(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062625
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】タッチパネルを用いた文字入力方法およびこれに用いられるプログラム並びに端末
(51)【国際特許分類】
G06F 3/023 20060101AFI20230426BHJP
G06F 3/04883 20220101ALI20230426BHJP
【FI】
G06F3/023 460
G06F3/0488 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172729
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】521450001
【氏名又は名称】株式会社エジソンラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】小川 耕太
【テーマコード(参考)】
5B020
5E555
【Fターム(参考)】
5B020AA04
5B020CC12
5B020FF15
5B020FF17
5B020FF53
5E555AA13
5E555AA32
5E555BA06
5E555BB06
5E555BC19
5E555CA13
5E555CB10
5E555CB13
5E555CB16
5E555CB55
5E555CC19
5E555DB06
5E555DB41
5E555DB56
5E555DC13
5E555DC37
5E555DC53
5E555DC54
5E555DC61
5E555DC84
5E555DD01
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】タッチパネルデバイスにおいて目線の移動をしなくても文章の作成が可能となる、タッチパネルを用いた文字入力方法およびこれに用いられるプログラム並びに端末を提供する。
【解決手段】複数点のタッチを検知するタッチパネルディスプレイを有した端末における文字入力方法であって、ジェスチャー時におけるタッチポイントの最大数により、当該ジェスチャーにより入力される文字が、いずれの文字群に属する文字であるかを判定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数点のタッチを検知するタッチパネルディスプレイを有した端末において用いられる文字入力方法であって、ジェスチャー時におけるタッチポイントの最大数により、当該ジェスチャーにより入力される文字が、いずれの文字群に属する文字であるかを判定する、文字入力方法。
【請求項2】
複数点のタッチを検知するタッチパネルディスプレイを有した端末において用いられる文字入力方法であって、ジェスチャー時における複数のタッチポイントのうち少なくとも2つのタッチポイントの位置関係により、当該ジェスチャーにより入力される文字が、いずれの文字群に属する文字であるかを判定する、文字入力方法。
【請求項3】
複数点のタッチを検知するタッチパネルディスプレイを有した端末において用いられる文字入力方法であって、ジェスチャー時における複数のタッチポイントのうち少なくとも1つのタッチポイントが左手親指であると判定することにより、当該ジェスチャーにより入力される文字が、いずれの文字群に属する文字であるかを判定する、文字入力方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の文字入力方法によりいずれの文字軍に属する文字であるかを判定するステップを含む、プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のプログラムがインストールされた、端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを用いて文字を入力する方法およびこれに用いられるプログラム並びに端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器、スマートフォン等のタッチパネルデバイスにおいて、タッチパネルを用いた文字入力方法として、フリック入力と呼ばれる方法が知られている。
【0003】
このような文字入力方法の一例として、特許文献1には、指一本であっても少ない動作で短時間に文字入力を可能とする、文字入力システムとそのシステムを備えた携帯端末装置が開示されている。また、
図7には、従来のフリック入力によりノートアプリに文字入力をしている状態が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のフリック入力では、入力するにあたり、入力された文字が表示される文章部分71と、キーボード部分72の、少なくとも2箇所を見る必要がある。さらに多くの場合、キーボードの上の予測変換表示部73を含め3箇所を見る必要がある。すなわち、上下の目線の移動が必要となり、パソコンのブラインドタッチのように文章部分以外に目線の移動をしなくてよい入力方法は、物理キーボードを有しないタッチパネルデバイスにおいては従来存在しなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、タッチパネルデバイスにおいて目線の移動をしなくても文章の作成が可能となる、タッチパネルを用いた文字入力方法およびこれに用いられるプログラム並びに端末を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の文字入力方法は、複数点のタッチを検知するタッチパネルディスプレイを有した端末において用いられる文字入力方法であって、ジェスチャー時におけるタッチポイントの最大数により、当該ジェスチャーにより入力される文字が、いずれの文字群に属する文字であるかを判定する、文字入力方法である。
【0008】
日本語において、前記文字群とは、50音表におけるいずれかの行である。
このような文字入力方法によれば、タッチする指の本数により50音表におけるどの行に属する文字を入力するかを表すことができるので、キーボードを見るという目線の動きを要することなく、文字の属する行を指定することができる。
【0009】
さらに、本発明の文字入力方法は、複数点のタッチを検知するタッチパネルディスプレイを有した端末において用いられる文字入力方法であって、ジェスチャー時における複数のタッチポイントのうち少なくとも2つのタッチポイントの位置関係により、当該ジェスチャーにより入力される文字が、いずれの文字群に属する文字であるかを判定する、文字入力方法である。
【0010】
日本語において、前記文字群とは、50音表におけるいずれかの行である。
このような文字入力方法によれば、タッチする指の位置関係、たとえば2つのタッチポイントが縦に並んでいるか横に並んでいるかを判定することにより50音表におけるどの行に属する文字を入力するかを表すことができるので、キーボードを見るという目線の動きを要することなく、文字の属する行を指定することができる。
【0011】
さらに、本発明の文字入力方法は、複数点のタッチを検知するタッチパネルディスプレイを有した端末において用いられる文字入力方法であって、ジェスチャー時における複数のタッチポイントのうち少なくとも1つのタッチポイントが左手親指であると判定することにより、当該ジェスチャーにより入力される文字が、いずれの文字群に属する文字であるかを判定する、文字入力方法である。
【0012】
日本語において、前記文字群とは、50音表におけるいずれかの行である。
このような文字入力方法によれば、タッチする指の動きの変化、たとえば2つのタッチポイントのうち一つが動いた際に他方の動きの変化を判定することにより50音表におけるどの行に属する文字を入力するかを表すことができるので、キーボードを見るという目線の動きを要することなく、文字の属する行を指定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第一の文字入力方法における画面イメージを示す図である。
【
図2】第一の文字入力方法における画面イメージを示す図である。
【
図3】第一の文字入力方法における画面イメージを示す図である。
【
図4】第二の文字入力方法における画面イメージを示す図である。
【
図5】第三の文字入力方法における画面イメージを示す図である。
【
図6】本発明のプログラムにおける処理順序を示すフローチャートである。
【
図7】従来の文字入力方法における画面イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の文字入力方法の実施形態について説明する。
図1から3は、本発明の第一の文字入力方法を使用した文字入力時の画面イメージを示す図である。
【0015】
図1に示すように、本発明を使用したスマートフォンの画面には、キーボードが表示されない。たとえば
図1にはノートアプリにおいて本発明を使用している例を示しているが、既に打ち込んだ文章の末尾にカーソル11が表示され、点滅していることにより、入力モードであることが表されている。今入力した「あ」の下にアンダーバー12が表示され、確定前の文字であることを示している。この文字入力方法において、基本的には画面内のどこからでもタッチによる文字入力が可能である。実際に画面に表示される必要はないが、この図においては一点のタッチポイント13を円で示している。ここで、一点のタッチポイント、すなわち指一本により文字入力を行う場合には、タッチの開始地点は問わず、一本による入力であることをもって、当該文字の五十音表における行、すなわち子音が決定される。たとえば、指一本での入力は「あ行」と定義されている。さらに、このタッチした指が画面から離れた場合、タッチの開始地点と終了地点との差分により、当該入力文字の五十音表における段、すなわち母音が決定される。ここでは、ユーザーがジェスチャーを行った際に、タッチの開始地点と終了地点との距離が一定以内であれば「あ段」、距離が一定以上で左方向への距離が最も大きい場合には「い段」、距離が一定以上で上方向への距離が最も大きい場合には「う段」、距離が一定以上で右方向への距離が最も大きい場合には「え段」、距離が一定以上で下方向への距離が最も大きい場合には「お段」と判定される。ここで、カーソル部分11に、特定された文字が表示される。なお、タッチが開始してから終了するまでの間、カーソル部分11に、暫定的に特定されている文字が表示されていてもよい。すなわち、一本指でタッチした時点でカーソル部分11に「あ」が表示され、指を離さずに左に移動した場合には「い」の表示に変わり、そのまま指を離さずに下へ大きく移動した場合には「お」の表示に変化し、ここで指を離した場合に「お」が確定するというようにしてもよい。また、カーソル部分に方向を示す十字状のガイド14を表示し、指の動きに対して相対的に動くようにしてもよい。カーソル部分の脇に十字状のガイドを表示する場合には、ガイドは動かずに指の動きを示す色表示が移動してもよい。いずれにしても、このようにすることで、ユーザーは、文字入力の始点を意識する必要がなく、始点を見る必要がない。そのため、入力している文章から視線を動かすことなく、いわゆるブラインドタッチが可能となる。
【0016】
図2に示すように、ユーザーが二本指、すなわち2点のタッチポイントにより文字入力を行う場合には、タッチの開始地点は問わず、二本による入力であることをもって、当該文字の五十音表における行、すなわち子音が決定される。この図においては実際には表示されない二点のタッチポイント23a、23bを円で示している。この例では、指二本での入力は「か行」と定義されている。さらに、このタッチした指が画面から離れた場合、タッチの開始地点と終了地点との差分により、当該入力文字の五十音表における段、すなわち母音が決定される。この例では、タッチの開始地点と終了地点との距離が一定以内であれば「あ段」すなわち「か」、距離が一定以上で左方向への距離が最も大きい場合には「い段」すなわち「き」、距離が一定以上で上方向への距離が最も大きい場合には「う段」すなわち「く」、距離が一定以上で右方向への距離が最も大きい場合には「え段」すなわち「け」、距離が一定以上で下方向への距離が最も大きい場合には「お段」すなわち「こ」と判定される。なお、二本の指を全く同時に画面にタッチし、及び離すことは人間の特性上困難であるから、タッチから離すまでの期間における最大本数によってタッチポイントの数を判定することが望ましい。ここで、カーソル部分21に、特定された文字が表示される。なお、タッチが開始してから終了するまでの間、カーソル部分に、暫定的に特定されている文字が表示されていてもよい。すなわち、一本指でタッチした時点では「あ」が表示され、指を離さずにもう一本の指でタッチした場合に「か」が表示され、一本または二本の指をタッチしたまま左に移動した場合には「き」の表示に変わり、そのまま指を離さずに下へ大きく移動した場合には「こ」の表示に変化し、ここで指を離した場合に「こ」が確定するというようにしてもよい。
図2においては表示していないが、この文字の上下左右にガイド表示がされていてもよい。なお、タッチしてから離すまでの間にタッチポイントの数が減り、すなわちタッチしている指の本数が減っても、タッチしてから離すまでの間の最大タッチポイント数が2点であったことをもって、「か行」であるという判定は変化しない。
【0017】
図3に示すように、ユーザーが三本指、すなわち3点のタッチポイントにより文字入力を行う場合には、タッチの開始地点は問わず、三本による入力であることをもって、当該文字の五十音表における行、すなわち子音が決定される。この図においては実際には表示されない3点のタッチポイント33a、33b,33cを円で示している。この例では、指三本での入力は「さ行」と定義されている。さらに、このタッチした指が画面から離れた場合、タッチの開始地点と終了地点との差分により、当該入力文字の五十音表における段、すなわち母音が決定される。この例では、タッチの開始地点と終了地点との距離が一定以内であれば「あ段」すなわち「さ」、距離が一定以上で左方向への距離が最も大きい場合には「い段」すなわち「し」、距離が一定以上で上方向への距離が最も大きい場合には「う段」すなわち「す」、距離が一定以上で右方向への距離が最も大きい場合には「え段」すなわち「せ」、距離が一定以上で下方向への距離が最も大きい場合には「お段」すなわち「そ」と判定される。なお、三本の指を全く同時に画面にタッチし、及び離すことは人間の特性上困難であるから、タッチから離すまでの期間における最大本数によってタッチポイントの数を判定することが望ましい。ここで、カーソル部分31に、特定された文字が表示される。なお、タッチが開始してから終了するまでの間、カーソル部分に、暫定的に特定されている文字が表示されていてもよい。すなわち、一本指でタッチした時点では「あ」が表示され、指を離さずにもう一本の指でタッチした場合に「か」が表示され、さらに二本の指を離さずにもう一本の指でタッチした場合に「さ」が表示され、一本ないし三本の指をタッチしたまま左に移動した場合には「し」の表示に変わり、そのまま指を離さずに下へ大きく移動した場合には「そ」の表示に変化し、ここで指を離した場合に「そ」が確定するというようにしてもよい。ここでは三本指のタッチポイント33a,33b,33cが矢印に示すように上に移動した時点における、相対的に動くガイド32が表示されている。なお、タッチしてから離すまでの間にタッチポイントの数が減り、すなわちタッチしている指の本数が減っても、タッチしてから離すまでの間の最大タッチポイント数が3点であったことをもって、「さ行」であるという判定は変化しない。以上において五十音表における段すなわち子音の判定については、タッチから離すまで最も大きく動いた指を基準として判定してもよいし、最も左にあるポイントすなわち人差し指の動きを基準としても良い。もちろん、各指の平均を取るなども可能である。
【0018】
図4は、複数のタッチポイントの位置関係により当該文字の五十音表における行、すなわち子音を決定する場合の画面の例を示す。上述したように指の本数により文字の五十音表における行を決定する方式だけでは足りないため、このような方式を採用するものである。すなわち、五十音表において行は10あり、人間の手の指は通常10本であるため、タッチポイントの数のみで当該文字の五十音表における行を判定することは不可能ではないが、両手の全指を使って一つの文字を入力するのは特に携帯端末においては難しい。そのため、複数のタッチポイントのうち、最も左に位置する2点のタッチポイントの座標の差分をX方向Y方向で比較した際にY方向が大きい、すなわち2つのタッチポイントが縦に並んでいる場合には、X方向が大きいすなわち横に並んでいる場合とは別の行であると判定する。これは、人間の右手の親指が他の4本の指と対抗した位置にあり、特に人差し指と対抗した位置にあることを利用している。具体的には、2つのタッチポイントが横に並んでいる場合には上述のように「か行」と判定し、縦に並んでいる場合には「た行」と判定する。さらに、3つのタッチポイントのうち左の2つが横に並んでいる場合には「さ行」と判定し、縦に並んでいる場合には「な行」と判定する。4つのタッチポイントのうち左の2つが横に並んでいる場合には「わ行」と判定し、縦に並んでいる場合には「は行」と判定する。その後、右手の指の動きを判定することにより、五十音表における段、すなわち子音を特定する。なお、タッチしてから離すまでの間に左の2つのタッチポイントの位置関係が変化したり、タッチポイントの数が減っても、タッチしてから離すまでの間の最大タッチポイント数に至った瞬間における左の2つのタッチポイントの位置関係と最大タッチポイント数をもって、行を判定する。五十音表における段すなわち子音の判定については、タッチから離すまで最も大きく動いた指を基準として判定してもよいし、左の2つのタッチポイントが縦に並んでいる場合に上にあるポイント、横に並んでいる場合には最も左のポイント、すなわち人差し指の動きを基準としても良い。もちろん、各指の平均を取るなども可能である。
図4においては実際には表示されない3点のタッチポイント43a、43b,43cを円で示している。3つのタッチポイントのうち左にある2つのタッチポイント43a、43cが縦に並んでいるから、「な行」と判定される。
【0019】
図5は、動くタッチポイントと動かないタッチポイントとを含む複数のタッチポイントの位置関係により当該文字の五十音表における行、すなわち子音を決定する場合の画面の例を示す。上述したように指の本数と位置関係により文字の五十音表における行を決定する方式だけでは足りないため、このような方式を採用するものである。すなわち、五十音表において行は10あり、人間の右手の指は通常5本、うち親指が一本であるため、タッチポイントの数と左2つの位置関係とで当該文字の五十音表における行を判定する場合には9つの行しか特定できない。そのため、複数のタッチポイントのうち、開始点が最も左に位置するタッチポイントの座標の動きが一定以内である場合、または、開始点が最も左に位置するタッチポイントが他のタッチポイントのうち一つの座標の動きと比較して一定以上小さい場合、別の行であると判定する。これは、左手でスマートフォンを保持し、右手で文字入力を行う場合に、左手の親指を文字入力に使用することを想定している。この際、左手はスマートフォンを保持していることから、左手親指は画面左端に位置していると考えられる。また、左手親指のタッチポイントはほぼ動かないと考えられる。そのため、画面左端から一定の範囲内において、動きが一定以内のタッチがあった場合には、左手親指によるタッチと判定することができる。また、左手の親指は右手の指とのタッチタイミングの差があると考えられるから、上述の判定基準に加えて、最も左のタッチポイントが他のタッチポイントよりも一定割合以上長時間タッチしていた場合や、他のタッチポイントのタッチタイミングよりも先に、また後まで、タッチしていた場合には、このタッチは左手親指であると判定できる。このような左手親指の判定により、右手のみのタッチとは別の行であると判定できる。具体的には、2つのタッチポイントのうち左側のタッチポイントが左手親指であると判定できる場合には「ま行」と判定する。さらに、3つのタッチポイントのうち左のタッチポイントが左手親指であると判定できる場合には「や行」と判定する。4つのタッチポイントのうち左のタッチポイントが左手親指であると判定できる場合には「ら行」と判定する。その後、右手の指の動きを判定することにより、五十音表における段、すなわち子音を特定する。なお、タッチしてから離すまでの間に左の2つのタッチポイントの位置関係が変化したり、タッチポイントの数が減っても、タッチしてから離すまでの間の最大タッチポイント数に至った瞬間における最も左のタッチポイントが左手親指であると判定できるか否かをもって、行を判定する。五十音表における段すなわち子音の判定については、左手親指であると判定されたポイントを除き、タッチから離すまで最も大きく動いた指を基準として判定してもよいし、最も左のポイント、すなわち人差し指の動きを基準としても良い。
図5においては実際には表示されない4点のタッチポイント53a、53b,53c,53dを円で示している。4つのタッチポイントのうち左側のタッチポイント53dが画面左端に位置しており、他の3つのポイントと異なり動かず、タッチし離すタイミングも異なるから、「ら行」と判定される。さらに、他の3つのポイント53a、53b,53cが矢印に示すように上方向に移動したことにより子音が「う段」と判定され、カーソル部分51には「る」の文字が表示されている。なお、画面スクロールは画面右端を上方向になぞるように設定すれば、文字入力のモードを切り替えることなくスクロールすることができる。また、左利きのユーザーのために、左右の関係を全部または一部反転できるオプション設定が設けられていることが望ましい。
【0020】
以上のような文字入力方法によれば、右手の指と左手の親指を使ってマルチタッチを行うことで、五十音表における行を特定できるから、タッチの始点を規定するための文字盤が不要であり、従来のようにキーボードを表示する必要がない。そのため、ユーザーは文字入力が行われている文章末尾から視線を動かす必要がなく、いわゆるブラインドタッチが可能となり、入力速度が上がることが期待できる。予測変換についても文章末尾に表示することで視線の動きを最小限にすることができる。
【0021】
以上に説明した文字入力方法を利用するためのプログラムを作成する場合の処理について、
図6にフローチャートを使用して説明する。まず、複数タッチがされているかを調べる。Noであれば一本の指でのタッチであるから、「あ行」であると判定される。続いて、入力を通じて左手親指であると判定されるタッチがあるかを調べる。YESである場合、最大タッチポイント数を調べる。4であれば「ら行」、3であれば「や行」、2であれば「ま行」である。NOである場合、左の2つのタッチが縦並びか否かを調べるYESの場合、右手の親指が使われていると判断できる。続いて最大タッチポイント数を調べる。4であれば「は行」、3であれば「な行」、2であれば「た行」である。NOであれば、左の2つのタッチは横並びであって親指は使われていないと判断できる。続いて最大タッチポイント数を調べる。4であれば「わ行」、3であれば「さ行」、2であれば「か行」である。母音の特定方法については省略するが、以上のようにして判定することで子音を特定することのできるプログラムを作成できる。このようなプログラムを携帯端末、スマートフォンにインストールすることで、簡便に文字を入力できる。
【0022】
なお、上述の入力方法において、右手人差し指タッチが「あ行」、右手人差し指と中指を横並びにして「か行」、右手人差し指と中指と薬指を横並びにして「さ行」、右手親指の上に右手人差し指が位置する「た行」、右手親指の上に右手人差し指が位置し右手人差し指の右に右手中指が位置する「な行」、右手親指の上に右手人差し指が位置し右手人差し指の右に右手中指、右手薬指が位置する「は行」、左手親指をタッチした状態で左手人差し指タッチが「ま行」、左手人差し指をタッチした状態で右手人差し指と中指で「や行」、左手人差し指をタッチした状態で右手人差し指、中指、薬指で「ら行」、右手人差し指から小指を横並びにして「わ行」となるように設定している。これは、従来の文字入力のキーボードが横3×縦4の表示であること、右手の5本指や左手親指に加えて右手4本指でスマートフォンの画面にタッチ操作することが難しいこと、に考慮している。また、段すなわち子音の判定については従来のフリック入力に準じている。しかしながら、他の基準で判定した場合にも本発明の技術的範囲に属する。たとえば、右手5本指タッチや左手人差し指に加えて右手親指を含む右手複数本指タッチなども判定に割り振ることができるし。句読点や濁点、半濁点、記号などをこれらのジェスチャーに割り当てることができる。また、日本語のみならず、アルファベットや他の文字を入力する際にも本発明を使用することができ、この場合も本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0023】
11 カーソル
13 タッチポイント