(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006265
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】移載装置および食品供給システム
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230111BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
A23L7/10 E
B65G47/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108781
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】大澤 賢明
【テーマコード(参考)】
3F072
4B023
【Fターム(参考)】
3F072AA07
3F072AA12
3F072JA09
3F072KA04
3F072KD01
3F072KE01
4B023LT45
4B023LT61
(57)【要約】
【課題】容器を確実に掴んでトレイ上に移載できるようにする。
【解決手段】容器Bを把持および把持解除する把持部21が昇降可能に装着されるとともに直線的に往復動可能に設けられ、一方の移動端で容器Bを把持した把持部21を上昇させて直線的に移動し、他方の移動端で把持部21を下降させて容器Bをトレイ24上に移載する移載部22を備える。把持部21は、相互に接近して容器Bを把持する把持位置および相互に離反して容器Bの把持を解除する解除位置に水平移動可能な一対の把持体21a,21aを備え、一対の把持体21a,21aは、内側に突出形成されて容器Bを斜めに押し上げるようにして挟み込む挟込部21aaと、内側から見て凹状に形成されて挟込部21aaで挟み込まれた容器Bの押し上げ時の接触を回避する凹状部21abと、挟み込んだ容器Bの上方に形成されて押し上げられた容器Bの上縁部が当接する当接部21acとが形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外寸幅が下方に向けて小さくなった被移載部材を把持および把持を解除する把持手段が昇降可能に装着されるとともに往復動手段により直線的に往復動可能に設けられ、一方の移動端で前記被移載部材を把持した前記把持手段を上昇させて直線的に移動し、他方の移動端で当該把持手段を下降させて前記被移載部材をトレイ上に移載する移載手段と、
前記移載手段の移動方向と交差する方向に前記トレイを間欠的に移動する移動手段と、
前記移動手段による前記トレイの移動停止中に前記移載手段の移動方向に沿って一列になるように前記被移載部材を前記トレイ上に移載したならば、前記被移載部材の一列分前記トレイを移動して停止し、再び前記移載手段の移動方向に沿って一列になるように前記被移載部材を前記トレイ上に移載するように前記移載手段および前記移動手段の動作を制御する制御手段とを有し、
前記把持手段は、相互に接近して前記被移載部材を把持する把持位置および相互に離反して前記被移載部材の把持を解除する解除位置に水平移動可能な一対の把持体を備え、
前記一対の把持体は、内側に突出形成されて前記被移載部材を斜めに押し上げるようにして挟み込む挟込部と、内側から見て凹状に形成されて前記挟込部で挟み込まれた前記被移載部材の押し上げ時の接触を回避する凹状部と、挟み込んだ前記被移載部材の上方に形成されて押し上げられた前記被移載部材の上縁部が当接する当接部とが形成されている、
ことを特徴とする移載装置。
【請求項2】
前記挟込部は、前記一対の把持体のそれぞれにおいて複数形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の移載装置。
【請求項3】
前記一対の把持体の外側には、昇降時において隣接する前記被移載部材との干渉を回避する凹みが形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の移載装置。
【請求項4】
前記一対の把持体は、各把持体が前記移載手段の移動方向で相互に同一の直線上となる方向に配置されている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の移載装置。
【請求項5】
前記往復動手段は、
前記移載手段が移動可能に取り付けられたスライドレールと、
前記スライドレールが少なくとも前記移載手段の前記一方の移動端まで伸長するように当該スライドレールを伸縮させるレール伸縮機構とからなる、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の移載装置。
【請求項6】
前記移動手段に間欠的に移動される前記トレイの両側を支持する支持レールをさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の移載装置。
【請求項7】
前記被移載部材は、食品が盛り付けられる容器である、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の移載装置。
【請求項8】
容器に食品を盛り付ける食品盛付装置と、
前記食品盛付装置で食品の盛り付けられた前記容器を間欠的に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に搬送された前記容器を前記トレイに移載する請求項7記載の移載装置と、
を有することを特徴とする食品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移載装置および食品供給システムに関し、特に、容器等の被移載部材をトレイ上に移載する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工場や店舗などにおいては、食品盛付装置において米飯やおかず等の食品を容器に盛り付けた後に、容器の移載装置と食品盛付装置とで食品供給システムが構成されている。
【0003】
ここで、特許文献1(特開平11-056275号公報)には、成形機によって所定の形状、大きさに成形した握り寿司、いなり寿司、おにぎり、幕の内のシャリ玉などの食品を、トレイ等に密にして効率良くしかも整然と整列供給できる食品整列供給装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された装置は、握り寿司などの食品を成形機から直接トレイに移載するものであり、成形機から一旦容器(皿)に盛り付け、当該容器をトレイに移載するものではない。
【0006】
そして、容器をトレイに移載するには、移載中に容器が重量バランスを壊して不安定にならないように、確実に把持することが重要になる。また、このような点は、食品が盛り付けられる容器のみならず、様々な被移載部材に共通することでもある。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、被移載部材を確実に掴んでトレイ上に移載することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の移載装置は、外寸幅が下方に向けて小さくなった被移載部材を把持および把持を解除する把持手段が昇降可能に装着されるとともに往復動手段により直線的に往復動可能に設けられ、一方の移動端で前記被移載部材を把持した前記把持手段を上昇させて直線的に移動し、他方の移動端で当該把持手段を下降させて前記被移載部材をトレイ上に移載する移載手段と、前記移載手段の移動方向と交差する方向に前記トレイを間欠的に移動する移動手段と、前記移動手段による前記トレイの移動停止中に前記移載手段の移動方向に沿って一列になるように前記被移載部材を前記トレイ上に移載したならば、前記被移載部材の一列分前記トレイを移動して停止し、再び前記移載手段の移動方向に沿って一列になるように前記被移載部材を前記トレイ上に移載するように前記移載手段および前記移動手段の動作を制御する制御手段とを有し、前記把持手段は、相互に接近して前記被移載部材を把持する把持位置および相互に離反して前記被移載部材の把持を解除する解除位置に水平移動可能な一対の把持体を備え、前記一対の把持体は、内側に突出形成されて前記被移載部材を斜めに押し上げるようにして挟み込む挟込部と、内側から見て凹状に形成されて前記挟込部で挟み込まれた前記被移載部材の押し上げ時の接触を回避する凹状部と、挟み込んだ前記被移載部材の上方に形成されて押し上げられた前記被移載部材の上縁部が当接する当接部とが形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の本発明の移載装置は、上記請求項1記載の発明において、前記挟込部は、前記一対の把持体のそれぞれにおいて複数形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の本発明の移載装置は、上記請求項1または2記載の発明において、前記一対の把持体の外側には、昇降時において隣接する前記被移載部材との干渉を回避する凹みが形成されている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の本発明の移載装置は、上記請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記一対の把持体は、各把持体が前記移載手段の移動方向で相互に同一の直線上となる方向に配置されている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明の移載装置は、上記請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記往復動手段は、前記移載手段が移動可能に取り付けられたスライドレールと、前記スライドレールが少なくとも前記移載手段の前記一方の移動端まで伸長するように当該スライドレールを伸縮させるレール伸縮機構とからなる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の本発明の移載装置は、上記請求項1~5の何れか一項に記載の発明において、前記移動手段に間欠的に移動される前記トレイの両側を支持する支持レールをさらに有する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の本発明の移載装置は、上記請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記被移載部材は、食品が盛り付けられる容器である、ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の本発明の食品供給システムは、容器に食品を盛り付ける食品盛付装置と、前記食品盛付装置で食品の盛り付けられた前記容器を間欠的に搬送する搬送手段と、前記搬送手段に搬送された前記容器を前記トレイに移載する請求項7記載の移載装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一対の把持体が相互に最接近すると、被移載部材の上縁部が当接部に当接して、当該被移載部材は一対の把持体の挟込部と当接部とによって確実に掴むことが可能になる。これにより、移載中に被移載部材が重量バランスを壊して不安定になることがないので、被移載部材がトレイへと確実に移載される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施の形態である移載装置を備えた食品供給システムを示す斜視図である。
【
図2】
図1の食品供給システムを構成する移載装置を容器搬送テーブルとともに示す斜視図である。
【
図3】
図2の移載装置を構成する移載部を容器とともに示す斜視図である。
【
図4】
図3の移載部の一部をなす把持部の一対の把持体を示す斜視図である。
【
図5】容器の把持前における一対の把持体と容器との位置関係を示す斜視図である。
【
図6】(a)~(e)は一対の把持体が容器を把持するプロセスを連続的に示す説明図である。
【
図7】(a)~(d)は一対の把持体が容器の把持を解除するプロセスを連続的に示す説明図である。
【
図8】
図7(c)の状態を抽出して示す図であり、(a)は斜め上方から、(b)は斜め下方から、(c)は底面から見た図である。
【
図9】本発明の一実施の形態である移載装置により容器を容器搬送テーブルからトレイに移載する際の往復動部の動きの一過程を示す斜視図である。
【
図10】本発明の一実施の形態である移載装置により容器を容器搬送テーブルからトレイに移載する際の往復動部の動きの
図9に続く過程を示す斜視図である。
【
図11】本発明の一実施の形態である移載装置により容器を容器搬送テーブルからトレイに移載する際の往復動部の動きの
図10に続く過程を示す斜視図である。
【
図12】本発明の一実施の形態である移載装置により容器を容器搬送テーブルからトレイに移載する際の往復動部の動きの
図11に続く過程を示す斜視図である。
【
図13】(a)~(d)は1列目の先頭の容器をトレイに移載する動作を連続的に示す斜視図、(e)~(h)は1列目の最後の容器よび2列目の最初の容器をトレイに移載する動作を連続的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態である移載装置を備えた食品供給システムを示す斜視図、
図2は
図1の食品供給システムを構成する移載装置を容器搬送テーブルとともに示す斜視図、
図3は
図2の移載装置を構成する移載部を容器とともに示す斜視図、
図4は
図3の移載部の一部をなす把持部の一対の把持体を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態の食品供給システムは、被移載部材である容器(小鉢、皿、茶碗など)Bが積み重ねられた容器積層体BTから最下段の容器Bを1枚ずつ取り出す容器取出装置10と、容器取出装置10から取り出された容器Bを間欠的に搬送するターンテーブル式の容器搬送テーブル(搬送手段)11と、容器搬送テーブル11に搬送される容器Bに惣菜や米飯などの食品を盛り付ける食品盛付装置12と、容器搬送テーブル11に搬送された食品盛付後の容器Bをトレイ24に移載する移載装置20とで構成されている。また、容器取出装置10と容器搬送テーブル11と食品盛付装置12とは、ステージ13上に設置されている。図示するように、当該ステージ13と移載装置20とは、四隅にキャスタ14aが取り付けられて移動自在となったキャスタフレーム14上に、隣り合って搭載されている。
【0021】
なお、容器取出装置10には、水平方向に相互に接近・離反可能となった一対の移動爪(図示せず)が上下方向に2組配置されており、これら2組の一対の移動爪のアクション(接近動作および離反動作)により容器積層体BTを下方から支持しながら最下段の容器Bが取り出される。
【0022】
また、容器搬送テーブル11には、取り出された最下段容器Bが嵌まり込んで保持される保持孔11aが周方向に一定間隔で形成されている。
【0023】
さらに、食品盛付装置12は、ホッパ12aに投入された食品が解し機構12bで解された後に、下方に向けて開口するように開閉可能となった計量兼供給カップ12cで所定量に計量され、直下に位置する容器搬送テーブル11上の容器Bに落下供給される構造となっている。
【0024】
さて、
図1および
図2に示すように、移載装置20は、容器Bを把持および把持を解除する把持部(把持手段)21が昇降可能に装着された移載部(移載手段)22と、移載部22が直線的に往復動可能に設置された往復動部(往復動手段)23とを備えている。また、容器Bは、移載装置20に設置されたトレイ24上に移載部22によって移載される。すなわち、往復動部23を移動する移載部22が、一方の移動端(先述した容器搬送テーブル11によって搬送された容器B(食品の盛り付けられた容器B)の位置)において把持部21で容器Bを把持して上昇させて直線的に移動し、他方の移動端(トレイ24上における容器Bの配置箇所)で当該把持部21を下降させてトレイ24上に移載する。
【0025】
また、移載装置20は、移載部22の移動方向と交差する方向に前述したトレイ24を間欠的に移動するトレイ移動コンベア(移動手段)25を備えている。なお、本実施の形態において、トレイ移動コンベア25の両側には、当該トレイ移動コンベア25で移動されるトレイ24の両側を支持する支持レール26が設けられている。この支持レール26は、容器Bをトレイ24に搭載する際にトレイ24の前後左右の重量バランスが悪くなり、トレイ24がトレイ移動コンベア25上で不安定になることを防止するものである。但し、トレイ移動コンベア25の幅がトレイ24に対して十分に広くなっており、重量バランス悪化の懸念がなければ、支持レール26は省略することができる。
【0026】
そして、図示しない制御部(制御手段)により、トレイ移動コンベア25によるトレイ24の移動停止中に移載部22の移動方向に沿って一列になるように容器Bをトレイ24上に移載したならば、容器Bの一列分トレイ24を移動して停止し、再び移載部22の移動方向に沿って一列になるように容器Bをトレイ24上に移載するように移載部22およびトレイ移動コンベア25の動作が制御されている。なお、この動作の詳細については後述する。
【0027】
図3に示すように、移載部22に内蔵されたモータ(図示せず)で昇降可能となった把持部21は、相互に接近して容器Bを把持する把持位置および相互に離反して容器Bの把持を解除する解除位置に水平移動可能な一対の把持体21a,21aと、当該一対の把持体21a,21aを接近・離反させるモータによるスライド機構(図示せず)を備えた本体部21bとを備えている。
【0028】
図示するように、本実施の形態において、一対の把持体21a,21aは、各把持体21aが移載部22の移動方向で相互に同一の直線上となる方向に配置されている。これは、移動方向に対する把持部21の幅を狭くして他の部材との干渉を回避するためであるが、スペース的に余裕がある場合には把持部21を
図3から水平方向に90°回転した位置として、各把持体21aが移載部22の移動方向で相互に異なった直線上となる方向に配置するようにしてもよい。
【0029】
また、
図4に詳しく示すように、一対の把持体21a,21aは、内側に突出形成されて容器Bを斜めに押し上げるようにして挟み込む挟込部21aaと、内側から見て凹状に形成されて挟込部21aaで挟み込まれた容器Bの押し上げ時の接触を回避する凹状部21abと、挟み込んだ容器Bの上方に形成されて押し上げられた容器Bの上縁部が当接する当接部21acとが形成されている。なお、本実施の形態において、挟込部21aaは一対の把持体21a,21aのそれぞれにおいて2カ所に形成されている。但し、挟込部21aaは1カ所でもよいが、後述するように容器Bのより確実な挟み込みのためには、2カ所以上に形成されているのが望ましい。また、本実施の形態において、挟込部21aaは僅かに斜め上方を向いた形状となって容器Bの側面に沿うようにしているが、斜めになっていなくてもよい。
【0030】
なお、このような挟込部21aaの形状に適した容器Bは、外寸幅(容器外側の幅(寸法))が下方に向けて小さくなった形状の容器Bであり、外寸幅が上下で同じであったり、逆に下方に向けて大きくなった形状の容器は適さない。また、容器Bは外寸幅が下方に向けて小さくなっていればよく、本実施の形態のように上下方向に膨らんだ形状だけではなく、上下方向に直線状(テーパ状)あるいは上下方向に凹んだ形状であってもよい。
【0031】
さらに、
図4に示すように、一対の把持体21a,21aの外側には、昇降時において隣接する容器Bとの干渉を回避する凹み21adが形成されている、本実施の形態において、容器Bは平面視で円形となっているために、凹み21adは湾曲した形状となっている。但し、凹み21adは隣接する容器Bとの干渉回避のためであることから、その形状は容器Bの平面視における形状に対応した形状となり、本実施の形態のような湾曲形状に限定されるものではない。
【0032】
ここで、一対の把持体21a,21aによる容器Bの把持について、
図5および
図6を用いて説明する。
図5は容器Bの把持前における一対の把持体21a,21aと容器Bとの位置関係を示す斜視図、
図6(a)~(e)は一対の把持体21a,21aが容器Bを把持するプロセスを連続的に示す説明図である。なお、前述のように、把持される容器Bは容器搬送テーブル11によって搬送された食品の盛り付けられた容器Bであり、把持する位置は、移載部22の一方の移動端、つまり容器搬送テーブル11によって搬送された容器Bの位置である。
【0033】
さて、
図5に示すように、一対の把持体21a,21aが容器Bを把持する際には、一対の把持体21a,21aが容器Bの上方に位置し、且つ、一対の把持体21a,21aの挟込部21aaの間隔が容器Bの幅以上に広がった状態となっている。
【0034】
図5に示す一対の把持体21a,21aと容器Bとの位置関係から、
図6(a)に示すように、一対の把持体21a,21aが下降する。なお、
図5および
図6(a)~(e)では、把持体21の本体部21bの図示は省略され、一対の把持体21a,21aのみが示されている。
【0035】
さて、
図6(b)に示すように、一対の把持体21a,21aは、当接部21acが容器Bと接触しない程度まで下降したならば、相互に接近する方向に水平移動し、
図6(c)に示すように、側方から容器Bを挟み込む。すると、外寸幅が下方に向けて小さくなった容器Bの側面に挟込部21aa圧接して当該容器Bを斜めに押し上げる力fが発生する。そして、前述した凹状部21abが形成されていることから、容器Bは一対の把持体21a,21aと接触していない側面が当該一対の把持体21a,21aと干渉することがないので、一対の把持体21a,21aの相互間の距離が接近するに伴って徐々に押し上げられ、容器搬送テーブル11から僅かに離間する。
【0036】
そして、
図6(d)に示すように、一対の把持体21a,21aが相互に最接近すると、容器Bの上縁部が当接部21acに当接して、当該容器Bは一対の把持体21a,21aの挟込部21aaと当接部21acとによって確実に掴まれる。これにより、移載中に容器Bが重量バランスを壊して不安定になることがないので、容器Bを容器搬送テーブル11からトレイ24へと確実に移載することが可能になる。
【0037】
このようにして一対の把持体21a,21aが容器Bを把持したならば、
図6(e)に示すように、当該一対の把持体21a,21aを備えた把持部21は移載部22によって上昇し(
図3参照)、移載部22の他方の移動端、つまりトレイ24上における容器Bの配置箇所に向けて直線的に移動する。
【0038】
次に、一対の把持体21a,21aによる容器Bの把持解除について、
図7および
図8を用いて説明する。
図7(a)~(d)は一対の把持体21a,21aが容器Bの把持を解除するプロセスを連続的に示す説明図、
図8(a)~(c)は
図7(c)の状態を抽出して示した図であり、(a)は斜め上方から、(b)は斜め下方から、(c)は底面から見た図である。なお、前述のように、把持が解除される位置は、移載部22の他方の移動端、つまりトレイ24上における容器Bの配置箇所である。
【0039】
図7(a)において、移載部22によって一対の把持体21a,21aに把持されたが容器Bがトレイ24の所定の配置箇所(ここでは、既にトレイ24上に移載された容器Bn(
図7および
図8の各図において左隣に位置する容器Bn)の横)の上方まで移動されたならば、移載部22により把持部21が下降する。このときの下降位置は、容器Bの把持を解除するために相互に離反した一対の把持体21a,21aの外側に形成された凹み21adに隣の容器Bnの外周縁の一部が入り込んで当該一対の把持体21a,21aが昇降するときに隣の容器Bnと干渉せず、且つ、一対の把持体21a,21aが上昇するときに挟込部21aaが容器B(挟み込んでいた容器B)とも干渉しない位置である。なお、
図7(a)~(d)および
図8(a)~(c)においても、把持体21の本体部21bの図示は省略され、一対の把持体21a,21aのみが示されている。
【0040】
さて、
図7(b)に示すように、一対の把持体21a,21aは、把持した容器Bの底面がトレイ24に対して僅かに離間した位置まで下降したならば、相互に離反する方向へと水平移動する。
【0041】
これにより、
図7(c)に示すように、一対の把持体21a,21aの挟込部21aaと当接部21acとによって掴まれた状態の把持が解除された容器Bは僅かに下降し、前述した容器搬送テーブル11からトレイ24上の所定の配置箇所へと移載される。このとき、相互に離反する方向に移動した一対の把持体21a,21aは、
図8(a)~(c)に示すように、当該一対の把持体21a,21aの外側に形成された凹み21adに隣の容器Bnの外周縁の一部が入り込んで昇降時に容器Bnと干渉せず、しかも、挟込部21aaが上昇時に容器Bとも干渉しない位置となっている。
【0042】
このようにして一対の把持体21a,21aが容器Bをトレイに移載したならば、
図7(d)に示すように、当該一対の把持体21a,21aを備えた把持部21は移載部22によって上昇する(
図3参照)。そして、次の容器Bを容器搬送テーブル11からトレイ24に移載するために、再び移載部22の他方の移動端である容器搬送テーブル11上の容器Bに向けて直線的に移動する。
【0043】
このように、本実施の形態では、一対の把持体21a,21aの外側に凹み21adが形成されているので、トレイ24上に容器Bを整列して移載する際に、隣り合う容器Bとの間隔Gを狭くすることが可能になり、トレイ24上に搭載できる容器Bの数を増やすことができる。
【0044】
図9~
図12を用いて、移載部22を直線的に往復動する往復動部23について説明する。ここで、
図9~
図12は容器Bを容器搬送テーブル11からトレイ24に移載する際の往復動部23の動作を連続的に示す斜視図である。
【0045】
これらの図面において、本実施の形態の往復動部23は、移載部22が移動可能に取り付けられたスライドレール23aと、ハウジング23b内に内蔵されて当該スライドレール23aを伸縮させるレール伸縮機構(図示せず)とからなる。なお、レール伸縮機構によるスライドレール23aは、移載部22の一方の移動端(容器搬送テーブル11で搬送された容器Bの位置)まで伸長すれば足りるが、それ以上に伸長するようになっていてもよい。すなわち、スライドレール23aは少なくとも一方の移動端まで伸長するようになっていればよい。
【0046】
なお、レール伸縮機構は、一例を挙げると、スライドレール23aを直線的に往復動可能に支持するガイドレールと、スライドレール23aをガイドレールに沿って往復動させる駆動部(正逆2方向に回転するモータ(サーボモータやステッピングモータなど)、およびモータにより周回するとともにスライドレール23aに取り付けられた無端状ベルト)からなる。但し、レール伸縮機構はこのような構成である必要はなく、スライドレール23aを少なくとも一方の移動端まで伸長できる限り、様々な構成が採用可能である。
【0047】
例えば、
図9に示すように、容器Bがトレイ24上に横一列となって4個整列して移載でき、既に3個の容器Bが移載済みである場合、往復動部23を構成するスライドレール23aの先端(容器搬送テーブル11側の端部)まで移載部22を移動させるとともに、スライドレール23aを容器搬送テーブル11で搬送された容器Bの位置まで伸長させて把持部21で当該容器Bを把持した後に後退し、容器Bをトレイ24の配置箇所の直上位置にする。
【0048】
次に、
図10に示すように、移載部22に設けられた把持部21を下降させて容器Bをトレイ24の配置箇所に移載するとともに、往復動部23を構成するスライドレール23aを容器搬送テーブル11上の容器Bの位置まで伸長させる。なお、この時点で、トレイ24上に4個の容器Bが最初の横一列に整列されることになる。
【0049】
このように1列目に容器Bが整列されたことから、次に、
図11に示すように、トレイ移動コンベア25を駆動して容器Bの一列分トレイ24を移動して停止し、再び移載部22の移動方向に沿って容器Bが次の一列(つまり、2列目)に整列できるようにする。併せて、移載部22をスライドレール23aの先端(つまり、容器搬送テーブル11で搬送された容器Bの位置である移載部22の一方の移動端)まで移動させ、把持部21で容器搬送テーブル11上の容器Bを把持する。
【0050】
そして、
図12に示すように、往復動部23を構成するスライドレール23aを後退させるとともに移載部22を移動させて、容器Bを次の一列目の先頭位置に載置する。
【0051】
さて、以上の構成を有する移載装置20による容器Bの移載動作について
図13(a)~(h)を用いて説明する。ここで、
図13(a)~(d)は1列目の先頭の容器Bをトレイ24に移載する動作を連続的に示す斜視図、
図13(e)~(h)は1列目の最後の容器Bおよび2列目の最初の容器Bをトレイ24に移載する動作を連続的に示す斜視図である。
【0052】
移載開始にあたっては、移載装置20は、
図13(a)に示す待機位置となっている。具体的には、トレイ移動コンベア25上にトレイ24が配置(容器Bの先頭列が搭載可能な位置に配置)されるとともに、スライドレール23aがハウジング23b内に格納されるとともに、移載部22がスライドレール23aの先端に位置した状態となっている。
【0053】
この待機位置から、
図13(b)に示すように、スライドレール23aを容器搬送テーブル11上の容器Bの位置まで伸長させる。次に、
図13(c)に示すように、移載部22をスライドレール23aの先端まで移動させ、把持部21で容器搬送テーブル11上の容器Bを把持する。そして、
図13(d)に示すように、スライドレール23aを後退させるとともに移載部22を移動させて、容器Bをトレイ24の1列目の先頭位置に載置する。
【0054】
以下、移載部22とスライドレール23aとによる移載動作を繰り返し、
図13(e)に示すように、1列目の最後の容器Bをトレイ24の配置箇所の直上にまで移動させたならば、
図13(f)に示すように、把持部21を下降させて当該容器Bをトレイ24上に移載し、トレイ24上に4個の容器Bを最初の1列に整列配置する。また、これとともに、スライドレール23aを容器搬送テーブル11上の容器Bの位置まで伸長させる。
【0055】
次に、
図13(g)に示すように、トレイ移動コンベア25を駆動して容器Bの一列分トレイ24を移動して停止させる。また、移載部22をスライドレール23aの先端まで移動させ、把持部21で容器搬送テーブル11上の容器Bを把持する。
【0056】
そして、
図13(h)に示すように、スライドレール23aを後退させるとともに移載部22を移動させて、容器Bを次の一列目の先頭位置に載置する。
【0057】
このような移載動作(つまり、容器搬送テーブル11上の容器Bを移載部22によりトレイ24上に一列ずつ並べて移載する動作)を繰り返し行って、1枚のトレイ24の全体に容器Bが整列して搭載される。なお、必ずしもトレイ24の全体に容器Bが搭載されるものではなく、予定する容器Bの個数によってはトレイ24上に余ったスペースが発生することもある。
【0058】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0059】
例えば、本実施の形態では、トレイ24の移動手段としてトレイ移動コンベア25というベルト式コンベアが用いられているが、トレイ24を容器一列分ずつ間欠的に移動させることができれば足り、例えばローラ式コンベアなどで移動させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上の説明の移載装置では、外寸幅が下方に向けて小さくなっていれば、様々な形状の容器が適用できる。また、容器に投入される部材は惣菜や米飯などの食品に限定されるものではない。さらに、容器は被移載部材の一例に過ぎず、容器に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
10 容器取出装置
11 容器搬送テーブル(搬送手段)
11a 保持孔
12 食品盛付装置
13 ステージ
14 キャスタフレーム
20 移載装置
21 把持部(把持手段)
21a 一対の把持体
21aa 挟込部
21ab 凹状部
21ac 当接部
21ad 凹み
21b 本体部
22 移載部(移載手段)
23 往復動部(往復動手段)
23a スライドレール
23b ハウジング
24 トレイ
25 トレイ移動コンベア(移動手段)
26 支持レール
B,Bn 容器(被移載部材)