(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062477
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】有機無機複合粒子
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20230426BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20230426BHJP
C08K 3/08 20060101ALI20230426BHJP
C08F 30/08 20060101ALI20230426BHJP
C08G 77/20 20060101ALI20230426BHJP
C08G 77/442 20060101ALI20230426BHJP
C08F 290/14 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L83/04
C08K3/08
C08F30/08
C08G77/20
C08G77/442
C08F290/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172481
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝部 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 佳之
(72)【発明者】
【氏名】藤田 佳佑
(72)【発明者】
【氏名】大久保 洋平
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
4J127
4J246
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002CP031
4J002DA066
4J002DA076
4J002DA086
4J002DA096
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4J002GQ02
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4J246GB22
4J246GB32
4J246HA56
(57)【要約】
【課題】低抵抗の電気的接続を達成可能な導電性微粒子用の粒子を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、有機無機複合粒子であって、前記有機無機複合粒子の長径を短径で除して求められるアスペクト比が1.25以上である異形粒子の含有量が、前記有機無機複合粒子中、70ppm以下である有機無機複合粒子である。該粒子は、ポリシロキサン骨格を有することが好ましく、該ポリシロキサン骨格はシラン系モノマー(X)の加水分解及び縮重合由来であることがより好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機無機複合粒子であって、
前記有機無機複合粒子の長径を短径で除して求められるアスペクト比が1.25以上である異形粒子の含有量が、前記有機無機複合粒子中、70ppm以下である有機無機複合粒子。
【請求項2】
ポリシロキサン骨格を有する請求項1に記載の有機無機複合粒子。
【請求項3】
前記ポリシロキサン骨格は、シラン系モノマー(X)の加水分解及び縮重合由来である請求項2に記載の有機無機複合粒子。
【請求項4】
更に、重合性基を有する有機モノマー(Y)の重合構造を有する請求項3に記載の有機無機複合粒子。
【請求項5】
前記重合性基を有する有機モノマー(Y)に対する前記シラン系モノマー(X)の質量比が0.2~5である請求項4に記載の有機無機複合粒子。
【請求項6】
前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子の少なくとも一部に、エチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基が結合している請求項2~5のいずれかに記載の有機無機複合粒子。
【請求項7】
前記シラン系モノマー(X)が前記エチレン性二重結合含有基(Gx)を有し、前記有機モノマー(Y)が有する重合性基がエチレン性二重結合含有基(Gy)であり、
前記エチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基は、前記基(Gx)を有するシラン系モノマー(X)が前記基(Gy)を有する有機モノマー(Y)と重合反応した後の基である請求項6に記載の有機無機複合粒子。
【請求項8】
個数平均粒子径が1~25μmである請求項1~7のいずれかに記載の有機無機複合粒子。
【請求項9】
導電性粒子用の基材粒子である請求項1~8のいずれかに記載の有機無機複合粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機無機複合粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の組み立てにおいて、対向する多数の電極や配線間の電気的接続を行うために、異方性導電材料による接続方式が採用されている。異方性導電材料は、導電性微粒子をバインダー樹脂等に混合した材料であり、例えば異方性導電ペースト(ACP)、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電インク、異方性導電シート等がある。
【0003】
異方性導電材料は、導電粒子をバインダー樹脂等に混合した材料であり、導電粒子の基材としては、樹脂粒子や、有機成分と無機成分とを併用した有機無機複合材料が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、スチレン樹脂を基材粒子としてその上に下地金属層及び導電層を有する導電性微粒子について、平均粒子径の1.26倍以上の粒子径を有する導電性微粒子の比率が8%以下である導電性微粒子が、信頼性の高い導電接続を実現したことが記載される。
【0005】
また、特許文献2には、アルコキシシラン化合物の加水分解縮合反応により得られたポリオルガノシロキサン粒子に、ラジカル重合性ビニルモノマー成分を吸収させ、吸収させたモノマー成分をラジカル重合させて、有機無機複合粒子を製造しており、ポリオルガノシロキサン粒子の合成に先立って、反応容器を特定の方法で洗浄することで、製造ロット間におけるポリオルガノシロキサン粒子の粒子径のバラツキを低レベルに抑えたことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-206089号公報
【特許文献2】特開2010-235876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、対向する多数の電極や配線間の電気的接続においては、電気機器に搭載される電子部品の小型化、高密度実装化が進んでおり、電子回路における電極や配線は一層ファインピッチ化する流れにある。このようなファインピッチ化の状況においても確実に低抵抗の電気的接続を達成できる導電性微粒子が要求されている。
【0008】
そこで、本発明は、粒子の大きさに着目して所定以上の粒子径の粒子を低減するという前記特許文献1とは異なる視点で粒子形状を制御することによって、前記特許文献2と同様の有機無機複合粒子で低抵抗の電気的接続を達成可能な導電性微粒子用の粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成した本発明は以下の通りである。
[1]有機無機複合粒子であって、
前記有機無機複合粒子の長径を短径で除して求められるアスペクト比が1.25以上である異形粒子の含有量が、前記有機無機複合粒子中、70ppm以下である有機無機複合粒子。
[2]ポリシロキサン骨格を有する[1]に記載の有機無機複合粒子。
[3]前記ポリシロキサン骨格は、シラン系モノマー(X)の加水分解及び縮重合由来である[2]に記載の有機無機複合粒子。
[4]更に、重合性基を有する有機モノマー(Y)の重合構造を有する[3]に記載の有機無機複合粒子。
[5]前記重合性基を有する有機モノマー(Y)に対する前記シラン系モノマー(X)の質量比が0.2~5である[4]に記載の有機無機複合粒子。
[6]前記ポリシロキサン骨格のケイ素原子の少なくとも一部に、エチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基が結合している[2]~[5]のいずれかに記載の有機無機複合粒子。
[7]前記シラン系モノマー(X)が前記エチレン性二重結合含有基(Gx)を有し、前記有機モノマー(Y)が有する重合性基がエチレン性二重結合含有基(Gy)であり、
前記エチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基は、前記基(Gx)を有するシラン系モノマー(X)が前記基(Gy)を有する有機モノマー(Y)と重合反応した後の基である[6]に記載の有機無機複合粒子。
[8]個数平均粒子径が1~25μmである[1]~[7]のいずれかに記載の有機無機複合粒子。
[9]導電性粒子用の基材粒子である[1]~[8]のいずれかに記載の有機無機複合粒子。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機無機複合粒子によれば、粒子の形状に着目し、アスペクト比が1.25以上である異形粒子の含有量が低減されているため、導電性粒子の基材粒子として用いた場合に、信頼性の高い導電接続が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、有機無機複合粒子であって、前記有機無機複合粒子の長径を短径で除して求められるアスペクト比が1.25以上である異形粒子の含有量が、前記有機無機複合粒子中、70ppm以下である有機無機複合粒子である。
【0012】
アスペクト比が1.25以上である粒子は、ファインピッチ接続において抵抗値上昇の原因となり得るが、この様な粒子は分級などによって取り除くことが難しい場合がある。しかし、本発明によれば、後述する通り、製造条件を適切に調整しているため、アスペクト比の大きな粒子の生成を抑制できる。
【0013】
アスペクト比が1.25以上である異形粒子の含有量は、本発明の有機無機複合粒子中、70ppm以下であり、好ましくは40ppm以下であり、より好ましくは20ppm以下であり、更に好ましくは10ppm以下であり、下限は0ppmであることが好ましいが、例えば3ppm程度であってもよい。
【0014】
前記異形粒子の含有量は、後記する実施例に記載する通り、フロー式粒子像解析装置にて粒子像を観察し、アスペクト比が1.25以上の粒子の個数をカウントし、該個数を観察した全粒子数で除することで算出できる。
【0015】
本発明の有機無機複合粒子の個数平均粒子径は、例えば1.0μm以上であり、より好ましくは1.5μm以上であり、更に好ましくは2.0μm以上であり、また、例えば25μm以下であり、より好ましく10μm以下であり、更に好ましくは5.0μm以下である。
また粒子径のCV値は、例えば15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは7%以下であり、また1.5%以上であってもよい。
個数平均粒子径及び粒子径のCV値は、後記する実施例に記載する通り、コールターマルチサイザーIII型(ベックマン・コールター社製)を用いて測定することができる。
【0016】
有機無機複合粒子とは、有機成分と無機成分を共に含む粒子であり、ポリシロキサン骨格を有することが好ましく、更に有機モノマー(Y)に由来する構造を有していることが好ましい。なお、前記有機モノマー(Y)は、ケイ素原子を含まないものを意味する。ポリシロキサン骨格は、通常、シラン系モノマー(X)(シランカップリング剤)が加水分解及び縮重合して得られるものであり、前記有機モノマーに由来する構造は通常、重合性基を有する有機モノマー(Y)の重合構造である。
【0017】
前記シラン系モノマー(X)には、シラン系架橋性モノマー、シラン系非架橋性モノマーのいずれも含まれる。
【0018】
シラン系架橋性モノマーは、分子内に2以上の架橋性基(アルコキシ基、ビニル基等)を有するものであり、有機重合体骨格(例えば、ビニル系重合体骨格)と有機重合体骨格との架橋構造(第1の形態)を形成するもの;ポリシロキサン骨格とポリシロキサン骨格との架橋構造(第2の形態)を形成するもの;有機重合体骨格とポリシロキサン骨格との架橋構造(第3の形態)を形成するもの;に分けられる。
【0019】
第1の形態を形成し得るシラン系架橋性モノマーとしては、例えば、ジメチルジビニルシラン、メチルトリビニルシラン、テトラビニルシラン等が挙げられる。これらのシラン系架橋性モノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
第2の形態を形成し得るシラン系架橋性モノマーとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン系モノマー;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン等の3官能性シラン系モノマー等が挙げられる。これらのシラン系架橋性モノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
第3の形態を形成し得るシラン系架橋性モノマーとしては、例えば、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基を有するもの;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等のビニル基を有するもの;
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するもの;
3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するもの;
が挙げられる。シラン系架橋性モノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
シラン系非架橋性モノマーとして、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルシラン等の2官能性シラン系モノマー;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のトリアルキルシラン等の1官能性シラン系モノマー等が挙げられる。これらのシラン系非架橋性モノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
シラン系モノマー(X)としては、シラン系架橋性モノマーが好ましく、シラン系架橋性モノマーの中では、上記第1~第3の形態の架橋構造を形成し得るシラン系架橋性モノマーのうち、第3の形態の架橋構造を形成し得るシラン系架橋性モノマーが好ましい。
【0024】
第3の形態を形成し得るシラン系架橋性モノマーの中でも、特に(メタ)アクリロイル基含有シラン系モノマー、ビニル基含有シラン系モノマーなどのエチレン性二重結合含有基(Gx)を有するシラン系モノマーが好ましく、特にビニル基含有シラン系モノマーがより好ましい。
【0025】
エチレン性二重結合含有基とは、CH2=CH-が含まれている基を意味し、ビニル基の他、(メタ)アクリロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基等も含まれる。また、本明細書において「(メタ)アクリロイル基」、「(メタ)アクリロキシ基」、「(メタ)アクリレート」または「(メタ)アクリル」はそれぞれ、「アクリロイル基、メタクリロイル基の一方または両方」、「アクリロキシ基、メタクリロキシ基の一方または両方」、「アクリレート、メタクリレートの一方または両方」や「アクリル、メタクリルの一方または両方」を示す。
【0026】
有機モノマー(Y)は、上述の通り、重合性基を有する有機モノマーであることが好ましく、重合性基は、エチレン性二重結合含有基(Gy)であることが好ましい。以下、エチレン性二重結合含有基を「ビニル基等」と呼び、エチレン性二重結合含有基を有することを「ビニル系」と呼ぶ場合がある。有機モノマーは、ビニル系架橋性モノマー又はビニル系非架橋性モノマーであることが好ましい。
【0027】
ビニル系架橋性モノマーとは、分子内に2以上のビニル基等を有するものであり、具体的には、1分子中に2個以上のビニル基等を有するモノマー(モノマー(1))、または、1分子中に1個のビニル基等とビニル基等以外の官能基(カルボキシ基、ヒドロキシ基等のプロトン性水素含有基、アルコキシ基等の末端官能基等)を有するモノマー(モノマー(2))が挙げられる。ただし、モノマー(2)の場合、ビニル系架橋性モノマーとして架橋構造を形成させるには、当該モノマー(2)が有するカルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基等の反応(結合)相手となる基が他のモノマーに存在することが必要となる。
【0028】
モノマー(1)の例として、例えば、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族炭化水素系架橋剤(好ましくはジビニルベンゼン等のスチレン系多官能モノマー);
N,N-ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤;
等が挙げられる。モノマー(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
モノマー(2)の例としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、カルボキシブチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシ基を有するモノマー;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、p-ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基含有スチレン類等のヒドロキシ基を有するモノマー;
アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、アミノペンチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、メチルアミノメチル(メタ)アクリレート、エチルアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類等のアミノ基を有するモノマー;
2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、p-メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類等のアルコキシ基を有するモノマー;
等が挙げられる。モノマー(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
ビニル系非架橋性モノマーとしては、1分子中に1個のビニル基等を有するモノマー(モノマー(3))か、若しくはモノマー(2)が有するビニル基等以外の官能基と反応する基を有する他のモノマーがモノマー成分に存在しない場合のモノマー(2)が挙げられる。
【0031】
モノマー(3)の例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル
(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類;
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン等のアルキルスチレン類;
エチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート類;
ジエチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノフェニルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノトリルエーテル(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールモノアリールエーテル(メタ)アクリレート類;
o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等のハロゲン基含有スチレン類等のスチレン系単官能モノマー;
等が挙げられる。モノマー(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
有機モノマー(Y)は、ビニル系架橋性モノマーであることが好ましく、芳香族炭化水素系ビニル系架橋性モノマーであることがより好ましく、ジビニルベンゼン等のスチレン系架橋性モノマーであることが更に好ましい。
【0033】
本発明の有機無機複合粒子が好ましい態様において有するポリシロキサン骨格は、エチレン性二重結合含有基(Gx)を有するシラン系モノマーが加水分解及び縮重合して得られるものであることが好ましく、このような態様ではすなわち、ポリシロキサン骨格のケイ素原子の少なくとも一部に、エチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基が結合している。エチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基とは、前記有機モノマーがエチレン性二重結合含有基(Gy)を有する有機モノマー(Y)である場合には、エチレン性二重結合含有基(Gx)を有するシラン系モノマー(X)がエチレン性二重結合含有基(Gy)を有する有機モノマー(Y)と重合反応した後の基である。エチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基は、ポリシロキサン骨格の全てのケイ素原子に結合していてもよいし、ポリシロキサン骨格の一部のケイ素原子にエチレン性二重結合含有基(Gx)由来の基が結合していると共に、残りのケイ素原子にはエチレン性二重結合含有基(Gx)そのものが結合していてもよい。
【0034】
本発明において、有機モノマー(Y)に対するシラン系モノマー(X)の質量比が0.2~5であることが好ましい。前記質量比は、1以上が好ましく、より好ましくは1.5以上であり、また4以下が好ましく、3以下が更に好ましい。有機モノマー(Y)に対するシラン系モノマー(X)の質量比がこのような範囲にある場合に、アスペクト比が1.25以上の異形粒子を低減できたことは本発明の好ましい特徴の1つである。
【0035】
本発明の有機無機複合粒子は、導電性粒子用の基材粒子であることが好ましく、本発明の有機無機複合粒子に導電性層を形成することで、導電性粒子とすることができる。すなわち、本発明の有機無機複合粒子は、導電性層を含まないことが好ましい。導電性層を構成する元素は、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、錫、コバルト、インジウム等の金属、これら金属の少なくとも一種を含む合金または金属間化合物が挙げられる。
【0036】
本発明の有機無機複合粒子は、シード粒子調製工程(1)、シード粒子に有機モノマーを吸収させる吸収工程(2)、シード粒子に吸収させた有機モノマーを重合反応させる重合工程(3)を含む製造方法によって製造することができ、特にシード粒子調製工程(1)における触媒量及び撹拌速度を適切に調整することが好ましい。
【0037】
シード粒子調製工程(1)
上記したシラン系モノマーを用いて、水を含む溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、(シクロ)パラフィン類、芳香族炭化水素類等の有機溶剤と水との混合溶媒)中で加水分解して縮重合させて、シード粒子(ポリシロキサン粒子)を調製することが好ましい。この場合、シラン系モノマーとして、上記シラン系架橋性モノマーを用いて重合性ポリシロキサン粒子とすることが好ましい。シラン系架橋性モノマーの詳細については、本発明の有機無機複合粒子を説明した欄に記載の通りである。シラン系モノマーを加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒として、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができ、さらに必要に応じて、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することができる。
【0038】
前記した塩基性触媒の量を、水を含む溶媒100質量部に対して0.035質量部以下とすることは、本発明の有機無機複合粒子を得る上で重要な要件の1つである。塩基性触媒の量は、0.030質量部以下が好ましく、より好ましくは0.025質量部以下であり、また0.010質量部以上であることが好ましい。
【0039】
また、シラン系モノマーの加水分解及び縮重合の少なくとも一部で、シラン系モノマーの反応液の撹拌速度を従来に比べて80%以下程度、好ましくは60%以下程度とすることも重要な要件である。シラン系モノマーの加水分解及び縮重合反応を開始させてから終了させるまでの時間のうち、好ましくは1/2以上、より好ましくは2/3以上、更に好ましくは7/10以上の間(また、好ましくは9/10以下)、前記した通りの速度を落とした撹拌を行うことが好ましい。撹拌速度を落とすことで、シード粒子の核の衝突頻度が少なくなるためか、連結してアスペクト比が大きくなったシード粒子の生成を抑制でき、ひいては本発明の有機無機複合粒子におけるアスペクト比の大きな異形粒子の生成も抑制できる。撹拌速度は、例えば後述する実施例で用いた撹拌容器では、95rpm以下が好ましく、より好ましくは80rpm以下であり、更に好ましくは70rpm以下であり、また50rpm以上であってもよい。後述する実施例で用いた撹拌容器では、速度を落とした撹拌を行う時間は、例えば10分以上であり、より好ましくは20分以上であり、更に好ましくは30分以上であり、上限は特に限定されないが例えば60分以下であってもよい。
【0040】
シード粒子調製工程(1)で得られるシード粒子の個数平均粒子径は、例えば0.5μm~20μmであり、好ましくは1μm~10μmである。シード粒子の粒子径が上記範囲内であれば、後述する有機モノマーの吸収が効率よく進行するといった有利な効果を発揮することができる。また、上記シード粒子の粒子径が大きくなりすぎると、粒子の質量が大きくなって反応器中で重合体粒子の沈降が起こり、粒子同士が凝集し易くなる場合があるという観点からも、上記範囲内であることが好ましい。シード粒子の個数平均粒子径は、本発明の有機無機複合粒子の個数平均粒子径の測定方法と同様の方法で測定できる。
【0041】
有機モノマー吸収工程(2)
吸収工程においてシード粒子に有機モノマー(Y)を吸収させる方法としては、特に制限はなく、例えば、予めシード粒子を溶媒中に分散させたシード粒子分散液に有機モノマー(Y)を加えてもよいし、有機モノマー(Y)を含む溶媒中にシード粒子を加えてもよいが、特に、前者の手法において、加水分解、縮重合により得られた反応液に有機モノマー(Y)を加えることが、工程の簡略化、生産性の観点から好ましい。
【0042】
また、シード粒子と有機モノマー(Y)を接触させた後の回転数を適切に調整することも好ましく、後記する実施例で用いた撹拌容器では、95rpm以下が好ましく、より好ましくは80rpm以下であり、更に好ましくは70rpm以下であり、また50rpm以上であってもよい。
【0043】
有機モノマー(Y)は、それ単独で添加してもよいし、溶媒に溶解させた溶液として添加してもよいが、シード粒子に効率よく吸収させるうえでは、乳化剤を用いて予め水又は水性媒体(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類等の水溶性有機溶剤またはこれらと水との混合溶媒)に乳化、分散させて乳化液としておき添加することが好ましい。
【0044】
有機モノマーを乳化剤で乳化分散させる際には、乳化剤としては、例えば、アルカリ金属アルキルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート、ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート、ナトリウムスルホリシノエート、アルキルスルホネート、脂肪酸塩、アルキルアリールスルホネート、高アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等のアニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン-オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活性剤が、シード粒子がモノマーを吸収した後のシード粒子の分散状態を安定化させることもできる点で好ましく用いられる。また、乳化分散の際に用いる水又は水性媒体の量は、通常、モノマーの質量に対して0.3倍以上、10倍以下である。また、乳化剤の使用量は、有機モノマー100質量部に対して0.1質量%~10質量%であることが好ましい。
【0045】
吸収工程において、有機モノマーがシード粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、モノマーを加える前及び吸収段階終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、モノマーの吸収により粒子径が大きくなっていることを確認することで容易に判断できる。有機モノマーの使用量に対するシラン系モノマーの使用量の質量比は、0.2~5であることが好ましい。前記質量比は、1以上が好ましく、より好ましくは1.5以上であり、また4以下が好ましく、3以下が更に好ましい。
【0046】
重合工程(3)
重合工程において採用する重合方法は、特に限定されず、例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等のラジカル重合開始剤を用いる方法など公知の方法を用いることができる。過酸化物系開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。アゾ系開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2’-アゾビス-(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
【0047】
ラジカル重合開始剤の使用量は、有機モノマー100質量部に対して0.5~20質量部であることが好ましく、より好ましくは1~10質量部である。上記ラジカル重合開始剤の仕込み方法については、特に限定はなく、最初(重合反応開始前)に全量仕込む態様(吸収工程において、上記モノマー成分にラジカル重合開始剤を溶解させ、これを乳化分散させておく態様、シード粒子に重合性成分を吸収させた後ラジカル重合開始剤を仕込む態様);最初に一部を仕込んでおき、残りを連続フィード添加する態様、または、断続的にパルス添加する態様、あるいは、これらの組み合わせる態様など、従来公知の方法はいずれも採用することができる。
【0048】
ラジカル重合を行う際の反応温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。反応温度が低すぎると、重合度が十分に上がらず複合粒子の機械的特性が不充分となる傾向があり、一方、反応温度が高すぎると、重合中に粒子間の凝集が起こりやすくなる傾向がある。なお、ラジカル重合を行う際の反応時間は、用いる重合開始剤の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、600分以下が好ましく、より好ましくは300分以下である。反応時間が短すぎると、重合度が十分に上がらない場合があり、反応時間が長すぎると、粒子間で凝集が起こり易くなる傾向がある。また、重合工程における撹拌速度は、例えば後述する実施例で用いた容器では、50rpm~150rpm程度とすればよい。このような重合工程において、シード粒子が重合性ポリシロキサン粒子である場合、吸収させたビニル系モノマーと重合性ポリシロキサン骨格が有するラジカル重合性基とが重合し、ポリシロキサン骨格とビニル系重合体とが複合化していることが好ましい。
【0049】
本発明の有機無機複合粒子は、異方性導電ペースト(ACP)、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電インク、異方性導電シート等の異方性導電材料に好適に用いることができる。
【実施例0050】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0051】
実施例1
冷却管、温度計、滴下口を備えた直径190mmの四つ口フラスコに、95mmの撹拌羽根を取り付け、イオン交換水1050gと25%アンモニア水1.5g、メタノール450gを仕込み123rpmで撹拌しながら30℃に保持した。その中にシラン系架橋性単量体としてビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM1003」、表中、「VTMS」と記載)105gを添加し、内温を35℃で10分保持した後、撹拌数を66rpmに下げたのち、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標) NF-08」)の20%水溶液を53g添加し、さらに30分間撹拌することにより、ビニルトリメトキシシランの加水分解、縮重合反応を行い、ビニル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を作製した。得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は2.56μmであった。
【0052】
続いて、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール NF-08」)の20%水溶液1.1gをイオン交換水42gで溶解した溶液に、吸収モノマーとしてDVB960(新日鐡化学社製、ジビニルベンゼン含量96質量%)42g、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、「V-65」)1.5gとを溶解した溶液を加えて、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて8000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。このモノマーエマルションをポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、撹拌数を66rpmとしてさらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から1時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察したところ、ポリシロキサン粒子が吸収モノマーを吸収して肥大化していることが確認された。
【0053】
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持する(なお、撹拌数は66rpm)ことによりラジカル重合を行った。反応液を冷却した後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下350℃で3時間加熱処理を施すことで、有機無機複合粒子1を得た。
【0054】
実施例2
ビニルトリメトキシシランを添加して10分保持した後、撹拌数を90rpmに下げること以外は、実施例1と同様にして有機無機複合粒子2を得た。
【0055】
実施例3
アンモニア水の量を0.6gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして有機無機複合粒子3を得た。
【0056】
実施例4
冷却管、温度計、滴下口を備えた直径190mmの四つ口フラスコに、95mmの撹拌羽根を取り付け、イオン交換水1200gと25%アンモニア水1.5g、メタノール300gを仕込み123rpmで撹拌しながら30℃に保持した。その中にシラン系架橋性単量体として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM503」、表中、「MPTMS」と記載)105gを添加し、内温を35℃で10分保持した後、撹拌数を66rpmに下げたのち、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標) NF-08」)の20%水溶液を5.3g添加し、さらに30分間撹拌することにより、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解、縮重合反応を行い、メタクリロイル基を有するポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を作製した。得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は2.93μmであった。
【0057】
続いて、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール NF-08」)の20%水溶液7.8gをイオン交換水315gで溶解した溶液に、吸収モノマーとしてDVB960(新日鐡化学社製、ジビニルベンゼン含量96質量%)315g、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、「V-65」)4.2gとを溶解した溶液を加えて、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)を用いて8000rpmで5分間乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。このモノマーエマルションをポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、撹拌数を66rpmとしてさらに撹拌を行った。モノマーエマルション添加から1時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察したところ、ポリシロキサン粒子が吸収モノマーを吸収して肥大化していることが確認された。
【0058】
次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持する(なお、撹拌数は66rpm)ことによりラジカル重合を行った。反応液を冷却した後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した後、窒素雰囲気下80℃で4時間乾燥処理を施すことで、有機無機複合粒子4を得た。
【0059】
比較例1
アンモニア水の量を3.0gとし、ビニルトリメトキシシランを添加して10分保持した後の撹拌数を123rpmのまま保持すること以外は、実施例1と同様にして有機無機複合粒子5を得た。
【0060】
比較例2
アンモニア水の量を1.5gとすること以外は、比較例1と同様にして有機無機複合粒子6を得た。
【0061】
比較例3
ビニルトリメトキシシランを添加して10分保持した後、撹拌数を66rpmに下げること以外は、比較例1と同様にして有機無機複合粒子7を得た。
【0062】
上記実施例及び比較例で得られた有機無機複合粒子について、以下の方法で測定した。
【0063】
[異形粒子の含有量]
フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製、「FPIA(登録商標)-3000」を用いて、有機無機複合粒子300,000個の粒子像を観察し、異形粒子の含有量を求めた。
【0064】
[平均粒子径]
粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、「コールターマルチサイザ-III型」により30000個の粒子の粒子径を測定し、シード粒子及び有機無機複合粒子の個数平均の平均粒子径を求めると共に、有機無機複合粒子については更に粒子径の標準偏差を求め、下記式に従って粒子径の個数平均のCV値(変動係数)を算出した。
粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数平均粒子径)
【0065】
結果を表1に示す。
【0066】
【0067】
表1によれば、塩基性触媒の濃度と、工程(1)での撹拌速度を適切にした実施例1~4では、アスペクト比が1.25以上である異形粒子の含有量を低減できた一方で、これら要件の少なくとも一方が適切でなかった比較例1~3では異形粒子が多く生成したことが分かる。