(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062549
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/26 20060101AFI20230426BHJP
B65D 43/16 20060101ALI20230426BHJP
B65D 43/24 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
B65D43/26
B65D43/16
B65D43/24 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172589
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】竹田 徹
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA02
3E084CA03
3E084CB03
3E084CB04
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA03
3E084DB08
3E084DB13
3E084DB14
3E084DC03
3E084FA08
3E084FC09
3E084GA07
3E084GB07
3E084GB13
3E084GB17
3E084GB25
3E084KA16
(57)【要約】
【課題】扉部材の開閉に関して利便性の向上を図ることのできる容器を提供する。
【解決手段】容器1は、上方に開口する略箱状の容器本体2と、蓋体4とを備え、蓋体4は、容器本体2に取付けられ、物品を投入可能とする投入開口部6を有する合成樹脂製の蓋本体5と、投入開口部6を開放する開位置と閉鎖する閉位置との間を変位可能な合成樹脂製の扉部材7とを備える。扉部材7は、扉部材7を変位させる場合に操作される操作部37と、扉部材7が閉位置とされた場合に蓋本体5に設けられた第1被係止部45に対して係止状態とされる第1係止部44とを備える。扉部材7は、閉位置にある場合に作業者が操作可能な位置に設けられ、作業者の操作に基づいて少なくとも一部が変形可能な解消操作部46を備え、解消操作部46及び操作部37の操作を同時に行うことで第1係止部44と第1被係止部45との係止状態を解消して扉部材7を開位置へと変位可能に構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する略箱状をなし、物品を収容可能な収容部を備える容器本体と、前記容器本体の開口を閉鎖可能とする蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記容器本体に取付けられ、物品を投入可能とする投入開口部を有する合成樹脂製の蓋本体と、前記投入開口部を開放する開位置と閉鎖する閉位置との間を変位可能な合成樹脂製の扉部材とを備える容器において、
前記扉部材は、前記扉部材を変位させる場合に操作される操作部と、前記扉部材が前記閉位置とされた場合に前記蓋本体に設けられた第1被係止部に対して係止状態とされる第1係止部とを備え、
前記扉部材、及び、前記蓋本体のうち少なくとも一方は、少なくとも前記扉部材が前記閉位置とされた前記容器の閉状態において作業者が操作可能な位置に設けられるとともに、作業者の所定の操作に基づいて少なくとも一部が変形可能な解消操作部を備え、
前記閉状態において前記解消操作部の操作を行いつつ前記操作部の操作を行うことで前記第1係止部と前記第1被係止部との前記係止状態を解消して前記扉部材を前記開位置へと変位させることが可能に構成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記扉部材は前記蓋本体に対して回動変位可能に連結され、
前記扉部材は、当該扉部材の回動軸線方向に対して直交する方向における断面が略円弧状をなし、前記扉部材が前記閉位置にある場合に前記投入開口部を閉鎖する閉鎖部を備え、
前記閉鎖部は、前記扉部材が前記開位置にある場合に前記扉部材の回動軸線方向から見た側面視で前記蓋本体の内側に収まる構成とされ、
前記解消操作部と前記操作部とは互いに離間して配置され、かつ、作業者が片手で前記解消操作部と前記操作部との両方を同時に操作可能となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記扉部材を前記開位置と前記閉位置との間の仮閉鎖位置で保持可能とする仮保持手段を備え、
前記仮保持手段は、前記扉部材に設けられた第2係止部と、前記蓋本体に設けられ、前記仮閉鎖位置にある前記扉部材の前記第2係止部と当接して前記扉部材の前記閉位置側への変位を規制する仮係止部と、前記蓋本体に設けられ、前記仮閉鎖位置にある前記扉部材の前記第2係止部と当接して前記扉部材の前記開位置側への変位を規制する第2被係止部とを備え、
前記扉部材が前記開位置から前記仮閉鎖位置とされる場合に、前記第2係止部は前記蓋本体の内側に位置する状態から前記第2被係止部と摺接して前記第2被係止部よりも前記投入開口部側に変位可能に構成され、
前記閉状態では、前記第2係止部が前記仮係止部と当接して前記扉部材の前記開位置側への変位が規制され、
前記扉部材が前記仮閉鎖位置にある場合に前記第2係止部が前記容器の外部から視認可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記扉部材は、前記開位置とされた場合に前記仮係止部と当接して前記扉部材の前記閉位置側への変位が規制される規制部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記開位置と前記閉位置との間を変位する前記扉部材の変位方向に対して直交する前記扉部材の幅方向において、前記第2係止部、及び、前記仮係止部は、前記扉部材の同じ一側部側にのみ設けられるとともに、前記仮係止部は、前記投入開口部の側縁部から前記投入開口部の内側に突出して設けられることを特徴とする請求項3又は4に記載の容器。
【請求項6】
前記扉部材は、前記扉部材が前記閉位置にある場合に前記投入開口部を閉鎖する閉鎖部と、前記閉鎖部のうち前記扉部材が前記開位置から前記閉位置へと移動する際の先頭側の縁部から前記扉部材の前記閉位置側に突出するカバー部とを備え、
前記蓋本体は、前記カバー部に対して、前記扉部材が前記仮閉鎖位置にある状態において前記容器の内外方向において重なり合い、前記閉状態において重なり合う面積が増えるようにして設けられた蓋カバー部を備えていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記扉部材は、前記扉部材が前記開位置とされた場合に前記蓋体の内側において物品を載置可能とする載置部を備え、
前記開位置にある前記扉部材が前記閉位置側に変位することで前記載置部に載置されていた物品が前記容器本体の前記収容部へ落下するように構成され、
前記蓋本体は、前記載置部から落下した物品を前記容器の内方側に向けて案内可能な傾斜部を備えていることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体を備える容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療廃棄物等の物品を収容する容器として、上方に開口する箱状の容器本体と、容器本体の開口を閉鎖可能とする蓋体とを備え、蓋体が、物品を投入可能とする投入開口部を有するとともに容器本体に取付けられる蓋本体と、投入開口部を開閉する扉部材とを備えるものが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の容器は、扉部材により投入開口部を一度閉鎖すると、蓋体に設けられた係止部が蓋本体の裏面側に係止されることで封印状態とされ、基本的に開封が不可能(困難)となるように構成されている。このため、容器の収容スペースに余裕がある状態で扉部材を誤って閉鎖したためにそのまま廃棄する必要が生じたり、封印後の容器の収容スペースを含めた捜索を行うべく容器を内容物に触れないように慎重に破損させて開封する必要が生じたりする等、扉部材の開閉に関する利便性が低いことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、扉部材の開閉に関して利便性の向上を図ることのできる容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.上方に開口する略箱状をなし、物品を収容可能な収容部を備える容器本体と、前記容器本体の開口を閉鎖可能とする蓋体とを備え、
前記蓋体は、前記容器本体に取付けられ、物品を投入可能とする投入開口部を有する合成樹脂製の蓋本体と、前記投入開口部を開放する開位置と閉鎖する閉位置との間を変位可能な合成樹脂製の扉部材とを備える容器において、
前記扉部材は、前記扉部材を変位させる場合に操作される操作部と、前記扉部材が前記閉位置とされた場合に前記蓋本体に設けられた第1被係止部に対して係止状態とされる第1係止部とを備え、
前記扉部材、及び、前記蓋本体のうち少なくとも一方は、少なくとも前記扉部材が前記閉位置とされた前記容器の閉状態において作業者が操作可能な位置に設けられるとともに、作業者の所定の操作に基づいて少なくとも一部が変形可能な解消操作部を備え、
(前記解消操作部の変形に基づいて前記第1係止部、或いは、前記第1被係止部が変位する構成であって、)前記解消操作部の操作を行いつつ前記操作部の操作を行うことで前記第1係止部と前記第1被係止部との前記係止状態を解消して前記扉部材を前記開位置へと変位させることが可能に構成されていることを特徴とする容器。
【0008】
手段1によれば、解消操作部を備えることにより、扉部材を閉位置とした容器の閉状態において操作部を操作しただけでは扉部材を開位置側に変位させることが不可能となる構成としても、解消操作部に関し所定の操作を行いつつ操作部を操作することで、扉部材を開位置に変位させて容器を開状態とすることが可能になる。これにより、解消操作部の操作を認識する作業者が必要に応じて閉状態にある容器を損傷等させることなく開状態とすることが可能な構成としつつ、閉状態とすることで開状態とすることが比較的困難な(封印可能な)容器とすることができ、容器に収容された物品(収容物)に対して、容器を閉状態とした後の不用意・不適切な接触を防止することができる。従って、容器に収容される物品への接触の管理を比較的厳格に行いつつ、例えば、容器の収容スペースに余裕がある状態で扉部材を誤って閉状態としても、当該容器を再度開状態として、当該容器をより効率的に使用することができる。また、例えば、閉状態にある容器を開状態とする方法が設定されておらず、閉状態にある容器を損傷させつつ(無理やりに)開状態とする場合のように、開状態とする際に内容物が不用意に飛び出す等といった事態を回避することができ、容器を開状態とする作業を好適(安全)に実行することができる。結果として、扉部材の開閉に関する利便性の向上を図ることができる。さらに、例えば、容器を一度閉状態とするとそれ以降は容器を開状態とできず使用不可能になるといった構成に比べ、物品を収容する作業を行う地点と、物品を取出す作業を行う地点との間で物品に不用意に接触できないようにするといったことも可能となる。これにより、容器の利用方法の一層の拡大を図ることができる。
【0009】
手段2.前記扉部材は前記蓋本体に対して回動変位可能に連結され、
前記扉部材は、当該扉部材の回動軸線方向に対して直交する方向における断面が略円弧状をなし、前記扉部材が前記閉位置にある場合に前記投入開口部を閉鎖する閉鎖部を備え、
前記閉鎖部は、前記扉部材が前記開位置にある場合に前記扉部材の回動軸線方向から見た側面視で前記蓋本体の内側に収まる構成とされ、
前記解消操作部と前記操作部とは互いに離間して配置され、かつ、作業者が片手で前記解消操作部と前記操作部との両方を同時に操作可能となるように配置されていることを特徴とする手段1に記載の容器。
【0010】
手段2によれば、扉部材の閉鎖部が断面略円弧状をなし、扉部材が蓋本体に対して回動変位可能に連結されることで、投入開口部の開口面積を極力広く確保しつつ、蓋体の大型化を極力抑制することができる。また、開位置にある扉部材の閉鎖部が側面視で蓋本体の内側に収まる(蓋本体よりも容器の外側に突出しない)構成とすることで、容器の開状態において扉部材(第1係止部、解消操作部等)の保護を図ることができ、容器を閉状態とするときまで扉部材の損傷がない、或いは、少ない状態が維持され、容器を閉状態とする場合において扉部材をより確実に機能させることができる。さらに、解消操作部と、操作部とが互いに離間して配置されることにより、解消操作部への操作に基づいて操作部が変位・変形してしまうといった事態を抑止することができる。加えて、作業者が片手で解消操作部と操作部との両方を同時に操作可能となるように配置されていることで、閉状態とされた容器を開状態とする際の作業性の向上を図ること(もう片方の手で容器を押さえて安全に開状態とすること)ができる。
【0011】
手段3.前記扉部材を前記開位置と前記閉位置との間の仮閉鎖位置で保持可能とする仮保持手段を備え、
前記仮保持手段は、前記扉部材に設けられた第2係止部と、前記蓋本体に設けられ、前記仮閉鎖位置にある前記扉部材の前記第2係止部と当接して前記扉部材の前記閉位置側への変位を規制する仮係止部と、前記蓋本体に設けられ、前記仮閉鎖位置にある前記扉部材の前記第2係止部と当接して前記扉部材の前記開位置側への変位を規制する第2被係止部とを備え、
前記扉部材が前記開位置から前記仮閉鎖位置とされる場合に、前記第2係止部は前記蓋本体の内側に位置する状態から前記第2被係止部と摺接して前記第2被係止部よりも前記投入開口部側に変位可能に構成され、
前記閉状態では、前記第2係止部が前記仮係止部と当接して前記扉部材の前記開位置側への変位が規制され、
前記扉部材が前記仮閉鎖位置にある場合に前記第2係止部が前記容器の外部から視認可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の容器。
【0012】
手段3によれば、扉部材が開位置と閉位置との間の位置である仮閉鎖位置において保持可能に構成されている。これにより、扉部材を閉位置とする段階には至っていないが、例えば、物品を容器に投入するとき以外は扉部材を仮閉鎖位置としておくことができ、容器の収容部と、容器外部との間を極力遮って、容器の収容部の環境と、容器外部の環境とが交わることを極力抑制することができる。従って、容器の収容部の環境が容器外部に影響したり(例えば、容器に収容された物品に人が接触してしまう)、容器外部の環境が容器の収容部に影響したり(例えば、ゴミ等の不要なものが容器に入ったり、各種器具等が容器に入ったりしてしまう)することが望まれない状況における利便性の向上等を図ることができる。
【0013】
また、第2係止部と仮係止部とにより、仮閉鎖位置にある扉部材の閉位置側への変位が規制されるとともに、閉位置にある扉部材の開位置側への変位が規制されるようになっている。従って、構成の複雑化を抑制しつつ、閉位置にある扉部材の開位置側への変位をより確実に防止することができる。
【0014】
さらに、第2係止部が仮係止部と第2被係止部との間に位置すること、ひいては、扉部材が仮閉鎖位置にあることを視認して把握することができる上、第2被係止部と摺接した状態から、当該摺接が解消される状態とされることで、感触(クリック感)により扉部材が仮閉鎖位置とされたことを把握することができる。従って、開位置から仮閉鎖位置にまで変位させようとした扉部材を誤って閉位置にまで変位させてしまうといった事態を抑止することができる。
【0015】
手段4.前記扉部材は、前記開位置とされた場合に前記仮係止部と当接して前記扉部材の前記閉位置側への変位が規制される規制部を備えていることを特徴とする手段3に記載の容器。
【0016】
手段4によれば、扉部材が開位置にある開状態を保持することが可能なため、例えば、容器の収容部に物品を収容する際に扉部材が意図せずに閉位置側に変位してしまうといった事態を防止することができる。また、仮係止部を利用して開状態を保持する構成により、構成の複雑化を抑制することができ、構成の複雑化に起因して、扉部材の開閉操作性が低下したり、塵等が溜まり易くなったり、意匠性が低下したりする等の事態を抑止することができる。
【0017】
手段5.前記開位置と前記閉位置との間を変位する前記扉部材の変位方向に対して直交する前記扉部材の幅方向において、前記第2係止部、及び、前記仮係止部は、前記扉部材の同じ一側部側にのみ設けられるとともに、前記仮係止部は、前記投入開口部の側縁部から前記投入開口部の内側に突出して設けられることを特徴とする手段3又は4に記載の容器。
【0018】
例えば、第2係止部や仮係止部に関連する製造誤差等が生じた場合に、扉部材が仮閉鎖位置にある状態において第2係止部と仮係止部との係り代が大きくなり過ぎて扉部材を閉位置側に変位させ難い(変位させることができない)といった事態を招くことが懸念される。この点、手段5によれば、第2係止部、及び、仮係止部を扉部材の幅方向の同じ一側部側にのみ設けることで、扉部材を変位させる際に扉部材の幅方向の他側部側に扉部材を変位させることで、第2係止部と仮係止部との係り代を少なくすることができ、仮閉鎖位置と閉鎖位置との間の扉部材の変位を比較的スムースに行うことができる。
【0019】
手段6.前記扉部材は、前記扉部材が前記閉位置にある場合に前記投入開口部を閉鎖する閉鎖部と、前記閉鎖部のうち前記扉部材が前記開位置から前記閉位置へと移動する際の先頭側の縁部から前記扉部材の前記閉位置側に突出するカバー部とを備え、
前記蓋本体は、前記カバー部に対して、前記扉部材が前記仮閉鎖位置にある状態において前記容器の内外方向において重なり合い、前記閉状態において重なり合う面積が増えるようにして設けられた蓋カバー部を備えていることを特徴とする手段3乃至5のいずれかに記載の容器。
【0020】
手段6によれば、扉部材が仮閉鎖位置にある状態では、閉鎖部が投入開口部を完全には閉鎖していない状態となるが、閉鎖部よりも扉部材の閉位置側に位置するカバー部と、蓋カバー部とによって、扉部材が仮閉鎖位置にある状態でも、投入開口部をほぼ閉鎖した状態とすることができる。従って、物品を容器に投入するとき以外は扉部材を仮閉鎖位置とし、容器の収容部と、容器外部との間を極力遮って、容器の収容部の環境と、容器外部の環境とが交わることを極力抑制するといった作用効果がより一層奏される。
【0021】
手段7.前記扉部材は、前記扉部材が前記開位置とされた場合に前記蓋体の内側において物品を載置可能とする載置部を備え、
前記開位置にある前記扉部材が前記閉位置側に変位することで前記載置部に載置されていた物品が前記容器本体の前記収容部へ落下するように構成され、
前記蓋本体は、前記載置部から落下した物品を前記容器の内方側に向けて案内可能な傾斜部を備えていることを特徴とする手段2乃至6のいずれかに記載の容器。
【0022】
手段7によれば、扉部材が載置部を備えることで容器に収容(投入)される物品の姿勢や落下速度等のばらつきを抑制することができる。さらに、蓋本体の傾斜部により、物品が容器本体の収容部において扉部材の開閉を妨げるような位置で一カ所に積み上がることを回避することができる。従って、作業者による特別な作業(例えば、容器に収容された物品を均す作業)がなくても物品を容器に効率的に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図8】閉状態にある容器を示す部分拡大斜視図である。
【
図9】閉状態にある容器を示す部分拡大断面図である。
【
図10】閉状態にある容器を示す部分拡大断面図である。
【
図11】扉部材が仮閉鎖位置にある状態の容器を示す部分拡大斜視図である。
【
図12】扉部材が仮閉鎖位置にある状態の容器を示す部分拡大断面図である。
【
図13】扉部材が仮閉鎖位置にある状態の容器を示す部分拡大断面図である。
【
図14】開状態にある容器を示す部分拡大斜視図である。
【
図15】開状態にある容器を示す部分拡大断面図である。
【
図16】開状態にある容器を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1、
図2等に示すように、容器1は、上方に開口する略四角箱状をなし、その内側に物品(例えば、使用済みの注射器等)を収容可能な収容部3を備える容器本体2と、容器本体2の開口を閉鎖可能とする蓋体4とを備えている。蓋体4は、容器本体2に取付けられ、物品を投入可能とする投入開口部6を有する蓋本体5と、投入開口部6を開放する開位置と閉鎖する閉位置との間を変位可能な扉部材7とを備えている。
【0025】
図2等に示すように、容器本体2は、平面視略矩形状の底壁構成部11と、底壁構成部11の相対する一対の長側辺部からそれぞれ上方に延びる相対する一対の長辺側側壁部12と、底壁構成部11の相対する一対の短側辺部からそれぞれ上方に延びる相対する一対の短辺側側壁部13と、長辺側側壁部12、及び、短辺側側壁部13の上辺部全域から容器本体2の外方側に突出する略四角枠状の張出し部14と、張出し部14の外縁部全域から下方に突出する縁壁部15とを備えている。容器本体2は、長辺側側壁部12、及び、短辺側側壁部13が上方に向けて容器本体2の外方側に若干傾斜するテーパ状に構成されている。また、
図4に示すように、容器本体2は、縁壁部15と、張出し部14と、長辺側側壁部12、又は、短辺側側壁部13との間を連結する上枠補強部16を備えている。尚、本実施形態の容器本体2は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0026】
加えて、
図2等に示すように、底壁構成部11は、一対の長辺側側壁部12のうち一方の長辺側側壁部12との連結部から他方の長辺側側壁部12側に向けて下方傾斜する底部傾斜部17を備えている。底部傾斜部17は、各短辺側側壁部13から離間した位置に設けられ、底壁構成部11のうち底部傾斜部17と各短辺側側壁部13との間の部位は水平方向に延在している。また、底部傾斜部17の上縁部と連結された長辺側側壁部12は、底部傾斜部17と連結された部位の直下方の部位が切欠かれたような形状をなしている。
【0027】
図2~
図4に示すように、蓋本体5は、容器本体2への取付状態において容器本体2の張出し部14に載置される略四角枠状の鍔部21と、鍔部21の相対する一対の長辺部の内縁部から上方に延出する長辺側縦壁部22と、鍔部21の相対する一対の短辺部の内縁部から上方に延出する短辺側縦壁部23と、長辺側縦壁部22及び短辺側縦壁部23の上辺部間を連結する天壁構成部24と、鍔部21の外縁部全域から下方に突出し、容器本体2への取付状態において容器本体2の縁壁部15を容器1の外方側から覆う覆い部25とを備えている。また、蓋本体5は、覆い部25の下縁部全域から覆い部25の内周側に突出する取付爪部26と、鍔部21の下面から鍔部21の全周に亘って下方に突出し、蓋本体5の容器本体2への取付状態において容器本体2の長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13の内面に対向する内枠部27とを備えている。
【0028】
そして、
図4等に示すように、蓋本体5(蓋体4)が容器本体2に取付けられることで、容器本体2の縁壁部15と長辺側側壁部12及び短辺側側壁部13との間の部分が、蓋本体5の覆い部25と内枠部27との間に挿入され、取付爪部26が容器本体2の縁壁部15の下縁部に係止された状態とされる。これにより、基本的に、容器本体2から蓋体4を取外すことが困難(又は不可能)とされる。尚、内枠部27の下縁部は、覆い部25の下縁部よりも上方に位置している。また、本実施形態の蓋本体5は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。加えて、取付爪部26に関し、覆い部25の周方向において部分的に設けること(例えば、覆い部25の各側辺部に対して複数箇所ずつ設けること)も可能である。
【0029】
さらに、
図2、
図3等に示すように、蓋本体5は、一方の長辺側縦壁部22の下辺部よりも若干上方位置から天壁構成部24にかけて略四半円形状の円弧を描くようなR形状となるように構成されており、投入開口部6は、当該R形状部位において、両側部を若干残すだけでその他の部位を開口させるようにして設けられている。また、天壁構成部24の上面側には、略コ字状のハンドル28が回動変位可能に連結されている。ハンドル28は、天壁構成部24に設けられた凹状のハンドル収容部29に収容される寝かせ位置と、天壁構成部24の上端部よりも上方に突出する起立位置との間を変位可能に構成されている。
【0030】
図5~
図7等に示すように、扉部材7は、略四半円形板状をなす相対する一対の側板部31と、一対の側板部31の円弧形状部位の間を連結する断面略円弧状の閉鎖部32と、一対の側板部31の一方の直線部位の間を連結する背板部33と、各側板部31のうち当該側板部31の円弧の略中心となる位置から扉部材7の側方に突出する軸部34とを備えている。尚、側板部31のうち軸部34の周辺部は、軸部34の付け根部を側板部31よりも若干側方に突出させるような格好で段差形状とされている。また、本実施形態の扉部材7は、ポリプロピレンにより一体的に形成されている。
【0031】
その一方で、
図1、
図2等に示すように、蓋本体5には、各短辺側縦壁部23において、扉部材7の各軸部34を回動変位可能に支持する軸支部35が設けられている。扉部材7の一対の側板部31の外面間の距離は、蓋本体5の一対の短辺側縦壁部23の内面間の距離よりも若干短く構成されている。そして、扉部材7の軸部34を、蓋本体5の軸支部35に挿入させることにより、扉部材7が蓋本体5に対して回動変位可能に連結されることとなる。尚、
図2、
図3に示すように、軸支部35は、短辺側縦壁部23に円形の貫通孔を設け、当該貫通孔の下方部位を若干外方に膨出させることで形成され、当該膨出部位の円弧状の上縁部により軸部34の下側を支持する構成(膨出部位において蓋本体5の内側に溝形状部を形成し、蓋本体5の内面側下方から扉部材7を蓋本体5に連結させる構成)となっている。
【0032】
また、扉部材7の側板部31の円弧形状は、蓋本体5のR形状部分に対応した形状とされており、
図1等に示すように、扉部材7が蓋本体5に連結された状態において、閉鎖部32の両側部は、投入開口部6の両側方のR形状部分の内面(裏面)に対向して近接(又は、当接)配置されるとともに、閉鎖部32により投入開口部6の全体を閉鎖可能に構成されている。本実施形態では、
図1、
図8に示すような、閉鎖部32により投入開口部6が閉鎖される扉部材7の位置(姿勢)が閉位置に相当し、扉部材7が閉位置とされた状態が容器1の閉状態に相当する。
【0033】
さらに、
図5等に示すように、扉部材7は、閉鎖部32のうち背板部33と連結されていない側の端縁から扉部材7の外方側に突出する規制部36を備えている。
図1等に示すように、扉部材7が蓋本体5に連結された状態では、規制部36が投入開口部6を貫通して蓋本体5の外方側にまで突出し、
図8、
図10に示すように、扉部材7が閉位置にある場合には、規制部36の下面が投入開口部6の下縁部に当接して支持される(それ以上の回動変位が規制される)ようになっている。
【0034】
図5、
図8に示すように、本実施形態の規制部36は、扉部材7の回動軸線方向(横幅方向)において、閉鎖部32の両端部近傍部位(蓋本体5のR形状部位に干渉しない位置)を含む範囲に設けられる一方で、閉鎖部32の中央部を含む範囲には設けられておらず、その代わりに、閉鎖部32のうち規制部36が設けられた端縁よりも背板部33と連結されている端縁側の位置から扉部材7の外方側に突出する操作部37が設けられている。操作部37の両側部は、規制部36の側部と連結されており、扉部材7が閉位置にある場合には、容器1のうち投入開口部6が形成された長辺側縦壁部22を正面視した場合に視認される面を容器1の前面とした容器1の前後方向において、操作部37の前縁部は、規制部36の前縁部よりも前方に位置している(
図8~
図10参照)。
【0035】
図14等に示すように、扉部材7は、閉位置から規制部36を投入開口部6の上縁部側に近付けるようにして90度程度回動変位することで開位置とされる。扉部材7が開位置にある状態(容器1の開状態)では、閉鎖部32のうち規制部36及び操作部37よりも背板部33側に位置する部位が容器1(蓋本体5)の内側に収容され、投入開口部6の大部分(ほぼ全体)が開放される。また、閉位置にある扉部材7に対して操作部37の下面に指先を掛けることで、扉部材7を比較的容易に開位置側に変位させることが可能となる。
【0036】
図2、
図3等に示すように、蓋本体5の天壁構成部24は、投入開口部6の上縁部を構成し、上下方向に延在する上縁画定部38を備えている。また、
図2、
図14に示すように、上縁画定部38は、扉部材7を開位置とした場合に、扉部材7の操作部37が収容される操作収容凹部39を備えている。これにより、規制部36を投入開口部6の上縁部(上縁画定部38)に当接させることが許容され(
図6参照)、規制部36が上縁画定部38に当接することで、扉部材7のそれ以上の回動変位が規制されるようになっている。
【0037】
尚、
図14、
図15に示すように、蓋本体5の天壁構成部24には、上縁画定部38のうち操作収容凹部39の横幅方向中央部を含む部位の高さを低くする操作許容凹部40が設けられている。これにより、扉部材7が開位置にあり、操作部37が操作収容凹部39の内側に収容された状態であっても、操作許容凹部40を介して操作部37のうち容器1の後方側の面に指を掛けて(操作部37を摘まみ)、扉部材7を閉位置側に変位させること(操作部37の閉鎖操作)が可能となる。また、
図8に示すように、扉部材7を閉位置とすることで、投入開口部6のうち操作収容凹部39に対応する部位についても閉鎖部32によって閉鎖可能となるように閉鎖部32が操作収容凹部39側に拡張形成されている(
図6参照)。
【0038】
さて、
図2、
図3に示すように、蓋本体5は、上縁画定部38のうち操作収容凹部39の横幅方向中央部から下方に突出する被係止突部41を備えている。これに対し、
図6、
図9に示すように、扉部材7は、扉部材7が閉位置とされた場合に、被係止突部41が挿入される挿入凹部42を備えるとともに、挿入凹部42に隣接して閉鎖部32から扉部材7の外方側(上方)に突出する係止突部43を備えている。
図8、
図9に示すように、扉部材7が閉位置とされた場合に、挿入凹部42のうち係止突部43に連続する部位、及び、係止突部43の容器1の後方側の面が、上縁画定部38(操作収容凹部39)のうち被係止突部41に連続する部位、及び、被係止突部41の容器1の前方側の面と略当接して係止状態とされる。以下、係止突部43、及び、挿入凹部42のうち係止突部43に連続する部位をまとめて「第1係止部44」と称し、被係止突部41、及び、上縁画定部38のうち被係止突部41に連続する部位をまとめて「第1被係止部45」と称する。
【0039】
本実施形態では、閉位置とされた扉部材7の操作部37を操作して扉部材7を開位置側に変位させようとしても、第1係止部44と第1被係止部45との係止状態が比較的強固である(扉部材7の回動変位方向において重なり合う面積、すなわち、係り代が比較的大きい)ことから、基本的には、扉部材7を開位置側に変位させることができない構成となっている。但し、
図8に示すように、扉部材7の閉鎖部32のうち第1係止部44から閉鎖部32の中央部側に若干変位した部位(以下、「解消操作部46」と称する)を容器1の内方側(下方)に押圧操作することによって、その付近が容器1の内方側に撓むようにして変形する。さらに、当該変形に基づいて第1係止部44が容器1の内方側に変位する(或いは、第1係止部44が容器1の前方に向けて傾倒変位する)こととなり、当該変位が生じた状態を維持しつつ、操作部37の操作を行う(解消操作部46の操作と、操作部37の操作とを同時に行う)ことで、第1係止部44と第1被係止部45との係止状態を解消して扉部材7を開位置へと変位させることが可能に構成されている。尚、
図9に示すように、係止突部43は、扉部材7が閉位置にある状態の容器1の前面側の角部はR面取り形状とされている一方で、容器1の後面側の角部は面取り形状とされていない。
【0040】
また、解消操作部46と操作部37とは互いに離間して配置されているものの、作業者が片手で解消操作部46と操作部37との両方を同時に操作可能となるように配置されている。尚、本実施形態では、容器1において解消操作部46を示す目印や解消操作部46の操作方法を示す表示のようなものは設けられておらず、解消操作部46の操作を予め認識している作業者だけが閉状態にある容器1を開状態とすることができるようになっている。
【0041】
図11に示すように、本実施形態では、扉部材7を開位置と閉位置との間の仮閉鎖位置でも保持可能に構成されている。すなわち、蓋本体5には、投入開口部6の一方の側縁部(本例では、正面視で右側の側縁部)において、上縁画定部38の近傍部位から投入開口部6の内方側に突出する仮係止部47が設けられている(
図2、
図3参照)。
【0042】
これに対し、扉部材7には、
図5に示すように、閉鎖部32の一側方(本例では、右側方)の背板部33寄りの部位から扉部材7の外方に突出する第2係止部49が設けられている。第2係止部49は、
図9に示すように、扉部材7が閉位置にある場合に仮係止部47よりも容器1の前方に位置し、
図13に示すように、扉部材7が開位置にある場合に上縁画定部38のうち操作収容凹部39の側方の部位(以下、「第2被係止部48」と称する)よりも容器1の後方(容器1の内側)に位置する。
【0043】
さらに、
図11~
図13に示すように、第2係止部49が仮係止部47と第2被係止部48との間に位置することで、扉部材7が仮閉鎖位置とされるようになっている。本実施形態では、扉部材7が仮閉鎖位置にある場合には、第2係止部49が仮係止部47及び第2被係止部48の両方と略当接状態とされており、第2係止部49が仮係止部47と当接することにより閉位置側への変位が規制され、第2係止部49が第2被係止部48と当接することにより開位置側への変位が規制される。また、第2係止部49は、投入開口部6の右側縁部にのみ設けられた仮係止部47に対応して、閉鎖部32の右側部近傍にのみ設けられている(
図5参照)。尚、本実施形態では、第2係止部49と、仮係止部47と、第2被係止部48とにより仮保持手段が構成される。また、
図13等に示すように、第2係止部49は、扉部材7が閉位置にある状態の容器1の前面側の角部、及び、容器1の後面側の角部のどちらもR面取り形状とされている。さらに、第2係止部49の閉鎖部32からの突出長は、規制部36の閉鎖部32からの突出長よりも短く(
図13参照)、かつ、係止突部43の閉鎖部32からの突出長と同程度となっている(
図12参照)。
【0044】
また、扉部材7の回動方向において、第2係止部49が第2被係止部48を通過する場合、第2係止部49は、第2被係止部48に対して容器1の内方側(下方)に潜るようにして通過する。すなわち、扉部材7が開位置から仮閉鎖位置とされる場合に、第2係止部49は容器1の内側に位置する状態から第2被係止部48と摺接して第2被係止部48よりも投入開口部6側(容器1の外側)に変位可能に構成されている。さらに、扉部材7の回動方向において、第2係止部49が仮係止部47を通過する場合、第2係止部49は、仮係止部47に対して容器1の内方側(下方)に潜るようにして摺接しつつ通過する。加えて、
図8~
図10に示すように、本実施形態では、扉部材7が閉位置にある状態において、第2係止部49の容器1の後方側の面が仮係止部47の容器1の前方側の面と略当接した状態とされる。これにより、閉位置とされた扉部材7の側部(右側部)においても扉部材7の開位置側への変位が規制されるようになっている。
【0045】
また、
図14、
図16に示すように、扉部材7が開位置とされた場合には、規制部36の右側部が第2被係止部48と仮係止部47との間に位置することとなり、規制部36が仮係止部47と当接することにより扉部材7の閉位置側への変位が規制されるように構成されている。ここで、扉部材7の回動方向において、規制部36が仮係止部47を通過する場合、規制部36は、仮係止部47に対して容器1の内方側(下方)に潜るようにして通過するのではなく、投入開口部6の内方側に避けるようにして通過する。
【0046】
尚、
図10、
図13、
図16等に示すように、閉鎖部32は、扉部材7が閉位置、仮閉鎖位置、及び、開位置のいずれにある場合にも(開位置と閉位置との間の仮閉鎖位置以外の所定位置にある状態であっても)、容器1を扉部材7の回動軸線方向から見た側面視で蓋本体5の内側に収まる(蓋本体5よりも容器1の外側に突出しない)構成とされている。本実施形態では、扉部材7のうち容器1を側面視した場合に視認可能な部位としては、操作部37、及び、規制部36(並びに、操作部37と各規制部36との連結部)の先端側の部位のみとなっている(
図9、
図10等参照)。さらに、
図8、
図11に示すように、扉部材7が仮閉鎖位置及び閉位置にある場合には、閉鎖部32の外面(表面)側に設けられた第2係止部49が容器1の外部から視認可能となっている。
【0047】
図5、
図9、
図10等に示すように、扉部材7は、閉鎖部32のうち扉部材7が開位置から閉位置へと移動する際の先頭側の縁部(背板部33と連結されていない側の縁部)から扉部材7の閉位置側(扉部材7が閉位置にある場合の下方)に突出するカバー部51を備えている。これに対し、
図3、
図12等に示すように、蓋本体5は、カバー部51に対して、扉部材7が仮閉鎖位置にある状態において容器1の内外方向において重なり合い、
図9等に示すように、閉状態において重なり合う面積が増えるようにして設けられた蓋カバー部52を備えている。本実施形態では、投入開口部6が設けられた一方の長辺側縦壁部22のうち投入開口部6の下方に位置する部位によって蓋カバー部52が構成され、蓋カバー部52の上辺部により投入開口部6の下縁部が構成される。尚、投入開口部6が設けられた一方の長辺側縦壁部22のうち蓋カバー部52を構成する部位は、その両側方の部位よりも蓋本体5の内方側に位置するように構成されている。
【0048】
図14~
図16に示すように、扉部材7は、扉部材7が開位置とされた場合に蓋体4の内側において物品を載置可能とする載置部54を備えている。開位置にある扉部材7が閉位置側に変位することで載置部54に載置されていた物品が容器本体2の収容部3へ落下するように構成されている。
図6等に示すように、載置部54の裏面側には、容器1の横幅方向において所定間隔毎に設けられた載置補強リブ55が設けられている。尚、扉部材7の背板部33は、扉部材7が閉位置にある状態において、上部は略鉛直方向に延在し、下部は下方に向けて容器1の後方に傾斜している。載置部54は、扉部材7が閉位置にある状態において、背板部33の下縁部から下方に向けて略鉛直方向に延在している。
【0049】
図15等に示すように、蓋本体5は、鍔部21の内縁部のうち蓋カバー部52が設けられている範囲から下方かつ鍔部21の内周側に向けて湾曲しつつ突出し、載置部54から落下した物品を容器1の内方側に向けて案内可能な傾斜部56を備えている。傾斜部56の下縁部は、覆い部25の下縁部よりも若干上方に位置している。加えて、傾斜部56と、内枠部27との間を連結する蓋補強部57が設けられている。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、容器1が解消操作部46を備えることにより、扉部材7を閉位置とした容器1の閉状態において操作部37を操作しただけでは扉部材7を開位置側に変位させることが不可能となる構成としても、解消操作部46の押圧操作を行いつつ操作部37を操作する(閉鎖操作する)ことで、扉部材7を開位置に変位させて容器1を開状態とすることが可能になる。これにより、解消操作部46の操作を認識する作業者が必要に応じて閉状態にある容器1を損傷等させることなく開状態とすることが可能な構成としつつ、閉状態とすることで開状態とすることが比較的困難な(封印可能な)容器1とすることができ、容器1に収容された物品(収容物)に対して、容器1を閉状態とした後の不用意・不適切な接触を防止することができる。従って、容器1に収容される物品への接触の管理を比較的厳格に行いつつ、例えば、容器1の収容スペースに余裕がある状態で扉部材7を誤って閉状態としても、当該容器1を再度開状態として、当該容器1をより効率的に使用することができる。また、例えば、閉状態にある容器を開状態とする方法が設定されておらず、閉状態にある容器を損傷させつつ(無理やりに)開状態とする場合のように、開状態とする際に内容物が不用意に飛び出す等といった事態を回避することができ、容器1を開状態とする作業を好適(安全)に実行することができる。結果として、扉部材7の開閉に関する利便性の向上を図ることができる。さらに、例えば、容器1を一度閉状態とするとそれ以降は容器1を開状態とできず使用不可能になるといった構成に比べ、物品を収容する作業を行う地点と、物品を取出す作業を行う地点との間で物品に不用意に接触できないようにするといったことも可能となる。これにより、容器1の利用方法の一層の拡大を図ることができる。
【0051】
また、本実施形態では、扉部材7の閉鎖部32が断面略円弧状をなし、扉部材7が蓋本体5に対して回動変位可能に連結されることで、投入開口部6の開口面積を極力広く確保しつつ、蓋体4の大型化を極力抑制することができる。また、開位置にある扉部材7の閉鎖部32が側面視で蓋本体5の内側に収まる(蓋本体5よりも容器1の外側に突出しない)構成とすることで、容器1の開状態において扉部材7(第1係止部44、解消操作部46等)の保護を図ることができ、容器1を閉状態とするときまで扉部材7の損傷がない、或いは、少ない状態が維持され、容器1を閉状態とする場合において扉部材7をより確実に機能させることができる。さらに、解消操作部46と、操作部37とが互いに離間して配置されることにより、解消操作部46への操作に基づいて操作部37が変位・変形してしまうといった事態を抑止することができる。加えて、作業者が片手で解消操作部46と操作部37との両方を同時に操作可能となるように配置されていることで、閉状態とされた容器1を開状態とする際の作業性の向上を図ること(もう片方の手で容器1を押さえて安全に開状態とすること)ができる。
【0052】
さらに、扉部材7が開位置と閉鎖位置との間の位置である仮閉鎖位置(閉鎖部32により投入開口部6の大部分を閉鎖したものの閉鎖部32では投入開口部6を完全には閉鎖していない状態)において保持可能に構成されている。これにより、扉部材7を閉位置とする段階には至っていないが、例えば、物品を容器1に投入するとき以外(以降も物品を容器1に収容させる予定がある場合)は扉部材7を仮閉鎖位置としておくことができ、容器1の収容部3と、容器1外部との間を極力遮って、容器1の収容部3の環境と、容器1外部の環境とが交わることを極力抑制することができる。従って、容器1の収容部3の環境が容器1外部に影響したり(例えば、容器1に収容された物品に人が接触してしまう)、容器1外部の環境が容器1の収容部3に影響したり(例えば、ゴミ等の不要なものが容器1に入ったり、各種器具(例えば、医療機器や筆記用具)等が容器1に入ったりしてしまう)することが望まれない状況における利便性の向上等を図ることができる。
【0053】
また、第2係止部49と仮係止部47とにより、仮閉鎖位置にある扉部材7の閉位置側への変位が規制されるとともに、閉位置にある扉部材7の開位置側への変位が規制されるようになっている。従って、構成の複雑化を抑制しつつ、閉位置にある扉部材7の開位置側への変位をより確実に(第1係止部44及び第1被係止部45と協働して)防止することができる。
【0054】
さらに、扉部材7が仮閉鎖位置にある状態では第2係止部49が容器1の外部から視認可能となっている。このため、第2係止部49が仮係止部47と第2被係止部48との間に位置すること、ひいては、扉部材7が仮閉鎖位置にあることを視認して把握することができる。加えて、扉部材7を開位置から仮閉鎖位置とする際に、第2係止部49が第2被係止部48と摺接した状態から、当該摺接が解消される状態とされることで、感触(クリック感)により扉部材7が仮閉鎖位置とされたことを把握することができる。従って、開位置から仮閉鎖位置にまで変位させようとした扉部材7を誤って閉位置にまで変位させてしまうといった事態を抑止することができる。
【0055】
加えて、扉部材7は、閉位置とされた場合に投入開口部6の下縁部と当接してそれ以上の回動変位が規制される規制部36を備え、扉部材7が開位置とされた場合には、規制部36の右端部が仮係止部47と第2被係止部48との間に位置し、仮係止部47と当接することで扉部材7の閉位置側への変位が規制されるようになっている。これにより、扉部材7が開位置にある開状態を保持することが可能なため、例えば、容器1の収容部3に物品を収容する際に扉部材7が意図せずに閉位置側に変位してしまうといった事態を防止することができる。また、仮係止部47及び規制部36を利用して開状態を保持する構成により、構成の複雑化を抑制することができ、構成の複雑化に起因して、扉部材7の開閉操作性が低下したり、塵等が溜まり易くなったり、意匠性が低下したりする等の事態を抑止することができる。
【0056】
また、例えば、第2係止部49や仮係止部47に関連する製造誤差等が生じた場合に、扉部材7が仮閉鎖位置にある状態において第2係止部49と仮係止部47との係り代が大きくなり過ぎて扉部材7を閉位置側に変位させ難い(変位させることができない)、或いは、容器1の閉状態において第2係止部49と仮係止部47との係り代が大きくなり過ぎて扉部材7を開位置側(仮閉鎖位置側)に変位させ難い(変位させることができない)といった事態を招くことが懸念される。さらに、容器1の開状態において、規制部36と仮係止部47との係止状態を解消させることが難しいことが懸念される。この点、本実施形態では、扉部材7の横幅方向(扉部材7の軸線方向)において、第2係止部49、及び、仮係止部47は、扉部材の同じ一側部側(本実施形態では右側)にのみ設けられるとともに、仮係止部47は、投入開口部6の側縁部から投入開口部6の内側に突出して設けられている。このため、扉部材7を変位させる際に扉部材7の横幅方向の他側部側(左側)に扉部材7を相対的に変位させることで、第2係止部49と仮係止部47との係り代(並びに、規制部36と仮係止部47との係り代)を少なくすることができ、仮閉鎖位置と閉鎖位置との間の扉部材7の変位(、並びに、開位置と仮閉鎖位置との間の扉部材7の変位)を比較的スムースに行うことができる。
【0057】
さらに、扉部材7が仮閉鎖位置にある状態では、閉鎖部32が投入開口部6を完全には閉鎖していない状態となるが、閉鎖部32よりも扉部材7の閉位置側(下方)に位置するカバー部51と、扉部材7が仮閉鎖位置及び閉位置にある状態においてカバー部51に対して容器1の内外方向に重なり合う蓋カバー部52とによって、扉部材7が仮閉鎖位置にある状態でも、投入開口部6をほぼ閉鎖した状態とすることができる。従って、物品を容器1に投入するとき以外は扉部材7を仮閉鎖位置とし、容器1の収容部3と、容器1外部との間を極力遮って、容器1の収容部3の環境と、容器1外部の環境とが交わることを極力抑制するといった作用効果がより一層奏される。尚、扉部材7が仮閉鎖位置にある状態において、万一、容器1が倒れたとしても、扉部材7が仮閉鎖位置で維持されていれば(扉部材7は容器1の内方側から外方側に力が加えられても脱落しない構造である上、扉部材7が容器1の内方側から押圧される場合には第2係止部49と第2被係止部48及び仮係止部47との係止状態がより強固となることから仮閉鎖位置が維持され易い)、カバー部51、及び、蓋カバー部52により投入開口部6から物品が容器1の外部に流出してしまうといった事態を防止することができる。
【0058】
加えて、扉部材7は、扉部材7が開位置とされた場合に蓋体4の内側において物品を載置可能とする載置部54を備えている。このため、容器1に収容(投入)される物品の姿勢や落下速度等のばらつきを抑制することができる。さらに、蓋本体5の傾斜部56により、物品が容器本体2の収容部3において扉部材7の開閉を妨げるような位置で一カ所に積み上がることを回避することができる。従って、作業者による特別な作業(例えば、容器1に収容された物品を均す作業)がなくても物品を容器1に効率的に収容することができる。加えて、蓋体4に傾斜部56を備えることで、容器本体2としては、比較的シンプルな形状とすることができ、容器本体2同士を上下に積み重ねることが可能な構成として、保管や運搬に際しての利便性の向上等を図ることができる。尚、扉部材7が開位置にある状態において万一容器1が倒れたとしても、扉部材7が開位置で維持されていれば(扉部材7は容器1の内方側から外方側に力が加えられても脱落しない構造である上、扉部材7が容器1の内方側から押圧される場合には規制部36と第2被係止部48及び仮係止部47との係止状態がより強固となることから開位置が維持され易い)、載置部54、及び、傾斜部56により容器1に収容された物品の投入開口部6側への変位が規制され、投入開口部6から物品が容器1の外部に流出してしまうといった事態を防止することができる。
【0059】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0060】
(a)上記実施形態における解消操作部46の位置については特に限定されるものではなく、扉部材7及び蓋本体5の形状や用途等に応じて適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、扉部材7に解消操作部46が設けられているが、蓋本体5に解消操作部を設けることとしてもよい。態様例としては、蓋本体5の操作収容凹部39、又は、その近傍において、投入開口部6側に突出して下面側に作業者が指先を掛けて上方に力を加えることを可能とする指掛け部や、上方に突出して作業者が摘まんで上方に力を加えることを可能とする摘まみ部を設けることとしてもよい。当該構成を採用する場合、閉状態にある扉部材7を開状態とする際に、指掛け部や摘まみ部を操作してその周辺部を上方に変形させることで、第1被係止部45を上方に変位させ、その状態を維持したまま操作部37を操作することで第1係止部44と第1被係止部45との係止状態を解消することができる。当該構成を採用する場合には、指掛け部や摘まみ部等の作業者が操作する部位と、当該操作に応じて変形して第1被係止部45を変位させる部位とにより解消操作部が構成される。尚、第1係止部44及び第1被係止部45やその周辺部の構成についても特に限定されるものではなく、例えば、被係止突部41を省略する等して扉部材7の回動操作性を高めたり、係止突部43を省略する等して容器1の閉状態において係止構造の所在を外部から視認し難くなるように係止構造を蓋体4の内側に収まるように構成したりする等、適宜変更可能である。
【0061】
また、上記実施形態では、解消操作部46が1箇所に設けられているが、例えば、解消操作部(すなわち、容器1を開封するために係止状態の解消が必要となる箇所)を複数箇所に設けることとしてもよい。例えば、解消操作部を複数箇所(例えば、2箇所)に互いに離間して設け、一人の作業者が両手を使っても全ての解消操作部を操作しつつ操作部37を操作することが不可能な構成としてもよい。この場合、閉状態とされた容器を開状態とする際に複数人(例えば、二人)が必要となり、閉状態とされた容器に収容された物品への取扱いをより厳格なものとすることができる。尚、解消操作部46と操作部37との間の距離は、解消操作部46の位置を変更するだけでなく、操作部37の位置を変更することでも変更可能である。
【0062】
(b)上記実施形態では、扉部材7の閉鎖部32が断面略円弧状をなし、回動変位可能に構成されているが、扉部材7の形状や動作については適宜変更可能である。例えば、扉部材を略平板状とし、投入開口部を四角枠状として当該投入開口部の相対する一対の側縁部において扉部材の側部を支持するレール部を設け、投入開口部の開口面積を変化させるようにして扉部材をスライド変位可能に構成してもよい。当該構成の扉部材においても、第1係止部及び第2係止部を設けることで、閉位置、及び、仮閉鎖位置のそれぞれで保持される上、扉部材のうち閉位置にある場合に第1係止部の周辺部(解消操作部)が容器1の内方側に押圧された状態で扉部材に設けられた操作部が操作されることで、第1係止部と第1被係止部との係止状態が解消され、開位置へと変位可能に構成される。
【0063】
(c)上記実施形態では、扉部材7を仮閉鎖位置で保持する構成として、扉部材7の回動方向において、扉部材7の第2係止部49を、蓋本体5の第2被係止部48と仮係止部47との間に位置させる構成とされているが、例えば、扉部材7において、第2係止部49の他に、扉部材7の回動方向において第2係止部49と対向して閉鎖部32から容器1の外方側に突出する第3係止部を設け、扉部材7の回動方向において、第2係止部49と第3係止部との間に仮係止部47、又は、第2被係止部48(第2被係止部48側を採用する場合には仮係止部47を省略可能)を位置させることで扉部材7が仮閉鎖位置とされるように構成してもよい。尚、扉部材7を仮閉鎖位置で保持する構成を省略することも可能である。
【0064】
(d)上記実施形態では、操作部37を閉鎖部32のうち背板部33と連結されていない側の端縁から離間した位置に設けることとしているが、かかる端縁から扉部材7の外方側に突出するようにして設ける(規制部36よりも扉部材7の外方側に大きく突出させる)ように構成してもよい。この場合、操作収容凹部39を省略すること(閉鎖部32の拡張形状を省略すること)が可能となる。また、かかる操作部37を閉鎖部32のうち背板部33と連結されていない側の端縁から扉部材7の外方側に突出するようにして設ける構成(例えば、操作部37を規制部36と水平方向に連続して一続きに設ける構成)を含め、操作部37を規制部36と兼用する構成を採用してもよい。例えば、上記実施形態において操作部37を構成していた形状を省略する場合には、規制部36を操作して扉部材7の開閉動作を行うこととなる。
【0065】
(e)上記実施形態では、容器本体2、蓋本体5、及び、扉部材7は、ポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、容器1に収容される物品については特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。但し、閉状態とすることで比較的開状態とすることが困難な構成を具備することから、使用済みの注射器等の取扱いに注意を要する物品を運搬する容器として利用することで、容器1の持つ機能を十分に発揮させることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…容器、2…容器本体、3…収容部、4…蓋体、5…蓋本体、6…投入開口部、7…扉部材、31…側板部、32…閉鎖部、34…軸部、36…規制部、37…操作部、38…上縁画定部、41…被係止突部、43…係止突部、44…第1係止部、45…第1被係止部、46…解消操作部、47…仮係止部、48…第2被係止部、49…第2係止部、51…カバー部、52…蓋カバー部、54…載置部、56…傾斜部。