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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062633
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】フルハーネス型墜落制止器具
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
A62B35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172739
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000223687
【氏名又は名称】藤井電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上月 章智
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA04
2E184LA40
(57)【要約】
【課題】作業性が良好なフルハーネス型墜落制止器具を提供する。
【解決手段】好ましいフルハーネス型墜落制止器具2は、肩ベルト12と、腿ベルト14と、裏面に配置されるベルトホルダ30と表面に配置される道具掛け32とを有し、肩ベルト12と腿ベルト14との間に配置される連結具22とを備える。好ましくは、フルハーネス型墜落制止器具2は、胴ベルト6を更に備える。ベルトホルダ30が、胴ベルト6の幅方向端部に係合する一対の係合爪を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肩ベルトと、
腿ベルトと、
裏面に配置されるベルトホルダと表面に配置される道具掛けとを有し、前記肩ベルトと前記腿ベルトとの間に配置される連結具と
を備える、フルハーネス型墜落制止器具。
【請求項2】
胴ベルトを更に備え、
前記ベルトホルダが、前記胴ベルトの幅方向端部に係合する一対の係合爪を有する、請求項1に記載のフルハーネス型墜落制止器具。
【請求項3】
前記連結具が、前記肩ベルトが取り付けられる上プレートと、前記腿ベルトが取り付けられ前記上プレートに対して回動可能である下プレートとを有し、
前記ベルトホルダが前記下プレートに対して回動可能である、請求項1又は2に記載のフルハーネス型墜落制止器具。
【請求項4】
前記ベルトホルダが前記上プレートに回り止めされている、請求項3に記載のフルハーネス型墜落制止器具。
【請求項5】
前記上プレートが回り止め孔を有し、
前記ベルトホルダが前記回り止め孔に挿入される回り止めを有し、
前記回り止め孔から突出する前記回り止めが、前記下プレートの回動範囲を規制する、請求項4に記載のフルハーネス型墜落制止器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書はフルハーネス型墜落制止器具を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハーネス型安全帯と胴ベルトとの連結構造が開示されている。この連結構造は、肩ベルトと腿ベルトとの間に取り付けられる胴ベルト連結体と、胴ベルトが着脱可能に取り付けられる係合体とを備える。
【0003】
この連結構造では、胴ベルト連結体の上部に肩ベルトの挿通孔が形成され、胴ベルト連結体の下部に腿ベルトの挿通孔が形成されている。これらの挿通孔の間に連結孔が形成されている。この連結孔に係合体の係合部を嵌挿して、胴ベルト連結体と係合体とが係合される。この係合によって、胴ベルト連結体に係合体が着脱可能に取り付けられる。この連結構造は、作業者がハーネス型安全帯を装着した状態で、胴ベルトをハーネス型安全帯に装着することを、容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-27523公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このハーネス型安全帯を装着した作業者は、腰部に腰袋等を取り付けることで、工具や部品を取出し収容し易くできる。前述の連結構造では、胴ベルト連結体が、作業者の腰部に位置する。胴ベルト連結体の中央には、係合体の係合部が嵌挿される連結孔が形成されている。この胴ベルト連結体の中央に、係合体が位置する。この胴ベルト連結体の中央には、腰袋等を取り付けられない。この連結構造は、作業者の作業性の観点から改善の余地がある。
【0006】
本出願人の意図するところは、作業性が良好なフルハーネス型墜落制止器具の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
好ましいフルハーネス型墜落制止器具は、
肩ベルトと、
腿ベルトと、
裏面に配置されるベルトホルダと表面に配置される道具掛けとを有し、前記肩ベルトと前記腿ベルトとの間に配置される連結具と
を備える。
【発明の効果】
【0008】
このフルハーネス型墜落制止器具は、裏面に配置されるベルトホルダと表面に配置される道具掛けとを有する連結具を備える。このフルハーネス型墜落制止器具では、表面に配置される道具掛けを備えることで、作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係るフルハーネス型墜落制止器具が示された正面図である。
図2図2は、図1の線分II-IIで示された断面図である。
図3図3は、図1のフルハーネス型墜落制止器具に取り付けられたペンチ差しが取り外された状態の連結具の説明図である。
図4図4は、図3の線分IV-IVで示された断面図である。
図5A図5Aは、図1のペンチ差しをフルハーネス型墜落制止器具に取り付け取り外し可能にする取付具が示された正面図である。
図5B図5Bは、図5Aの取付具が示された側面図である。
図6A図6Aは、図5Aの取付具の使用状態が示された説明図である。
図6B図6Bは、図5Aの取付具の他の使用状態が示された説明図である。
図7図7は、他の実施形態に係るフルハーネス型墜落制止器具が示された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1に示されるフルハーネス型墜落制止器具2は、フルハーネス4、胴ベルト6、一対のペンチ差し8及び腰袋10を備える。なお、以下の説明では、フルハーネス型墜落制止器具2は、単に、墜落制止器具2ともいう。
【0012】
フルハーネス4は、一対の肩ベルト12と、一対の腿ベルト14と、胸ベルト16と、背連結具としての連結具18と、D環20と、一対の腰連結具としての一対の連結具22と、一対の胸連結具としての一対の連結具24とを有する。
【0013】
一方の肩ベルト12は、一方の連結具22から斜め上方に延び、上方で折り返され、他方の連結具22まで延びている。他方の肩ベルト12は、他方の連結具22から斜め上方に延び上方で折り返され、一方の連結具22まで延びている。一対の肩ベルト12が交差する部分に、連結具18とD環20とが取り付けられている。
【0014】
それぞれの腿ベルト14は、連結具22から下方に延びる第一腿ベルト14A及び第二腿ベルト14Bと、第一腿ベルト14Aに取り付けられたタングプレート14Cと、第二腿ベルト14Bに取り付けられたバックル本体14Dとを備える。この第一腿ベルト14Aと第二腿ベルト14Bとは、タングプレート14Cとバックル本体14Dとによって、連結可能であり、連結解除可能である。
【0015】
胸ベルト16は、他方の肩ベルト12に取り付けられた一方の連結具24から延びる第一胸ベルト16Aと、一方の肩ベルト12に取り付けられた他方の連結具24から延びる第二胸ベルト16Bとを有する。胸ベルト16は、第一胸ベルト16Aに取り付けられたタングプレート16Cと、第二胸ベルト16Bに取り付けられたバックル本体16Dとを更に有する。第一胸ベルト16Aと第二胸ベルト16Bとは、タングプレート16Cとバックル本体16Dとによって、連結可能であり、連結解除可能である。
【0016】
作業者がフルハーネス4を装着した状態において、肩ベルト12は、作業者の肩で折り返される。連結具18とD環20とは、作業者の背に位置する。タングプレート16Cとバックル本体16Dとが連結され、胸ベルト16は、作業者の胸部に位置する。タングプレート14Cとバックル本体14Dとが連結され、腿ベルト14は作業者の腿周りに位置する。この状態において、連結具22は、作業者の腰部側面に位置する。
【0017】
ペンチ差し8は、ペンチに限らず工具を収容する工具袋である。腰袋10は、工具、ワイヤ、金具等を収納する袋である。ペンチ差し18は、連結具22に着脱可能に取り付けられている。腰袋10は、ベルト通し孔を備え、このベルト通し孔に胴ベルト6が通されている。これにより、腰袋10は、胴ベルト6に取り付けられている。作業者がフルハーネス4を装着した状態において、胴ベルト6は作業者の腰部に巻かれる。この状態において、ペンチ差し8は、作業者の腰部側面に位置する。腰袋10は、作業者の腰部の後方に位置する。
【0018】
図2に示される様に、連結具22は、上プレート26、下プレート28、ベルトホルダ30及び道具掛け32を有する。上プレート26に、肩ベルト12が連結されている。下プレート28に、腿ベルト14が連結されている。
【0019】
ベルトホルダ30は、本体30A、回り止め30B、係合爪30C及び係合爪30Dを有する。回り止め30Bは、本体30Aから突出し、上プレート26の回り止め孔26Cに挿入されている。係合爪30Cは本体30Aの上端部から下方に延びている。本体30Aと係合爪30Cとが、胴ベルト6の幅方向一方の端部を挟んでいる。係合爪30Dは本体30Aの下端部から上方に延びている。本体30Aと係合爪30Dとが、胴ベルト6の幅方向他方の端部を挟んでいる。この様にして、係合爪30C、30Dは、胴ベルト6の幅方向端部に係合している。これにより、ベルトホルダ30に、胴ベルト6が取り付けられている。
【0020】
ペンチ差し8は、収容体34と収容体34に取り付けられた着脱具36とを有する。この着脱具36が道具掛け32に係合している。この係合により、ペンチ差し8は、連結具22に取り付けられている。なお、ここでは、連結具22に取り付けられるものは、ペンチ差し8に限らない。例えば、連結具22に、着脱具36を介して腰袋10が取り付けられてもよい。
【0021】
ここで、図3及び図4を参照しつつ、連結具22の構成が説明される。図3には、肩ベルト12及び腿ベルト14が連結された連結具22が示されている。図4には、図3の線分IV-IVに沿った連結具22の断面が示されている。図4に示される様に、連結具22は、上プレート26、下プレート28、ベルトホルダ30及び道具掛け32に加え、軸受38を有する。この連結具22の表面22Fは、上プレート26の表面26Aと下プレート28の表面28Aとを含む。この連結具22の裏面22Bは、上プレート26の裏面26Bと下プレート28の裏面28Bとを含む。なお、墜落制止器具2を作業者が装着した状態で、連結具22の表面22Fは外側の面であり、裏面22Bは内側の面である。
【0022】
図4に示される様に、道具掛け32は、頭部32Aと、頭部32Aから延びる首部32Bと、首部32Bから延びる軸32Cとを有する。頭部32Aの外径は首部32Bのそれより大きい。上プレート26、下プレート28及びベルトホルダ30の本体30Aは、軸32Cが通されて連結されている。下プレート28の軸孔28Cには軸受38が挿入されている。下プレート28は、軸受38を介して、軸32Cに対して回動可能である。これにより、下プレート28は、上プレート26に対して回動可能である。
【0023】
上プレート26は、回り止め孔26Cを有する。この回り止め孔26Cに、ベルトホルダ30の回り止め30Bが挿入されている。これにより、ベルトホルダ30は、上プレート26に対して回り止めされている。更に、この回り止め30Bは、上プレート26を貫通して上プレート26の表面26Aから突出している。この表面26Aから突出した回り止め30Bは、下プレート28の回動範囲を規制している。
【0024】
次に、図5A及び図5Bを参照しつつ、ペンチ差し8が有する着脱具36の構成が説明される。図5Aには着脱具36の正面図が示され、図5Bには着脱具36の側面図が示されている。着脱具36は、本体プレート40と、係合ピン42と、係止プレート44と、ピン46と、弾性体としてのバネ48を有する。本体プレート40に、通し孔40Aと、通し孔40Aに連続して延びる長孔40Bとが形成されている。図5Aの両矢印D1は、通し孔40Aの幅を表している。図5Aの両矢印D2は、長孔40Bの幅を表している。この幅D2は、幅D1より小さい。
【0025】
係合ピン42は、本体プレート40に支持されている。係合ピン42は、長孔40Bに直交して本体プレート40の表面に沿って延びている。この係合ピン42が収容体34の通し孔34Aに通されて、収容体34が着脱具36に取り付けられる(図2参照)。
【0026】
係止プレート44に、係止孔44Aが形成されている。図5Aの両矢印D3は、係止孔44Aの幅を表している。係止プレート44は、ピン46を介して、本体プレート40に取り付けられている。係止プレート44は、バネ48によって、本体プレート40に押し付けられている。この係止プレート44は、本体プレート40に押し付けられた係止位置にある。この係止位置では、係止孔44Aは本体プレート40の長孔40Bに重なっている。
【0027】
図6Aには、係止孔44Aは、バネ48の付勢力に抗して、本体プレート40から離れた解除位置にある。この状態で、本体プレート40の通し孔40Aに、道具掛け32の頭部32Aが通されている。通し孔40Aは、頭部32Aが通り抜け可能な大きさで形成されている。
【0028】
図6Bには、係止孔44Aは、図5Bと同様に係止位置にある。この状態で、本体プレート40の長孔40Bに、道具掛け32の首部32Bが位置している。長孔40Bは、道具掛け32の首部32Bが長孔40Bに沿って移動可能な大きさで形成されている。一方で、長孔40Bは、頭部32Aが通り抜け不可能な大きさで形成されている。この状態では、係止プレート44の係止孔44Aに、道具掛け32の頭部32Aが通されている。係止プレート44は、長孔40Bから通し孔40Aへの道具掛け32の移動を防止している。
【0029】
この墜落制止器具2では、連結具22は肩ベルト12と腿ベルト14との間に配置されている。この墜落制止器具2を作業者が装着した状態で、連結具22は作業者の腰部側面に位置する。連結具22は、肩ベルト12と腿ベルト14との間に配置されるので、位置ずれが抑制される。この連結具22の表面22Fに道具掛け32を有するので、連結具22の表面22Fに工具等の装着が可能となる。また、作業性が良い作業者の腰部側面にペンチ差し8を取付けられるので、作業者はペンチ差し8からペンチの出し入れが容易にできる。なお、墜落制止器具2では、ペンチ差し8が取り付けられたが、他の工具差しや腰袋が道具掛け32に取り付けられてもよい。
【0030】
この連結具22は、その裏面22Bに配置されるベルトホルダ30を有する。これにより、連結具22は、その表面22Fに道具掛け32を有しつつ、胴ベルト6を墜落制止器具2に取り付けられる。墜落制止器具2に対して、胴ベルト6が位置ずれすることが抑制される。例えば、この墜落制止器具2の様に、胴ベルト6に腰袋10を取り付けた状態でも、胴ベルト6の位置ずれが抑制される。
【0031】
ベルトホルダ30は、胴ベルト6の幅方向端部に係合する係合爪30Cと係合爪30Dとを有する。このベルトホルダ30は係合爪30Cと係合爪30Dとを胴ベルト6に係合することで、胴ベルト6が取り付けられる。胴ベルト6は、係合爪30Cと係合爪30Dと間を通して、ベルトホルダ30に取付け取り外し可能である。このベルトホルダ30は、胴ベルト6を取り付ける際に胴ベルト6をベルト孔に通す必要がない。これにより、胴ベルト6の取り付け取り外しの際に、胴ベルト6に取り付けられた腰袋10を取り外す必要がない。ベルトホルダ30は、胴ベルト6の着脱を容易にしている。この観点から、ベルトホルダ30は係合爪30Cと係合爪30Dとを有することが、好ましい。
【0032】
連結具22は、肩ベルト12が取り付けられる上プレート26と、腿ベルト14が取り付けられ上プレート26に対して回動可能である下プレート28とを有する。ベルトホルダ30は、下プレート28に対して回動可能である。これにより、墜落制止器具2を装着した作業者が前屈等をする際に、墜落制止器具2はスムーズな動作を妨げることが抑制されている。この墜落制止器具2は、装着感に優れている。この観点から、下プレート28は、上プレート26に対して回動可能であることが好ましい。また、ベルトホルダ30は、下プレート28に対して回動可能であることが好ましい。
【0033】
この墜落制止器具2では、ベルトホルダ30は上プレート26に回り止めされている。上プレート26に対する下プレート28の回動に伴って、ベルトホルダ30が上プレート26に対して回動することが抑制されている。これにより、肩ベルト12に対して胴ベルト6が位置ずれすることが抑制されている。この観点から、ベルトホルダ30は上プレート26に回り止めされることが好ましい。
【0034】
この墜落制止器具2では、上プレート26が回り止め孔26Cを有し、ベルトホルダ30が回り止め孔26Cに挿入される回り止め30Bを有する。この回り止め孔26Cに回り止め30Bが挿入されて、ベルトホルダ30が上プレート26に対して、回り止めされている。更に、この回り止め30Bは、下プレート28の回動範囲を規制している。上プレート26に取り付けられた肩ベルト12が下プレート28で損傷することが抑制されている。また、下プレート28に取り付けられた腿ベルト14が上プレート26で損傷することが抑制されている。この観点から、上プレート26に対して、下プレート28の回動範囲が規制されることが好ましい。
【0035】
上プレート26及び下プレート28の材質は、特に限定されないが、強度の観点から金属であることが好ましい。また、ベルトホルダ30の材質は特に限定されないが、樹脂であることが好ましい。樹脂からなるベルトホルダ30は成形が容易で、金属に比べ安価に製造できる。回り止め30Bを有するベルトホルダ30を成形が容易な樹脂製とすることで、金属製の上プレート26及び下プレート28に回り止めを設ける必要がなく、その分だけ金属製の上プレート26及び下プレート28の加工が容易になる。これにより、墜落制止器具2の製造コストが低減できる。この観点から、上プレート26及び下プレート28が金属製である場合には、ベルトホルダ30が樹脂製であることが好ましい。
【0036】
この墜落制止器具2では、回り止め孔26Cから突出する回り止め30Bが、下プレート28の回動範囲を規制する。この回り止め30Bは、ベルトホルダ30の回り止めと下プレート28の回動範囲を規制するストッパとを兼ねている。この墜落制止器具2では、ベルトホルダ30の回り止めと下プレート28の回動範囲を規制するストッパとを個別に設ける必要がない。この観点から、回り止め孔26Cから突出する回り止め30Bが、下プレート28の回動範囲を規制することが好ましい。
【0037】
図7には、他の実施形態に係るフルハーネス型墜落制止器具52が示されている。以下の説明では、フルハーネス型墜落制止器具52は、単に、墜落制止器具52ともいう。前述の墜落制止器具2は、胴ベルト6、一対のペンチ差し8及び腰袋10を備えたが、この墜落制止器具52は、胴ベルト6、一対のペンチ差し8及び腰袋10を備えない。墜落制止器具52の他の構成は、墜落制止器具2のそれと同様にされている。
【0038】
この墜落制止器具52でも、連結具22を備えるので、胴ベルト6を着用しなくてもペンチの出し入れが容易な位置にペンチ差し8を取り付け可能である。ベルトホルダ30を有するので、胴ベルト6が容易に着脱できる。上プレート26に対して回動可能な下プレート28を有する連結具22を備えるので、墜落制止器具52は作業者のスムーズな動作を妨げることが抑制されている。この墜落制止器具52は、装着感に優れている。この墜落制止器具52でも、連結具22によって、肩ベルト12が下プレート28で損傷することが抑制され、腿ベルト14が上プレート26で損傷することが抑制される。回り止め30Bは、ベルトホルダ30の回り止めと下プレート28の回動範囲を規制するストッパとを兼ねている。
【0039】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0040】
[項目1]
肩ベルト12と、
腿ベルト14と、
裏面に配置されるベルトホルダ30と表面に配置される道具掛け32とを有し、肩ベルト12と腿ベルト14との間に配置される連結具22と
を備える、フルハーネス型墜落制止器具2。
【0041】
[項目2]
胴ベルト6を更に備え、
ベルトホルダ30が、胴ベルト6の幅方向端部に係合する係合爪30C、30Dを有する、項目1に記載のフルハーネス型墜落制止器具2。
【0042】
[項目3]
連結具22が、肩ベルト12が取り付けられる上プレート26と、腿ベルト14が取り付けられ上プレート26に対して回動可能である下プレート28とを有し、
ベルトホルダ30が下プレート28に対して回動可能である、項目1又は2に記載のフルハーネス型墜落制止器具2。
【0043】
[項目4]
ベルトホルダ30が上プレート26に回り止めされている、項目3に記載のフルハーネス型墜落制止器具2。
【0044】
[項目5]
上プレート26が回り止め孔26Cを有し、
ベルトホルダ30が回り止め孔26Cに挿入される回り止め30Bを有し、
回り止め孔26Cから突出する回り止め30Bが、下プレート28の回動範囲を規制する、項目4に記載のフルハーネス型墜落制止器具2。
【産業上の利用可能性】
【0045】
ここで開示するフルハーネス型墜落制止器具は、電気工事、通信工事、建設工事及び土木工事等の作業に広く使用されうる。
【符号の説明】
【0046】
2、52・・・フルハーネス型墜落制止器具
4・・・フルハーネス
6・・・胴ベルト
12・・・肩ベルト
14・・・腿ベルト
22・・・連結具
22B・・・裏面
22F・・・表面
26・・・上プレート
26C・・・回り止め孔
28・・・下プレート
30・・・ベルトホルダ
30B・・・回り止め
30C、30D・・・係合爪
32・・・道具掛け
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7