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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062582
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】制振装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20230426BHJP
   F16F 15/06 20060101ALI20230426BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20230426BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20230426BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
F16F15/04 B
F16F15/06 G
F16F15/08 E
F16F15/02 M
E04H9/02 341C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172639
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】392009283
【氏名又は名称】平和発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 典生
(72)【発明者】
【氏名】増田 潔
(72)【発明者】
【氏名】荒木 陽三
(72)【発明者】
【氏名】▲ケイ▼ 超
(72)【発明者】
【氏名】石塚 太
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC19
2E139BB02
2E139BB26
2E139BB49
3J048AA02
3J048AD16
3J048BA24
3J048BC04
3J048BD08
3J048CB21
3J048DA01
(57)【要約】
【課題】薄型化とコストダウンが可能な制振装置を提供すること。
【解決手段】建築物の床の上下方向の振動を制振する制振装置であって、ベースプレートと、前記ベースプレート上で上下方向に変位自在に設けられた錘部材と、前記錘部材の上下振動に対して減衰力を与える減衰要素と、前記錘部材を上方向に付勢するバネ要素と、を備え、前記バネ要素は、前記ベースプレートと前記錘部材との隙間に配置された板バネである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の床の上下方向の振動を制振する制振装置であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレート上で上下方向に変位自在に設けられた錘部材と、
前記錘部材の上下振動に対して減衰力を与える減衰要素と、
前記錘部材を上方向に付勢するバネ要素と、を備え、
前記バネ要素は、前記ベースプレートと前記錘部材との隙間に配置された板バネである、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制振装置であって、
前記減衰要素は、前記ベースプレートと前記錘部材との隙間に配置された粘弾性体である、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の制振装置であって、
前記板バネは、帯状の板バネであり、
前記板バネの長手方向の一方端部は前記ベースプレートに固定され、他方端部は前記錘部材に固定されずに当接している、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項4】
請求項3に記載の制振装置であって、
前記板バネの前記一方端部は、弧状に曲折されており、その曲面が前記ベースプレートに当接して固定され、
前記板バネの前記他方端部は、弧状に曲折されており、その曲面が前記錘部材に当接している、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の制振装置であって、
前記バネ要素として、前記板バネを複数備え、
複数の前記板バネは、前記ベースプレートの異なる位置に固定され、かつ、長手方向が同じ方向を指向している、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の制振装置であって、
前記ベースプレートは、前記ベースプレートに対する前記錘部材の上下方向の変位を案内するガイド手段を備える、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項7】
請求項6に記載の制振装置であって、
前記ガイド手段は、前記ベースプレートに立設された案内軸であり、前記錘部材には前記案内軸が遊嵌する穴が形成されている、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項5のいずれか一項に記載の制振装置であって、
前記板バネは、前記一方端部において固定位置を調整可能なように前記ベースプレートに固定されている、
ことを特徴とする制振装置。
【請求項9】
請求項3又は請求項4に記載の制振装置であって、
前記バネ要素として、前記板バネを複数備え、
複数の前記板バネは、前記ベースプレートの異なる位置に固定され、かつ、幅が異なる板バネを含む、
ことを特徴とする制振装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床構造に設置される制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
構造物を制振装置で制振する技術が知られている。特許文献1には主に水平振動の制振に適した同調質量ダンパー(TMD:Tuned Mass Damper)が開示されている。建築物においては、その内部における人の歩行や、外部の車両走行などを要因とした床の鉛直方向の振動が問題になることがある。特許文献2には主にこうした上下振動の制振に適したTMDが開示されている。TMDに代表される制振装置は、錘、バネ要素、及び、減衰要素から構成されており、床の上下振動を抑制する場合、その固有振動数を床の構造躯体の固有振動数と近くなるように調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4347737号公報
【特許文献2】特許第4503493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人の歩行等による上下振動を制振する制振装置は、個々の構造躯体に対応したチューニングが要求される上に、フロアパネルとスラブとの間の狭い隙間に設置され、薄型化が要求される。また、設置数が多いほど、制振効果が期待されるがコストアップの要因となる。
【0005】
本発明の目的は、薄型化とコストダウンが可能な制振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
建築物の床の上下方向の振動を制振する制振装置であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレート上で上下方向に変位自在に設けられた錘部材と、
前記錘部材の上下振動に対して減衰力を与える減衰要素と、
前記錘部材を上方向に付勢するバネ要素と、を備え、
前記バネ要素は、前記ベースプレートと前記錘部材との隙間に配置された板バネである、
ことを特徴とする制振装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、薄型化とコストダウンが可能な制振装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)及び(B)は本発明の一実施形態に係る制振装置の平面図及び正面図。
図2】(A)は図1(B)のA-A線断面図、(B)は錘部材及びバネ要素の一つを取り外し状態の制振装置の平面図。
図3】(A)はバネ要素の平面図、(B)は図3(A)のB-B線断面図。
図4】(A)はバネ要素の別の例の平面図、(B)はバネ要素の別の例の平面図。
図5】バネ要素の別の配置例を示す、錘部材を取り外し状態の制振装置の平面図。
図6】(A)は、バネ要素の別の配置例を示す、錘部材を取り外し状態の制振装置の平面図、(B)はバネ要素の別の例の説明図。
図7】ガイド構造の別の例の説明図。
図8】(A)はシミュレーションの対象である構造躯体の概要図、(B)はシミュレーション結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<第一実施形態>
図1(A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る制振装置1の平面図及び正面図、図2(A)は図1(B)のA-A線断面図、図2(B)は錘部材3及びバネ要素5の一つを取り外した状態の制振装置1の平面図である。各図において、矢印X及びYは、制振装置1を建築物の床(例えばスラブ)に設置した場合における、互いに直交する水平二方向を示し、矢印Zは上下方向を示す。
【0011】
制振装置1は、TMDであり、ベースプレート2と、錘部材3と、減衰要素4と、バネ要素5とを備える。制振装置1は、全体として扁平な直方体形状、特に立方体形状を有しており、建築物の床のフロアパネルとスラブとの間の狭い隙間に設置可能である。錘部材3の質量と、減衰要素4の減衰特定と、バネ要素5のバネ定数を、床の構造躯体に対応してチューニングすることで、床の上下振動を制振することができる。
【0012】
ベースプレート2は、矩形の板状の部材であり、建築物の床に載置又は固定される。錘部材3は、ベースプレート2よりも肉厚で矩形の板状の部材である。ベースプレート2と錘部材3とは、本実施形態の場合、平面視で同形であり、正方形である。複数の制振装置1をマトリックス状に配置する場合、より狭い設置面積に多数の制振装置1を収まりよく配置することができる。
【0013】
ベースプレート2は、ベースプレート2に対する錘部材3のZ方向の変位を案内するガイド構造として、案内軸6が設けられている。また、このガイドは地震など大きな水平力が作用した場合に、錘部材3が横ずれすることを防止する役割もはたす。本実施形態の場合、Z方向に延びる複数の案内軸6がベースプレート2の異なる位置に立設されている。錘部材3には案内軸6が挿入される穴3aが形成されている。穴3aの直径D1と、案内軸6の直径D2との関係は、D1>D2にあり、案内軸6と穴3aとの嵌め合いは遊嵌である。D1、D2の寸法関係は、例えば、D1=D2+2mmである。案内軸6と穴3aとの嵌め合いが遊嵌であることにより、錘部材3はベースプレート2に対して、案内軸6と穴3aの遊びの範囲内でX方向及びY方向にも変位可能である。
【0014】
減衰要素4は、錘部材3の上下振動に対して減衰力を与える。減衰要素4は、本実施形態の場合、ブロック形状の粘弾性体であり、粘弾性体としては例えばアクリロニトリルブタジエンゴムやブチルゴムやポリウレタン等である。減衰要素4は、本実施形態の場合、ベースプレート2に固定されており、ベースプレート2の中央部に一つ設けられている。減衰要素4は、ベースプレート2上の異なる位置に複数設けられてもよい。減衰要素4は、錘部材3には固定されておらず、錘部材3の底面に当接している。しかし、減衰要素4が錘部材3に固定され、ベースプレート2に当接した構成であってもよい。減衰要素4は、ベースプレート2と錘部材3との隙間Sに配置されている。減衰要素4がベースプレート2及び錘部材3の外形内収められるので、制振装置1の小型化が図れる。
【0015】
バネ要素5は、錘部材3を上方向に付勢する。本実施形態の場合、バネ要素5は複数(4つ)設けられており、ベースプレート2の四隅に配置され、ベースプレート2に固定されている。バネ要素5は、錘部材3には固定されておらず、錘部材3の底面に当接している。しかし、バネ要素5が錘部材3に固定され、ベースプレート2に当接した構成であってもよい。
【0016】
バネ要素5は板バネであり、ベースプレート2と錘部材3との隙間Sに配置されている。バネ要素5として板バネを利用することで、例えば、TMDに一般的に用いられているコイルバネに比べて、ばね定数の微調整が容易で、しかも、狭い隙間Sに配置することができる。隙間Sが狭いことにより、制振装置1が同じ全高であれば、錘部材3の高さを高くとることができ、錘部材3の質量を大きくすることができる。また、バネ要素5を隙間Sに配置することで、バネ要素5をベースプレート2及び錘部材3の外形内収められるので、制振装置1の小型化が図れる。
【0017】
このように本実施形態の制振装置1によれば、薄型化とコストダウンが図れる。
【0018】
図3(A)及び図3(B)も参照してバネ要素5について更に説明する。図3(A)はバネ要素5の平面図、図3(B)は図3(A)のB-B線断面図である。
【0019】
本実施形態のバネ要素5は、帯状の板バネであり、平面視で矩形状を有している。バネ要素5の長手方向の一方端部5aはベースプレート2に固定された固定端であり、他方端部5bは錘部材3の底面に固定されずに当接している自由端であって、片持ちバネを形成している。本実施形態の制振装置1では、錘部材3は、減衰要素4とバネ要素5とに固定されずに単に載置されているだけである。
【0020】
バネ要素5の一方端部5aには、バネ要素5の長手方向に配列された複数の取付穴H1~H4が、幅方向に離間して二列形成されている。ベースプレート2には、バネ要素5を固定する一対の取付穴2aが形成されている。固定具7を、取付穴H1~H4の一つと取付穴2aに挿通してバネ要素5をベースプレート2に固定する。固定具7は例えばボルトであり、取付穴2aは例えばネジ穴である。図2(B)の例では取付穴H2が選択されている。バネ要素5の固定方法は本実施形態の構造に限らず、種々の構造を採用可能である。
【0021】
バネ要素5は、側面視で一方端部5aから他方端部5bに向けて斜めに延設されており、錘部材3がベースプレート2に近接する方向に変位することに抵抗する。バネ要素5は側面視でS字形状を有しており、一方端部5aはベースプレート2の側に凸の弧状に曲折されており、他方端部5bは錘部材3の側に凸の弧状に曲折されている。他方端部5bの曲率半径は一方端部5aの曲率半径よりも短い。
【0022】
他方端部5bは、その弧状の曲面が錘部材3の底面に当接している。錘部材3が上下に振動する際、他方端部5bと錘部材3との当接位置が、錘部材3が曲面を転がるようにして曲面上で水平方向(本実施形態ではX方向)にずれることで、その摩擦を低減できる。また、本実施形態の場合、錘部材3はベースプレート2に対して、案内軸6と穴3aの遊びの範囲内で水平方向に変位可能であるため、錘部材3の上下振動に対して、他方端部5bと錘部材3との摩擦を低減できる。
【0023】
本実施形態の場合、四つのバネ要素5の全てにおいて、バネ要素5の長手方向が同じ方向(X方向)を指向している。錘部材3が上下に振動する際、各バネ要素5において、他方端部5bと錘部材3との当接位置が同じ方向(X方向)にずれるため、その摩擦を更に低減できる。
【0024】
バネ要素5の一方端部5aも弧状の曲面がベースプレート2の上面に当接した状態で固定されている。取付穴H1~H4は、曲面上に形成されている。取付穴H1~H4を変えることで、バネ要素5のベースプレート2に対する固定位置と、錘部材3に対する当接位置との間の長さ(バネの有効長)Lが変化する。長さLが短いとバネ定数が大きくなり、長さLが長いとバネ定数が大きく小さくなる。取付穴H1~H4の選択によって、バネ要素5のバネ定数の微調整が可能である(図3(B)では取付穴H3の選択が想定されている)。また、取付穴H1~H4の選択によって、ベースプレート2に対するバネ要素5の傾きθ及び高さHも変化させることができる。取付穴H1~H4の選択は、四つのバネ要素5で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0025】
制振装置1の固有振動数は、錘部材3の質量と、バネ要素5のバネ定数によって決定される。錘部材3の質量が決まっている場合、バネ要素5をチューニングする。バネ要素5のチューニングは、板厚、全長、幅、枚数でおおよそのチューニングを行える。そして、取付穴H1~H4の選択によって、最終的な微調整が可能である。
【0026】
<第二実施形態>
第一実施形態では、バネ要素5に取付穴H1~H4を形成して、その固定位置を調整可能としたが、取付穴H1~H4に代えて長穴であってもよい。図4(A)はその一例を示す。図示の例では、バネ要素5の一方端部5aに、長手方向に延設された長穴HLが、幅方向に離間して二列形成されている。この構成においても、第一実施形態と同様にバネ要素5のベースプレート2に対する固定位置を変更可能である。
【0027】
<第三実施形態>
第一実施形態では、バネ要素5をベースプレート2に固定したが、錘部材3に固定してもよい。また、バネ要素5はベースプレート2と錘部材3との双方に固定してもよい。
【0028】
<第四実施形態>
バネ要素5として、バネ定数が異なる複数種類の板バネを用意しておき、設計上要求される制振装置1の固有振動数に対応していずれかを選択できるようにしてもよい。図4(B)はその一例を示す。図示の例では、三種類の板バネ5A~5Cが用意された例を示している。板バネ5A~5Cは、幅のみが異なり、板バネ5Aが最も狭く、板バネ5Cが最も広い。制振装置1に用いるバネ要素5の種類は一種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
【0029】
図5は複数種類のバネ要素5を用いた例を示す図であり、錘部材3を取り外した状態の制振装置1の平面図である。図示の例では、板バネ5Bと板バネ5Cとが二枚ずつ用いられている。バネ定数が異なる板バネを組み合わせることで、固有振動数の微調整が可能となる。そして、バネ定数が異なる複数種類の板バネを用意しておくことで、多様な固有振動数に迅速に対応できる。
【0030】
図6(A)は更に別の配置態様を示している。図示の例では、四つのバネ要素5の長手方向がX方向のものと、Y方向のものとが混在している。こうした配置態様も採用可能である。
【0031】
尤も、図2(B)に例示した第一実施形態のバネ要素5の配置態様の方が、図6(A)の例よりも、錘部材3の上下振動時における錘部材3とバネ要素5との摩擦の点で有利であると考えられる。
【0032】
<第六実施形態>
バネ要素5の形態は様々な形態を採用可能である。図6(B)はその一例を示している。図6(B)のバネ要素5Dは、他方端部5bが弧状に曲折されておらず、直線形状であり、バネ要素5Dの側面視形状はJ字形状である。この形態の場合、錘部材3の上下振動において、他方端部5bと錘部材3の底面との摩擦が大きくなる場合があるが、例えば、案内軸6と穴3aの遊びを大きくして、錘部材3がベースプレート2に対してより大きく水平方向に変位可能とする等の対策が可能である。
【0033】
<第七実施形態>
第一実施形態では、ベースプレート2に対する錘部材3のZ方向の変位を案内するガイド構造として、錘部材3の穴3aに遊嵌する案内軸6を例示したが、他の構造も採用可能である。図7はその一例を示す。図示の例では、錘部材3が下方に開放した箱型をなし、その周縁部3bが下方へ突出している。また、ベースプレート2は上方に開放した箱型をなし、その周縁部2bが上方に突出している。周縁部3bの内側に周縁部2bが挿入されることでベースプレート2に対する錘部材3のZ方向の変位を案内する。周縁部3bの内側に周縁部2bが遊嵌することで、ベースプレート2に対して錘部材3が水平方向に変位可能である。
【0034】
<第八実施形態>
図8(A)は、制振装置1の性能を確認するためのシミュレーションの対象とした構造躯体のモデル100を示す図である。図示のモデル100は、鉄骨構造の事務所床を想定したもので、複数の柱101、複数の大梁102、床スラブ103を備えている。床スラブ103上には、複数の制振装置1が配置されており、図示の例ではマトリクス状に21個の制振装置1が配置されている。21個の制振装置1は、大梁102の方向の配置として、そのスパン(15m)の中央部に配置されており、床の固有振動数(6.4Hz)に対応してチューニングされている。
【0035】
図8(B)はシミュレーション結果を示しており、制振装置1を設置しなかった場合と比べて、制振装置1を設置した場合は床の固有振動数付近での振動値(アクセレランス)を6割程度低減できており、制振装置1のバネ要素5として板バネを使用した場合においても十分な制振効果を得られている。
【0036】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 制振装置、2 ベースプレート、3 錘部材、4 減衰要素、5 バネ要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8