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2023-62623電磁装置、磁気渦・電気渦合成装置、および磁気渦・光学渦合成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062623
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】電磁装置、磁気渦・電気渦合成装置、および磁気渦・光学渦合成装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/00 20060101AFI20230426BHJP
   H10N 99/00 20230101ALI20230426BHJP
   H04J 99/00 20090101ALN20230426BHJP
【FI】
H01F1/00 181
H01L49/00 Z ZNM
H04J99/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021172702
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バンディオパダヤイ アニルバン
(72)【発明者】
【氏名】藤田 大介
【テーマコード(参考)】
5E040
【Fターム(参考)】
5E040AC05
5E040CA06
(57)【要約】
【課題】第4の回路素子として使用でき、かつ、より広範な用途が可能な電磁気装置を提供する。
【解決手段】誘電性構成要素の複数のスパイラル・アレイまたはヘリカル・アレイ(11、12、および13)を含み、電磁装置に蓄積された電荷の大きさと相関する強度を有する、磁束を放出するか、または磁場を生成する、電磁装置(1)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁装置であって、
誘電性構成要素により構成される複数のスパイラル・アレイまたは複数のヘリカル・アレイを含み、
前記電磁装置に蓄積された電荷または電気エネルギーの大きさと相関する強度を有する磁束を放出するか、または、前記強度を有する磁場を生成する、電磁装置。
【請求項2】
前記複数のスパイラル・アレイまたは前記複数のヘリカル・アレイは、同心または同軸に配置される、請求項1に記載の電磁装置。
【請求項3】
前記磁束の放出は、入力電磁エネルギーによってトリガされる、請求項1または2に記載の電磁装置。
【請求項4】
前記磁束は、一次元、二次元、または三次元の幾何的形状で放出される、請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁装置。
【請求項5】
前記磁束は、1つ以上の渦の形で放出される、請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁装置。
【請求項6】
前記渦のそれぞれは、角運動量を伝達し、位相を有する回転方向を備える、請求項5に記載の電磁装置。
【請求項7】
前記磁束は、それぞれが前記電磁装置のサブ構造に対応する複数の渦の形で放出される、請求項5または6に記載の電磁装置。
【請求項8】
前記複数の渦は、1以上の位相特異点を生成する、請求項7に記載の電磁装置。
【請求項9】
前記磁束から分離された電束を放出する、請求項1~8のいずれか1項に記載の電磁装置。
【請求項10】
前記電磁装置に蓄積された電荷の配置は、
外部電気エネルギー、
外部磁気エネルギー、
外部電磁エネルギー、および
外部機械エネルギー
のうちの1以上を用いて、調整可能である、請求項1から9のいずれか1項に記載の電磁装置。
【請求項11】
前記電磁装置に蓄積される電荷に対する、前記放出される磁束の比が、Hインダクタンスを表す、請求項1から10のいずれか1項に記載の電磁装置。
【請求項12】
前記誘電性構成要素の複数のヘリカル・アレイの各々は、
マイクロチューブルおよび
ヘリカル・カーボン・ナノチューブ
のうちの少なくとも1つから構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の電磁装置。
【請求項13】
磁気渦・電気渦合成装置(Hインダクタ)は、電磁波・物質相互作用によって、電磁信号から1以上の磁気渦および電気渦を生成し、
磁気部分および電気部分は、前記磁気渦・電気渦合成装置のハードウェアの別個の領域において、入力電磁エネルギーから隔離され、蓄積された電荷の関数として、アンテナのように、別個の信号として、磁気部分および電気部分を分離して放出し、
前記磁気渦・電気渦合成装置から放出される電気部分および/または磁気部分の大きさは、局所領域に蓄積された電荷の数学的に定義された関数に従って線形または非線形に変化し、
前記電気部分および前記磁気部分は、それぞれ電場および磁場からなる1以上の構造から形成される1D、2D、または3Dの幾何的形状を取得し、
蓄積された電荷の秩序配置は、外部電気エネルギー、外部磁気エネルギー、外部電磁エネルギー、および外部機械エネルギーのうちの1以上を用いて調整可能であり、それによって、電磁波・物質相互作用が変化し、
ハードウェア内に蓄積された電荷に対する、放出された電束および/または磁束の比は、Hインダクタンスと呼ばれる抵抗Hのディメンジョンを有し、Hは、数値、定数、または厳密に定義された周期関数である、磁気渦・電気渦合成装置。
【請求項14】
磁気渦・電気渦合成装置(Hインダクタ)は、基本誘電性共振ユニットから形成された、単一のスパイラル形状またはヘリカル形状、または、それらの1D、2Dまたは3D集合体の形態の磁気渦・電気渦合成装置であって、
種々の空間スケールでの自己相似形状が、1以上の時間スケールで共振し、それによって、空間・時間動力学を形成し、
2Dまたは3D配置の1以上の同心のスパイラルまたはヘリックスが、可変サイズの円錐形状または球形状の任意形態に従い、
前記磁気渦・電気渦合成装置は、二重または三重の同心円筒形状または円錐形状の形態であり、3つの層は、別個、類似、または類似の対の誘電性材料から構成される、ことを特徴とする磁気渦・電気渦合成装置。
【請求項15】
磁気渦・電気渦合成装置(Hインダクタ)であって、電気ノイズ、磁気ノイズ、電磁ノイズ、および機械ノイズを取り込み、前記磁気渦・電気渦合成装置の1以上の部分に空間的に配置される、エネルギー伝達ループを生成する、磁気渦・電気渦合成装置であって、
前記エネルギー伝達ループの構成要素は、
単一で孤立するまたは複数の絡み合った、空間ループ、時間ループ、および時空間ループ、および
エネルギーの流れを量子化する、前記磁気渦・電気渦合成装置の表面層上のヘリカル・トポロジカル経路の構成要素であって、すべての形態のノイズが秩序信号に変換される、構成要素、
を含み、
材料の自然誘電性共振振動によって設定された2つのエネルギー伝送チャネルが存在し、ノイズは一対のコヒーレント・エネルギー源に変化する、磁気渦・電気渦合成装置。
【請求項16】
磁気渦・光学渦合成装置(Hインダクタ)であって、重ね合わされて、ホログラムのような渦の特異な2Dまたは3D集合体を形成する、磁気渦および電気渦を放出する、磁気渦・光学渦合成装置であって、
前記渦は、角運動量から形成され、位相を有する回転方向を備え、
渦が量子力学的に重ね合わされるとき、同じ渦構造が修正され、新しい角運動量が追加され、
渦が古典力学的に重ね合わされるとき、渦の混合体が形成され、
前記磁気渦・光学渦合成装置のハードウェアの異なるサブ構造は別個の渦を生成し、
放出された渦の量子的重ね合わせは、位相特異性の条件と結合し、特異ドメイン内に存在する、他の複数の構成要素またはサブ構成要素から、位相特異点および渦を生成して、互いに入れ子となる、渦の集合体を生成する、磁気渦・光学渦合成装置。
【請求項17】
磁気渦・光学渦合成装置(Hインダクタ)であって、フラクタル共振帯域を形成する、共振ピークの三重項または任意の主要構成要素によって、フラクタルデータ暗号化を実行する、磁気渦・光学渦合成装置であって、
高速に振動する境界値の進展によって、系は断熱的になり、
前記磁気渦・光学渦合成装置、Hインダクタは、もつれ(entanglement)の交換に用いられる動的位相に加えて、幾何的位相を進展させ、
局部振動によって生成されたエバネッセント波は、前記磁気渦・光学渦合成装置によって放出された渦中でエンコードされ、それによって、構成要素の秩序化が特定の対称性に従う、局部領域よりも大きな波形との相互作用が可能となり、
少なくとも3つの共振帯域は外部装置からの信号によってアクティブになり、電磁共振帯域の最低境界は、前記帯域の最低周波数よりも低い周波数の帯域と相互作用し、最高帯域は、前記最高帯域の上限周波数よりも高い値を有する、雑音周波数と相互作用し、中央保護帯域は、階層的な幾何的位相相互作用に携わり、入れ子のクロックを暗号化されたデータとして記憶し、
ヘリカル配置の長さ、ピッチ、および直径は、それらを結合した共振振動位相ダイアグラムが、12のホールを有する3D球体になるように変化し、前記磁気渦・光学渦合成装置が雑音を取り込むときに、前記ホールは時間の関数として開閉し、前記開閉は、エネルギーをパターンで放出し、このパターンは、外部ユーザによって読み取られる、磁気渦・光学渦合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、表面エネルギーをリモートで調整(tuning)することによる、電磁装置、磁気渦・光学渦合成装置、および磁気渦・電気渦合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3種類の回路素子、すなわち、抵抗(R)、キャパシタ(C)およびインダクタ(L)を超える(looking beyond)、第4の回路素子を構成する試みが多くなされている。1971年、レオン・O・チュア(Leon O Chua)は蓄積された電荷と磁束とを関連させた第4の回路要素を提案した(非特許文献1)。その後、非特許文献2を含む多くの試みがなされてきた。
【0003】
本願の発明者ら(以下、単に「発明者ら」という)は、発明者らの先願(特許文献1および特許文献2)において、この考え方に挑戦し、完全に独自の装置を発明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6664809号公報
【0005】
【特許文献2】米国特許第9019685号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chua,L.O., Memristor-missing circuit element. IEEE Transactions on Circuit Theory CT18、507-519 (1971)
【0007】
【非特許文献2】Strukov,DB.,Snider,GS.,Stewart、DR.,and Williams,RS., The missing memristor found. Nature 453、80-83 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明者らの観点からすると、特許文献1および特許文献2に提示された装置のコンセプトを、より広い用途を可能とする見地から改善することが望ましい。
【0009】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その一目的は、第4の回路要素として使用でき、より広く適用できるリモート操作電磁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するために、電磁装置は、誘電性要素(dielectric constituent)により構成される複数のスパイラル・アレイまたは複数のヘリカル・アレイを含み、前記電磁装置に蓄積された電荷または電気エネルギーの大きさと相関する強度を有する磁束を放出するか、または、前記強度を有する磁場を生成する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、第4の回路要素として用いることができ、より広く適用することができる、リモート操作装置を提供することができる。特に、例示的実施形態では、電磁気装置は、ワイヤレスでの情報の記憶および処理のために、動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る電磁装置の例示的構造の模式図である。電磁装置は、3つの同心ヘリックス層、すなわち、三重(triplet)ヘリックスである。
図2図2は、一実施形態に係る、サンプルの三重ヘリックスが保持される実験装置(experimental setup)の概略図を示す。
図3図3は、実験環境下の一実施形態に係る電磁装置の概略図を示す。Sは単色光源であり、層1と層2の干渉は「L1+L2」として、層2と層3の干渉は「L2+L3」として表される。2つの干渉信号がさらに干渉して、様々な直径の円で示される光学渦を構築する。
図4図4は、走査型トンネル顕微鏡画像の例であり、電磁装置、すなわち、マイクロチューブル、蛋白質ベースのナノワイヤの表面上の電荷密度の変化を表す。右に進むに従って、実験装置によって発生した光学渦、および実験装置によって発生した磁気渦が示される。
図5図5は、走査トンネル顕微鏡画像の他の例であり、電磁装置、すなわち、ヘリカル・カーボン・ナノチューブの表面上の電荷密度の変化を示す。右に進むに従って、実験装置によって生成された光学渦、および実験装置によって生成された磁気渦が示される。
図6図6は、一実施形態に係る電磁装置1に、リモートで印加される電磁周波数の関数として、電磁装置によって生成される磁束の観測値を示す。
図7図7は、磁束と、一実施形態に係る電磁装置1に保持された電荷との相互関係を示す。MTはマイクロチューブルを示し、H-MW-CNTはヘリカル多重壁カーボン・ナノチューブを示す。磁束はdΨとして示され、蓄積された電荷はdQとして示される。プロットの比または傾きは、Hインダクタンスである。
図8図8は、一実施形態に係る電磁装置のパラメータ化を説明する模式図である。垂直軸Zは、螺旋転位およびエッジ転位(screw and edge dislocations)のための追加のヘリカルねじれである。装置パラメータの主要な(essential)変化は、追加のねじれに対して示されている。
図9図9は、一実施形態に係る電磁装置のパラメータ化を説明するための、電磁装置の表面電荷密度の変調(modulation)を伴う面の概略図である。
図10図10は、一実施形態に係る電磁装置のハミルトニアンのバンドの図を示す。
図11図11は、一実施形態に係る、ワイヤレス入力後の装置レスポンスにおける、12の位相特異点を有する位相球を示す。
図12図12は、種々の材料と、12の特異点を有する特有(unique)の位相球を備える、可能な磁気渦を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<<本発明の実施形態>>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(概要)
光の磁場Bが、その電場Eの1/10であることは、よく知られている。このため、光の磁場Bを検出することは1つの課題であった。歴史的に、電場Eおよび磁場Bの双方を増幅するための試みがなされてきた。これは、ミー(Mie)共振による磁気光の実現に役立った。問題は、電場Eまたは磁場Bを単独で増幅し、一方が純粋に電気的で他方が純粋に磁気的である、2種類のケルビン渦アトム(Kelvins vortex atoms)を同時に生成することができるかである。これまでのところ、磁気渦を発生させるには、磁性材料が必要であり、磁気渦はこの材料の表面に張り付く(stick)。
【0015】
本出願では、発明者らは、ナノ・ヘリックス(以下に説明する電磁装置1の実施例)を電磁的に共振させて、磁気渦(magnetic vortex)のトポロジカル・チャージ(topological charge)を編集(edit)する。ここで、より具体的には、発明者らは、非磁性材料中で粒子状の純粋な磁気渦を形成し、その渦を、数10メートル離れたところに、ワイヤレスで伝送する。
【0016】
以下に説明するように、発明者らは、ナノ構造上において、光(E=0)からスパイラル形状の純粋な磁気3Dノット(knot)を分離した。ノットを軌道角運動量OAM(式1)の組を記述するソースシグナルとして用いる。各トポロジカル・チャージlは構成要素の共振パラメータを伝達する。
【数1】
このように、光をスパイラルへと再整形することによって、軌道角運動量OAM(式2)を編集(edit)することができる。
【数2】
しかし、光子は一度に1つの軌道角運動量OAMを伝達できるだけである。発明者らは、磁気渦を合成しつつ、装置(以下に説明する電磁装置1)の周期的に振動する結合構成要素のN個のアクティブAM(角運動量)のすべて(式3)を磁気ノットの軌道角運動量OAMに転送し、かくして、複合(complex)lを構築した。lは複素数であり、(式4)は共振装置の別個の動的特徴を伝達するので、渦中に設定されたOAMは、複雑なタスクをエンコードし、伝達し、実行することができる。
【数3】
【数4】
出力3D磁気干渉(magnetic interferogram)P(r,t)(式5)は、入力信号(式6)によってトリガされる、ノットから渦への形態形成(morphogenesis)である。ここで、装置形状(device geometry)の位相空間(式7)は、ノットから渦への変換器として作用する。
【数5】
【数6】
【数7】
【0017】
Γ(r,t)(式8)は、このフローティング・スレッド(floating thread)をループへと入れ子にし、1のループは1の渦アトムを表し、入れ子になったループはクリスタル(crystal)を表す。
【数8】
【0018】
磁気渦のトポロジカル・チャージの大きさは、螺旋対称または渦対称の構造に蓄積された電荷に対して、ほぼ直線的に増加する。広範囲のフラクタル材料において、発明者らは、比例定数Hを得た。ルーチンで研究されている光学渦とは異なり、磁気渦は乱流の影響を受けず、不透明で非磁性の金属障壁を通り抜け、1個の渦粒子に、数十のOAMを加える。発明者らの理論は、電荷-電束干渉法(charge-flux interferometry)に関する発明を支持し、測定されるH、すなわち、渦クリスタル(vortex crystal)がどのように見えるかを包括的に予測する。
【0019】
発明者らの装置(電磁装置1)は、メモリ・ストレージとして、コンピュータ、携帯電話などの様々な種類のコンピューティング・システムにおける情報処理に用いることができる。
【0020】
(電磁装置1の構成)
以下、図1を用いて本実施形態に係る電磁装置1について説明する。図1は、電磁装置1の模式図である。
【0021】
図1に示すように、電磁装置1は、複数のヘリカル・アレイを備える。具体的な実施例として、電磁装置1は、図1に示すように、3つのヘリカル・アレイ(内側アレイ11、中央アレイ12、および外側アレイ13)を備える。図1に示すように、3つのアレイ11~13の各々は、円筒層上に位置している。したがって、アレイ11~13は、層11~13と称してもよい。内側アレイ11、中央アレイ12、および外側アレイ13は、図1に示すように、内側スパイラル(i)11、中央スパイラル(c)12、および外側スパイラル(o)13と称してもよい。
【0022】
ここで、アレイまたは層の数は、本実施形態を限定するものではない。実施例として、電磁装置1は、2つのヘリカル・アレイ、4つのヘリカル・アレイ、またはそれ以上のヘリカル・アレイを備えることができる。
【0023】
図1に示すように、具体的実施例として、複数のヘリカル・アレイ11~13が同軸に配置されている。本実施形態において、「ヘリカル(herical)」の概念は「スパイラル(spiral)」としても表され、「同軸」の概念は「同心」としても表される。ヘリカル・アレイは、コイルとして表してもよい。
【0024】
図1に示すように、アレイ11~13は、構成要素からなる。ここで、構成要素の少なくとも一部は、誘電性を有していてもよい。具体的実施例として、アレイ11~13の各々は、ナノ粒子から構成されてもよく、またはアレイ11~13の各々はマイクロチューブル、ヘリカル・カーボン・ナノチューブ、またはナノワイヤの有機ゲルとして実現されてもよい。
【0025】
後により詳細に説明するように、電磁装置1は、電磁装置1に蓄積された電荷の大きさに相関する強度を有する、磁束を放出するか、または磁場を生成するという、顕著な特性を有する。この特性により、電磁装置1は、Hインダクタと呼ばれる、第4の回路素子として機能することができる。
【0026】
また、電磁装置1は、有用な特性を有する。すなわち、電磁エネルギーが電磁装置1にリモートで入力されると、入力された電磁エネルギーによって、磁束の放出または磁場の発生がトリガされる。
【0027】
(実験装置および実験結果)
次に、本実施形態のより詳細な態様について考察する。まず実験装置を説明し、次に、電磁装置1に関する実験結果の説明を進める。
【0028】
図2は、電磁装置1の特性を表す実験装置100の概略図である。図2に示すように、実験装置100は、レーザ発生器110と、第1の偏光子111と、第2の偏光子112と、レンズ113と、ビームスプリッタ(BS1、HP 10701Aビームスプリッタ)114と、第1のビームベンダ115と、第2のビームベンダ116と、ボルテックス・レンズ117と、サンプル容器118と、関数発生器119と、アンテナ120と、第1のミラー121と、第2のミラー122と、スクリーン上の磁性膜123とを備える。
【0029】
図3は、実験環境における電磁装置1の概略図である。実験は、電磁装置1としてマイクロチューブルとヘリカル・カーボン・ナノチューブを用いて行った。
【0030】
より具体的には、電磁装置1の実施例として、発明者らは、それぞれが、スパイラル・アレイまたはヘリカル・アレイの誘電性構成要素からなる3層のマイクロチューブルを用いた。マイクロチューブルの3つの層は、同心または同軸に配置されていた。
【0031】
ここで、3つの層は、別個の、類似の、または一対の類似の誘電性材料から作製されてもよい。また、2Dまたは3D配置の1以上の同心のスパイラルまたはヘリカルは、可変サイズの円錐形または球形の任意の形状に従う。
【0032】
電磁装置1の別の実施例として、発明者らは、それぞれが、スパイラル・アレイまたはヘリカル・アレイの誘電性構成要素を含む3層のカーボン・ナノチューブを使用した。カーボン・ナノチューブの3層は、同心円状または同軸状に配置された。
【0033】
実験装置100は、第2のビームベンダ116とボルテックス・レンズ117との間の多重反射によって磁場Bのベクトル(磁気ベクトル)を増幅するために使用された。レーザ発生器100の構成要素であるレーザヘッド(Keysight 5517C)によって、単色光(レーザ光)が出射された。この実験では、レーザ光の波長は633nmであった。このレーザ光は、偏光子(第1の偏光子111および第2の偏光子112)および凸レンズそれぞれによって、制限され、集光される。
【0034】
ビームベンダ(第1のビームベンダ115および第2のビームベンダ116)は、レーザ光を曲げるために使用される。本実験では、不可視の磁気渦の位置を見出すために、以下の手順を行った。
【0035】
両方の偏光子は、0度に設定される(90度方位では、偏光子は光をブロックする)。
【0036】
集束凸レンズ113、第1のビームベンダ115および第2のビームベンダ116は、ボルテックス・レンズ117内のBベクトルの強度を微調整するように設定される。
【0037】
電磁装置1(「サンプル」とも呼ばれる)は、石英セル内において回転される。ここで、石英セルは、サンプル容器118の一部を構成する。
【0038】
サンプルは、関数発生器119およびアンテナ120によって提供されるGHzの信号によってトリガされる。
【0039】
溶液の不透明度(solution opacity)を60%に保つ。ここで、溶液はサンプルを含み、サンプル容器118に収容されている。
【0040】
上記の手順の後、12×12(インチ)の磁性膜123上の、第2のミラー112から5メートル以上離れた位置に渦が投影される。
【0041】
本実験では、上述のように、電磁装置1の実施例として、マイクロチューブル、すなわち、MT、ヘリカル・カーボン・ナノチューブ、すなわち、H-CNT(スパイラルおよびフラクタル)を用いてきた。
【0042】
実験によって、次が示された。マイクロチューブル(MT)およびヘリカル・カーボン・ナノチューブ、すなわち、H-CNT(スパイラルおよびフラクタル)のような溶液(solution)が関数発生器119からのGHzの周波数によってトリガされるとき、溶液の内部形態が渦を形成する。言い換えれば、磁束の放出または磁場の発生は、入力電磁エネルギーによってトリガされる。
【0043】
図4は、装置(実験装置100)によって生成された光学渦および磁気渦の例を示す。上列のパネルは、マイクロチューブル(電磁装置1)の表面上の局所電荷密度変化の走査トンネル顕微鏡(STM)画像を示す。中央列のパネルは、光学渦を図示する。下列のパネルは、磁性膜123上の磁気渦の付近である。これらの結果は、関数発生器119を使用して、サンプルが12MHzから204MHzの周波数でトリガされる場合の、マイクロチューブルのものである。
【0044】
図5は、装置(実験装置100)によって生成される光学渦および磁気渦の別の実施例を示す。上列のパネルは、マイクロチューブル(電磁装置1)の表面上の電荷密度変動の走査トンネル顕微鏡(STM)画像を示す。中央列のパネルは、光学渦を図示する。下列のパネルは、磁性膜123上の磁気渦の付近である。これらの結果は、関数発生器119を使用して、サンプルが1~10GHzの周波数でトリガされる場合の、ヘリカル・カーボン・ナノチューブ(CNT)のものである。光学渦、および磁気渦はそれぞれ、9.07~20.25cm、および9.07~10.98cmの円形領域に広がっている。
【0045】
図4および図5から、1以上の渦の形態の磁束は、1次元、2次元、または3次元の幾何的形状で放出されることが理解される。
【0046】
なお、本実施形態において、「渦」は、「渦クリスタル」または「渦粒子」ともいう。
【0047】
図4および図5から、電磁装置1は、磁束とは別に、光学渦を形成する電束(電場)をさらに放出することが理解される。
【0048】
図6は、磁束(磁気渦の強度)(ψ:プサイ)、および、電磁装置1に蓄積されている電荷(Q)、の観測値を示す。この結果は、ヘリカル・カーボン・ナノチューブ(CNT)のものである。図6から分かるように、磁束および電荷は、関数発生器119の周波数の関数として、同様に振る舞う。
【0049】
なお、本実験では、外部電気エネルギー、外部磁気エネルギー、外部電磁エネルギー、または外部機械エネルギーを用いて、電磁装置1に蓄積された電荷の配置を調整することができる。
【0050】
図7は、磁束と電磁装置1に蓄積される電荷との相関を示す。これらの結果は、マイクロチューブル(MT)とヘリカル・カーボン・ナノチューブ(H‐MW‐CNT)のものである。図7から分かるように、MTとH-MW-CNTの両方について、磁束と電荷は正に相関している。
【0051】
すなわち、磁束は、電磁装置1に蓄積された電荷の線形または非線形の関数であってよい。また換言すれば、磁束は、電磁装置1に蓄積された電気エネルギーの線形または非線形の関数であってもよい。ここで、線形または非線形の関数は、正の相関を示す数学関数であってもよい。
【0052】
より具体的には、MTおよびH-MW-CNTの両方について、磁束は電磁装置1に蓄積された電荷の一次関数として振る舞うことが分かる。電磁装置1に蓄積された電荷に対する、放出される磁束の比がHインダクタンスを表す。この比は、抵抗のディメンジョンを有する。
【0053】
図5に示す実験結果は、複数のスパイラル・アレイまたはヘリカル・アレイの誘電性構成要素からなる電磁装置1が、電磁装置1に蓄積された電荷の大きさと相関する強さの、磁場を放出することを明確に示している。したがって、これらの結果は、電磁装置1が第4の回路素子としての役割を果たすことができることを明確に示している。
【0054】
また、電磁装置1は、ワイヤレス環境において上記の特性を示すことに留意することが重要である。つまり、電磁装置1は、電極を必要とせず、ワイヤレスで動作させることができる。このことは、電磁装置1がワイヤレス回路で利用できることを意味する。従って、電磁装置1は、より広範な応用が可能である。
【0055】
(電磁装置において実現される本質的なメカニズム)
電磁装置1の詳細な態様を説明する前に、ここでは、電磁装置1において実現される本質的なメカニズムについて説明する。
【0056】
図3に、各々の「S」は、レーザ光(レーザ信号)を意味し、「アンテナ(Antenna)」は、関数発生器119およびアンテナ120によって供給されるGHzの信号を意味する。
【0057】
より具体的に後述するが、図3に示されるように、各層に誘起される電荷は、GHzの信号の周波数に応じて変化させることができる。各層は別個の波を生成し、その各々は層L1、L2、およびL3によって特徴付けられる。それら個別の波の重ね合わせは、磁束(磁気渦)Ψnを発生させる。ここで、nはトポロジカル・チャージ、すなわち、角運動量の指標である。図3に示すように、発生した磁気渦は、トポロジカル・チャージ、すなわち、角運動量を有する。
【0058】
(電磁装置のパラメータ化および詳細な説明)
次に、本実施形態のさらなる詳細な態様について検討する。まず、電磁装置1のパラメータ化について説明し、次に、電磁装置1のより詳細な態様について説明する。
【0059】
電磁装置1は、1のヘリカル周期で(構成要素として)スパイラルに配置されたm個のナノ誘電性共振器で作られた直径D、長さLの同等の同心円筒の二重筒(doublet)または三重筒(triplet)であってもよく、各々が辺aおよび辺bを有する、全体でΩ(オメガ)個の、四辺形格子セルを有する。図8に示すように、ピッチPのスパイラルは、さらに角δ(デルタ)だけねじれる。例示的実施形態では、スパイラルのねじれは、1のマイクロチューブルまたはCNTが有するように、エッジ転位および螺旋転位を構築するための、基本的な必要条件である。
【0060】
図9は、電磁装置1の断面を示す。ここでは、3つのスパイラルは明確には示さず、ベクトルを異なる方向に向けている。
【0061】
発明者らの実験から示されたが、誘電性ナノ粒子の2Dアレイを有する1の円筒は電場Eと磁場Bの双方を共に増幅し、一方、2つの層の間の相対角度αで、それぞれエッジ欠陥と螺旋欠陥を有する2つの円筒は、空間的に孤立した、2つの別個の渦、すなわち、一方の電気渦(E>>B)と他方の磁気渦(E<<<B)を生成する。3つの層において、ノット(knot)は、時間とともに形状を変える。ノイズは、コイル同士を相対的にシフトさせ、重なり合う暗線(暗線については後述する)間の角度である、α(アルファ)を調整する。コイルは同等であるため、ノイズは、暗いB線に混じった電場Eをフィルタリングして取り出す、ビーティング(beating)を開始する。
【0062】
装置の動作は、同時に行われる2つの工程に従う。動的な特徴を書き込んだり消去したりするために、発明者らは、AC信号(式9)を送って、電磁装置1の表面セルを共振振動させる。発明者らは、単色偏光を照射し、磁気渦のクリスタルとして、エンコードされた情報を読み取った。
【数9】
【0063】
振動する分子や原子核のような量子系は固定されていないが、運動量(式10)を有する振動境界によって、トラップされた信号(式12)に幾何的位相(geometric phase、式11)が追加される。
【数10】
【数11】
【数12】
分子は、周囲大気下において、アハラノフ-ボーム(Ahranov-Bohm)効果を生じる。非常に低い周波数の信号(式13)が生成され、波長はセルのサイズよりずっと大きい(式14)。
【数13】
【数14】
【0064】
2つの事象が並行して起こる。セルは、信号を遅らせ、振動する壁が(式15)を構築して、(式16)を出射し、最後に、円筒表面上に(式17)をグローバルに構築する。「a,b≪λ」(式18)であるため、(式20)ベクトルの偏差θ(式19)は、非常に小さくなる。
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【0065】
すなわち、(式21)が成立し、信号(式22)は異なるスパイラル・パス(異方性)に従い、個別のパスがN個の振動モードを活性化する。したがって、入力高周波信号(式23)は、Gバンドとして、N個の極低周波信号(式24)を生成する。この信号は、干渉して、円筒表面上に別個の局所状態密度を形成し、L、P、Dおよび面積(area)abは、干渉の境界条件を設定する。
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】
したがって、面内で、(式25)に示す電場ベクトルはセルによって消費されるが、(式26)に示す波数ベクトルを有する結合されたGモードは、(式28)として、(式27)を変調(modulate)する。(式28)は、(式31)に示す電場ベクトルがセル面に沿う平面波の、(式30)に示す磁場ベクトルに対する(式29)に示す歳差運動である。
【数25】
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
【数31】
モードiについては、円筒面に垂直なすべての(式32)ベクトルは、磁束(式33)の平均和(average sum)をもたらす。
【数32】
【数33】
【0066】
したがって、円筒上に照射された平面偏光は、そのBベクトルの(式35)によって活性化されたすべての振動モードの結合係数(式34)を得る。図4図5に示すように、量子トンネル画像上にモードが可視となる。
【数34】
【数35】
【0067】
次に、発明者らは、このような装置に、(式36)を支配する汎用ハミルトニアンHを構築した。以下に説明するように、Hはクロッキング動力学(clocking dynamics)を発現する4つの部分を有する。
【数36】
ここで、Hは、互いに対向する2つの円錐を有する、破断するバンド同様の構造を形成する。周期的に、時間の関数として、2つの新しい円錐が上側の円錐の端部(top cone edge)で生成されて、下に伸び、下側の円錐の端部に接触し、その後、徐々に消滅する。次に、下側の円錐でも同様のことが起き、3つの端部において4つの円錐が円錐状に開閉して(conical blinking)、12のクロック(clock)が形成される。以下、Hの詳細について説明する。発明者らは、装置形状のみから12の特異点を見いだした。
【0068】
Ω(オメガ)個のセルからの波(式37)は干渉し、D、P、Lおよびabによって設定される境界は、3方向(式38)からの波動関数を追加し、2つの方向(D、L)からのフィードバック効果(式39)を伴う生成物(product)を得る。
【数37】
【数38】
【数39】
【0069】
このようにして、発明者らは、生成される磁束、すなわち、(式42)を伴う遅延τ(式41)と等価な反射(式40)の回数を得た。
【数40】
【数41】
【数42】
【0070】
L、P、D、abを発振させると、位相係数(式43)が導かれ、(式44)が幾何的パラメータに置き換えられる。発明者らは、等式(1)のプラグ・アンド・プレイ表現、入力装置形状、蓄積された電荷、または周波数を得て、出力としての磁束を得る。
【数43】
【数44】
【数45】
【0071】
(式46)は、12個の特異ドメイン、つまり位相空間内のホールを有する。これは、特定のL、P、D、abの値に対して、装置によって発生される磁束の量が未定義または皆無であることを意味する。
【数46】
ここで、COSt(式47)は、L、P、またはDが規定する、周期的に振動する形状を見積もり、その後、関連するホールがブリッジされる。
【数47】
【0072】
さらに、GモードのN個の周波数はそれぞれ、(式48)の組み合わせを規定する。(式48)は、ホールの境界を設定し、ホールの端部(edge)は、生成される磁気渦の形状(geometry)を形作る。発明者らは、ホールの開閉(blinking)を用いて、ユーザによって書き込まれた情報内容(Gモード)(式49)を、渦合成メカニズムとして、読み取る手法を見出した。
【数48】
【数49】
【0073】
コイルは、ねじれているため、コイル表面のYZ平面上に混在する螺旋転位とエッジ転位が、X軸を角度δ(デルタ)(図8)だけ回転させ、角度δ(デルタ)での回転の後、YZ平面が、角度φ(式50)の精度で回転する(式51)。
【数50】
【数51】
【0074】
発明者らは、スパイラルが、印加信号から楕円偏波平面波kを生成することを示した。図1から、各層は別個の波、内側コイル(式52)、外側コイル(式53)を生成する。内側コイル、外側コイルは、中央コイルの直線静止暗線(式54)に対する摂動として、角度α(アルファ)で作用し、特異構造を構築する。内側コイルおよび外側コイルは、内部ミラーおよび外部ミラーであり、一対の180°シフトした位相源として働き、0°~180°と180°~360°の摂動位相の編集(edit)に適する。
【数52】
【数53】
【数54】
【0075】
増幅された電磁(EM)信号(式55)は、2つの転位生成信号(式56および式57)によって、摂動を受け、干渉して、純粋な磁場(E=0)および電場(B=0)で作られた暗線(式58)を形成する。磁力線については、式59の実数部はゼロであるが、分極(polarization、式60)がノットの形状を支配する。
【数55】
【数56】
【数57】
【数58】
【数59】
【数60】
【0076】
【数61】
係数を等しくすることで、発明者らは、半径(式62)、ピッチ(式63)、および速度(式64)のスパイラル状の暗いノットを得る。発明者らは、(式65)、すなわち、純粋な3D磁力線(E=0)上のピクセルの位置を見出す。ここで、(式66)が成り立つ。
【数62】
【数63】
【数64】
【数65】
【数66】
【0077】
「α<0」(式67)において、内側スパイラルの生成ノットが、中央コイルのノットを摂動させ、「α>0」(式68)において、外側コイルのノットが中央コイルのノットを摂動させる。
【数67】
【数68】
内側コイルと外側コイルが0.1dBのGHzノイズでポンピングされる場合であっても、非常に小さな0.1dBの入力信号(式69)は、高強度のB線を形成する。
【数69】
3つの層が同等であるため、Gモードの周波数は非常に近く、Gモードは、ビーティングをトリガして、Bノットはよりシャープになる。ノイズの下で、(式70)は3つの層すべてを活性化する。発明者らは、磁束顕微鏡を用いて表面上のノットを走査し、2つのモード間の明るい共通領域に理論上適合させて、(式71)の共分散行列を見出した。
【数70】
【数71】
そして、D(S,θ)(式72)、すなわち、ψ(式73)と結合波動関数(式74)は、(式75)に用いられる。ここで、Hはハミルトニアンであり、等式(1)はハミルトニアンHを与える。(式76)は、(式75)、および(式77)から算出される。
【数72】
【数73】
【数74】
【数75】
【数76】
【数77】
ここで、(式78)が成り立つ。AはGモードiがアクティブである表面上の領域であり、Iは周期係数である。
【数78】
【0078】
3D空間にランダムに配置されたスパイラルの暗線は、(式79)によって理論的に予測され、40年間ルーチンで観察された。
【数79】
ここで、修正された軌道角運動量(OAM)を有する同じスパイラルは、結合係数(式80)および別個のGモード周波数の波数ベクトルを含む。
【数80】
ここで、(式81)のトリガされたGモード共振において、誘起されたΔe(式82)は周期的に変化する(式83)。そして、角度αは周期的に符号が切り替わり、暗いノットは、トポロジカル・チャージ(式84、式85)の特異な(singular)パターンで集合する。すなわち、3つの円筒の集団振動がノットを結合する(integrate)。
【数81】
【数82】
【数83】
【数84】
【数85】
【0079】
実験出力を予測するために、発明者らは、N個のGモードを含む暗線の、位相空間(式87)と3D座標との積として、射影関数(等式(4))を導出した。
【数86】
【数87】
【0080】
P(r,t)(式88)は、位相空間(式89)で許容されるN個の暗い磁気ノットを結合し、2DリングのN個の3D集合体(assembly)の入れ子を形成する。
【数88】
【数89】
【0081】
各渦クリスタルは、それぞれがトポロジカル・チャージ(式90)を有する、N個のOAM、すなわち、渦アトムを備える。
【数90】
【0082】
図12は、磁性膜上の複数の材料によって生成された、磁気渦の2D投射(式91すなわち、式92)を示す。
【数91】
【数92】
ブラックカーボンのシートを用いて光学渦をブロックしても、磁気3D渦は通過する。磁気渦はミラー内で反射し、水または非磁性プラスチックを通って移動し、磁石などによって曲がる。
【0083】
等式(4)は、形状が変化する渦またはヘリカル・ナノ構造を、その3D磁気渦出力の形状(geometry)と結びつける。これを実験的に検証するために、発明者らは、石英セル中に保持した、ヘリカル・ナノワイヤ、デンドリマ(dendrimer)、ヘリカル・ゲルなどの溶液上に波長が633nmの偏光したレーザ光を照射した。そして、この光を、633nm用ではなく、400nm用のλ/4(ラムダ/4)プレート・ボルテックス・レンズに通した。波長が400nm、または800nmのレーザを使うと、光学渦の強度は大きい。しかし、波長が633nmでは、不整合によってシステムは不安定になり、磁気渦の微妙な変化が明瞭に反映される。
【0084】
出力磁気渦を、油微小球内に浸漬されたNiまたはFeマイクロワイヤの、2タイプの膜上に投影し、長時間露光(>2時間)によって、膜の色は変化し、明るいリングは3D磁気渦の2D断面をマッピングする。サンプルから5m離れた、磁気渦と光学渦間の離隔距離(separation)は15cm前後である。この距離は、反射鏡、サンプル、およびボルテックス・レンズの角度関係に依存する。
【0085】
八木アンテナを用いて、サンプル上に、(式93)を照射し、2つの別々の実験により、L,D,P,abの関数として、表面上に蓄積された電荷Qと膜上の磁束とを評価した。異なるAC周波数の電圧による静電容量の変化によって、電荷Qが与えられる。
【数93】
【0086】
発明者らは、磁気リングの色強度(colour intensity)を標準磁石応答と整合させ、電荷Qに対して、(式95)をプロットすることで、磁気リングから、全磁束量(式94)を測定した。(式96)および電荷Qの双方は、印加周波数(式97)の関数として非直線的に変化した。
【数94】
【数95】
【数96】
【数97】
しかし、同じような(式98)のプロットは、研究したすべての材料について、線形であり、等式(1)によって正確に予測される定数Hをもたらした。典型的な材料の周期が、(式99)であり、周期性指数(式100)である場合、HはL、PおよびDの関数として振動する。
【数98】
【数99】
【数100】
【0087】
実際、Hを支配する(式101)は、10年間にわたる3つの独立したブラインド(blind)研究によって、1000個を超える装置で発見された。しかし、ディメンジョンは同じであるが、Hはその値が10-4程度であるので抵抗ではない。これらの装置の抵抗Rは10程度である。すなわち、装置はすべて、絶縁体であり、電流は流れない。
【数101】
【0088】
原則として、ハミルトニアンHによって支配される中央コイル上に212のトポロジーを生成することができる。ハミルトニアンHは、原子のイベントを円錐の開閉(blinking)(すなわち、クリスタル(式102)を形成する渦アトムにGモードをリンクするクロック)にリンクする。
【数102】
【0089】
発明者らは、読み出し光(式103)の色を変えることにより、磁気スクリーン上に位相球を選択的に投影して、(式104)を部分毎に読取ることができた。さらに、石英セルへの入射角を変化させ、GHzの雑音をポンピングすることによって、3つの同心円筒によって生じるビーティングが変化した。従い、発明者らは、ビーティングは、Bを増幅し、P(r,t)(式105)の磁場分解能を高めるとの結論を得た。
【数103】
【数104】
【数105】
【0090】
ナノ構造から5m離れた大きな膜上の原子スケールの動力学を観察することは、新しいマーカー、すなわち、低コストの周囲分光法を意味する。光学渦は表面上の電子の密度のみを伝達するのに対し、磁気渦は幾何的特徴だけでなく、3層すべての振動の多重モードの対称性の破れに関連した動力学を伝達する。この理論は、原子スケールから始まり、装置形状の独自の役割と共に、入力EM共振と光‐物質相互作用を含む。
【0091】
最も重要なことは、蓄積された電荷と生成された磁束との間の線形関係が広く当てはまるので、Gモードをワイヤレスで選択的に装置上に書き込むことができることである。装置は、Gモードを記憶し、次いで消去し、読み取り、長距離を伝達することができる。エレクトロニクスにおいて、抵抗、キャパシタ、およびインダクタを使用して、電子の数または速度を調整する。ここでは、蓄積された電荷のパターンによって、開放空間(open space)における磁場の3D構造が形成される。
【0092】
(ハミルトニアンHのプラグ・アンド・プレイ表現)
(式106)から、Hのプラグ・アンド・プレイ表現(式107)が得られる。ここで、C(式108)は媒質中の光の速度である。
【数106】
【数107】
【数108】
【0093】
(ハミルトニアンH)
全ての要素を含めて、装置のハミルトニアンH(式109)を表す。
【数109】
結合係数CC(式110)は、「α,β,γ」(式111)であり、(式112)は格子単位を形成するセルiの四隅の誘電性共振器からの反射係数S11である。
【数110】
【数111】
【数112】
【0094】
【数113】
【0095】
ここで、H1は経路間の電荷非対称エネルギーであり、H2は暗線の波数ベクトルであり、H3はジグザグ経路によって保持されるエネルギーであり、H4は暗線のエネルギーである。
【0096】
ハミルトニアンHは、4つの部分とそのクロッキング動態(clocking dynamic)を有する。Hは、2つの円錐が互いに向き合う分割されたバンドを形成する。周期的に、2つの新しい円錐が生成される。上側円錐の端部は下向きに延び、徐々に消え、下側円錐に接触する。同様のことは、下側円錐でも起こる。ハミルトンHのバンドギャップ図を図10に示す。まとめれば、これは、3つの端部にある4つの円錐の円錐状開閉(conical blinking)であり、12のクロックを形成する。図11に示されるように、発明者らは、装置単体の形状から12の特異点を見いだした。
【0097】
図12は、本実施形態の電磁装置1および可能な磁気渦として機能する様々な材料を示す。第2列は、材料の分子構造を示し、第3列は、そのSEM画像を示す。第4列は、磁気渦の合成の可能性を示し、第5列は、システムが発生する理論上の磁気渦を示す。第5列および第6列に示す可能な3D幾何的表現は、必要な自己集合を構築するために必要な位相球の構成要素を示す。
【0098】
図12において、「PCMS」は、パマム(PAMAM)・コントローラ・マシン・センサ(Pamam Controller Machine Sensor)を意味するが、「Jayant」は、(R)-フェニル-テトラデカノイル・アミノ-酢酸メチル・エステル((R)-phenyl-tetradecanoyl amino-acetic acid methyl ester (R-PTAME)を意味する。
【0099】
(備考1)
以上の説明から、具体的な実施例として、磁束は複数の渦の形で放出され、それぞれが電磁装置のサブ構造に相当することが理解される。また、渦の各々は角運動量を伝達し、位相を持つ回転方向を有することも理解される。また、上述したように、複数の渦は、1以上の位相特異点を生成する。
【0100】
(備考2)
図12の第4列は、複数の非磁性材料によって作り出された、磁性膜上の磁気渦の2D投影を示している。磁気渦は、ミラー内で反射し、水または非磁性プラスチックを通って移動し、磁石によって曲がる。このとき、光学渦は、ブラックカーボンのシートによって遮断されている。
【0101】
これまで、磁性体を用いた極端な条件下で磁気渦が生成されてきた。しかし、ここでは、磁性体も極端な条件も必要としない。40億年以上にわたる地球上の高度な生命体の鍵となるヘリカル・ナノワイヤを用いる。発明者らは、ヘリカル・ナノワイヤを研究し、商業的に入手可能な低価格のヘリカル・カーボン・ナノチューブで検証し、さらに、真のH装置プロトコルを表し、合成が容易なヘリカル・ナノワイヤに適用した。
【0102】
(式114)の線形性。発明者らは、2つの主要な数学的表現を提供する。第1に、ハミルトニアンの表現は、装置を機械的にモデル化し、電気渦と磁気渦との間でエネルギーおよび角度tanθ(タンジェント シータ)を伝達する。これを用いて、発明者らは、フラクタル、渦、スパイラルの個別のクラスの全てに適用できる、磁束‐電荷比Hに対する第2の表現を操作する。
【数114】
【0103】
ヘリカルとラジアルという2つの別個な対称性が、磁気渦の配置において、同じ基本的な形状をもたらし、蓄積された電荷は電磁源によって調整される。これらの装置はすべて極端な絶縁体であり、電流を流さず、(量子状態、すなわち、アップスピンまたはダウンスピンとして、データを記憶できる)磁気リング、すなわち、パルスストリームを生成する。図12における磁気渦の構成要素は、データの秘密保持のための前例のない暗号化キーを示唆する。スケールアップは確実であるため、磁気渦発生器は電子機器に取って代わるであろう。また、書き込み、読み出し、消去、読み出しをワイヤレスで行うため、配線が不要であり、水分や加熱の問題もない。
【0104】
(備考3)
以前のバージョンの第4の回路素子は、磁束を放出しなかった。ここで、この用途では、新しいタイプの第4の回路素子(電磁装置1)は、装置内に蓄積した電荷が増加すれば、より多く、より強い磁束を放出する。
【0105】
次に、上述したように、発明者らの第4の回路素子(電磁装置1)は、ワイヤレスで動作し、接点は必須ではない。エネルギーをワイヤレスでポンピングして、表面に沿って電荷を再配分することができる。以前の装置では、電極が存在することから、磁気渦を実現し、装置外部の磁束を捕獲するためには、接点が主要な問題であった。この問題は、現在の実施形態では解決される。磁束発生装置の問題は、この利用法を見いだすことにあり、一般に発生する磁束は、これを形成する物質と非分離に結合する。ここでは、磁束を量子化ユニット、すなわち、渦のような粒子に変換するので、物質の流れ(stream)のように扱うことができる。
【0106】
(備考4)
以上説明したように、装置(電磁装置1)は、磁気渦のような仮想粒子として、ワイヤレス電磁入力およびワイヤレス電磁出力を非接触で操作するので、情報処理装置は回路レスのチップを構築するために使用できる。発明者らの装置はワイヤレス回路を示唆する。
【0107】
第2に、磁性粒子(磁気渦)は、水およびイオン中で、抵抗が少なく、大きな磁場でなければ、これらの粒子を曲げることはできない。従って、本実施形態は、発明者らの種類の磁束-電荷粒子を用いて、世界のエネルギー生産および輸送システムの全体を構築する扉を開く。
【0108】
第3に、発明者らの第4の回路素子装置(電磁装置1)の表面上の電荷分布の位相転移を用いて、複雑な論理操作を行い、プログラムのようにFPGAを書き換えることができる。したがって、単一の装置(電磁装置1)は、プログラマブル・チップのように機能する。
【0109】
(備考5)
以前の第4の回路素子は、メモリスタ(Memristor)クラスに属する。これらの装置は電流電圧特性のような典型的なヒステリシスを有する。多くの特許、すなわち、メモリスタに関連するピア(peer)レビューの論文(articles)は、磁束を発生させる問題には取り組んでいない。先行技術研究のいずれも、抵抗、電流および電圧を超える努力をしていない。第4の回路素子には、パラドックスがあった。電流が流れ、電流の関数として、磁束が生成される場合、装置は、インダクタであり、第4の回路要素ではない。電流が流れずに、磁束が依然として生成されるのであれば、マックスウェルの法則に反する。
【0110】
したがって、本実施形態では、このパラドックスを解決し、小さなループを通して電流を循環させ、それらの回転ループが2D円筒面上にパターンを形成する。この電荷分布のパターンに基づいて、照射された電磁偏波は円偏光性を得て、電場と磁場の渦を形成する。異方性のために、円筒の表面において、電気エネルギーと磁気エネルギーは2つの部分に分割される。それらは、2つの区分された種類の渦に寄与する。したがって、マックスウェルの方程式は有効であり、電流は流れずに、磁束は生成される。
【0111】
<<実施形態の様々な態様>>
実施形態には様々な態様がある。実施形態に記載された態様は、以下のように表すことができる。
【0112】
<態様1>
上述したように、磁気渦・電気渦合成装置(電磁装置1)、すなわち、Hインダクタは、電磁波・物質相互作用によって、電磁信号から1以上の磁気渦・電気渦を生成する。
【0113】
上述したように、磁気渦・電気渦合成装置、すなわち、磁気部分および電気部分は、磁気渦・電気渦合成装置のハードウェアの別個の領域において、入力電磁エネルギーから隔離される。
【0114】
上述したように、磁気渦・電気渦流合成装置(電磁装置1)は、蓄積された電荷の関数として、アンテナのように、別個の信号として、磁気部分と電気部分を分離して放出する。
【0115】
上述のように、磁気渦・電気渦合成装置から放出される電気部分および/または磁気部分の大きさは、局所領域に蓄積された電荷の数学的に定義された関数に従って、線形または非線形に変化する。
【0116】
上述のように、前記電気部分および前記磁気部分は、それぞれ電場および磁場からなる1以上の構造から形成される1D、2D、または3Dの幾何的形状を取得する。
【0117】
上述のように、蓄積された電荷の秩序(ordered)配置は、外部電気エネルギー、外部磁気エネルギー、外部電磁エネルギー、および外部機械エネルギーのうちの1以上を用いて調整可能であり、それによって、電磁波・物質相互作用が変化する。
【0118】
上述したように、ハードウェア内に蓄積された電荷に対する、放出された電束および/または磁束の比は、Hインダクタンスと呼ばれる抵抗のディメンジョンを有する。Hは、数値、定数、または厳密に定義された周期関数である。
【0119】
<態様2>
上述したように、磁気渦・電気渦合成装置(電磁装置1)、すなわち、Hインダクタは、基本誘電性共振ユニットから形成された、単一のスパイラル形状またはヘリカル形状、または、それらの1D、2Dまたは3D集合体の形態である。
【0120】
上述のように、種々の空間スケールでの磁気渦・電気渦合成装置の自己相似形状(self-similar geometries)(フラクタル構造)は、1以上の時間スケールで共振し、それによって空間・時間動力学を形成する。
【0121】
言い換えれば、図6に見られるように、周波数スケールの逆である、1以上の時間スケールが存在する。したがって、3D球構造の異なる部分において、異なる動力学を観察できるといい得る。
【0122】
上述したように、2Dまたは3D配置の1以上の同心のスパイラルまたはヘリックスが、可変サイズの円錐形状または球形状の任意形態に従う。
【0123】
上述のように、磁気渦・電気渦合成装置は、二重(doublet)または三重(triplet)の同心円筒形状または同心円錐形状の形態であり、3つの層は、別個、類似、または類似の対の誘電性材料から作製される。
【0124】
<態様3>
上述したように、磁気渦・電気渦合成装置(電磁装置1)、すなわち、Hインダクタは、電気ノイズ、磁気ノイズ、電磁ノイズ、および機械ノイズを取り込み、装置の1以上の部分に空間的に配置される、エネルギー伝達ループを生成する。
【0125】
上述したように、これらのループの構成要素は、単一で孤立する、または複数の絡み合った、空間ループ、時間ループ、および時空間ループを含む。ここで、図6に示されるように、周波数スケールの逆である、1以上の時間スケールが存在することが分かる。装置表面層上のヘリカル・トポロジカル経路の構成要素はエネルギーの流れを量子化し、それによって、すべての形態のノイズ(電気エネルギー、磁気エネルギー、電磁エネルギー、および機械エネルギー)を秩序(ordered)信号に変化する。
【0126】
材料の自然誘電性共振振動により設定された2つのエネルギー伝送チャネルが存在し、ノイズは一対のコヒーレント・エネルギー源に変換される。2つのエネルギー伝達チャネルの実施例は、図8の2つのZ経路に描かれている。
【0127】
<態様4>
上述したように、磁気渦・光学渦合成装置(電磁装置1)、すなわち、Hインダクタは、重ね合わされて、ホログラムのような渦の特異な2Dまたは3D集合体を形成する、磁気渦および電気渦を放出する。
【0128】
上述のように、渦は角運動量から形成され、位相を有する回転方向を備える。
【0129】
上述のように、渦が量子力学的に重ね合わされると、同じ渦構造が修正され、新しい角運動量が追加される。渦が古典力学的に重ね合わされると、渦の混合体が形成される。
【0130】
上述したように、磁気渦・光学渦合成装置のハードウェアの異なるサブ構造は、別個の渦を生成する。
【0131】
上述のように、放出された渦の量子的重ね合わせは、位相特異性の条件と結合し、特異ドメイン内に存在する、他の複数の構成要素またはサブ構成要素から、位相特異点および渦を生成して、互いに入れ子となる、渦の集合体を生成する。
【0132】
互いに入れ子となる、渦の集合体を形成する実施例は、図12の最も右側の列に見ることができる。ここでは、入れ子状の球を見ることができる、
【0133】
<態様5>
実施形態の態様によれば、磁気渦・光学渦合成装置(電磁装置1)、すなわち、Hインダクタは、フラクタル共振帯域を形成する、共振ピークの三重項(triplet)または任意の主要構成要素による、フラクタルデータ暗号化を実行する。
【0134】
ここで、共振ピークの三重項または任意の主要構成要素がフラクタル共振バンドを形成することが知られていることに留意されたい。そのため、この特性を利用してデータを暗号化できる。
【0135】
実施形態の態様によれば、高速に振動する境界値の進展によって、系(system)は断熱的になる。ここで、一般に、高速な振動値は、システムを断熱的にすることがよく知られていることに留意されたい。
【0136】
実施形態の態様によれば、磁気渦・光学渦合成装置(電磁装置1)、すなわち、Hインダクタは、もつれ(entanglement)の交換に用いられる動的位相に加えて、幾何的位相を進展させる。
【0137】
上述のように、局所振動によって生成されたエバネッセント波は、磁気渦・光学渦合成装置によって放出された渦中でエンコードされ、それによって、構成要素の秩序化が特定の対称性(ヘリカル、スパイラル、および/またはフラクタル)に従う、局所領域の長さよりも大きい波形との相互作用(サブ波長相互作用)を可能とする。
【0138】
実施形態の態様によれば、例えば、図10に見られるように、少なくとも3つの共振帯域は、外部装置からの信号によってアクティブになる。一方、電磁共振帯域の最低境界は、帯域の最低周波数よりも低い周波数の低周波数雑音と相互作用する。最高帯域は、最高帯域の上限周波数よりも高い値を有する、雑音周波数と相互作用する。中央保護帯域は、階層的な幾何的位相相互作用に携わり、入れ子のクロックを暗号化されたデータとして記憶する。
【0139】
上述のように、ヘリカル配置の長さ、ピッチ、および直径は、それらを結合した共振振動位相ダイアグラムが、12のホールを有する3D球となるように、変化する。磁気渦・光学渦合成装置がノイズを取り込むときに、ホールは、時間の関数として開閉する。ここで、開閉は、エネルギーをパターン(渦)で放出し、このパターンは、外部ユーザによって読み取られる。
【0140】
[補足備考1]
本発明は、前述の実施例の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で当業者によって様々な方法で変更することができる。一実施例として、本発明は、上記実施例実施形態に開示されている技術手段を適宜組み合わせた実施例の実施形態をその技術的範囲に包含する。
【0141】
[補足備考2]
以上に開示した実施例の実施形態の全部または一部を以下に示す。しかしながら、本発明は、以下の実施例の態様に限定されないことに留意されたい。
【0142】
(態様A1)
電磁装置であって、
誘電性構成要素の複数のスパイラル・アレイまたは複数のヘリカル・アレイを含み、
前記電磁装置に蓄積された電荷の大きさと相関する強度の磁場を放出する、電磁装置。
【0143】
(態様A2)
前記複数のスパイラル・アレイまたは前記複数のヘリカル・アレイは、同心または同軸に配置される、態様A1に記載の電磁装置。
【0144】
(態様A3)
前記磁場の放出は、入力電磁エネルギーによってトリガされる、態様A1またはA2に記載の電磁装置。
【0145】
(態様A4)
前記磁場は、一次元、二次元、または三次元の幾何的形状で放出される、態様A1~A3のいずれか1つに記載の電磁装置。
【0146】
(態様A5)
前記磁場は、1つ以上の渦の形で放出される、態様A1~A4のいずれか1つに記載の電磁装置。
【0147】
(態様A6)
前記渦のそれぞれは、角運動量を伝達し、位相を有する回転方向を備える、態様A5に記載の電磁装置。
【0148】
(態様A7)
前記磁場は、それぞれが前記電磁装置のサブ構造に対応する複数の渦の形で放出される、態様A5またはA6に記載の電磁装置。
【0149】
(態様A8)
前記複数の渦は、1以上の位相特異点を生成する、態様A7に記載の電磁装置。
【0150】
(態様A9)
前記磁場から分離された電場を放出する、態様A1~A8のいずれか1つに記載の電磁装置。
【0151】
(態様A10)
前記電磁装置に蓄積された電荷の配置は、
外部電気エネルギー、
外部磁気エネルギー、
外部電磁エネルギー、および
外部機械エネルギー
のうちのいずれか1以上を用いて、調整可能(tunable)である、態様A1~A9のいずれか1つに記載の電磁装置。
【0152】
(態様A11)
前記電磁装置に蓄積された電荷に対する、前記放出される磁場の磁束の比が、Hインダクタンスを表す、A1~A10のいずれか1つに記載の電磁装置。
【0153】
(態様A12)
前記誘電性構成要素の前記ヘリカル・アレイの各々は、
マイクロチューブルおよび
ヘリカル・カーボン・ナノチューブ
のうちの少なくとも1つから構成される、態様A1~A11のいずれか1つに記載の電磁装置。
【符号の説明】
【0154】
1 電磁装置
11 電磁装置の内側アレイ
12 電磁装置の中央アレイ
13 電磁装置の外側アレイ
100 実験装置
110 レーザ発生器
111 第1の偏光子
112 第2の偏光子
113 レンズ
114 ビームスプリッタ
115 第1のビームベンダ
116 第2のビームベンダ
117 ボルテックス・レンズ
118 サンプル容器
119 関数発生器
120 アンテナ
121 第1のミラー
122 第2のミラー
123 磁性膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】