(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062514
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】衣類処理装置、衣類処理プログラム、及び衣類処理方法
(51)【国際特許分類】
D06F 89/00 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
D06F89/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172530
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】黒田 達朗
(72)【発明者】
【氏名】反田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 祥平
(57)【要約】
【課題】衣類などの処理対象物を適切に処理する。
【解決手段】衣類処理装置は、処理対象物を載置可能な作業板と、作業板の動作を制御する作業板装置制御部902と、を備え、作業板装置制御部902は、作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板を傾ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を載置可能な作業板と、
前記作業板の動作を制御する作業板制御部と、
を備え、
前記作業板制御部は、前記作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように前記作業板を傾ける
衣類処理装置。
【請求項2】
前記作業板制御部は、前記作業板を移動若しくは回転させる前、又は前記作業板の移動若しくは回転を停止させる前に、移動又は回転の速度を漸増又は漸減させる
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記作業板制御部は、前記処理対象物を落下させる領域の上方において、前記作業板の移動又は回転の速度を急減させる
請求項1又は2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記作業板制御部は、前記作業板を上方に移動させながら並進移動させる
請求項1から3のいずれかに記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記処理対象物の処理中に異常が発生した場合、前記作業板制御部は、前記作業板に載置されている前記処理対象物を所定の領域に落下させるために、前記作業板を前記領域の上方に移動させ、前記領域の上方で前記作業板を回転させる
請求項1から4のいずれかに記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記作業板制御部は、前記作業板に前記処理対象物が載置されているか否かにかかわらず、前記処理対象物を前記領域に落下させるための動作を制御する
請求項5に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
処理対象物を載置可能な作業板の動作を制御する作業板制御部
として機能させ、
前記作業板制御部は、前記作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように前記作業板を傾ける
衣類処理プログラム。
【請求項8】
処理対象物を載置可能な作業板の動作を制御するステップと、
前記作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように前記作業板を傾けるステップと、
を備える
衣類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類などの処理対象物を処理するための衣類処理装置、衣類処理プログラム、及び衣類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類などの被処理物を展開して折り畳む処理装置が提案されている。例えば、特許文献1には、被処理物の任意の点を保持可能な複数の保持装置と、被処理物を載置可能な載置装置を備える折り畳み装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理対象物を処理しているときに、何らかの異常が発生した場合、いったん処理対象物を戻して最初からやり直す必要がある。処理対象物を載置するための作業板に処理対象物が載置されている場合は、処理対象物を戻すべき領域に作業板を移動させている間に処理対象物が落下して他の構成などに引っ掛かってしまう場合があることを、本発明者らは課題として認識した。
【0005】
本開示は、衣類などの処理対象物を適切に処理するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における衣類処理装置は、処理対象物を載置可能な作業板と、作業板の動作を制御する作業板制御部と、を備える。作業板制御部は、作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板を傾ける。
【0007】
本開示における衣類処理方法は、処理対象物を載置可能な作業板の動作を制御するステップと、作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板を傾けるステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、衣類などの処理対象物を適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施の形態1における衣類処理装置の正面概略構成図
【
図3】実施の形態1における衣類処理装置の側面概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見等)
本開示に係る衣類処理装置は、複数の保持装置により処理対象物を保持して折り畳む。処理対象物を折り畳んでいるときに何らかの異常が発生した場合、処理対象物をいったん戻し、保持装置や作業板などの可動物を原点に復帰させた後、最初から処理をやり直す。処理対象物を載置するための作業板に処理対象物が載置されている場合は、処理対象物を戻すべき領域に作業板を移動させている間に処理対象物が落下して他の構成などに引っ掛かってしまう場合がある。
【0012】
このような課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。本開示に係る衣類処理装置は、作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板を傾ける。これにより、作業板を移動させている間に処理対象物が落下して他の構成などに引っ掛かってしまうのを防ぐことができる。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図5を用いて、実施の形態1を説明する。なお、衣類処理装置1の3方向について、前側正面から見て、左右の幅方向を矢印で示すX方向(左方向X1、右方向X2)、前後の奥行き方向を矢印で示すY方向(前方向Y1、後方向Y2)、上下の高さ方向を矢印で示すZ方向(上方向Z1、下方向Z2)として説明する。
【0016】
[1-1.構成]
[1-1-1.衣類処理装置の全体構成]
衣類処理装置1は、変形性薄物としての処理対象物Tを保持、認識、折り畳み、及び、収納する装置である。
図1に示されるように、衣類処理装置1は、筐体100、及び、筐体100内に構成される、受入部200と、保持装置300と、作業板装置400と、撮像装置500と、支持部600と、収納装置700と、制御装置900と、を備える。なお、受入部200及びその上方の処理空間が1つの筐体に構成され、収納装置700などは別の筐体内に構成されて、それぞれの筐体が連結されて一体となるように構成されてもよい。
【0017】
処理対象物Tは、例えば、衣類及びタオル類などの布地、フィルム、紙ならびにシートなどに代表される変形性薄物である。その形状は、タオル類のように矩形であってもよいし、Tシャツやランニングシャツ、長袖シャツ、ズボンのような略矩形であってもよい。
【0018】
筐体100は、直方体の枠を形成するフレーム110と、直方体の所定の面に外郭120が設けられて構成される。フレーム110と外郭120とは、一体に形成されてもよい。
【0019】
受入部200は、処理対象物Tを外部から受け入れる収容部である。
図1から
図3に示されるように、受入部200は、上面が開口した箱型形状を有する。受入部200は、ユーザがアクセスし易いように、衣類処理装置1における底部に配設され、奥行き方向(Y方向)に出し入れ可能に配設される。例えば、受入部200は、下部にガイドレール210が設けられ、前方向Y1に引き出される。処理対象物Tは、引き出された受入部200に上方から入れられる。受入部200は、処理対象物Tが入れられると、ガイドレール210に沿って後方向Y2に戻され、筐体100内に収められる。
【0020】
保持装置300は、処理対象物Tを処理するために、処理対象物Tを保持する装置である。保持装置300は、処理対象物Tを保持する保持部310と、保持部310を幅方向(X方向)、奥行き方向(Y方向)、高さ方向(Z方向)の3方向に移動させる移動機構320と、を含む。保持装置300は、複数設けられ、受入部200内に入れられた処理対象物Tを保持して持ち上げるとともに、処理対象物Tを一時的に載置できる作業板装置400と協働して、処理対象物Tを持ち替えながら展開及び折り畳みを行う。
【0021】
衣類処理装置1は、
図1から
図3に示されるように、保持装置300として2基の保持装置300A,300Bを備える。保持装置300Aは、保持部310として1つの保持部310Aを有し、保持部310Aを3方向に移動させる移動機構320Aを有する。保持装置300Bは、保持部310として2基の保持部310B,311Bを有し、保持部310B,311Bをそれぞれ3方向に移動させる移動機構320Bを有する。
【0022】
保持部310A,310B,311Bは、後述する作業板装置400の作業板410に対して、幅方向、奥行き方向、高さ方向にそれぞれ相対移動可能である。例えば、移動機構320A、320Bは、保持部310A,310B,311Bが作業板410の縁部に沿って一列に並ぶように位置させることができる。
【0023】
保持装置300A、300Bは、後述する制御装置900と有線又は無線により通信可能に接続される。そして、制御装置900により、保持部310A、310B,311B及び移動機構320A、320Bの動作が制御される。
【0024】
保持装置300A,300Bに用いられる移動機構320A,320Bについて、保持装置300Aの移動機構320Aの構成を用いて説明する。保持装置300Bの移動機構320Bの構成は、保持部の数を除いて保持装置300Aの構成と基本的に同じである。よって、保持装置300Bは、保持装置300Aの符号中「A」を「B」に置き換えた符号を用いればよく、その説明を省略する。
【0025】
移動機構320Aは、
図2に示されるように、幅方向移動機構330Aと、高さ方向移動機構340Aと、奥行き方向移動機構350Aと、を備える。
【0026】
幅方向移動機構330Aは、保持部310Aを幅方向(X方向)に移動させる。幅方向移動機構330Aは、保持部310Aを移動させるための駆動力源となる幅方向駆動部332A、及び、移動のガイドとなるXガイド334Aを有する。詳細は図示しないが、幅方向駆動部332Aは、正転及び逆転が可能なモータであり、ピニオンギアを有する。Xガイド334Aは、幅方向駆動部332Aの動力がピニオンギアを介して伝達されるラックギア及びレールであり、その長手方向が幅方向に沿うように配置される。幅方向駆動部332Aは、通電により、Xガイド334Aに沿ってスライド移動する。幅方向駆動部332AがXガイド334Aに沿って幅方向に移動すると、幅方向駆動部332Aに固定された保持部310Aも幅方向に移動する。
【0027】
高さ方向移動機構340Aは、幅方向移動機構330Aとともに保持部310Aを高さ方向(Z方向)に移動させる。高さ方向移動機構340Aは、幅方向移動機構330Aを移動させるための駆動力源となる高さ方向駆動部342A、及び、移動のガイドとなるZガイド344Aを有する。高さ方向駆動部342Aは、正転及び逆転が可能なモータである。詳細は図示しないが、高さ方向駆動部342Aは、幅方向移動機構330Aの枠体の左端に固定され、右端へ駆動力を伝達する伝動シャフトを有する。左右2本のZガイド344Aは、ラック・アンド・ピニオンを含み、その長手方向が高さ方向に沿うようにして配置される。左右2本のZガイド344Aは、上端で連結され、アーチ型に構成される。高さ方向駆動部342Aへの通電により、幅方向移動機構330Aが高さ方向に沿って移動する。
【0028】
奥行き方向移動機構350Aは、保持装置300A全体(高さ方向移動機構340A、幅方向移動機構330A及び保持部310A)を奥行き方向(Y方向)に移動させる。奥行き方向移動機構350Aは、高さ方向移動機構340Aを移動させるための動力源となる奥行き方向駆動部352A、及び、移動のガイドとなる複数のYガイド354を有する。詳細は図示しないが、奥行き方向駆動部352Aは、正転及び逆転が可能なモータであり、ピニオンギアを有する。奥行き方向駆動部352Aは、高さ方向移動機構340Aの枠体上部の連結部左端に固定され、右端へ駆動力を伝達する伝動シャフトを有する。Yガイド354は、奥行き方向駆動部352Aの動力が伝達されるラックギア及びレールであり、その長手方向が奥行き方向に沿うようにして、左右のZガイド344Aそれぞれの上下端に配置される。
【0029】
Yガイド354への駆動力の伝達について、上部のYガイド354には、上述したように、奥行き方向駆動部352Aの動力が伝動シャフトで伝達される。そして、下部のYガイド354には、高さ方向移動機構340Aの枠体内に設けられるギアベルトを介して上部に設けられる伝動シャフトから駆動力が伝達される。奥行き方向駆動部352Aへの通電により、アーチ型の高さ方向移動機構340Aが奥行き方向に沿って平行に移動し、幅方向移動機構330A及び保持部310Aも同じく移動する。
【0030】
なお、本実施の形態において、2基の保持装置300A,300Bは、奥行き方向(Y方向)に移動するために上下左右4本のYガイド354を共用する。このため、常に保持装置300Aは保持装置300Bより後側に位置する。また、保持装置300Bにおいて、2つの保持部310B,311Bは幅方向(X方向)に移動するためにXガイド334Bを共用する。このため、常に保持部310Bは保持部311Bより左側に位置する。
【0031】
本実施の形態では、移動機構としてラック&ピニオン式で、駆動部のモータも移動する構成としたが、これに限られない。例えば、ボールねじを利用したり、ワイヤによる懸架を利用したりして、モータは移動しない構成などでもよい。
【0032】
作業板装置400は、認識処理や折り畳み処理の際に処理対象物Tを載置する作業板410を回転及び移動させる装置である。作業板装置400は、移動機構320と同様の移動機構を備える。作業板410は、
図2に示されるように、作業平面の角部を面取りされた略矩形の板材である。作業板410は、角部の角がないように形成されることにより、布類などの処理対象物Tが引っ掛かる不具合が抑制される。作業板410は、作業板410の長手方向、つまり、長辺の2つの縁部がそれぞれ回転軸と平行になるように回転軸に固定される。
【0033】
撮像装置500は、処理対象物Tを受け入れた後の掴み処理、認識処理及び折り畳み処理する際に、当該処理対象物Tの端点等を検出する装置である。
図2及び
図3に示されるように、撮像装置500は、第1撮像部510と、第2撮像部520と、第3撮像部530と、を含む。第1撮像部510及び第2撮像部520は、例えばデジタルスチルカメラが使用され、端点検出や、処理対象物Tの種類の判別などに使用される。第3撮像部530は、例えばステレオカメラが使用され、端点検出のための奥行き方向の距離や処理対象物Tの幅を測定するために使用される。いずれの撮像部も正面内壁側のフレームに設けられ、レンズの向きは後方向Y2である。
【0034】
支持部600は、処理対象物Tの折り畳みの際に、折り畳みラインを押さえておいたり、処理対象物Tの皺を伸ばしたりなど、処理対象物Tを支持する壁面である。例えば、支持部600は、作業板410の前方に設けられる正面側支持部610及び後方に設けられる背面側支持部620のうち少なくともいずれか一方を含む。
【0035】
収納装置700は、処理された処理対象物Tを保持装置300から受け取って収納する。収納装置700は、
図1及び
図2に示されるように、複数の収納部710を備える。収納装置700は、処理対象物Tを受け取り各収納部710に格納する運搬部を含んでもよい。収納装置700は、受入部200及び保持装置300などが収納される処理空間の横に隣接して配設されており、処理空間と収納装置700とを合わせて、衣類処理装置1が構成される。
【0036】
制御装置900は、衣類処理装置1における各部の制御を統括する。制御装置900は、主として、ROM、RAM、演算装置、及び入出力インターフェイスから構成される。ROMには、オペレーティングシステム、衣類処理装置1の各部を制御するための制御プログラム、及び、制御プログラムの実行に必要なデータが格納されている。また、演算装置は、ROMに格納されている制御プログラムをRAMにロードしたり、ROMから直接実行したりするために設けられる。つまり、制御装置900は、演算装置が制御プログラムを実行することにより、衣類処理装置1を制御できる。そして、演算装置が処理したデータは、入出力インターフェイスを介して、衣類処理装置1の各部(保持装置300、作業板装置400等)へ送信される。演算装置の処理に必要なデータは、衣類処理装置1の各部(撮像装置500等)から入出力インターフェイスを介して受信される。
【0037】
[1-1-2.異常発生時の処理の詳細]
処理対象物Tを折り畳んでいるときに何らかの異常が発生した場合に、作業板410に載置されている処理対象物Tを受入部200に戻す動作の詳細について説明する。
【0038】
図4は、実施の形態1に係る制御装置900の機能構成を示す。本図では、作業板410に載置されている処理対象物Tを受入部200に戻す機能に関する構成を示している。制御装置900は、作業板装置制御部902と、作業板位置取得部906とを備える。
【0039】
作業板位置取得部906は、作業板410の位置を取得する。作業板位置取得部906は、作業板410を移動させるための移動機構に備えられた位置センサなどにより検知された作業板410の位置を取得してもよいし、撮像装置500により撮像された作業板410の画像を解析することにより作業板410の位置を取得してもよい。
【0040】
作業板装置制御部902は、処理対象物Tの折り畳みなどの処理を制御する制御装置900からの指示にしたがって、作業板410の動作を制御する。作業板装置制御部902は、作業板410を移動させる場合、作業板位置取得部906により取得された作業板410の位置に基づいて、作業板410の移動を制御する。
【0041】
処理対象物Tを処理をしているときに、何らかの異常が発生した場合、処理を最初からやり直すために、作業板装置制御部902は、作業板410に載置されている処理対象物Tを受入部200に戻す。作業板装置制御部902は、受入部200の上方に作業板410を移動させ、受入部200の上方で作業板410を回転させて処理対象物Tを受入部200に落下させる。作業板410を受入部200の上方に移動させている間に処理対象物Tが作業板410から落下してしまわないようにするために、作業板装置制御部902は、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾ける。これにより、作業板410を移動させている間に処理対象物Tが落下して他の構成などに引っ掛かってしまうのを防ぐことができる。
【0042】
図5は、作業板410を移動させる様子を示す。作業板装置制御部902は、作業板410を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾ける。作業板410の後方には、作業板410を移動又は回転させるための駆動部や、壁などの他の構成があるので、処理対象物Tが作業板410の後方に落下すると、これらの構成に引っ掛かる可能性が高いが、作業板410を傾けておくことにより、作業板410の後方に処理対象物Tが滑り落ちるのを防ぐことができる。作業板410を傾ける角度は、処理対象物Tの種類、載置状態、重量、処理対象物Tと作業板410の表面の間の静止摩擦係数、動摩擦係数、作業板410の移動速度、加速度などに応じて調整されてもよい。
【0043】
作業板装置制御部902は、作業板410を移動若しくは回転させる前、又は作業板410の移動若しくは回転を停止させる前に、移動又は回転の速度を漸増又は漸減させる。これにより、急加速又は急減速によって処理対象物Tが作業板410から滑り落ちるのを防ぐことができる。作業板410の移動又は回転の速度は、処理対象物Tの種類、載置状態、重量、処理対象物Tと作業板410の表面の間の静止摩擦係数、動摩擦係数などに応じて調整されてもよい。
【0044】
作業板装置制御部902は、作業板410を上方に移動させながら並進移動させてもよい。これにより、更に処理対象物Tを落下しにくくすることができる。
【0045】
作業板装置制御部902は、作業板410を受入部200の中央付近の上方に移動させると、作業板410を回転させて処理対象物Tを振り落とす。作業板装置制御部902は、受入部200の中央付近の上方において、作業板410の移動又は回転の速度を急減させてもよい。これにより、処理対象物Tを受入部200に向けて落下させやすくすることができる。
【0046】
実施の形態1では、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かを検知するためのセンサや、作業板410に載置されている処理対象物Tの状態を検知するためのセンサなどが設けられていないので、何らかの異常が発生したときに、作業板装置制御部902は、作業板410に処理対象物Tが載置されているのか否かや、載置されている処理対象物Tの状態を知ることができない。したがって、作業板装置制御部902は、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かにかかわらず、処理対象物Tを受入部200に落下させるための上記の動作を制御してもよい。撮像装置500により撮像された作業板410の画像の解析や、作業板410に設けられたセンサなどにより、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かを知ることができる場合は、作業板装置制御部902は、作業板410に処理対象物Tが載置されているときにのみ、処理対象物Tを受入部200に落下させるための上記の動作を制御してもよい。
【0047】
[1-2.動作]
以上のように構成された衣類処理装置1について、以下その動作、作用を説明する。
【0048】
制御装置900は、保持部310を制御して、処理対象物Tの展開や折り畳みなどの処理を進める。処理対象物Tを折り畳んでいるときに何らかの異常が発生した場合、作業板装置制御部902は、作業板410に載置されている処理対象物Tを受入部200に落下させる。作業板装置制御部902は、上述した方法のいずれか1つを実行してもよいし、2つ以上を組み合わせて実行してもよい。例えば、作業板装置制御部902は、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾け、作業板410を上昇させながら並進移動させて、受入部200の中央付近の上方に移動させる。このとき、作業板装置制御部902は、移動開始時には移動速度を漸増させ、停止時には移動速度を漸減させる。作業板装置制御部902は、受入部200の中央付近の上方において、作業板410を回転させた後、回転を急停止させて処理対象物Tを受入部200に落下させる。
【0049】
処理対象物Tを受入部200に落下させると、作業板装置制御部902は、作業板410を原点に復帰させる。制御装置900は、最初から処理をやり直す。
【0050】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置1は、処理対象物Tを載置可能な作業板410と、作業板410の動作を制御する作業板装置制御部902と、を備え、作業板装置制御部902は、作業板410を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾ける。これにより、作業板410を移動させている間に処理対象物Tが落下して他の構成などに引っ掛かってしまうのを防ぐことができる。
【0051】
また、本実施の形態において、作業板装置制御部902は、作業板410を移動若しくは回転させる前、又は作業板410の移動若しくは回転を停止させる前に、移動又は回転の速度を漸増又は漸減させる。これにより、急加速又は急減速によって処理対象物Tが作業板410から滑り落ちるのを防ぐことができる。
【0052】
また、本実施の形態において、作業板装置制御部902は、処理対象物Tを落下させる受入部200の上方において、作業板410の移動又は回転の速度を急減させる。これにより、処理対象物Tを受入部200に向けて落下させやすくすることができる。
【0053】
また、本実施の形態において、作業板装置制御部902は、作業板410を上方に移動させながら並進移動させる。これにより、更に処理対象物Tを落下しにくくすることができる。
【0054】
また、本実施の形態において、処理対象物Tの処理中に異常が発生した場合、作業板装置制御部902は、作業板410に載置されている処理対象物Tを受入部200に落下させるために、作業板410を受入部200の上方に移動させ、受入部200の上方で作業板410を回転させる。これにより、処理対象物Tの処理中に異常が発生した場合であっても、処理対象物Tを受入部200に戻して処理をやり直すことができる。
【0055】
また、本実施の形態において、作業板装置制御部902は、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かにかかわらず、処理対象物Tを受入部200に落下させるための動作を制御する。これにより、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かを把握することができない場合であっても、処理対象物Tを受入部200に戻して処理をやり直すことができる。
【0056】
また、本実施の形態において、衣類処理プログラムは、コンピュータを、処理対象物Tを載置可能な作業板410の動作を制御する作業板装置制御部902として機能させ、作業板装置制御部902は、作業板410を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾ける。これにより、作業板410を移動させている間に処理対象物Tが落下して他の構成などに引っ掛かってしまうのを防ぐことができる。
【0057】
また、本実施の形態において、衣類処理方法は、処理対象物Tを載置可能な作業板410の動作を制御するステップと、作業板410を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾けるステップと、を備える。これにより、作業板410を移動させている間に処理対象物Tが落下して他の構成などに引っ掛かってしまうのを防ぐことができる。
【0058】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0059】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示は、衣類などの処理対象物を処理する衣類処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 衣類処理装置
T 処理対象物
100 筐体
110 フレーム
120 外郭
200 受入部
210 ガイドレール
300、300A、300B 保持装置
310、310A、310B、311B 保持部
320、320A、320B 移動機構
330、330A、330B 幅方向移動機構
332A、332B 幅方向駆動部
334A、334B Xガイド
340A、340B 高さ方向移動機構
342A、342B 高さ方向駆動部
344A、344B Zガイド
350A、350B 奥行き方向移動機構
352A、352B 奥行き方向駆動部
354A、354B Yガイド
400 作業板装置
410 作業板
400 作業板装置
410 作業板
500 撮像装置
510 第1撮像部
520 第2撮像部
530 第3撮像部
600 支持部
610 正面側支持部
620 背面側支持部
700 収納装置
710 収納部
900 制御装置
902 作業板装置制御部
906 作業板位置取得部
X1 左方向
X2 右方向
Y1 前方向
Y2 後方向
Z1 上方向
Z2 下方向