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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062613
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】光導波路の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/132 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
G02B6/132
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172685
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋武
(72)【発明者】
【氏名】兼田 幹也
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BG02
2H147CB05
2H147CD02
2H147EA16A
2H147EA16B
2H147EA16C
2H147EA17A
2H147EA17B
2H147EA17C
2H147EA18A
2H147EA18B
2H147EA19A
2H147EA19B
2H147EA20A
2H147EA20B
2H147EA22B
2H147EA22C
2H147FA15
2H147FA16
2H147FA17
2H147FA25
2H147FB01
2H147FB02
2H147FB04
2H147FD08
2H147FD15
2H147FE01
2H147FE02
2H147FE03
2H147FE07
2H147FF05
(57)【要約】
【課題】クラッド形成層に起因して発生するコア層の変形を見越して、照射領域および非照射領域の少なくとも一方の大きさを適切に設定することができ、コア部のピッチの精度が高い光導波路を効率よく製造可能な光導波路の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の光導波路の製造方法は、コア形成層およびクラッド形成層を準備する工程と、前記コア形成層の一部に活性放射線を照射し、非照射領域に対応する複数のコア部、および、前記コア部同士の間に位置し、照射領域に対応する側面クラッド部、を含むコア層を得る工程と、前記コア層に前記クラッド形成層を積層し、加熱することにより、前記コア層およびクラッド層を有する光導波路を得る工程と、を有し、前記クラッド形成層の製造時点からの経過時間に応じて、前記照射領域および前記非照射領域の少なくとも一方の大きさを調整することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア形成層およびクラッド形成層を準備する工程と、
前記コア形成層の一部に活性放射線を照射し、非照射領域に対応する複数のコア部、および、前記コア部同士の間に位置し、照射領域に対応する側面クラッド部、を含むコア層を得る工程と、
前記コア層に前記クラッド形成層を積層し、加熱することにより、前記コア層およびクラッド層を有する光導波路を得る工程と、
を有し、
前記クラッド形成層の製造時点からの経過時間に応じて、前記照射領域および前記非照射領域の少なくとも一方の大きさを調整することを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項2】
前記経過時間は、常温に置かれた日数である常温保管日数であり、
前記大きさを調整するときの補正倍率をyとし、前記常温保管日数をxとするとき、下記補正式(1)を満たすように前記補正倍率を設定する請求項1に記載の光導波路の製造方法。
y=x (1)
[補正式(1)中、Aは、0.00015~0.00045である。]
【請求項3】
前記クラッド層の膜厚は、1~200μmである請求項1または2に記載の光導波路の製造方法。
【請求項4】
前記光導波路は、
前記コア層と、
前記コア層の両面に積層された前記クラッド層である第1クラッド層および第2クラッド層と、
を備え、
前記光導波路を得る工程の前における前記コア層は、基材上に設けられており、
前記光導波路を得る工程は、
前記コア層に前記クラッド形成層を積層し、積層体を得る操作と、
前記積層体から前記基材を剥離する操作と、
前記コア層に前記クラッド形成層を積層し、加熱することにより、前記光導波路を得る操作と、
を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項5】
前記光導波路は、
前記第1クラッド層の前記コア層とは反対側に積層されている第1カバー層と、
前記第2クラッド層の前記コア層とは反対側に積層されている第2カバー層と、
をさらに備える請求項4に記載の光導波路の製造方法。
【請求項6】
前記光導波路の膜厚は、50~300μmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光導波路の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポリイミド積層体上に下部クラッド層を形成する工程と、下部クラッド層上にコア層を形成する工程と、コア層からコアパターンを形成する工程と、コアパターン上に上部クラッド層を形成する工程と、直線光導波路を切り出す工程と、を有する光導波路の製造方法が開示されている。また、コアパターンを形成する工程は、下部クラッド層上にフッ素化ポリアミック酸溶液をスピンコートする操作と、これを300℃以上で加熱してコア層を形成する操作と、コア層からフォトレジストを用いてコアパターンを形成する操作と、コアパターンにドライエッチングを行い、コアリッジを得る操作と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-103738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような有機材料で構成された光導波路は、有機材料の特性上、寸法変化が生じやすい。特に、光導波路の製造過程で、樹脂の硬化反応等を伴う場合、反応速度が様々な外因によって変化することがある。その結果、加熱後のコアリッジの寸法精度が低下し、最終的に得られる光導波路において、コア同士の間隔の精度が低下するという課題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、クラッド形成層に起因して発生するコア層の変形を見越して、照射領域および非照射領域の少なくとも一方の大きさを適切に設定することができ、コア部のピッチの精度が高い光導波路を効率よく製造可能な光導波路の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記(1)~(6)の本発明により達成される。
(1) コア形成層およびクラッド形成層を準備する工程と、
前記コア形成層の一部に活性放射線を照射し、非照射領域に対応する複数のコア部、および、前記コア部同士の間に位置し、照射領域に対応する側面クラッド部、を含むコア層を得る工程と、
前記コア層に前記クラッド形成層を積層し、加熱することにより、前記コア層およびクラッド層を有する光導波路を得る工程と、
を有し、
前記クラッド形成層の製造時点からの経過時間に応じて、前記照射領域および前記非照射領域の少なくとも一方の大きさを調整することを特徴とする光導波路の製造方法。
【0007】
(2) 前記経過時間は、常温に置かれた日数である常温保管日数であり、
前記大きさを調整するときの補正倍率をyとし、前記常温保管日数をxとするとき、下記補正式(1)を満たすように前記補正倍率を設定する上記(1)に記載の光導波路の製造方法。
y=x (1)
[補正式(1)中、Aは、0.00015~0.00045である。]
【0008】
(3) 前記クラッド層の膜厚は、1~200μmである上記(1)または(2)に記載の光導波路の製造方法。
【0009】
(4) 前記光導波路は、
前記コア層と、
前記コア層の両面に積層された前記クラッド層である第1クラッド層および第2クラッド層と、
を備え、
前記光導波路を得る工程の前における前記コア層は、基材上に設けられており、
前記光導波路を得る工程は、
前記コア層に前記クラッド形成層を積層し、積層体を得る操作と、
前記積層体から前記基材を剥離する操作と、
前記コア層に前記クラッド形成層を積層し、加熱することにより、前記光導波路を得る操作と、
を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
【0010】
(5) 前記光導波路は、
前記第1クラッド層の前記コア層とは反対側に積層されている第1カバー層と、
前記第2クラッド層の前記コア層とは反対側に積層されている第2カバー層と、
をさらに備える上記(4)に記載の光導波路の製造方法。
【0011】
(6) 前記光導波路の膜厚は、50~300μmである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コア部のピッチの精度が高い光導波路を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る光導波路の製造方法により製造される光導波路を示す平面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】実施形態に係る光導波路の製造方法について説明するための工程図である。
図4図3に示す光導波路の製造方法を説明するための図であって、図2に示す光導波路の一部を拡大して示す図である。
図5図3に示す光導波路の製造方法を説明するための図であって、図2に示す光導波路の一部を拡大して示す図である。
図6図3に示す光導波路の製造方法を説明するための図であって、図2に示す光導波路の一部を拡大して示す図である。
図7】第2クラッド層を有するクラッドフィルムの常温保管日数と、コア部のピッチと、の相関関係を示す散布図である。
図8】第2クラッド層を有するクラッドフィルムの常温保管日数と、図7に示すコア層の縮みを補正するのに必要な補正倍率と、の相関関係を示す散布図である。
図9】第1クラッド層を有するクラッドフィルムの常温保管日数および第2クラッド層を有するクラッドフィルムの常温保管日数が、互いに同じ場合と互いに異なる場合とで、コア部のピッチがどのように変化するかを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の光導波路の製造方法について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る光導波路の製造方法により製造される光導波路を示す平面図である。図2は、図1のA-A線断面図である。
【0016】
なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を設定し、矢印で示している。また、矢印の先端側を「プラス側」といい、基端側を「マイナス側」という。さらに、Z軸を表す矢印の先端側を「上」といい、基端側を「下」という。
【0017】
1.光導波路
図1および図2に示す光導波路1は、シート状をなしており、第1カバー層18、第1クラッド層11、コア層13、第2クラッド層12および第2カバー層19がこの順で積層されている積層構造を備える。積層構造の各層は、X-Y面に沿って広がっている。光導波路1は、後述するように、X軸に長軸を有する長尺状の樹脂フィルムであり、可撓性を有する。このため、光導波路1は、例えば、Z軸に沿って曲げた状態でも使用可能である。
【0018】
コア層13中には、図1に示すように、X軸に沿って延在する9本の長尺状のコア部14と、各コア部14の側面に隣接する側面クラッド部15と、が形成されている。したがって、コア部14のうち、Y軸方向の両側面には、いずれも側面クラッド部15が隣接している。また、図2に示すように、コア部14の下面には第1クラッド層11が隣接し、コア部14の上面には第2クラッド層12が隣接している。これにより、コア部14とクラッド部(側面クラッド部15、第1クラッド層11および第2クラッド層12)との間には、十分に大きい屈折率差が安定的に維持され、コア部14の伝送効率が高くなる。なお、コア部14は、コア層13中において、途中で分岐していてもよいし、途中で他のコア部14と交差していてもよい。
【0019】
なお、コア層13中に設けられるコア部14の数は、特に限定されず、例えば1~100本程度とされる。また、光導波路1のX軸に沿った全長は、特に限定されないが、10~3000mm程度であるのが好ましい。さらに、光導波路1のY軸に沿った全幅は、特に限定されないが、2~200mm程度であるのがより好ましい。
【0020】
コア層13のZ軸に沿った膜厚は、特に限定されないが、1~200μm程度であるのが好ましく、5~100μm程度であるのがより好ましく、10~70μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、コア層13に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。
【0021】
第1クラッド層11および第2クラッド層12のZ軸に沿った膜厚は、それぞれ1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~50μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、第1クラッド層11および第2クラッド層12に必要とされる光学的特性および機械的強度が確保される。また、第1クラッド層11および第2クラッド層12をクラッド形成層から形成するとき、クラッド形成層の硬化収縮量が大きくなりすぎるのを抑制し、その影響がコア層13に及ぶのを抑制することができる。
【0022】
光導波路1は、X軸マイナス側の端部に位置する端面101と、X軸プラス側の端部に位置する端面102と、を有する。端面101、102は、それぞれ光入出射面として機能する。
【0023】
光導波路1の両端部の少なくとも一方には、図示しない光コネクターが装着されていてもよい。光コネクターを介して、光導波路1と他の光学部品とを固定するとともに、端面101、102と他の光学部品との間を光学的に接続することができる。また、光導波路1は、コア部14を通過する光の光路を変換するミラーを有していてもよい。ミラーを介して光路を変換することにより、コア部14と、光導波路1の外部に設けられた光学部品と、を光学的に接続することができる。
【0024】
第1カバー層18は、第1クラッド層11の下面に積層されている。第2カバー層19は、第2クラッド層12の上面に積層されている。これにより、光導波路1の機械的特性や耐久性を高めることができる。
【0025】
光導波路1のZ軸に沿った膜厚は、50~300μmであるのが好ましく、60~200μmであるのがより好ましく、70~150μmであるのがさらに好ましい。これにより、光導波路1の可撓性を高めつつ、光導波路1の機械的強度を十分に確保することができる。
【0026】
以下、光導波路1の各部についてさらに詳述する。
2.光導波路の製造方法
次に、実施形態に係る光導波路の製造方法について説明する。以下の説明では、図1および図2に示す光導波路1の製造方法を例にして説明する。
【0027】
図3は、実施形態に係る光導波路の製造方法について説明するための工程図である。図4ないし図6は、図3に示す光導波路の製造方法を説明するための図であって、図2に示す光導波路の一部を拡大して示す図である。
【0028】
図3に示す光導波路1の製造方法は、準備工程S102と、コア層形成工程S104と、クラッド層形成工程S106と、を有する。
【0029】
準備工程S102では、コア形成層160およびクラッド形成層170を準備する。コア層形成工程S104では、コア形成層160の一部に活性放射線Rを照射し、コア部14および側面クラッド部15を含むコア層13を得る。クラッド層形成工程S106では、コア層13にクラッド形成層170を積層し、加熱することにより、光導波路1を得る。
【0030】
そして、本実施形態に係る光導波路1の製造方法では、クラッド形成層170の製造時点からの経過時間に応じて、活性放射線Rを照射する照射領域301および非照射領域302の少なくとも一方の大きさを調整する。
【0031】
このような構成によれば、クラッド形成層170に起因して発生する、コア層13の変形を見越して、照射領域301および非照射領域302の少なくとも一方の大きさを調整することができる。これにより、コア層13が変形したとしても、コア部14および側面クラッド部15の少なくとも一方の大きさを、目的とする大きさに近づけることができる。その結果、図2に示す、コア部14のピッチPの精度が高い光導波路1を効率よく製造することができる。
【0032】
以下、各工程について順次説明する。
2.1.準備工程
準備工程S102では、コア形成層160およびクラッド形成層170を準備する。
【0033】
本実施形態では、図4(a)に示すように、基材100と、基材100の上面に積層されたコア形成層160と、を有するコアフィルム200を準備する。
【0034】
また、本実施形態では、図5(f)に示すように、第2カバー層19と、第2カバー層19の下面に積層されたクラッド形成層170と、を有するクラッドフィルム402を準備する。同様に、図6(i)に示すように、第1カバー層18と、第1カバー層18の上面に積層されたクラッド形成層170と、を有するクラッドフィルム401を準備する。
【0035】
2.1.1.コアフィルム
コアフィルム200は、前述したように、基材100とコア形成層160との積層体である。コアフィルム200は、フィルム形状であり、枚葉状であっても、巻き取り可能なロール状であってもよい。
【0036】
コア形成層160の形成方法としては、例えば、ワニス状のコア形成用樹脂組成物を基材100上に塗布した後、乾燥させる方法、基材100上に樹脂膜を積層する方法等が挙げられる。
【0037】
樹脂組成物を塗布する方法では、例えば、スピンコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター等の各種コーターを用いて塗布する方法、スクリーン印刷のような印刷方法等が用いられる。
【0038】
樹脂膜を積層する方法では、ワニス状のコア形成用樹脂組成物から作製したフィルム状の樹脂膜を、例えばロールラミネート、真空ロールラミネート、平板ラミネート、真空平板ラミネート、常圧プレス、真空プレス等を用いて積層する方法等が用いられる。
【0039】
なお、コアフィルム200は、最終的に複数の光導波路1を切り出すことができるように、光導波路1に対応する領域を複数含んでいてもよい。この場合、光導波路1を切り出す工程を追加することにより、光導波路1をより効率よく製造することができる。
【0040】
2.1.1.1.基材
基材100には、例えば、樹脂フィルムが用いられる。基材100の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー等が挙げられる。
【0041】
なお、基材100には、必要に応じて、コア層13と基材100との剥離を容易にする離型処理等が施されていてもよい。
【0042】
2.1.1.2.コア形成用樹脂組成物
上記のコア形成用樹脂組成物としては、例えば、ポリマー、モノマー、重合開始剤等を含む組成物が挙げられる。
【0043】
2.1.1.2.1.ポリマー
ポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて、ポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体等として用いられる。
【0044】
これらの中でも、ポリマーには、アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、または、環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0045】
アクリル系樹脂としては、例えば、単官能アクリレート、多官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能メタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエステルアクリレート、および、尿素アクリレートからなる群から選択される1種以上を含むアクリル化合物の重合体が挙げられる。また、アクリル系樹脂は、ポリエステル骨格、ポリプロピレングリコール骨格、ビスフェノール骨格、フルオレン骨格、トリシクロデカン骨格、ジシクロペンタジエン骨格等を有していてもよい。
【0046】
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールA型エポキシ化合物またはそれらの誘導体、およびビスフェノールF、ビスフェノールF型エポキシ化合物またはそれらの誘導体を共重合成分の構成単位として含むものが挙げられる。
【0047】
ポリマーの含有量は、例えば、コア形成用樹脂組成物の固形分全体の15質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、コア層13の機械的特性が向上する。また、コア形成用樹脂組成物に含まれるポリマーの含有量は、コア形成用樹脂組成物の固形分全体の95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。これにより、コア層13の光学的特性が向上する。
【0048】
コア形成用樹脂組成物の固形分全体とは、組成物中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。
【0049】
2.1.1.2.2.モノマー
モノマーとしては、分子構造中に重合可能な部位を有する化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ノルボルネン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、スチレン系モノマー、光二量化モノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0050】
これらの中でも、モノマーとしては、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、または、エポキシ系モノマーが好ましく用いられる。
【0051】
アクリル酸(メタクリル酸)系モノマーとしては、例えば、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、2官能または3官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、複素環式(メタ)アクリレート、またはこれらのエトキシ化体、プロポキシ化体、エトキシ化プロポキシ化体、カプロラクトン変性体等が挙げられる。また、分子内に、ビスフェノール骨格、ウレタン骨格等を有していてもよい。
【0052】
エポキシ系モノマーとしては、例えば、脂環族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。
【0053】
モノマーとしては、可視光、紫外線、赤外線、レーザー光、電子線、X線等の活性放射線の照射により、照射領域において反応して反応物を生成する光重合性モノマーを用いてもよい。また、モノマーは、活性放射線の照射時において、コア形成層160中の膜厚と直交する面内方向に移動可能であり、その結果として得られるコア層13において、活性放射線の照射領域と非照射領域との間で屈折率差を生じさせるものであってもよい。
【0054】
モノマーの含有量は、ポリマー100質量部に対し、1質量部以上70質量部以下であることが好ましく、10質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。これにより、上記の屈折率差の形成、すなわち屈折率変調をより確実に起こすことができる。
【0055】
2.1.1.2.3.重合開始剤
重合開始剤は、モノマーの重合反応または架橋反応の種類に応じて適宜選択される。重合開始剤としては、例えば、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、スチレン系モノマー等のラジカル重合開始剤、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー等のカチオン重合開始剤を用いることができる。
【0056】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類等が挙げられる。具体的には、イルガキュア(Irgacure、登録商標)651、イルガキュア819、イルガキュア2959、イルガキュア184(以上、IGMジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0057】
カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩のようなルイス酸発生型のもの、ヨードニウム塩、スルホニウム塩のようなブレンステッド酸発生型のもの等が挙げられる。具体的には、アデカオプトマーSP-170(株式会社ADEKA製)、サンエイドSI-100L(三新化学工業株式会社製)、Rhodorsil2074(ローディアジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0058】
重合開始剤の含有量は、ポリマー100質量部に対し、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。これにより、コア層13の光学的特性や機械的特性を低下させることなく、モノマーを速やかに反応させることができる。
【0059】
2.1.1.2.4.その他
コア形成用樹脂組成物は、例えば、架橋剤、増感剤(光増感剤)、触媒前駆体、助触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、無機粒子、劣化防止剤、濡れ性改良剤、帯電防止剤等をさらに含んでいてもよい。
【0060】
2.1.1.2.5.溶剤
上述した成分を溶剤中に添加し、撹拌することにより、ワニス状のコア形成用樹脂組成物が得られる。得られた組成物は、例えば0.2μmの孔径を持つPTFEフィルターによるろ過処理に供されてもよい。また、得られた組成物は、各種混合機による混合処理に供されてもよい。
【0061】
コア形成用樹脂組成物に含まれる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、N-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0062】
2.1.2.クラッドフィルム
クラッドフィルム401は、前述したように、第1カバー層18とクラッド形成層170との積層体である。クラッドフィルム402は、前述したように、第2カバー層19とクラッド形成層170との積層体である。クラッドフィルム401、402は、フィルム形状であり、枚葉状であっても、巻き取り可能なロール状であってもよい。
【0063】
クラッド形成層170の形成方法としては、例えば、ワニス状のクラッド形成用樹脂組成物をカバー層上に塗布した後、乾燥させる方法、カバー層上に樹脂膜を積層する方法等が挙げられる。
【0064】
樹脂組成物を塗布する方法では、例えば、スピンコーター、ダイコーター、コンマコーター、カーテンコーター等の各種コーターを用いて塗布する方法、スクリーン印刷のような印刷方法等が用いられる。
【0065】
樹脂膜を積層する方法では、ワニス状のクラッド形成用樹脂組成物から作製したフィルム状の樹脂膜を、例えばロールラミネート、真空ロールラミネート、平板ラミネート、真空平板ラミネート、常圧プレス、真空プレス等を用いて積層する方法等が用いられる。
【0066】
2.1.2.1.カバー層
第1カバー層18および第2カバー層19の膜厚は、特に限定されないが、1~200μm程度であるのが好ましく、3~100μm程度であるのがより好ましく、5~50μm程度であるのがさらに好ましい。各カバー層の膜厚が前記範囲内であれば、第1カバー層18および第2カバー層19によってコア層13等を保護する能力を確保しつつ、光導波路1が厚くなりすぎることの弊害、例えば光導波路1の可撓性が低下すること等を抑制することができる。
【0067】
第1カバー層18および第2カバー層19の膜厚は、互いに異なっていてもよいが、互いに同じであるのが好ましい。これにより、膜厚の違いに伴う光導波路1の反りを抑制することができる。なお、膜厚が同じとは、膜厚の差が5μm以下であることをいう。
【0068】
第1カバー層18および第2カバー層19の主材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー等の各種樹脂を含む材料が挙げられる。
【0069】
第1カバー層18および第2カバー層19の主材料は、互いに異なっていてもよいが、互いに同じであるのが好ましい。これにより、主材料の違いに伴う光導波路1の反りを抑制することができる。
【0070】
第1カバー層18および第2カバー層19の弾性率は、1~12GPaであるのが好ましく、2~11GPaであるのがより好ましく、3~10GPaであるのがさらに好ましい。なお、上記弾性率は、引張り弾性率とする。
【0071】
2.1.2.2.クラッド形成用樹脂組成物
上記のクラッド形成用樹脂組成物としては、例えば、ポリマー、モノマー、重合開始剤等を含む組成物が挙げられる。
【0072】
2.1.2.2.1.ポリマー
ポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ系樹脂やオキセタン系樹脂のような環状エーテル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、PETやPBTのようなポリエステル、ポリエチレンサクシネート、ポリサルフォン、ポリエーテル、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて、ポリマーアロイ、ポリマーブレンド(混合物)、共重合体等として用いられる。
【0073】
これらの中でも、ポリマーには、アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、または、環状オレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0074】
アクリル系樹脂としては、例えば、単官能アクリレート、多官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能メタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエステルアクリレート、および、尿素アクリレートからなる群から選択される1種以上を含むアクリル化合物の重合体が挙げられる。また、アクリル系樹脂は、ポリエステル骨格、ポリプロピレングリコール骨格、ビスフェノール骨格、フルオレン骨格、トリシクロデカン骨格、ジシクロペンタジエン骨格等を有していてもよい。
【0075】
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールA型エポキシ化合物またはそれらの誘導体、およびビスフェノールF、ビスフェノールF型エポキシ化合物またはそれらの誘導体を共重合成分の構成単位として含むものが挙げられる。
【0076】
また、ポリマーは、必要に応じて熱硬化性樹脂を含んでもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、アミノ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、シクロカーボネート化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0077】
ポリマーの含有量は、例えば、クラッド形成用樹脂組成物の固形分全体の15質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。これにより、第1クラッド層11および第2クラッド層12の機械的特性が向上する。また、クラッド形成用樹脂組成物に含まれるポリマーの含有量は、クラッド形成用樹脂組成物の固形分全体の95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。これにより、第1クラッド層11および第2クラッド層12の光学的特性が向上する。
【0078】
クラッド形成用樹脂組成物の固形分全体とは、組成物中における不揮発分を指し、水や溶媒等の揮発成分を除いた残部を指す。
【0079】
2.1.2.2.2.モノマー
モノマーとしては、分子構造中に重合可能な部位を有する化合物であればよく、特に限定されないが、例えば、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ノルボルネン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー、スチレン系モノマー、光二量化モノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0080】
これらの中でも、モノマーとしては、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、または、エポキシ系モノマーが好ましく用いられる。
【0081】
アクリル酸(メタクリル酸)系モノマーとしては、例えば、2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、2官能または3官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。具体的には、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート、脂環式(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、複素環式(メタ)アクリレート、またはこれらのエトキシ化体、プロポキシ化体、エトキシ化プロポキシ化体、カプロラクトン変性体等が挙げられる。また、分子内に、ビスフェノール骨格、ウレタン骨格等を有していてもよい。
【0082】
エポキシ系モノマーとしては、例えば、脂環族エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。
【0083】
モノマーの含有量は、ポリマー100質量部に対し、1質量部以上70質量部以下であることが好ましく、10質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
【0084】
2.1.2.2.3.重合開始剤
重合開始剤は、モノマーの重合反応または架橋反応の種類に応じて適宜選択される。重合開始剤としては、例えば、アクリル酸(メタクリル酸)系モノマー、スチレン系モノマー等のラジカル重合開始剤、エポキシ系モノマー、オキセタン系モノマー、ビニルエーテル系モノマー等のカチオン重合開始剤を用いることができる。
【0085】
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類等が挙げられる。具体的には、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア2959、イルガキュア184(以上、IGMジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0086】
カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩のようなルイス酸発生型のもの、ヨードニウム塩、スルホニウム塩のようなブレンステッド酸発生型のもの等が挙げられる。具体的には、アデカオプトマーSP-170(株式会社ADEKA製)、サンエイドSI-100L(三新化学工業株式会社製)、Rhodorsil2074(ローディアジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0087】
重合開始剤の含有量は、ポリマー100質量部に対し、0.01質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。これにより、第1クラッド層11および第2クラッド層12の光学的特性や機械的特性を低下させることなく、モノマーを速やかに反応させることができる。
【0088】
2.1.2.2.4.その他
クラッド形成用樹脂組成物は、例えば、架橋剤、増感剤(光増感剤)、触媒前駆体、助触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、塗面改良剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、着色剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、フィラー、無機粒子、劣化防止剤、濡れ性改良剤、帯電防止剤等をさらに含んでいてもよい。
【0089】
2.1.2.2.5.溶剤
上述した成分を溶剤中に添加し、撹拌することにより、ワニス状のクラッド形成用樹脂組成物が得られる。得られた組成物は、例えば0.2μmの孔径を持つPTFEフィルターによるろ過処理に供されてもよい。また、得られた組成物は、各種混合機による混合処理に供されてもよい。
【0090】
クラッド形成用樹脂組成物に含まれる溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、N-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上の混合物が用いられる。
【0091】
なお、第1クラッド層11を形成するためのクラッド形成用樹脂組成物と、第2クラッド層12を形成するためのクラッド形成用樹脂組成物とは、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。
【0092】
2.2.コア層形成工程
コア層形成工程S104では、コア形成層160からコア層13を形成する。具体的には、コア形成層160の一部に活性放射線Rを照射し、非照射領域302に対応する複数のコア部14、および、コア部14同士の間に位置し、照射領域301に対応する側面クラッド部15、を含むコア層13を得る。
【0093】
照射領域301および非照射領域302の設定には、例えば、図4(b)に示すフォトマスク303を用いる方法が用いられる。フォトマスク303を介して活性放射線Rを照射することにより、フォトマスク303のマスクパターンに対応して照射領域301および非照射領域302を設定することができる。
【0094】
なお、フォトマスク303を用いる方法に代えて、直描露光機304を用いる方法を採用してもよい。図4(c)では、活性放射線Rを直描露光機304により照射している。直描露光機304としては、例えば、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)のような反射型空間光変調素子、液晶表示素子(LCD)のような透過型空間光変調素子といった各種の空間光変調素子を利用して、照射領域を選択し得る露光機が挙げられる。このような直描露光機304を用いることにより、フォトマスク303を用いることなく、照射領域301および非照射領域302の設定が可能になる。これにより、フォトマスク303を作り変えることなく、照射領域301や非照射領域302の大きさを調整することができるので、光導波路1の製造コストの低減および効率化を図ることができる。
【0095】
図4(b)および図4(c)には、コア形成層160が含むポリマー131およびモノマー132を図示している。活性放射線Rを照射する前のコア形成層160では、ポリマー131中にモノマー132がほぼ均一に分布している。なお、ここでは、モノマー132やモノマー132由来の構造は、ポリマー131よりも屈折率が低いものとする。
【0096】
活性放射線Rを照射した後、コア形成層160を加熱する。この加熱により、照射領域301に存在する重合開始剤が活性化し、モノマー132の反応が進行する。これにより、モノマー132の濃度差が生じ、それに伴ってモノマー132の移動が生じる。その結果、図5(d)に示すように、照射領域301におけるモノマー132の濃度が上昇することともに、非照射領域302におけるモノマー132の濃度が低下する。これにより、照射領域301の屈折率は、モノマー132の影響を受けて低くなり、非照射領域302の屈折率は、ポリマー131の影響を受けて高くなる。その結果、図5(e)に示すように、コア部14および側面クラッド部15を含むコア層13が得られる。
【0097】
コア形成層160の加熱条件としては、例えば、加熱温度:100~200℃、加熱時間:10~180分が挙げられる。
【0098】
なお、この加熱に伴って、モノマー132が揮発したり、ポリマー131の分子構造が変化したりすることによって屈折率が変化してもよい。
【0099】
以上、コア形成用樹脂組成物に活性放射線Rを照射してコア層13を形成する方法について説明したが、コア層13の形成方法は、上記の方法に限定されない。例えば、フォトリソグラフィー法、複製法等を用いるようにしてもよい。フォトリソグラフィー法は、露光、現像技術とエッチング技術とを組み合わせて、互いに屈折率が異なる材料でコア部14および側面クラッド部15を形成する方法である。また、複製法は、例えばコアパターンを有する型を樹脂膜に押し付けてコア部14を形成し、その後、側面クラッド部15を形成する方法である。また、活性放射線Rを照射する前のコア形成層160または活性放射線Rを照射した後のコア形成層160に対し、必要に応じて、表面処理を施すようにしてもよい。表面処理としては、例えば、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理等が挙げられる。
【0100】
2.3.クラッド層形成工程
クラッド層形成工程S106では、コア層13に第1クラッド層11および第2クラッド層12を積層するとともに、基材100を剥離する。これにより、光導波路1を得る。
【0101】
本実施形態では、図5(f)に示すように、クラッドフィルム402をコア層13の上面に積層する。そして、得られた積層体を加熱する。これにより、図6(g)に示すように、コア層13とクラッドフィルム402とが接合する。その結果、コア層13を覆う第2クラッド層12が得られる。このときの加熱条件としては、例えば、加熱温度:100~200℃、加熱時間:10~180分が挙げられる。
【0102】
また、図6(h)に示すように、コア層13から基材100を剥離した後、図6(i)に示すように、クラッドフィルム401をコア層13の下面に積層する。そして、得られた積層体を加熱する。これにより、コア層13とクラッドフィルム401とが接合する。その結果、コア層13を覆う第1クラッド層11が得られる。このときの加熱条件としては、例えば、加熱温度:100~200℃、加熱時間:10~180分が挙げられるが、第2クラッド層12を形成するときの加熱条件よりも、高温または長時間に設定されるのが好ましい。
以上のようにして図2に示す光導波路1が得られる。
【0103】
2.4.照射領域および非照射領域の調整
ここで、コア層形成工程S104における照射領域301および非照射領域302の調整について説明する。
【0104】
前述したように、本実施形態では、クラッド形成層170の製造時点からの経過時間に応じて、照射領域301および非照射領域302の少なくとも一方の大きさを調整する。
【0105】
クラッド形成層170は、クラッドフィルム401、402の形態であらかじめ製造され、保管されることがある。この場合、クラッド層形成工程S106を行うタイミングで、保管されているクラッドフィルム401、402から必要量を切り出し、使用される。そうすると、クラッド層形成工程S106に供されるクラッドフィルム401、402は、製造時点からの経過時間が一定しないが、あらかじめ多量のクラッドフィルム401、402を製造しておくことができるので、製造効率を高めやすい。
【0106】
ところが、クラッドフィルム401、402の製造時点からの経過時間が変わると、コア部14のピッチPが変化することがわかってきた。コア部14のピッチPとは、図2に示すように、Y軸に沿ってコア部14が並んでいるとき、コア部14の光軸同士の距離を指す。
【0107】
そこで、本発明者は、クラッドフィルム401、402の製造時点からの経過時間Tと、コア部14のピッチPと、の関係について、鋭意検討を重ねた。そして、両者に相関関係があること、および、この相関関係に基づいて活性放射線Rの照射範囲を設定することにより、ピッチPを目的とする値に近づけられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0108】
具体的には、経過時間TとピッチPとの間には、負の相関関係があり、クラッドフィルム401、402の経過時間Tが長くなると、クラッドフィルム401、402に起因してコア層13がY軸に沿って縮み(変形し)、ピッチPが短くなる。
【0109】
そこで、本実施形態では、経過時間Tが長いクラッドフィルム401、402を用いて光導波路1を製造するときには、クラッドフィルム401、402に起因したコア層13の縮みを見越して、照射領域301および非照射領域302の少なくとも一方の大きさを、経過時間Tに応じて大きく設定する。これにより、ピッチPを目的とする値に近づけることができる。その結果、コア部14のピッチPの精度が高い光導波路1を効率よく製造することができる。
【0110】
また、経過時間TとピッチPとの関係は、クラッドフィルム401、402を保管する温度によっても変化する。例えば、クラッドフィルム401、402を常温未満の低温で保管する場合、経過時間Tが長くても、ピッチPの変化は許容範囲内に抑えやすい。これに対し、クラッドフィルム401、402を常温以上の温度で保管する場合、経過時間Tが長くなると、ピッチPの変化が顕在化する。
【0111】
そこで、経過時間Tは、常温に置かれた日数である常温保管日数としてもよい。つまり、常温未満、特に10℃以下では、経過時間TがピッチPに及ぼす影響が小さいことを踏まえ、経過時間Tとして、常温保管日数を特に考慮するようにしてもよい。
【0112】
図7は、第2クラッド層12を有するクラッドフィルム402の常温保管日数と、コア部14のピッチPと、の相関関係を示す散布図である。図7には、実測データをドットで表している。クラッドフィルム402の常温保管日数とは、冷蔵庫内で保管していたクラッドフィルム402を、冷蔵庫から取り出し、常温で保管し始めた時点からの経過日数である。冷蔵庫内の温度は、10℃以下である。また、常温とは、15~30℃を指す。
【0113】
常温保管日数とピッチPとの間には、図7に破線で示すように、負の相関関係があり、クラッドフィルム401、402の常温保管日数が長くなると、ピッチPが短くなる。なお、保管時の温度が常温より低い場合には、破線の傾きが、図7よりも緩くなると考えられる。
【0114】
本実施形態では、コア層形成工程S104において照射領域301および非照射領域302を設定するとき、これらの少なくとも一方について、本来の大きさに補正倍率を掛けることで、大きさを補正する。補正倍率を用いて照射領域301等の大きさを調整することにより、クラッドフィルム401、402に起因してコア層13が変形したとしても、変形後のピッチPを目的とする値に近づけることができる。
【0115】
図8は、第2クラッド層12を有するクラッドフィルム402の常温保管日数xと、図7に示すコア層13の縮みを補正するのに必要な補正倍率yと、の相関関係を示す散布図である。図8には、実測データをドットで示している。
【0116】
常温保管日数xと補正倍率yとの間には、図8に示すように、正の相関関係があり、常温保管日数xが長くなると、補正に必要な補正倍率yも大きくなる。
【0117】
このとき、下記補正式(1)を満たすように補正倍率yを設定することが好ましい。
y=x (1)
[上記補正式(1)中、Aは、0.00015~0.00045である。]
【0118】
上記補正式(1)で表される補正倍率yとは、照射領域301および非照射領域302の少なくとも一方について、Y軸方向における長さを補正するための倍率である。なお、図8には、A=0.00015のとき、上記補正式(1)が表す曲線を一点鎖線で示し、A=0.00045のとき、上記補正式(1)が表す曲線を破線で示している。
【0119】
図8に示すように、実測データは、上記補正式(1)の範囲内に収まっている。したがって、上記補正式(1)を用いることにより、常温での保管の影響を加味して、補正倍率yをより精度よく求めることができる。その結果、コア部14のピッチPの精度をより高めた光導波路1を効率よく製造することができる。
【0120】
なお、照射領域301のY軸に沿う長さ、および、非照射領域302のY軸に沿う長さ、の双方を、共通の補正倍率yで補正するのが好ましいが、互いに異なる補正倍率yで補正してもよいし、いずれか一方のみを補正してもよい。また、上記補正式(1)中、Aは、特に0.00020~0.00040であるのが好ましい。また、補正式(1)は、一例であり、これに限定されない。例えば、補正式(1)に代えて、式(1)に任意の係数を追加した式を用いるようにしてもよい。
【0121】
以上、クラッドフィルム401、402の製造時点からの経過時間Tと、コア部14のピッチPと、の関係について説明したが、上述した製造方法では、クラッドフィルム401の常温保管日数の影響は、クラッドフィルム402ほど大きくない。この理由は、上述した製造方法では、コア層13に対してクラッドフィルム402を先に積層し、その後、クラッドフィルム401を積層するという順序を採用していることにあると考えられる。
【0122】
そこで、クラッドフィルム401の常温保管日数とクラッドフィルム402の常温保管日数とが異なる場合、クラッドフィルム402の常温保管日数を優先し、それに基づいて照射領域301等の大きさを調整すればよい。
【0123】
図9は、第1クラッド層11を有するクラッドフィルム401の常温保管日数および第2クラッド層12を有するクラッドフィルム402の常温保管日数が、互いに同じ場合と互いに異なる場合とで、コア部14のピッチPがどのように変化するかを示したグラフである。なお、図9の例では、ピッチPの目的とする値(目標値)が2750μmである。
【0124】
サンプルNo.1は、クラッドフィルム401、402の双方で常温保管日数が短い例である。
【0125】
サンプルNo.2は、クラッドフィルム401、402の双方で常温保管日数が長い例である。
【0126】
サンプルNo.3は、クラッドフィルム401の常温保管日数が長く、クラッドフィルム402の常温保管日数が短い例である。
【0127】
サンプルNo.4は、クラッドフィルム401の常温保管日数が短く、クラッドフィルム402の常温保管日数が長い例である。
【0128】
これら4つのサンプルについてピッチPを比較すると、図9に示すように、クラッドフィルム402の常温保管日数が長い場合、クラッドフィルム401の常温保管日数が長い場合に比べて、目標値2750μmに対するピッチPの変化量が大きくなっている。これに対し、クラッドフィルム402の常温保管日数が短い場合、クラッドフィルム401の常温保管日数によらず、目標値2750μmに対するピッチPの変化量が小さくなっている。
【0129】
以上の結果を踏まえると、コア層13に対して先に積層されるクラッドフィルム402の影響の方が、後に積層されるクラッドフィルム401の影響よりも支配的であることがわかる。
【0130】
なお、製造方法によっては、クラッドフィルム401、402の双方がピッチPに強く影響する場合もあると考えられる。例えば、コア層13に対してクラッドフィルム401、402を同時に積層する場合等がそれに該当する。その場合、クラッドフィルム401、402の常温保管日数の平均値等、任意の演算値を算出し、それを上記の常温保管日数に当てはめればよい。
【0131】
以上のように、本実施形態では、クラッドフィルム401、402の製造時点からの経過時間Tが、コア部14のピッチPに及ぼす影響に基づいて、照射領域301等を調整している。このように、クラッドフィルム401、402の経過時間TがピッチPに影響を及ぼすメカニズムには、いくつか考えられるが、1つのメカニズムとして、経過時間Tが長くなるにつれて、クラッド形成層170における硬化反応の速度が低下することが挙げられる。
【0132】
経過時間Tが長くても硬化反応の速度が低下しないと仮定した場合、コア層13に積層されたクラッド形成層170が加熱されたとき、クラッド形成層170は、速やかに硬化しつつコア層13と接合する。このため、コア層13の収縮は抑制されるはずである。
【0133】
これに対し、硬化反応の速度が低下していると仮定した場合、クラッド形成層170の硬化が遅れるため、クラッド形成層170がコア層13と接合する前に、加熱に伴うコア層13の収縮が進行すると考えられる。そして、クラッドフィルム401、402の経過時間Tが長いほど、コア部14のピッチPの変化量が大きくなると考えられるため、実際の現象と一致する。
【0134】
以上のように、本実施形態に係る光導波路の製造方法は、準備工程S102と、コア層形成工程S104と、クラッド層形成工程S106と、を有する。準備工程S102では、コア形成層160およびクラッド形成層170を準備する。コア層形成工程S104では、コア形成層160の一部に活性放射線Rを照射し、非照射領域302に対応する複数のコア部14、および、コア部14同士の間に位置し、照射領域301に対応する側面クラッド部15、を含むコア層13を得る。クラッド層形成工程S106では、コア層13にクラッド形成層170を積層し、加熱することにより、コア層13、第1クラッド層11および第2クラッド層12を有する光導波路1を得る。そして、コア層形成工程S104では、クラッド形成層170の製造時点からの経過時間Tに応じて、照射領域301および非照射領域302の少なくとも一方の大きさを調整する。
【0135】
このような構成によれば、クラッド形成層170を含むクラッドフィルム401、402に起因して発生するコア層13の変形を見越して、照射領域301および非照射領域302の少なくとも一方の大きさを適切に設定することができる。これにより、コア部14のピッチPの精度が高い光導波路1を効率よく製造することができる。
【0136】
また、本実施形態で製造される光導波路1は、コア層13と、コア層13の両面に積層された第1クラッド層11および第2クラッド層12と、を備える。また、光導波路1を得る工程、すなわち、クラッド層形成工程S106の前におけるコア層13は、基材100上に設けられている。そして、クラッド層形成工程S106は、コア層13にクラッド形成層170を積層し、積層体を得る操作と、積層体から基材100を剥離する操作と、コア層13にクラッド形成層170を積層し、加熱することにより、光導波路1を得る操作と、を有する。
【0137】
このような構成によれば、第1クラッド層11および第2クラッド層12でコア層13を挟んだ構造を有する光導波路1が得られる。このような光導波路1では、コア層13と第1クラッド層11および第2クラッド層12との屈折率差が安定しているため、伝送損失が小さい光導波路1を効率よく製造することができる。
【0138】
また、本実施形態で製造される光導波路1は、第1カバー層18と、第2カバー層19と、をさらに備えている。第1カバー層18は、第1クラッド層11のコア層13とは反対側に積層されている。第2カバー層19は、第2クラッド層12のコア層13とは反対側に積層されている。
【0139】
このような構成によれば、第1カバー層18および第2カバー層19で、第1クラッド層11、第2クラッド層12およびコア層13を保護することができる。これにより、光導波路1の耐久性を高められる。また、第1クラッド層11および第2クラッド層12をコア層13に対して積層するときの操作性が向上する。具体的には、第1クラッド層11および第2クラッド層12が非常に薄い場合でも、第1カバー層18および第2カバー層19で支持することにより、把持性、可搬性等が向上する。
【0140】
以上、本発明の光導波路の製造方法を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0141】
例えば、本発明の光導波路の製造方法は、前記実施形態に任意の目的の工程を追加したものであってもよい。
【実施例0142】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
3.光導波路の製造
3.1.コアフィルムの作製
3.1.1.ポリマーの合成
ヘキシルノルボルネン(HxNB、7.2g、40.1mmol)、および、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン(diPhNB、12.9g、40.1mmol)を、ドライボックス内で500mLバイアル瓶に計量し、脱水トルエン60gと酢酸エチル11gを加え、シリコン製のシーラーを被せて上部を密栓した。
【0143】
次に、100mLバイアル瓶中にNi触媒1.56g(3.2mmol)および脱水トルエン10mLを計量し、スターラーチップを入れて密栓し、触媒を十分に撹拌して完全に溶解させた。このNi触媒溶液1mLをシリンジで正確に計量し、上記2種のノルボルネンを溶解させたバイアル瓶中に注入して室温で1時間撹拌したところ、著しい粘度上昇が確認された。この時点で栓を抜き、テトラヒドロフラン(THF)60gを加えて撹拌を行い、反応溶液を得た。
【0144】
次に、100mLビーカーに無水酢酸9.5g、過酸化水素水18g(濃度30%)、イオン交換水30gを加えて撹拌し、過酢酸水溶液を調製した。次に、この水溶液全量を上記反応溶液に加えて12時間撹拌し、Niの還元処理を行った。
【0145】
次に、処理が完了した反応溶液を分液ロートに移し替え、下部の水層を除去した後、イソプロピルアルコールの30%水溶液を100mL加えて激しく撹拌した。静置して完全に二層分離が行われた後、水層を除去した。この水洗プロセスを合計で3回繰り返した後、油層を大過剰のアセトン中に滴下し、生成したポリマーを再沈殿させ、ろ過によりろ液と分別した後、60℃に設定した真空乾燥機中で12時間加熱乾燥を行うことにより、ポリマーを得た。
【0146】
得られたポリマー中の各構造単位のモル比は、NMR測定による同定の結果、ヘキシルノルボルネン構造単位が50mol%、ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン構造単位が50mol%であった。
【0147】
3.1.2.コア形成用樹脂組成物の調製
上記ポリマーの10gを100mLのガラス容器に秤量し、これにメシチレン40g、酸化防止剤Irganox1076(BASF社製、0.01g)、シクロヘキシルオキセタンモノマー(東亜合成社製、CHOX、2g)、重合開始剤(光酸発生剤)Rhodorsil(登録商標) Photoinitiator 2074(Rhodia社製、0.0125g、酢酸エチル0.1mL中)を加えて均一に溶解させた後、0.2μmのPTFEフィルターによりろ過を行い、ワニス状のコア形成用樹脂組成物を調製した。
【0148】
3.1.3.コア形成層の作製
離型処理が施された厚さ100μmのPETフィルム上に、上記コア形成用樹脂組成物を、ドクターブレードにより均一に塗布した後、40℃の乾燥機に5分間投入した。溶媒を完全に除去して被膜とした。これにより、膜厚40μmのコア形成層を備えるコアフィルムを得た。
【0149】
3.2.露光処理
上記コアフィルムに対し、直描露光機により、並列した直線状の照射領域を含むパターンで紫外線を照射した。その後、コアフィルムをオーブンに入れ、加熱温度160℃、加熱時間60分で加熱した。これにより、直線状のコア部を含むコア層を得た。なお、紫外線の積算光量は、1300mJ/cmとした。
【0150】
3.3.クラッドフィルムの作製
3.3.1.クラッド形成用樹脂組成物の調製
環状オレフィン系樹脂を含むノルボルネン系樹脂組成物(プロメラス社製Avatrel(登録商標) 2590の20重量%2-ヘプタノン溶液、10g)に、2-ウンデシルメチルイミダゾール(四国化成工業社製C11Z、0.06g)を添加して混合し、ワニス状のクラッド形成用樹脂組成物を調製した。
【0151】
3.3.2.クラッド形成層の作製
上記クラッド形成用樹脂組成物を、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン100ENC)および厚さ25μmのポリイミドフィルム(宇部興産社製ユーピレックス25SGA)の上に、ドクターブレードでそれぞれ均一に塗布した後、45℃の乾燥機において15分間乾燥させた。これにより、膜厚6μmのクラッド形成層を備えるクラッドフィルムを2枚作製した。
【0152】
3.4.光導波路の作製
2枚のクラッドフィルムを内部温度5℃の冷蔵庫内で冷却した後、22℃(常温)下に置き、所定日数放置した。常温下で放置した、厚さ25μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン100ENC)を用いて作製したクラッドフィルムを、貼り合わせ装置に吸着固定した。一方、コア層を形成したコアフィルムにプラズマ処理を施した後、貼り合わせ装置に吸着固定した。なお、プラズマ処理は、プラズマ装置を用い、100mL/minで酸素を導入した10Paの雰囲気下にコアフィルムを曝す処理である。その後、クラッドフィルムのクラッド形成層をコアフィルムに積層し、積層体を得た。続いて、ラミネーターにより、積層体を熱圧着した。得られた圧着体をオーブンに入れ、加熱温度160℃、加熱時間30分で加熱した。その後、圧着体を室温まで徐冷した。
【0153】
次に、常温下で放置した、厚さ25μmのポリイミドフィルム(宇部興産社製ユーピレックス25SGA)で作製したクラッドフィルムを、貼り合わせ装置に吸着固定した。一方、コア層を形成したコアフィルムから基材を剥離した。そして、剥離面にコロナ処理を施した後、クラッドフィルムのクラッド形成層をコア層の剥離面に積層し、積層体を得た。続いて、ラミネーターにより、積層体を熱圧着した。得られた圧着体をオーブンに入れ、加熱温度180℃、加熱時間120分で加熱し、光導波路を得た。
【0154】
そして、クラッドフィルムの常温保管日数を変えつつ、以上のような方法で、複数の光導波路を製造した。
【0155】
4.光導波路の評価
製造した複数の光導波路におけるコア部のピッチを測定した。そして、ピッチの測定値と、光導波路の製造に使用したクラッドフィルムの常温保管日数と、を直交座標系にプロットした。これにより、図7に示す散布図を得た。
【0156】
図7に示すように、クラッドフィルムの常温保管日数と、コア部のピッチと、の間には、図7に破線で示すような負の相関関係が認められた。よって、この相関関係を利用することにより、クラッド形成層を備えるクラッドフィルムの製造時点からの経過時間に応じて、照射領域および非照射領域の少なくとも一方の大きさを調整すれば、コア部のピッチの精度が高い光導波路を効率よく製造可能であることがわかった。
【符号の説明】
【0157】
1 光導波路
11 第1クラッド層
12 第2クラッド層
13 コア層
14 コア部
15 側面クラッド部
18 第1カバー層
19 第2カバー層
100 基材
101 端面
102 端面
131 ポリマー
132 モノマー
160 コア形成層
170 クラッド形成層
200 コアフィルム
301 照射領域
302 非照射領域
303 フォトマスク
304 直描露光機
401 クラッドフィルム
402 クラッドフィルム
P ピッチ
R 活性放射線
S102 準備工程
S104 コア層形成工程
S106 クラッド層形成工程
x 常温保管日数
y 補正倍率
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9