(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062573
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】強化サンドイッチパネル及びその取付構造
(51)【国際特許分類】
E04C 2/38 20060101AFI20230426BHJP
E04C 2/34 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
E04C2/38 C
E04C2/34 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172623
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 安洋
【テーマコード(参考)】
2E162
【Fターム(参考)】
2E162BA02
2E162BB03
2E162CA35
2E162CB02
2E162CB03
2E162CB07
2E162CD01
(57)【要約】
【課題】凹凸形状の金属外皮を有するサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させることができる強化サンドイッチパネル及びその取付構造を提供することを、目的とする。
【解決手段】強化サンドイッチパネル1は、金属外皮2,3とその間に位置する芯材4とを有するパネル本体5と、金属外皮2に取り付けられる補強部材6と、金属外皮2に補強部材6を固定する固定具7とを備える。金属外皮2には、一方向に延び、互いに平行な複数の突条部20が設けられている。補強部材6は、前記一方向に沿った長手方向を有する。強化サンドイッチパネル1の取付構造は、強化サンドイッチパネル1と、強化サンドイッチパネル1が取り付けられる複数の下地材8とを備える。各下地材8は、突条部20の長手方向に対して交差する方向に延びた部材である。補強部材6は、金属外皮2のうち、複数の下地材8に取り付けられる部分とは別の部分に、固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の金属外皮と前記一対の金属外皮の間に位置する芯材とを有するパネル本体と、
前記一対の金属外皮のうちの一方の金属外皮に取り付けられる補強部材と、
前記一方の金属外皮に前記補強部材を固定する固定具と、を備え、
前記一方の金属外皮には、一方向に延び、互いに平行な複数の突条部が設けられており、
前記補強部材は、前記一方向に沿った長手方向を有する、
ことを特徴とする強化サンドイッチパネル。
【請求項2】
前記補強部材は、前記固定具が挿入される貫通孔を有し、
前記固定具は、前記補強部材の前記貫通孔の孔縁に隙間無く嵌まり込んでいる、
ことを特徴とする請求項1に記載の強化サンドイッチパネル。
【請求項3】
前記補強部材は、前記突条部に固定されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の強化サンドイッチパネル。
【請求項4】
前記一方の金属外皮は、屋内側を向く金属外皮である、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の強化サンドイッチパネル。
【請求項5】
前記補強部材は、溝形鋼であり、前記パネル本体とは反対側に開口している、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の強化サンドイッチパネル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の強化サンドイッチパネルと、
互いに間隔をおいて位置し、前記強化サンドイッチパネルが架け渡された状態で取り付けられる複数の下地材と、を備え、
前記複数の下地材のそれぞれは、前記突条部が延びる方向である前記一方向に対して交差する方向に延びた部材であり、
前記補強部材は、前記一方の金属外皮のうち、前記複数の下地材に取り付けられる部分とは別の部分に、固定されている、
ことを特徴とする強化サンドイッチパネルの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、強化サンドイッチパネル及びその取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面板と裏面板とその間に配設された芯材とを備えるサンドイッチパネルが記載されている。
【0003】
表面板には、複数の山部がサンドイッチパネルの長さ方向の全長にわたって設けられている。表面板と裏面板のそれぞれは、金属板をロール成形等の曲げ加工することによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の、表面板に複数の山部が設けられたサンドイッチパネルは、表面板に複数の山部が設けられていない平板状のサンドイッチパネルに比べて、曲げ剛性が高い。
【0006】
このようにサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させるためには、表面板と裏面板のうち少なくとも一方を凹凸形状としたり、表面板、裏面板、又は芯材の厚みを増やす等する必要がある。
【0007】
しかし、金属板は加工性の面で板厚や凹凸形状に制限があり、また、サンドイッチパネルの成形設備にも、成形するサンドイッチパネルの板厚制限があるため、サンドイッチパネルの曲げ剛性の調整は自由度が低いという問題があった。
【0008】
上記事情に鑑みて、本開示は、凹凸形状の金属外皮を有するサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させることができる強化サンドイッチパネル及びその取付構造を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る一態様の強化サンドイッチパネルは、互いに対向する一対の金属外皮と前記一対の金属外皮の間に位置する芯材とを有するパネル本体を備える。一態様の強化サンドイッチパネルは更に、前記一対の金属外皮のうちの一方の金属外皮に取り付けられる補強部材と、前記一方の金属外皮に前記補強部材を固定する固定具と、を備える。前記一方の金属外皮には、一方向に延び、互いに平行な複数の突条部が設けられている。前記補強部材は、前記一方向に沿った長手方向を有する。
【0010】
また、本開示に係る一態様の強化サンドイッチパネルの取付構造は、前記の強化サンドイッチパネルと、互いに間隔をおいて位置し、前記強化サンドイッチパネルが架け渡された状態で取り付けられる複数の下地材と、を備える。前記複数の下地材のそれぞれは、前記突条部が延びる方向である前記一方向に対して交差する方向に延びた部材である。前記補強部材は、前記一方の金属外皮のうち、前記複数の下地材に取り付けられる部分とは別の部分に、固定されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る一態様の強化サンドイッチパネル及びその取付構造によれば、凹凸形状の金属外皮を有するサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示に係る一実施形態の強化サンドイッチパネル及びその取付構造を示す概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の強化サンドイッチパネルを、その長手方向に見た状態を示す概略的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(一実施形態)
1.概要
図1に示す一実施形態の強化サンドイッチパネル1は、互いに対向する一対の金属外皮2,3と一対の金属外皮2,3の間に位置する芯材4とを有するパネル本体5を備える。強化サンドイッチパネル1は更に、一対の金属外皮2,3のうちの一方の金属外皮2に取り付けられる補強部材6と、一方の金属外皮2に補強部材6を固定する固定具7と、を備える。一方の金属外皮2には、一方向に延び、互いに平行な複数の突条部20が設けられている。補強部材6は、前記一方向に沿った長手方向を有する。
【0014】
また、一実施形態の強化サンドイッチパネル1の取付構造は、前記の強化サンドイッチパネル1と、互いに間隔をおいて位置し、強化サンドイッチパネル1が架け渡された状態で取り付けられる複数の下地材8と、を備える。複数の下地材8のそれぞれは、突条部20が延びる方向である前記一方向に対して交差する方向に延びた部材である。補強部材6は、一方の金属外皮2にうち、複数の下地材8に取り付けられる部分とは別の部分に、固定されている。
【0015】
上記構成を備える本実施形態の強化サンドイッチパネル1及びその取付構造では、複数の突条部20が設けられた凹凸形状の金属外皮2の曲げ剛性を、突条部20が延びる一方向に沿った長手方向を有する補強部材6によって更に向上させることができる。そのため、本実施形態の強化サンドイッチパネル1及びその取付構造では、凹凸形状の金属外皮2を有するサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させることができる。
【0016】
2.詳細
続いて、
図1及び
図2に示す本実施形態の強化サンドイッチパネル1(以下「パネル1」と記載する)とその取付構造の各構成について、更に詳しく説明する。パネル1の取付構造は、例えば、上面が略フラットな屋根下地を構成する。以下では、
図1に示す取付構造を基準として、パネル1が有する複数の突条部20が並ぶ方向を左右方向とし、複数の突条部20が延びる方向を前後方向とし、パネル1の厚み方向を上下方向として、パネル1及びその取付構造の各構成について詳しく説明する。
【0017】
パネル1は、パネル本体5と、補強部材6と、固定具7と、を備える。パネル1の取付構造は、パネル1と、複数の下地材8と、を備える。
【0018】
2-1.パネル本体
パネル本体5は、互いに対向する一対の金属外皮2,3と、一対の金属外皮2,3の間に位置する芯材4と、を有する。一方の金属外皮2には、一方向に延び、互いに平行な複数の突条部20が設けられている。
【0019】
本実施形態では、一方の金属外皮2は、下側(屋内側)を向く金属外皮であり、他方の金属外皮3は、上側(屋外側)を向く金属外皮である。
【0020】
パネル本体5は、突条部20の延びる一方向に対して平行な長手方向を有する板状の部材である。パネル本体5は、前後方向に対して平行な長さ方向と、左右方向に対して平行な幅方向と、上下方向に対して平行な厚み方向とを有する。
【0021】
金属外皮2,3のそれぞれは、金属板により構成されている。金属板としては、例えば、ステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)などが用いられる。金属外皮2,3のそれぞれは、ロール成形等の曲げ加工により形成されている。金属外皮2,3のそれぞれは、長さ方向(前後方向)に直交する断面形状が、長さ方向の全長にわたって一定である。
【0022】
芯材4は、金属外皮2,3の間に充填されている。芯材4は、断熱材または耐火材により構成される。芯材4としては、例えば、ロックウールやグラスウールなどの無機繊維板、あるいはフェノールフォームやウレタンフォームやイソシアヌレートフォームなどの樹脂発泡体などが用いられる。
【0023】
下側(屋内側)の金属外皮2には、前後方向に延び、互いに平行な複数の突条部20が設けられている。複数の突条部20のそれぞれは、下側(屋内側)に向けて突出している。複数の突条部20のそれぞれは、金属外皮2の長さ方向(前後方向)の全長にわたって設けられている。複数の突条部20は、金属外皮2の幅方向(左右方向)に間隔をおいて位置する。本実施形態では、複数の突条部20は、等間隔に配置されている。
【0024】
金属外皮2は、幅方向(左右方向)に隣接する二つの突条部20の間に位置する平板部21を複数有する。突条部20と平板部21とは、金属外皮2の幅方向に、交互に1つずつ並んでいる。
【0025】
複数の突条部20は、金属外皮2の幅方向の一端部に位置する端部突条部20aと、金属外皮2の幅方向の他端部に位置する端部突条部20bと、端部突条部20a,20bの間に位置する複数の中間突条部20cと、を含む。
【0026】
突条部20a,20b,20cのそれぞれは、隣接する平板部21から下側(屋内側)に向けて斜めに突出した少なくとも1つの側板部22と、この側板部22と連続し、突出方向の先端に位置する先端板部23と、を有する。側板部22は、平板状又は略平板状であり、先端板部23は、平板状である。先端板部23は、平板部21に対して平行である。
【0027】
本実施形態では、金属外皮2は、3つの中間突条部20cを有する。3つの中間突条部20cのそれぞれは、2つの側板部22と、1つの先端板部23と、を有する。2つの側板部22は、先端板部23に近い部分ほど、2つの側板部22の間の間隔が狭まるように、設けられている。
【0028】
端部突条部20aは、本実施形態では、金属外皮2の左端部に位置している。端部突条部20aは、右側1つの側板部22と1つの先端板部23と、を有する。端部突条部20aは、先端板部23の左端から上側(屋外側)に向けて斜めに延びた端縁部24を更に有する。端縁部24は、側板部22よりも上下方向に短く、例えば、側板部22の長さの三分の一程度である。
【0029】
端部突条部20bは、本実施形態では、金属外皮2の右端部に位置している。端部突条部20bは、左側1つの側板部22と1つの先端板部23と、を有する。端部突条部20bは、先端板部23の右端から上側(屋外側)に向けて斜めに延びた端縁部24を更に有する。端縁部24は、側板部22よりも上下方向に短く、例えば、側板部22の長さの三分の一程度である。
【0030】
上側(屋外側)の金属外皮3には、一方向(前後方向)に延び、互いに平行な複数の溝部30が形成されている。複数の溝部30のそれぞれは、下側(屋内側)に向けて凹んでいる。複数の溝部30のそれぞれは、金属外皮3の長さ方向(前後方向)の全長にわたって設けられている。複数の溝部30は、金属外皮3の幅方向(左右方向)に間隔をおいて位置する。本実施形態では、複数の溝部30は、等間隔に配置されている。
【0031】
金属外皮3は、溝部30に対して幅方向(左右方向)に並んで位置する複数の平板部31を有する。平板部31と溝部30とは、金属外皮3の幅方向に、交互に1つずつ並んでいる。
【0032】
本実施形態では、金属外皮3は、3つの溝部30を有する。3つの溝部30のそれぞれは、左右方向に隣接する2つの平板部31のそれぞれから下側(屋内側)に向けて斜めに突出した2つの側板部32と、2つの側板部32と連続し、溝部30の底面を構成する底板部33と、を有する。2つの側板部32と底板部33のそれぞれは、平板状である。底板部33は、平板部31に対して平行である。2つの側板部32は、底板部33に近い部分ほど、2つの側板部32の間の間隔が狭くなるように、設けられている。各溝部30の上下方向の長さは、各突条部20の上下方向の長さよりも短く、例えば、三分の一以下である。
【0033】
3つの溝部30は、金属外皮3のうち、金属外皮2の3つの中間突条部20cに対して対向する位置に配置されている。
【0034】
本実施形態では、3つの溝部30のうち、中央に位置する溝部30は、両端に位置する溝部30よりも幅広である。中央の溝部30の底板部33は、両端の溝部30の底板部33よりも左右方向に若干長い。
【0035】
金属外皮3は、幅方向の一端部(本実施形態では左端部)に位置する目地覆い部34及び端縁部35と、幅方向の他端部(本実施形態では右端部)に位置する凹段部36及び端縁部37と、を更に有する。目地覆い部34は、左端の平板部31と連続しており、凹段部36は、右端の平板部31と連続している。
【0036】
目地覆い部34は、金属外皮2よりも左右方向外側(左側)に突出している。目地覆い部34の断面形状は、右方に向けて開口したU字状である。端縁部35は、目地覆い部34と連続しており、目地覆い部34よりも下側(屋内側)でかつ右側に位置している。端縁部35の断面形状は、L字状である。端縁部35は、金属外皮2の左の端縁部24に対向して位置する。
【0037】
凹段部36は、平板部31よりも下側(屋内側)に位置するように凹んでいる。凹段部36の断面形状は、L字状である。凹段部36は、金属外皮2の右端部の端部突条部20bの側板部22に対向して位置する。凹段部36の左右方向の長さは、目地覆い部34の左右方向の長さよりも僅かに長い。凹段部36の上下方向の長さは、目地覆い部34の上下方向よりも僅かに長い。端縁部37は、凹段部36と連続しており、凹段部36の下側(屋内側)に折り返されている。
【0038】
金属外皮2,3は、金属外皮2の左の端縁部24に金属外皮3の左の端縁部35が対向し、金属外皮2の右の端部突条部20bの側板部22に金属外皮3の右の端縁部37が対向するように配置されている。芯材4は、金属外皮2,3のうち、上下方向に対向する部分の間に充填されている。
【0039】
パネル本体5では、金属外皮3の左の目地覆い部34が、芯材4及び金属外皮2よりも左に突出し、金属外皮2の右の端部突条部20bの側板部22の一部と先端板部23と右の端縁部24とが、芯材4及び金属外皮3よりも右側に突出している。
【0040】
金属外皮2の右の端部突条部20bの先端板部23の上側(屋外側)を向く面には、テープ状のシーリング材50が取り付けられている。芯材4の左の端面、金属外皮3の左の端縁部35及び金属外皮2の左の端縁部24には、パッキン51が取り付けられている。パッキン51は、有機系材料で形成されている。
【0041】
2-2.補強部材
補強部材6は、突条部20が延びる方向である一方向に沿った長手方向を有する。本実施形態では、補強部材6は、溝形鋼であり、パネル本体5とは反対側に開口している。より詳しくは、補強部材6は、長手方向に直交する断面形状がC字状のリップ溝形鋼である。
【0042】
補強部材6は、ウェブ60と、ウェブ60の左右両端から下側(屋内側)に延びた一対のフランジ61と、を有する。一対のフランジ61のそれぞれは、断面L字状である。一対のフランジ61のそれぞれは、ウェブ60の左右両端から直線状に延びる本体部分と、その先端からウェブ60と平行に延びる先端部分とを有する。補強部材6は、一対のフランジ61の先端部分の間に位置する開口62を有する。
【0043】
補強部材6は、突条部20よりも短い。補強部材6は、例えば、パネル1を支持する複数の下地材8のうち、隣接する2つの下地材8,8の間の間隔よりも短い。
【0044】
補強部材6は、固定具7が挿入される貫通孔63を有する。固定具7は、補強部材6の貫通孔63の孔縁に隙間無く嵌まり込む。本実施形態では、貫通孔63は、ウェブ60に設けられている。貫通孔63の径は、固定具7の径に合わせて設定される。ウェブ60には、少なくとも1つの貫通孔63が設けられている。ウェブ60に、複数の貫通孔63が設けられる場合、複数の貫通孔63は、ウェブ60の長手方向(前後方向)の間隔をおいて位置する。
【0045】
補強部材6は、少なくとも1つの固定具7によって金属外皮2に固定される。本実施形態では、補強部材6は、金属外皮2の突条部20に固定具7で固定されている。補強部材6が金属外皮2に固定された状態において、ウェブ60は突条部20の先端板部23に当たり、固定具7はウェブ60の貫通孔63の孔縁に隙間なく嵌まり込む。固定具7は突条部20の先端板部23を貫通して、固定具7の先端部が芯材4に埋め込まれる。このように補強部材6の貫通孔63の孔縁に隙間無く嵌まり込む固定具7によって補強部材6を金属外皮2に固定することで、金属外皮2に対する補強部材6の位置ズレが防がれ、金属外皮2と補強部材6の一体化が図りやすい。
【0046】
本実施形態では、パネル1は、複数の補強部材6を備える。複数の補強部材6は、例えば、3つの中間突条部20cのうちの両端2つの中間突条部20cのそれぞれに固定されている。また、両端2つの中間突条部20cのそれぞれには、突条部20cの長手方向に間隔をおいて複数(本実施形態では2つ)の補強部材6が取り付けられている。
【0047】
金属外皮2への補強部材6の固定は、工場で行ってもよいし、施工現場で行ってもよい。
【0048】
2-3.固定具
固定具7は、補強部材6を金属外皮2に固定する部材である。固定具7は、例えば、ドリルビス又はタッピングビスであり、金属製である。固定具7としては、補強部材6の貫通孔63の孔縁に対して隙間無く嵌まり込む径のものが用いられる。
【0049】
2-4.複数の下地材
複数の下地材8は、互いに間隔をおいて位置し、パネル1が架け渡された状態で取り付けられる。
【0050】
複数の下地材8のそれぞれは、本実施形態では、パネル本体5の幅方向(左右方向)に延びた部材である。複数の下地材8は、互いに平行であり、前後方向(軒棟方向)に間隔をおいて位置する。複数の下地材8のそれぞれは、例えば、母屋である。本実施形態では、複数の下地材8のそれぞれは、棟側に向けて開口したリップ溝形鋼によって構成されている。隣接する2つの下地材8,8の間の間隔は、例えば、1~4mである。
【0051】
2-5.強化サンドイッチパネルの取付構造
パネル1の取付構造は、パネル1と、複数の下地材8と、を備える。この取付構造は、パネル1を複数の下地材8に固定するビス等の固定具(図示せず)を更に備える。固定具は、パネル1の金属外皮2,3及び芯材4を貫通して、パネル1を各下地材8に固定する。
【0052】
パネル1の取付構造では、複数の補強部材6は、金属外皮2のうち、複数の下地材8に取り付けられる部分とは別の部分に、固定されている。一部の補強部材6は、複数の下地材8のうち互いに隣接する2つの下地材8,8の間に位置している。パネル1は、パネル本体5のうち、補強部材6が固定されている部分とは別の部分が、下地材8の上にビス等の固定具によって固定されている。
【0053】
パネル1の取付構造では、パネル1は、複数の下地材8に架け渡された状態で、複数の下地材8に取り付けられている。複数の補強部材6は、複数の下地材8から前後方向(軒棟方向)に離れて位置している。なお、複数の補強部材6は、建物の躯体を構成する垂木や登り梁とは別の部材であり、パネル本体5に対してのみ接続されている。
【0054】
3.作用効果
以上説明した本実施形態のパネル1では、複数の突条部20が設けられた凹凸形状の金属外皮2の曲げ剛性を、突条部20が延びる一方向に沿った長手方向を有する補強部材6によって更に向上させることができる。そのため、本実施形態のパネル1では、凹凸形状の金属外皮2を有するサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態のパネル1では、金属外皮2のうち突条部20が設けられて面外剛性が向上した部分に補強部材6を固定しているため、火災時にも突条部20が面外変形しにくくて突条部20に補強部材6が一体に固定された状態を維持しやすい。
【0056】
また、本実施形態のパネル1では、金属外皮2のうち、下地材8への固定箇所を除いた部分に補強部材6を固定しているため、パネル1を複数の下地材8に取り付ける際に、補強部材6が邪魔になりにくい。
【0057】
また、本実施形態のパネル1では、補強部材6の貫通孔63の孔縁に隙間無く嵌まり込む固定具7によって、補強部材6をパネル本体5に固定している。そのため、本実施形態のパネル1では、補強部材6がパネル本体5に対して一体化しやすくて、補強部材6による曲げ剛性の強化を図りやすい。
【0058】
また、本実施形態のパネル1では、補強部材6が溝形鋼であるため、補強部材6の重量を抑えたうえで、パネル1の曲げ剛性を高めやすい。また、溝形鋼からなる補強部材6は、パネル本体5とは反対側に開口し、ウェブ60に貫通孔63を有しているため、パネル本体5に対して補強部材6を取り付けやすい。
【0059】
また、本実施形態のパネル1では、パネル本体5への補強部材6の固定を、接着剤ではなくドリルビス等の金属製の固定具によって行っている。そのため、本実施形態のパネル1では、火災時にパネル本体5から補強部材6が剥がれ落ちることを防ぐことができて、火災時においても曲げ剛性を確保しやすい。
【0060】
また、本実施形態のパネル1の取付構造では、パネル1の曲げ剛性を補強部材6によって高めることができるため、パネル1を支持する複数の下地材8の間隔を広げることができる。
【0061】
また、本実施形態のパネル1では、上側(屋外側)の金属外皮3に複数の溝部30を設けているため、パネル1の曲げ剛性が更に向上している。
【0062】
本実施形態のパネル1の取付構造では、上側(屋外側)の金属外皮3は、複数の突条部20を有しておらず略フラットであるため、屋根下地として利用する際に、防水シートを金属外皮3の上側(屋外側)の面に貼り付けやすい。
【0063】
4.変形例
続いて、上述したパネル1及びその取付構造の変形例について説明する。以下に説明する各変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0064】
補強部材6は、複数の突条部20が設けられた金属外皮2に固定されればよく、補強部材6の固定箇所は、突条部20の先端板部23に限らず、突条部20の側板部22であってもよいし、平板部21であってもよい。
【0065】
補強部材6は、溝形鋼に限らず、その他の凹凸形状を有する金属部材であってもよいし、また、平板状であってもよい。
【0066】
固定具7と補強部材6の貫通孔63の孔縁との間には隙間が形成されてもよく、貫通孔63の寸法は、適宜設定可能である。
【0067】
パネル1は、金属外皮3に固定される他の補強部材を更に備えてもよい。
【0068】
パネル1は、屋根下地に限らず、壁下地を構成してもよく、この場合、上下方向に延び、左右方向に間隔をおいて位置する複数の下地材8に対してパネル1が取り付けられる。
【0069】
パネル1の取付構造は、左右方向(軒に沿った方向)又は前後方向(軒棟方向)又はその両方に並ぶ複数のパネル1を備えてもよい。
【0070】
この場合、左右方向に隣接する2つのパネル1は、以下のように接続される。一方(左側)のパネル1の上側(屋外側)の凹段部36に、他方(右側)のパネル1の目地覆い部34が収まる。他方(右側)のパネル1の下側(屋内側)の金属外皮2の端部突条部20aの下側(屋内側)に、シーリング材50を介して、一方(左側)のパネル1の金属外皮2の端部突条部20bが重なる。一方(左側)のパネル1の芯材4の右の側端面と、他方のパネル1の芯材4の左の側端面との間にパッキン51が挟まれる。左右方向に隣接する2つのパネル1は、互いに接続された部分を貫通するビス等の固定具によって下地材8に固定される。
【0071】
パネル本体5は、
図1,2に示す構造に限定されない。金属外皮2は、複数の突条部20を有する凹凸形状のものであればよく、突条部20の形状、サイズ、及び数は、
図1,2に示す形状、サイズ、及び数に限定されない。また、金属外皮3は、複数の溝部30を有さない平板状であってもよい。
【0072】
(まとめ)
以上説明した一実施形態及びその変形例のように、第一態様の強化サンドイッチパネル(1)は、下記の構成を備える。
【0073】
すなわち、第一態様の強化サンドイッチパネル(1)は、互いに対向する一対の金属外皮(2,3)と一対の金属外皮(2,3)の間に位置する芯材(4)とを有するパネル本体(5)を備える。第一態様の強化サンドイッチパネル(1)は更に、一対の金属外皮(2,3)のうちの一方の金属外皮(2)に取り付けられる補強部材(6)と、一方の金属外皮(2)に補強部材(6)を固定する固定具(7)と、を備える。一方の金属外皮(2)には、一方向に延び、互いに平行な複数の突条部(20)が設けられている。補強部材(6)は、前記一方向に沿った長手方向を有する。
【0074】
上記構成を備える第一態様の強化サンドイッチパネル(1)では、複数の突条部(20)が設けられた凹凸形状の金属外皮(2)の曲げ剛性を、突条部(20)が延びる一方向に沿った長手方向を有する補強部材(6)によって更に向上させることができる。そのため、第一態様の強化サンドイッチパネル(1)では、凹凸形状の金属外皮(2)を有するサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させることができる。
【0075】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第二態様の強化サンドイッチパネル(1)は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0076】
すなわち、第二態様の強化サンドイッチパネル(1)では、補強部材(6)は、固定具(7)が挿入される貫通孔(63)を有し、固定具(7)は、補強部材(6)の貫通孔(63)の孔縁に隙間無く嵌まり込んでいる。
【0077】
上記構成を備える第二態様の強化サンドイッチパネル(1)では、補強部材(6)の貫通孔(63)の孔縁に隙間無く嵌まり込んだ固定具(7)によって補強部材(6)をパネル本体(5)に固定できる。そのため、第二態様の強化サンドイッチパネル(1)では、補強部材(6)をパネル本体(5)に一体化させやすくて、曲げ剛性を高めやすい。
【0078】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第三態様の強化サンドイッチパネル(1)は、第一又は第二の態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0079】
すなわち、第三態様の強化サンドイッチパネル(1)では、補強部材(6)は、突条部(20)に固定されている。
【0080】
上記構成を備える第三態様の強化サンドイッチパネル(1)では、金属外皮(2)のうち突条部(20)が設けられて面外剛性が向上した部分に補強部材(6)が固定されている。そのため、第三態様の強化サンドイッチパネル(1)では、火災時等にも突条部(20)が面外変形しにくくて、金属外皮(2)と補強部材(6)とが一体化した状態を維持しやすい。
【0081】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第四態様の強化サンドイッチパネル(1)は、第一から第三のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0082】
すなわち、第四態様の強化サンドイッチパネル(1)では、一方の金属外皮(2)は、屋内側を向く金属外皮である。
【0083】
上記構成を備える第四態様の強化サンドイッチパネル(1)では、パネル本体(5)に固定した補強部材(6)が屋外側に露出せず、強化サンドイッチパネル(1)の外観を変えずに、曲げ剛性を向上させることができる。
【0084】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第五態様の強化サンドイッチパネル(1)は、第一から第四のいずれか一つの態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0085】
すなわち、第五態様の強化サンドイッチパネル(1)では、補強部材(6)は、溝形鋼であり、パネル本体(5)とは反対側に開口している。
【0086】
上記構成を備える第五態様の強化サンドイッチパネル(1)では、補強部材(6)が溝形鋼であるため、補強部材(6)の重量を抑えたうえで、補強部材(6)によってサンドイッチパネルの曲げ剛性を高めることができる。また、第五態様の強化サンドイッチパネル(1)では、溝形鋼である補強部材(6)が、パネル本体(5)とは反対側に開口しているため、補強部材(6)をパネル本体(5)に対して固定具(7)で固定する作業が行いやすい。
【0087】
また、上述した一実施形態及びその変形例のように、第六態様の強化サンドイッチパネル(1)の取付構造は、第一から第五のいずれか一つの態様の強化サンドイッチパネル(1)と、複数の下地材(8)と、を備える。複数の下地材(8)は、互いに間隔をおいて位置し、強化サンドイッチパネル(1)が架け渡された状態で取り付けられる。複数の下地材(8)のそれぞれは、突条部(20)が延びる方向である前記一方向に対して交差する方向に延びた部材である。補強部材(6)は、一方の金属外皮(2)のうち、複数の下地材(8)に取り付けられる部分とは別の部分に固定されている。
【0088】
上記構成を備える第六態様の強化サンドイッチパネル(1)の取付構造では、複数の突条部(20)が設けられた凹凸形状の金属外皮(2)の曲げ剛性を、突条部(20)が延びる一方向に沿った長手方向を有する補強部材(6)によって更に向上させることができる。そのため、第六態様の強化サンドイッチパネル(1)の取付構造では、凹凸形状の金属外皮(2)を有するサンドイッチパネルの曲げ剛性を向上させることができる。加えて、第六態様の強化サンドイッチパネル(1)の取付構造では、補強部材(6)は金属外皮(2)のうち複数の下地材(8)に取り付けられる部分とは別の部分に固定されている。そのため、強化サンドイッチパネル(1)を複数の下地材(8)に取り付ける際に、補強部材(6)と各下地材(8)とが干渉しにくい。
【0089】
以上、本開示を添付図面に示す形態に基づいて説明したが、上記形態は本開示の一例にすぎず、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 強化サンドイッチパネル
2 金属外皮
20 突条部
3 金属外皮
4 芯材
5 パネル本体
6 補強部材
63 貫通孔
7 固定具
8 下地材