(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062634
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】製氷装置および製氷装置の改修方法
(51)【国際特許分類】
F25C 1/145 20180101AFI20230426BHJP
【FI】
F25C1/145 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172740
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】中島 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】阿部 仁志
(72)【発明者】
【氏名】福地 渉
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製氷面に向かって水を散水する散水部に残る水の凍結を防止することにより、間欠的な運転であっても、円滑な製氷を可能とする製氷装置を提供する。
【解決手段】製氷面上で製氷する製氷装置において、製氷面に向かって水を散水する散水部を有し、前記散水部は、下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部154が前記製氷面に臨む散水ノズル156を有し、前記散水ノズル156の先端部154は、前記散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされている、ことを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷面上で製氷する製氷装置において、
製氷面に向かって水を散水する散水部を有し、
前記散水部は、下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部が前記製氷面に臨む散水ノズルを有し、
前記散水ノズルの先端は、前記散水ノズルの延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされている、
ことを特徴とする製氷装置
【請求項2】
前記散水ノズルの先端部は、散水ノズルの延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとされる、請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記散水ノズルの先端部における流出開口は、楕円状であり、長軸が下向きとされる、請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記傾斜角度は、20度以上30度以下である、請求項2または3に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記製氷面は、円筒体の内周面または外周面であり、前記散水部は、該円筒体と同心状の環状体であり、それぞれ、該環状体の外周面に、円周方向に所定角度間隔を隔てて、複数の散水ノズルが放射状に外方に向かって延びるように設けられている、請求項1に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記製氷装置は、製氷面に形成される薄氷層を製氷面から剥離する方式がブレード式および/又はリーマ式である、請求項5に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記散水ノズルの内表面の材質は、散水ノズル配管の内径、ノズル傾斜角、および内面粗さに応じて、所望の撥水性または親水性を奏するように選択される、請求項6に記載の製氷装置。
【請求項8】
製氷面上で製氷する製氷装置であって、
製氷面に向かって水を散水する散水部を有し、
前記散水部は、下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部が前記製氷面に臨む散水ノズルを有する製氷装置において、
前記散水ノズルの先端部を、前記散水ノズルの延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットする、
ことを特徴とする製氷装置の改修方法。
【請求項9】
前記散水ノズルの先端部を、散水ノズルの延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとする、請求項8に記載の製氷装置の改修方法。
【請求項10】
前記傾斜角度は、20度以上30度以下である、請求項9に記載の製氷装置の改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷装置および製氷装置の改修方法に関し、より詳細には、製氷面に向かって水を散水する散水部に残る水の凍結を防止することにより、間欠的な運転であっても、円滑な製氷を可能とする製氷装置、および既存の製氷装置において、製氷面に向かって水を散水する散水部に残る水の凍結を防止することにより、間欠的な運転であっても、円滑な製氷を可能とする製氷装置の改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、氷を製造するのにリーマ式の製氷方法が用いられてきた。
リーマ式の製氷装置は、内周面または外周面を製氷面とする略円筒状の製氷シリンダと、製氷シリンダの内周面または外周面に向けて氷を形成する水を散水供給する散水部と、製氷シリンダの下側に配設されて、製氷シリンダで凍結せずに流下した水を受止めて貯留する貯留部と、製氷シリンダの内周面または外周面に沿って移動しつつ氷を割るリーマとを備え、リーマは、略円柱状の回動軸の周囲に刃先を螺旋状配置とされる割氷用の複数の刃を有し、リーマの製氷シリンダの回転軸線まわりの公転および/または回動軸まわりの自転により、製氷面に形成される氷薄層を剥がすことが可能なようにしている。
散水部は、製氷シリンダの内周面または外周面である製氷面に向けて下方に傾斜し、水を散水する散水ノズルを有し、散水ノズルの先端部である流出開口について、散水ノズルの延び方向に対して略直交する向きの断面が、たとえば、散水ノズルが円形断面のホースであれば、円形状に形成されている。
【0003】
このようなリーマ式の製氷装置を利用する方法は、凍結により氷を形成するのに用いる給水の温度、給水を凍結するのに用いる冷媒の蒸発温度、および環状に形成される氷層の内周面に対して、氷層と同心状に回転可能な刃を食い込ませてフレーク状氷片を剥離させるリーマの回転数を調整することによりフレーク状氷片を製氷する方法である。
製氷されたフレーク状氷片である氷片は、通常、たとえば、砕氷装置を用いて砕氷されて、所定粒径の氷粒とされて、利用されてきた。
たとえば、従来から、完成モデルの車両を室内に置き、さまざまな自然環境・気象条件を設定し、車両への負荷をデータとして収集し、分析するための環境試験室が用いられている。
その一例として、環境試験室内で人工雪により吹雪を模擬して、吹雪を車両に向かって吹き出し、エンジンルーム内への雪の混入による不具合問題、足回り部品の凍結等の着氷問題に対処することが行われている。
【0004】
このため、環境試験室は、車両が配置され、吹雪を車両に向かって吹き出すのに十分なスペースの風洞と、吹雪発生装置とを有する。
吹雪発生装置は、フレーク状の氷片を製造する製氷機と、製造されたフレーク状の氷片を所定粒径の氷粒に砕氷する砕氷機と、砕氷された所定粒径の氷粒により模擬された人工雪を風洞内に搬送する配管と、配管の先端に設置され、車両の前部に向かって吹き出す吹き出しノズルとを有する。
このような環境試験室によれば、吹雪発生装置を利用して、風洞内において、吹雪を車両に向かって吹き出すことにより、自然環境・気象条件を模擬した環境試験を行うことが可能である。
【0005】
このとき、適正かつ有効な環境試験を行うには、自然状態の吹雪を模擬する必要があり、特に、吹雪の車両への付着性を再現する観点から、吹雪を構成する雪の温度および粒径、さらには試験に必要な雪の量の確保が重要であるとともに、製氷機により製氷される氷片に基づいて生成される人工雪の雪質の変容を防止するのに、製氷機による製氷は、試験を行う際に、その場で必要な量を製氷することが要求される。
従来の製氷機において、このような製氷機による製氷、製氷の停止の繰り返し、すなわち、間欠運転に伴い、以下のような技術的問題が引き起こされる。
【0006】
すなわち、環境試験においては、製氷機による製氷は、試験を行う際に、その場で必要な量を製氷することが要求され、製氷機の間欠運転の際、製氷機による製氷の停止に伴い、散水ノズルから製氷面への散水が停止され、散水ノズルの流出開口をなす先端部において、水の表面張力によって溜まろうとする水の付着力に起因して、散水ノズルの流出開口をなす先端部内に残水し、散水ノズルの先端部が氷点下であれば、残水が凍結し、散水ノズルの閉塞が引き起こされ、運転再開の際、製氷を円滑に始めることが困難となる。
この場合、製氷機による製氷を停止するとしても、散水ノズルから製氷面への散水は継続し、製氷面から落下する水を散水ノズル側に戻し、循環させる方策もあり得るが、そのために追加の設備が必要となり、コスト増となる。
なお、このような技術的問題点は、物理的な剥離によるリーマ式の製氷方法に限定される問題でなく、散水ノズルからの給水を冷媒により冷却することにより、製氷面に薄氷層を形成し、それを製氷面から脱氷させて、氷片を生成する限りにおいて、共通の問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、製氷面に向かって水を散水する散水部に残る水の凍結を防止することにより、間欠的な運転であっても、円滑な製氷を可能とする製氷装置を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、既存の製氷装置において、製氷面に向かって水を散水する散水部に残る水の凍結を防止することにより、間欠的な運転であっても、円滑な製氷を可能とする製氷装置の改修方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明の製氷装置は、
製氷面上で製氷する製氷装置において、
製氷面に向かって水を散水する散水部を有し、
前記散水部は、下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部が前記製氷面に臨む散水ノズルを有し、
前記散水ノズルの先端は、前記散水ノズルの延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされている、構成としている。
【0009】
以上の構成を有する製氷装置によれば、温度管理された製氷面への散水により、製氷面上に氷の薄層を形成し、氷の薄層を製氷面から剥離することにより、フレーク状またはプレート状氷が製氷されるところ、製氷面への散水は、製氷面に向かって下方に傾斜する散水ノズルにより行われる。
たとえば、人工雪を利用した環境試験において、種々の条件で試験対象物に対して人工雪を供給する場合、製氷装置を間欠運転して、製氷する必要があるところ、散水部から散水される水を製氷面上で凍結させることにより製氷して、製氷された氷を利用して人工雪として試験対象物に対して供給し、製氷された氷を利用して人工雪として試験対象物に対して再び供給する場合までの時間間隔の間に、散水部の残水が凍結し、場合により散水部が閉塞され、次に製氷する際、散水自体が不能、困難となり得るところ、散水部が下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部が製氷面に臨む散水ノズルを有し、散水ノズルの先端が、散水ノズルの延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされていることから、水の表面張力によって溜まろうとする水の付着力を低下させ、以て、残水量を低減し、散水部の残水が抑制されることにより、このような事態を防止することにより、円滑な製氷を可能となる。
【0010】
また、前記散水ノズルの先端部は、散水ノズルの延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとされるのがよい。
さらに、前記散水ノズルの先端部における流出開口は、楕円状であり、長軸が下向きとされるのがよい。
さらにまた、前記傾斜角度は、20度以上30度以下であるのがよい。
【0011】
また、前記製氷面は、円筒体の内周面または外周面であり、前記散水部は、該円筒体と同心状の環状体であり、それぞれ、該環状体の外周面に、円周方向に所定角度間隔を隔てて、複数の散水ノズルが放射状に外方に向かって延びるように設けられているのがよい。
さらに、前記製氷装置は、製氷面に形成される薄氷層を製氷面から剥離する方式がブレード式であるのがよい。
さらにまた、前記製氷装置は、製氷面に形成される薄氷層を製氷面から剥離する方式がリーマ式であるのでもよい。
加えて、前記散水ノズルの内表面の材質は、散水ノズル配管の内径、ノズル傾斜角、および内面粗さに応じて、所望の撥水性または親水性を奏するように選択されるのがよい。
【0012】
上記課題を達成するために、本発明の製氷装置の改修方法は、
製氷面上で製氷する製氷装置であって、
製氷面に向かって水を散水する散水部を有し、
前記散水部は、下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部が前記製氷面に臨む散水ノズルを有する製氷装置において、
前記散水ノズルの先端部を、前記散水ノズルの延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットする、構成している。
ことを特徴とする製氷装置の改修方法。
【0013】
また、前記散水ノズルの先端部を、散水ノズルの延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとするのがよい。
さらに、前記傾斜角度は、20度以上30度以下であるのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明のリーマ式の製氷方法の第1実施形態について、製氷した氷を環境試験に利用する場合を例として、図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
まず、雪環境試験システムについて説明すれば、
図1に示すように、雪環境試験システム10は、氷粒からなる人工雪を利用し、人工雪をその背後からの気流に乗せて吹雪を模擬して、試験供試体である車両Vに向かって吹き付けるように構成され、そのために、吹雪供給システム12と、気流供給システム14とを有する。
特に、氷粒の粒径および水分含有率が主な影響因子である所定の雪質を具備する吹雪を必要量用いて、車両Vに向かって連続的に吹き付ける際、車両Vの高さ全体に拡散し、場合により車両Vの高さ方向に所望の吹雪濃度分布を実現できるようにするために、所定の温度および湿度管理のもとで、人工雪として利用する氷粒群を試験直前に製造して迅速に供給することが要求される。
【0015】
より具体的には、雪環境試験システム10は、試験対象である車両Vを配置する風洞16と、風洞16の上部に配置された低温室18、および低温室18の上部に配置された製氷室20とを有し、製氷室20内には、製氷装置22が配置され、低温室18内には、氷温安定化コンベア24、砕氷機26、ブロアー28、冷却器30、および人工雪の分配装置34が配置され、風洞16内には、湿雪装置32、人工雪の吹き出しノズル36、および吹雪捕集装置38が配置され、概略的には、製氷室20で製氷された氷片を低温室18で砕氷して、氷粒化することにより人工雪を製造し、人工雪を風洞16に向けて圧送して、風洞16内において、湿雪化した人工雪を分配して、低温気流に乗せて吹雪化して、車両Vに向けて吹き付けるように構成している。
【0016】
風洞16は、開放タイプの回流型であり、測定対象である車両を設置する(開放型)測定室300と、第1~第4の4つの屈曲洞302、304、306、308(屈曲部)とを備えて平面視略長方形に形成されている。送風機25で発生した気流は、第2拡散洞310、第3屈曲洞306、第4屈曲洞308、整流洞312(
図1参照)、縮流洞314(
図1参照)を経て、測定室300に開口する吹出し口316(
図1参照)から測定室300に流入し、第1屈曲洞302、第2屈曲洞304の順に流れるようになっている。
送風機25によって送風された気流は、いったん気流全体としての風速(動圧)を低下させて中間洞部における圧力(静圧)を上昇させた後、縮流洞314を通過させることで、測定するのに必要十分な風量(風速)の気流を吹出し口316から測定室300に吹き出すことができるようにしている。
【0017】
これにより、後に説明するように、製氷工程、砕氷工程、分離工程、湿雪工程を経て空気搬送される氷粒が、測定室300内において、その背後からの気流に乗って車両に向かって吹雪として吹き付けられ、送風機25により気流の風速を調整することにより、静止車両でありながら走行車両を模擬できるようにしている。
また、吹雪試験用の回流型風洞16の場合、試験後の雪を分離回収するために、車両Vの下流に、別途雪補修装置38を設けているが、いずれにせよ、雪の重力落下あるいは慣性効果により雪を分離させるのに、車両Vの下流に、敢えて気流を整流させない領域を設けている。
【0018】
吹雪供給システム12は、3系統設けられ、各系統において、砕氷機26と吹き出しノズル36とを接続する雪供給管40、および風洞16内の吸引口42と砕氷機26とを接続する空気ダクト44が設けられ、雪供給管40においては、砕氷機26と吹き出しノズル36との間に、人工雪の分配装置34および湿雪装置32がこの順に接続され、一方空気ダクト44においては、風洞16内の吸引口42と砕氷機26との間に、ブロワ28、冷却器30が接続される。
人工雪の分配装置34を湿雪装置32の上流側に設置するのは、人工雪の分配装置34を下流側に設置すると、湿雪化した雪が分配装置34に送られて、分配装置34内に付着して、詰まりを生じることがあり、それを防止するためである。
【0019】
各系統において、リーマ式製氷装置22は、フレーク状の氷片を製造するいわゆるリーマ式のリーマ式製氷装置22であり、雪環境試験に用いる人工雪の全体必要量に応じて、フレーク状氷片を製造する複数のリーマ式製氷装置22のうちから任意台数を選択して、環境試験に用いる人工雪の必要量の変化に応じて、選択したリーマ式製氷装置22により製氷することにより、単位時間当たり製氷量を粗調整するとともに、環境試験に用いる人工雪の必要量の変化に対して、人工雪の必要量と粗調整された単位時間当たり製氷量との差分に応じて、選択したリーマ式製氷装置22それぞれにおいて、蒸発温度および/または水温および/またはリーマの回転数を調整することにより、単位時間当たり製氷量を微調整する制御装置(図示せず)を有する。制御装置は、環境試験に用いる人工雪の全体必要量に対する製氷機の必要台数のテーブルおよび環境試験に用いる人工雪の必要量の変化テーブルを、たとえばデータベースとして有するのが好ましい。
リーマ式製氷装置22において、従来のように、試験前に予め製氷して、氷粒状に砕氷した氷を作り貯めしておくと氷質が時間経過とともに変化してしまい、精確な試験を行うのが困難となることから、このような作り貯めをする必要なく、一方で、リーマ式製氷装置22で、リーマによりフレーク状氷片として作るとしても、フレーク状氷片同士がくっ付いてしまい、くっ付いた氷片を分離するのが煩雑であることから、試験を行う時点で製氷準備が完了しており、試験中に迅速かつ連続して製氷することが可能な機能を有することが必要である。
【0020】
そのために、氷の材料である循環水を冷媒により冷却する際、通常、水道水を利用することから、試験の開始に合わせて循環水を循環させておくことにより、たとえば約15℃の水道水から安定して0℃ないし数℃の水となるようにならし運転をしておき、試験開始とともに、リーマ回転数により剥離サイクルを調整しながら、連続的に製氷することが可能となるようにしている。
なお、氷の材料である水の温度は、従来既知の方法で、調整可能としている。
【0021】
より具体的には、
図2に示すように、リーマ式製氷装置22は、従来既知のタイプであるが、内周面を製氷面150とする略円筒状の製氷シリンダ102と、製氷シリンダ102の内周面に向けて水を散水供給して、氷を形成する散水部104と、製氷シリンダ102の下側に配設されて、製氷シリンダ102で凍結せずに流下した水を受止めて貯留する貯留部106と、製氷シリンダ102の内周面に沿って移動しつつ氷を割るリーマ108とを備える。
【0022】
製氷シリンダ102は、伝熱性に優れた内壁と外部に対し断熱状態とされた外壁とを有する二重構造の略円筒体158とされ、内壁と外壁の間には製氷用の冷媒流路110が内蔵され、冷媒の働きにより冷却される内壁の内周面を製氷面150とする。製氷シリンダ102では、冷却された内周面に散水された水が付着して凍結することで、たとえば、厚さ2mm前後の薄い氷を生じさせることができる。
【0023】
製氷シリンダ102の冷媒流路110に導入される冷媒は、一般的な冷凍サイクルに用いられる公知の媒体であり、その詳細な説明は省略する。なお、冷媒の蒸発温度は、たとえば、蒸発圧力調整弁(図示せず)のような従来既知の方法で調整可能としている。
【0024】
リーマ108は、鉛直方向に延びる略円柱状の回動軸171の周囲に刃先を螺旋状配置とされる割氷用の複数の刃112を一体に取付けられてなり、中心軸111から突出するリーマ支持部に回動自在に支持される。リーマ108の刃112と製氷シリンダ102の内周面との最小間隔は、たとえば、氷の厚さより小さい0.4ないし0.5mm程度に設定可能にしている。このように、リーマ108は、製氷シリンダ102の中心線を中心に公転しつつ、中心軸111を中心に自転しながら、製氷面150に形成される薄氷層Lを剥離するようにしてある。なお、リーマ108の、駆動モーター173による公転軸115を中心とする公転による回転速度が、リーマによるフレーク状氷片の剥離サイクルを構成するが、従来既知の方法で、この回転速度を調整可能としている。
【0025】
このリーマ108の各刃112における刃形は、螺旋状の曲線に沿う単純な直刃形状とされ、リーマ108における刃112の数を変えて刃112と氷との接触の間隔を調整することで、氷の大きさを粒状から塊状まで変化させることができる。
【0026】
散水部104は、製氷シリンダ102の上方に配置され、回転軸171と同心状に配置される環状体162と、外部に配置される水貯留タンク168と、水貯留タンク168と環状体162とを連通接続する水供給管170と、製氷シリンダ102の下方スペースと水貯留タンク168とを連通接続する水回収管(
図2において、水貯留タンク168の背後に位置)とから概略構成され、水供給管170と水回収管を介して、環状体162と水貯留タンク168との間で、製氷の材料である水を循環させるように構成している。なお、水供給管170または水回収管には、水を循環させるのに液送ポンプ169が設けられている。
環状体162は、中空部163を有し、そこに回転軸171が貫通し、回転軸171の回転により、回転軸171の軸線を中心に回転可能なように、回転軸171に対して連結され、環状体162の内部には、水を充満する内部スペース165が形成されている。
図3に示すように、環状体162の外周面160には、複数の散水ノズル156(図面上、11機)が、円周方向に所定角度間隔を隔てて、放射状に外方に向かって延びるように設けられる。
より具体的には、外周面160の円周方向に所定角度間隔を隔てて複数の円形開口が設けられ、各円形開口に、管状の散水ノズル156の端部が差し込まれ、環状体162の内部と、複数の散水ノズル156とが連通接続されている。外周面160に対する散水ノズル156の固定は、環状体162および散水ノズル156が金属製である場合、たとえば、溶接でもよい。
図4に示すように、製氷シリンダ102の内周面である製氷面150に向かって、下方に傾斜するように設けられており、環状体162の内部スペース内の水が、複数の散水ノズル156それぞれを介して、製氷シリンダ102の内周面である製氷面150に向かって、散水され、製氷面150を流下するようにしている。傾斜角度αは、複数の散水ノズル156の各々から製氷面150に向かって散水される水の製氷面150における広がり範囲を考慮して設定するのが好ましい。
【0027】
散水ノズル156の先端部154は、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされている。特に、散水ノズル156の先端部154は、散水ノズル156の延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとされるのが好ましい。
図5に示すように、円形断面の散水ノズル156の先端部154における流出開口152は、楕円状であり、長軸l1が下向きとされる。
傾斜角度Θは、20度以上30度以下であるのが好ましい。20°未満では、散水ノズルから水が落下し製氷時、結氷面に一様に水をかけられない場合があり、さらに開口部が大きすぎると水の勢いが弱まり結氷面での広がりが小さくなり効率的な製氷が行えず、30°を超えると、 残水が生じる可能性が高まる。なお、散水ノズル156の先端部154の内周面を撥水性コーティングするのでもよく、これにより、傾斜角度Θを30°以上に設定するのも可能である。
回転軸171が1回転する間、すなわち、リーマ刃112および環状体162が公転する間に、複数の散水ノズル156から散水される水により薄氷層Lが形成され、形成された薄氷層Lがリーマ刃112の自転によりフレーク氷として剥離されるように構成しており、回転軸171を回転駆動する間は、複数の散水ノズル156からの散水を継続するようにしている。
【0028】
以上の構成によれば、回転軸171がモータにより回転駆動されることにより、リーマ刃112が自転をしつつ、回転軸171の中心軸まわりに公転するとともに、製氷シリンダ102も同様に、回転軸171の中心軸まわりに公転しながら、複数の散水ノズル156それぞれから、製氷面150に向かって散水し、製氷面150全体に亘って水が流下することにより、製氷面150に形成される薄氷層Lがリーマ刃112により製氷面150から、フレーク状氷として剥離され、下方に落下し、回収可能になっている。
【0029】
複数の散水ノズル156の下方への傾斜角度αは、一様である必要は必ずしもなく、製氷面150の上部から散水することにより、製氷面150の高さ方向全体に亘って水を流下することが可能である限り、傾斜角度が異なってもよい。
複数の散水ノズル156の先端部154の最下方突出部と製氷面150との間のクリアランスd(
図4)は、少なくとも、製氷面150に直接接触しないように設定する必要があり、特に製氷面150上に形成される薄氷層Lの厚みを想定して、設定するのがよく、製氷面150に形成される薄氷層Lの上面との間にクリアランスを確保するようにしてもよい。
製氷装置を停止する間の複数の散水ノズル156の先端部154に残る水の凍結を防止するのに、複数の散水ノズル156それぞれの先端部154を斜めにカットしているところ、回転軸171の回転駆動を停止しながら、環状体162と水貯留タンク168との間における水の循環継続を併用してもよく、それにより、散水ノズル156の先端部154に残水があっても、その凍結をより確実に防止することが可能となる。
製氷装置22により製氷する際、複数の散水ノズル156すべてを利用して、製氷面150に向かって散水するものとして説明したが、それに限定されることなく、製氷される氷質向上の観点から、蓋をする等により間引いて利用して、乾いた薄氷層Lを形成するのでもよい。
【0030】
複数の散水ノズル156それぞれは、一定径の直管状であるものとして説明したが、それに限定されることなく、製氷面150に向かって一定流量の水が散水可能である限り、先端部154に向かって縮径であったり、拡径であったりするテーパ状の管であってもよい。
複数の散水ノズル156の環状体162の外周面160に設ける数は、
図3に示すように、11基であり、リーマ刃112を設けるスペース174を確保する部分以外は、周方向に隣接する散水ノズル156同士の角度間隔は、等角度間隔としている。
複数の散水ノズル156の環状体162の外周面160に設ける数、すなわち、周方向に隣接する散水ノズル156同士の角度間隔は、複数の散水ノズル156により、製氷面150全体に亘って水が流下することにより、製氷面150全体に亘って、薄氷層Lが形成される限り、適宜設定すればよく、周方向に隣接する散水ノズル156同士の角度間隔が一様である必要もない。
【0031】
複数の散水ノズル156からの散水流量は、複数の散水ノズル156により、製氷面150全体に亘って水が流下することにより、製氷面150全体に亘って、薄氷層Lが形成される限り、適宜設定すればよく、複数の散水ノズル156の環状体162の外周面160に設ける数、すなわち、周方向に隣接する散水ノズル156同士の角度間隔に応じて、1つの散水ノズル156から製氷面150に散水されて流下することによりカバーされる製氷面150の周方向の角度範囲も考慮して、設定するのがよい。
【0032】
本実施形態において、新規な製氷装置22として、散水ノズル156の先端部154を、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットするものとして説明したが、それに限定されることなく、既存の製氷装置22に対して、散水ノズル156の先端部154を改造し、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットするのでもよく、特に、散水ノズル156の先端部154を、散水ノズル156の延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとするのがよく、傾斜角度は、20度以上30度以下であるのが好ましい。
【0033】
これにより、改造前は、製氷された氷を利用して人工雪として試験対象物に対して再び供給する場合までの時間間隔の間に、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞され、次に製氷する際、散水自体が不能、困難となり得るところ、改造後は、散水部104が下方に向かって傾斜し、流出開口152を含む先端部154が製氷面150に臨む散水ノズル156を有し、散水ノズル156の先端部154が、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされていることから、水の表面張力によって溜まろうとする水の付着力を低下させ、以て、残水量を低減し、散水部104の残水が抑制されることにより、このような事態を防止することにより、円滑な製氷を可能となる。
散水ノズル156の内表面の材質は、散水ノズル156配管の内径、ノズル傾斜角、および内面粗さに応じて、所望の撥水性または親水性を奏するように材質を選択する。撥水性を高めれば、散水ノズル156内に残水しにくい状態が形成される一方、親水性を高めれば、水の滑水性が向上することから、散水ノズル156内に残水するとしても、散水ノズル内で残水が円周状に蓋がされたようにブリッヂ化した状態での凍結を抑制することが可能となる。
平滑管、溝付、ディンプル凹凸構造等の内面粗さに応じて、撥水性を高めるのか、親水性を高めるのかを選択するのでもよい。
たとえば、撥水性を高めるのであれば、フッ素系、親水性を高めるのであれば、プラズマ処理金属、樹脂でよく、コーティングでもよい。
【0034】
リーマ式製氷装置22の製氷作用について、あらかじめ、氷を必要としない状況においても、冷媒を冷媒流路110に供給することにより、水が凍結する程度に製氷シリンダ102の内周面を十分冷却するとともに、散水部104により製氷面150に水を散水供給することにより、製氷面150に円筒状の薄氷層Lを形成しておく。より詳細には、試験を行う時点で製氷準備が完了しており、試験中に迅速かつ連続して製氷することが可能である。氷が必要な状況となったら、可動部分を回転させると共に、上部の散水部104に外部から水を導入する。水は散水部104の各孔を経て製氷シリンダ102の内周面に沿って流下する。製氷シリンダ102の冷却された内周面に接した水の大部分は凍結し、内周面に氷として付着した状態となる。一方、凍結しなかった残りの水は流下して製氷シリンダ102の下端に達し、貯留部106に達する。この貯留部106に一時的に貯留された水は、ポンプや配管等を介して散水部104に戻るようにしている。
【0035】
このように、本実施形態に係るリーマ式製氷装置22においては、冷却されると共に水の供給を受けて内周面に氷を生じさせる製氷シリンダ102に対し、その内周面の近傍を移動するリーマ108を配設し、リーマ108で内周面の氷を割り、内周面から剥がすことにより、氷を割り剥がすリーマ108と製氷シリンダ102の内周面とを接触させずに、製氷することが可能である。
【0036】
次に、氷温安定化コンベア24は、コンベア上で搬送するフレーク状氷片に対して気流を強制通風して、フレーク状氷片と空気との熱交換量を増大させることにより、フレーク状氷片の温度を強制通風の周囲空気温度に近くに維持するようにしている。
【0037】
砕氷機26は、主に、上部に配置されたロータリーフィーダー(図示せず)と、下部に配置された一対の砕氷ドラム(図示せず)とからなり、氷温安定化コンベア24により供給された氷片をロータリーフィーダーにより分量化して一対の砕氷ドラムに供給し、一対の砕氷ドラムにより砕氷して、所定粒径の氷粒として雪供給管40に供給するようにしている。
【0038】
人工雪の分配装置34は、雪供給管40により搬送される人工雪を複数の分岐管(図示せず)に分配するのに用いられ、より具体的には、同じレベルの吹き出しノズル36が車両Vの幅方向に複数設けられるように、各系統における雪供給管40は、車両Vの幅方向に複数の分岐管に分岐され、各分岐管ごとに湿雪装置32が設けられ、各分岐管の先端部154に、吹き出しノズル36が設けられる。
【0039】
人工雪の分配装置34は、上流側端面および下流側端面それぞれが雪供給管40の下流側端面および複数の分岐管それぞれの上流側端面と平行に配置された回転体(図示せず)と、回転体をその軸線方向を中心に所定回転速度で回転させる回転駆動部(図示せず)とを有し、回転体はその内部に、回転体を軸線方向に貫通する圧送流路(図示せず)を有し、圧送流路は、上流側端面に、雪供給管40の下流側端面に設けられる流出開口152(図示せず)に近接対向して非接触式に配置される取り入れ口(図示せず)を備え、下流側端面に、複数の分岐管それぞれの上流側端面に設けられる流入開口(図示せず)に近接対向して非接触式に配置される排出口(図示せず)とを備え、排出口は、回転体の回転による排出口の通過軌跡上に複数の分岐管それぞれの流入開口が位置するように設けられる。
【0040】
湿雪装置32は、雪供給管40に連通するホットエア供給管(図示せず)を有し、ホットエア供給管は、その下流側端部に、雪供給管40の延び方向の所定長さに亘って雪供給管40の外周面164全体を覆う環状スペースを形成するホットエア流入部(図示せず)を有し、環状スペースに覆われる雪供給管40の外周面164には、ホットエアの流入開口(図示せず)が均等に複数設けられ、それにより、雪供給管40のホットエア流入部が付設される部位の下流側において、雪供給管40内にエージングスペース(熱交換熟成領域)が形成され、そこにおいて湿雪化されるようにしている。
【0041】
気流供給システム14について、風洞16は、循環スペースの一部に形成され、車両Vの前方から後方に向かって一方向に車両Vの車高に亘って吹雪を吹き付けるように構成される。具体的には、循環スペース内に設置された送風機25により車両Vの前方から後方に向かって一方向に所定風速の気流を発生し、車両Vを通過して気流は冷却器27により所定温度に冷却されて、送風機25に戻され、再度気流を発生し、これを繰り返すようにしている。
【0042】
吹雪の発生装置に関し、吹き出しノズル36について、車両Vの前方所定距離の位置に、車両Vの車高に亘って高さ方向に所定間隔を隔てて、3機の吹雪の吹き出しノズル36が配置され、各吹き出しノズル36ごとに、供給する吹雪の濃度を調整可能にしている。車両Vの後方所定距離の位置には、雪捕集装置38が配置され、雪捕集装置38を通過した吹雪は、風洞16内の吸引口42を介して低温室18内に配置されたブロアー28により引かれ、冷却器30により冷却され、砕氷機26に戻され、リーマ式製氷装置22により製氷され氷温安定化コンベア24により砕氷機26に供給され砕氷される氷粒と混合され、再び雪供給管40を介して吹き出しノズル36から吹雪を吹き出すのに利用されるようにしている。吹き出しノズル36は、気流の進行方向に沿って配置され、送風機25から吹き出される気流の帯域内に吹き出し口102が設置される。
この点、吹雪は、ブロアー28による圧送空気により各吹き出しノズル36から吹き出される雪が、送風機25から吹き出される気流に乗って車両Vに向かって吹き付けられるところ、圧送空気の圧送速度は、雪供給管40内での雪の詰まりを生じない限り、なるべく低速であるのが好ましく、吹雪の速度は、送風機25から吹き出される気流により模擬するのが好ましい。
より詳細には、吹雪が拡散プレート74(後に説明)により拡散されて車両Vに向かって吹き付けられる際、圧送空気の圧送速度が高いと、吹き出しノズル36の部分の吹雪のみ吹雪の速度が高くなり、自然の吹雪から逸脱する一方、送風機25から吹き出される気流の速度を変えることにより、拡散される吹雪全体の速度を一様に変動させることが可能であり、特に静止車両Vにより、走行車両を模擬する場合に、送風機25から吹き出される気流の速度を変動させるのが有利である。
【0043】
図1に示すように、各吹き出しノズル36の前方には、拡散プレート74が設けられ、吹き出しノズル36から送風機からの低温気流に乗って車両Vに向かって吹き出される吹雪は、拡散プレート74に当って四方外方に拡散し、3機の吹雪の吹き出しノズル36が互いに協働して、車両Vの前部において、車両Vの高さ方向に亘って、吹雪が分布するようにしている。
この点で、風洞16は、いわゆる空力風洞16でなく、簡易的な風洞16とすることから、吹き出しノズル36と車両Vの前部との距離は、約1メートルないし3メートルであるところ、この短い距離の間で、吹き出しノズル36より吹き出す吹雪が、車両Vの前部において高さ全体に亘って拡散するようにしている。
吹き出し口102は、車両Vの高さ全体に亘ってカバーするように高さ方向に間隔を隔てて、複数設けられ、各々の吹き出し口102から吹き出される雪の量を互いに独立に調整可能とし、車両Vの高さに応じて、吹雪の濃度分布を調整可能とした。
【0044】
拡散プレート74の吹き出し口102に向く側には、対向面104が設けられ、対向面104は、吹き出し口102の外であって、気流の進行方向前方の所定位置に配置され、それにより、吹き出し口102から吹き出され、気流に乗って気流進行方向に沿って発生する吹雪が、対向面104に当って偏向され、対向面104の四方外方に向かって拡散するようにしてある。
吹雪は、風洞内に配置された静止車両に向かって吹き出され、静止車両に対して環境試験を行うのに用いられ、吹き出し口102と車両Vとの間隔D2が、1ないし3メートルであり、吹雪が車両Vに到達する際、吹雪の空間濃度分布がほぼ均一となるように、吹き出し口102と車両Vとの間隔D2、および吹き出し口102背後からの気流速度に応じて、対向面104の大きさが定められる。
【0045】
特に、3系統の吹き出しノズル36について、高さ方向に所定の間隔を隔てて配置し、たとえば、分配された湿雪それぞれにおいて、単位時間当たりの供試体に向かう吹雪の量を調整することにより、下方のノズルほど、吹き出される吹雪の濃度を高くなるように設定することで、道路に積もった雪の上を前方の車両が通過することにより吹雪が発生する場合には、車両の高さ方向の吹雪の濃度分布は、道路に近いほど高いことから、このような状況を模擬したり、あるいは自然界における吹雪の濃度分布は地表に近いほど濃いのが一般的であることから、このような状況を模擬することが可能なようにしている。
【0046】
以上の構成を有する雪環境試験システムについて、雪環境試験方法を含め、以下にその作用を説明する。
雪環境試験方法は、吹雪供給システムについて、各系統において、リーマ式製氷装置22によるフレーク状氷片の製氷段階、砕氷機による氷粒への砕氷段階、砕氷された氷粒を圧送しながら、分配装置により分配する分配段階、分配されたそれぞれの氷粒を湿雪装置により湿雪化する湿雪化段階、湿雪化された氷粒の吹き出しノズル36からの吹き出し段階、および拡散プレート74による吹雪の拡散段階を経る一方、気流供給システムについて、各系統の吹き出しノズル36から吹き出される吹雪を背後からの気流に乗せて車両に向かって吹き付けるのに、送風機により気流を供給する段階を有する。
【0047】
この場合、まず、雪環境試験システムにおける試験スケジュール、特に必要となる単位時間当たり製氷量のスケ―ジュール、高さ方向の吹雪の濃度分布、および人工雪の雪質(氷粒径、水分含有率を含む)に応じて、リーマ式製氷装置22においては、冷媒の蒸発温度、水温およびリーマ108の回転数を設定し(この点は、以下に詳細に説明する)、砕氷機においては、一対の砕氷ドラム間の最狭部の間隔設定をし、湿雪装置においては、圧送気流の温度、流量に応じて、ホットエアの温度、湿度および流量を設定し、分配装置においては、回転体の回転数を設定し、拡散プレート74においては、吹き出しノズル36からの間隔を調整しておく。
【0048】
特に、リーマ式製氷装置22によるフレーク状氷片の製氷段階について、
図6に示すように、リーマ式製氷装置22の稼働台数に応じて、単位時間当たり製氷量の最小量および最大量が明確とされ、稼働台数に応じた単位時間当たり製氷量の可変範囲が予め把握されている。一方で、雪環境試験において予め製氷スケジュールが定められ、
図7に示すように、必要とされる単位時間当たり製氷量が増大するとする。
すなわち、試験当初(フェイズA)はリーマ式製氷装置22を2機稼働する単位時間当たり製氷量で足り、試験経過とともに、リーマ式製氷装置22が2機分(フェイズB)、リーマ式製氷装置22が4機分(フェイズC)、最終的にリーマ式製氷装置22が5機分(フェイズD)が必要となるとする。
【0049】
この稼働台数に応じた単位時間当たり製氷量の可変範囲に基づいて、製氷スケジュールを考慮して、各系統が有するリーマ式製氷装置22のうち5機を予め選択して、5機それぞれについて、試験開始とともに、リーマ108による剥離により製氷が可能となるように、冷媒を循環させて、氷結される水の水温を所望温度にしたうえで円筒状の薄氷層Lを形成しておく。
その際、円筒状の薄氷層Lを形成後、フェイズAの試験開始までの間、リーマ式製氷装置22の5機すべて、あるいは一部について、製氷機の駆動を停止、すなわち、回転軸171の回転駆動を停止して、リーマ刃112および散水部104の環状体162の回転軸171の軸線を中心とする回転を停止するとともに、散水部104における水貯留タンク168と環状体162の水の循環を停止するとしても、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞され、フェイズAの試験開始の際、散水自体が不能、困難となり得るところ、散水部104が下方に向かって傾斜し、流出開口152を含む先端部154が製氷面150に臨む散水ノズル156を有し、散水ノズル156の先端部154が、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされていることから、水の表面張力によって溜まろうとする水の付着力を低下させ、以て、残水量を低減し、散水部104の残水が抑制されることにより、このような事態を防止することにより、円滑な製氷を可能となる。
【0050】
まず、フェイズAにおいては、試験開始とともに、各系統において、リーマ式製氷装置22の2機において、リーマ108のリーマ回転数により氷層からフレーク状氷片を製氷する。この場合、リーマ式製氷装置22の2機の最大単位時間当たり製氷量より必要量が少ないので、たとえば、1機のリーマ式製氷装置22においては、リーマ108における剥離サイクルを構成するリーマ回転数を最大として、最大単位時間当たり製氷量を製氷するとともに、もう1機のリーマ式製氷装置22においては、リーマ108のリーマ回転数を低減することにより、単位時間当たり製氷量を抑制することにより、リーマ式製氷装置22の稼働台数による粗制御とともに、リーマ式製氷装置22の製氷パラメータによる微制御により、試験に必要な単位時間当たり製氷量をその場で必要な時に即座に製氷することが可能である。
この際、リーマ式製氷装置22の残りの3機について、製氷機の駆動を停止、すなわち、回転軸171の回転駆動を停止して、リーマ刃112および散水部104の環状体162の回転軸171の軸線を中心とする回転を停止するとともに、散水部104における水貯留タンク168と環状体162の水の循環を停止するとしても、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞され、次に製氷する際、散水自体が不能、困難となり得るところ、散水部104が下方に向かって傾斜し、流出開口152を含む先端部154が製氷面150に臨む散水ノズル156を有し、散水ノズル156の先端部154が、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされていることから、水の表面張力によって溜まろうとする水の付着力を低下させ、以て、残水量を低減し、散水部104の残水が抑制されることにより、このような事態を防止することにより、円滑な製氷を可能となる。
なお、製氷されたフレーク状氷片は、砕氷機26において砕氷されて氷粒とされ、氷粒は雪供給管40を通じて気流により圧送され、分配装置34により複数の分岐管に分配され、分岐管それぞれにおいて湿雪装置32により湿雪化され、各分岐管の先端部154に設けられた吹き出しノズル36から吹き出しノズル36の背後からの低温気流に乗せて吹き出され、吹雪は拡散プレート74により拡散されて車両に向かって吹き付けられ、種々の環境試験に利用される。なお、単位時間当たり製氷量の制御を行う場合に、環境試験に用いる人工雪の全体必要量に対する製氷機の必要台数のテーブルおよび環境試験に用いる人工雪の必要量の変化テーブルを、たとえばデータベースとして作成し、制御を行ってもよい。
【0051】
次いで、フェイズBにおいては、リーマ式製氷装置22の2機を稼働する必要があるが、フェイズAに比べて、リーマ式製氷装置22の2機分の最大単位時間当たり製氷量からの低減量が減少することから、もう1機のリーマ式製氷装置22においては、リーマ108のリーマ回転数をフェイズAに比べて増大することにより、単位時間当たり製氷量を調整する。
【0052】
次いで、フェイズCにおいては、リーマ式製氷装置22の4機を稼働する必要があるが、リーマ式製氷装置22の3機分をフル稼働して、最大単位時間当たり製氷量を製氷するとともに、もう1機のリーマ式製氷装置22においては、リーマ108のリーマ回転数を低減することにより、単位時間当たり製氷量を調整する。
この際、リーマ式製氷装置22の残りの1機について、同様に、回転軸171の回転駆動を停止して、リーマ刃112および散水部104の環状体162の回転軸171の軸線を中心とする回転を停止するとともに、散水部104における水貯留タンク168と環状体162の水の循環を停止するとしても、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞されるのを防止可能である。
【0053】
最後に、フェイズDにおいては、リーマ式製氷装置22の5機を稼働する必要があるが、リーマ式製氷装置22の4機分をフル稼働して、最大単位時間当たり製氷量を製氷するとともに、もう1機のリーマ式製氷装置22においては、リーマ108のリーマ回転数を低減することにより、単位時間当たり製氷量を調整する。
この際、5機のリーマ式製氷装置22すべてについて、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞されるのを防止していることから、製氷する際、散水自体が即座に行われ、製氷工程の立ち上げを円滑に行うことが可能である。
この場合、各系統において、複数のリーマ式製氷装置22から製氷されるフレーク状氷片は、混合されて環境試験に用いられるところ、氷質が重要な試験の場合には、氷質がなるべく一様となるように、各リーマ式製氷装置22における製氷条件、水温、冷媒の蒸発温度あるいはリーマ108のリーマ回転数は同じであるのが好ましい。
【0054】
以上のように、雪環境試験において必要な単位時間当たり製氷量の変動が予め決定されている場合に、それに応じて、試験開始前に、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞されるのを防止しつつ、複数のリーマ式製氷装置22を製氷準備状態としたうえで、必要となるときに、リーマ式製氷装置22の台数による粗制御と、製氷パラメータの調整による微制御とを併用することにより、たとえば、砕氷後の氷粒状態での貯氷が原因で氷質を変性させることなく、一方で製氷し過ぎることなく、必要な単位時間当たり製氷量をその場でリアルタイムにタイムリーに製造することが可能である。よって、信頼性の高い試験データを取得可能な雪環境試験を行うことに資する。
また、必要な単位時間当たり製氷量の変動が予め決定されている場合に、試験の進捗次第で必要な単位時間当たり製氷量が現場で変動することがあるが、そのような場合であっても、このような粗制御と微制御とを併用することにより、柔軟に対応することが可能である。
【0055】
以上の構成を有する製氷装置22によれば、温度管理された製氷面150への散水により、製氷面150上に氷の薄層を形成し、氷の薄層を製氷面150から剥離することにより、フレーク状またはプレート状氷が製氷されるところ、製氷面150への散水は、製氷面150に向かって下方に傾斜する散水ノズル156により行われる。
たとえば、人工雪を利用した環境試験において、種々の条件で試験対象物に対して人工雪を供給する場合、製氷装置22を間欠運転して、製氷する必要があるところ、散水部104から散水される水を製氷面150上で凍結させることにより製氷して、製氷された氷を利用して人工雪として試験対象物に対して供給し、製氷された氷を利用して人工雪として試験対象物に対して再び供給する場合までの時間間隔の間に、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞され、次に製氷する際、散水自体が不能、困難となり得るところ、散水部104が下方に向かって傾斜し、流出開口152を含む先端部154が製氷面150に臨む散水ノズル156を有し、散水ノズル156の先端部154が、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされていることから、水の表面張力によって溜まろうとする水の付着力を低下させ、以て、残水量を低減し、散水部104の残水が抑制されることにより、このような事態を防止することにより、円滑な製氷を可能となる。
【0056】
さらに、リーマによりフレーク状氷片に砕く前に形成される氷層の最大厚み、および製氷するフレーク状氷片の氷温度を予め設定したうえで、設定した氷層の最大厚みおよび氷温度に応じて、冷媒蒸発温度を一定に維持しつつ、単位時間当たり製氷量の増大とともに、給水温度を低下させながら、リーマ回転数を増大する段階を有することにより、製氷した氷片を砕氷した氷粒を搬送して利用する場合、必要単位時間当たり製氷量を確保可能な限りにおいて、氷片の厚みを一定限度に制限することによりフレーク状氷片を氷粒にする砕氷段階の際、砕氷の障害を生じず、フレーク状氷片の氷温度を調整することにより、氷粒を搬送路により搬送する搬送段階において、搬送路内に製氷された氷粒が付着することで、搬送路を閉塞したり、氷粒同士の付着により氷粒の大径化を生じることなく、所望の氷温度および/または所望の氷厚のフレーク状氷片を効率的かつ円滑に製氷可能である。
【0057】
製氷装置22において、製氷面150の態様および製氷された氷の剥離態様として、種々の変形例が可能である。
すなわち、製氷装置22として、製氷面150を設け、冷媒により冷却された製氷面150に沿って水を流すことにより、製氷面150に薄氷層Lを形成し、製氷面150には接触しない態様で、製氷面150から薄氷層Lを剥離させることにより、フレーク状氷片を得る点で、本実施形態と共通であるが、製氷面150について、本実施形態においては、円筒ドラムの内周面に形成していたが、円筒ドラムの外周面160に形成してもよく、本実施形態においては、リーマを用いて、製氷面150である円筒ドラムの内周面は固定で、リーマを公転および/または自転させることにより、製氷面150からフレーク状の氷片を剥離していたが、固定刃を用いて、製氷面150である円筒ドラムの外周面164を公転させることにより、製氷面150からフレーク状の氷片を剥離してもよい。
また、回転刃を用いて、製氷面150である固定円筒ドラムの外周面164に形成される製氷面150からフレーク状の氷片を剥離してもよい。
いずれにせよ、製氷する際、製氷面150の上部から散水部104の散水ノズル156より水を散水し、流下させる限り、製氷装置22の停止中に、散水部104の残水が凍結し、場合により散水部104が閉塞され、次に製氷する際、散水自体が不能、困難となり得るところ、散水部104が下方に向かって傾斜し、流出開口152を含む先端部154が製氷面150に臨む散水ノズル156を有し、散水ノズル156の先端部154が、散水ノズル156の延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされていることから、水の表面張力によって溜まろうとする水の付着力を低下させ、以て、残水量を低減し、散水部104の残水が抑制されることにより、このような事態を防止することにより、円滑な製氷が可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲内において、当業者であれば、種々の修正あるいは変更が可能である。
本実施形態において、リーマ式の製氷を前提として説明したが、それに限定されることなく、製氷装置は、製氷面に形成される薄氷層を製氷面から剥離する方式がブレード式とリーマ式とを組み合わせた製氷でもよい。
たとえば、本実施形態において、散水ノズルの先端部について、散水ノズルの延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとされ、円形断面の散水ノズルの先端部における流出開口が、楕円状であり、長軸が下向きとされるものとして説明したが、散水ノズルの先端部において、残水の凍結防止可能である限り、それに限定されることなく、長軸が上向きまたは横向きでもよく、流出開口が、楕円状でなくてもよい。
本実施形態において、リーマ式の製氷を前提として説明したが、それに限定されることなく、凍結により氷を形成するのに用いる給水の温度、給水を凍結するのに用いる冷媒の蒸発温度、および環状に形成される氷層の周面にからフレーク状氷片を剥離させる剥離速度を調整することによりフレーク状氷片を製氷する製氷方法において、フレーク状氷片を剥離する前に形成される氷層の最大厚み、および製氷するフレーク状氷片の氷温度を予め設定する段階と、設定した氷層の最大厚みおよび氷温度に応じて、冷媒蒸発温度を一定に維持しつつ、単位時間当たり製氷量の増大とともに、給水温度を低下させながら、剥離速度を増大する段階を有するのでもよく、あるいは、凍結により氷を形成するのに用いる給水の温度、給水を凍結するのに用いる冷媒の蒸発温度、および環状に形成される氷層の周面にからフレーク状氷片を剥離させる剥離速度を調整することによりフレーク状氷片を製氷する製氷方法において、フレーク状氷片を剥離する前に形成される氷層の厚みを予め設定する段階と、氷層の厚みが一定となるように、単位時間当たり製氷量の増大とともに、冷媒蒸発温度を低下させつつ、給水温度を低下させながら、剥離速度を増大する段階を有するのでもよい。
【0059】
たとえば、本実施形態において、環境試験において湿雪を利用するものとして説明したが、それに限定されることなく、砕氷機により氷粒に砕氷する限り、乾き雪でもよい。
たとえば、本実施形態において、リーマ式製氷において、リーマを公転および自転するものとして説明したが、それに限定されることなく、リーマを公転するのみで、公転の回転数を調整するのでもよい。
たとえば、本実施形態において、製氷した氷を環境試験において、吹き出しノズルからの噴雪を背後気流に乗せて吹雪として利用するものとして説明したが、それに限定されることなく、吹き出しノズルからの圧送空気のみにより吹雪として利用するのでもよく、または、製氷した氷を環境試験において自然降雪として利用するのでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明の実施形態に係る環境試験システムの概略全体図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る環境試験システムにおいて、製氷機の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る環境試験システムにおいて、製氷機の環状体の詳細を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る環境試験システムにおいて、製氷機の環状体の散水ノズルの詳細を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る環境試験システムにおいて、製氷機の環状体の散水ノズルの先端部の詳細を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る環境試験システムにおいて、人工雪の単位時間当たり製氷量の粗調整を示すグラフである。
【
図7】本発明の実施形態に係る環境試験システムにおいて、人工雪の単位時間当たり製氷量の微調整を示すグラフである。
【符号の説明】
【0061】
V 車両
α 傾斜角度
Θ 傾斜角度
L 薄氷層
l1 長軸
l2 短軸
10 雪環境試験システム
12 吹雪供給システム
14 気流供給システム
16 風洞
18 低温室
20 製氷室
22 製氷機
24 氷温安定化コンベア
26 砕氷機
28 ブロアー
30 冷却器
32 湿雪装置
34 分配装置
36 吹き出しノズル
38 吹雪捕集装置
40 雪供給管
42 吸引口
44 空気ダクト
102 製氷シリンダ
104 散水部
106 貯留部
108 リーマ
112 刃
110 冷媒流路
111 中心軸
150 製氷面
152 流出開口
154 先端部
156 散水ノズル
158 円筒体
160 外周面
162 環状体
163 中空部
164 外周面
165 内部スペース
166 内表面
168 水貯留タンク
169 液送ポンプ
170 水供給管
171 回転軸
173 駆動モータ
174 スペース
175 ケーシング
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷面上で製氷する製氷装置において、
製氷面に向かって水を散水する散水部を有し、
前記散水部は、下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部が前記製氷面に臨む散水ノズルを有し、
前記散水ノズルの先端は、散水停止時の残水の凍結による前記散水ノズルの閉塞が防止可能なように、前記散水ノズルの延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットされている、
ことを特徴とする製氷装置。
【請求項2】
前記散水ノズルの先端部は、散水ノズルの延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとされる、請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記散水ノズルの先端部における流出開口は、楕円状であり、長軸が下向きとされる、請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記散水ノズルの延び方向に対して斜め下方に傾斜する傾斜角度は、20度以上30度以下である、請求項2または3に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記製氷面は、円筒体の内周面または外周面であり、前記散水部は、該円筒体と同心状の環状体であり、それぞれ、該環状体の外周面に、円周方向に所定角度間隔を隔てて、複数の散水ノズルが放射状に外方に向かって延びるように設けられている、請求項1に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記製氷装置は、製氷面に形成される薄氷層を製氷面から剥離する方式がブレード式および/又はリーマ式である、請求項5に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記散水ノズルの内表面の材質は、散水ノズル配管の内径、ノズル傾斜角、および内面粗さに応じて、所望の撥水性または親水性を奏するように選択される、請求項6に記載の製氷装置。
【請求項8】
製氷面上で製氷する製氷装置であって、
製氷面に向かって水を散水する散水部を有し、
前記散水部は、下方に向かって傾斜し、流出開口を含む先端部が前記製氷面に臨む散水ノズルを有する製氷装置において、
前記散水ノズルの先端部を、散水停止時の残水の凍結による前記散水ノズルの閉塞が防止可能なように、前記散水ノズルの延び方向に対して斜めに傾斜するようにカットする、
ことを特徴とする製氷装置の改修方法。
【請求項9】
前記散水ノズルの先端部を、散水ノズルの延び方向に向かって下向きに傾斜する向きとする、請求項8に記載の製氷装置の改修方法。
【請求項10】
前記散水ノズルの延び方向に対して斜め下方に傾斜する傾斜角度は、20度以上30度以下である、請求項9に記載の製氷装置の改修方法。