(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062641
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】ボールベアリングスイベルを使用した吊り下げ式方位磁針
(51)【国際特許分類】
G01C 17/06 20060101AFI20230426BHJP
【FI】
G01C17/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172758
(22)【出願日】2021-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】721010102
【氏名又は名称】大浦地 謙治
(72)【発明者】
【氏名】大浦地 謙治
(57)【要約】
【課題】吊り下げ式方位磁針において、実用レベルで定位を安定させ、これにより吊り下げ式方位磁針を定方位物として普及させる。
【解決手段】磁性体をボールベアリングスイベルを使用して吊るすことで、滑らかに定位し続ける定方位物を作ることができた。磁性体はある程度自由な形状のオブジェクトに付着、もしくは包埋することで、様々な形状の吊り下げ式方位磁針を作成することができる。そのため、今までの方位指針のような極を示すだけの道具ではなく、飾り、玩具としても機能を付与できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体とボールベアリングスイベルを有し、大気中で、磁界に反応し容易に定位し続けることができる吊り下げ式の定方位物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールベアリングスイベルを備えた吊り下げ式の方位磁針および定方位物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
方位磁針の基本的な構造は、磁石などの磁性体が磁界に反応し、その向きを変え、方位を指し示すというものである。つまり、方位磁針が方位を示すには、磁性体が運動する必要がある。
【0003】
この運動を阻害しないように、一般的な方位磁針では針の上に磁性体を乗せる機構、また、いわゆる液体コンパスのように液中に磁性体を浮かべる、もしくは液中に磁性体を保持する機構が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全昭58-095893(考案の名称:玩具風見人形)特開2003-000000号公報
【特許文献2】実全昭60-179814(考案の名称:吊下げ方位磁石)
【特許文献3】昭62-96677(考案の名称:教材用方位磁石)
【特許文献4】特開平9-243371(発明の名称:方位磁針)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
方位磁針がその役割を果たすためには磁性体の運動を阻害しないようにする必要がある。そのために、針の上に乗せたり、液体を用いたりしているわけであるが、これらの方法にはそれぞれデメリットがある。
【0006】
一般的な方位磁針は、針の上に磁性体を乗せる機構なので、ケースに入っていることが多い。このため、透明なケースを使用しない限り、下からの視認性に難がある。
【0007】
液体コンパスの場合、ケースに液体と磁性体が密閉されていることがおおく、これは、時間経過とともに、中の液体が蒸発し、いずれ機能不全になる。
【0008】
そこで、吊り下げ式の方位磁針という考えに至った。しかし、現在、この吊り下げ式の方位磁針は普及していない。単純に磁石を紐で吊るした場合、紐の「ねじれ」が磁性体の運動を阻害し、方位を示すことが難しいことが理由の一つであると考える。
【0009】
この問題に対処するために、スイベル(サルカン、より戻し、回転自在)を用いる方法を考えた。過去事例が示す、紐と磁性体をスイベルを介して連結する方法である。しかし、「普通のスイベル(本件では釣具店で市販されている NT SWIVEL タル型サルカン サイズ14 強度11キログラム を「普通のスイベル」とする)」では、磁力が強いネオジム磁石(本件では直径6×1(表面磁束密度2070G/207mT))を用いても、滑らかに回転せず、また適切な方位を安定して示すことはできなかった。
【0010】
原因は、スイベル内部の抵抗であると考えられたため、スイベル内部にフッ素加工を施したスイベル(本件では釣具店で市販されているDAIWA DスイベルSS 8号 強度18キログラム)を用いてテストしたが、これも上記と同様、滑らかに回転せず、また適切な方位を安定して示すことはできなかった。
【0011】
普通のスイベル、フッ素加工スイベルでは、吊り下げ式の方位磁針を作ることはできるが、とても実用性に乏しいことが確認できた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するために、「ボールベアリングスイベル」(本件では釣具店で市販されているNT SWIVEL 2リング付きベアリング サイズ0 強度27キログラムを使用しテストした)を用いる方法を考えた。ボールベアリングスイベルはスイベル軸にボールベアリングが使用されているため、普通のスイベルやフッ素加工スイベルよりも回転性に優れている。
【0013】
図1に本発明の実施例を示す。基本的な構造は「ボールベアリングスイベル 1」と「磁性体(ネオジム磁石 5)」のみ。「磁性体」はネオジム磁石でもフィライト磁石でも問題ない。テストでは表面磁束密度 80mT程度のフィライト磁石でも滑らかに回転し、適切な方位を示しやすいことを確認した。吊り下げたときに、意図する方向に磁性体のS極、N極が向くように設置すればよい。「磁性体」は「オブジェクト 4」に付着させても包埋させても構わない。「磁性体」、もしくは「オブジェクト 4」は「ボールベアリングスイベル 1」と直接接続しても、「紐 2」、「ヒートン 3」などを介して接続しても構わない。
【0014】
実用性を確認するため、樹脂オブジェクトにネオジム磁石を取り付け、これを紐とスイベルで連結したものを作成し、手で吊るしながら、樹脂オブジェクトを中心に周囲を一周回ったときの挙動を確認した。普通のスイベル、フッ素加工スイベルを用いた場合、動きに滑らかさがなく、また、定位し続けないことがあり、実用性はなかった。一方、ボールベアリングスイベルを用いた場合、滑らかに回転し、安定して定位し続けることが確認できた。
【発明の効果】
【0015】
「ボールベアリングスイベル」と「磁性体」があれば、様々なものを方位磁針にすることができる。方位磁針として使用しなくても、定位し続けるオブジェクトとして使用することもできる。この特性から車に吊るす飾りとしての使用が最も効果的であると考えるが、今までの普通の方位磁針が極を示すだけの道具であったのに対し、本件発明は飾り、玩具、という用途も付与できることになると考える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1はボールベアリングスイベルを使用した吊り下げ式方位磁針を示した説明図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0017】
吊り下げ式方位磁針をスムーズに定位させる目的を、ボールベアリングスイベルを使用することで実現した。
【実施例0018】
図1は、本発明の実施例と、正面図、下面図、側面図を示す。磁性体には「ネオジム磁石 5」を使用し、この「ネオジム磁石 5」を「オブジェクト 4」に包埋した実施例である。
【0019】
「ネオジム磁石 5」は水平方向に磁石のS極とN極が向くようにセットする。磁石が南北に向こうとする力で「ロールベアリングスイベル 1」が回転し、磁石のN極側が北、S極側が南を向く。
【0020】
「オブジェクト 4」と「ネオジム磁石 5」は、磁石の極の向きを考慮して包埋すれば、吊り下げ式方位磁針になる。
「オブジェクト 4」の形状次第で様々な用途に適用できる。上下からの視認性が良い形状、持ち運びに便利な形状、屋外用の風の影響を受けにくい形状など、幅広く適用できる。