(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062632
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】学習支援プログラム、学習支援装置および学習支援方法
(51)【国際特許分類】
G09B 5/06 20060101AFI20230426BHJP
G09B 11/00 20060101ALI20230426BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230426BHJP
G06F 3/04883 20220101ALI20230426BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20230426BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
G09B5/06
G09B11/00
G06Q50/20
G06F3/0488 130
G06F3/041 600
G06F3/044 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172738
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】390024350
【氏名又は名称】株式会社ジャストシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】川村 舞
(72)【発明者】
【氏名】上田 恭平
【テーマコード(参考)】
2C028
5E555
5L049
【Fターム(参考)】
2C028AA05
2C028BA05
2C028BB01
5E555AA26
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC04
5E555CA12
5E555CB10
5E555CB59
5E555CB62
5E555CC01
5E555CC19
5E555DA23
5E555DB53
5E555DC45
5E555DC84
5E555FA00
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】利用者の学習意識を低下させることなく、利用者に対して文字を丁寧に書くよう意識づけること。
【解決手段】利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付け、入力された手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識し、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定し、判定結果に関する情報を出力する、処理を、操作端末のコンピュータに実行させるようにした。これにより、利用者に、手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を伝達し、利用者に対して適切な筆圧で文字を書くよう意識づけることができる。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付け、
入力された手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識し、
認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定し、
判定結果に関する情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする学習支援プログラム。
【請求項2】
前記出力する処理は、
認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、当該手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて線の太さを異ならせて表示させることにより、前記判定結果に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の学習支援プログラム。
【請求項3】
前記出力する処理は、
認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、単一の筆画内にジャギーが生じないように表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の学習支援プログラム。
【請求項4】
前記判定する処理は、
あらかじめ定められた筆圧判定用の閾値に基づいて、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定する、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の学習支援プログラム。
【請求項5】
前記筆圧判定用の閾値は、複数段階設定されており、
前記出力する処理は、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧と、複数段階の前記筆圧判定用の閾値との大小に応じて、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、当該手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて線の太さを異ならせて表示させることにより、前記判定結果に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項4に記載の学習支援プログラム。
【請求項6】
前記判定する処理は、
認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、当該手書き文字または筆画に対して設定された書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下であるか否かを判定し、
前記出力する処理は、
認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、前記書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下である場合、直前に入力された当該手書き文字または筆画の表示を消去し、直前に入力された当該手書き文字または筆画の書き直しを要求する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一つに記載の学習支援プログラム。
【請求項7】
前記出力する処理は、
前記判定結果を通知する音声を出力することにより、前記判定結果に関する情報を出力する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一つに記載の学習支援プログラム。
【請求項8】
利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付ける入力部と、
前記入力部が入力を受け付けた手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識する認識部と、
前記認識部が認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に関する情報を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする学習支援装置。
【請求項9】
利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付け、
入力された手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識し、
認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定し、
判定結果に関する情報を出力する、
ことを特徴とする学習支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、学習を支援する学習支援プログラム、学習支援装置および学習支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末装置を介した利用者に対する出題に対する解答を当該利用者による手書き入力によって受け付け、手書き入力によって受け付けた解のパターン認識をおこない、パターン認識された解とあらかじめ記憶された正解(手本)とに基づいて、正誤判定結果を表示するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【0003】
また、従来、手書き入力した文字と、手書き入力された文字の正誤判定の判断基準となる文字情報(手本)とを比較して、手書き入力した文字の正誤判定をおこない、書き始めの位置や書き終わりの位置が所定の範囲にあるか否かを判定するようにした技術があった(たとえば、下記特許文献2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-241736号公報
【特許文献2】特開2012-225980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術は、いずれも手書き入力した文字が手本に類似している度合いによって正誤を判断するものであり、個々の文字を正しい筆圧で筆記しているかを判断することはできない。パターン認識の精度向上にともない、手書き文字の形を手本に似せることによって、適切な筆圧で書かれていない手書き文字であっても、文字として認識されてしまう。
【0006】
このため、利用者に、適切な筆圧で文字を書くように意識させることができないという問題があった。また、適切な筆圧で書かれていない手書き文字は、当該手書き文字の形を手本に似せることができても、文字を書く学習が達成できているとはいえず、手書き文字を書くという学習の本来の効果が達成できないという問題があった。また、利用者の親などが、当該利用者の学習を常に監視し、正しい筆圧で文字を書くように指導することは現実的ではない。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、利用者に対して適切な筆圧で文字を書くよう意識づけることができる学習支援プログラム、学習支援装置および学習支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる学習支援プログラムは、利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付け、入力された手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識し、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定し、判定結果に関する情報を出力する、処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる学習支援プログラムは、上記の発明において、前記出力する処理が、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、当該手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて線の太さを異ならせて表示させることにより、前記判定結果に関する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0010】
前記出力する処理が、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、単一の筆画内にジャギーが生じないように表示させる、ことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる学習支援プログラムは、上記の発明において、前記判定する処理が、あらかじめ定められた筆圧判定用の閾値に基づいて、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定する、ことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる学習支援プログラムは、上記の発明において、前記筆圧判定用の閾値が、複数段階設定されており、前記出力する処理が、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧と、複数段階の前記筆圧判定用の閾値との大小に応じて、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、当該手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて線の太さを異ならせて表示させることにより、前記判定結果に関する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる学習支援プログラムは、上記の発明において、前記判定する処理が、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、当該手書き文字または筆画に対して設定された書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下であるか否かを判定し、前記出力する処理が、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、前記書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下である場合、直前に入力された当該手書き文字または筆画の表示を消去し、直前に入力された当該手書き文字または筆画の書き直しを要求する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる学習支援プログラムは、上記の発明において、前記出力する処理が、前記判定結果を通知する音声を出力することにより、前記判定結果に関する情報を出力する、ことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる学習支援装置は、利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付ける入力部と、前記入力部が入力を受け付けた手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識する認識部と、前記認識部が認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に関する情報を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる学習支援方法は、利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付け、入力された手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識し、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定し、判定結果に関する情報を出力する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明にかかる学習支援プログラム、学習支援装置および学習支援方法によれば、利用者に対して適切な筆圧で文字を書くよう意識づけることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】通信教育システムのシステム構成を示す説明図である。
【
図2A】サーバを実現するコンピュータ装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
【
図2B】操作端末を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
【
図3】操作端末の機能的構成を示すブロック図である。
【
図4A】操作端末がディスプレイに表示する表示画面例を示す説明図(その1)である。
【
図4B】操作端末がディスプレイに表示する表示画面例を示す説明図(その2)である。
【
図4C】操作端末がディスプレイに表示する表示画面例を示す説明図(その3)である。
【
図7】操作端末の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる学習支援プログラム、学習支援装置および学習支援方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(通信教育システムのシステム構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の学習支援装置を含む通信教育システムのシステム構成について説明する。
図1は、通信教育システムのシステム構成を示す説明図である。
【0021】
図1において、この発明にかかる実施の形態の通信教育システム100は、サーバ110と、複数の操作端末(学習支援装置)120と、によって構成される。サーバ110は、通信教育システム100の運用者(管理者)などによって管理される。サーバ110は、たとえば、パーソナルコンピュータなどの汎用的なコンピュータ装置によって実現することができる(
図2Aを参照)。サーバ110は、教材データベースや加入者データベース(いずれも図示を省略する)を記憶している。
【0022】
操作端末120は、たとえば、タブレットコンピュータやタブレット端末などと称される、可搬性のコンピュータ装置(携帯端末装置)によって実現することができる(
図2Bを参照)。操作端末120は、通信教育システム100の運用に際し、当該通信教育システム100の利用者に対して、あらかじめ配布しておく。
【0023】
操作端末120は、ディスプレイとタッチパネルとによって構成されるタッチスクリーンを備えている(
図2Bを参照)。操作端末120は、所定の操作部材130を用いて操作することができる。具体的には、たとえば、静電容量式や感圧式のタッチパネルを用いる場合、操作部材130は、静電容量式のタッチペン(スタイラスペン)や利用者の手指によって実現することができる。
【0024】
また、具体的には、たとえば、電磁誘導式のタッチパネルを用いる場合、スタイラスペンなどに代えて、デジタイザースタイラス(以下、適宜「デジタイザ」という)などと称される専用の電子ペンによって所定の操作部材130を実現することができる。デジタイザによって実現される操作部材130は、筆記信号を出力する筆記部と、消去信号を出力する消去部と、を備える。
【0025】
操作端末120は、切替操作に応じて、操作部材130の種別や指定されたオブジェクトを判別し、判別した種別に応じた動作をおこなう。具体的に、操作端末120は、たとえば、操作部材130の種別として、スタイラスペンであるか手指であるかデジタイザであるかなどを判別し、オブジェクトとして筆記動作であるか、マウス(選択動作)であるか、消しゴム(消去動作)であるか、あるいは不明であるかを判別する。
【0026】
操作部材130としてデジタイザやスタイラスペンなどの専用のペンを用いて操作端末120を操作することにより、解答を手書き文字により入力する際に利用者がタッチスクリーンに手などを接触させた状態であっても、入力された手書き文字を認識することができ、手書き文字の入力を無理なく自然体でおこなわせることができる。
【0027】
サーバ110と各操作端末120とは、インターネットなどのネットワーク140を介して、相互に通信可能に接続されている。各操作端末120は、ネットワーク140に設けられた電波中継器との間で、たとえば、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANによる無線通信をおこなうことができ、これにより操作端末120の良好な可搬性を実現することができる。
【0028】
(サーバ110のハードウエア構成)
図2Aは、サーバ110を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
図2Aにおいて、サーバ110を実現するコンピュータ装置は、CPU211と、メモリ212と、ネットワークI/F(Interface)213と、を備えている。コンピュータ装置が備える各部211~213は、バス210によってそれぞれ接続されている。CPU211は、サーバ110を実現するコンピュータ装置の全体の制御をつかさどる。
【0029】
メモリ212は、ブートプログラムなどのプログラムや各種のデータベースを構成するデータなどを記憶している。また、メモリ212は、たとえば、後述する教材データベースや加入者データベースなどの各種データベースを記憶する。各種のデータベースは、メモリ212を実現する各種の記憶媒体のうち、電源がOFFになっている状態であっても記憶内容が消去されない不揮発性の記憶媒体に記憶されている。
【0030】
また、メモリ212は、CPU211のワークエリアとして使用される。メモリ212は、たとえば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)およびHD(Hard Disc)などによって実現することができる。
【0031】
ネットワークI/F213は、インターネットなどのネットワーク140に接続され、当該ネットワーク140を介して、操作端末120などの外部装置に接続される。ネットワークI/F213は、ネットワーク140とサーバ110を実現するコンピュータ装置の内部とのインターフェースをつかさどり、サーバ110を実現するコンピュータ装置と外部装置との間におけるデータの入出力を制御する。
【0032】
(操作端末120のハードウエア構成)
図2Bは、操作端末120を実現するコンピュータ装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。
図2Bにおいて、操作端末120を実現するコンピュータ装置は、CPU221と、メモリ222と、ネットワークI/F223と、タイマ224と、タッチスクリーン225と、マイク226と、スピーカー227と、カメラ228と、電源スイッチ229と、を備えている。また、この発明にかかる実施の形態の通信教育システム100において操作端末120を実現するコンピュータ装置が備える各部221~229は、バス220によってそれぞれ接続されている。
【0033】
CPU221は、操作端末120全体の制御をつかさどる。メモリ222は、ブートプログラムなどのプログラムや、起動時のパスワードなどの各種のデータを記憶している。また、メモリ222は、CPU221のワークエリアとして使用される。メモリ222は、たとえば、フラッシュメモリなどによって実現することができる。
【0034】
ネットワークI/F223は、図示を省略するWi-Fiルーターなどの電波中継装置を介して、インターネットなどのネットワーク140に接続されている。ネットワークI/F223は、ネットワーク140を介して、サーバ110などの外部装置との間におけるデータの入出力を制御する。
【0035】
タイマ224は、計測開始時からの経過時間を計時(カウントアップ)する。タイマ224は、具体的には、たとえば、手書きでの入力を要求する文字(手本)の表示を開始してからの経過時間を計時する。あるいは、タイマ224は、具体的には、たとえば、手書き文字や当該手書き文字の筆画の筆記を開始してから筆記が完了するまでの経過時間を計時してもよい。
【0036】
タッチスクリーン225は、ディスプレイ225aとタッチパネル225bとを備えている。ディスプレイ225aは、たとえば、手書きでの入力を要求する文字(手本)や、入力を要求する手書き文字を筆記する領域を示す枠線(以下、適宜「解答入力枠」という)などにかかる画像などを表示する。
【0037】
ディスプレイ225aは、たとえば、主に液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって実現することができる。ディスプレイ225aは、カラー表示であってもよく、モノクロ(白黒)表示であってもよい。
【0038】
タッチパネル225bは、ディスプレイ225aにおける表示面側に積層され、操作位置に応じた信号をCPU221に対して出力する。タッチパネル225bは、たとえば、タッチパネル225bに対する入力操作の有無、タッチパネル225bにおいて入力操作を受け付けた位置、入力操作をおこなった媒体などを判断し、受け付けた入力操作に応じた信号をCPU221に出力する。
【0039】
タッチパネル225bは、たとえば、入力操作をおこなった媒体に応じて種類の異なる信号を出力する。CPU221は、タッチパネル225bに人の手が触れたときの静電気の量と、タッチパネル225bに操作部材130が触れたときの静電気の量との違いに基づいて、入力操作をおこなった媒体が人間の手であるか操作部材130であるかを判断することができる。タッチパネル225bは、静電容量式に限るものではなく、電磁誘導方式、抵抗膜方式、音響パルス認識方式、超音波表面弾性波方式、赤外遮光方式、画像認識方式など公知の各種の方式のものを用いることができる。
【0040】
タッチスクリーン225は、利用者にタッチパネル225bをタッチさせることによって操作を受け付けるタッチスクリーンのうち、タッチパネル225b上の複数のポイントに同時に触れるマルチタッチ操作を受け付け可能なマルチタッチスクリーンによって実現してもよい。
【0041】
マルチタッチスクリーンは、たとえば、親指と人差し指などの2本の指先の間をタッチパネル225bに接触させた状態で、当該2本の指先の間隔を広げるピンチアウト操作や、当該2本の指先の間隔を縮めることによるピンチイン操作を受け付けることができる。マルチタッチスクリーンによってタッチスクリーン225を実現することにより、キーボードを用いることなく、複雑な入力操作を受け付けることができる。
【0042】
また、タッチスクリーン225は、ディスプレイ225aに手書きでの入力を要求する文字(問題)を表示している間に、タッチパネル225bに対する操作部材130の接触を検出した場合、検出した接触位置が解答入力枠内ではなくても、タッチパネル225bにおいて所定の領域内に含まれていれば、操作部材130が接触した位置を可視化した手書き文字などの手書き情報をディスプレイ225aに表示させるようにしてもよい。
【0043】
これにより、タッチスクリーン225は、利用者によるメモ書きなどの任意の手書き文字の入力(書き込み)をタッチパネル225bにおいて受け付け、入力を受け付けた手書き文字などを、手書き情報としてディスプレイ225aに表示することができる。また、操作端末120は、利用者によるメモ書きなどの任意の手書き文字を、メモリ222に記憶してもよい。
【0044】
操作端末120は、手書き文字などの情報の入力を受け付けるごとに、入力された手書き文字のイメージデータを生成し、当該手書き文字が入力された際の学習コンテンツ(文字)の識別情報や、操作端末120の識別情報などを関連づけた送信用の手書き情報を生成し、送信用の手書き情報を生成するごとにサーバ110に送信する。サーバ110は、送信用の手書き情報を受信すると、当該情報に含まれる手書き情報に、当該送信用の手書き情報に含まれる学習コンテンツの識別情報、操作端末120の識別情報を関連づけてメモリ222に記憶する。
【0045】
送信用の手書き情報は、一定のデータ量に達するまでの間、あるいは、1つの学習コンテンツの学習が終了するまでの間など、一定期間メモリ222に記憶しておき、一定のデータ量に達したタイミング、あるいは、1つの文字の学習が終了したタイミングにおいてサーバ110に送信するようにしてもよい。
【0046】
マイク226は、アナログデータとして入力された話者の声などの音声をアナログ/デジタル変換し、デジタル形式の音声データを生成する。マイク226は、たとえば、英語の講座において発音を学習する際に用いられる。スピーカー227は、デジタル形式の音声データをデジタル/アナログ変換し、アナログ形式の音声データに基づいてスピーカーコーンにおけるコイルに通電するなどして音声を出力する。スピーカー227は、たとえば、「もう少し強く書いてみよう」などのメッセージを出力する。また、具体的には、スピーカー227は、たとえば、警告アラームなどの音声を出力してもよい。
【0047】
カメラ228は、タッチパネル225bの操作によって撮像対象を撮像し、画像データを生成する。生成された画像データは、メモリ222に記憶することができる。ネットワークI/F223は、インターネットなどのネットワーク140に接続され、当該ネットワーク140を介してサーバ110との通信におけるインターフェースをつかさどる。
【0048】
電源スイッチ229は、図示を省略する電源から操作端末120の各部までの電力供給にかかるON/OFFの切り替えをおこなう。電源スイッチ229は、図示を省略する電源から操作端末120の各部に至る電力路における、もっとも電源側(最上流側)において、電力供給にかかるON/OFFの切り替えをおこなう。電源スイッチ229は、受け付けた操作に応じて、CPU221に対してON/OFF信号を出力する。電源スイッチ229は、電源路の最上流側において、電源による電力の供給を停止したり解除したりすることによって電力供給にかかるON/OFFの切り替えをおこなうものであってもよい。
【0049】
(教材データベースの一例)
教材データベースは、手書き文字の学習にかかる学習コンテンツを記憶している。学習コンテンツは、「問題」コンテンツと「解答」コンテンツとによって構成されている。「問題」コンテンツは、たとえば、学習の対象とする文字(入力を要求する手書き文字)の手本を示す画像データを含んでいる。手本は、ひらがな、カタカナ、漢字、数字(たとえば、アラビア数字)、アルファベットのいずれであってもよく、すべてを含んでいてもよい。また、手本は、楷書、行書、草書など、1つの文字に対して複数の体裁(書体)を含んでいてもよい。
【0050】
また、「問題」コンテンツは、たとえば、解答入力枠の画像データを含んでいてもよい。解答入力枠は、解答入力枠の外枠を示す実線や、当該実線より細い(あるいは、色の薄い)実線や点線などによって実現される十字の罫線を含んでいてもよい(
図4Aなどを参照)。解答入力枠の外枠を示す実線は、たとえば、正方形をなし、罫線は当該正方形を四等分する十字形をなすものとすることができる。
【0051】
さらに、「問題」コンテンツは、たとえば、「この文字を書いてみよう。」、「お手本をなぞってみよう。」などのメッセージを含んでいてもよい。メッセージは、文字であってもよく、音声であってもよく、文字と音声との両方であってもよい。
【0052】
「問題」コンテンツは、操作端末120にインストールされている問題再生アプリケーションを用いて再生可能なフォーマットであって、文字(テキスト)、静止画、音声などの各種のデータによって構成されている。「問題」コンテンツは、映像(動画と音声)データを含んでいてもよい。「問題」コンテンツは、利用者の習熟度に応じて難易度が異なっていてもよい。
【0053】
学習コンテンツにおいては、学習の対象とする文字ごとに、それぞれ、固有の識別情報が割り当てられている。固有の識別情報は、学習の対象とする文字を識別する情報であって、後述するように、固有の識別情報を用いて、利用者の学習の進捗状況を把握することができる。固有の識別情報は、「問題」コンテンツのみに割り当てられていてもよく、「解答」コンテンツのみに割り当てられていてもよく、「問題」コンテンツおよび「解答」コンテンツを含む学習コンテンツに割り当てられていてもよい。
【0054】
「解答」コンテンツは、あらかじめ定められた筆圧判定用の閾値に関する情報を含んでいる。筆圧判定用の閾値は、利用者により手書き入力された文字の筆圧が、適正な筆圧であるか否かの判定の基準となる値であり、たとえば、所定の操作部材130からタッチパネル225bに加えられる圧力が全くない「0(ゼロ)」から、当該圧力が適正な筆圧と判定しうる最大値となる「100」までの範囲の中から設定される任意の値とすることができる。筆圧判定用の閾値は、所定の操作部材130からタッチパネル225bに加えられる圧力の実測値に対する相対的な数値であり、「0」や「100」に相当する具体的な圧力(数値)は、任意に設定することができる。
【0055】
筆圧判定用の閾値は、1つのみであってもよく、複数段階設定されていてもよい。筆圧判定用の閾値を複数段階設定する場合、たとえば、筆圧判定用の閾値の下限を「50」とし、筆圧判定用の閾値の中間値を「75」とし、筆圧判定用の閾値の上限を「100」とすることができる。
【0056】
筆圧判定用の閾値は、文字単位で設定されていてもよく、文字における筆画単位で設定されていてもよい。また、筆圧判定用の閾値は、たとえば、文字における筆圧または当該手書き文字の筆画における筆記部位ごとに設定されていてもよい。
【0057】
筆画は、大きく分類して、横画である勒(ろく)、縦画である弩(ど)、左払いである掠(りゃく)、点である側(そく)、右払いである磔(たく)、さんずいやにすいのいちばん下の画(右斜め上に向かうはね)である策(さく)、折れ曲がりである転折(てんせつ)、はねである艮(てき)の8種類に分類される。筆圧判定用の閾値を手書き文字の筆画における筆記部位ごとに設定する場合、これらの8種類の分類に基づいて、筆記部位ごとの筆圧判定用の閾値を設定することができる。
【0058】
具体的には、たとえば、横画や縦画などの各筆画の始点部分の筆圧と、当該始点部分から左払いや右払いなどに至る途中部分の筆圧と、左払いや右払いなどの筆圧と、のように筆画を複数の部分に分割して、それぞれの部分における筆圧判定用の閾値を設定することができる。
【0059】
また、「解答」コンテンツは、「問題」コンテンツによる要求に応じて入力される手書き文字のパターンの判定に用いる解答となる文字のイメージデータ(書体)を含んでいる。解答となる文字は、「問題」コンテンツに対応し、平仮名であってもよく、カタカナであってもよく、漢字であってもよく、数字(たとえば、アラビア数字)であってもよく、アルファベットなどであってもよい。また、解答となる文字は、「問題」コンテンツに応じて、楷書、行書、草書など任意のイメージデータ(書体)とすることができる。「解答」コンテンツにおいては、楷書、行書、草書などの書体に応じて、それぞれ異なる筆圧判定用の閾値が設定されていてもよい。
【0060】
「解答」コンテンツは、解答となる文字の書き順や、「とめ」・「はね」・「はらい」などの判定に関する情報を含んでいてもよい。「とめ」・「はね」・「はらい」などの判定に関する情報は、たとえば、「とめ」・「はね」・「はらい」の起点となる位置、「とめ」・「はね」・「はらい」の終点となる位置、および、各位置における筆圧(圧力)を示す情報によって実現することができる。
【0061】
「解答」コンテンツは、解答となる文字(平仮名、カタカナ、漢字、数字、アルファベットなど)のイメージデータ(書体)に代えて、あるいは、当該イメージデータ(書体)に加えて、テキストデータを含んでいてもよい。
【0062】
「解答」コンテンツは、それぞれ、教材データベースにおいて、各「問題」コンテンツに関連づけて記憶されている。教材データベースにおいて、それぞれの「解答」コンテンツは、1つの「問題」コンテンツに関連づけて記憶されている。教材データベースにおいては、各「問題」コンテンツに対し、少なくとも1つの「解答」コンテンツが関連づけて記憶されている。
【0063】
(加入者データベースの一例)
加入者データベースは、利用者の識別情報ごとに、学習の進捗状況に関する情報を関連づけて記憶する。学習の進捗状況に関する情報は、学習の進捗状況をあらわす。学習の進捗状況に関する情報は、たとえば、学習コンテンツの再生履歴に関する情報によって実現することができる。また、学習の進捗状況に関する情報は、たとえば、操作端末120のディスプレイ225aに表示したことがある「問題」コンテンツや、解答の入力を受け付けた「問題」コンテンツに関する情報によって実現してもよい。
【0064】
また、学習の進捗状況に関する情報は、操作端末120のディスプレイ225aに表示したことがある「問題」コンテンツや、解答の入力を受け付けた「問題」コンテンツのうち、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、当該手書き文字または筆画に対して設定された書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合を超えたと判定された「問題」コンテンツに関する情報によって実現してもよい。
【0065】
学習の進捗状況に関する情報は、たとえば、学習コンテンツの再生/学習コンテンツの表示/解答の入力の受け付け/書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合を超えたと判定される、などした学習コンテンツの識別情報、当該学習コンテンツの再生/表示/解答の入力の受け付け/上記判定をおこなった日時(以下、適宜「学習日時」という)に関する情報を含んでいてもよい。
【0066】
このように、利用者ごとに学習の進捗状況を管理することにより、利用者ごとに、当該利用者の学習の進捗にあわせた適切な文字を学習させることができる。また、加入者データベースは、通信教育システム100に加入する加入者である利用者の氏名(会員氏名)、学年、生年月日など、利用者自身に関する情報を記憶していてもよい。また、加入者データベースは、利用者の親など、利用者の保護者に関する情報を含んでいてもよい。
【0067】
(操作端末120の機能的構成)
つぎに、操作端末120の機能的構成について説明する。
図3は、操作端末120の機能的構成を示すブロック図である。
図3において、操作端末120の機能は、処理部301によって実現することができる。処理部301は、記憶部302と、制御部(認識部、判定部)303と、出力部304と、入力部305と、を備えている。
【0068】
記憶部302は、上記の教材データベースを記憶する。記憶部302は、たとえば、サーバ110が記憶する教材データベースのうち、利用者がサーバ110からダウンロードした学習コンテンツのみを記憶していてもよい。また、記憶部302は、たとえば、利用者がサーバ110からダウンロードした学習コンテンツのうち、現在時刻から所定時間遡った期間にダウンロードした学習コンテンツを記憶していてもよい。
【0069】
また、記憶部302は、利用者によって入力された手書き文字に関する情報を記憶している。利用者によって入力された手書き文字に関する情報は、手書き入力した文字のイメージデータや、当該文字の筆圧に関する情報を含んでいる。手書き入力した文字の筆圧に関する情報は、手書き入力を受け付けた文字の筆圧が、筆圧判定用の閾値の下限を下回る割合が所定の割合以下であるか否か、筆圧判定用の閾値の下限を下回る割合の数値がどの程度であるか、などによって実現することができる。
【0070】
また、利用者によって入力された手書き文字に関する情報は、当該文字を手書き入力した日時、当該文字を手書き入力した回数などのうち、少なくともいずれか一つを含んでいてもよい。利用者によって入力された手書き文字に関する情報は、さらに、利用者が手書き入力した文字の書き順に関するデータを記憶していてもよい。記憶部302は、たとえば、当該手書き文字の入力がおこなわれた学習コンテンツの固有の識別情報に対応づけて、手書き文字に関する情報を記憶する。
【0071】
また、記憶部302は、たとえば、操作端末120の識別情報、利用者に関する情報、操作端末120の起動や操作に用いるパスワードなどを記憶している。この実施の形態においては、メモリ222によって記憶部302の機能を実現することができる。
【0072】
制御部303は、出力部304を制御して、利用者に対して問題を出題する。具体的に、出力部304は、ディスプレイ225aによって実現することができる。制御部303は、具体的には、たとえば、ディスプレイ225aに、手書きでの入力を要求する文字(手本)や、解答入力枠などを表示させることによって問題を出題する。
【0073】
より具体的に、制御部303は、たとえば、手書きでの入力を要求する文字(手本)を、解答入力枠内に、当該解答入力枠に適した大きさで表示することによって問題を出題する(
図4Aを参照)。これにより、利用者は、表示された文字(手本)をなぞることによって文字を学習することができる。
【0074】
あるいは、制御部303は、たとえば、手書きでの入力を要求する文字(手本)を、解答入力枠の隣に表示することによって問題を出題してもよい。これにより、利用者は、表示された文字(手本)を見ながら、当該文字(手本)を真似るようにして文字を筆記することによって文字を学習することができる。
【0075】
また、制御部303は、手書きでの入力を要求する文字(手本)や解答入力枠に加えて、たとえば、ディスプレイ225aに、「画面の文字をなぞってみよう。」、「画面に表示された文字を書いてみよう。」などのメッセージや、児童などが文字の学習に興味を示すようなイラストなどを表示してもよい。
【0076】
また、具体的に、出力部304は、ディスプレイ225aに加えて、スピーカー227によって実現してもよい。この場合、制御部303は、具体的には、たとえば、ディスプレイ225aに、手書きでの入力を要求する文字(手本)や、解答入力枠などを表示するとともに、「画面の文字をなぞってみよう。」や「画面に表示された文字を書いてみよう。」などのメッセージを、音声によってスピーカー227から出力させたりしてもよい。
【0077】
また、制御部303は、入力部305を制御して、出力部304を介して出題された問題に対する解答に関する利用者の手書き文字の入力を受け付ける。具体的に、入力部305は、タッチパネル225bによって実現することができる。制御部303は、入力部305を制御して、利用者などの使用者によるタッチパネル225bに対する入力操作を受け付け、受け付けた入力操作に応じた信号をタッチパネル225bから取得する。この実施の形態においては、CPU221およびメモリ222によって制御部303の機能を実現することができる。
【0078】
制御部303は、たとえば、デジタイザなどの専用の電子ペンを操作部材130として用いて手書き文字の入力がおこなわれた場合に、入力された手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識してもよい。これにより、利用者がディスプレイ225aに手を触れている状態であっても、筆記された手書き文字のみを認識することができる。
【0079】
また、制御部303は、入力された手書き文字を認識し、認識した手書き文字の筆圧を判定する。制御部303は、筆圧判定用の閾値に基づいて、認識した手書き文字の筆圧が、筆圧判定用の閾値以上であるか、当該筆圧判定用の閾値を下回っているかを判定する。筆圧判定用の閾値が複数段階設定されている場合、制御部303は、認識した手書き文字の筆圧が、それぞれの筆圧判定用の閾値以上であるか当該筆圧判定用の閾値を下回っているかを判定する。
【0080】
具体的に、たとえば、筆圧判定用の閾値の下限が「50」、筆圧判定用の閾値の中間値が「75」に設定されている場合、制御部303は、手書き入力を受け付けた文字の筆圧が、筆圧判定用の閾値の下限である「50」を下回る「0~49」である場合に、「筆圧が弱すぎる」と判定する。
【0081】
また、この場合、制御部303は、手書き入力を受け付けた文字の筆圧が、筆圧判定用の閾値の下限である「50」以上であって、筆圧判定用の閾値の中間値である「75」を下回る「50~74」である場合に、「弱すぎではないがもう少し強いと良い」と判定する。また、この場合、制御部303は、手書き入力を受け付けた文字の筆圧が、筆圧判定用の閾値の中間値である「75」以上の「75~100」である場合に、「良い」と判定する。
【0082】
制御部303は、認識した手書き文字における筆圧の判定結果に基づいて、出力部304を制御し、当該判定結果に関する情報を出力する。制御部303は、たとえば、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて太さを異ならせた線を、デジタイザの先端が移動した軌跡に沿って、ディスプレイ225aに表示させることにより、判定結果に関する情報を出力する。
【0083】
具体的に、制御部303は、たとえば、筆圧が高いほど線が太くなり、筆圧が低いほど線が細くなるように、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画をディスプレイ225aに表示させる。これにより、利用者に対して、利用者が筆記した手書き文字や筆画の筆圧を視覚的にわかりやすく認識させることができる(
図4Bなどを参照)。
【0084】
また、具体的に、制御部303は、たとえば、筆圧が高いほど線の色が濃くなり、筆圧が低いほど線の色が薄くなるように、認識した手書き文字をディスプレイ225aに表示させてもよい。あるいは、具体的に、制御部303は、たとえば、手書き文字の筆圧が、筆圧判定用の閾値の中間値以上の場合に線の色が黒く、筆圧判定用の閾値の下限以上であって筆圧判定用の閾値の中間値を下回る場合に線の色が青く、筆圧判定用の閾値の下限を下回っている場合に線の色が赤くなるように、認識した手書き文字をディスプレイ225aに表示させてもよい。
【0085】
制御部303は、認識した手書き文字を、当該手書き文字を構成する筆画内にジャギーが生じないように表示させる。ジャギーは、手書き文字や当該手書き文字の筆画が、滑らかな線にならず階段のように段々(ギザギザ)になって表示されることであり、制御部303は、たとえば、ディスプレイの画素の配置方向(縦方向や横方向)に対して斜めになるような線においてこのようなジャギーが生じないように認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画の形状を調整して表示する。
【0086】
これにより、利用者に対して、手書き文字や筆画に対する違和感を覚えさせることなく、当該利用者が筆記した手書き文字や筆画の筆圧を視覚的にわかりやすく認識させることができる。
【0087】
制御部303は、入力された手書き文字を筆画ごとに認識し、認識した筆画の筆圧を判定して、判定結果に関する情報を出力するようにしてもよい。すなわち、1文字の入力が完了する前であって、1つの筆画の入力を受け付けるごとに、当該筆画を認識し、認識した筆画の筆圧を判定し、筆圧に応じた太さの筆画を表示させるようにしてもよい。
【0088】
制御部303は、筆圧の判定に際して、当該筆画における部位ごとに筆圧を判定してもよい。具体的には、たとえば、横画である勒(ろく)、縦画である弩(ど)、左払いである掠(りゃく)、点である側(そく)、右払いである磔(たく)、さんずいやにすいのいちばん下の画(右斜め上に向かうはね)である策(さく)、折れ曲がりである転折(てんせつ)、はねである艮(てき)の8種類の分類に基づいて、タッチパネル225bにデジタイザが接触して書き始めた部分(始点)の筆圧や、タッチパネル225bからデジタイザが離れる直前の部分(終点)の筆圧と、始点と終点との間の筆圧などを、それぞれ判定してもよい。
【0089】
また、制御部303は、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、当該手書き文字または筆画に対して設定された書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下であるか否かを判定してもよい。書き直し判定用の閾値は、たとえば、筆圧判定用の閾値の下限とすることができる。
【0090】
筆圧の適否の判定用にあらかじめ設定された、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が書き直し判定用の閾値を上回る割合(すなわち、所定の割合)は、たとえば、「40%」など、任意の値に設定することができる。この所定の割合を、たとえば、手書き文字の1文字に対して設定する場合、制御部303は、1文字の筆記が完了した段階で、当該1文字を筆記する際の筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回っている割合が、40%を上回っているか、40%以下であるかを判定する。
【0091】
また、上記の所定の割合を、たとえば、筆画に対して設定する場合、制御部303は、1つの筆画の筆記が完了した段階で、当該1つの筆画を筆記する際の筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回っている割合が、40%を上回っているか、40%以下であるかを判定する。
【0092】
さらに、制御部303は、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合(たとえば、40%など)以下である場合、直前に入力された手書き文字または筆画の表示を消去し、直前に入力された手書き文字または筆画の書き直しを要求してもよい。
【0093】
この場合、制御部303は、ディスプレイ225aに、「強く書いてみよう」、「もう少し強く書いてみよう。」などの書き直しを促すメッセージを表示させてもよい。あるいは、この場合、制御部303は、スピーカー227から、「強く書いてみよう」、「もう少し強く書いてみよう。」などの書き直しを促す音声によるメッセージを出力させてもよい。特に表示とあわせて音声によって書き直しを促すことにより、利用者に対して、筆圧が不十分であったことを確実に伝えることができる。
【0094】
ディスプレイ225aやスピーカー227を介して出力する書き直しを促すメッセージは、たとえば、「もう少し力強く書いてね」、「もう一度、強く書いてみよう」、「同じ文字(線)をもう一度書いてみよう。今度はさっきより強く書いてね。」などであってもよい。
【0095】
ディスプレイ225aやスピーカー227を介して出力する書き直しを促すメッセージは、利用者の年齢などに応じて、たとえば、「力を入れて書いてみよう。」、「太く書いてみよう」、「タブレットに手をついて書いてみよう」であってもよい。一方で、利用者が、就学前の幼児や小学校低学年の児童などの子供である場合、「力を入れて書いてみよう。」というメッセージは、ペンを強く握るだけで筆圧が強くならないことが懸念されたり、「太く書いてみよう」というメッセージは、どうやったら太く書くことができるのか分からないことが懸念されたり、「タブレットに手をついて書いてみよう」というメッセージは、タブレットに手をついていても筆圧が低いことが懸念されたりするため、利用者の年齢に応じて内容を異ならせるようにしてもよい。
【0096】
ディスプレイ225aやスピーカー227を介して出力するメッセージは、たとえば、「縦棒の筆圧が弱いです」、「点はもう少し強めに!」、「数字(漢字)の筆圧が低い(高い)です」などのように、利用者が苦手としていると思われる筆画を指摘するような内容であってもよい。
【0097】
ディスプレイ225aやスピーカー227を介して出力するメッセージは、たとえば、「筆圧はちょうどよいです」、「その調子」のように、筆圧が適正であることを通知する内容であってもよい。さらに、ディスプレイ225aやスピーカー227を介して出力するメッセージは、たとえば、「あなたの平均筆圧は○○%です。」のように、筆圧についての具体的な数値を通知する内容であってもよい。
【0098】
また、ディスプレイ225aやスピーカー227を介して出力するメッセージは、たとえば、「もう少し力を抜いて書いてね」、「もう少し優しく書いてね」などのように、筆圧が高すぎることを指摘するような内容であってもよい。あるいは、指による手書き文字の筆記およびデジタイザによる手書き文字の筆記の両方の入力を受け付ける仕様とした場合に、「指を使った際の筆圧が低いです」、「デジタイザを使用した際の筆圧が高いです」などのように、操作部材130ごとの筆圧の傾向の違いを指摘するような内容としてもよい。
【0099】
制御部303は、書き直しを促す音声によるメッセージを出力している間は、直前に入力された手書き文字または筆画の表示を継続し、書き直しを促す音声によるメッセージの出力が完了した後に、手書き文字または筆画の表示を消去し、手書き文字または筆画の書き直しを受け付けるようにしてもよい。この場合、書き直しを促す音声によるメッセージの出力後も、書き直しを促す文字によるメッセージの表示を継続し、書き直しを促す音声によるメッセージの出力が完了後に、手書き文字または筆画の表示を消去し、手書き文字または筆画の書き直しを受け付けるようにしてもよい。
【0100】
制御部303は、さらに、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかを判定してもよい。具体的に、制御部303は、入力された手書き文字のパターン認識をおこない、パターン認識された解(文字)とあらかじめ記憶された文字(手本)とに基づいて、入力された手書き文字に基づく文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかを判定することができる。
【0101】
また、制御部303は、たとえば、手書き文字の形状における判断対象箇所を抽出し、当該判断対象箇所と模範となる形状における判断対象箇所とのずれの程度や、所定数以上のずれがあると判断される判断対象箇所の数などに基づいて、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかを判定することができる。
【0102】
また、制御部303は、たとえば、見やすくバランスのとれている文字であるか、たとえば、「とめ」・「はね」・「はらい」を正しく書くことができている文字、まっすぐであるべき部分をまっすぐに書くことができているか、などに基づいて、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかを判定することができる。また、制御部303は、たとえば、入力された手書き文字が、解答入力枠の大きさに対するバランスがとれているか、部首・旁・偏などのバランスがとれているか、などに基づいて、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかを判定することができる。
【0103】
制御部303は、さらに、入力された手書き文字の形状に加えて、当該手書き文字の書き順に基づいて、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかの判定をおこなってもよい。この場合、制御部303は、比較対象とする文字の模範となる形状および書き順と、入力された手書き文字の形状および書き順とを比較する。そして、手書き文字の形状と当該模範となる形状とのずれ、および、手書き文字の書き順と比較対象とする文字の書き順とのずれに基づいて、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかの判定をおこなう。
【0104】
手書き文字の書き順を加味した判定をおこなうことにより、手書き文字の形状のみならず書き順もあわせて学習させることができる。手書き文字の書き順を加味した判定をおこなうことにより、若干の行書により楷書体から崩れた手書き文字であっても、操作部材130の運びに基づいて、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ているかどうかを判定することができる。これにより、利用者の学習意識を低下させることなく、利用者に対して、適切な筆圧で文字を書くよう意識づけることができる。
【0105】
さらに、制御部303は、出力部304を制御して、手書き文字の判定結果を出力してもよい。制御部303は、たとえば、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ていなかったり、筆画が過剰に蛇行していたりする場合、出力部304を制御して、「もう一度書いてみよう」などの書き直しを促すメッセージを出力させる。
【0106】
また、制御部303は、入力された手書き文字が、手本となる文字と認識できる程度に似ていなかったり、筆画が過剰に蛇行していたりする場合、利用者に再度手書き文字を入力させる入力欄を表示するようにしてもよい。具体的に、制御部303は、たとえば、出力部304を制御して、最初に表示した解答入力枠の隣あるいは近傍に、再度手書き入力させる入力欄を表示させることができる。
【0107】
制御部303は、再度手書き入力させる解答入力枠に、手本を表示するようにしてもよい。すなわち、はじめは、手書き文字を入力する際の解答入力枠の隣に手本を表示し、手書き文字や筆画の書き直しを要求する際に、再度手書き入力させる解答入力枠に、手本を表示するようにしてもよい。
【0108】
この場合、制御部303は、再度手書き入力させる解答入力枠において、手書き入力した文字の色よりも手本の文字の色を薄い色で表示させるようにしてもよい。あるいは、制御部303は、再度手書き入力させる解答入力枠において、解答を入力した際に表示される文字の色(たとえば「黒」など)と、手本の文字の色(たとえば「灰色」や「青」など)とを異ならせて表示させるようにしてもよい。
【0109】
(表示画面例)
つぎに、操作端末120がディスプレイ225aに表示する表示画面例について説明する。
図4A~
図4Cは、操作端末120がディスプレイ225aに表示する表示画面例を示す説明図である。
【0110】
図4Aに示すように、操作端末120は、「問題」コンテンツに基づいて、ディスプレイ225aに、学習の対象とする文字(入力を要求する手書き文字)の手本401や解答入力枠402を表示させる。
図4Aにおいては、「問題」コンテンツとして、ひらがなの「あ」が、手本401としてディスプレイ225aに表示された状態を示している。
【0111】
手本401は、解答入力枠402の外枠よりも薄い色で表示されている。これにより、利用者は、自身が筆記する手書き文字を手本401により邪魔されることなく視認して、文字を筆記する学習をおこなうことができる。
【0112】
解答入力枠402の内側には、解答入力枠402の外枠よりも色の薄い点線によって実現される十字の罫線402aが表示されている。これにより、文字を構成する各筆画の位置がわかりやすくなり、バランスのよい手書き文字を筆記しやすくできる。
図4Aに示す例では、利用者に、デジタイザなどの専用の電子ペンを操作部材130として用いて、手本401をなぞるように筆記させることによって、手書き文字を入力(筆記)させる。
【0113】
図4Bにおいては、「問題」コンテンツとして出題された、ひらがなの「あ」の筆記が完了した状態を示している。
図4Bに示すように、操作端末120は、手書き文字の入力を受け付けると、手書き文字や当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて太さを異ならせた線(筆画)403を、ディスプレイ225aに表示させる。
【0114】
操作端末120は、操作部材130としてデジタイザおよび消しゴムなど、特定の操作部材130を使用している場合にのみ、手書き文字や当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて太さを異ならせた線403を表示させるようにしてもよい。これにより、手書き文字の筆記に際して、手指の力加減を制御して筆圧調整する作業を、確実に学習させることができる。
【0115】
図4Bにおいては、1画目の筆画403aの始点付近の筆圧より、1画目の筆画403aの終点付近の筆圧が高いことを示している。また、
図4Bにおいては、1画目や2画目の筆画403a、403bにおける筆圧よりも、3画目の筆画403cにおける筆圧の方が高いことを示している。
【0116】
図4Cにおいては、「問題」コンテンツとして出題された、ひらがなの「ほ」の筆記が完了した状態を示している。
図4Cに示す例では、2画目の筆画403bの筆圧が低く、2画目の筆画403bの筆圧が、2画目の筆画403bの全体において、書き直し判定用の閾値を上回っている割合が、所定の割合(40%など)以下である状態を示している。
【0117】
(表示画面の比較例)
図5は、表示画面の比較例を示す説明図である。
図5に示すように、入力を受け付けた手書き文字や当該手書き文字の筆画403の筆圧に応じて、滑らかな線ではなく、階段のように段々(ギザギザ)501aが生じている線(筆画)501を表示させると、実際に鉛筆やペンを用いて筆記した場合には生じにくい形状となって、利用者に違和感を覚えさせてしまう。
【0118】
これに対し、この実施の形態においては、手書き文字を構成する筆画403内にジャギーが生じないように表示させることにより、端末装置120を用いて電子的(デジタル)に手書き文字を表示(再現)する場合にも、利用者に違和感を覚えさせることなく、自然な手書き文字を認識させることができる。
【0119】
認識した手書き文字における筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合(たとえば、40%など)以下であるか否かの判定を、筆画単位でおこなう場合、操作端末120は、1画目を筆記した段階では格別なメッセージの出力はおこなわない。
図4Bに示す例において、操作端末120は、2画目の筆画403bを筆記した段階で、「もう少し強く書いてみよう。」などの書き直しを促すメッセージ音声を出力させる。
【0120】
操作端末120は、書き直しを促すメッセージ音声の出力中は、2画目の筆画403bを表示した状態とし、書き直しを受け付けないようにしてもよい。そして、書き直しを促すメッセージ音声の出力が完了した後に、直前に筆記した2画目の筆画403bの表示を消去して、2画目の筆画403bの書き直しを受け付けるようにしてもよい。
【0121】
書き直しを促すメッセージ音声を、手書き文字の1文字単位で出力する場合、すなわち、1文字の手書き入力が完了した際に書き直しを促すメッセージ音声を出力する場合は、書き直しを促すメッセージの出力後の文字の書き直しは、任意としてもよい。また、書き直しを促すメッセージ音声を、手書き文字の1文字単位で出力する場合、書き直しを促す筆画の表示色を、書き直し不要の筆画の筆画の表示色と異ならせて表示してもよい。これにより、書き直しを促す筆画を確実に通知することができる。
【0122】
(子供の筆記傾向の一例)
図6は、子供の筆記傾向の一例を示す説明図である。
図6に示すように、就学前の幼児や小学校低学年の児童などの子供においては、文字を構成する各部分のうち、縦画または縦画に類する筆画は比較的安定して筆記することができるものの、
図6において破線の枠601で囲った筆画のように、横画または横画に類する筆画を筆記することが難しいという傾向がある。
【0123】
(操作端末120の処理手順の一例)
つぎに、操作端末120の処理手順の一例について説明する。
図7は、操作端末120の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートにおいて、まず、問題コンテンツに基づいて、筆記を要求する手書き文字(問題)の手本401および解答入力枠402を、ディスプレイ225aに表示し(ステップS701)、ステップS701において表示した解答入力枠402内に、デジタイザなどの所定の操作部材130による筆画の入力(筆画の筆記)を受け付けるまで待機する(ステップS702:No)。
【0124】
ステップS702において、筆画の入力を受け付けた場合(ステップS702:Yes)、入力を受け付けた筆画の筆圧を判定する(ステップS703)。ステップS703においては、たとえば、入力を受け付けた筆画の筆圧を、当該筆画の部位ごとに判定する。入力を受け付けた筆画の筆圧は、筆画全体で判定してもよい。
【0125】
つぎに、ステップS703における判定結果に基づいて、ディスプレイ225aに表示させる筆画の形状を決定する(ステップS704)。ステップS704においては、たとえば、デジタイザの先端が移動した軌跡や、当該軌跡においてタッチパネル225bに加わった圧力などに基づいて、ディスプレイ225aに表示させる筆画の部位ごとの線の太さを決定する。
【0126】
また、ステップS704においては、入力を受け付けた筆画の筆圧に基づき決定される、単一の筆画内において隣り合う部位における線の太さに視認可能なジャギー(段差、ギザギザ)が生じないように、ディスプレイ225aに表示させる筆画の形状を決定する。ステップS704においては、タッチパネル225bに加わった筆圧(圧力)が高いほど線が太くなり、筆圧が低いほど線が細くなるように、筆画の形状を決定する。そして、ステップS704において決定した形状の筆画を、ディスプレイ225aに表示する(ステップS705)。
【0127】
つぎに、ステップS702:Yesにおいて入力を受け付けた筆画の筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回る割合が、所定の割合以下であるか否かを判定する(ステップS706)。ステップS706において、入力を受け付けた筆画の筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回る割合が、所定の割合以下である場合(ステップS706:Yes)、ステップS701においてディスプレイ225aに表示した筆記を要求する手書き文字(問題)における全ての筆画(1文字分の筆画)の入力を受け付けたか否かを判断する(ステップS707)。
【0128】
ステップS707において、全ての筆画の入力を受け付けた場合(ステップS707:Yes)、一連の処理を終了する。一方、ステップS707において、全ての筆画の入力を受け付けていない場合、すなわち、1文字の筆記が完了していない場合(ステップS707:No)、ステップS702に移行して、つぎの筆画の入力の受け付けを待機する。
【0129】
一方、ステップS706において、入力を受け付けた筆画の筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回る割合が、所定の割合以下ではない場合(ステップS706:No)、書き直しを促すメッセージを出力する(ステップS708)。ステップS708においては、たとえば、ディスプレイ225aやスピーカー227を介して、書き直しを促すメッセージを出力する。
【0130】
そして、書き直しを促すメッセージの出力後に、直前に入力された筆画を消去して(ステップS709)、ステップS702に移行し、該当する筆画の入力を受け付けるまで待機する。ステップS709における筆画の消去は、たとえば、音声による書き直しを促すメッセージの出力後におこなう。また、この際、文字による書き直しを促すメッセージの出力は、継続したままとしてもよく、音声による書き直しを促すメッセージの出力後に文字による書き直しを促すメッセージの出力も終了してもよい。
【0131】
上述した処理例においては、ステップS707:Yesにおいて、全ての筆画の入力を受け付けることで1文字の入力が完了した場合に、一連の処理を終了するようにしたが、これに限るものではない。ステップS707:Yesにおいては、たとえば、全ての筆画の入力を受け付けることで1文字の入力が完了した場合、つぎに筆記を要求する手書き文字(問題)を選択し、当該手書き文字(問題)の手本401および解答入力枠402をディスプレイ225aに表示してもよい。
【0132】
あるいは、ステップS707において、全ての筆画の入力を受け付けることで1文字の入力が完了した場合、利用者によっておこなわれた所定の操作に応じて、つぎに筆記を要求する手書き文字(問題)を選択し、当該手書き文字(問題)の手本401および解答入力枠402をディスプレイ225aに表示してもよい。
【0133】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の学習支援プログラム、学習支援装置、学習支援方法は、利用者に対して筆記を要求した、当該利用者の手書き文字の入力を受け付け、入力された手書き文字または当該手書き文字の筆画を認識し、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定し、判定結果に関する情報を出力する、処理をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0134】
この発明によれば、利用者に、手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を伝達することができる。これにより、利用者に対して適切な筆圧で文字を書くよう意識づけることができる。
【0135】
また、この発明にかかる実施の形態の学習支援プログラム、学習支援装置、学習支援方法は、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、当該手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて線の太さを異ならせて表示させることを特徴としている。
【0136】
この発明によれば、利用者に、手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を、視覚的にわかりやすく伝達することができる。これにより、より確実に、利用者に対して適切な筆圧で文字を書くよう意識づけることができる。
【0137】
また、この発明にかかる実施の形態の学習支援プログラム、学習支援装置、学習支援方法は、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、単一の筆画内にジャギーが生じないように表示させることを特徴としている。
【0138】
この発明によれば、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を、鉛筆や筆などの筆記具を用いて筆記したような自然な態様で伝えることができる。これにより、利用者の運筆をより正確に伝達することができる。
【0139】
また、この発明にかかる実施の形態の学習支援プログラム、学習支援装置、学習支援方法は、あらかじめ定められた筆圧判定用の閾値に基づいて、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を判定することを特徴としている。
【0140】
この発明によれば、筆圧判定用の閾値に基づいて筆圧を判定することにより、CPUの処理負担を低減し、処理速度の向上を図ることができる。これにより、手書き文字または当該手書き文字の筆圧を、筆記の動作にあわせて迅速に判定し、利用者に伝達することができる。そして、これによって、利用者に違和感やストレスを感じさせることなく、手書き文字の学習をおこなわせることができる。
【0141】
また、この発明にかかる実施の形態の学習支援プログラム、学習支援装置、学習支援方法は、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧と、複数段階の筆圧判定用の閾値との大小に応じて、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画を、当該手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧に応じて線の太さを異ならせて表示させることにより、判定結果に関する情報を出力することを特徴としている。
【0142】
この発明によれば、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧を、複数段階の筆圧判定用の閾値との大小に応じて線の太さを異ならせて表示させることにより、利用者に、手書き文字または当該手書き文字の筆画の筆圧を段階的に伝達することができる。これにより、利用者に対して適切な筆圧で文字を書くよう、きめ細やかな指導をおこなうことができる。
【0143】
また、この発明にかかる実施の形態の学習支援プログラム、学習支援装置、学習支援方法は、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、当該手書き文字または筆画に対して設定された書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下であるか否かを判定し、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が、書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下である場合、直前に入力された当該手書き文字または筆画の表示を消去し、直前に入力された当該手書き文字または筆画の書き直しを要求する情報を出力することを特徴としている。
【0144】
この発明によれば、認識した手書き文字または当該手書き文字の筆画における筆圧が書き直し判定用の閾値を上回る割合が所定の割合以下である場合に、当該手書き文字または筆画の書き直しを要求することにより、利用者に、習熟レベルが不足していることを伝達するとともに、習熟レベルの向上のための繰り返し学習を促すことができる。
【0145】
また、筆圧が適切ではない場合に書き直しを要求することにより、利用者に、早い段階で、適切な筆圧で文字を書くよう意識させることができる。これにより、利用者に、手書き文字の学習を効率よくおこなわせることができる。
【0146】
また、この発明にかかる実施の形態の学習支援プログラム、学習支援装置、学習支援方法は、判定結果を通知する音声を出力することにより、判定結果に関する情報を出力することを特徴としている。
【0147】
この発明によれば、判定結果を音声によって通知することにより、手書きのための触覚に加えて、聴覚を刺激することができる。幼児や低学年の児童などの低年齢の利用者に対しては、筆圧を高めるよう促すメッセージを、「強く書いてみよう」あるいは「つよくかいてみよう」などの文字で伝えるよりも、あるいは、文字で伝えることに加えて、音声で伝えることにより、筆圧を高めるよう意識させやすい。これにより、特に、低年齢の利用者に対して、効果的に、筆圧を高めるよう意識させることができる。
【0148】
手指の力と脳の前頭葉の発達とは深い相関性をもっており、適切に刺激することにより、脳を活性化させることができることが知られている。また、手指の力を高めることにより、物事を総合的に判断する能力の発達を促進することが知られている。この発明によれば、手書き文字を適切な筆圧で筆記させるように促すことにより、手書きによる文字の筆記能力の習得に加えて、脳を活性化させ、物事を総合的に判断する能力の向上を期待することができる。
【0149】
なお、この実施の形態で説明した学習支援方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD-ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0150】
以上のように、この発明にかかる学習支援プログラム、学習支援装置および学習支援方法は、学習を支援する学習支援プログラム、学習支援装置および学習支援方法に有用であり、特に、手書き文字により解答を入力する学習支援プログラム、学習を支援する学習支援方法および学習支援装置に適している。
【符号の説明】
【0151】
100 通信教育システム
110 サーバ
120 操作端末
225 タッチスクリーン
225a ディスプレイ
225b タッチパネル
301 処理部
302 記憶部
303 制御部
304 出力部
305 入力部
401 手本(問題)
402 解答入力枠