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特開2023-62701新型コロナウイルスの抗体価の検査方法
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  • 特開-新型コロナウイルスの抗体価の検査方法 図1
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  • 特開-新型コロナウイルスの抗体価の検査方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062701
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】新型コロナウイルスの抗体価の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/80 20180101AFI20230426BHJP
   G16H 50/20 20180101ALI20230426BHJP
【FI】
G16H50/80
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022169195
(22)【出願日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2021172122
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521151614
【氏名又は名称】KAICO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】谷口 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】江崎 啓一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】新型コロナウイルスの抗体の有無だけでなく抗体価をも測定することを、病院等に出向き採血しなくても可能にする抗体検査サービス方法を提供する。
【解決手段】顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機関との間でデータの交信が可能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される抗体検査サービス方法であって、顧客から送信された顧客情報を受信するステップ、前記顧客情報及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信するステップ、前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理するステップ並びに前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信するステップを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機関との間でデータの交信が可
能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される抗体検査サービス方法であっ
て、以下の工程:
(a)顧客から送信された顧客情報を受信するステップ、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
るステップ、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理するステップ、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信するステップ、
を有することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
抗体が新型コロナウイルスに対する抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記情報処理が、閾値による演算、郵送補正係数乗算及びレベル判定からなる群から選
ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記レベル判定は、複数段階の抗体価に基づく判定である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機関との間でデータの交信が可
能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される抗体検査サービスシステムで
あって、以下の手段:
(a)顧客から送信された顧客情報を受信する受信部、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
る送信部、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理する情報処理部、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信する送信部、
を有することを特徴とする、前記システム。
【請求項6】
抗体が新型コロナウイルスに対する抗体である、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記情報処理が、閾値による演算、郵送補正係数乗算及びレベル判定からなる群から選
ばれる少なくとも1つを含む、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記レベル判定は、複数段階の抗体価に基づく判定である、請求項7に記載のシステム
【請求項9】
顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機関との間でデータの交信が可
能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される抗体検査サービス用プログラ
ムであって、コンピュータを、以下の手段:
(a)顧客から送信された顧客情報を受信する受信部、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
る送信部、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理する情報処理部、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信する送信部、
として機能させるための、前記プログラム。
【請求項10】
抗体が新型コロナウイルスに対する抗体である、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記情報処理が、閾値による演算、郵送補正係数乗算及びレベル判定からなる群から選
ばれる少なくとも1つを含む、請求項9又は10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記レベル判定は、複数段階の抗体価に基づく判定である、請求項11に記載のプログ
ラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体検査キットを利用した新型コロナウイルスの抗体価の検査方法に関する
【背景技術】
【0002】
現在、ウイルスに対する感染防御を目的として種々のワクチンが開発され、接種されて
いる。特に最近パンデミックを起こした新型コロナウイルスに対するワクチンは接種が徐
々に進められてきた。
しかしながら、ワクチンの長期的な予防効果は明確ではなく、ワクチン接種を受けた本
人が保有している抗体量や保持状況を確認することが困難である。
【0003】
他方、在宅検査用の検査キットが検査機関から販売されている。受診者は、検査キット
を購入し、採尿、採血等を自身で行い、採取されたサンプルを検査機関に送付し、検査機
関から検査結果が直接受診者に返送される。このような在宅検査用の検査キットは、性感
染症検査、がん検査、糖尿病などの生活習慣病検査などが対象となっている。
【0004】
近年では、インターネットを利用した在宅検査システムが実現されている。受診者は、
インターネット上で健康診断用の検査キットを購入し、郵送等により採取したサンプルを
検査機関に送付する。検査結果は郵送の他に、電子メールでの通知や、Web上での検査結
果閲覧も行われている。例えば、受診者がインターネットブラウザを通じて検査機関が提
供するウエブサイトにアクセスし、検査機関から与えられたIDやパスワードを用いて検
査機関のシステムにログインした後、受診者専用の画面上で検査結果を閲覧するという検
査システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-252218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
新型コロナウイルスの抗体価検出キットは先行研究で報告されているが、自宅で簡便に
使用できるキットでは抗体の有無しか判定することができず、抗体レベルを測定できるも
のは病院等に出向き採血する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、上記課題を解決し得る
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機関との間でデータの交信
が可能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される抗体検査サービス方法で
あって、以下の工程:
(a)顧客から送信された顧客情報を受信するステップ、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
るステップ、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理するステップ、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信するステップ、
を有することを特徴とする、前記方法。
(2)抗体が新型コロナウイルスに対する抗体である、(1)に記載の方法。
(3)前記情報処理が、閾値による演算、郵送補正係数乗算及びレベル判定からなる群か
ら選ばれる少なくとも1つを含む、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記レベル判定は、複数段階の抗体価に基づく判定である、(3)に記載の方法。
(5)顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機関との間でデータの交信
が可能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される抗体検査サービスシステ
ムであって、以下の手段:
(a)顧客から送信された顧客情報を受信する受信部、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
る送信部、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理する情報処理部、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信する送信部、
を有することを特徴とする、前記システム。
(6)抗体が新型コロナウイルスに対する抗体である、(5)に記載のシステム。
(7)前記情報処理が、閾値による演算、郵送補正係数乗算及びレベル判定からなる群か
ら選ばれる少なくとも1つを含む、(5)又は(6)に記載のシステム。
(8)前記レベル判定は、複数段階の抗体価に基づく判定である、(7)に記載のシステ
ム。
(9)顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機関との間でデータの交信
が可能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される抗体検査サービス用プロ
グラムであって、コンピュータを、以下の手段:
(a)顧客から送信された顧客情報を受信する受信部、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
る送信部、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理する情報処理部、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信する送信部、
として機能させるための、前記プログラム。
(10)抗体が新型コロナウイルスに対する抗体である、(9)に記載のプログラム。
(11)前記情報処理が、閾値による演算、郵送補正係数乗算及びレベル判定からなる群
から選ばれる少なくとも1つを含む、(9)又は(10)に記載のプログラム。
(12)前記レベル判定は、複数段階の抗体価に基づく判定である、(11)に記載のプ
ログラム。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、新型コロナウイルスの抗体価を検査することが可能となった。本発明に
よれば、抗体価のレベルや推移を把握することができる。また本発明により、自宅から簡
便に抗体の高低を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のシステムの全体構成例を示す図である。
図2】本発明のシステムのブロック図である。
図3】本発明のシステムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明における検査結果の模式図である。
図5】顧客端末に検査結果を表示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、抗体検査サービス方法、システム及びコンピュータプログラムに関する。特
に本発明は、新型コロナウイルスに対する抗体のチェックサービス方法に関する。
本発明の第一の態様は、顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査(抗体測定)を行
う検査機関との間でデータの交信が可能な通信機能を有する検査サービス機関によって提
供される抗体検査サービス方法であり、以下の工程を有する。
(a)顧客から送信された顧客情報を受信するステップ、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
るステップ、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理するステップ、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信するステップ。
【0012】
また本発明の第二の態様は、顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検査機
関との間でデータの交信が可能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供される
抗体検査サービスシステムであり、以下の手段を有する。
(a)顧客から送信された顧客情報を受信する受信部、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
る送信部、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理する情報処理部、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信する送信部。
【0013】
さらに、本発明の第三の態様は、顧客端末と、顧客の検体サンプルの抗体検査を行う検
査機関との間でデータの交信が可能な通信機能を有する検査サービス機関によって提供さ
れる抗体検査サービス用プログラムであって、コンピュータを、以下の手段として機能さ
せるためのプログラムに関する。
(a)顧客から送信された顧客情報を受信する受信部、
(b)前記顧客情報、及び顧客の検体サンプルが送付される旨の情報を検査機関に送信す
る送信部、
(c)前記検査機関が行った検査結果を受信して情報処理する情報処理部、並びに
(d)前記情報処理された検査結果を、前記顧客に対して送信する送信部。
【0014】
図1は、本発明のシステムの全体構成例を示す図である。
図1において、本発明のシステム1は、管理サーバ10、通信ネットワーク20、顧客
端末(「ユーザ端末」ともいう)30、及び検査機関端末40を備える。
【0015】
管理サーバ10は、検査方法を提供するコンピュータである。管理サーバ10は、例え
ばワークステーションやパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータとしてもよいし、
あるいはクラウドコンピューティングによって実現することもできる。
管理サーバ10は、顧客端末30と通信ネットワーク(単に「ネットワーク」ともいう
)20を介して通信可能に接続される。ネットワーク20は、例えばインターネットであ
り、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路などにより構築される。
【0016】
顧客端末30は、情報の入力手段や表示手段などを備えたコンピュータ又は携帯可能な
スマートフォン若しくはタブレットなどの機器又は端末であり、ネットワーク20を介し
て管理サーバ10と通信可能に接続される。顧客端末30は、ブラウザ又はアプリケーシ
ョンなどを通じて、管理サーバ10から受信した各種情報をディスプレイ上に表示したり
、管理サーバ10に送る情報を入力するためのインターフェースを提供する。
【0017】
検査機関端末40は、管理サーバ10からの検査発注情報(顧客の検体サンプルが送付
される旨の情報を含む)に従って検査を行った検査結果(すなわち、抗体価測定の測定値
)を入力し、管理サーバに送信する。
【0018】
図2は、管理サーバ10の構成例である。
図2において、管理サーバ10は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェ
ースなどを備えたサーバー型コンピュータからなる情報処理装置である。管理サーバ10
は、インターネットなどのネットワーク20(図1)を介して、顧客端末30と通信可能
に接続されている。
【0019】
管理サーバ10は、検査対象とする顧客(「対象ユーザ」、又は単に「ユーザ」ともい
う。)に関するデータ(「顧客情報」という)を取得する。そして、管理サーバ10は、
顧客情報に基づいて抗体価を有する対象を特徴付けるためのプロセスを実行し、抗体価情
報データベースを構築する。そして、構築されたデータベースに基づき、対象ユーザのサ
ンプルがどのような抗体価を有するかを判定する。さらに、管理サーバ10は、検査結果
を、ユーザ機器30に送信する。
【0020】
本発明の検査システム1には、顧客の血液等の生体試料から採取される抗体を検査(抗
体価を測定)し、その情報(検査データ)を取得して管理サーバ10に送信する検査機関
40が含まれる。管理サーバ10は、顧客情報と関連付けられた当該顧客の抗体価に関す
る情報を検査機関40からネットワーク20を介して取得する。なお、管理サーバ10は
、ネットワーク20を介さずに検査機関40から検査データを直接取得するようにしても
よい。さらに、検査機関40と管理サーバ10とは同じ組織又は機関に属するものであっ
てもよいし、それぞれ別々に属するものであってもよい。
【0021】
管理サーバ10は、ROMに記憶された又はRAMに置かれたプログラムとCPUとが
協働するなどして実現される機能部として、情報取得部101、情報処理部102、判定
部103、表示部104、及び送受信部105などを備える。また、管理サーバ10は、
ROM又はRAMに設けられた記憶部110を備え、記憶部110は、顧客情報データベ
ース(DB)111、測定及び検査情報DB112、並びに判定DB113を含む。
【0022】
情報取得部101は、ネットワーク20を介して顧客端末30から各種情報を取得し、
記憶部110に記憶させる。顧客端末30から受信する顧客情報には、基本情報、例えば
ユーザの属性情報としての識別情報(ユーザの氏名、生年月日、住所、電話番号、ユーザ
が使用するメールアドレス、又はユーザに設定されたID等)などが含まれる。基本情報
には、年齢、身長、体重、体温、家族構成、仕事の種類、生活環境、他人との接触履歴な
どのほか、問診情報、例えば既往歴(他の感染症罹病の有無を含む)、採血時の健康状態
、採血時の薬歴に関する情報、現在又は過去の医療データ(ワクチン等の接種履歴、血液
型等)などが含まれていてもよい。
【0023】
ここで、顧客端末30は、企業が社員の情報を一括管理する端末であってもよい。この
場合は、企業内のホストサーバ(図示せず)が企業内のサブネットワークにより個々の社
員の端末と接続されており、当該ホストサーバは、社員の上記各種情報を管理するととも
に、社員の検査結果を記憶して管理サーバ10に送信する。
また別の態様では、管理サーバ10は、前記識別情報とともに、企業のID又は企業番
号、及び企業内での社員ID又は社員管理番号を付与し顧客端末30に送信する。顧客端
末30は、管理サーバ10内の記憶部110に記憶された社員のデータを閲覧のために送
付するよう管理サーバ10に要求し、要求された管理サーバ10は、企業の管理者が自社
の社員のデータだけを抜き出して閲覧できるように社員のデータを送信する。
情報取得部101は、顧客情報を受信すると、顧客情報DB111に記憶させる。
【0024】
情報処理部102は、抗体価の特徴を抽出する演算処理を行う。これらの処理により得
られた抗体価情報は、測定及び検査情報DB112に記憶され、当該抗体価情報は、検査
対象となった顧客の顧客情報と関連付けて記憶されている。
【0025】
判定部103は、測定された抗体価データに基づいて抗体価のレベルの判断を行い、そ
の結果を判定DB113に蓄積する。判定を行うための情報処理部102における情報処
理(演算方法)は、例えば閾値による演算、郵送補正係数乗算及びレベル判定などであり
、これらの1つを又は複数を組み合わせて使用される。
【0026】
閾値による演算とは、ワクチン未接種者の測定結果を1として算出される顧客が持つ抗
体価の比であり、以下の演算が行われる。
・複数の未接種者測定値の平均値及び標準偏差を計算する。
・99.95%信頼区間の上限値を1となるように閾値補正係数を設定する。
・測定結果に閾値補正係数を乗算する。
閾値として、複数のワクチン未接種者測定値から算出される平均値の99.95%信頼
区間上限値が設定される。但し、この閾値は、更に多くの未接種者のデータを取得した場
合再度算出し直し、適宜変更してよい。
【0027】
郵送補正係数乗算とは、郵送中に減衰する血中抗体の、検出系に対する感度の補正を意
味し、以下の演算が行われる。
・郵送テストによる測定値の減衰割合を評価し、これを郵送補正係数とする。
・測定結果に郵送補正係数を乗算する。
但し、この郵送テストによる減衰割合は、更に多くのデータを取得した場合再度算出し直
し、適宜変更してよい。
【0028】
レベル判定とは、測定された顧客抗体価を、その数値に応じて数段階に割り当てる行為
を意味し、以下の演算が行われる。
・上述の計算方法(測定値×閾値補正係数×郵送補正係数)により、複数のワクチン未接
種者及び接種者の抗体価を算出する。その内最も高い測定結果または標準陽性検体の測定
結果と上述の閾値の差を等間隔に分割し、分割する値を算出する。
・(i)ワクチン未接種者、(ii)ワクチン1回接種者、(iii)ワクチン2回接種者のそれぞれ
の平均値を算出する。
・顧客の測定結果を例えば5段階の範囲に照らし合わせ、結果表示時に(i)(ii)(iii)の平
均値と共にレベル判定を表示する。例えば、測定結果がレベル3とレベル4を分割する値以
上、レベル4とレベル5を分割する値未満である場合は、レベル4であると判定する。測定
結果が最低レベルと一つ上のレベルを区分する値以下である時は最低レベルであると判定
する。測定結果が最大レベルと一つ下のレベルを区分する値以上である時は最大レベルで
あると判定する。
【0029】
また本発明においては、複数の顧客データを集計して、抗体価の統計学的処理を行うこ
ともできる。その場合は、統計的アルゴリズム、機械学習アルゴリズム、人工知能、バイ
オインフォマティクス方法などを用いる。例えば、Wilcoxon検定、ANOVA検定、Logistic
回帰、ランダムフォレスト、分類木、ニューラルネットワークなどを単独で、又は適宜組
み合わせることにより実施することができる。
本発明においては、データセット全体の母集団(コホート)の属性を絞り込むことによ
り、抗体価の特徴を抽出する。
【0030】
本発明においては、予め規定された数の顧客データ(1次母標本)において上記解析処
理を行い、顧客の抗体価を調べ、その結果をデータベース(DB)に記憶させておく。従っ
て、顧客個人(一人)の検査又は判定を行う場合、上記複数の顧客由来のデータを母標本
として、当該個人のデータを照らし合わせ、データベースに記憶させておいた母標本のデ
ータのどこに位置するか又は当てはまるかを調べることによって、当該個人に対する抗体
価のレベルを判定することができる。なお、上記個人のデータを母標本の値に組み込み、
再度解析処理することにより、抗体価の判定制度を高めることができる。
【0031】
<新型コロナウイルスの抗体価の検査方法>
抗体価の検査対象はウイルス、病原細菌又は疾病マーカーなどが挙げられ、特に限定さ
れるものではないが、本発明においては、新型コロナウイルスの抗体価の検査を例に説明
する。
すなわち、本発明の第二の態様は、前記方法により提供された情報に基づいて、顧客か
ら得られたサンプルが抗体価を有するか、有する場合はどの程度であるかを判定すること
を特徴とする、新型コロナウイルスの抗体価の検査方法である。
【0032】
ここで、本発明においては抗体価の種類に限定されるものではない。例えば抗体価のレ
ベル、抗体価の持続期間などが挙げられる。抗体価の持続期間は、特に限定されるもので
はなく、例えば、週単位、月単位、年単位での検査などが挙げられる。
【0033】
また抗体価のレベルは、1段階から複数段階に設定することができる。複数段階の場合
は、抗体の量、性別、ワクチンの接種回数、ワクチンの1回目接種から2回目接種までの
期間などに応じて予め2段階、3段階、4段階、5段階、6段階、7段階、8段階、9段
階又は10段階に設定できる。
そして、測定結果に閾値補正係数及び郵送補正係数を乗算した結果と、各レベルを区分
する値を比較し、下のレベルと区分する値以上、上のレベルと区分する値未満の区分に割
り当てる。ただし、最低レベルは更に下のレベルと区分する値を持たず、最大レベルは更
に上のレベルと区分する値を持たない。
【0034】
抗体価は、それぞれの段階における抗体量であると位置づけることができるため、2段
階よりも3段階、3段階よりも4段階と段階が多くなるにつれて、抗体価が高いと言える
【0035】
<本発明の検査方法、検査システム、及びプログラム>
次に、本発明の一実施形態に係るシステム及びプログラムに関して以下説明する。
図3は、本実施形態に係る管理サーバ10による処理フローチャートである。
【0036】
ステップS301において、管理サーバ10の情報取得部101は顧客から、発注を受
けたことの情報や、基本データや問診データなどの顧客情報を取得し、ステップ302で
は、前記取得した顧客情報を顧客情報DB111に記憶させ、基本データセットを生成す
る。なお、顧客は、薬局やドラッグストアから検査キットを購入し、キットに含まれる採
血ろ紙に自己採血し、採血されたろ紙を検査サービス機関に発送する。検査サービス機関
は、基本データセットステップS301を実施するに際し、顧客からサンプルの現物を郵
送等により受領しておく。
【0037】
ステップS303では、情報取得部101取得したデータセットを検査機関端末に送信
する。なお、ステップS303と前後して、又は同時に、検査サービス機関は、顧客から
受領したサンプル(採血ろ紙)を郵送等により発送する。
【0038】
検査機関は、検査サービス機関から送付されたサンプルを用いて抗体価の測定を行う。
そして、ステップS304では、管理サーバ10は、検査機関により測定された検査結果
(CSV)を検査機関端末40から受信する。
ステップS305では、受信した検査結果データの情報処理を行って抗体価を特徴づけ
るとともに、顧客の抗体価を判定する。情報処理として、閾値による演算、郵送補正係数
乗算などが行われる。
【0039】
ステップS306では、ステップS305の特徴付け及び判定プロセスで生成した判定
結果を出力し、ユーザ機器に検査結果を通知する。
図4は、抗体レベルを表示部104に表示する模式図である。図4において、左パネル
は、抗体レベルが3であることを示す図であり、右パネルは、抗体レベルの時間経過を示
す図である。
図5は、検査結果を顧客端末に通知したときの、ユーザが確認する結果画面の模式図で
ある。
【0040】
4.コンピュータ読み取り可能な記録媒体
本発明のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体又はコンピュータに接続
しうる記憶手段に保存することができる。本発明のプログラムを含有するコンピュータ用
記録媒体又は記憶手段も本発明に含まれる。記録媒体又は記憶手段としては、磁気的媒体
(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光学的媒体(CD、DVDなど)、磁
気光学的媒体、フラッシュメモリーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【実施例0041】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの
実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
測定結果0.22に対し、閾値補正係数及び郵送補正係数を乗算した結果を得た。これはレベ
ル1とレベル2を区分する値以下であり、レベル1と判定された。
[実施例2]
測定結果1.24に対し、閾値補正係数及び郵送補正係数を乗算した結果を得た。これはレベ
ル2とレベル3を区分する値及びレベル3とレベル4を区分する値の間に入り、レベル3と判
定された。
[実施例3]
測定結果2.55に対し、閾値補正係数及び郵送補正係数を乗算した結果を得た。これはレベ
ル4とレベル5を区分する値以上であり、レベル5と判定された。
【符号の説明】
【0042】
1:本発明のシステム
10:管理サーバ、20:通信ネットワーク、30:顧客端末、40:検査機関
101:情報取得部、102:情報処理部、103:判定部、104:表示部、105:
送受信部
110:記憶部、111:顧客情報DB、112:測定及び検査情報DB、113:判定
DB
図1
図2
図3
図4
図5