(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062485
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】リッドロック機構
(51)【国際特許分類】
E05B 83/34 20140101AFI20230426BHJP
E05B 81/40 20140101ALI20230426BHJP
E05B 81/42 20140101ALI20230426BHJP
E05B 81/28 20140101ALI20230426BHJP
E05B 81/30 20140101ALI20230426BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
E05B83/34
E05B81/40
E05B81/42
E05B81/28
E05B81/30
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172491
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 祥平
【テーマコード(参考)】
2E250
3D038
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ42
2E250KK02
2E250LL13
2E250PP03
2E250RR12
2E250RR13
2E250RR23
2E250RR33
2E250RR34
2E250RR42
2E250RR46
2E250RR54
2E250SS02
3D038CA11
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD03
(57)【要約】
【課題】本発明は、リッドを開放方向および/または閉鎖方向に付勢するバネを用いることなく、リッドを開放位置および閉鎖位置で維持することが可能な、リッドロック機構の提供を目的とする。
【解決手段】リッドロック機構1は、リッド本体L1側から第1の軸X1に向かって延びる延伸体L2と、モータと、所定の移動方向に移動する移動体42を有し、モータの駆動力を延伸体L2に伝達する伝動部4と、延伸体L2を第1の軸X1回りに回転させる回転部材2と、延伸体L2の回転を規制する規制位置と、延伸体L2の回転を許容する非規制位置との間で移動する規制部材6とを備え、延伸体L2は、リッドLが開放位置にある状態で規制部材6と係合する第1ロック部LC1と、リッドLが閉鎖位置にある状態で規制部材6と係合する第2ロック部LC2とを有している。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の開口を閉鎖することが可能なリッド本体を有するリッドを、開放位置と閉鎖位置とでロックするためのリッドロック機構であって、前記リッドロック機構は、
前記リッド本体側から前記リッドの回転軸となる第1の軸に向かって延び、前記リッド本体に直接または間接的に接続される延伸体と、
前記リッドを前記第1の軸回りに回転させる駆動力を発生させるモータと、
前記モータの駆動力によって所定の移動方向に移動する移動体を有し、前記モータの駆動力を前記延伸体に伝達する伝動部と、
前記移動体が前記所定の移動方向に移動する際に、前記移動体と連動して回転することで、前記延伸体を前記第1の軸回りに回転させる回転部材と、
前記移動体の、前記所定の移動方向における位置に応じて、前記延伸体と係合して前記延伸体の前記第1の軸回りの回転を規制する規制位置と、前記延伸体との係合が解除され前記延伸体の前記第1の軸回りの回転を許容する非規制位置との間で移動する規制部材と
を備え、
前記延伸体は、前記リッドが前記開放位置にある状態で前記規制部材と係合する第1ロック部と、前記リッドが前記閉鎖位置にある状態で前記規制部材と係合し、前記第1ロック部に対して前記第1の軸回りに所定の角度回転した位置に設けられた第2ロック部とを有している、
リッドロック機構。
【請求項2】
前記移動体は、前記リッドが前記開放位置にあるときに前記移動体が位置する第1位置から、前記所定の移動方向で一方の方向に移動する際に、前記規制部材を前記規制位置から前記非規制位置に移動させて、前記規制部材と前記第1ロック部との間の係合が解除された後に、前記リッドが前記閉鎖位置に向かって回転するように、前記回転部材を前記第1の軸回りに回転させることで前記延伸体を前記第1の軸回りに回転させ、
前記移動体は、前記リッドが前記閉鎖位置にあるときに前記移動体が位置する第2位置から、前記所定の移動方向で他方の方向に移動する際に、前記規制部材を前記規制位置から前記非規制位置に移動させて、前記規制部材と前記第2ロック部との間の係合が解除された後に、前記リッドが前記閉鎖位置に向かって回転するように、前記回転部材を前記第1の軸回りに回転させることで前記延伸体を前記第1の軸回りに回転させるように構成されている、
請求項1に記載のリッドロック機構。
【請求項3】
前記回転部材は、
前記第1の軸に沿って延びる軸部と、
前記軸部の一端側において、前記第1の軸に対して交差する方向に延びるレバー部と
を備え、
前記移動体は、前記移動体が前記移動方向の一方に移動したときに、前記レバー部と係合する第1係合部と、前記移動体が前記移動方向の他方に移動したときに、前記レバー部と係合する第2係合部とを有し、
前記レバー部と前記第1係合部とが係合した状態で、前記移動体が前記移動方向の一方に移動することによって、前記リッドが前記閉鎖位置に向かって回転するように、前記回転部材が前記第1の軸回りに回転し、
前記レバー部と前記第2係合部とが係合した状態で、前記移動体が前記移動方向の他方に移動することによって、前記リッドが前記開放位置に向かって回転するように、前記回転部材が前記第1の軸回りに回転する、
請求項1または2に記載のリッドロック機構。
【請求項4】
前記リッドが前記開放位置にあるときに前記移動体が位置する第1位置において、前記移動体の前記第1係合部と前記レバー部との間には、前記レバー部に対して前記移動方向で他方側に、前記移動体が前記レバー部に対して相対的に移動可能な第1の隙間が設けられ、
前記リッドが前記閉鎖位置にあるときに前記移動体が位置する第2位置において、前記移動体の前記第2係合部と前記レバー部との間には、前記レバー部に対して前記移動方向で一方側に、前記移動体が前記レバー部に対して相対的に移動可能な第2の隙間が設けられ、
前記移動体が前記第1位置から前記第1の隙間の大きさの分、前記移動方向で一方側に移動する間に、前記回転部材は回転せずに、前記移動体によって前記規制部材が前記規制位置から前記非規制位置へと移動し、前記第1係合部と前記レバー部とが係合した状態で前記移動体が前記移動方向で一方側に移動することによって、前記回転部材が回転して、前記リッドを前記閉鎖位置に向かって移動させることが可能となり、
前記移動体が前記第2位置から前記第2の隙間の大きさの分、前記移動方向で他方に移動する間に、前記回転部材は回転せずに、前記移動体によって前記規制部材が前記規制位置から前記非規制位置へと移動し、前記第2係合部と前記レバー部とが係合した状態で前記移動体が前記移動方向で他方側に移動することによって、前記回転部材が回転して、前記リッドを前記開放位置に向かって移動させることが可能となるように構成されている、
請求項3に記載のリッドロック機構。
【請求項5】
前記伝動部は、前記モータの駆動力によって第2の軸回りに回転する送りネジを備え、
前記移動体は、前記送りネジに螺合して、前記送りネジの回転に伴って前記第2の軸方向に移動する送りナットであり、
前記移動体は、前記送りネジの径方向で一方側に、前記第1係合部および前記第2係合部を有し、前記送りネジの径方向で他方側に、前記規制部材を前記規制位置から前記非規制位置へと移動させるカム機構部を備えている、請求項3または4に記載のリッドロック機構。
【請求項6】
前記リッドロック機構がさらに、
前記移動方向で所定の位置に設けられたスイッチを備え、
前記スイッチは、前記移動体が前記移動方向で所定の位置に到達したときに、前記移動体によって操作されて、前記モータを停止させ、
前記開放位置または前記閉鎖位置は、前記スイッチの位置によって定められる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のリッドロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリッドロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、車両の給油口や給電口が収容される凹部の蓋となるフューエルリッドのロックおよびアンロックを電動で行うリッドアクチュエータが開示されている。このような電動のリッドアクチュエータは、ヒンジ回りに回転するリッドの先端側(ヒンジとは反対側の端部)と係合可能な進退部材をリッドに対して進退させる。これにより、進退部材は、リッドをロックするロック位置と、リッドをアンロックするアンロック位置との間で移動する。リッドがアンロックされると、リッドはヒンジまたはヒンジの周辺に設けられたバネによって、開放方向に付勢されて、開放方向へと移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構造のアクチュエータの場合、リッドのアンロックを電動で行うことで、リッドはバネの付勢力によって開放方向に移動して開状態となるが、リッドの閉鎖方向にリッドに対するバネの付勢力を超える力がリッドに加わると、リッドは閉鎖方向に移動してしまい、リッドの開状態が維持されない。そのため、偶発的にリッドに加わった外力によってリッドが閉鎖方向に移動して、給油または給電中の給油/給電ガンにリッドが衝突したり、物や人体の一部がリッドと車体との間に挟まれてしまう可能性がある。また、リッドを電動のアクチュエータで開閉する際に、バネの付勢力に抗してリッドを動作させる必要があるので、アクチュエータの出力を高くする必要があり、アクチュエータが大型化してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、リッドを開放方向および/または閉鎖方向に付勢するバネを用いることなく、リッドを開放位置および閉鎖位置で維持することが可能な、リッドロック機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のリッドロック機構は、所定の開口を閉鎖することが可能なリッド本体を有するリッドを、開放位置と閉鎖位置とでロックするためのリッドロック機構であって、前記リッドロック機構は、前記リッド本体側から前記リッドの回転軸となる第1の軸に向かって延び、前記リッド本体に直接または間接的に接続される延伸体と、前記リッドを前記第1の軸回りに回転させる駆動力を発生させるモータと、前記モータの駆動力によって所定の移動方向に移動する移動体を有し、前記モータの駆動力を前記延伸体に伝達する伝動部と、前記移動体が前記所定の移動方向に移動する際に、前記移動体と連動して回転することで、前記延伸体を前記第1の軸回りに回転させる回転部材と、前記移動体の、前記所定の移動方向における位置に応じて、前記延伸体と係合して前記延伸体の前記第1の軸回りの回転を規制する規制位置と、前記延伸体との係合が解除され前記延伸体の前記第1の軸回りの回転を許容する非規制位置との間で移動する規制部材とを備え、前記延伸体は、前記リッドが前記開放位置にある状態で前記規制部材と係合する第1ロック部と、前記リッドが前記閉鎖位置にある状態で前記規制部材と係合し、前記第1ロック部に対して前記第1の軸回りに所定の角度回転した位置に設けられた第2ロック部とを有している。
【発明の効果】
【0007】
本発明のリッドロック機構によれば、リッドを開放方向および/または閉鎖方向に付勢するバネを用いることなく、リッドを開放位置および閉鎖位置で維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態のリッドロック機構が取付対象に設けられた状態を示す斜視図である。
【
図2】リッドが取り付けられた状態のリッドロック機構を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示されるリッドロック機構の上面図である。
【
図4】リッドの開放位置に対応する、移動体が第1位置に位置するときの、リッドロック機構を示す側面図である。
【
図5】リッドの閉鎖位置に対応する、移動体が第2位置に位置するときの、リッドロック機構を示す側面図である。
【
図6】延伸体が設けられたリッドを、リッドの回転軸となる第1の軸方向に見た図である。
【
図7】リッドロック機構の移動体を示す斜視図である。
【
図8】リッドロック機構の移動体を
図7とは反対側から見た斜視図である。
【
図10】リッドが開放位置に位置し、移動体が第1位置に位置している状態を示す、リッドロック機構の上面図である。
【
図11】
図10に対応する状態であり、規制部材が延伸体の第1ロック部に係合した状態を示す概略図である。
【
図12】
図10に示される状態から、移動体が移動方向で一方の方向に移動した状態を示す、リッドロック機構の上面図である。
【
図13】
図12に対応する状態であり、規制部材が延伸体の第1ロック部から離脱した状態を示す概略図である。
【
図14】
図12に示される状態から、移動体が移動方向でさらに一方の方向に移動した状態を示す、リッドロック機構の上面図である。
【
図15】
図14に対応する状態であり、延伸体が
図13に示される状態から回転した状態を示す概略図である。
【
図16】
図14に示される状態から、移動体が移動方向でさらに一方の方向に移動して、リッドが閉鎖位置に位置している状態を示す、リッドロック機構の上面図である。
【
図17】
図16に対応する状態であり、規制部材が延伸体の第2ロック部に係合した状態を示す概略図である。
【
図18】
図16に示される状態から、移動体が移動方向で他方の方向に移動した状態を示す、リッドロック機構の上面図である。
【
図19】
図18に対応する状態であり、規制部材が延伸体の第2ロック部から離脱した状態を示す概略図である。
【
図20】スイッチを備えた変形例のリッドロック機構において、移動体が第1位置に位置するときの、リッドロック機構を示す底面図である。
【
図21】スイッチを備えた変形例のリッドロック機構において、移動体が第2位置に位置するときの、リッドロック機構を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態のリッドロック機構を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明のリッドロック機構は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0011】
本実施形態のリッドロック機構1は、
図1に示されるように、所定の開口Baを閉鎖することが可能なリッド本体L1を有するリッドLを、開放位置と閉鎖位置とでロックするように構成されている。本実施形態では、リッドロック機構1は、電動でリッドLを第1の軸X1回りに開閉させ、リッドLが開放位置または閉鎖位置に到達したときにリッドLをロックする。リッドロック機構1の用途は、リッドLを開放位置と閉鎖位置とでロックすることができれば、特に限定されない。本実施形態では、リッドロック機構1は、
図1に示されるように、リッドロック機構1と、リッドLとを備えたリッド開閉装置Dに適用されている。より具体的には、リッド開閉装置Dは、リッドロック機構1と、リッドロック機構1が取り付けられ、開口Baを有する基部(本実施形態では車体)Bと、基部Bの開口Baを開閉可能なリッドLとを備えている。本実施形態では、リッド開閉装置Dはさらに、リッドLによって閉鎖される開口Baを有する有底筒状の本体部Bbを有し、本体部Bbが車体Bに取り付けられている。本体部Bbは、底部に給油口(または給電口)Bcを有している。なお、給油口Bcは、リッドLによって開口Baが閉鎖されたときに、リッドLによって閉鎖されるように構成されてもよいし、リッドLとは別に給油口Bcを閉鎖するキャップを有していてもよい。
【0012】
リッドLの用途は特に限定されないが、本実施形態では、リッドLは、車両の燃料または給電用のリッドであり、リッドロック機構1は、操作対象である車両の燃料または給電用のリッド(フューエルリッド)Lを開閉するように構成されている。なお、車両の燃料は、軽油、ガソリンに限定されず、車両を動作させることが可能な全ての燃料をいう。
【0013】
図2~
図5に示されるように、本実施形態のリッドロック機構1は、延伸体L2と、モータ3と、伝動部4と、回転部材2と、規制部材6とを備えている。本実施形態では、リッドロック機構1は、モータ3、伝動部4等を収容するハウジング5を有している。回転部材2の一部はハウジング5内に収容され、回転部材2の他の一部はハウジング5から突出している。また、規制部材6の一部はハウジング5内に収容され、規制部材6の他の一部はハウジング5から突出するように構成されている。
【0014】
ハウジング5は、車体等の基部Bに固定される。ハウジング5は、
図2および
図3に示されるように、モータ3を収容するモータ収容部51と、後述する減速機構43を収容する減速機構収容部52と、後述する移動体(本実施形態では送りナット)42を移動可能に収容する移動体収容部53とを有している。ハウジング5は、本実施形態では、モータ収容部51、減速機構収容部52および移動体収容部53を有する、一方に開口を有する筐体5aと、筐体5aの開口を閉鎖する蓋体5b(
図1参照)とを有している。なお、
図2、
図3、
図10、
図12、
図14、
図16および
図18は、蓋体5bが除去された状態で示されており、
図4、
図5、
図11、
図13、
図15、
図17、
図19~
図21は、ハウジング5が除去された状態で示されている。
【0015】
リッドロック機構1は、本実施形態では、モータ3の駆動力によって延伸体L2を電動で第1の軸X1回りに回転させることでリッドLを開閉し、規制部材6によって延伸体L2を所定の位置でロックする。これにより、リッドLを開放位置および閉鎖位置でロックする。具体的には、モータ3が駆動されると、モータ3の駆動力が伝動部4を介して回転部材2に伝達され、回転部材2が所定の軸回り(本実施形態では第1の軸X1回り)に回転する。回転部材2が所定の軸回りに回転すると、回転部材2に接続された延伸体L2およびリッド本体L1が第1の軸X1回りに回転する。これにより、リッドロック機構1は、
図3に示されるように、リッドLを開放位置(
図3の実線参照)と閉鎖位置(
図3の二点鎖線参照)との間で移動させる。開放位置または閉鎖位置にリッドLが移動したときに、後述するように、延伸体L2は、規制部材6によって第1の軸X1回りに回転しないように移動を規制される。したがって、第1の軸X1回りのリッドLの回転が規制され、リッドLは開放位置および閉鎖位置でロックされる。リッドロック機構1が設けられる位置は特に限定されない。本実施形態では、リッドロック機構1は、
図1に示されるように、リッドLの回転軸となる、第1の軸X1の近傍に設けられている。
【0016】
リッドLは、延伸体L2が第1の軸X1回りに回転することによって開閉操作される。リッドLは、本実施形態では、
図1に示されるように、基部Bに設けられた開口Baを開閉するように構成されている。本実施形態では、リッドLは、回転部材2が第1の軸X1回りに回転することで、第1の軸X1回りに回転する。リッドLの形状および構造は、延伸体L2が第1の軸X1回りに回転することによってリッドLが開閉操作されるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、リッドLは、
図1~
図3に示されるように、開口Baを閉鎖することが可能なリッド本体L1と、リッド本体L1側からリッドLの回転軸となる第1の軸X1に向かって延び、リッド本体L1に直接または間接的に接続される延伸体L2とを有している。
【0017】
リッド本体L1は、開口Baを閉鎖するために開口Baの形状に対応した部分を有する蓋部分である。本実施形態では、リッド本体L1は円形の開口Baの形状に対応して円形に形成されているが、リッド本体L1の形状は特に限定されない。
【0018】
延伸体L2は、リッド本体L1側から第1の軸X1に向かって延びている。本実施形態では、延伸体L2は、リッド本体L1に直接接続されており、リッド本体L1と、回転部材2との間に設けられ、第1の軸X1回りに回転する。なお、延伸体L2は、リッド本体L1と一体に設けられていてもよいし、リッド本体L1と別体として設けられて、公知の固定部材、固定手段によって直接接続されてもよい。また、延伸体L2は、リッド本体L1に別部材を介して間接的に接続されていてもよい。なお、延伸体L2は、リッド本体L1側から第1の軸X1に向かって直線的に延びていてもよいし、本実施形態のように、第1の軸X1に向かって直線的ではなく迂回して延びていてもよい。
【0019】
本実施形態では、
図1および
図2に示されるように、延伸体L2に回転部材2が接続されており、回転部材2が第1の軸X1回りに回転したときに、延伸体L2およびリッド本体L1が回転部材2の回転に伴って、第1の軸X1回りに回転するように構成されている。
【0020】
延伸体L2は、
図6に示されるように、リッドLが開放位置にある状態で規制部材6と係合する第1ロック部LC1と、リッドLが閉鎖位置にある状態で規制部材6と係合し、第1ロック部LC1に対して第1の軸X1回りに所定の角度回転した位置に設けられた第2ロック部LC2とを有している。また、本実施形態では、延伸体L2は、第1の軸X1方向に延び、回転部材2が挿入される挿入部L21(
図2および
図6参照)を有している。
【0021】
延伸体L2の形状および構造は、延伸体L2が第1の軸X1回りに回転可能であり、第1ロック部LC1および第2ロック部LC2を有していれば、特に限定されない。本実施形態では、延伸体L2は、
図6に示されるように、リッド本体L1から第1の軸X1側に延びる(本実施形態では、第2ロック部LC2に向かって延びている)延伸部L22と、第1ロック部LC1から第2ロック部LC2に向かって第1の軸X1を中心に円弧状に延びる円弧部L23と、第1の軸X1から円弧部L23に向かって延びる連結部L24とを備えている。なお、延伸部L22は、リッド本体L1から挿入部L21へと直線的に延びていてもよいし、リッド本体L1から挿入部L21へ直線的に延びるのではなく、
図6に示されるように迂回して延びていてもよい。また、延伸体L2は、円弧部L23を有さずに、挿入部L21から第1ロック部LC1および第2ロック部LC2のそれぞれに向かって延びる一対の連結部が設けられていてもよい。
【0022】
挿入部L21は、回転部材2が挿入される孔を有している。挿入部L21は、回転部材2が挿入部L21の孔に挿入された状態で、回転部材2と第1の軸X1回り方向で係合するように構成されている。これにより、回転部材2と延伸体L2とは、相対回転が規制され、第1の軸X1回りに共に回転する。本実施形態では、挿入部L21の孔を画定する内壁の、第1の軸X1に垂直な断面が四角形状となっており(
図6参照)、回転部材2の第1の軸X1に垂直な断面も四角形状となっているが、挿入部L21と回転部材2とが第1の軸X1回り方向で係合することができれば、挿入部L21および回転部材2の断面形状は特に限定されない。
【0023】
第1ロック部LC1は、後述するように、リッドLが開放位置にある状態でリッドLが閉鎖方向に移動しないように規制部材6と係合する(
図10および
図11参照)。第1ロック部LC1と規制部材6とが係合することによって、延伸体L2の第1の軸X1回りの回転が規制され、リッドLが開放位置で保持される。第1ロック部LC1の形状および構造は、リッドLが開放位置にある状態で規制部材6と係合して、延伸体L2の第1の軸X1回りで閉鎖方向の回転を規制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、第1ロック部LC1は、延伸体L2に形成された貫通孔であるが、第1ロック部LC1は、延伸体L2の第1の軸X1回りの回転を規制することが可能な、貫通していない凹部や、係止壁であってもよい。また、本実施形態では、第1ロック部LC1は、第1の軸X1と平行な方向に貫通しているが、リッドLが開放位置にある状態で規制部材6と係合して、延伸体L2の第1の軸X1回りで閉鎖方向の回転を規制することができれば、第1ロック部LC1の貫通孔の貫通方向は特に限定されない。例えば、規制部材6が第1の軸X1に垂直な方向に進退する場合、第1ロック部LC1は、延伸体L2において、規制部材6の進退方向と同じ方向となる、第1の軸X1に垂直な方向に貫通していてもよい。
【0024】
第2ロック部LC2は、後述するように、リッドLが閉鎖位置にある状態でリッドLが開放方向に移動しないように規制部材6と係合する(
図16および
図17参照)。第2ロック部LC2と規制部材6とが係合することによって、延伸体L2の第1の軸X1回りの回転が規制され、リッドLが開放位置で保持される。第2ロック部LC2は、第1ロック部LC1に対して、第1の軸X1を中心として所定の角度回転した位置に設けられている。この所定の角度は、リッドLの開放位置から閉鎖位置になるまでにリッドLが回転する角度に対応している。第2ロック部LC2の形状および構造は、リッドLが閉鎖位置にある状態で規制部材6と係合して、延伸体L2の第1の軸X1回りで開放方向の回転を規制することができれば、特に限定されない。なお、第2ロック部LC2の構造は、第1ロック部LC1と基本的に同様の構造とすることができるので、第2ロック部LC2についての詳細な説明は省略する。
【0025】
モータ3は、リッドLを第1の軸X1回りに回転させる駆動力を発生させる。本実施形態では、モータ3の駆動力により、伝動部4の移動体42を所定の移動方向に移動させることによって、回転部材2が第1の軸X1回りに回転する。回転部材2が回転すると、回転部材2によって延伸体L2が第1の軸X1回りに回転し、これにより、リッドLが第1の軸X1回りに回転する。本実施形態では、
図3に示されるように、モータ3は出力軸31を有し、出力軸31は後述する伝動部4の減速機構43(後述するギヤG1)に接続されている。本実施形態では、モータ3は正逆回転可能であり、伝動部4を介して、回転部材2を(第1の軸X1回りで)一方の方向および他方の方向に回転させる。本実施形態では、モータ3が一の方向に回転して、回転部材2を一方の方向(
図3における時計方向)に回転させると、リッドLが開放位置から閉鎖位置へと回転する。また、本実施形態では、モータ3が他の方向に回転して、回転部材2を他方の方向(
図3における反時計方向)に回転させると、リッドLが閉鎖位置から開放位置へと回転する。
【0026】
伝動部4は、モータ3の駆動力によって所定の移動方向に移動する移動体42を有し、モータ3の駆動力を延伸体L2に伝達する。伝動部4の形状および構造は、モータ3の駆動力によって所定の移動方向に移動する移動体42を有し、モータ3の駆動力を延伸体L2に伝達することができれば、特に限定されない。本実施形態では、伝動部4は、モータ3の駆動力によって第2の軸X2回りに回転する送りネジ41を備え、移動体42は、送りネジ41に螺合して、送りネジ41の回転に伴って第2の軸X2方向に移動する送りナットである。また、本実施形態では、伝動部4は、減速機構43を有している。
【0027】
減速機構43は、モータ3の回転速度を減速して移動体42にモータ3の駆動力を伝達する。なお、減速機構43は本発明において任意の構成である。減速機構43の構造は特に限定されないが、本実施形態では、減速機構43は、
図2~
図5に示されるように、ハウジング5に回転可能に支持された複数のギヤG1、G2、G3、G4を有している。ギヤG1はモータ3の出力軸31に接続されており、モータ3の出力軸31の回転によって回転する。ギヤG2はギヤG1と係合し、ギヤG1の回転に伴って回転する。ギヤG3はギヤG2と同軸上に設けられ、ギヤG2が回転すると共に回転するように構成されている。ギヤ(出力ギヤ)G4は、ギヤG3に係合し、ギヤG3の回転に伴って回転する。ギヤG4は、後述する送りネジ41と同軸上に設けられ、ギヤG4が回転すると送りネジ41が第2の軸X2回りに回転するように構成されている。
【0028】
移動体42は、モータ3の駆動力によって所定の移動方向に移動する。移動体42は、本実施形態では、
図10~
図19に示されるように、所定の移動方向に移動することで、回転部材2を第1の軸X1回りに回転させる。また、移動体42は、本実施形態では、後述するように、規制部材6を規制位置と非規制位置との間で移動させる。
【0029】
移動体42の形状および構造は、移動体42が所定の移動方向に移動することで、回転部材2を所定の軸回り(第1の軸X1回り)に回転させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、移動体42は、送りネジ41に沿って移動する送りナットとして構成されているが、移動体は変形例として、モータ3の駆動力によって直線上を移動するラック等、他の直線運動を行う直動部材によって構成されていてもよい。また、移動体は別の変形例として、モータ3の駆動力によって回転運動をするギヤなどの回転体であってもよい。なお、以下では、移動体42は、送りネジ41に螺合する送りナットとして説明されているが、下記の説明は、動作可能な範囲で、上述した移動体の変形例についても適用が可能である。
【0030】
本実施形態では、移動体(送りナット)42は、送りネジ41と螺合している。送りネジ41は、モータ3の駆動力によって第2の軸X2回りに回転し、移動体42を第2の軸X2に沿って移動させる。送りネジ41は、所定の長さで直線状に延び、外周に雄ネジを有している。送りネジ41は、第2の軸X2回りにその場で回転するようにハウジング5の移動体収容部53に回転可能に支持されている。
【0031】
移動体42は、送りネジ41の第2の軸X2回りの回転に伴って第2の軸X2方向に移動する。本実施形態では、
図10、
図12、
図14、
図16および
図18に示されるように、移動体42の直線運動が、回転部材2の回転運動に変換されて、リッドLが第1の軸X1回りに回転する。具体的には、移動体42は、モータ3の回転方向に応じて第2の軸X2に沿って一方の方向および他方の方向に直線運動し、この直線運動が回転部材2の第1の軸X1回りの回転運動に変換されて、リッドLが開閉する。本実施形態では、モータ3によって移動体42が第2の軸X2に沿って一方の方向(
図10、
図12、
図14および
図16において左方向)に移動すると、回転部材2が第1の軸X1回りで一方の方向に回転し、リッドLが開放位置から閉鎖位置に向かって回転する。一方、モータ3によって移動体42が第2の軸X2に沿って他方の方向(
図10、
図12、
図14および
図16において右方向)に移動すると、回転部材2が第1の軸X1回りで他方の方向に回転し、リッドLが閉鎖位置から開放位置に向かって回転する。なお、移動体が例えばギヤ等の回転体である場合、所定の回転方向で移動体が一方(または他方)の方向に回転したときに、移動体の回転によって回転部材2が第1の軸X1回りで一方(または他方)の方向に回転し、リッドLが開放位置から閉鎖位置(または閉鎖位置から開放位置)に向かって回転するように構成することができる。
【0032】
移動体42は、送りネジ41が第2の軸X2回りに回転したときに、送りネジ41と共回りしないように、第2の軸X2回りの回転が規制されている。これにより、送りネジ41が第2の軸X2回りに回転することで、移動体42は第2の軸X2方向に移動する。移動体42は、本実施形態では、リッドLが開放位置にあるときに移動体42が位置する第1位置(
図4、
図10および
図11参照)と、リッドLが閉鎖位置にあるときに移動体42が位置する第2位置(
図5、
図16および
図17参照)との間で移動する。後述するように、移動体42が第2の軸X2方向で、第1位置と第2位置との間で移動することによって、回転部材2を介して延伸体L2が第1の軸X1回りに回転する。
【0033】
本実施形態では、移動体42は、
図7および
図8に示されるように、送りネジ41の外周に設けられた雄ネジと螺合する雌ネジを有する筒状部421を備えている。筒状部421は、送りネジ41の外周を取り囲むように設けられた所定の外径を有する筒状の部位であり、第2の軸X2方向に所定の長さ(限定されないが、例えば、送りネジ41(送りネジ41のうち、雄ネジが形成された部分)の第2の軸X2方向の長さの15~55%、好ましくは、20~50%の長さ)を有している。なお、筒状部421は、移動体42の一部に設けられた、送りネジ41の外周に設けられた筒状の部位であればよく、本実施形態のように、周方向の一部が後述する係合部422等、他の部位と連続していてもよい。
【0034】
また、移動体42は、
図4、
図5および
図7に示されるように、回転部材2と係合する係合部422を有している。係合部422は、移動体42が第2の軸X2方向に移動したときに、回転部材2が第1の軸X1回りに回転する力を回転部材2に加えることができるように、回転部材2と第2の軸X2方向で係合する。
【0035】
本実施形態では、係合部422は、後述する回転部材2のレバー部22と第2の軸X2方向に係合するように構成されている。本実施形態では、移動体42は、
図4、
図5および
図7に示されるように、移動体42が移動方向の一方に移動したときに(第1位置から第2位置に移動するときに)、レバー部22と係合する第1係合部422aと、移動体42が移動方向の他方に移動したときに(第2位置から第1位置に移動するときに)、レバー部22と係合する第2係合部422bとを有している。
【0036】
係合部422(第1係合部422aおよび第2係合部422b)は、送りネジ41の外周に対して、送りネジ41の径方向外側に設けられている。なお、「送りネジ41の外周に対して、送りネジ41の径方向外側」とは、送りネジ41の外周(最大外径を有する部分)よりも、回転部材2と係合する部位である係合部422が、送りネジ41の径方向で所定の距離遠くなるように外側に位置していることをいう。本実施形態では、第1係合部422aおよび第2係合部422bは、
図7に示されるように、円筒状の筒状部421の外周から、送りネジ41に対して離れる方向に突出した係合突起として設けられている。係合突起によって形成された第1係合部422aおよび第2係合部422bは、
図4、
図5および
図7に示されるように、第2の軸X2方向で互いに離間して配置されている。より具体的には、第1係合部422aおよび第2係合部422bは、
図4、
図5および
図7に示されるように、第2の軸X2方向で、移動体42の両端に設けられ、第1係合部422aおよび第2係合部422bの間には、後述するレバー部22が入り込む凹部が形成されている。
【0037】
本実施形態では、
図4および
図10に示されるように、リッドLが開放位置にあるときに移動体42が位置する第1位置において、移動体42の第1係合部422aとレバー部22との間には、レバー部22に対して移動方向(第2の軸X2方向)で他方側(
図4において左側)に、移動体42がレバー部22に対して相対的に移動可能な第1の隙間GP1が設けられている。また、
図5および
図16に示されるように、リッドLが閉鎖位置にあるときに移動体42が位置する第2位置において、移動体42の第2係合部422bとレバー部22との間には、レバー部22に対して移動方向(第2の軸X2方向)で一方側(
図5において右側)に、移動体42がレバー部22に対して相対的に移動可能な第2の隙間GP2が設けられている。この第1の隙間GP1および第2の隙間GP2は、移動体42が所定の方向に移動する移動ストロークのうちの一部において、回転部材2に移動体42から力が加わらず、回転部材2および延伸体L2は回転しないようにするための隙間である。第1の隙間GP1および第2の隙間GP2の長さの分、移動体42が移動する際に、後述するように、回転部材2および延伸体L2は回転せずに、移動体42の移動によって規制部材6が規制位置から非規制位置へと移動することができる。この点の詳細については後述する。
【0038】
本実施形態では、第1の隙間GP1および第2の隙間GP2の大きさ(第2の軸X2方向の長さ)は、後述するように、移動体42が規制部材6を規制位置から非規制位置へと移動させるのに必要な、移動体42の移動量以上となるように設定されている。より具体的には、第1の隙間GP1は、後述するように、規制部材6が第1ロック部LC1に係合した状態(
図11参照)から、規制部材6が第1ロック部LC1から離脱した状態(
図13参照)となるまでに、移動体42が規制部材6を移動させる際の移動体42の移動量以上となるように設定される。また、第2の隙間GP2は、後述するように、規制部材6が第2ロック部LC2に係合した状態(
図17参照)から、規制部材6が第2ロック部LC2から離脱した状態(
図19参照)となるまでに、移動体42が規制部材6を移動させる際の移動体42の移動量以上となるように設定される。なお、本実施形態では、第1の隙間GP1および第2の隙間GP2は、移動体42の移動方向で同じ長さとなっている。
【0039】
移動体42が、
図4に示される第1位置(リッドLの開放位置)から
図5に示される第2位置(リッドLの閉鎖位置)へと移動するときに、回転部材2と第1係合部422aとが係合する(
図4の二点鎖線および
図12参照)。その状態でさらに移動体42が第1位置から第2位置へ向かって、第2の軸X2方向で一方(
図4において右方向、
図12において左方向)に移動することで、移動体42の第1係合部422aから、回転部材2を第1の軸X1回りで一方に回転させる力が加わる。これにより、回転部材2が第1の軸X1回りで一方の方向に回転して、延伸体L2およびリッド本体L1が第1の軸X1回りで一方の方向に回転し、リッドLが開放位置から閉鎖位置に向かって回転する。また、移動体42が、
図5に示される第2位置(リッドLの閉鎖位置)から
図4に示される第1位置(リッドLの開放位置)へと移動するときに、回転部材2と第2係合部422bとが係合する(
図5の二点鎖線および
図18参照)。その状態でさらに移動体42が第2位置から第1位置へ向かって、第2の軸X2方向で他方(
図5において左方向、
図18において右方向)に移動することで、移動体42の第2係合部422bから、回転部材2を第1の軸X1回りで他方に回転させる力が加わる。これにより、回転部材2が第1の軸X1回りで他方の方向に回転して、延伸体L2およびリッド本体L1が第1の軸X1回りで一方の方向に回転し、リッドLが閉鎖位置から開放位置に向かって回転する。
【0040】
なお、係合部422の形状および構造は、移動体42が第2の軸X2方向に移動したときに、回転部材2が第1の軸X1回りに回転する力を回転部材2に加えることができるように、係合部422が回転部材2と係合することができれば、特に限定されない。移動体がラック歯を有するラックとして構成され、回転部材がピニオンギヤを有する回転部材として構成される変形例の場合など、係合部はラック歯のような他の構造であってもよい。なお、上記変形例をより具体的に説明すると、例えば、移動体は、第2の軸X2方向に沿って設けられた歯列を有するラック歯を有するラックとして構成され、回転部材は、軸部と同軸に回転中心を有するピニオンギヤを有するように構成される。この場合、移動体が第2の軸X2方向に移動すると、ラック歯とピニオンギヤとの噛み合いによって回転部材が第1の軸X1回りに回転する。また、移動体が、外周に歯を有するギヤなど回転運動をするように構成される場合、回転部材のレバー部に係合する係合部は、ギヤの端面に設けることができる。この場合、回転部材のレバー部が、ギヤである移動体の端面に設けられた係合部と係合するときに、移動体の回転方向に応じて、回転部材を回転させることができる。
【0041】
本実施形態では、移動体42は、
図8に示されるように、規制部材6を規制位置から非規制位置へと移動させるカム機構部423を備えている。カム機構部423は、移動体42が所定の移動方向に移動するときに、後述する規制部材6のカム部63と接触して規制部材6を規制位置から非規制位置へと移動させる(
図11および
図13、
図17および
図19参照)。
【0042】
カム機構部423の形状および構造は、移動体42が所定の移動方向に移動したときに規制部材6を規制位置から非規制位置へと移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、カム機構部423は、
図8に示されるように、移動体42の移動方向(本実施形態では第2の軸X2方向)の両端に、傾斜面423a、423bを有している。傾斜面423aは、リッドLが開放位置にあるときの移動体42の第1位置(
図11参照)から、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で一方の方向(
図11において左方向)に移動する際に、規制部材6のカム部63と接触する、移動体42の移動方向で一方の方向に設けられた傾斜面である。傾斜面423aは、規制部材6のカム部63と接触した状態で、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で一方の方向に移動すると、
図11および
図13に示されるように、規制部材6が第1ロック部LC1から離脱する方向に規制部材6を移動させるように傾斜している。また、傾斜面423bは、リッドLが閉鎖位置にあるときの移動体42の第2位置(
図17参照)から、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で他方の方向(
図17において右方向)に移動する際に、規制部材6のカム部63と接触する、移動体42の移動方向で他方の方向に設けられた傾斜面である。傾斜面423bは、規制部材6のカム部63と接触した状態で、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で他方の方向に移動すると、
図17および
図19に示されるように、規制部材6が第2ロック部LC2から離脱する方向に規制部材6を移動させるように傾斜している。なお、本実施形態では、傾斜面423aおよび傾斜面423bは、第2の軸X2に対して傾斜した平面として設けられており、同様に平面として設けられた規制部材6のカム部63(傾斜面63a、63b)と面接触するように構成されている。この場合、移動体42の移動方向への移動時に、カム機構部423からカム部63に力が伝達されやすくなる。なお、傾斜面423aおよび傾斜面423bは曲面として設けられていてもよい。また、本実施形態では、
図8に示されるように、傾斜面423aおよび傾斜面423bとの間には、第2の軸X2に平行に延びる平坦面423cが設けられているが、カム機構部423は、平坦面423cを有している必要はなく、傾斜面423aおよび傾斜面423bが連続して設けられていてもよい。
【0043】
本実施形態では、移動体42は、
図7および
図8に示されるように、送りネジ41の径方向で一方側に、第1係合部422aおよび第2係合部422bを有し、送りネジ41の径方向で他方側に、カム機構部423が設けられている。この場合、移動体42は、送りネジ41の径方向で一方側において回転部材2と接触し、第2の軸X2を挟んで反対側となる、送りネジ41の径方向で他方側では、規制部材6と接触する。したがって、移動体42に対して回転部材2および規制部材6からバランス良く力が加わり、移動体42が送りネジ41に対して安定して移動する。
【0044】
回転部材2は、移動体42が所定の移動方向に移動する際に、移動体42と連動して回転することで、延伸体L2を第1の軸X1回りに回転させる。回転部材2は、リッドLに直接または間接的に接続される。本実施形態では、回転部材2は、上述したようにリッドLに直接接続されている。しかし、回転部材2は、回転部材2の回転力を、別部材を介してリッドLに伝達するように構成されていてもよい。なお、回転部材2に関して「リッドLに直接接続され」という用語は、リッドLとは別体として構成された回転部材2がリッドLに対して直接接触するように接合される場合だけでなく、回転部材2がリッドLに対して一体的に設けられる場合(例えば、一体成形される場合や、溶接などによって一体化される場合)も含む。
【0045】
本実施形態では、回転部材2は、モータ3の駆動力が伝動部4を介して伝達されることによって、第1の軸X1回りに回転する。本実施形態では、回転部材2は、移動体42の第2の軸X2方向への移動に伴って第1の軸X1回りに回転するように構成されている。具体的には、回転部材2は、移動体42の第2の軸X2方向への直線運動が、第1の軸X1回りの回転運動に変換されることによって、第1の軸X1回りに回転する。なお、回転部材2は、延伸体L2を第1の軸X1回りに回転させることができれば、第1の軸X1とは異なる軸回り、例えば、第1の軸X1に対して平行な軸回り、または第1の軸X1に対して交差する軸回りに回転するように構成されていてもよい。
【0046】
本実施形態では、回転部材2は、
図4および
図5に示されるように、第1の軸X1に沿って延びる軸部21と、軸部21の一端側において、第1の軸X1に対して交差する方向に延びるレバー部22とを備えている。
【0047】
軸部21は、上述したように、リッドLの延伸体L2に接続される。具体的には、軸部21は、
図2に示されるように、延伸体L2の挿入部L21に挿入される。軸部21は、第1の軸X1の軸回り方向で挿入部L21と係合し、軸部21が回転したときに、リッドLが回転するように構成されている。本実施形態では、軸部21は、第1の軸X1方向に延びる棒状の部材であり、軸部21の、第1の軸X1に対して垂直な断面は四角形状になっている。
【0048】
レバー部22は、
図4、
図5、
図20および
図21に示されるように、軸部21の一端側から係合部422に向かって、第1の軸X1に対して交差する方向に延びている。本実施形態では、レバー部22は、軸部21の一端から第1の軸X1に対して垂直な方向に延びている。レバー部22は、軸部21から第1の軸X1に対して垂直な方向に延びるアーム部221と、アーム部221の先端において、第1の軸X1に平行な方向に突出した突出部222とを有している。レバー部22の突出部222は、上述した第1係合部422a、第2係合部422bの間の凹部に入り込み、移動体42の移動方向に応じて、第1係合部422aおよび第2係合部422bのいずれかに係合できるように構成されている。
【0049】
本実施形態では、
図12および
図14に示されるように、レバー部22と第1係合部422aとが係合した状態で、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)の一方に移動することによって、リッドLが閉鎖位置に向かって回転するように、回転部材2が第1の軸X1回りに回転する。また、
図18に示されるように、レバー部22と第2係合部422bとが係合した状態で、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)の他方に移動することによって、リッドLが開放位置に向かって回転するように、回転部材2が第1の軸X1回りに回転する。本実施形態では、移動体42が第2の軸X2方向に移動することで、レバー部22が係合部422(第1係合部422aまたは第2係合部422b)から第2の軸X2方向に力を受けることで、レバー部22が第1の軸X1(軸部21)を中心として揺動する。これにより、レバー部22に接続された軸部21が第1の軸X1回りに回転し、リッドLが第1の軸X1回りに回転する。
【0050】
なお、回転部材2の形状および構造は、回転部材2が回転することで、延伸体L2を第1の軸X1回りに回転させることができれば、特に限定されない。回転部材は、移動体の移動に伴って第1の軸X1回りに回転する他の構造を有していてもよく、上述したように、回転部材は、軸部と同軸に回転中心を有するピニオンギヤを有するように構成されていてもよい。
【0051】
規制部材6は、延伸体L2の第1ロック部LC1および第2ロック部LC2と係合することで、延伸体L2の第1の軸X1回りの回転を規制して、リッドLをロックする。規制部材6は、移動体42の、所定の移動方向における位置に応じて、延伸体L2と係合して延伸体L2の第1の軸X1回りの回転を規制する規制位置(
図11および
図17参照)と、延伸体L2との係合が解除され延伸体L2の第1の軸X1回りの回転を許容する非規制位置(
図13、
図15および
図19参照)との間で移動する。
【0052】
「規制位置」は、規制部材6が延伸体L2の第1ロック部LC1または第2ロック部LC2に係合して、延伸体L2の第1の軸X1回りの回転を規制可能な規制部材6の位置である。「非規制位置」は、規制部材6が延伸体L2の第1ロック部LC1または第2ロック部LC2から離脱して、延伸体L2の第1の軸X1回りの回転を許容する規制部材6の位置である。
【0053】
規制部材6は、第1の軸X1回りに回転する延伸体L2の第1ロック部LC1または第2ロック部LC2に係合可能な位置に設けられる。本実施形態では、延伸体L2が規制部材6に対して相対回転することで、規制部材6に対して第1ロック部LC1または第2ロック部LC2が、規制部材6に対して係合可能な位置へと位置付けられる。第1ロック部LC1または第2ロック部LC2が、規制部材6に対して係合可能な位置に位置付けられたときに、規制部材6は、第1ロック部LC1または第2ロック部LC2に係合可能な位置へと進退する。本実施形態では、規制部材6は、コイルバネ等の付勢部材SPによって、規制部材6の進退方向のうち、第1ロック部LC1または第2ロック部LC2に係合する方向である前進方向に付勢されている。
【0054】
本実施形態では、規制部材6は、ハウジング5に対して進退方向に移動は可能であるが、それ以外の方向には移動しないように、ハウジング5に設けられている。なお、本実施形態では、規制部材6は、第1の軸X1方向に平行に進退するように構成されているが、規制部材6の進退方向は、第1ロック部LC1および第2ロック部LC2に係合可能であれば、特に限定されず、第1の軸X1方向に対して交差する方向であってもよい。
【0055】
本実施形態では、規制部材6は、
図9に示されるように、本体61と、第1ロック部LC1および第2ロック部LC2に係合するように構成された規制部62と、移動体42のカム機構部423と接触するカム部63と、付勢部材SPが取り付けられる付勢部材取付部64とを有している。
【0056】
規制部62は、第1ロック部LC1および第2ロック部LC2に係合する部位である。規制部62の形状および構造は、第1ロック部LC1または第2ロック部LC2に係合した際に、延伸体L2の回転を規制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、規制部62は、第1の軸X1方向に平行に延びる(円柱状の)ロッドとして形成され、円形の開口として形成された第1ロック部LC1および第2ロック部LC2に嵌合する。
【0057】
カム部63は、カム機構部423と相互作用することで、規制部材6を規制位置から非規制位置に移動させる。カム部63は、移動体42が所定の移動方向に移動したときに、カム機構部423の傾斜面423a、423bと接触する傾斜面63a、63bを有している。傾斜面63aは、リッドLが開放位置にあるときの移動体42の第1位置(
図11参照)から、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で一方の方向(
図11において左方向)に移動する際に、移動体42のカム機構部423の傾斜面423aと接触する。傾斜面63aは、カム機構部423の傾斜面423aと接触した状態で、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で一方の方向に移動すると、
図11および
図13に示されるように、規制部材6が第1ロック部LC1から離脱する方向に規制部材6を移動させるように傾斜している。
【0058】
また、傾斜面63bは、リッドLが閉鎖位置にあるときの移動体42の第2位置(
図17参照)から、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で他方の方向(
図17において右方向)に移動する際に、移動体42のカム機構部423の傾斜面423bと接触する。傾斜面63bは、カム機構部423の傾斜面423bと接触した状態で、移動体42が移動方向(第2の軸X2方向)で他方の方向に移動すると、
図17および
図19に示されるように、規制部材6が第2ロック部LC2から離脱する方向に規制部材6を移動させるように傾斜している。
【0059】
なお、本実施形態では、傾斜面63aおよび傾斜面63bは平面として設けられているが、曲面として設けられていてもよい。また、本実施形態では、規制部材6のカム部63は、
図9に示されるように、傾斜面63aおよび傾斜面63bとの間に、第2の軸X2に平行に延びる平坦面63cを有しているが、カム部63は、平坦面63cを有している必要はなく、傾斜面63aおよび傾斜面63bが連続して設けられていてもよい。
【0060】
付勢部材取付部64は、本実施形態では、規制部材6の本体61から規制部62とは反対側に突出したピン状の突出部を有している。コイルバネである付勢部材SPは、付勢部材SPの一端の内側に付勢部材取付部64の突出部が入り込むように付勢部材取付部64に取り付けられている。付勢部材SPの一端は本体61の上面に当接し、付勢部材SPの他端はハウジング5の蓋体5bの内面に当接することによって、規制部材6は前進方向に付勢されている。これにより、規制部材6と、第1ロック部LC1または第2ロック部LC2との間の係合が維持される。
【0061】
本実施形態では、リッドロック機構1は、移動体42がモータ3の駆動力によって所定の移動方向に移動し、回転部材2を回転させることで、延伸体L2(リッドL)を第1の軸X1回りに回転させる。さらに、リッドロック機構1は、延伸体L2を第1の軸X1回りに回転させる移動体42の移動によって、規制部材6を規制位置と非規制位置との間で移動させるように構成されている。これにより、移動体42によって、延伸体L2が、リッドLの開放位置に対応する第1位置まで回転したときに、移動体42によって規制部材6が規制位置に移動して第1ロック部LC1に係合し、リッドLが開放位置でロックされる。また、移動体42によって、延伸体L2が、リッドLの閉鎖位置に対応する第2位置まで回転したときに、移動体42によって規制部材6が規制位置に移動して第2ロック部LC2に係合し、リッドLが閉鎖位置でロックされる。したがって、リッドLを開放方向および/または閉鎖方向に付勢するバネを用いることなく、リッドLを開放位置および閉鎖位置で維持することが可能となる。また、リッドLが開放位置から閉鎖位置まで移動する際、または、リッドLが閉鎖位置から開放位置まで移動する際には、移動体42の移動によって規制部材6が非規制位置に移動して、第1ロック部LC1または第2ロック部LC2から離脱するとともに、移動体42によって、延伸体L2が回転して、リッドLを回転させる。したがって、移動体42の移動によって、延伸体L2の回転(リッドLの開閉)と、規制部材6の移動(リッドLのロック)が制御される。したがって、簡単な構成で、電動によるリッドLの開閉とリッドLのロックとを行うことができる。
【0062】
また、リッドLがバネによって回転軸(第1の軸X1)回りに付勢されていない場合、バネの付勢力に抗してリッドLを動作させる必要がないので、モータ3の出力を高くする必要がなく、装置全体を小型化することができる。また、リッドLの開閉方向にバネの付勢力が加わる場合、リッドLの回転速度が付勢力に応じて変化してしまい、一定とならないが、本実施形態では、リッドLの開閉方向にバネの付勢力が加わらない。したがって、本実施形態では、モータ3によって移動体42、延伸体L2が一定の速度で動作され、リッドLが一定の速度で開閉され得る。
【0063】
また、本実施形態では、移動体42は、第1位置から所定の移動方向で一方の方向に移動する際に、規制部材6を規制位置から非規制位置に移動させて、規制部材6と第1ロック部LC1との間の係合が解除された後に(
図12および
図13参照)、
図14および
図16に示されるように、リッドLが閉鎖位置に向かって回転するように、回転部材2を第1の軸X1回りに回転させることで延伸体L2を第1の軸X1回りに回転させる。また、移動体42は、第2位置から所定の移動方向で他方の方向に移動する際に、規制部材6を規制位置から非規制位置に移動させて、規制部材6と第2ロック部LC2との間の係合が解除された後に(
図18および
図19参照)、リッドLが閉鎖位置に向かって回転するように、回転部材2を第1の軸X1回りに回転させることで延伸体L2を第1の軸X1回りに回転させる。この場合、規制部材6による延伸体L2のロックが解除された後に、延伸体L2(リッドL)が回転する。したがって、規制部材6と延伸体L2とが係合した状態で、規制部材6に対して延伸体L2から第1の軸X1回り方向の力が加わることが抑制される。したがって、規制部材6や延伸体L2の破損が抑制される。
【0064】
上述のように、規制部材6による延伸体L2のロックが解除された後に、延伸体L2(リッドL)を回転させる場合、移動体42が第1位置または第2位置から移動し始めた後、規制部材6が非規制位置に移動するまでの間、回転部材2から延伸体L2に回転力の伝達が抑制されるように構成される。このために、本実施形態では、
図4および
図5に示されるように、上述したように、移動体42の第1係合部422aと回転部材2のレバー部22との間、移動体42の第2係合部422bと回転部材2のレバー部22との間に、第1の隙間GP1および第2の隙間GP2が設けられている。
【0065】
本実施形態では、
図10~
図13に示されるように、移動体42が第1位置から第1の隙間GP1の大きさの分、移動方向で一方側に移動する間に、回転部材2は回転せずに、移動体42によって規制部材6が規制位置から非規制位置へと移動する。移動体42が第1位置から第1の隙間GP1の大きさの分、移動方向で一方側に移動すると、第1係合部422aとレバー部22とが係合する(
図4の二点鎖線参照)。
図12~
図15に示されるように、第1係合部422aとレバー部22とが係合した状態で移動体42が移動方向で一方側に移動することによって、回転部材2が回転して、リッドLを閉鎖位置に向かって移動させることが可能となっている。
【0066】
また、
図16~
図19に示されるように、移動体42が第2位置から第2の隙間GP2の大きさの分、移動方向で他方に移動する間に、回転部材2は回転せずに、移動体42によって規制部材6が規制位置から非規制位置へと移動する。移動体42が第2位置から第2の隙間GP2の大きさの分、移動方向で他方側に移動すると、第2係合部422bとレバー部22とが係合する(
図5の二点鎖線参照)。第2係合部422bとレバー部22とが係合した状態で移動体42が移動方向で他方側に移動することによって、回転部材2が回転して、リッドLを開放位置に向かって移動させることが可能となっている。
【0067】
このように、第1の隙間GP1および第2の隙間GP2が設けられている場合、移動体42が第1の隙間GP1の大きさの分移動している間は、規制部材6は規制位置から非規制位置に移動するが、移動体42から回転部材2には力が加わらない。したがって、移動体42が移動しても回転部材2は回転せず、延伸体L2に回転力は伝達されない。そのため、規制部材6が延伸体L2の第1ロック部LC1または第2ロック部LC2から離脱する間に、移動体42が移動しても延伸体L2が回転しないので、規制部材6の規制位置から非規制位置への移動を円滑にすることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、移動体42と回転部材2との間に第1の隙間GP1および第2の隙間GP2が設けられているが、移動体42が第1位置または第2位置から移動し始めた後、規制部材6が非規制位置に移動するまでの間、回転部材2から延伸体L2に回転力が伝達されることが抑制されるように構成されていれば、上記隙間は他の部位に設けられていてもよいし、隙間以外に回転部材2から延伸体L2への回転力の伝達を抑制可能な、他の伝達力抑制機構によって実現されてもよい。例えば、移動体42と回転部材2との間に隙間を設けるのではなく、回転部材2と延伸体L2との間に隙間が設けられていてもよい。具体的には、移動体42が第1位置(または第2位置)から移動方向で一方の方向(または他方の方向)に移動して、回転部材2が回転するときに、回転部材2の回転初期では、回転部材2の軸部21と延伸体L2の挿入部L21とが、第1の軸X1回り方向で係合しないようにして、回転部材2が所定量回転した後に、軸部21と挿入部L21とが第1の軸X1回り方向で係合することで、回転部材2の回転力が伝達されるように構成してもよい。
【0069】
また、本実施形態では、
図20および
図21に示されるように、リッドロック機構1がさらに、移動方向で所定の位置に設けられたスイッチSW1、SW2を備えている。スイッチSW1、SW2は、移動体42が移動方向で所定の位置に到達したときに、移動体42によって操作されて、モータ3を停止させ、開放位置または閉鎖位置は、スイッチSW1、SW2の位置によって定められる。この場合、スイッチSW1、SW2によってモータ3が停止し、リッドLが開放位置または閉鎖位置でロックされる。なお、スイッチSW1、SW2は、本実施形態では、規制部材6が規制位置に移動して第1ロック部LC1または第2ロック部LC2に係合するまで移動体42が移動した位置となるように設定される。
【0070】
スイッチSW1、SW2は、移動体42が所定の位置に移動したときに操作されるものであれば、特に限定されない。スイッチSW1、SW2は、例えば、リミットスイッチとすることができる。移動体42は、リミットスイッチであるスイッチSW1、SW2を操作するためのスイッチ操作部424を有している。スイッチ操作部424は、第2の軸X2方向の両側に傾斜面を有し、移動体42が第2の軸X2方向に移動したときに、スイッチSW1、SW2の被操作部SW11、SW21を操作・押圧することができるように構成されている。なお、スイッチSW1、SW2は、磁気センサや他のセンサを用いたスイッチであってもよい。
【0071】
以下、本実施形態のリッドロック機構1の動作を詳細に説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、本発明のリッドロック機構1は、以下の説明によって限定されるものではない。
【0072】
図10は、リッドLが開放位置に位置しており、移動体42が第1位置に位置している状態を示している。
図10に示されるように、第1位置に位置している移動体42と回転部材2との間には、第1の隙間GP1が設けられている。
図11は、
図10の状態に対応しており、
図10に示されるリッドロック機構1のハウジング5の内部を下方から見た概略図である。
図11に示されるように、移動体42が第1位置に位置している状態で、規制部材6は、延伸体L2の第1ロック部LC1に係合している。これにより、延伸体L2の回転が抑制され、リッドLは規制部材6によって開放位置で保持されている。
【0073】
図10および
図11に示される状態から、リッドLを閉鎖する場合、図示しない操作部(操作ボタン等)によってモータ3が駆動される。モータ3が駆動されると、モータ3の駆動力が減速機構43、送りネジ41を介して移動体42に伝達される。具体的には、モータ3の回転力が減速機構43を介して送りネジ41に伝達されると、送りネジ41が第2の軸X2回りに回転することで、移動体42が第2の軸X2に沿って移動する。
【0074】
移動体42が
図10および
図11に示される状態から、第2の軸X2に沿って一方の方向(
図10および
図11において左側)に移動すると、移動体42は、第1の隙間GP1の大きさの分移動するまでは、第1係合部422aが回転部材2のレバー部22に当接しないので、回転部材2は回転しないままである。したがって、延伸体L2(リッドL)は、
図10および
図12に示されるように、移動体42が所定量移動しても、開放位置のままとなっている。一方、移動体42が第2の軸X2に沿って一方の方向に移動する際に、移動体42のカム機構部423と、規制部材6のカム部63とが接触することで、
図11および
図13に示されるように、規制部材6は規制位置から非規制位置まで移動して、規制部材6の規制部62が第1ロック部LC1から離脱する。これにより、延伸体L2の回転が許容され、リッドLのロックが解除される。
【0075】
リッドLのロックが解除された状態でさらに移動体42が第2の軸X2に沿って一方の方向に移動すると、
図12および
図14に示されるように、移動体42の第1係合部422aとレバー部22とが第2の軸X2方向で係合して、レバー部22は第1係合部422aから
図14において左側に力を受けるので、回転部材2は第1の軸X1回りに(
図14において時計方向)に回転する。したがって、延伸体L2(リッドL)は、第1の軸X1回りに閉鎖位置に向かって回転する。なお、規制部材6は、
図15に示されるように、規制部材6のカム部63(平坦面63c)が移動部材42のカム機構部423(平坦面423c)に乗り上がることで、非規制位置に保持されて、延伸体L2の回転を妨げない。
【0076】
さらに移動体42が第2の軸X2に沿って一方の方向に移動すると、
図16および
図17に示されるように、延伸体L2(リッドL)が閉鎖位置に到達し、車体Bの開口Baを閉鎖する。本実施形態では、延伸体L2(リッドL)が閉鎖位置に位置したときに、規制部材6のカム部63が移動部材42のカム機構部423に案内されるとともに、付勢部材SPの付勢力によって規制部材6は前進方向に押圧されて規制位置へと移動する。これにより、
図17に示されるように、規制部材6の規制部62が第2ロック部LC2と係合し、延伸体L2(リッドL)が閉鎖位置でロックされる。したがって、リッドLは規制部材6によって閉鎖位置で保持される。
【0077】
リッドLを閉鎖位置から開放位置に移動させる際には、モータ3を、
図16および
図17に示される状態から逆回転させることで、移動体42を移動方向で他方の方向に移動させる。具体的には、移動体42が
図16および
図17に示される第2位置から、第2の軸X2に沿って他方の方向(
図16および
図17において右側)に移動すると、移動体42は、第2の隙間GP2の大きさの分移動するまでは、第2係合部422bが回転部材2のレバー部22に当接しないので、回転部材2は回転しないままである。したがって、延伸体L2(リッドL)は、
図16および
図18に示されるように、移動体42が所定量移動しても、閉鎖位置のままとなっている。一方、移動体42が第2の軸X2に沿って他方の方向に移動する際に、移動体42のカム機構部423と、規制部材6のカム部63とが接触することで、
図17および
図19に示されるように、規制部材6は規制位置から非規制位置まで移動して、規制部材6の規制部62が第2ロック部LC2から離脱する。これにより、延伸体L2の回転が許容され、リッドLのロックが解除される。その後は、移動体42が他方の方向に移動することで、延伸体L2(リッドL)が回転し、延伸体L2(リッドL)が開放位置に到達したときに、規制部材6が第1ロック部LC1に係合することで、リッドLが開放位置で保持される。
【符号の説明】
【0078】
1 リッドロック機構
2 回転部材
21 軸部
22 レバー部
221 アーム部
222 突出部
3 モータ
31 出力軸
4 伝動部
41 送りネジ
42 移動体
421 筒状部
422 係合部
422a 第1係合部
422b 第2係合部
423 カム機構部
423a、423b 傾斜面
423c 平坦面
424 スイッチ操作部
43 減速機構
5 ハウジング
5a 筐体
5b 蓋体
51 モータ収容部
52 減速機構収容部
53 移動体収容部
6 規制部材
61 本体
62 規制部
63 カム部
63a、63b 傾斜面
63c 平坦面
64 付勢部材取付部
B 基部(車体)
Ba 開口
Bb 本体部
Bc 給油口
D リッド開閉装置
G1、G2、G3、G4 ギヤ
GP1 第1の隙間
GP2 第2の隙間
L リッド
L1 リッド本体
L2 延伸体
L21 挿入部
L22 延伸部
L23 円弧部
L24 連結部
LC1 第1ロック部
LC2 第2ロック部
SP 付勢部材
SW1、SW2 スイッチ
SW11、SW21 被操作部
X1 第1の軸
X2 第2の軸