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  • 特開-嵌め殺し窓の固定構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006248
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】嵌め殺し窓の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20230111BHJP
   E06B 1/12 20060101ALI20230111BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20230111BHJP
   E06B 3/263 20060101ALI20230111BHJP
   E06B 3/58 20060101ALI20230111BHJP
   E06B 3/62 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/12 Z
E06B3/26
E06B3/263 A
E06B3/58 Z
E06B3/62 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108755
(22)【出願日】2021-06-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000101776
【氏名又は名称】アルメタックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】棚池 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
2E016
2E239
【Fターム(参考)】
2E011AB01
2E011AC01
2E011AD01
2E011AD02
2E011AD03
2E014AA03
2E014BA02
2E014BA08
2E014BB01
2E014BD06
2E016AA04
2E016BA06
2E016BA09
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016DA05
2E016DA07
2E016DB02
2E016DB03
2E016DC01
2E239CA04
2E239CA23
2E239CA30
2E239CA32
2E239CA33
2E239CA46
2E239CA68
(57)【要約】
【課題】框組みした障子を窓枠内に建て込んで固定する嵌め殺し窓において、屋外側からの火熱に対してもガラス面材の保持力を失いにくい框材と窓枠との固定構造を提供する。
【解決手段】障子2の上框材21の内周部に溝形断面の面材保持部26が形成されて、その溝内にガラス脱落防止金具31が添接されるとともに、上框材21の外側の見込面に障子取付金具4が添接され、ガラス脱落防止金具31、上框材21および障子取付金具4が、それらを内外方向に貫通するネジ部材53を介して一体的に結合され、ガラス面材32の周縁部に巻き回されたガスケット33が面材保持部26に嵌め込まれてガラス脱落防止金具31により保持され、障子取付金具4の一端が屋内側に延設されて窓枠1に結合される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
框組みされた障子が屋外側から窓枠内に建て込まれて前記窓枠に固定される嵌め殺し窓の固定構造であって、
前記障子の四周を構成する框材の内周部に溝形断面の面材保持部が形成されて、その溝内にガラス脱落防止金具が添接されるとともに、
前記框材の外側の見込面に障子取付金具が添接され、
前記ガラス脱落防止金具、前記框材および前記障子取付金具が、それらを内外方向に貫通するネジ部材を介して一体的に結合され、
ガラス面材の周縁部に巻き回されたガスケットが前記面材保持部に嵌め込まれて、少なくとも前記ガスケットの屋外側が前記ガラス脱落防止金具により保持され、
前記障子取付金具の一端が屋内側に延設されて前記窓枠に結合された
ことを特徴とする嵌め殺し窓の固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載された嵌め殺し窓の固定構造において、
該窓の上辺部分の複数箇所に前記障子取付金具が配置されて、框材の上框材と窓枠の上枠とが結合された
ことを特徴とする嵌め殺し窓の固定構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載された嵌め殺し窓の固定構造において、
前記ネジ部材が前記框材の中空部側に形成されたビスホール用溝部と交差する位置に配置されている
ことを特徴とする嵌め殺し窓の固定構造。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載された嵌め殺し窓の固定構造において、
前記框材は、屋外側框材と屋内側框材とが合成樹脂製のブリッジ材を介して結合された断熱框材であり、
前記屋外側框材および前記屋内側框材からそれぞれ内側に張り出す面材保持片同士が対向して前記面材保持部が形成され、
前記ガラス脱落防止金具は断面L字形に形成されて、その一片を前記屋外側框材の面材保持片に添わせるようにして、前記屋外側框材側に結合されている
ことを特徴とする嵌め殺し窓の固定構造。
【請求項5】
請求項4に記載された嵌め殺し窓の固定構造において、
前記障子取付金具は、屋内外方向における中間部を外側に屈曲させて、前記屋内側框材には接触せずに屋内側へと延び、その屋内側端部を内側に屈曲して形成された窓枠固定片を、前記窓枠の内側に張り出した戸当り片に当接させ、その当接箇所を屋内側からネジ止めして固定された
ことを特徴とする嵌め殺し窓の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願が開示する発明は、複数の窓面が左右方向に隣接する連窓や上下方向に隣接する段窓において、その窓面の一部に設けられる嵌め殺し窓の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の窓面が左右方向に隣接する連窓または上下方向に隣接する段窓において、開閉部分と嵌め殺し部分との外観の統一を図るために、嵌め殺し部分についても開閉部分と同様の框組みをした障子を用意し、その障子を窓枠の内側に建て込んで固定する納まりを採用することがある。特許文献1-4には、そのような連窓、段窓に採用される嵌め殺し窓の固定構造が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された嵌め殺し窓は、上下左右の框材を矩形に框組みした障子を屋外側から窓枠内に建て込み、隣接する縦辷り出し窓を開閉するためのステーと同じステーを、開閉操作機構を省いて窓の上辺部および下辺部に取り付けるとともに、左右の縦枠材の内側に取り付けたラッチを障子の縦框材に形成した係止孔に係止させることで、障子を窓枠に固定している。
【0004】
特許文献2に開示された嵌め殺し窓は、框組みした障子を屋外側から窓枠内に建て込み、障子の縦框材の上部寄りに取り付けた突軸付き金具を左右の縦枠材の内側に取り付けた係合金具に載せ掛けた状態で、障子の上框材と窓枠の上枠材との間に障子の持ち上がりを防ぐストッパを介装させることで、障子を窓枠に固定している。
【0005】
特許文献3に開示された嵌め殺し窓は、前記特許文献1、2の固定構造よりも容易かつ確実に障子を固定すべく、障子の縦框材には先端に固定片を有する係止金具を取り付ける一方、窓枠の縦枠材には該係止金具に対応する位置に上向きに開口する係止溝を有する受け金具を固定し、前記固定障子の係止金具を前記受け金具の係止溝に係止させるとともに、前記係止金具に形成した固定片を窓枠の縦枠材に固定する、という納まりを採用している。
【0006】
特許文献4に開示された嵌め殺し窓は、障子の縦框材に、該縦框材の屋内面からさらに屋内側に向かって延びる枠固定部を有する固定金具を取り付ける一方、窓枠の縦枠材には、障子と重なり合う気密ラインよりも枠内側に前記枠固定部を挿通させる開口部を形成し、その開口部に挿通させた枠固定部を枠内側からビスで縦枠材に固定する、という納まりを採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-183287公報
【特許文献2】特開2004-183288公報
【特許文献3】特開2007-032210号公報
【特許文献4】特開2009-275429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
框材を矩形に框組みして、その内側にガラス面材を取り付ける障子においては、ガラス面材の周縁部にゴム状のガスケット(グレージングチャンネル、グレージングビート等)を巻き回す一方、框材の内側に形成した断面溝形の面材保持部に、ステンレス鋼板を溝形に曲げたガラス脱落防止金具(ガラス間口補強材とも称される。)を添接して、そのガラス脱落防止金具にガスケットを嵌め込むのが一般的である。このような納まりは、開閉部に建て込まれる障子サッシだけでなく、嵌め殺し部分に建て込まれる障子も同様である。
【0009】
ところで、このように框組みした障子に屋外側から強い火熱が作用すると、軟質樹脂からなるガスケットは焼失し、さらにアルミ形材からなる框材も軟化、変形してしまう。すると、框材の面材保持部に添接されたガラス脱落防止金具によるガラス面材の保持力が低下して、ガラス面材が屋外側に脱落してしまうおそれがある。
【0010】
しかしながら、前記各特許文献には、屋外側からの火熱に対する框材の防火性能を高めるような手段は特に開示されていない。そこで、本願が開示する発明は、框組みした障子を窓枠内に建て込んで固定する嵌め殺し窓において、屋外側から強い火熱が作用してもガラス面材の保持力を失いにくい框材と窓枠との固定構造を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するために、本願が開示する発明は、框組みされた障子が屋外側から窓枠内に建て込まれて前記窓枠に固定される嵌め殺し窓の固定構造について、前記障子の四周を構成する框材の内周部に溝形断面の面材保持部が形成されて、その溝内にガラス脱落防止金具が添接されるとともに、前記框材の外側の見込面に障子取付金具が添接され、前記ガラス脱落防止金具、前記框材および前記障子取付金具が、それらを内外方向に貫通するネジ部材を介して一体的に結合され、ガラス面材の周縁部に巻き回されたガスケットが前記面材保持部に嵌め込まれて、少なくとも前記ガスケットの屋外側が前記ガラス脱落防止金具により保持され、前記障子取付金具の一端が屋内側に延設されて前記窓枠に結合された、との構成を採用する。
【0012】
この構成によれば、框材の内側の、面材保持部の溝内に添接されるガラス脱落防止金具と、框材の外側の見込面に添接される障子取付金具とが、框材を内外方向に貫通するネジ部材を介して一体的に結合されているので、障子の屋外側から強い火熱が作用して、框材を構成しているアルミ形材が軟化、変形しても、ガラス面材を押えているガラス脱落防止金具の位置が拘束されて、ガラス面材の脱落を防ぐことができる。
【0013】
前述の構成に係る嵌め殺し窓の固定構造においては、該窓の上辺部分の複数箇所に前記障子取付金具を配置して、框材の上框材と窓枠の上枠とを結合することにより、障子が窓枠内に無理なく固定され、ガラス面材の荷重が合理的に支持される。
【0014】
さらに、前述の構成に係る嵌め殺し窓の固定構造においては、前記ネジ部材を前記框材の中空部側に形成されたビスホール用溝部と交差する位置に配置することにより、ネジ部材の締着力を高めることができる。
【0015】
さらに、前述の構成に係る嵌め殺し窓の固定構造において、前記框材は、屋外側框材と屋内側框材とが合成樹脂製のブリッジ材を介して結合された断熱框材であり、前記屋外側框材および前記屋内側框材からそれぞれ内側に張り出す面材保持片同士が対向して前記面材保持部が形成され、前記ガラス脱落防止金具は断面L字形に形成されて、その一片を前記屋外側框材の面材保持片に添わせるようにして、前記屋外側框材側に結合されているものとすることにより、断熱仕様のサッシについても防火性能を好適に得ることができる。
【0016】
さらに、前述の構成に係る嵌め殺し窓の固定構造において、前記障子取付金具は、屋内外方向における中間部を外側に屈曲させて、前記屋内側框材には接触せずに屋内側へと延び、その屋内側端部を内側に屈曲して形成された窓枠固定片を、前記窓枠の内側に張り出した戸当り片に当接させ、その当接箇所を屋内側からネジ止めして固定されたものとすることにより、障子と窓枠との結合部分の納まりを簡素かつ合理的なものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
前述のように構成される嵌め殺し窓の固定構造は、框材の内側の、面材保持部の溝内に添接されるガラス脱落防止金具と、框材の外側の見込面に添接される障子取付金具とが、框材を内側から外側に向かって貫通するネジ部材を介して一体的に結合されているので、障子の屋外側から強い火熱が作用して、框材を構成しているアルミ形材が軟化しても、ガラス面材を屋外側から押えているガラス脱落防止金具が窓枠に保持されて、その位置が拘束され、ガラス面材の脱落を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願が開示する発明の一実施形態に係る嵌め殺し窓の上部の構造を拡大して示す縦断面図である。
図2図1に示した嵌め殺し窓の上辺部分に屋外側から火熱が作用して框材が分離したときのガラス面材の保持状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願が開示する発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下において部位・部材の相対的な位置関係や動作の向きを説明する際には、サッシの窓開口面に直交する方向を「屋外側―屋内側」と表し、窓開口面内での中心側および枠外側を「内側―外側」と表す。
【0020】
図1は、本願が開示する発明の一実施形態に係る嵌め殺し窓の上部の構造を拡大して示す縦断面図である。この嵌め殺し窓は、建物の躯体に設置された窓枠1内に、框組みされた障子2が屋外側から建て込まれて固定されるものである。この嵌め殺し窓は、図示は省くが、複数の窓面が左右方向に連続する連窓や上下方向に連続する段窓において、縦辷り出し窓、横辷り出し窓、外開き窓、外倒し窓その他の開閉窓と隣接する形態で設置される。
【0021】
窓枠1は、図示した上枠材11と、図示しない左右の縦枠材および下枠材とを正面視矩形に枠組みして構成される。例示した上枠材11その他の枠材には、アルミ形材からなる屋外側枠材12と、合成樹脂材からなる屋内側枠材13とを組み合わせた複合枠材が用いられている。屋外側枠材12は、適宜の窓枠固定金具14等を介して躯体に固定されている。窓枠1の屋内外方向における中間部分には、開口面の内側に張り出す戸当り片15が形成されている。戸当り片15は、屋外側枠材12から張り出したアルミ部分と屋内側枠材13から張り出した樹脂部分とを重ね合わせて形成されている。戸当り片15には、屋外側から重ねられる障子2との隙間を封止する気密部材16、17が、アルミ部分および樹脂部分にそれぞれ取り付けられている。
【0022】
障子2の框は、図示した上框材21と、図示しない左右の縦框材および下框材とを正面視矩形に枠組みして構成される。例示した上框材21その他の框材には、アルミ形材からなる屋外側框材22とアルミ形材からなる屋内側框材23とを合成樹脂製のブリッジ材24を介して結合した断熱框材が用いられている。屋外側框材22は、略矩形断面の中空部を有し、その屋外側の見付面に形成された張出片25が窓枠1の上枠材11の見付面に重ねられる。張出片25と上枠材11との隙間は、張出片25に取り付けられた気密部材18によって封止される。
【0023】
上框材21およびその他の框材の内周部には溝形断面の面材保持部26が形成されている。面材保持部26は、屋外側框材22および屋内側框材23からそれぞれ開口面内側に張り出す面材保持片27、28同士を対向させて形成されている。
【0024】
面材保持部26の溝内には、ステンレス鋼板を折曲したガラス脱落防止金具31が添接される。例示のガラス脱落防止金具31は断面L字形に形成されて、その一片を屋外側框材22の面材保持片27に添わせ、他片を面材保持部26の溝底に重ねるように納められている。そして、ガラス面材32の周縁部に巻き回されたガスケット33が、この面材保持部26に嵌め込まれる。例示形態では、ガスケット33の屋外側がガラス脱落防止金具31によって押さえられる。
【0025】
なお、ここまでに説明した各部材は、窓枠固定金具14を除いて一様断面の長尺部材である。また、各部材を組み合わせて構成される窓枠1および障子2の断面構造は、この嵌め殺し窓に隣接して設置される図示しない開閉窓とも概ね共通である。開閉窓は、障子がヒンジやステーその他の開閉支持具を介して開閉可能に取り付けられるが、この嵌め殺し窓は、障子2が窓枠1に障子取付金具を介して開閉不能に結合される。例示形態の嵌め殺し窓は、その上辺部分の複数箇所に配置された障子取付金具4を介して、框材の上框材21と窓枠1の上枠とが結合されている。
【0026】
障子取付金具4は、ステンレス鋼等からなる帯板を屈曲して形成された定尺の部材で、屋外側の略半部をなす平坦な框添接片41が、屋外側框材22の外側の見込面に当てがわれて、屋外側框材22にネジ51で止め付けられる。障子取付金具4の中間部は外側に屈曲して段部42を形成し、そこからさらに、屋内側框材23には接触せずに屋内側へと延び、屋内側の端部が内側に屈曲して窓枠固定片43となされている。この窓枠固定片43が、上枠材11の内側に張り出した戸当り片15の基部付近に当接し、その当接箇所が屋内側からネジ52で止め付けられる。
【0027】
この状態でも一応、障子2は窓枠1にしっかりと固定されるが、防火性能が十分に担保されるわけではない。この嵌め殺し窓に屋外側から火災時の強い火熱が作用すると、障子2のアルミ部分がまず軟化、変形し始める。すると、框が反って窓枠1との隙間が拡がったり、ガラス面材32の重みでずり下がったりして、障子2が当初の取付位置に留まれなくなる。また、例示のような断熱框材では、合成樹脂製のブリッジ材24が溶けて、屋外側框材22と屋内側框材23とが分離してしまう。これらによって框の面材保持部26がガラス面材32をしっかり保持できなくなると、ガラス面材32が屋外側に脱落してしまうおそれがある。
【0028】
そこで、この嵌め殺し窓は、アルミよりも耐熱性に優れるステンレス鋼で形成されたガラス脱落防止金具31と障子取付金具4とを、屋外側框材22を内外方向に貫通するネジ部材53によって一体的に結合する、という構成を採用している。このネジ部材53は鋼製またはステンレス鋼製である。このネジ部材53は、框の面材保持部26にガラス面材32を嵌め込む前に、面材保持部26の内側から外側に向けて、ガラス脱落防止金具31と障子取付金具4とを共綴りするように締着されるのが好ましい。また、このネジ部材53は、屋外側框材22の中空部側に形成されたビスホール用溝部29と交差する位置に配置されていると、締結力が大きくなって、より好ましい。
【0029】
図2は、図1に示した嵌め殺し窓の上辺部分に屋外側から火熱が作用して框材が分離したときのガラス面材32の保持状態を説明する図である。なお、この図2では、ガラス面材32の保持に寄与しない部材は表現を省いている。この図から把握されるように、屋外側框材22を内外方向に貫通するネジ部材53と障子取付金具4とを介してガラス脱落防止金具31を窓枠1に結合することにより、ガラス面材32の保持位置が窓枠1によって拘束され、ガラス面材32の重さを窓枠1側で支えることができるようになる。
【0030】
しかも、この構成によれば、火熱でブリッジ材24が溶けて屋外側框材22と屋内側框材23とが分離した場合でも、ガラス脱落防止金具31の一片がガラス面材32を屋外側から押さえるので、ガラス脱落防止金具31はL字形で足りる。つまり、ガラス脱落防止金具31を必ずしも従来のような溝形に形成する必要がない。ガラス脱落防止金具31をL字形にすれば、框への組み付けが容易になることに加え、ガラス脱落防止金具31が屋外側框材22と屋内側框材23との間でヒートブリッジにならず、障子2の断熱性能が高まる、という付加的な効果も得ることができる。
【0031】
なお、本願が開示する発明の技術的範囲は、例示した実施の形態によって限定的に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて概念的に解釈されるべきものである。本願が開示する発明の実施に際しては、特許請求の範囲において具体的に特定していない構成要素の形状、構造、材質、数量、接合形態、相対的な位置関係等を、例示形態と実質的に同等程度以上の作用効果が得られる範囲内で適宜、改変することが可能である。例えば、窓開口面の大きさや縦横比によっては、障子2と窓枠1とを、その縦辺部分で結合してもよいし、上辺部分と縦辺部分の両方で結合してもよい。また、障子2の框材は断熱仕様でなくてもよいし、窓枠1が複合枠材でなくてもよい。その他、本願が開示する発明の作用効果に影響しない部材等の形状や仕様は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本願が開示する発明は、建物の窓開口面の防火性能を向上させ得る技術として、様々な嵌め殺し窓に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 窓枠
11 上枠材
12 屋外側枠材
13 屋内側枠材
14 窓枠固定金具
15 戸当り片
16 気密部材
17 気密部材
2 障子
21 上框材
22 屋外側框材
23 屋内側框材
24 ブリッジ材
25 張出片
26 面材保持部
27 面材保持片
28 面材保持片
29 ビスホール用溝部
31 ガラス脱落防止金具
32 ガラス面材
33 ガスケット
4 障子取付金具
41 框添接片
42 段部
43 窓枠固定片
51 ネジ
52 ネジ
53 ネジ部材
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2022-07-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
框組みされた障子が屋外側から窓枠内に建て込まれて前記窓枠に固定される嵌め殺し窓の固定構造であって、
前記障子の四周を構成する框材の内周部に溝形断面の面材保持部が形成されて、その溝内にガラス脱落防止金具が添接されるとともに、
前記框材の外側の見込面に障子取付金具が添接され、
前記ガラス脱落防止金具、前記框材および前記障子取付金具が、それら三部材前記障子の内側から外側に向けて貫通する鋼製またはステンレス鋼製のネジ部材により共綴りされて一体的に結合され、
ガラス面材の周縁部に巻き回されたガスケットが前記面材保持部に嵌め込まれて、少なくとも前記ガスケットの屋外側が前記ガラス脱落防止金具により保持され、
前記障子取付金具の一端が屋内側に延設されて前記窓枠に結合された
ことを特徴とする嵌め殺し窓の固定構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
框組みされた障子が屋外側から窓枠内に建て込まれて前記窓枠に固定される嵌め殺し窓の固定構造であって、
前記障子の四周を構成する框材の内周部に溝形断面の面材保持部が形成されて、その溝内にガラス脱落防止金具が添接されるとともに、
前記框材の上辺部分を構成する上框材の外側の見込面の複数箇所に障子取付金具が添接され、
前記ガラス脱落防止金具、前記上框材および前記障子取付金具が、それら三部材前記障子の内側から外側に向けて貫通するネジ部材を介して一体的に結合され、
ガラス面材の周縁部に巻き回されたガスケットが前記面材保持部に嵌め込まれて、少なくとも前記ガスケットの屋外側が前記ガラス脱落防止金具により保持され、
前記障子取付金具の一端が屋内側に延設されて前記窓枠の上辺部分を構成する上枠材に結合された
ことを特徴とする嵌め殺し窓の固定構造。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前述の目的を達成するために、本願が開示する発明は、框組みされた障子が屋外側から窓枠内に建て込まれて前記窓枠に固定される嵌め殺し窓の固定構造であって、前記障子の四周を構成する框材の内周部に溝形断面の面材保持部が形成されて、その溝内にガラス脱落防止金具が添接されるとともに、前記框材の外側の見込面に障子取付金具が添接され、前記ガラス脱落防止金具、前記框材および前記障子取付金具が、それら三部材前記障子の内側から外側に向けて貫通する鋼製またはステンレス鋼製のネジ部材により共綴りされて一体的に結合され、ガラス面材の周縁部に巻き回されたガスケットが前記面材保持部に嵌め込まれて、少なくとも前記ガスケットの屋外側が前記ガラス脱落防止金具により保持され、前記障子取付金具の一端が屋内側に延設されて前記窓枠に結合された、との構成を採用する。