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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062537
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】高所作業車の認証システム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20230426BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20230426BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B66F9/24 S
B66F11/04
B66F9/06 L
B66F9/06 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172570
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000116644
【氏名又は名称】株式会社アイチコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】大葉 孝明
(72)【発明者】
【氏名】狩野 翔
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA08
3F333AB01
3F333AB03
(57)【要約】
【課題】作業中における認証の実行回数を低減することが可能な高所作業車の認証システムを提供する。
【解決手段】上部電源スイッチ81による電源切り操作が行われて電源オフとなり、次に上部電源スイッチ81による電源入り操作が行われて電源オン状態となった場合は、これらの電源切り操作および電源入り操作が、昇降装置20が格納されていない状態で行われたときは、前回の認証結果による認証適正情報を維持し、改めて認証を行うことなく、作動許可状態とする。一方、これらの電源切り操作および電源入り操作が、昇降装置20が格納されている状態で行われたときは、前回の認証結果による認証適正情報をクリアし、改めて認証を行う。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行作動可能な走行体と、
前記走行体に昇降作動可能に設けられた昇降装置と、
前記昇降装置に支持された作業台と、
前記昇降装置の作動を開始させるための作動開始操作および前記昇降装置の作動を停止させるための作動停止操作を行う作動操作装置と、
前記作動操作装置により作動開始操作が行われた際に、所定の認証情報に基づく認証を行い、前記認証情報が適正な場合に、前記昇降装置の作動を許可する認証制御装置と、を備えた高所作業車の認証システムであって、
前記昇降装置が格納状態にあるか否かを検出する格納検出装置を備え、
前記認証制御装置は、
前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、前記作動操作装置により作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記作動操作装置により作動開始操作が行われた場合には、
前記格納検出装置による検出結果に基づき、
前記昇降装置が格納状態にないときは前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、
前記昇降装置が格納状態にあるときは前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成されることを特徴とする高所作業車の認証システム。
【請求項2】
走行作動可能な走行体と、
前記走行体に昇降作動可能に設けられた昇降装置と、
前記昇降装置に支持された作業台と、
前記昇降装置の作動を開始させるための作動開始操作および前記昇降装置の作動を停止させるための作動停止操作を行う作動操作装置と、
前記作動操作装置により作動開始操作が行われた際に、所定の認証情報に基づく認証を行い、前記認証情報が適正な場合に、前記昇降装置の作動を許可する認証制御装置と、を備えた高所作業車の認証システムであって、
前記昇降装置が所定姿勢にあるか否かを検出する姿勢検出装置を備え、
前記認証制御装置は、
前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、前記作動操作装置により作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記作動操作装置により作動開始操作が行われた場合には、
前記姿勢検出装置による検出結果に基づき、
前記昇降装置が前記所定姿勢にないときは前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、
前記昇降装置が前記所定姿勢にあるときは前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成されることを特徴とする高所作業車の認証システム。
【請求項3】
走行作動可能な走行体と、
前記走行体に昇降作動可能に設けられた昇降装置と、
前記昇降装置に支持された作業台と、
前記昇降装置の作動を開始させるための作動開始操作および前記昇降装置の作動を停止させるための作動停止操作を行う作動操作装置と、
前記作動操作装置により作動開始操作が行われた際に、所定の認証情報に基づく認証を行い、前記認証情報が適正な場合に、前記昇降装置の作動を許可する認証制御装置と、を備えた高所作業車の認証システムであって、
前記作業台に作業者が搭乗しているか否かを検出する搭乗検出装置を備え、
前記認証制御装置は、
前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、前記作動操作装置により作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記作動操作装置により作動開始操作が行われた場合には、
前記搭乗検出装置による検出結果に基づき、
前記作動操作装置による作動停止操作実行時および次の作動開始操作実行時の両時点とも前記作業台に作業者が搭乗しているときは前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、
前記作動操作装置による作動停止操作実行時および次の作動開始操作実行時の少なくとも一方の時点において前記作業台に作業者が搭乗していないときは前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成されることを特徴とする高所作業車の認証システム。
【請求項4】
走行作動可能な走行体と、
前記走行体に昇降作動可能に設けられた昇降装置と、
前記昇降装置に支持された作業台と、
前記昇降装置の作動を開始させるための作動開始操作および前記昇降装置の作動を停止させるための作動停止操作を行う作動操作装置と、
前記作動開始操作が行われた際に、所定の認証情報に基づく認証を行い、前記認証情報が適正な場合に、前記昇降装置の作動を許可する認証制御装置と、を備えた高所作業車の認証システムであって、
前記作動操作装置は、前記作業台に設けられた上部作動操作装置および前記走行体に設けられた下部作動操作装置を有して構成され、
前記認証制御装置は、
前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、
前記上部作動操作装置による前記作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記上部作動操作装置による前記作動開始操作が行われた場合には、前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、
前記下部作動操作装置による前記作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記下部作動操作装置による前記作動開始操作が行われた場合には、前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成されることを特徴とする高所作業車の認証システム。
【請求項5】
前記所定姿勢は、前記作業台に作業者が乗降できる状態の姿勢であることを特徴とする請求項2に記載の高所作業車の認証システム。
【請求項6】
前記作動操作装置は、前記作業台に設けられた上部作動操作装置であることを特徴とする請求項1、2、5のいずれかに記載の高所作業車の認証システム。
【請求項7】
前記作動操作装置は、前記走行体に設けられた下部作動操作装置であることを特徴とする請求項3に記載の高所作業車の認証システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置により昇降移動可能な作業台を備えた高所作業車の認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高所作業車は、走行作動可能な走行体と、その走行体上に設けられて昇降作動可能な昇降装置と、その昇降装置に支持された作業台とを備えて構成されている。このような高所作業車には、走行体の形態として、トラック車両をベースに構成されたものや、車輪もしくはクローラ機構を備えた自走式のものがある。また、昇降装置の形態としても、旋回、起伏および伸縮可能なブーム式のものや、シザースリンク機構もしくは伸縮ポストを備えた垂直昇降式のものがあり、これらの走行体および昇降装置の形態を組み合わせた種々の高所作業車が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-189534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高所作業車が無断で使用されたり盗難されたりすることを防止するために、走行体や昇降装置を作動させようとする作業者がその資格を有するなどの適正者であるかどうかを判定するための認証を行う高所作業車用の認証システムが知られている。このような認証システムとしては、例えば、走行体や昇降装置の作動を開始させるための作動開始操作(例えば、車両の電源を入り切り(オンオフ)する電源スイッチによる電源を入れるための操作)が行われた際にパスワード入力などの所定の認証情報の提示を要求し、その認証情報が適正である場合(例えば、入力されたパスワードが予め登録されたものと一致する場合)に走行体や昇降装置の作動を許可するものなどがある。
【0005】
ところで、高所作業車では、昇降装置により作業台を所定の作業位置に移動させた後、昇降装置や走行体の誤操作を防ぐために、昇降装置等の作動を停止させるための作動停止操作(例えば、電源スイッチによる電源を切るための操作)を行って昇降装置等の作動を停止させた状態で作業が行われることがある。そして、その作業位置での作業が終了すると、別の位置に作業台を移動させるために再び作動開始操作が行われる。このように高所作業車では、作業中において作動開始操作と作動停止操作とが交互に何度も繰り返し行われることも多い。
【0006】
しかし、このような高所作業車に対して従来の認証システムでは、作動開始操作が行われるたびに認証情報を提示させて認証を行うようになっている。そのため、作業者にとっては、作業中において何度も認証操作(認証情報の提示)を行う必要があるので煩わしく、作業効率が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、作業中における認証の実行回数を低減することが可能な高所作業車の認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、走行作動可能な走行体と、前記走行体に昇降作動可能に設けられた昇降装置と、前記昇降装置に支持された作業台と、前記昇降装置の作動
を開始させるための作動開始操作および前記昇降装置の作動を停止させるための作動停止操作を行う作動操作装置と、前記作動操作装置により作動開始操作が行われた際に、所定の認証情報に基づく認証を行い、前記認証情報が適正な場合に、前記昇降装置の作動を許可する認証制御装置と、を備えた高所作業車の認証システムである。その上で、本発明に係る第1態様の認証システムは、前記昇降装置が格納状態にあるか否かを検出する格納検出装置(例えば、第1実施形態における格納検出部56)を備え、前記認証制御装置は、前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、前記作動操作装置により作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記作動操作装置により作動開始操作が行われた場合には、前記格納検出装置による検出結果に基づき、前記昇降装置が格納状態にないときは前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、前記昇降装置が格納状態にあるときは前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成される。
【0009】
また、本発明に係る第2態様の認証システムは、前記昇降装置が所定姿勢にあるか否かを検出する姿勢検出装置(例えば、第2実施形態における姿勢検出部156)を備え、前記認証制御装置は、前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、前記作動操作装置により作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記作動操作装置により作動開始操作が行われた場合には、前記姿勢検出装置による検出結果に基づき、前記昇降装置が前記所定姿勢にないときは前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、前記昇降装置が前記所定姿勢にあるときは前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成される。
【0010】
また、本発明に係る第3態様の認証システムは、前記作業台に作業者が搭乗しているか否かを検出する搭乗検出装置(例えば、実施形態における搭乗検出部57,157)を備え、前記認証制御装置は、前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、前記作動操作装置により作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記作動操作装置により作動開始操作が行われた場合には、前記搭乗検出装置による検出結果に基づき、前記作動操作装置による作動停止操作実行時および次の作動開始操作実行時の両時点とも前記作業台に作業者が搭乗しているときは前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、前記作動操作装置による作動停止操作実行時および次の作動開始操作実行時の少なくとも一方の時点において前記作業台に作業者が搭乗していないときは前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成される。
【0011】
また、本発明に係る第4態様の認証システムでは、前記作動操作装置は、前記作業台に設けられた上部作動操作装置および前記走行体に設けられた下部作動操作装置を有して構成され、前記認証制御装置は、前記認証の結果に基づき前記昇降装置の作動を許可している状況で、前記上部作動操作装置による前記作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記上部作動操作装置による前記作動開始操作が行われた場合には、前記認証の結果を維持し改めて前記認証を行うことなく前記昇降装置の作動を許可し、前記下部作動操作装置による前記作動停止操作が行われて前記昇降装置の作動が停止し、次に前記下部作動操作装置による前記作動開始操作が行われた場合には、前記認証の結果をクリアし改めて前記認証を行うように構成される。
【0012】
上記第2態様の認証システムにおいて、前記所定姿勢は、前記作業台に作業者が乗降できる状態の姿勢であることが好ましい。また、上記第1態様または第2態様の認証システムにおいて、前記作動操作装置は、前記作業台に設けられた上部作動操作装置であることが好ましい。また、上記第3態様の認証システムにおいて、前記作動操作装置は、前記走行体に設けられた下部作動操作装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る第1態様の認証システムでは、認証の結果に基づき昇降装置の作動を許可している状況で、作動操作装置により作動停止操作が行われて昇降装置の作動が停止し、次に作動操作装置により作動開始操作が行われた場合において、昇降装置が格納状態にないときは認証の結果を維持し改めて認証を行うことなく昇降装置の作動を許可する。昇降装置が格納状態にないということは作業中であることが多いので、第1態様の認証システムによれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、第1態様の認証システムでは、上記場合において、昇降装置が格納状態にあるときは認証の結果をクリアし改めて認証を行うので、格納状態にある昇降装置が無断で使用されることを防止することができる。
【0014】
本発明に係る第2態様の認証システムでは、認証の結果に基づき昇降装置の作動を許可している状況で、作動操作装置により作動停止操作が行われて昇降装置の作動が停止し、次に作動操作装置により作動開始操作が行われた場合において、昇降装置が所定姿勢にないときは認証の結果を維持し改めて認証を行うことなく昇降装置の作動を許可する。所定姿勢として格納姿勢や作業台に作業者が乗降できる状態の姿勢など作業中ではないことが想定される姿勢を設定することにより、第2態様の認証システムによれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、第2態様の認証システムでは、上記場合において、昇降装置が所定姿勢にあるときは認証の結果をクリアし改めて認証を行うので、所定姿勢にある昇降装置が無断で使用されることを防止することができる。
【0015】
本発明に係る第3態様の認証システムでは、認証の結果に基づき昇降装置の作動を許可している状況で、作動操作装置により作動停止操作が行われて昇降装置の作動が停止し、次に作動操作装置により作動開始操作が行われた場合において、作動操作装置による作動停止操作実行時および次の作動開始操作実行時の両時点とも作業台に作業者が搭乗しているときは認証の結果を維持し改めて認証を行うことなく昇降装置の作動を許可する。作業台に作業者が搭乗しているということは作業中であることが多いので、第3態様の認証システムによれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、第3態様の認証システムでは、上記場合において、作動操作装置による作動停止操作実行時および次の作動開始操作実行時の少なくとも一方の時点において作業台に作業者が搭乗していないときは認証の結果をクリアし改めて認証を行うので、作業台に作業者が搭乗していない昇降装置が無断で使用されることを防止することができる。
【0016】
本発明に係る第4態様の認証システムでは、認証の結果に基づき昇降装置の作動を許可している状況において、上部作動操作装置による作動停止操作が行われて昇降装置の作動が停止し、次に上部作動操作装置による作動開始操作が行われた場合には、認証の結果を維持し改めて認証を行うことなく昇降装置の作動を許可する。上部作動操作装置による作動停止操作および作動開始操作が行われるということは作業中であることが多いので、第4態様の認証システムによれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、第4態様の認証システムでは、上記状況において、下部作動操作装置による作動停止操作が行われて昇降装置の作動が停止し、次に下部作動操作装置による作動開始操作が行われた場合には、認証の結果をクリアし改めて認証を行う。下部作動操作装置による作動停止操作および作動開始操作が行われるということは作業終了後であることが多いので、第4態様の認証システムによれば、作業終了後の昇降装置が無断で使用されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る認証システムを備えた垂直昇降式の高所作業車の斜視図である。
図2】上記垂直昇降式の高所作業車の作動制御構成を示すブロック図である。
図3】上記第1実施形態に係る認証システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る認証システムを備えたブーム式の高所作業車の側面図である。
図5】上記ブーム式の高所作業車の作動制御構成を示すブロック図である。
図6】上記第2実施形態に係る認証システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る認証システムを備えた自走式の垂直昇降式の高所作業車を図1に示している。この高所作業車1は、前後左右に設けられた4個のタイヤ車輪11を有する走行体10と、走行体10上に設けられた昇降装置20と、この昇降装置20に支持された作業台30とを備えて構成されている。
【0019】
走行体10は、タイヤ車輪11のうち左右一対の前輪11a,11bをそれぞれ回転駆動する左右の走行モータ12a,12b(図2を参照)と、左右の前輪11a,11bを繋ぐ転舵機構(不図示)と、この転舵機構を駆動して左右の前輪11a,11bの舵角(走行体10の前後中心軸に対する偏向角)を変化させる操舵シリンダ17(図2を参照)とを有している。タイヤ車輪11のうち左右一対の後輪11c,11dは、車軸により連結された非駆動輪である。走行体10は、左右の走行モータ12a,12bにより左右の前輪11a,11bを回転駆動するとともに、操舵シリンダ17により左右の前輪11a,11bの舵角を変化させることによって、所望の方向へ走行移動可能に構成されている。なお、左右の前輪11a,11bを操舵輪とし、左右の後輪11c,11dを走行モータによる駆動輪としてもよい。
【0020】
昇降装置20は、X字形状の2本のリンク部材20aを走行体10の左右方向に並設するとともに、2本のリンク部材20aの中央部を第1枢結棒20bにより連結し、さらにそれらを上下方向に3段並設してそれぞれ第2枢結棒20cにより枢結した構成のシザースリンク機構と、このシザースリンク機構と走行体10の間に跨設された昇降シリンダ21とを有して構成される。
【0021】
シザースリンク機構を構成する最下方のリンク部材20aは、走行体10の前方に位置する側の下端部が走行体10の上部に枢結され、走行体10の後方に位置する側の下端部には走行体10の上部に設けられたレール上を転動するローラ20eが設けられている。シザースリンク機構を構成する最上方のリンク部材20aは、走行体10の前方に位置する側の上端部が作業台30の下部に枢結され、走行体10の後方に位置する側の上端部には作業台30の下部に設けられたレールを転動するローラ20fが設けられている。昇降装置20は、昇降シリンダ21を伸縮作動させることによりシザースリンク機構を上下方向に伸縮させて作業台30を上下方向に昇降移動させることができるように構成されている。
【0022】
作業台30は、作業者が搭乗可能な作業床31と、その作業床31上の前後左右の端部に立設された手摺り32と、前方側の手摺り32の上部に設けられた操作装置40とを有している。操作装置40は、図2に示すように、走行体10の発進停止および前進後進の走行操作を行う走行操作レバー41と、走行体10の操舵操作(操舵輪である左右の前輪11a,11bの操舵)を行う操舵ダイヤル42と、作業台30の昇降操作を行う昇降操作レバー43とを有している。高所作業車1は、作業台30に搭乗した作業者が走行操作レバー41、操舵ダイヤル42および昇降操作レバー43を操作することにより、走行体10の走行移動および作業台30の昇降移動を行わせて所望の作業位置に移動できるように構成されている。
【0023】
走行操作レバー41は、非操作状態において垂直姿勢となる中立位置に位置し、この中立位置を基準に前方および後方へ傾倒操作可能に構成されている。走行操作レバー41の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)は、操作装置40内に設けられたポテンショメータ等からなる走行操作検出器41aによって検出され、その検出信号がコントローラ50に入力される。走行操作レバー41の前方への傾倒操作は、走行体10の前進走行指令に相当し、その傾倒操作量が大きい程、コントローラ50において前進走行時の目標速度が大きい値に設定される。走行操作レバー41の後方への傾倒操作は、走行体10の後進走行指令に相当し、その傾倒操作量が大きい程、コントローラ50において後進走行時の目標速度が大きい値に設定される。走行操作レバー41の中立位置への復帰操作は、走行体10の停止指令に相当する。
【0024】
操舵ダイヤル42は、非操作状態において中立位置(図2に示すように、操舵ダイヤル42に記されたマークと操作装置40の表面に記されたマークとが一致する位置)に位置し、この中立位置を基準に右回り(時計回り)および左回り(反時計回り)に捻り操作可能に構成されている。操舵ダイヤル42の操作状態(中立位置を基準とした操作方向および操作量)は、操作装置40内に設けられたポテンショメータ等からなる操舵操作検出器42aによって検出され、その検出信号がコントローラ50に入力される。操舵ダイヤル42の右回り方向への捻り操作は、前輪11a,11bの右方向への操舵指令に相当し、その捻り操作量が大きい程、コントローラ50において右方向への目標舵角が大きい値に設定される。操舵ダイヤル42の左回り方向への捻り操作は、前輪11a,11bの左方向への操舵指令に相当し、その捻り操作量が大きい程、コントローラ50において左方向への目標舵角が大きい値に設定される。また、操舵ダイヤル42の中立位置への復帰操作は、前輪11a,11bの舵角を零の状態にする指令(走行体10の直進走行指令)に相当する。
【0025】
昇降操作レバー43は、非操作状態において垂直姿勢となる中立位置に位置し、この中立位置を基準に前方および後方へ傾倒操作可能に構成されている。昇降操作レバー43の操作状態(中立位置を基準とした操作方向と操作量)は、操作装置40内に設けられたポテンショメータ等からなる昇降操作検出器43aによって検出され、その検出信号がコントローラ50に入力される。昇降操作レバー43の中立位置よりも前方への傾倒操作は作業台30の下降指令に相当し、中立位置よりも後方への傾倒操作は作業台30の上昇指令に相当する。また、昇降操作レバー43の中立位置への復帰操作は、作業台30の停止指令に相当する。
【0026】
走行体10には、バッテリBと、バッテリBからの直流電力を交流電力に変換して左右の走行モータ12a,12bに供給するインバータIVとが設けられている。コントローラ50のインバータ制御部51は、走行操作レバー41の操作状態に応じた回転方向および回転速度で左右の走行モータ12a,12bが回転駆動するようにインバータIVを介して左右の走行モータ12a,12bに電力を供給し、左右の走行モータ12a,12bを回転駆動させる制御を行うようになっている。
【0027】
さらに、走行体10には、バッテリBからの電力によって回転駆動するポンプ駆動用モータMTと、ポンプ駆動用モータMTによって駆動される油圧ポンプPと、作動油タンクTと、操舵シリンダ17への作動油の供給方向を切り換える操舵制御バルブ71と、昇降シリンダ21への作動油の供給方向(供給するか否かを含む)を切り換える昇降制御バルブ72とを備えている。ポンプ駆動用モータMTは、昇降操作レバー43による作業台30の上昇操作、および操舵ダイヤル42による操舵操作を行った場合のみに回転駆動される。油圧ポンプPから吐出された作動油は、操舵制御バルブ71を介して操舵シリンダ17に供給され、昇降制御バルブ72を介して昇降シリンダ21に供給される。
【0028】
コントローラ50の操舵制御部52は、操舵ダイヤル42の操作に応じて操舵制御バルブ71のスプールを電磁駆動して操舵シリンダ17への作動油の供給方向を切り換え、操舵シリンダ17を伸縮作動させて左右の前輪11a,11bの舵角を変化させる制御を行うようになっている。コントローラ50の昇降制御部53は、昇降操作レバー43の操作に応じて昇降制御バルブ72のスプールを電磁駆動して昇降シリンダ21への作動油の供給方向を切り換え、昇降シリンダ21を伸縮作動させて昇降装置20により作業台30を昇降移動させる制御を行うようになっている。
【0029】
昇降装置20は、昇降シリンダ21の伸長量から作業台30の昇降位置(高さ位置)を検出する昇降位置検出器61を備えている。昇降位置検出器61により検出された作業台30の昇降位置情報は、コントローラ50の昇降制御部53に入力されるようになっている。なお、昇降位置検出器61は、昇降シリンダ21の伸長量から作業台30の昇降位置を検出する構成の他に、光学式や超音波式の反射型距離センサにより構成して作業台30の昇降位置を検出するようにしてもよい。また、シザースリンクの角度を検出して、作業台30の高さを算出するようにしてもよい。
【0030】
このように構成される高所作業車1では、高所作業車1が無断で使用されたり盗難されたりすることを防止するために、走行体10や昇降装置20を作動させようとする作業者がその資格を有する適正者であるかどうかを判定するための認証を行う認証システムを備えている。この認証システムについて、図3を追加参照して説明する。
【0031】
図3に示すように、この認証システムは、上部電源スイッチ81、上部認証操作器82、下部電源スイッチ83、下部認証操作器84、昇降位置検出器61、作業者検出器85およびコントローラ50(特に認証制御部55、格納検出部56および搭乗検出部57)を主体として構成される。上部電源スイッチ81および上部認証操作器82は、作業台30(例えば、操作装置40)に設けられ、下部電源スイッチ83および下部認証操作器84は、走行体10に設けられる。なお、走行操作レバー41と同様の構成の下部走行操作レバー(図示略)、操舵ダイヤル42と同様の構成の下部操舵ダイヤル(図示略)、および昇降操作レバー43と同様の構成の下部昇降操作レバー(図示略)を有する下部操作装置(図示略)を走行体10に設け、その下部操作装置に下部電源スイッチ83および下部認証操作器84を設けてもよい。
【0032】
上部電源スイッチ81は、例えば、ボタン状に形成され、電源を入れるために押圧される電源入り操作(上部作動開始操作に相当する)と、電源を切るために押圧される電源切り操作(上部作動停止操作に相当する)とが行われるようになっている。上部電源スイッチ81により電源入り操作が行われると、所定の電源(例えば、バッテリBとするが別のバッテリでも良い)からコントローラ50に電力が供給され、コントローラ50が電源オン状態になる。コントローラ50が電源オン状態になると、走行体10および昇降装置20が作動開始可能な状態となる。一方、上部電源スイッチ81により電源切り操作が行われると、コントローラ50への電力供給が断たれ、コントローラ50が電源オフ状態になる。コントローラ50が電源オフ状態になると、走行体10および昇降装置20が作動停止状態(作動不可能な状態)となる。
【0033】
下部電源スイッチ83は、例えば、所定のキーを差し込むことにより回転操作可能となり、電源を入れるために基準位置から所定の回転位置まで回転される電源入り操作(下部作動開始操作に相当する)と、電源を切るために基準位置に戻す電源切り操作(下部作動停止操作に相当する)とが行われるようになっている。下部電源スイッチ83が電源入り操作または電源切り操作された場合の作用は上部電源スイッチ81と同様である。なお、下部電源スイッチ83は、一般的には、作業開始時に電源入り操作され、作業終了時に電源切り操作される。また、上部電源スイッチ81は、下部電源スイッチ83が電源入り操
作された状態でなければ、有効に操作することができない(操作しても電源を入り切りすることができない)ようになっている。
【0034】
上部認証操作器82は、例えば、所定のパスワード(例えば、複数桁の数字からなる)を入力するテンキー入力操作部を備えて構成され、入力されたパスワードに応じた認証操作信号をコントローラ50に出力するようになっている。下部認証操作器84は、上部認証操作器82と同様の構成および機能を有する。なお、認証操作(パスワードの入力)は、まず、作業開始のため下部電源スイッチ83により電源入り操作が行われると要求される。この要求は、例えば、所定のランプを点灯させたり音声を出力したりすることにより行われる。
【0035】
作業者検出器85は、作業台30に設置された、例えば、光学式や超音波式の反射型センサにより構成される。この作業者検出器85は、作業台30に作業者が搭乗しているか否かを検出し、その検出信号をコントローラ50に出力するようになっている。なお、作業者検出器85として、作業台30に作用する積載荷重を検知する荷重センサを用いてもよい。
【0036】
コントローラ50の認証制御部55は、上部認証操作器82または下部認証操作器84からの認証操作信号より入力操作されたパスワードを検知し、そのパスワードが予め登録された適正パスワードに一致するかどうかの認証を行う。そして、入力操作されたパスワードが適正パスワードに一致した場合には、認証適正であるという情報を記憶するとともに、走行体10および昇降装置20が作動することを許可する。すなわち、走行操作レバー41の操作状態に応じて右走行モータ12aおよび左走行モータ12bが作動することを許可し、操舵ダイヤル42の操作状態に応じて操舵シリンダ17が作動することを許可し、昇降操作レバー43の操作状態に応じて昇降シリンダ21が作動することを許可する。以下、認証の結果、走行体10および昇降装置20の作動を許可している状態のことを、作動許可状態と称する。作動許可状態のときは、認証適正という情報(認証適正情報ともいう)が記憶されていることになる。
【0037】
一方、入力操作されたパスワードが適正パスワードに一致しない場合、認証制御部55は、走行体10および昇降装置20が作動することを許可しない。すなわち、走行操作レバー41の操作状態にかかわらず操舵シリンダ17の作動を規制し、操舵ダイヤル42の操作状態にかかわらず操舵シリンダ17の作動を規制し、昇降操作レバー43の操作状態にかかわらず昇降シリンダ21の作動を規制する。
【0038】
コントローラ50の格納検出部56は、昇降位置検出器61からの検出信号に基づき、昇降装置20が格納されているか否かを検出する。具体的には、昇降位置検出器61からの検出信号が、作業台30の昇降位置が最も低い位置であることを示す場合に、昇降装置20が格納されていることを検出する。この格納検出は逐次行われ、格納されているか否かの情報はその都度更新されて記憶されるようになっている。
【0039】
コントローラ50の搭乗検出部57は、作業者検出器85からの検出信号に基づき、作業台30に作業者が搭乗しているか否かを検出する。具体的には、作業者検出器85からの検出信号が、作業者がいる状態であることを示す場合に、作業台30に作業者が搭乗していることを検出する。この搭乗検出は逐次行われ、搭乗しているか否かの情報はその都度更新されて記憶されるようになっている。
【0040】
従来の認証システムでは電源が入れられるたびに認証を行うようになっている。これに対し、本実施形態の認証システムでは、所定の条件を満たす場合は、前回の認証結果(認証適正情報)を維持して改めて認証を行うことはせず、別の或る条件を満たす場合は、前
回の認証結果(認証適正情報)をクリアし、改めて認証を行うようになっている。以下、具体例を挙げながらこの点について説明する。
【0041】
第1の例として、作動許可状態において、上部電源スイッチ81による電源切り操作が行われて電源オフとなり、次に上部電源スイッチ81による電源入り操作が行われて電源オン状態となった場合(第1の場合ともいう)は、これらの電源切り操作および電源入り操作が、昇降装置20が格納されていない状態で行われたときは、前回の認証結果による認証適正情報を維持し、改めて認証を行うことなく、作動許可状態とする。一方、上記第1の場合において、これらの電源切り操作および電源入り操作が、昇降装置20が格納されている状態で行われたときは、前回の認証結果による認証適正情報をクリアし、改めて認証を行う。なお、前回の認証結果による認証適正情報(「前回の認証適正情報」ともいう)をクリアする条件を満たしてから実際にクリアする処理を実行するまでの間に一定時間の遅延を設けるようにしてもよい。例えば、昇降装置20が格納されている状態で上部電源スイッチ81による電源切り操作が行われた場合、所定時間(例えば、1~2分間のうちの任意の時間)が経過するまでは前回の認証適正情報を維持し、当該所定時間が経過したときにこれをクリアするオフディレー動作を設定してもよい。この場合、所定時間が経過する前に、上部電源スイッチ81による電源入り操作が行われたときは、改めて認証を行うことなく、作動許可状態としてもよい。
【0042】
昇降装置20が格納状態にない状況で、上部電源スイッチ81による電源切り操作および電源入り操作が行われるということは作業中である(例えば、操作レバー等の誤操作を防ぐために作業台30上の作業者が一時的に電源オフとして作業している)ことが多いので、第1の例によれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、昇降装置20が格納状態にある状況で、上部電源スイッチ81による電源切り操作および電源入り操作が行われるということは、作業台30(高所作業車1)から作業者が一旦離れていた場合があるので、第1の例によれば、作業台30から作業者が離れている状況において、走行体10および昇降装置20が無断で使用されることを防止できる。なお、変形例として、上記第1の場合は、昇降装置20が格納状態にあるか否かにかかわらず、前回の認証結果による認証適正情報を維持し、改めて認証を行うことなく、作動許可状態とするようにしてもよい。
【0043】
第2の例として、作動許可状態において、下部電源スイッチ83による電源切り操作が行われて電源オフとなり、次に下部電源スイッチ83による電源入り操作が行われて電源オン状態となった場合(第2の場合)は、前回の認証結果による認証適正情報をクリアし、改めて認証を行う。この第2の例でも、前回の認証適正情報をクリアする条件を満たしてから実際にクリアする処理を実行するまでの間に一定時間の遅延を設けるようにしてもよい。例えば、下部電源スイッチ83による電源切り操作が行われた場合、所定時間が経過するまでは前回の認証適正情報を維持し、当該所定時間が経過したときにこれをクリアするオフディレー動作を設定してもよい。この場合、所定時間が経過する前に、下部電源スイッチ83による電源入り操作が行われたときは、改めて認証を行うことなく、作動許可状態としてもよい。
【0044】
下部電源スイッチ83による電源切り操作および電源入り操作が行われるということは、作業終了後など、作業台30(高所作業車1)から作業者が離れている場合があるので、第2の例によれば、作業終了後などの状況において、走行体10および昇降装置20が無断で使用されることを防止できる。
【0045】
第3の例(変形例)として、作動許可状態において、電源切り操作(上部電源スイッチ81によるものか下部電源スイッチ83によるものかは問わない)が行われて電源オフとなり、次に電源入り操作(上部電源スイッチ81によるものか下部電源スイッチ83によ
るものかは問わない)が行われて電源オン状態となった場合(第3の場合)は、昇降装置が格納状態にあるか否かにかかわらず、電源切り操作の実行時および電源入り操作の実行時の両時点とも作業台30に作業者が搭乗しているときは、前回の認証の結果を維持し改めて認証を行うことなく作動許可状態とする。一方、上記第3の場合において、電源切り操作の実行時および電源入り操作の実行時の少なくとも一方の時点において作業台30に作業者が搭乗していないときは、前回の認証結果による認証適正情報をクリアし、改めて認証を行う。この第3の例でも、前回の認証適正情報をクリアする条件を満たしてから実際にクリアする処理を実行するまでの間に一定時間の遅延を設けるようにしてもよい。例えば、作業台30に作業者が搭乗していない状態で、下部電源スイッチ83による電源切り操作が行われた場合、所定時間が経過するまでは前回の認証適正情報を維持し、当該所定時間が経過したときにこれをクリアするオフディレー動作を設定してもよい。この場合、所定時間が経過する前に、下部電源スイッチ83による電源入り操作が行われたときは、改めて認証を行うことなく、作動許可状態としてもよい。
【0046】
作業台30に作業者が搭乗しているということは作業中であることが多いので、第3の例によれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、作業台30に作業者が搭乗していないということは、作業台30(高所作業車1)から作業者が離れている場合があるので、第3の例によれば、作業台30から作業者が離れている状況において、走行体10および昇降装置20が無断で使用されることを防止できる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4および図5に、本発明の第2実施形態に係る認証システムを備えた自走式の伸縮ブーム式の高所作業車を示している。この高所作業車101は、走行可能に構成された走行体110と、走行体110の上部に水平旋回可能に設けられた旋回体120と、旋回体120の上部に起伏可能に設けられたブーム130と、ブーム130の先端部に設けられた作業台140とを備えて構成される。なお、旋回体120およびブーム130により昇降装置が構成される。
【0048】
走行体110は、走行体フレーム111に回転自在に設けられた左右一対の前輪112および後輪113を有している。走行体110は、左右の前輪112をそれぞれ回転駆動する2つの前輪走行モータ116と、左右の後輪113をそれぞれ回転駆動する2つの後輪走行モータ117とを有している。走行体110は、前輪および後輪走行モータ116,117により左右の前輪12および後輪13をそれぞれ回転駆動するとともに、これら前輪12および後輪13をそれぞれ操舵することにより、所望の方向へと走行移動できるように構成されている。なお、左右の前輪112を操舵輪とし、左右の後輪113を走行モータによる駆動輪としてもよい。
【0049】
走行体フレーム111の上部中央には旋回機構115が設けられている。旋回機構115は、走行体フレーム111に固定された外輪と、旋回体120に固定され、前記外輪に係合された内輪と、旋回体120に設けられた旋回モータ126と、旋回体20に設けられた油圧ポンプPから走行体110に設けられた前輪および後輪走行モータ116,117等に作動油を供給するためのロータリーセンタージョイントとを有している。旋回体120は、旋回機構115により走行体フレーム111に水平旋回自在に取り付けられ、旋回モータ126を正転もしくは逆転作動させることにより、走行体110に対して左右方向に旋回可能に構成されている。
【0050】
旋回体120の上部には、枢結ピン134によりブーム130が上下方向に揺動自在(起伏自在)に設けられている。ブーム130は、旋回体120とブーム130の間に跨設されたブーム起伏シリンダ135により旋回体120に対して起伏作動が可能になっている。ブーム130は、旋回体120に枢結された基端ブーム131、並びに、基端ブーム131に入れ子式に組み合わされた中間ブーム132および先端ブーム133を有して伸
縮自在に構成される。ブーム130は、ブーム130内に設けられたブーム伸縮シリンダ136により伸縮作動が可能になっている。
【0051】
先端ブーム133の先端部には、枢結ピンにより垂直ポスト137が上下方向に揺動自在に設けられている。垂直ポスト137の上部には、作業台140が左右方向に旋回自在(首振り自在)に設けられている。先端ブーム133の先端部と垂直ポスト137との間には上側レベリングシリンダ(図示せず)が跨設されている。この上側レベリングシリンダは、基端ブーム131と旋回体120との間に跨設される下側レベリングシリンダ(図示せず)との間で油圧ホースによって閉回路が形成されており、下側レベリングシリンダの伸縮作動に応じて上側レベリングシリンダが伸縮作動されることにより、垂直ポスト137を先端ブーム133に対して上下揺動させてブーム130の起伏角度によらず常に作業台140の床面を水平な状態に保持するように構成されている。
【0052】
作業台140は、作業台140に設けられた首振りモータ146により垂直ポスト137に対して左右方向に旋回作動(首振り作動)が可能に構成されている。作業台140は、作業者が搭乗可能な略矩形状の作業床141と、その作業床141の周囲に立設された手摺り142とを有している。作業台140には、走行体110の走行操作やブーム130の作動操作等を行うための操作装置170が設けられている。
【0053】
操作装置170は、図5に示すように、走行体110の発進停止および前進後退の切り替え等を行う走行操作レバー171と、走行体110の操舵操作(前輪12および後輪13の操舵)を行う操舵ダイヤル172と、旋回体120の旋回操作を行う旋回操作レバー174と、ブーム130の起伏および伸縮操作を行うブーム操作レバー175と、作業台140の首振り操作(旋回操作)を行う首振り操作レバー176とを有している。高所作業車101では、作業者が作業台140に搭乗し、走行操作レバー171および操舵ダイヤル172等を操作することにより所望の作業位置に走行移動させるとともに、旋回操作レバー174およびブーム操作レバー175等を操作することにより作業台140を所望の高所位置に昇降移動させることができるように構成されている。
【0054】
左右の前輪112および後輪113と操舵ダイヤル172とは、ステアリング装置(図示略)を介して連動連結されている。ステアリング装置は、左右の前輪112に繋がる前輪転舵機構と、前輪転舵機構を駆動して左右の前輪112の舵角を変化させる前輪操舵シリンダ192と、左右の後輪113に繋がる後輪転舵機構と、後輪転舵機構を駆動して左右の後輪113の舵角を変化させる後輪操舵シリンダ194と、左右の前輪112の舵角を検出する前輪舵角検出器196と、左右の後輪113の舵角を検出する後輪舵角検出器197とを有している。
【0055】
走行体110には、左右の前輪112の回転をそれぞれ制動する2つの前輪ブレーキシリンダ118と、左右の後輪113の回転をそれぞれ制動する2つの後輪ブレーキシリンダ119とが設けられている。
【0056】
旋回体120には、左右の前輪走行モータ116、左右の後輪走行モータ117、左右の前輪ブレーキシリンダ118、左右の後輪ブレーキシリンダ119、前輪操舵シリンダ192、後輪操舵シリンダ194、旋回モータ126、ブーム起伏シリンダ135、ブーム伸縮シリンダ136および首振りモータ146等の駆動源として、これらの油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ユニット180が設けられている。油圧ユニット180は、エンジンEと、エンジンEによって駆動される油圧ポンプPと、作動油タンクTと、油圧ポンプPから各油圧アクチュエータに供給する作動油の供給方向および供給量を制御する制御バルブユニット185とを有している。制御バルブユニット185は、各油圧アクチュエータに対応して設けられた複数の制御バルブV1~V10を有している。
【0057】
旋回体120には、作業台140に設けられた操作装置170から操作信号が入力されるコントローラ150が設けられている。コントローラ150は、操作装置170からの操作信号を受けると、当該操作信号に応じた指令信号を油圧ユニット180の制御バルブユニット185に出力する。例えば、操作装置170の旋回操作レバー174から操作信号が入力されると、旋回操作レバー174の傾倒操作方向および操作量に応じた指令信号を制御バルブユニット185の旋回制御バルブV7に出力して、旋回制御バルブV7のスプール移動方向およびバルブ開度を制御し、旋回モータ126を駆動させて走行体110に対して旋回体120を旋回作動させる。
【0058】
コントローラ150は、ブーム操作レバー175から操作信号が入力されると、ブーム操作レバー175の傾倒操作方向および操作量に応じた指令信号を制御バルブユニット185の起伏および伸縮制御バルブV8,V9に出力して、起伏および伸縮制御バルブV8,V9のスプール移動方向およびバルブ開度を制御し、ブーム起伏シリンダ135およびブーム伸縮シリンダ36を駆動させてブーム130を起伏および伸縮作動させる。また、コントローラ150は、首振り操作レバー176から操作信号が入力されると、首振り操作レバー174の傾倒操作方向および操作量に応じた指令信号を制御バルブユニット185の首振り制御バルブV10に出力して、首振り制御バルブV10のスプール移動方向およびバルブ開度を制御し、首振りモータ146を駆動させて垂直ポスト37に対して作業台140を首振り作動させる。
【0059】
このように旋回体120、ブーム130および作業台140の作動制御を行うため、高所作業車101は、走行体110に対する旋回体120の旋回角度を検出する旋回角度検出器161と、旋回体120に対するブーム30の起伏角度を検出するブーム起伏角度検出器162と、ブーム130の伸張量を検出するブーム伸張量検出器163と、ブーム130(垂直ポスト137)に対する作業台140の首振り角度(旋回角度)を検出する首振り角度検出器164と、水平面に対する走行体フレーム111の傾斜角度を検出する傾斜角度検出器165とを有し、これら各検出器からの検出信号がコントローラ150に入力されるようになっている。コントローラ150は、これら各検出器からの検出信号に基づいて走行体110に対する作業台140の移動位置を常に求めて記憶するようになっている。
【0060】
コントローラ150は、走行操作レバー171から操作信号が入力されると、その操作信号に応じた指令信号を走行制御バルブユニット185の前輪走行制御バルブV1、後輪走行制御バルブV2、前輪ブレーキ制御バルブV5および後輪ブレーキ制御バルブV6に出力して、前輪走行モータ116,116および後輪走行モータ117,117の回転作動、すなわち前輪112,112および後輪113,113の駆動を制御する。
【0061】
コントローラ150は、操舵ダイヤル172から操舵信号が入力されると、操舵信号に応じた指令信号を前輪操舵制御バルブV3および後輪操舵制御バルブV4に出力して、前輪および後輪舵角検出器196,197により検出される舵角が操舵信号に対応した目標舵角となるように前輪操舵シリンダ192および後輪操舵シリンダ194を作動させて前輪112,112および後輪113,113を転舵作動させる。
【0062】
次に、高所作業車101における認証システムについて、図6を追加参照して説明する。図6に示すように、この認証システムは、上部電源スイッチ201、上部認証操作器202、下部電源スイッチ203、下部認証操作器204、旋回角度検出器161、ブーム起伏角度検出器162、ブーム伸張量検出器163、首振り角度検出器164、傾斜角度検出器165、作業者検出器205およびコントローラ150(特に認証制御部155、格納検出部156および搭乗検出部157)を主体として構成される。上部電源スイッチ
201および上部認証操作器202は、作業台140(例えば、操作装置170)に設けられ、下部電源スイッチ203および下部認証操作器204は、旋回体120に設けられる。
【0063】
上部電源スイッチ201は、第1実施形態の上部電源スイッチ81と同様に、例えば、ボタン状に形成され、電源入り操作と電源切り操作とが行われるようになっている。上部電源スイッチ201により電源入り操作が行われると、所定の電源(図示略)からコントローラ150に電力が供給されてコントローラ150が電源オン状態になり、走行体110および昇降装置(旋回体120、ブーム130および作業台140)が作動開始可能な状態となる。一方、上部電源スイッチ201により電源切り操作が行われると、コントローラ150への電力供給が断たれてコントローラ150が電源オフ状態になり、コントローラ150が電源オフ状態になると、走行体110および昇降装置が作動停止状態となる。
【0064】
下部電源スイッチ203は、第1実施形態の下部電源スイッチ83と同様に、例えば、所定のキーを差し込むことにより回転操作可能となり、基準位置から所定の回転位置まで回転される電源入り操作と、基準位置に戻す電源切り操作とが行われるようになっている。下部電源スイッチ203が電源入り操作または電源切り操作された場合の作用は上部電源スイッチ201と同様である。なお、下部電源スイッチ203は、一般的には、作業開始時に電源入り操作され、作業終了時に電源切り操作される。また、上部電源スイッチ201は、下部電源スイッチ203が電源入り操作された状態でなければ、有効に操作することができない(操作しても電源を入り切りすることができない)ようになっている。
【0065】
上部認証操作器202は、第1実施形態の上部認証操作器82と同様に、例えば、所定のパスワードを入力するテンキー入力操作部を備えて構成され、入力されたパスワードに応じた認証操作信号をコントローラ150に出力するようになっている。下部認証操作器204は、上部認証操作器202と同様の構成および機能を有する。なお、認証操作(パスワードの入力)は、まず、作業開始のため下部電源スイッチ203により電源入り操作が行われると要求される。
【0066】
作業者検出器205は、作業台140に設置された、例えば、光学式や超音波式の反射型センサ、あるいは荷重センサにより構成される。この作業者検出器205は、作業台140に作業者が搭乗しているか否かを検出し、その検出信号をコントローラ150に出力するようになっている。
【0067】
コントローラ150の認証制御部155は、上部認証操作器202または下部認証操作器204からの認証操作信号より入力操作されたパスワードを検知し、そのパスワードが予め登録された適正パスワードに一致するかどうかの認証を行う。そして、入力操作されたパスワードが適正パスワードに一致した場合には、認証適正情報を記憶するとともに、走行体110および昇降装置が作動することを許可する。すなわち、走行操作レバー171の操作状態に応じて前輪走行モータ116および後輪走行モータ117が作動することを許可し、操舵ダイヤル172の操作状態に応じて前輪操舵シリンダ192および後輪操舵シリンダ194が作動することを許可する。また、旋回操作レバー174の操作状態に応じて旋回モータ126が作動することを許可し、ブーム操作レバー175の操作状態に応じてブーム起伏シリンダ135およびブーム伸縮シリンダ136が作動することを許可し、首振り操作レバー175の操作状態に応じて首振りモータ146が作動することを許可する。
【0068】
一方、入力操作されたパスワードが適正パスワードに一致しない場合、認証制御部155は、走行体110および昇降装置が作動することを許可しない。すなわち、走行操作レ
バー171の操作状態にかかわらず前輪走行モータ116および後輪走行モータ117の作動を規制し、操舵ダイヤル172の操作状態にかかわらず前輪操舵シリンダ192および後輪操舵シリンダ194の作動を規制する。また、旋回操作レバー174の操作状態にかかわらずブーム起伏シリンダ135およびブーム伸縮シリンダ136の作動を規制し、ブーム操作レバー175の操作状態にかかわらず旋回モータ126の作動を規制し、首振り操作レバー175の操作状態にかかわらず首振りモータ146の作動を規制する。
【0069】
コントローラ150の姿勢検出部156は、旋回角度検出器161、ブーム起伏角度検出器162、ブーム伸張量検出器163、首振り角度検出器164および傾斜角度検出器165からの各検出信号に基づき、昇降装置が所定姿勢にあるか否かを検出する。所定姿勢とはブーム130が格納されたときに格納姿勢など、作業者が作業台140に乗降可能となる状態の姿勢が設定される。この姿勢検出は逐次行われ、昇降装置が所定姿勢にあるか否かの情報はその都度更新されて記憶されるようになっている。
【0070】
コントローラ150の搭乗検出部157は、作業者検出器205からの検出信号に基づき、作業台140に作業者が搭乗しているか否かを検出する。具体的には、作業者検出器205からの検出信号が、作業者がいることを示す場合に、作業台140に作業者が搭乗していることを検出する。この搭乗検出は逐次行われ、搭乗しているか否かの情報はその都度更新されて記憶されるようになっている。
【0071】
第1実施形態の認証システムと同様、本実施形態の認証システムにおいても、所定の条件を満たす場合は、前回の認証結果(認証適正情報)を維持して改めて認証を行うことはせず、別の或る条件を満たす場合は、前回の認証結果(認証適正情報)をクリアし、改めて認証を行うようになっている。以下、具体例を挙げながらこの点について説明する。
【0072】
基本的な例として、作動許可状態において、上部電源スイッチ201による電源切り操作が行われて電源オフとなり、次に上部電源スイッチ201による電源入り操作が行われて電源オン状態となった場合(αの場合ともいう)は、これらの電源切り操作および電源入り操作が、昇降装置が所定姿勢にない状態で行われたときは、前回の認証結果による認証適正情報を維持し、改めて認証を行うことなく、作動許可状態とする。一方、上記αの場合において、これらの電源切り操作および電源入り操作が、昇降装置が所定姿勢にある状態で行われたときは、前回の認証結果による認証適正情報をクリアし、改めて認証を行う。なお、前回の認証適正情報をクリアする条件を満たしてから実際にクリアする処理を実行するまでの間に一定時間の遅延を設けるようにしてもよい。例えば、昇降装置が所定姿勢にある状態で上部電源スイッチ201による電源切り操作が行われた場合、所定時間(例えば、1~2分間のうちの任意の時間)が経過するまでは前回の認証適正情報を維持し、当該所定時間が経過したときにこれをクリアするオフディレー動作を設定してもよい。この場合、所定時間が経過する前に、上部電源スイッチ201による電源入り操作が行われたときは、改めて認証を行うことなく、作動許可状態としてもよい。
【0073】
昇降装置が所定姿勢にない状況で、上部電源スイッチ201による電源切り操作および電源入り操作が行われるということは作業中である(例えば、操作レバー等の誤操作を防ぐために作業台140上の作業者が一時的に電源オフとして作業している)ことが多いので、この例によれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、昇降装置が所定姿勢にある状況で、上部電源スイッチ201による電源切り操作および電源入り操作が行われるということは、作業台140(高所作業車101)から作業者が一旦離れていた場合があるので、この例によれば、作業台140から作業者が離れている状況において、走行体110および昇降装置が無断で使用されることを防止できる。なお、変形例として、上記αの場合は、昇降装置が所定姿勢にあるか否かにかかわらず、前回の認証結果による認証適正情報を維持し、改めて認証を行うことなく、作動許可状態とするよ
うにしてもよい。
【0074】
次の例として、作動許可状態において、下部電源スイッチ203による電源切り操作が行われて電源オフとなり、次に下部電源スイッチ203による電源入り操作が行われて電源オン状態となった場合(βの場合ともいう)は、前回の認証結果による認証適正情報をクリアし、改めて認証を行う。この例でも、前回の認証適正情報をクリアする条件を満たしてから実際にクリアする処理を実行するまでの間に一定時間の遅延を設けるようにしてもよい。例えば、下部電源スイッチ203による電源切り操作が行われた場合、所定時間が経過するまでは前回の認証適正情報を維持し、当該所定時間が経過したときにこれをクリアするオフディレー動作を設定してもよい。この場合、所定時間が経過する前に、下部電源スイッチ203による電源入り操作が行われたときは、改めて認証を行うことなく、作動許可状態としてもよい。
【0075】
下部電源スイッチ203による電源切り操作および電源入り操作が行われるということは、作業終了後など、作業台140(高所作業車101)から作業者が離れている場合があるので、この例によれば、作業終了後などの状況において、走行体110および昇降装置が無断で使用されることを防止できる。
【0076】
別の例(変形例)として、作動許可状態において、電源切り操作(上部電源スイッチ201によるものか下部電源スイッチ203によるものかは問わない)が行われて電源オフとなり、次に電源入り操作(上部電源スイッチ201によるものか下部電源スイッチ203によるものかは問わない)が行われて電源オン状態となった場合(γの場合ともいう)は、昇降装置が格納状態にあるか否かにかかわらず、電源切り操作の実行時および電源入り操作の実行時の両時点とも作業台140に作業者が搭乗しているときは、前回の認証の結果を維持し改めて認証を行うことなく作動許可状態とする。一方、上記γの場合において、電源切り操作の実行時および電源入り操作の実行時の少なくとも一方の時点において作業台140に作業者が搭乗していないときは、前回の認証結果による認証適正情報をクリアし、改めて認証を行う。この別の例でも、前回の認証適正情報をクリアする条件を満たしてから実際にクリアする処理を実行するまでの間に一定時間の遅延を設けるようにしてもよい。例えば、作業台140に作業者が搭乗していない状態で、下部電源スイッチ203による電源切り操作が行われた場合、所定時間が経過するまでは前回の認証適正情報を維持し、当該所定時間が経過したときにこれをクリアするオフディレー動作を設定してもよい。この場合、所定時間が経過する前に、下部電源スイッチ203による電源入り操作が行われたときは、改めて認証を行うことなく、作動許可状態としてもよい。
【0077】
作業台140に作業者が搭乗しているということは作業中であることが多いので、この例によれば、作業中における認証の実行回数を低減することができる。一方、作業台140に作業者が搭乗していないということは、作業台140(高所作業車101)から作業者が離れている場合があるので、この例によれば、作業台140から作業者が離れている状況において、走行体110および昇降装置が無断で使用されることを防止できる。
【0078】
以上、本発明に係る好ましい実施形態について説明してきたが、本発明の範囲は上述の実施形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、認証の方式としてテンキー操作入力装置を用いたパスワード認証を例示しているが、認証の方式は特定のものに限定されるものではない。接触式のIDカードを用いた認証、バーコードやQRコード(登録商標)を読み取る方式の認証、RFIDやモバイル端末による電子キーなど無線通信を用いる認証等、種々の認証方式を利用することができる。
【0079】
上述の第1実施形態では、本発明を適用する垂直昇降式の高所作業車として、シザースリンク式の高所作業車1を示したが、マスト式の高所作業車にも適用可能である。また、
上述の第2実施形態では、本発明を適用するブーム式の高所作業車として、伸縮ブーム式の高所作業車101を示したが、屈折ブーム式の高所作業車にも適用可能である。また、本発明は、自走式でない高所作業車に対しても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1,101 高所作業車
10,110 走行体
20 昇降装置
30,140 作業台
50,150 コントローラ
55,155 認証制御部
56 格納検出部
57,157 搭乗検出部
120 旋回体
130 ブーム
156 姿勢検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6