による報知情報の提供を抑制させる。
【0009】
本開示のさらに別の態様もまた、車載システムである。この車載システムは、報知制御装置と、報知装置と、を備える。報知制御装置は、車両の運転者を識別する運転者識別部と、運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、運転者に関するトリップ情報に基づいて、運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、車両の現在位置から立寄地までの経路とルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、終末点の近傍位置において、立寄地に向かうことを促すための報知情報を報知装置から運転者に提供させる報知制御部とを含む。報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、車両の走行状態に基づき複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、報知装置による報知情報の提供を抑制させる。
【0010】
本開示のさらに別の態様は、車両用情報提供方法である。この方法は、車載装置が、車両の運転者を識別し、運転者の立寄に関連する付随情報を取得し、運転者に関するトリップ情報に基づいて、運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定し、付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定し、車両の現在位置から立寄地までの経路とルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出し、終末点の近傍位置において、立寄地に向かうことを促すための報知情報を運転者に提供し、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、複数の終末点のうち車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで報知情報の提供を抑制する。
【0011】
本開示のさらに別の態様もまた、車両用情報提供方法である。この方法は、車載装置が、車両の運転者を識別し、運転者の立寄に関連する付随情報を取得し、運転者に関するトリップ情報に基づいて、運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定し、付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定し、車両の現在位置から立寄地までの経路とルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出し、終末点の近傍位置で立寄地に向かうことを促すための報知情報を運転者に提供し、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、車両の走行状態に基づき複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、報知情報の提供を抑制する。
【0012】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体、車載装置または車載システムを搭載した車両などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本開示の技術によれば、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】第1実施例の車載システムの機能ブロックを示すブロック図である。
【
図4】第1実施例の車載システムの動作を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施例の車載システムの機能ブロックを示すブロック図である。
【
図9】第2実施例の車載システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(Integrated Circuit)(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。ここではICあるいはLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)もしくはUSLI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array)(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録されてもよいし、コンピュータが読み取り可能なRAM(Random Access Memory)などの一時的記憶媒体に記録されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体もしくは記憶媒体に供給されてもよい。
【0016】
<第1実施例>
第1実施例の概要を説明する。特許文献1に記載された従来技術は、現在走行中の運転者のトリップが日常的に行われているルーチントリップである場合に、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判断し、立寄地がある場合には、立寄地に対応する終末点(厳密にはその手前500メートル)において、立寄地に向かうことを促すための報知情報を運転者に提供する。終末点は、車両の現在位置から立寄地に向かう経路と、ルーチントリップの経路との重複が終了する場所であり、言い換えれば、ルーチントリップの経路から立寄地への経路に分岐する場所である。
【0017】
図1は、車両10のトリップを模式的に示し、従来技術の課題を示す。
図1の破線は、車両10の運転者のルーチントリップを示す。ルーチントリップは、交差点等の分岐点としての複数のノード(ノード100、ノード102、ノード104、ノード106)を含む。
図1の一点鎖線は、ルーチントリップから立寄地へのルートを示す。立寄地Aのルートは、ノード102においてルーチントリップから分岐し、立寄地Bへのルートは、ノード104においてルーチントリップから分岐する。ノード102は、立寄地Aに対応する終末点であり、ノード104は、立寄地Bに対応する終末点である。
【0018】
図1の実線は、車両10の運転者が期待するルートであり、言い換えれば、運転者が車両10をこれから進めようとするルートである。
図1の例では、運転者は、車両10を立寄地B、立寄地Aの順に進めようとしている。
【0019】
特許文献1では、複数の立寄地がある場合について言及されていない。特許文献1に記載の技術を複数の立寄地がある場合に当てはめると、立寄地Aに対応する終末点であるノード102において、立寄地Aをリマインドする報知がなされる。また、立寄地Bに対応する終末点であるノード104において、立寄地Bをリマインドする報知がなされる。一方、運転者は、先に立寄地Bに向かうためノード104での右折を想定している。そのため、ノード102において立寄地Aをリマインドする報知は運転者にとって不要なものであり、運転者はその不要な報知に煩わしさを感じてしまう。
【0020】
図2は、車両10のトリップを模式的に示し、第1実施例における報知態様を示す。第1実施例の車載システムは、複数の立寄地があり、すなわち、複数の立寄地に対応する複数の終末点がある場合、近方の終末点では立寄地をリマインドせず、最遠方の終末点でのみ立寄地をリマインドする。
図2の例では、立寄地Aに対応する終末点であるノード102では立寄地Aをリマインドせず、立寄地Bに対応する終末点であるノード104でのみ立寄地Bをリマインドする。これにより、運転者にとって不要な報知を省略し、不要な報知により運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを回避できる。
【0021】
図3は、第1実施例の車載システム12の機能ブロックを示すブロック図である。本開示のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU・メモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
車載システム12は、車両10に構築された情報処理システムである。車載システム12は、車内カメラ14、報知装置16、通信部18、報知制御装置20を備える。車載システム12の各装置は、ECU(Electronic Control Unit)を含んでもよい。また、車載システム12の各装置は、CAN(Controller Area Network)やイーサネット(登録商標)等、公知の車載ネットワークを介して接続される。
【0023】
車内カメラ14は、車両10の運転者の顔を撮像し、また、運転者以外の車両10の乗員(以下「同乗者」とも呼ぶ。)の顔を撮像する。報知装置16は、各種報知情報(実施例では立寄地のリマインドを含む)を運転者に提供する報知部としての機能を実現する。報知装置16は、ディスプレイやスピーカを備え、画像や音声により各種報知情報を出力する。
【0024】
通信部18は、所定の通信プロトコルにしたがって、車載システム12の外部の装置と通信する。第1実施例では、報知制御装置20は、通信部18を介して車外のスケジュール管理装置22とデータを送受信する。スケジュール管理装置22は、運転者および同乗者が予め登録したスケジュール情報を管理する。
【0025】
報知制御装置20は、報知装置16における報知情報の出力を制御する情報処理装置(車載装置)である。報知制御装置20は、制御部30と記憶部32を備える。制御部30は、各種データ処理を実行する。記憶部32は、制御部30により参照または更新されるデータを記憶する。
【0026】
記憶部32は、運転者管理テーブル34と乗員管理テーブル36を含む。運転者管理テーブル34は、登録済の運転者に関して収集されたトリップ情報を記憶する。トリップ情報は、運転者のID、走行した日時、曜日、出発地、目的地、走行経路等のデータを含む。乗員管理テーブル36は、登録済の乗員(同乗者)に関して収集されたトリップ情報を記憶する。トリップ情報は、同乗者のID、乗車時刻、乗車曜日、出発地、降車地(目的地)等のデータを含む。運転者および同乗者のトリップ情報の収集は、特許文献1に記載された公知の手法が用いられてよい。
【0027】
制御部30は、位置取得部40、運転者識別部42、同乗者識別部44、ルーチントリップ判定部46、付随情報取得部48、立寄地判定部50、終末点導出部52、報知制御部54を含む。これら複数の機能ブロックの機能が実装されたコンピュータプログラムが、報知制御装置20のストレージ(記憶部32等)にインストールされてもよい。制御部30は、報知制御装置20のプロセッサ(CPU等)により実現されてもよい。報知制御装置20のプロセッサは、上記コンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、制御部30に含まれる複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0028】
位置取得部40は、GPS(Global Positioning System)受信器の受信信号に基づいて、車両10の現在位置や現在時刻を検出する。
【0029】
運転者識別部42は、車内カメラ14から出力された運転者の顔画像に基づく顔認証を実行し、顔認証の結果に基づいて運転者を識別する。例えば、運転者識別部42は、運転者管理テーブル34にトリップ情報が記憶された複数の個人の中から運転者に該当する個人を同定する。同乗者識別部44は、車内カメラ14から出力された同乗者の顔画像に基づく顔認証を実行し、顔認証の結果に基づいて同乗者を識別する。例えば、同乗者識別部44は、乗員管理テーブル36にトリップ情報が記憶された複数の個人の中から同乗者に該当する個人を同定する。
【0030】
変形例として、通信部18は、人が所持して車内に持ち込まれた通信端末(例えばスマートフォンや、子供用のGPS端末、ICタグ、スマートキー等)と近距離無線通信を行ってもよい。運転者識別部42は、運転者の通信端末から取得されたデータに基づいて運転者を識別してもよい。同様に、同乗者識別部44は、同乗者の通信端末から取得されたデータに基づいて同乗者を識別してもよい。
【0031】
ルーチントリップ判定部46は、運転者識別部42により識別された運転者について、運転者管理テーブル34に記憶された運転者のトリップ情報に基づいて、現在走行中の運転者のトリップ(言い換えれば車両10の現在の走行経路)が、日常的に行われているルーチントリップであるか否かを判定する。例えば、ルーチントリップ判定部46は、現在の時間帯および曜日に基づいて、現在走行中の運転者のトリップがルーチントリップであるか否かを判定してもよい。ルーチントリップは、運転者が日常的に車両10を走行させる経路とも言える。ルーチントリップの判定には、特許文献1に記載された公知の手法(ベイジアンネットワークモデル等)が用いられてよい。
【0032】
付随情報取得部48は、運転者の立寄に関連する付随情報を取得する。例えば、付随情報取得部48は、同乗者識別部44により識別された同乗者について、乗員管理テーブル36に記憶された同乗者のトリップ情報を付随情報として取得する。変形例として、付随情報取得部48は、スケジュール管理装置22に登録された運転者または同乗者の立寄場所(例えばクリーニング店)を示す情報を付随情報として取得してもよい。
【0033】
立寄地判定部50は、ルーチントリップ判定部46により運転者のトリップがルーチントリップであると判定された場合、付随情報取得部48により取得された付随情報に基づいて、ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する。
【0034】
例えば、立寄地判定部50は、付随情報としての同乗者のトリップ情報に基づいて、現在走行中のトリップが同乗者のルーチントリップであるか否かを判定し、同乗者のルーチントリップである場合に、同乗者のトリップ情報が示す同乗者が乗り降りする場所(言い換えれば同乗者の目的地)を立寄地として検出してもよい。また、立寄地判定部50は、付随情報としての運転者または同乗者のスケジュール情報に基づいて、当該スケジュール情報が示す立寄場所(例えばクリーニング店)を立寄地として検出してもよい。付随情報に基づく立寄地の判定、検出には、特許文献1に記載された公知の手法(ベイジアンネットワークモデル等)が用いられてよい。
【0035】
終末点導出部52は、車両10の現在位置から立寄地までの経路と、運転者のルーチントリップの経路とを対比して、重複する経路がある場合にはその重複部分の終末点を導出する。
【0036】
報知制御部54は、報知のタイミングを決定し、立寄地に向かうことを促すための報知情報を報知装置16に送信することにより、その報知情報を報知装置16から運転者に提供させる。報知情報は、立寄地に向かうことを運転者にリマインドする内容を含む。また、報知のタイミングは終末点導出部52により導出された終末点の近傍位置であってもよく、終末点の近傍位置は、特許文献1と同様に、終末点から半径500メートルの範囲内であってもよい。
【0037】
第1実施例の立寄地判定部50は、複数の立寄地を検出し得る。複数の立寄地は、車両10に乗車する複数の同乗者の目的地であってもよい。また、複数の立寄地は、運転者または同乗者のスケジュール情報から抽出された、車両10が順次立ち寄るべき複数の場所であってもよい。
【0038】
終末点導出部52は、立寄地判定部50により複数の立寄地が検出された場合、車両10の現在地から複数の立寄地それぞれへの経路を導出する。終末点導出部52は、車両10の現在位置から各立寄地までの経路と、運転者のルーチントリップの経路との重複部分を求め、複数の立寄地に対応する複数の終末点を導出する。
図2の例では、立寄地Aに対応する終末点としてノード102を導出し、立寄地Bに対応する終末点としてノード104を導出する。
【0039】
報知制御部54は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、複数の終末点のうち車両10の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで報知情報の提供を抑制する。
図2の例では、ノード102の近傍位置では立寄地Aに関する報知を抑制し、車両10がノード104の近傍位置に達した場合、立寄地Bに関する報知を実行する。報知制御部54は、報知を抑制する場合、報知情報を報知装置16に送信しないことにより、報知装置16に報知情報を出力させなくてもよい。
【0040】
以上の構成による車載システム12の動作を説明する。
図4は、第1実施例の車載システム12の動作を示すフローチャートである。報知制御装置20の位置取得部40は、車両10の現在位置を定期的に検出する。車内カメラ14は、車両10の運転者および同乗者を撮像して、運転者の顔画像および同乗者の顔画像を報知制御装置20へ出力する。報知制御装置20の運転者識別部42は、運転者の顔画像をもとに運転者を識別する(S10)。報知制御装置20の同乗者識別部44は、同乗者の顔画像をもとに同乗者を識別する(S11)。
【0041】
報知制御装置20のルーチントリップ判定部46は、運転者管理テーブル34に記憶された運転者のこれまでのトリップ情報に基づいて、現在走行中の運転者のトリップがルーチントリップに該当するか否かを判定する(S12)。S13以降の処理は、現在走行中の運転者のトリップがルーチントリップであると判定された場合に実行される。
【0042】
報知制御装置20の付随情報取得部48は、乗員管理テーブル36に記憶された同乗者のトリップ情報を、現在走行中の運転者の立寄に関する付随情報として取得する(S13)。報知制御装置20の立寄地判定部50は、付随情報をもとに立寄地を検出する(S14)。ここでは複数の立寄地が検出されたこととする。報知制御装置20の終末点導出部52は、車両10の現在位置から複数の立寄地それぞれへの経路と、ルーチントリップの経路とを対比して、複数の立寄地に対応する複数の終末点を導出する(S15)。
【0043】
報知制御装置20の報知制御部54は、立寄地をリマインドする内容の報知情報の出力タイミング(すなわち報知タイミング)を決定する(S16)。第1実施例では、報知制御部54は、複数の終末点のうち車両10の現在位置から最も遠い終末点の近傍範囲(例えば半径500メートルの範囲)に車両10が達したタイミングを報知タイミングとして決定する。
【0044】
報知制御装置20の報知制御部54は、車両10の現在位置をもとに報知タイミングに至ったか否かを監視し、報知タイミングに至るまで報知を留保する(S17のN)。報知タイミングに至った場合(S17のY)、報知制御部54は、立寄地(ここではS16における最も遠い終末点に対応する立寄地)をリマインドする内容の報知情報(音声データや画像データ)を報知装置16へ送信する。報知装置16は、報知情報に関する音声や画像を出力する(S18)。
【0045】
第1実施例の車載システム12によると、運転者の日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
【0046】
次に、複数の立寄地のうちの1つの立寄地に立ち寄った後の動作の例を説明する。
図5は、車両10のトリップを模式的に示す。同図では、ノード100からノード108の方向にルーチントリップが設定され、車両10の現在位置から近い順に、立寄地Aに対応する終末点(ノード102)、立寄地Bに対応する終末点(ノード104)、立寄地Cに対応する終末点(ノード106)が並ぶこととする。既述したように、第1実施例の車載システム12では、ノード102およびノード104ではリマインドが抑制され、ノード106の近傍位置にて立寄地Cがリマインドされる。
【0047】
ここでは、車両10は、まず立寄地Cに立ち寄ったこととする。報知制御装置20の報知制御部54は、以下の第1態様~第4態様のうち1つまたは複数を実行してもよい。
(第1態様)報知制御部54は、立寄地Cから車両10が出発する際に、これから立ち寄るべき立寄地(立寄地Aおよび立寄地B)をリマインドする内容の報知情報を報知装置16から出力させてもよい。
【0048】
(第2態様)車両10が立寄地Cを出発してルーチントリップに戻った場合であり、かつ、これから立ち寄るべき立寄地(立寄地Aおよび立寄地B)から離れる方向にルーチントリップを進む場合、報知制御部54は、立寄地Aおよび立寄地Bをリマインドする内容(「忘れていませんか」等)の報知情報を報知装置16から出力させてもよい。
【0049】
(第3態様)車両10が立寄地Cを出発してルーチントリップに戻った場合であり、かつ、これから立ち寄るべき立寄地(立寄地Aと立寄地Bの少なくとも一方)に近づく方向にルーチントリップを進む場合、特許文献1と同様に、ノード104で立寄地Bをリマインドする報知情報を出力させ、ノード102で立寄地Aをリマインドする報知情報を出力させてもよい。
【0050】
(第4態様)車両10が立寄地Cを出発してルーチントリップに戻った場合であり、かつ、これから立ち寄るべき立寄地(立寄地Aと立寄地Bの少なくとも一方)に近づく方向にルーチントリップを進む場合、報知制御部54は、近方の終末点(ノード104)では報知情報を出力させず、最遠方の終末点(ノード102)において立寄地Aをリマインドする報知情報を出力させてもよい。
【0051】
<第2実施例>
本開示の第2実施例について、第1実施例と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。第2実施例の特徴は、第1実施例の特徴および変形例の特徴と任意の組合せが可能であることはもちろんである。第2実施例の構成要素のうち第1実施例の構成要素と同一または対応する構成要素には適宜、同一の符号を付して説明する。
【0052】
第2実施例の概要を説明する。特許文献1に記載された従来技術は、車両の走行経路の先方に分岐路が存在する場合、車両が立寄地に向かう車線でない車線を走行していると判断される場合にその旨を運転者に報知する。
図6は、車両10のトリップを模式的に示し、従来技術の課題を示す。同図におけるルーチントリップは、図中の左から右への経路である。交差点110は、立寄地Aに対応する終末点であり、立寄地Bに対応する終末点でもある。
【0053】
従来技術では、車両10が交差点110手前の左車線(言い換えれば左折レーン)を走行する場合、立寄地Bに関する報知情報を運転者に提供する。この結果、立寄地Aに先に向かおうとする運転者に立寄地Bをリマインドすることになり、運転者に煩わしさを感じさせてしまうことがあった。また、従来技術では、車両10が交差点110手前の右車線(言い換えれば右折レーン)を走行する場合、立寄地Aに関する報知情報を運転者に提供する。この結果、立寄地Bに先に向かおうとする運転者に立寄地Aをリマインドすることになり、運転者に煩わしさを感じさせてしまうことがあった。
【0054】
図7は、車両10のトリップを模式的に示し、第2実施例における報知態様を示す。第2実施例の車載システムは、複数の立寄地がある場合に、車両10がいずれかの立寄地に向かっていると判断できるときには、立寄地に関する報知を抑制する。具体的には、車両10が交差点110手前の左車線を走行する場合、立寄地Aに向かっていると判断し、立寄地Bに関する報知を抑制する。また、車両10が交差点110手前の右車線を走行する場合、立寄地Bに向かっていると判断し、立寄地Aに関する報知を抑制する。これにより、運転者にとって不要な報知を省略し、不要な報知により運転者に煩わしさを感じさせてしまうことを回避できる。
【0055】
図8は、第2実施例の車載システム12の機能ブロックを示すブロック図である。第2実施例の車載システム12は、走行状態管理部24をさらに備える。走行状態管理部24は、不図示の車外カメラと連携し、また、エンジンやステアリング、ウインカー等を制御するECUと連携し、車両10の走行状態に関する情報を管理する。走行状態に関する情報は、現在走行中の車線を示す情報(例えば左車線、中央車線、右車線のいずれかを示す情報)を含み、また、ウインカーの作動状態を示す情報(例えば左ウインカー作動、右ウインカー作動、未作動のいずれかを示す情報)を含む。
【0056】
第2実施例の報知制御装置20は、行先推定部56をさらに備える。行先推定部56は、立寄地判定部50により複数の立寄地が検出された場合に、車両10現在位置から各立寄地までの経路と、車両10の走行状態とに基づいて、複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かって車両10が走行しているか否かを判断する。
【0057】
例えば、行先推定部56は、
図7に示したようにルーチントリップから左に分岐した先に立寄地Aがあり、かつ、車両10が左車線(言い換えれば左折レーン)を走行している場合、車両10が立寄地Aに向かっていると推定する。また、行先推定部56は、
図7に示したようにルーチントリップから右に分岐した先に立寄地Bがあり、かつ、車両10が右車線(言い換えれば右折レーン)を走行している場合、車両10が立寄地Bに向かっていると推定する。
【0058】
変形例として、行先推定部56は、
図7に示したようにルーチントリップから左に分岐した先に立寄地Aがあり、かつ、車両10が左ウインカーを作動させている場合、車両10が立寄地Aに向かっていると推定してもよい。また、行先推定部56は、
図7に示したようにルーチントリップから右に分岐した先に立寄地Aがあり、かつ、車両10が右ウインカーを作動させている場合、車両10が立寄地Bに向かっていると推定してもよい。
【0059】
報知制御部54は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、行先推定部56により複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に車両10が向かっていると判断される場合、立寄地を報知する報知情報の提供を抑制する。これにより、
図7に示した報知の抑制が実現される。変形例として、報知制御部54は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、行先推定部56により複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に車両10が向かっていると判断される場合、車両10が向かっている少なくとも1つの立寄地とは異なる立寄地に対応する終末点では報知情報の提供を抑制してもよい。
【0060】
以上の構成による車載システム12の動作を説明する。
図9は、第2実施例の車載システム12の動作を示すフローチャートである。同図のS20~S25の処理は、
図4のS10~S15の処理と同じであるため説明を省略する。ここでも、複数の立寄地が検出され、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出されたこととする。報知制御装置20の報知制御部54は、複数の終末点のそれぞれについて車両10が各終末点の近傍範囲(例えば半径500メートルの範囲)に達したタイミングを報知タイミングとして決定する(S26)。
【0061】
報知制御装置20の報知制御部54は、車両10の現在位置をもとに少なくとも1つの報知タイミングに至ったか否かを監視する(S27のN)。少なくとも1つの報知タイミングに至った場合であり(S27のY)、かつ、S25において1つの終末点のみ導出された場合(言い換えれば立寄地が1つの場合)(S28のN)、報知制御部54は、当該報知タイミングに対応する立寄地をリマインドする内容の報知情報を報知装置16から出力させる(S29)。
【0062】
少なくとも1つの報知タイミングに至った場合であり、かつ、S25において複数の終末点が導出された場合(言い換えれば複数の立寄地がある場合)(S28のY)、報知制御装置20の行先推定部56は、車両10の走行状態に基づいて、車両10が少なくとも1つの立寄地に向かっているか否かを推定する(S30)。車両10が少なくとも1つの立寄地に向かっていると推定された場合(S31のY)、報知制御部54は、当該報知タイミングに対応する立寄地の報知をスキップし(S32)、S27に戻る。
【0063】
変形例として、報知制御部54は、車両10が少なくとも1つの立寄地に向かっていると推定された場合、車両10が向かっている立寄地以外の立寄地に関する報知をスキップする一方、車両10が向かっている立寄地に関する報知は継続してもよい。例えば、報知制御部54は、車両10が向かっている立寄地に対応する終末点の近傍位置でその立寄地に関する報知を実行してもよい。
【0064】
いずれの立寄地にも向かっていないと判断された場合(S31のN)、報知制御部54は、当該報知タイミングに対応する立寄地をリマインドする内容の報知情報を報知装置16から出力させる(S29)。
図7の例において、立寄地Aに関する報知タイミングに至っており、かつ、立寄地Bに関する報知タイミングにも至っていることとする。ここで、車両10が中央車線(言い換えれば直進レーン)を走行する場合、行先推定部56は、車両10が立寄地Aと立寄地Bのいずれにも向かっていないと推定する。この場合、報知制御部54は、立寄地Aおよび立寄地Bをリマインドする内容の報知情報を報知装置16から出力させる。
【0065】
第2実施例の車載システム12によると、第1実施例の車載システム12と同様に、運転者の日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
【0066】
複数の立寄地のうちの1つの立寄地に立ち寄った後の動作の例を説明する。ここでは、第1実施例に記載した例と同様に、立寄地A、立寄地B、立寄地Cがあり、まず立寄地Cに立ち寄ったこととする。第1実施例に記載した第1態様~第3態様は、第2実施例にも適用可能である。第4態様として、車両10が立寄地Cを出発してルーチントリップに戻った場合であり、かつ、車両10が立寄地Aに向かっていると判断される場合、報知制御部54は、立寄地Bに関する報知情報の出力を抑制してもよい。または、立寄地Aに関する報知情報と立寄地Bに関する報知情報の両方の出力を抑制してもよい。
【0067】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、実施例の各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0068】
変形例として、報知制御装置20の機能と報知装置16の機能は、1つの装置(例えば1つのECU)に実装されてもよい。
【0069】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【0070】
実施例および変形例に記載の技術は、以下の項目によって特定されてもよい。
[項目1]
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供する報知制御部と、
を備え、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、前記複数の終末点のうち前記車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで前記報知情報の提供を抑制する、
車載装置。
この車載装置によると、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
[項目2]
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置で前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供する報知制御部と、
を備え、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、前記車両の走行状態に基づき前記複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、前記報知情報の提供を抑制する、
車載装置。
この車載装置によると、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
[項目3]
報知制御装置と、報知装置と、を備え、
前記報知制御装置は、
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記報知装置から前記運転者に提供させる報知制御部と、を含み、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、前記複数の終末点のうち前記車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで前記報知装置による前記報知情報の提供を抑制させる、
車載システム。
この車載システムによると、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
[項目4]
報知制御装置と、報知装置と、を備え、
前記報知制御装置は、
車両の運転者を識別する運転者識別部と、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得する付随情報取得部と、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定するルーチントリップ判定部と、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定する立寄地判定部と、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出する終末点導出部と、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記報知装置から前記運転者に提供させる報知制御部と、を含み、
前記報知制御部は、複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、前記車両の走行状態に基づき前記複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、前記報知装置による前記報知情報の提供を抑制させる、
車載システム。
この車載システムによると、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
[項目5]
車載装置が、
車両の運転者を識別し、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得し、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定し、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定し、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出し、
前記終末点の近傍位置において、前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供し、
複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合、前記複数の終末点のうち前記車両の現在位置から最も遠い終末点の近傍位置に達するまで前記報知情報の提供を抑制する、
車両用情報提供方法。
この車両用情報提供方法によると、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
[項目6]
車載装置が、
車両の運転者を識別し、
前記運転者の立寄に関連する付随情報を取得し、
前記運転者に関するトリップ情報に基づいて、前記運転者のトリップが、日常的に行われているルーチントリップかどうかを判定し、
前記付随情報に基づいて、前記ルーチントリップの目的地とは異なる立寄地の有無を判定し、
前記車両の現在位置から前記立寄地までの経路と前記ルーチントリップの経路とに重複部分がある場合、その重複部分の終末点を導出し、
前記終末点の近傍位置で前記立寄地に向かうことを促すための報知情報を前記運転者に提供し、
複数の立寄地に対応する複数の終末点が導出された場合であり、かつ、前記車両の走行状態に基づき前記複数の立寄地のうちの少なくとも1つの立寄地に向かっていると判断される場合、前記報知情報の提供を抑制する、
車両用情報提供方法。
この車両用情報提供方法によると、日常の目的地とは異なる立寄地が複数ある場合に、運転者への不要なリマインドを抑制し、運転者に煩わしさを感じさせにくい効果的なリマインドを実現できる。
【符号の説明】
【0071】
10 車両、 12 車載システム、 16 報知装置、 20 報知制御装置、 42 運転者識別部、 46 ルーチントリップ判定部、 48 付随情報取得部、 50 立寄地判定部、 52 終末点導出部、 54 報知制御部。