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特開2023-62669逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置およびそのための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062669
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置およびそのための方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20230101AFI20230426BHJP
   B01D 61/02 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/12 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/14 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/22 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/16 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/04 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/10 20060101ALI20230426BHJP
   B01D 61/20 20060101ALI20230426BHJP
   C02F 1/24 20230101ALI20230426BHJP
【FI】
C02F1/44 G
B01D61/02 500
B01D61/12
B01D61/14 500
B01D61/22
B01D61/58
B01D61/16
B01D61/04
B01D61/10
B01D61/20
C02F1/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144169
(22)【出願日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0140744
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン エナービリティー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヨン グン
(72)【発明者】
【氏名】クワク、ジェ ファ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ナ、サン グン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ウォン
【テーマコード(参考)】
4D006
4D037
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006KA01
4D006KA03
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA57
4D006KA67
4D006KB30
4D006KC03
4D006KC16
4D006KD08
4D006KD11
4D006KD30
4D006KE06P
4D006KE13P
4D006KE15Q
4D006KE30P
4D006KE30Q
4D006PA01
4D006PB03
4D006PC80
4D037AA06
4D037AB02
4D037BA01
4D037CA03
4D037CA08
4D037CA14
(57)【要約】
【課題】 海水淡水化プラントを制御するための装置が提供される。
【解決手段】 前記装置は、溶存空気浮上法(DAF:dissolved air flotation)により海水を処理した処理水を提供する溶存空気浮上装置と、それぞれが限外濾過膜を有する複数の限外濾過ユニットを含み、前記複数の限外濾過ユニットの限外濾過膜を用いて、処理水に残留する不純物をフィルタリングする限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程を行う限外濾過装置と、逆浸透圧装置と、情報収集部と、状態処理部とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶存空気浮上法(DAF:dissolved air flotation)により海水を処理した処理水を提供する溶存空気浮上装置と、
それぞれが限外濾過膜を有する複数の限外濾過ユニットを含み、前記複数の限外濾過ユニットの限外濾過膜を用いて、処理水に残留する不純物をフィルタリングする限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程を行う限外濾過装置と、
それぞれが逆浸透膜を有する複数のトレインを含み、前記複数のトレインの逆浸透膜を用いて、処理水に残留する不純物をフィルタリングする逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程を行う逆浸透圧装置と、
前記処理水の濁度(Turb:Turbidity)、前記処理水の残留鉄(RI:Residual Iron)、前記限外濾過工程による差圧(DP:Differential Pressure)の増加率を示す限外濾過差圧増加率、および前記逆浸透圧工程による差圧の増加率を示す逆浸透圧差圧増加率を収集する情報収集部と、
前記濁度および前記残留鉄が予め設定された基準値未満の状態を維持すると同時に、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満の状態を維持するように、前記海水に注入される化学剤の注入量を調整する状態処理部と、
を含む、
海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項2】
前記状態処理部は、
前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別し、
前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であれば、
前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満となるように、
前記化学剤の注入量を調整する、
請求項1に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項3】
前記状態処理部は、
前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満であれば、
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断し、
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、
前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であるか否かを判別し、
前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であれば、
前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更する、
請求項2に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項4】
前記状態処理部は、
前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満であれば、
前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断し、
前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更する、
請求項3に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項5】
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満であれば、
前記状態処理部は、
所定期間待機した後、
漸進的に化学剤の注入量を基本注入量として収めるように調整する、
請求項4に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項6】
前記化学剤は、
水素イオン濃度調整剤および凝集剤の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項7】
前記情報収集部は、
前記限外濾過ユニットがフィルタリングを行うフィルタリングモードを開始して所定時間経過後、前記限外濾過ユニットが洗浄を行う逆洗モードまたは化学洗浄モードのいずれか1つのモードを開始する所定時間前までである、限外濾過差圧増加率の算出期間の間、
前記限外濾過ユニットから差圧値を収集し、収集された差圧値の線形回帰線の傾きを限外濾過ユニットの限外濾過差圧増加率として算出する、
請求項1に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項8】
前記状態処理部は、
限外濾過差圧増加率が所定の設定値以上である、
限外濾過ユニットの数が、
所定の設定値以上であれば、
限外濾過差圧増加率が予め設定された基準値以上であると判断する、
請求項7に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項9】
前記情報収集部は、
予め設定された逆浸透圧差圧増加率の算出期間の間、前記トレインから差圧値を収集し、
予め設定された逆浸透圧差圧増加率の算出期間を単位時間に区分し、区分された単位時間ごとに収集された差圧値の線形回帰線の傾きを逆浸透圧差圧増加率として算出する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項10】
前記状態処理部は、
逆浸透圧差圧増加率が所定の設定値以上である、
トレインの数が、
所定の設定値以上であれば、
逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であると判断する、
請求項9に記載の海水淡水化プラントを制御するための装置。
【請求項11】
情報収集部が、海水を溶存空気浮上法(DAF:dissolved air flotation)により処理した処理水の濁度(Turb:Turbidity)、前記処理水の残留鉄(RI:Residual Iron)、前記処理水に残留する不純物をフィルタリングする限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程による差圧(DP:Differential Pressure)の増加率を示す限外濾過差圧増加率、および前記処理水に残留する不純物をフィルタリングする逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程による差圧の増加率を示す逆浸透圧差圧増加率を収集するステップと、
状態処理部が、前記処理水の濁度、前記処理水の残留鉄、前記限外濾過差圧増加率、および逆浸透圧差圧増加率と、前記濁度、前記残留鉄、前記限外濾過差圧増加率、および逆浸透圧差圧増加率それぞれの予め設定された基準値とを比較して、前記濁度および前記残留鉄が予め設定された基準値未満の状態を維持すると同時に、前記限外濾過差圧増加率および逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満の状態を維持するように、前記海水に化学剤の注入量を調整するステップと、
を含む、
海水淡水化プラントを制御するための方法。
【請求項12】
前記化学剤の注入量を調整するステップは、
前記状態処理部が、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップと、
前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満となるように、前記化学剤の注入量を調整するステップと、
を含む、
請求項11に記載の海水淡水化プラントを制御するための方法。
【請求項13】
前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップの後、
前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満であれば、前記状態処理部が、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断するステップと、
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップと、
前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更するステップと、
をさらに含む、
請求項12に記載の海水淡水化プラントを制御するための方法。
【請求項14】
前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップの後、
前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満であれば、前記状態処理部が、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断するステップと、
前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更するステップと、
をさらに含む、
請求項13に記載の海水淡水化プラントを制御するための方法。
【請求項15】
前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断するステップの後、
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満であれば、
前記状態処理部が、所定期間待機するステップと、
前記状態処理部が、漸進的に化学剤の注入量を基本注入量として収めるように調整するステップと、
をさらに含む、
請求項14に記載の海水淡水化プラントを制御するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント制御技術に関し、さらに詳しくは、逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置およびそのための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海水淡水化プラントの前処理の場合、固形物質のような浮遊物質を除去するために、DAF(Dissolved Air Flotation)工程の前段においてpH調整剤および凝集剤のような化学薬品を使用するが、既存の方法では、適切な化学薬品を注入するためにサンプリング実験およびオペレータのノウハウ(know-how)に頼っており、海水(Seawater)のリアルタイムな状態変化と主な工程からなるDAF後段工程の状態を反映して制御することが難しいのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置およびそのための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するための、本発明の好ましい実施形態に係る海水淡水化プラントを制御するための装置は、溶存空気浮上法(DAF:dissolved air flotation)により海水を処理した処理水を提供する溶存空気浮上装置と、それぞれが限外濾過膜を有する複数の限外濾過ユニットを含み、前記複数の限外濾過ユニットの限外濾過膜を用いて、処理水に残留する不純物をフィルタリングする限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程を行う限外濾過装置と、それぞれが逆浸透膜を有する複数のトレインを含み、前記複数のトレインの逆浸透膜を用いて、処理水に残留する不純物をフィルタリングする逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程を行う逆浸透圧装置と、前記処理水の濁度(Turb:Turbidity)、前記処理水の残留鉄(RI:Residual Iron)、前記限外濾過工程による差圧(DP:Differential Pressure)の増加率を示す限外濾過差圧増加率、および前記逆浸透圧工程による差圧の増加率を示す逆浸透圧差圧増加率を収集する情報収集部と、前記濁度および前記残留鉄が予め設定された基準値未満の状態を維持すると同時に、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満の状態を維持するように、前記海水に注入される化学剤の注入量を調整する状態処理部とを含む。
【0005】
前記状態処理部は、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別し、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であれば、前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満となるように、前記化学剤の注入量を調整することを特徴とする。
【0006】
前記状態処理部は、前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満であれば、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断し、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であるか否かを判別し、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であれば、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更することを特徴とする。
【0007】
前記状態処理部は、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満であれば、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断し、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更することを特徴とする。
【0008】
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満であれば、前記状態処理部は、所定期間待機した後、漸進的に化学剤の注入量を基本注入量として収めるように調整することを特徴とする。
【0009】
前記化学剤は、水素イオン濃度調整剤および凝集剤の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0010】
前記情報収集部は、前記限外濾過ユニットがフィルタリングを行うフィルタリングモードを開始して所定時間経過後、前記限外濾過ユニットが洗浄を行う逆洗モードまたは化学洗浄モードのいずれか1つのモードを開始する所定時間前までである、限外濾過差圧増加率の算出期間の間、前記限外濾過ユニットから差圧値を収集し、収集された差圧値の線形回帰線の傾きを限外濾過ユニットの限外濾過差圧増加率として算出することを特徴とする。
【0011】
前記状態処理部は、限外濾過差圧増加率が所定の設定値以上である、限外濾過ユニットの数が、所定の設定値以上であれば、限外濾過差圧増加率が予め設定された基準値以上であると判断することを特徴とする。
【0012】
前記情報収集部は、予め設定された逆浸透圧差圧増加率の算出期間の間、前記トレインから差圧値を収集し、予め設定された逆浸透圧差圧増加率の算出期間を単位時間に区分し、区分された単位時間ごとに収集された差圧値の線形回帰線の傾きを逆浸透圧差圧増加率として算出することを特徴とする。
【0013】
前記状態処理部は、逆浸透圧差圧増加率が所定の設定値以上である、トレインの数が、所定の設定値以上であれば、逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であると判断することを特徴とする。
【0014】
上述の目的を達成するための、本発明の好ましい実施形態に係る海水淡水化プラントを制御するための装置は、海水に化学剤を注入する化学剤処理部と、前記海水を溶存空気浮上法(DAF:dissolved air flotation)により処理した処理水の濁度(Turb:Turbidity)、前記処理水の残留鉄(RI:Residual Iron)、前記処理水に残留する不純物をフィルタリングする限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程による差圧(DP:Differential Pressure)の増加率を示す限外濾過差圧増加率、および前記処理水に残留する不純物をフィルタリングする逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程による差圧の増加率を示す逆浸透圧差圧増加率を収集する情報収集部と、前記処理水の濁度、前記処理水の残留鉄、前記限外濾過差圧増加率、および逆浸透圧差圧増加率と、前記濁度、前記残留鉄、前記限外濾過差圧増加率、および逆浸透圧差圧増加率それぞれの予め設定された基準値とを比較して、前記濁度および前記残留鉄が予め設定された基準値未満の状態を維持すると同時に、前記限外濾過差圧増加率および逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満の状態を維持するように、前記化学剤処理部を制御して前記化学剤の注入量を調整する状態処理部とを含む。
【0015】
前記状態処理部は、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別し、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であれば、前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満となるように、前記化学剤の注入量を調整することを特徴とする。
【0016】
前記状態処理部は、前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満であれば、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断し、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であるか否かを判別し、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であれば、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更することを特徴とする。
【0017】
前記状態処理部は、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満であれば、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断し、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更することを特徴とする。
【0018】
前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満であれば、前記状態処理部は、所定期間待機した後、漸進的に化学剤の注入量を基本注入量として収めるように調整することを特徴とする。
【0019】
上述の目的を達成するための、本発明の好ましい実施形態に係る海水淡水化プラントを制御するための方法は、情報収集部が、海水を溶存空気浮上法(DAF:dissolved air flotation)により処理した処理水の濁度(Turb:Turbidity)、前記処理水の残留鉄(RI:Residual Iron)、前記処理水に残留する不純物をフィルタリングする限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程による差圧(DP:Differential Pressure)の増加率を示す限外濾過差圧増加率、および前記処理水に残留する不純物をフィルタリングする逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程による差圧の増加率を示す逆浸透圧差圧増加率を収集するステップと、状態処理部が、前記処理水の濁度、前記処理水の残留鉄、前記限外濾過差圧増加率、および逆浸透圧差圧増加率と、前記濁度、前記残留鉄、前記限外濾過差圧増加率、および逆浸透圧差圧増加率それぞれの予め設定された基準値とを比較して、前記濁度および前記残留鉄が予め設定された基準値未満の状態を維持すると同時に、前記限外濾過差圧増加率および逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満の状態を維持するように、前記海水に前記化学剤の注入量を調整するステップとを含む。
【0020】
前記化学剤の注入量を調整するステップは、前記状態処理部が、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップと、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満となるように、前記化学剤の注入量を調整するステップとを含む。
【0021】
前記方法は、前記処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップの後、前記処理水の濁度が予め設定された基準値未満であれば、前記状態処理部が、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断するステップと、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップと、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更するステップとをさらに含む。
【0022】
前記方法は、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値以上であるか否かを判別するステップの後、前記処理水の残留鉄が予め設定された基準値未満であれば、前記状態処理部が、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断するステップと、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、前記状態処理部が、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を変更するステップとをさらに含む。
【0023】
前記方法は、前記限外濾過差圧増加率または前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断するステップの後、前記限外濾過差圧増加率および前記逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満であれば、前記状態処理部が、所定期間待機するステップと、前記状態処理部が、漸進的に化学剤の注入量を基本注入量として収めるように調整するステップとをさらに含む。
【0024】
前記化学剤は、水素イオン濃度調整剤および凝集剤の少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、処理水の濁度および残留鉄が予め設定された基準値未満の状態を維持すると同時に、限外濾過差圧増加率および逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値未満の状態を維持するように、前記海水に注入される化学剤の注入量を調整することにより、海水淡水化プラントにおける流入水質の変動とプラントの状態を反映して化学薬品の注入量を最適化することができる。これにより、後段工程の安定的な運転および管理に役立ち、運営の面で費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置の構成を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係る逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための方法を説明するフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係るコンピューティング装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、多様な変換が加えられて様々な実施例を有することができるが、特定の実施例を例示して詳細な説明に詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物または代替物を含むことが理解されなければならない。
【0028】
本発明で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本発明において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0029】
以下、添付した図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳しく説明する。この時、添付した図面において同一の構成要素はできるだけ同一の符号で表していることに留意する。また、本発明の要旨をあいまいにしうる公知の機能および構成に関する詳細な説明は省略する。同様の理由により、添付図面において一部の構成要素は誇張または省略されるか、概略的に示された。
【0030】
まず、本発明の実施形態に係る逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置の構成を説明する図である。図1を参照すれば、本発明の実施形態に係る逆浸透膜海水淡水化プラントは、溶存空気浮上(DAF:dissolved air flotation)装置10と、限外濾過(UF:Ultrafiltration)装置20と、逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)装置30と、制御装置40とを含む。
【0031】
溶存空気浮上装置10は、溶存空気浮上法(DAF:dissolved air flotation)により海水を処理したDAF処理水(以下、「処理水」と略記する)を提供する。
【0032】
限外濾過装置20は、それぞれが限外濾過膜(Ultrafiltration Membrane)を有する複数の限外濾過ユニットを含む。限外濾過装置20は、複数の限外濾過ユニットの限外濾過膜を用いて、処理水に残留する不純物をフィルタリングする限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程を行う。限外濾過装置20は、複数の限外濾過ユニットの限外濾過膜(Ultrafiltration Membrane)に処理水を通過させて、処理水に残留する不純物をフィルタリングすることができる。
【0033】
逆浸透圧装置30は、それぞれが逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane)を有する複数のトレインを含む。逆浸透圧装置30は、複数のトレインの逆浸透膜を用いて、処理水に残留する不純物をフィルタリングする逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程を行う。逆浸透圧装置30は、複数のトレインの逆浸透膜(Reverse Osmosis Membrane)に処理水を通過させて、逆浸透原理により処理水に残留する不純物をフィルタリングすることができる。
【0034】
本発明の実施形態に係る制御装置40は、海水淡水化プラントの前処理時、使用される化学剤の注入量を制御するためのものである。より具体的に説明すれば、海水淡水化プラントの前処理時、例えば、水素イオン濃度(pH)調整剤(例えば、H2SO4)および凝集剤(例えば、FeCl3)のような化学剤を使用する。したがって、DAF処理において最適な化学剤の注入量を導出しなければならない。ただし、化学剤の注入量は、後段工程であるUF工程とRO工程を行う限外濾過装置20および逆浸透圧装置30の差圧(DP:Differential Pressure)にも影響を及ぼすため、本発明の実施形態に係る制御装置40は、DAF処理に最適でありながらも、限外濾過装置20および逆浸透圧装置30の差圧(DP)が基準値未満で維持できるように、化学剤の注入量を調整する制御を行う。本発明の実施形態において、化学剤の注入量を調整する制御は、化学剤の基本注入量を基準として注入量を増加、あるいは減少させることを意味する。このような制御装置40は、情報収集部100と、状態処理部200と、化学剤処理部300とを含む。
【0035】
情報収集部100は、溶存空気浮上法(DAF:Dissolved Air Flotation)により処理されたDAF処理水(以下、「処理水」と略記する)に関する水質情報、および限外濾過(UF:Ultrafiltration)および逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程による差圧(DP:Differential Pressure)の変化を示す差圧情報を収集する。ここで、水質情報は、処理水の濁度(Turb:Turbidity)および処理水の残留鉄(RI:Residual Iron)を含む。差圧情報は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率を含む。限外濾過(UF)差圧増加率は、限外濾過装置20の差圧増加率であり、逆浸透圧(RO)差圧増加率は、逆浸透圧装置30の差圧増加率であり、これは以下により詳しく説明する。
【0036】
また、状態処理部200は、情報収集部100から水質情報、すなわち、処理水の濁度(Turb)および処理水の残留鉄(RI)と、差圧情報、すなわち、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率を受け、それぞれを基準値と比較して、DAF処理に最適でありながらも、限外濾過装置20および逆浸透圧装置30の差圧(DP)が基準値未満で維持できるように、化学剤の注入量を調整する。特に、状態処理部200は、限外濾過装置20および逆浸透圧装置30の差圧(DP)が基準値以上の場合、異常状態(FB_ABNORMAL_1、FB_ABNORMAL_2、FB_ABNORMAL_3)と定義し、処理水の濁度(Turb)および処理水の残留鉄(RI)が基準値以下を維持しながら、限外濾過装置20および逆浸透圧装置30の差圧(DP)が基準値未満で安定するように、化学剤の注入量を調整する。また、状態処理部200は、限外濾過装置20および逆浸透圧装置30の差圧(DP)が基準値未満で安定すると、持続的に異常状態に再度転移するか否かを確認しながら、漸進的に化学剤の注入量を基本注入量として収めるように調整する。
【0037】
化学剤処理部300は、DAF処理前の海水に化学剤を注入し、状態処理部200の制御により化学剤の注入量を基本注入量から増加、あるいは減少させて注入するか、基本注入量を注入することができる。
【0038】
以下、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率を算出し、基準値と比較して、異常状態の有無を判断する方法についてより詳しく説明する。
【0039】
限外濾過(UF)工程は、3つのモードで進行する。これは、フィルタリングを行うフィルタリングモード(Filtration Mode)と、限外濾過膜を洗浄する逆洗モード(Backwash(BW) Mode)と、洗浄剤を用いて限外濾過膜を洗浄する化学洗浄モード(Chemical Enhanced Backwash(CEB) Mode)とを含む。フィルタリングモード(例えば、30分)および逆洗モード(例えば、3分)を所定回数繰り返した後(例えば、30回)、化学洗浄モード(例えば、70分)を行う。ここで、限外濾過差圧増加率を算出する期間は、フィルタリングモードが開始されて所定時間(例えば、1分)経過後、他のモード、すなわち、逆洗モード(BW Mode)または化学洗浄モード(CEB Mode)を開始する所定時間(例えば、1分)前までである。情報収集部100は、限外濾過差圧増加率を算出する期間の間、複数の限外濾過ユニットから収集される差圧値を用いて複数の限外濾過ユニットの限外濾過差圧増加率を算出することができる。複数の限外濾過ユニットのいずれか1つの限外濾過ユニットの限外濾過差圧増加率は次のように算出される。すなわち、情報収集部100は、限外濾過差圧増加率を算出する期間に、限外濾過ユニットから収集された差圧値の線形(Linear)回帰線の傾きを限外濾過差圧増加率として算出する(例えば、y=ax+bにおいてa値)。このような限外濾過差圧増加率は状態処理部200に提供される。状態処理部200は、情報収集部100が算出した限外濾過差圧増加率(線形回帰線の傾き)が所定の設定値(例えば、0.15)以上である、限外濾過ユニットの数が、所定の設定値(例えば、10個のユニット)以上であれば、限外濾過差圧増加率が予め設定された基準値以上であると判断する。
【0040】
逆浸透圧(RO)工程は、2つのモードで進行する。これは、逆浸透圧フィルタリングを行うフィルタリングモード(Filtration Mode)と、洗浄を行う洗浄モード(Chemical In Place(CIP) Mode)とを含む。このような逆浸透圧(RO)工程は、所定時間(例えば、3ヶ月)フィルタリングモードを行った後、所定時間(例えば、2日)洗浄モードを行うことを繰り返す。逆浸透圧差圧増加率の算出期間は、逆浸透圧装置30がフィルタリングモードを行う期間内で予め設定される。情報収集部100は、逆浸透圧装置30のすべてのトレインに対して逆浸透圧差圧増加率を算出する期間の間、複数のトレインから収集される差圧値を用いて複数のトレインの逆浸透圧差圧増加率を算出することができる。複数のトレインのいずれか1つのトレインの逆浸透圧差圧増加率は次のように算出される。すなわち、予め設定された逆浸透圧差圧増加率の算出期間(例えば、1000分)を単位時間(例えば、50分)に区分し、区分された単位時間ごとに当該トレインから収集された差圧値の線形回帰線の傾き(y=ax+bにおいてa)を当該トレインの逆浸透圧差圧増加率として算出する。このような逆浸透圧差圧増加率は状態処理部200に提供される。状態処理部200は、逆浸透圧差圧増加率(差圧値の線形回帰線の傾き)が所定の設定値(例えば、0.05)を超えるトレインの数が所定の設定値(例えば、8個中4個)を超えると、逆浸透圧差圧増加率が予め設定された基準値を超えると判断する。
【0041】
次に、本発明の実施形態に係る逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための方法についてより詳しく説明する。図2は、本発明の実施形態に係る逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための方法を説明するフローチャートである。
【0042】
図2を参照すれば、情報収集部100は、S110ステップで、持続的に溶存空気浮上法(DAF:Dissolved Air Flotation)により処理された処理水に関する水質情報、および限外濾過(UF:Ultrafiltration)工程および逆浸透圧(RO:Reverse Osmosis)工程による差圧(DP:Differential Pressure)の変化を示す差圧情報を収集して、状態処理部200に提供する。ここで、水質情報は、処理水の濁度(Turb:Turbidity)および処理水の残留鉄(RI:Residual Iron)を含む。差圧情報は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率を含む。
【0043】
状態処理部200は、S120ステップで、処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを判別する。このようなS120ステップの判別により処理水の濁度が予め設定された基準値未満であれば、状態処理部200は、S130ステップへ進む。これに対し、S120ステップの判別により処理水の濁度が予め設定された基準値以上であれば、状態処理部200は、S160ステップへ進む。
【0044】
S130ステップで、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断する。このようなS130ステップの判断結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、S140ステップへ進む。これに対し、S130ステップの判別結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率または逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値未満であれば、S230ステップへ進む。
【0045】
S140ステップで、状態処理部200は、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値以上であるか否かを判別する。このようなS140ステップの判別結果、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値以上であれば、状態処理部200は、S180ステップへ進む。これに対し、S140ステップの判別結果、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値未満であれば、状態処理部200は、S150ステップへ進む。
【0046】
S150ステップで、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率または逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを判断する。このようなS150ステップの判断結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率または逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以上であれば、S200ステップへ進む。これに対し、S130ステップの判断結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値未満であれば、S230ステップへ進む。
【0047】
前述のように、処理水の濁度が予め設定された基準値以上の場合(S130)、S160ステップの第1異常状態(FB_ABNORMAL_1)のプロセスが行われる。すなわち、状態処理部200は、S160ステップで、処理水の濁度が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を調整する。すなわち、状態処理部200は、F Bias(例えば、FeCl3の注入量)とS Bias(例えば、H2SO4の注入量)の注入量を増加させるか、減少させる。
【0048】
続いて、状態処理部200は、S170ステップで、処理水の濁度が予め設定された基準値以上であるか否かを確認する。このようなS170ステップの確認結果、依然として、処理水の濁度が予め設定された基準値以上であれば、状態処理部200は、S220ステップへ進む。これに対し、S170ステップの確認結果、処理水の濁度が予め設定された基準値未満であれば、状態処理部200は、S130ステップへ進む。
【0049】
一方、前述のように、処理水の濁度が予め設定された基準値未満であり(S120)、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以上であり(S130)、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値以上である場合(S140)、S180ステップの第2異常状態(FB_ABNORMAL_2)のプロセスが行われる。すなわち、状態処理部200は、S180ステップで、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値未満となるように、化学剤の注入量を調整する。すなわち、状態処理部200は、F Bias(例えば、FeCl3の注入量)とS Bias(例えば、H2SO4の注入量)の注入量を増加させるか、減少させる。
【0050】
続いて、状態処理部200は、S190ステップで、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値以上であるか否かを再度確認する。このようなS190ステップの確認結果、依然として、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値以上であれば、状態処理部200は、S220ステップへ進む。これに対し、S190ステップの確認結果、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値未満に低下すると、S200ステップへ進む。
【0051】
一方、前述のように、処理水の濁度が予め設定された基準値未満であり(S120)、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以上であり(S130)、処理水の残留鉄(RI)が予め設定された基準値未満であり(S140)、限外濾過(UF)差圧増加率または逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値を超える場合(S150)、S200ステップの第3異常状態(FB_ABNORMAL_3)のプロセスが行われる。すなわち、状態処理部200は、S160ステップで、限外濾過(UF)差圧増加率または逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以下となるように、化学剤の注入量を調整する。すなわち、状態処理部200は、F Bias(例えば、FeCl3の注入量)とS Bias(例えば、H2SO4の注入量)の注入量を増加させるか、減少させる。
【0052】
続いて、状態処理部200は、S210ステップで、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以上であるか否かを確認する。このようなS210ステップの確認結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値を超えると、S220ステップへ進む。これに対し、S210ステップの確認結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率または逆浸透圧(RO)差圧増加率のいずれか1つが予め設定された基準値未満であれば、S230ステップへ進む。
【0053】
S220ステップの場合、第1~第3異常状態(FB_ABNORMAL_1、FB_ABNORMAL_2、FB_ABNORMAL_3)による処理を経た後にも、依然として異常状態を脱していない場合で、状態処理部200は、統制不可状態(FB_OUTOFCONTROL)と認識する。このようなS220ステップで、状態処理部200は、警報を発生させ、使用者が直接プラントを制御するモードであるマニュアル制御モード(Manual Control Mode)に切り替える。
【0054】
これに対し、S230ステップは、第1~第3異常状態(FB_ABNORMAL_1、FB_ABNORMAL_2、FB_ABNORMAL_3)による処理を行った後、正常状態に切り替えられるか否かを待つ待機状態(FB_NORMAL_STANDBY)である。このような待機状態(FB_NORMAL_STANDBY)で、状態処理部200は、1時間正常であるか否かを所定時間(例えば、5分)間隔で確認する。
【0055】
その後、状態処理部200は、S240ステップで、回復状態(FB_NORMAL_ACTION)プロセスを行って、化学剤の注入量を基本注入量として漸進的に収めるように、化学剤の注入量を調整する。すなわち、F Bias(FeCl3の追加注入量)とS Bias(H2SO4の追加注入量)が基本注入量となるように、注入量を増加、あるいは減少させる。
【0056】
続いて、状態処理部200は、S250ステップで、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が基準値以下であるか否かを確認する。このようなS250ステップの確認結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率が予め設定された基準値以下であれば、S260ステップへ進む。これに対し、S250ステップの確認結果、状態処理部200は、限外濾過(UF)差圧増加率および逆浸透圧(RO)差圧増加率のいずれか1つが予め設定された基準値を超えると、S120ステップへ戻る。S260ステップは、完全に回復した正常状態(FB_NORMAL)であり、状態処理部200は、自動制御モード(DCO Auto Control Mode)を維持する。
【0057】
図3は、本発明の実施形態に係るコンピューティング装置を示す図である。コンピューティング装置TN100は、本明細書で記述された装置(例、逆浸透膜海水淡水化プラントを制御するための装置など)であってもよい。
【0058】
図3の実施形態において、コンピューティング装置TN100は、少なくとも1つのプロセッサTN110と、送受信装置TN120と、メモリTN130とを含むことができる。また、コンピューティング装置TN100は、記憶装置TN140と、入力インターフェース装置TN150と、出力インターフェース装置TN160などとをさらに含むことができる。コンピューティング装置TN100に含まれた構成要素は、バス(bus)TN170によって連結されて互いに通信を行うことができる。
【0059】
プロセッサTN110は、メモリTN130および記憶装置TN140の少なくとも1つに記憶されたプログラム命令(program command)を実行することができる。プロセッサTN110は、中央処理装置(CPU:central processing unit)、グラフィック処理装置(GPU:graphics processing unit)、または本発明の実施形態に係る方法が行われる専用のプロセッサを意味することができる。プロセッサTN110は、本発明の実施形態に関連して記述された手順、機能、および方法などを実現するように構成される。プロセッサTN110は、コンピューティング装置TN100の各構成要素を制御することができる。
【0060】
メモリTN130および記憶装置TN140それぞれは、プロセッサTN110の動作に関連する多様な情報を記憶することができる。メモリTN130および記憶装置TN140それぞれは、揮発性記憶媒体および不揮発性記憶媒体の少なくとも1つで構成される。例えば、メモリTN130は、読出専用メモリ(ROM:read only memory)およびランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)の少なくとも1つで構成される。
【0061】
送受信装置TN120は、有線信号または無線信号を送信または受信することができる。送受信装置TN120は、ネットワークに連結されて通信を行うことができる。
【0062】
一方、上述した本発明の実施形態に係る多様な方法は、多様なコンピュータ手段を介して読取可能なプログラム形態で実現されてコンピュータで読取可能な記録媒体に記録される。ここで、記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独でまたは組み合わせて含むことができる。記録媒体に記録されるプログラム命令は、本発明のために特別に設計され構成されたものであるか、コンピュータソフトウェア当業者に公知で使用可能なものであってもよい。例えば、記録媒体は、ハードディスク、フロッピーディスクおよび磁気テープのような磁気媒体(magnetic media)、CD-ROM、DVDのような光記録媒体(optical media)、フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気-光媒体(magneto-optical media)、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を記憶し実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例には、コンパイラによって作られるような機械語ワイヤだけでなく、インタープリタなどを用いてコンピュータによって実行可能な高級言語ワイヤを含むことができる。このようなハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成されてもよいし、その逆も同様である。
【0063】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想を逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加などによって本発明を多様に修正および変更させることができ、これも本発明の権利範囲内に含まれる。
図1
図2
図3