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特開2023-62705マイボーム腺機能不全の処置のための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062705
(43)【公開日】2023-05-08
(54)【発明の名称】マイボーム腺機能不全の処置のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230426BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/327 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 35/04 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/122 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/60 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 33/04 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/19 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/17 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/555 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 33/30 20060101ALI20230426BHJP
   A61K 31/4015 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230426BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230426BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P27/02
A61P43/00 105
A61K31/327
A61K35/04
A61K31/122
A61K31/60
A61K33/04
A61K31/19
A61K31/17
A61K31/555
A61K33/30
A61K31/4015
A61P9/00
A61P17/00
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023001954
(22)【出願日】2023-01-10
(62)【分割の表示】P 2020098624の分割
【原出願日】2015-10-16
(31)【優先権主張番号】62/065,716
(32)【優先日】2014-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/732,622
(32)【優先日】2015-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518104223
【氏名又は名称】アズーラ オフサルミックス エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルスター,ヤイール
(72)【発明者】
【氏名】ラファエリ,オマー
(72)【発明者】
【氏名】マクファーレーン,ケー.,アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】ライヒ,キャリー
(72)【発明者】
【氏名】アムセレム,シモン
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン,ドロン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA21
4C084MA27
4C084MA58
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA361
4C084ZA891
4C084ZB211
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC08
4C086BC17
4C086DA17
4C086HA03
4C086HA08
4C086HA25
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA21
4C086MA27
4C086MA58
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA89
4C086ZB21
4C087AA01
4C087BA03
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4C087MA21
4C087MA27
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4C087ZA36
4C087ZA89
4C087ZB21
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4C206DA07
4C206DA39
4C206HA27
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4C206KA05
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA41
4C206MA47
4C206MA78
4C206NA14
4C206ZA33
4C206ZA36
4C206ZA89
4C206ZB21
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マイボーム腺機能不全を処置する製剤の製造のための組成物の使用を提供する。
【解決手段】必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する製剤の製造のための組成物の使用であって、前記組成物は、眼に許容可能な担体中に治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含み、前記処置は、前記患者の眼瞼辺縁に届くように前記製剤を局所投与することを含む、使用である。前記角質溶解薬は、過酸化ベンゾイル、コールタール、ジトラノール、サリチル酸、二硫化セレン、アルファヒドロキシ酸、尿素、乳酸、チオグリコール酸ナトリウム、ジンクピリチオン、又は亜鉛L-ピロリドンカルボン酸である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する方法であって、患者の眼瞼辺縁に到達する組成物を患者に局所投与する工程を含み、該組成物は、眼に許容可能な担体中に治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記角質溶解薬は、過酸化ベンゾイル、コールタール、ジトラノール、サリチル酸、二硫化セレン、アルファヒドロキシ酸、尿素、乳酸、チオグリコール酸ナトリウム、ジンクピリチオン、又は亜鉛L-ピロリドンカルボン酸である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記角質溶解薬はサリチル酸又は二硫化セレンである、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記角質溶解薬は二硫化セレンである、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物中の二硫化セレンの濃度は約0.1%から約10%の間である、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記角質溶解薬はサリチル酸である、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物中のサリチル酸の濃度は約0.1%から約10%の間である、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物は、角化閉塞が緩和するまで患者へ局所投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、角化閉塞が緩和した後に、周期的に患者へ局所投与される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
局所投与は単回投与である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
局所投与は周期的投与である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
周期的投与は1日1回である、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
周期的投与は1日2回である、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
局所投与用の組成物は半固形である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
局所投与用の組成物は均質である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
局所投与用の組成物は分散液である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
局所投与用の組成物は親水性である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
局所投与用の組成物は油脂性基剤である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記眼に許容可能な担体は、少なくとも1つの眼に許容可能な賦形剤を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物の投与は、結果としてマイボームの生成の増強をもたらす、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する方法であって、患者の眼瞼辺縁に到達する組成物を患者に局所投与する工程を含み、該組成物は、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の角質溶解薬から成る、ことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記角質溶解薬はサリチル酸又は二硫化セレンである、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記角質溶解薬は二硫化セレンである、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記組成物中の二硫化セレンの濃度は約0.1%から約10%の間である、ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記組成物の投与は、結果としてマイボームの産生の増強をもたらす、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項26】
局所投与用の組成物は均質である、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項27】
局所投与用の組成物は分散液である、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項28】
局所投与用の組成物は親水性である、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項29】
局所投与用の組成物は油脂性基剤である、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記眼に許容可能な担体は、少なくとも1つの眼に許容可能な賦形剤を含む、ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<相互参照>
本出願は、2014年10月19日出願の米国仮特許出願第62/065,716号、及び2015年6月5日出願の米国特許出願第14/732,622号の利益を主張するものであり、それらはその全体によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
マイボーム腺機能不全、又はMGDは、ドライアイ症候群の主要原因であり、大抵は、マイボーム腺の末端の管の角化閉塞(keratinized obstruction)を特徴としている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される方法及び製剤よりも前に、マイボーム腺の角化閉塞の除去、又はマイボーム腺の更なる角化閉塞の予防を含む、MGDの処置に有用な薬剤は存在していなかった。マイボーム腺の角化閉塞を除去するための現行の技術は、物理的な除去法に限定されており、その中には患者がかなりの苦痛を感じるものもある。
【0004】
そのため、本明細書には、MGDを処置するための方法及び製剤が記載される。1つの実施形態において、必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する方法が提供され、該方法は、患者の眼瞼辺縁に到達する組成物を患者に局所投与する工程を含み、該組成物は、眼に許容可能な担体中に治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む。幾つかの実施形態において、角質溶解薬は、過酸化ベンゾイル、コールタール、ジトラノール、サリチル酸、二硫化セレン、アルファヒドロキシ酸、尿素、乳酸、チオグリコール酸ナトリウム、ジンクピリチオン、又は亜鉛L-ピロリドンカルボン酸である。幾つかの実施形態において、角質溶解薬は、サリチル酸又は二硫化セレンである。幾つかの実施形態において、角質溶解薬は二硫化セレンである。幾つかの実施形態において、組成物中の二硫化セレンの濃度は約0.1%から約10%の間である。幾つかの実施形態において、角質溶解薬はサリチル酸である。幾つかの実施形態において、前記組成物は、角化閉塞が緩和するまで患者へ局所投与される。幾つかの実施形態において、前記組成物は、角化閉塞が緩和した後に、周期的に患者へ局所投与される。幾つかの実施形態において、局所投与は単回投与である。幾つかの実施形態において、局所投与は周期的投与である。幾つかの実施形態において、周期的投与は1日1回である。幾つかの実施形態において、周期的投与は1日2回である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は半固形である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は均質である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は分散液である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は親水性である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は脂肪性基剤を有している。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体は、少なくとも1つの眼に許容可能な賦形剤を含む。幾つかの実施形態において、組成物の投与は、結果としてマイボーム産生の増強をもたらす。
【0005】
1つの実施形態において、必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する方法が提供され、該方法は、患者の眼瞼辺縁に到達する組成物を患者に局所投与する工程を含み、該組成物は、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の角質溶解薬から成る。幾つかの実施形態において、角質溶解薬は、サリチル酸又は二硫化セレンである。幾つかの実施形態において、角質溶解薬は二硫化セレンである。幾つかの実施形態において、組成物中の二硫化セレンの濃度は約0.1%から約10%の間である。幾つかの実施形態において、組成物の投与は、結果としてマイボームの産生の増強をもたらす。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は均質である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は分散液である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は親水性である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は脂肪性基剤を有している。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体は、少なくとも1つの眼に許容可能な賦形剤を含む。
【0006】
1つの実施形態において、(少なくとも部分的な)マイボーム腺の開口、(少なくとも部分的な)角化閉塞の開通、及び/又は、マイボーム腺内での後の角質閉塞(keratin obstructions)の予防(少なくともそのような閉塞がマイボーム腺機能不全に起因する程度まで)を可能にする、マイボーム腺開口薬剤を投与することによりMGDを処置する方法がある。1つの実施形態において、製剤は、治療上有効な量のマイボーム腺開口薬剤を含む。1つの更なる又は代替的な実施形態において、製剤は、マイボーム腺開口薬剤ではない付加的な治療剤を含む。1つの更なる又は代替的な実施形態において、製剤は、付加的なマイボーム腺開口薬剤を含む。1つの代替的な実施形態において、製剤は、付加的なマイボーム腺開口薬剤以外の任意の付加的な治療剤を含まない。1つの代替的な実施形態において、製剤は、マイボーム腺開口薬剤1つのみから成り、他の治療剤を含まない。前述の実施形態の何れかにおいて、製剤は随意に、眼に許容可能な担体を含む。1つの更なる実施形態において、眼に許容可能な担体は、眼に許容可能な賦形剤を含む。
【0007】
1つの態様において、本明細書に記載される方法及び製剤は、必要とする被験体のMGDの処置に有用な薬剤を含む。幾つかの実施形態において、本明細書に記載される製剤は、必要とする患者の眼瞼辺縁に適用される。幾つかの実施形態において、製剤の複数回の適用が必要とされる。
【0008】
幾つかの実施形態において、目は、必要とする被験体の目に薬剤が接触するのを妨げるために、少なくとも部分的に遮蔽される。更に、製剤との接触から目を遮蔽する装置と共に、本明細書に記載される製剤を含むキットが記載される。
【0009】
本明細書に記載される方法及び製剤は、治療レベルで活性な薬剤を含み、これは単独で、又は他の構成要素と組み合わせて、閉塞されたマイボーム腺を(少なくとも部分的に)開くか、又はマイボーム腺の更なる閉塞を(少なくとも部分的に)妨げるように作用する。更に、そのような活性剤は、目の表面に適用可能となるように(即ち、目の上皮表面に不適当な刺激又は混乱を引き起こさない)、且つ製剤との接触時に脂質産生細胞を損なうことなく、処方又は適用される。
【0010】
幾つかの実施形態において、製剤は、薬剤を投与する医師又は患者に許容可能且つ実用的な期間及び頻度で適用される。例えば医師は、数週間にわたって毎週又は週に2回、本明細書に記載される製剤を適用することで閉塞の(少なくとも部分的な)開口を誘発し、患者は日常的に異なる製剤を適用するか、又は、数週間にわたって日常的により強力な製剤を使用し、その後で日常的にあまり強力でない製剤を使用する。
【0011】
幾つかの実施形態において、適用方法は、活性剤の濃度、及び/又は、限定されないが眼の表面の遮蔽を含む処置が行われるMGDの重症度によって異なる。他の実施形態において、適用方法又は製剤は、処置効果を増強するために標的組織上での浸透又は滞留時間を増強するように、変更される。他の実施形態において、適用方法又は製剤は、必要な時間を最小限にするために標的組織上での浸透又は滞留時間を増強するように、変更される。他の実施形態において、適用方法又は製剤は、標的組織との接触を増加させ、その一方で目を含む非標的組織との接触を最小限にし、故に望まれない付随的な活性を制限又は減少させるために、処方される(例えば、粘度増強及び/又は皮膚接着)。
【0012】
本明細書に記載される方法及び製剤の特定の態様において、活性剤の濃度、及び同時製剤の構成要素は、治療効果を達成する一方で、任意の眼球刺激又は混乱、或いは周囲の眼の組織への刺激又は混乱を最小限にするために、最小有効濃度の活性剤を送達するように最適化される。本明細書に記載される方法及び製剤は、マイボーム腺の角化閉塞の(少なくとも部分的な)除去、又は、マイボーム腺の(少なくとも部分的な)更なる角化閉塞の予防のための手段である。
【0013】
製剤は、少なくとも1つのマイボーム腺開口薬剤を含む。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は、角質溶解薬及び/又は角質軟化(keratoplastic)薬である。幾つかの実施形態において、製剤内の角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は、マイボーム腺の管を開口する又はその開通を維持することに起因する活性剤である。
【0014】
幾つかの実施形態において、主として角質溶解効果を持つ薬剤が使用される。幾つかの実施形態において、主として角質軟化効果を持つ薬剤が使用される。幾つかの実施形態において、角質溶解効果と角質軟化効果の両方を持つ薬剤が使用される。幾つかの実施形態において、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は、マイボーム腺における脂質産生を増強する。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は麻酔薬である。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は抗炎症剤である。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は抗酸化剤である。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は、プロスタグランジンシンセターゼ(prostaglandin synthethase)の阻害剤である。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は、リポオキシゲナーゼ又はシクロオキシゲナーゼ酵素である。
【0015】
1つの態様において、本明細書には、必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する方法が記載され、該方法は、患者の眼瞼辺縁の少なくとも非粘膜上皮側に組成物を局所投与する工程を含み、該組成物は、眼に許容可能な方法又は製剤において適用される、治療上有効な量の少なくとも1つのマイボーム腺開口薬剤を含む。本明細書に記載される方法及び製剤の1つの態様において、該製剤は医薬賦形剤を含む。
【0016】
幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は、過酸化ベンゾイル、コールタール、ジトラノール、サリチル酸、二硫化セレン、二硫化セレンなどの無機セレン化合物、SeCl、NaSeO、エブセレン(2-フェニル-1,2-ベンズイソセレナゾール-3(2H)-オン)などの有機セレン化合物又はそのアナログ、アルファヒドロキシ酸、尿素、乳酸、或いはチオグリコール酸ナトリウムから選択される、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬である。幾つかの実施形態において、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は、過酸化ベンゾイル、コールタール、ジトラノール、サリチル酸、又は二硫化セレンから選択される。幾つかの実施形態において、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は、サリチル酸又は二硫化セレンである。幾つかの実施形態において、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬はサリチル酸である。幾つかの実施形態において、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は二硫化セレンである。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの角質溶解薬及び/又は角質軟化薬はサリチル酸である。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は二硫化セレンである。幾つかの実施形態において、サリチル酸は約0.1%から約30%までで存在する。幾つかの実施形態において、二硫化セレンは約0.1%から約10%までで存在する。
【0017】
幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は、アミノアミド局所麻酔薬及び/又はアミノエステル局所麻酔薬から選択される麻酔薬である。1つの実施形態において、アミノアミド局所麻酔薬又はアミノエステル局所麻酔薬は、約4%と約80%の間の濃度で存在する。1つの実施形態において、アミノアミド局所麻酔薬又はアミノエステル局所麻酔薬は、約6%と約60%の間の濃度で存在する。1つの実施形態において、アミノアミド局所麻酔薬又はアミノエステル局所麻酔薬は、約8%と約50%の間の濃度で存在する。1つの実施形態において、アミノアミド局所麻酔薬又はアミノエステル局所麻酔薬は、約10%と約40%の間の濃度で存在する。1つの実施形態において、アミノアミド局所麻酔薬又はアミノエステル局所麻酔薬は、約12%と約45%の間の濃度で存在する。1つの実施形態において、アミノアミド局所麻酔薬又はアミノエステル局所麻酔薬は、約14%と約40%の間の濃度で存在する。1つの実施形態において、製剤は、1より多くの局所麻酔薬を含む。
【0018】
幾つかの実施形態において、少なくとも1つのマイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所性投与は、週に2回行われる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのマイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所性投与は、1日おきに行われる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのマイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所性投与は、毎日行われる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのマイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所性投与は、1日数回行われる。
【0019】
幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は液体又は半固形である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は乳剤の半固形剤である。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物はクリームである。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物は軟膏である。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は組成物中で懸濁される。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物はローションである。幾つかの実施形態において、局所投与用の組成物はゲルである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に記載される方法及び製剤よりも前に、マイボーム腺の角化閉塞の除去、又はマイボーム腺の更なる角化閉塞の予防を含む、MGDの処置に有用な薬物は存在していなかった。
【0021】
マイボーム腺の角化閉塞を除去するための現行の技術は、苦痛を伴う物理的な除去法に限定される。そのため、本明細書には、角化閉塞の開通を可能にするマイボーム腺開口薬剤を投与することによりMGDを処置するとともに、マイボーム腺内の後の角質閉塞の構築を予防するための方法が記載される。本明細書に記載されるマイボーム腺開口薬剤は、例えば医師又は他の訓練された専門家による使用のための急性治療用の薬剤、及び、例えば医師、他の訓練された専門家、或いは患者による慢性治療用の薬剤を含む。特定のマイボーム腺開口薬剤が本明細書中で提供され、更に本明細書には、(例えば、実施例1及び2などの強力な薬剤の相対的な角質溶解活性の試験により)更なるマイボーム腺開口薬剤を確認するための方法及びアッセイが提供される。
【0022】
<マイボーム腺>
マイボーム腺は、眼瞼の中にある大きな脂腺であり、皮膚とは異なり、毛に付随していない。マイボーム腺は、涙液膜の脂質層を産生し、水相の蒸発に対するマイボーム腺の保護を行う。マイボーム腺開口部は、眼瞼縁の上皮側に位置しており、粘膜側から数百ミクロンしかない。この腺は上下両方の眼瞼に位置しており、上眼瞼により多くの量の腺がある。1つのマイボーム腺は、長い中央の管の周囲に環状に配され且つ短い小導管により長い中央の管に繋げられる、分泌腺房の集合体から成る。中央の管の末端部は上皮の内殖により覆われており、この内殖は、離れた眼瞼縁を覆うとともに、内蓋の辺縁付近の粘膜皮膚移行部のちょうど前に、眼瞼縁の後部に開口部として開く短い排出管を形成する。脂質から成る油の分泌物は、分泌腺房内で合成される。脂質分泌物は、体温付近では液体であり、「マイボーム」と呼ばれる透明な流体として眼瞼縁の皮膚に送達される。脂質分泌物は、上下の眼瞼縁上に浅いリザーバを形成し、コレステロール、ワックス、コレステロールエステル、リン脂質と、少量のトリグリセリド、トリアシルグリセロール、及び炭化水素との複雑な混合物から成る。別個のマイボーム腺が、平行に、及び上下の蓋における瞼板軟骨の長さにわたり一列に配されている。腺の範囲は、ほぼ瞼板軟骨の寸法に相当する。
【0023】
本明細書で使用されるような用語「角化閉塞」はマイボーム腺の遮断を指し、遮断の場所は問われない。幾つかの実施形態において、遮断が完全であり、一方で他の実施形態においては、遮断は部分的である。遮断の程度にかかわらず、そのような角化閉塞は、マイボーム腺機能不全の原因となる。幾つかの実施形態において、角化閉塞は、角化した物質と脂質から成る。幾つかの実施形態において、角化閉塞は、マイボーム腺の開口部及び排出管における遮断である。幾つかの実施形態において、角化閉塞は、眼瞼縁及びマイボーム腺での上皮の角化により引き起こされる。特定の例において、角質閉塞は、幹細胞の移動又は異常な分化により影響を受ける。幾つかの実施形態において、角化閉塞は結果として、眼瞼縁と涙液膜への油の送達を減少させるとともに、圧力上昇、結果として生ずる拡大、腺房萎縮、及び少量の分泌を引き起こす、マイボーム腺内部の停滞をもたらす。特定の例において、マイボーム腺の角化は、退行性の腺の拡大及び萎縮症を引き起こす。
【0024】
<マイボーム腺機能不全(MGD)>
本明細書で使用されるような用語「マイボーム腺機能不全」は、マイボーム腺の慢性でびまん性の異常を指し、これは、末端管の閉塞、又は腺の分泌物中の定質的或いは定量的変化、又はその両方を特徴としている。MGDは結果として、涙液膜の変化、眼刺激性症状、炎症、又は眼表面疾患をもたらし得る。MGDの最も顕著な態様は、マイボーム腺の開口部及び末端管の閉塞、及びマイボーム腺分泌物中の変化である。
【0025】
MGDは主としてドライアイ症候群に起因する。ドライアイ症候群の発症は広範囲であり、アメリカ合衆国だけで約2000万人の患者が影響を受けている。ドライアイ症候群は、不適切な涙の産生、又は目の表面からの水分の過剰な蒸発を結果としてもたらす、眼表面の障害である。角膜が血管を含まず、且つ酸素と栄養素を満たすのに涙に依存するため、涙は角膜の健康に重要である。涙と涙液膜は、脂質、水、及び粘液から成り、これらの何れかの混乱がドライアイを引き起こし得る。角化閉塞により引き起こされるような、マイボーム腺から流れる不適切な量の脂質が、過度の蒸発を引き起こし、それによりドライアイ症候群を引き起こし得る。
【0026】
MGDは、後部の眼瞼縁の炎症状態を説明する後部眼瞼炎と同義ではない。MGDは後部眼瞼炎を引き起こし得るが、MGDは必ずしも炎症又は後部眼瞼炎に関連するとは限らない場合もある。MGDはマイボーム腺の機能的異常も指す一方で、「マイボーム腺疾患」は、新生物及び先天性疾患を含む、広範囲のマイボーム腺の障害を説明する。MGDの臨床的兆候は、マイボーム腺の脱落、マイボーム腺分泌物の変化、及び眼瞼の形態の変化を含む。
【0027】
幾つかの実施形態において、マイボーム腺分泌物の変化は、瞼板軟骨に指圧を加えることにより物理的にマイボーム腺を圧搾することによって検出される。MGDのない被験体において、マイボームは透明な油のプールである。MGDにおいて、圧搾された物質の性質及び圧搾性の両方が変更される。変化したマイボームはマイボーム排出物としても知られており、変化した分泌物及び角化上皮物質の混合物で構成されている。MGDにおいて、圧搾された脂質の性質は、透明な流体から、粒子状物質、濃く不透明な練り歯磨きのような物質を含有する粘性流体まで、外観において変動する。マイボーム開口部は、眼瞼の表面準位より上の上昇を示しており、これは栓(plugging)又は膨れ(pouting)と称され、末端管の閉塞及びマイボーム脂質及び角化物質の混合物の突出によるものである。
【0028】
閉塞性MGDは、下記の全て又は一部を特徴とする:1)慢性的な眼部不快感、2)マイボーム腺開口部周囲の解剖学的異常(血管うっ血、粘膜皮膚移行部の前部又は後部の変位、眼瞼縁の不規則状態の1以上である)、及び3)マイボーム腺の閉塞(スリットランプ生体顕微鏡検査法による腺開口部の閉塞性の発見物(膨れ、栓、又は隆起)、中程度の指圧によるマイボーム圧搾の減少)。
【0029】
MGD症状を評価且つモニタリングするための現行の方法は、限定されないが、患者へのアンケート、マイボーム腺の圧搾、涙の安定性の破壊時間、及び指での圧搾に見られるような開通性の腺の数の判定を含む。
【0030】
幾つかの実施形態において、患者の症状は、患者に一連の問題を尋ねることにより評価される。アンケートは、眼部不快感に関連した様々な症状の評価を可能にする。幾つかの実施形態において、アンケートはSPEEDアンケートである。SPEEDアンケートは、患者のドライアイ症状の頻度と重症度を評価する。これは、当日、72時間後、及び3か月経過後の症状の発症を調べるものである。SPEEDスコアは、患者の症状の重症度の範囲をもたらすために、患者の質問に対する答えに基づいて集計される。SPEEDアンケートは、以下のような質問を含む:1)眼症状を経験したことがあるか?またそれはいつ生じたか?2)どれくらい頻繁に目の乾燥、砂っぽさ(grittiness)、又は引っ掻き感(scratchiness)を経験しているか?3)どれくらい頻繁に目の痛み又は刺激を経験しているか?4)どれくらい頻繁に目の火照り又は流涙を経験しているか?5)どれくらい頻繁に眼精疲労を経験しているか。及び6)症状の重症度はどれくらいか。
【0031】
マイボーム腺の圧搾性は随意に、マイボーム腺機能を評価するために判定される。標準の患者において、マイボームは透明から淡黄色までの油である。マイボームは、指圧が腺にかけられた時に腺から排出される。マイボーム腺の圧搾性の変化は、MGDの1つの潜在指標である。幾つかの実施形態において、圧搾中に、圧搾中に加えられた物理的な力の量の定量化が、脂質体積と脂質量の評価に加えてモニタリングされる。
【0032】
涙の安定性の破壊時間(TBUT)は、涙の安定性のためのサロゲートマーカーである。涙液膜の不安定性は、ドライアイとMGDにおける中心機構である。低いTBUTは、脂質層の不全(compromise)とMGDの可能性を示唆する。TBUTは、まばたきの後に涙液膜の最初の分解までの時間として定められるように、フルオレセイン分解時間の検査により随意に測定される。フルオレセインは、市販で入手可能なフルオレセインを浸み込ませたストリップを食塩水で湿らせることにより随意に適用され、且つ下位の円蓋又は眼球結膜に適用される。その後、患者は、数回まばたきし、且つ目を動かすことを求められる。次いで分解が、スリットランプ、コバルトブルーフィルタ、及び4mmのビーム幅により分析される。患者はまばたきするよう指示され、最後のまばたきの上昇運動から最初の涙液膜分解又はドライスポット形成までの時間が、測定値として記録される。
【0033】
MGD症状を評価するための他の方法は、限定されないが、シルマー試験、眼表面染色、眼瞼の形態分析、マイボグラフィー、マイボメトリー、インターフェロメトリー、エバポリメトリー、涙の脂質組成分析、蛍光分析、メニスコメトリー(meiscometry)、モル浸透圧濃度分析、涙液膜動態の指標、蒸発、及び涙のターンオーバー(turnover)を含む。
【0034】
MGDに対する現行の処置は、眼瞼の加温、眼瞼のマッサージ、眼瞼の予防衛生、眼瞼の圧搾、及びマイボーム腺のプロービングを含む。本明細書に記載されるものよりも前の薬理学的な方法は使用されていない。
【0035】
眼瞼の予防衛生は、MGDに対する一次処置と考慮され、3つの構成要素から成る:1)熱の適用、2)眼瞼の機械的なマッサージ、及び3)眼瞼の洗浄。眼瞼の加温手順は、病理学的に変更されたマイボーム脂質を溶かすことによりマイボーム腺分泌物を改善する。加温は、温湿布(compresses)又は装置により達成される。機械的な眼瞼の予防衛生は、スクラブの使用、機械的圧搾、及びまつ毛と眼瞼縁の様々な溶液による洗浄を含む。眼瞼縁も、低アレルギー性の固形石鹸、希釈された幼児用シャンプー、又は商用の眼瞼用スクラブにより随意に洗浄される。マイボーム腺の物理的圧搾は、医師のオフィスで行われるか、又は家で患者により行われる。この技術は、眼球に対する眼瞼の優しいマッサージから、互いに対する、又は、内眼瞼の表面上の固い物体と、指(親指)又は外眼瞼の表面上の固い物体(ガラス棒、綿棒(Q-tip)、又は金属製パドルなど)との間の眼瞼の強力なスクィージングまで異なる。内眼瞼の表面上の固い物体は、眼球が圧搾中に眼瞼を介して伝えられる力から保護し、それにより、安定した耐性をもたらし、腺に加えられる力の量を増大させる。
【0036】
眼瞼の加温は限定的であり、なぜならば加温は脂質を溶かすが、角化物質の移動には対処しないためである。更に、眼瞼の加温は、角膜の歪みにより一時的な視覚劣化を誘発する。閉塞を除去するのに必要とされる力は相当なものであり、その結果患者に相当な痛みがもたらされ得るので、機械的な眼瞼の予防衛生も限定的される。機械的な眼瞼の予防衛生の効果は、この手順中に関連する痛みに耐えることのできる患者に限定される。MGDの他の処置は限定されている。
【0037】
マイボーム腺の圧搾によるマイボーム腺閉塞の物理的な開口は、マイボーム腺分泌とドライアイ症状を改善するための許容可能な方法である。加えて、マイボーム腺管のプロービングは、閉塞された管を開くために使用さている。しかし、圧搾及びプロービングといった両方の方法は、手順により誘発された痛み、即ち腺及び管の構造に対して起こり得る物理的な傷害、並びに数日及び数週と推定されるその短命な効果により限定される。それ故、このような方法は、患者の快適さを改善することを必要とされ、つまりマイボーム腺と管に害をもたらさず、頻繁な来院への依存を減らすとともにマイボームの分泌を改善することを必要とされる。
【0038】
<マイボーム腺開口薬剤>
<角質溶解薬及び/又は角質軟化薬>
本明細書に記載される角質溶解薬及び角質軟化薬は、急性治療(例えば、訓練された専門家又は医師による)、或いは慢性治療(例えば、患者の手で、或いは代替的に訓練された専門家又は医師による)に有用である。この薬剤は、(例えば実施例に記載されるような)本明細書に記載されるアッセイと方法を使用して、特定の実施形態において試験される。
【0039】
1つの実施形態は、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、該方法はマイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与を含み、ここで、マイボーム腺開口薬剤は、角質溶解薬又は角質軟化薬である。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は、アラントイン、過酸化ベンゾイル、二硫化セレンなどの無機セレン化合物、SeCl、NaSeO、エブセレン(2-フェニル-1,2-ベンズイソセレナゾール-3(2H)-オン)などの有機セレン化合物又はそのアナログ、コールタール、ジトラノール、サリチル酸、二硫化セレン、アルファヒドロキシ酸、尿素、乳酸、チオグリコール酸ナトリウム、ジンクピリチオン、又は亜鉛L-ピロリドン(pyrrolodione)カルボキシラートから選択される角質溶解薬である。幾つかの実施形態において、角質溶解薬はレチノイン酸ではない。
【0040】
マイボーム腺を開くために使用される薬剤は、腺の中の脂質産生による腺の萎縮及び/又は妨害などの、最小限の望ましくない副作用を有していることが重要である。故に、幾つかの実施形態において、そのような望ましくない副作用を含む薬剤は、本明細書に記載される製剤の範囲内には含まれていない。一例として、レチノイン酸、又はレチノイン酸誘導体は、特定の患者における、又は特定の濃度或いは使用頻度での脂質産生による腺の萎縮及び/又は妨害を引き起こし得、そのため、幾つかの実施形態において、レチノイン酸、又はレチノイン酸誘導体は、本明細書に記載される製剤及び方法には使用されない。
【0041】
特定の実施形態において、軽度又は弱い角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は、例えば、低レベルの角質を産生する被験体により、本明細書に記載される方法と製剤に使用される。そのような軽度又は弱い角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は、維持療法の設定において随意に使用される。軽度又は弱い角質溶解薬及び/又は角質軟化薬は、より低濃度の活性な角質溶解薬及び/又は角質軟化薬、同様に、(例えば本明細書に記載されている方法により判定されるように)元々の活性が低い角質溶解薬及び/又は角質軟化薬を含む。特定の実施形態において、軽度又は弱い角質溶解薬及び/又は角質軟化薬はホウ酸ではない。
【0042】
1つの実施形態において、必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する方法が提供され、該方法は、患者の眼瞼辺縁に到達する組成物を患者に局所投与する工程を含み、該組成物は、眼に許容可能な担体中に治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む。1つの実施形態において、角質溶解薬は過酸化ベンゾイルである。別の実施形態において、角質溶解薬はコールタールである。別の実施形態において、角質溶解薬はジトラノールである。別の実施形態において、角質溶解薬はサリチル酸である。別の実施形態において、角質溶解薬は二硫化セレンである。別の実施形態において、角質溶解薬は硫化セレンである。本明細書で使用されるように、「硫化セレン」及び「二硫化セレン」という用語は、セレニウム対硫黄の比率が約1:2である式SeSを持つ化合物を指すように、互換的に使用される。別の実施形態において、角質溶解薬はジンクピリチオンである。別の実施形態において、角質溶解薬は亜鉛L-ピロリドンカルボン酸である。
【0043】
幾つかの実施形態において、1より多くの角質溶解薬が使用される。
【0044】
幾つかの実施形態において、角質閉塞への角質溶解薬の投与の結果、角化細胞間に固い結合を形成するデスモソームのタンパク質分解がもたらされる。幾つかの実施形態において、角質溶解薬の投与の結果、ジスルフィド結合の加水分解を含む溶解がもたらされる。幾つかの実施形態において、角質溶解薬の投与は、角質の産生を減少させる。
【0045】
1つの実施形態は、角質溶解薬を含む局所用組成物を投与することにより、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、角質溶解薬は過酸化ベンゾイルを含む。幾つかの実施形態において、組成物は、2.5%、5%、又は10%の過酸化ベンゾイルを含む。幾つかの実施形態において、過酸化ベンゾイルを含む組成物は、懸濁液、エマルジョン、クリーム、ローション、ゲル、又は軟膏である。幾つかの実施形態において、過酸化ベンゾイルを含む組成物は、1日おきで毎日1回、最初に清潔な皮膚へ薄層として適用され、次いで耐性が発達するにつれて毎日2回まで徐々に増やされる。
【0046】
1つの実施形態は、角質溶解薬を含む局所用組成物を投与することにより、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、角質溶解薬はコールタールを含む。幾つかの実施形態において、組成物は、コールタールの5%から10%の溶液を含む。幾つかの実施形態において、コールタールを含む組成物は、コールタールの少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、又はそれ以上の溶液である。1つの実施形態において、コールタールを含む組成物は、粗製のコールタールの1%の軟膏である。幾つかの実施形態において、コールタールは、DNA合成と有糸分裂活性を標準レベルに減らすことにより、上皮細胞の過剰な増殖を阻害する。
【0047】
1つの実施形態は、角質溶解薬を含む局所用組成物を投与することにより、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、角質溶解薬はジトラノールを含む。幾つかの実施形態において、組成物は、ジトラノールの0.1%から2.0%の軟膏を含む。幾つかの実施形態において、ジトラノールを含む組成物は、少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、又はそれ以上のジトラノールである。幾つかの実施形態において、ジトラノールを含む組成物は、0.1%の軟膏として開始される。7日後、濃度は0.25%に増大され、その後二倍にされ得、必要であれば毎週の間隔で2%の最大強度に増大され得る。幾つかの実施形態において、軟膏の薄層は、2-4週間にわたり影響を受けた領域に毎日1回適用される。幾つかの実施形態において、軟膏は、前記領域が完全にすすがれる前に、10~20分間適所に残る。幾つかの実施形態において、ジトラノールは上皮細胞分裂を遅くするとともに、患者の上皮細胞の過剰な増殖と角化を阻害する。
【0048】
1つの実施形態は、角質溶解薬を含む局所用組成物を投与することにより、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、角質溶解薬はサリチル酸を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、0.1%から6%のサリチル酸を含む。幾つかの実施形態において、組成物は、少なくとも0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、又はそれ以上のサリチル酸を含む。幾つかの実施形態において、サリチル酸を含む組成物は、軟膏又はペーストである。幾つかの実施形態において、サリチル酸を含む組成物は、最初に2%の軟膏又はペーストの薄層として適用されるとともに、毎日適用される。幾つかの実施形態において、濃度は徐々に最大5%に増大され、処置は必要とされる限り長い間継続される。
【0049】
1つの実施形態は、角質溶解薬を含む局所用組成物を投与することにより、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、角質溶解薬は二硫化セレンを含む。幾つかの実施形態において、組成物は、0.1%から10%の二硫化セレンを含む。幾つかの実施形態において、組成物は少なくとも0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、又はそれ以上の二硫化セレン含む。幾つかの実施形態において、二硫化セレン含む組成物は半固形である。幾つかの実施形態において、二硫化セレン含む組成物はローションである。幾つかの実施形態において、二硫化セレン含む組成物はクリームである。幾つかの実施形態において、二硫化セレン含む組成物は軟膏である。幾つかの実施形態において、二硫化セレン含む組成物は懸濁液である。幾つかの実施形態において、二硫化セレン含む組成物は溶液である。幾つかの実施形態において、二硫化セレン含む組成物は、マイボーム腺からの脂質産生を増強する。
【0050】
幾つかの実施形態において、組成物は、プロスタグランジンシンターゼ、即ちプロスタグランジンの産生に関与する酵素の阻害剤である、無機セレン化合物を含む。この阻害作用を実証するセレン化合物は、SeClとNaSeOを含む。プロスタグランジンの炎症促進性作用が、角化を増強し、それ故、プロスタグランジンの産生に干渉するこのような水溶性の無機セレン化合物は、角化を減少させるのに有用であり得る。
【0051】
幾つかの実施形態において、組成物は、有機セレン化合物を含む。エブセレンなどの有機セレン化合物は、シクロオキシゲナーゼとリポオキシゲナーゼの酵素を阻害するとともに、膜結合リン脂質及びコレステロールエステルを含むヒドロペルオキシドと同様に、過酸化水素のスカベンジャーとして作用する、抗酸化剤及び抗炎症剤である。抗炎症薬は、角化を阻害すると知られており、それ故、エブセレン及び他の有機セレニウムアナログは、この抗酸化剤/抗炎症作用を通じて角質溶解薬として作用し得る。
【0052】
幾つかの実施形態において、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬を含む製剤は更に、マイボーム腺開口薬剤ではない付加的な治療剤を含む。幾つかの実施形態において、前記製剤は、ホホバワックス又はホホバ抽出物を含んでいない。幾つかの実施形態において、前記製剤はホウ酸を含んでいない。幾つかの実施形態において、前記製剤は、レチノイン酸を含んでいない。代替的に、幾つかの実施形態において、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬を含む製剤は、任意の付加的なマイボーム腺開口薬剤以外の、任意の付加的な治療剤を除外する。
【0053】
<局所麻酔薬>
1つの実施形態は、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、該方法はマイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与を含み、ここで、マイボーム腺開口薬剤は局所麻酔薬である。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤は、アミノアミド局所麻酔薬又はアミノエステル局所麻酔薬から選択される局所麻酔薬である。
【0054】
本明細書で使用されるような用語「局所麻酔薬」は、痛覚の可逆的な欠如を誘発する薬剤を指す。幾つかの実施形態において、局所麻酔薬はまた、痛覚の可逆的な欠如の誘発に加えて、一時的な筋麻痺を誘発し得る。
【0055】
本明細書に記載される局所麻酔薬は、例えば医師又は他の訓練された専門家のガイダンスの下で、主に救急治療として有用である。この薬剤は、(例えば実施例に記載されるような)本明細書に記載されるアッセイと方法を使用して、特定の実施形態において試験される。
【0056】
幾つかの実施形態において、局所麻酔薬はアミノアミドである。幾つかの実施形態において、局所麻酔薬はアミノエステルである。幾つかの実施形態において、局所麻酔薬は2つ以上の局所麻酔薬の組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、前記組み合わせは、アミノアミド局所麻酔薬とアミノエステル局所麻酔薬を含む。
【0057】
幾つかの実施形態において、局所麻酔薬は、以下から成る群から選択されるアミノエステルである:ベンゾカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、ジメトカイン、ラロカイン、ピペロカイン、プロポキシカイン、プロカイン、ノボカイン、プロパラカイン、テトラカイン、及びアメソカイン。
【0058】
幾つかの実施形態において、局所麻酔薬は、以下から成る群から選択されるアミノアミドである:アルチカイン、ブピカイン、シンコカイン、ジブカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、リグノカイン、メピバカイン、プリロカイン、ロピバカイン、トリメカイン。
【0059】
幾つかの実施形態において、局所麻酔薬は、リドカインとプリロカインの組み合わせ、又はリドカインとテトラカインの組み合わせである。
【0060】
幾つかの実施形態において、局所麻酔薬は、天然由来の局所麻酔薬である。幾つかの実施形態において、天然由来の局所麻酔薬は、以下から成る群から選択される:サキシトキシン、ネオサキシトキシン、テトロドトキシン、メントール、オイゲノール、及びコカイン。
【0061】
幾つかの実施形態において、局所麻酔薬は、血管を収縮させることにより局所麻酔の持続時間を増大させるために、血管収縮薬と混合される。幾つかの実施形態において、塩酸プリロカインはエピネフリンと混合される。幾つかの実施形態において、リドカイン、ブピバカインは、エピネフリンと混合される。幾つかの実施形態において、イオントカイン(iontocaine)は、リドカイン及びエピネフリンと混合される。幾つかの実施形態において、セプトカインは、アルチカインとエピネフリンの組み合わせと混合される。幾つかの実施形態において、局所麻酔薬であるブピカイン又はリドカインは、ステロイドと組み合わせて混合される。
【0062】
<医薬賦形剤>
他の実施形態において、本明細書に記載される局所組成物は、薬学的に適切又は許容可能な担体(例えば、薬学的に適切な(又は許容可能な)賦形剤、生理学的に適切な(又は許容可能な)賦形剤、又は生理学的に適切な(又は許容可能な)担体)と組み合わせられる。典型的な賦形剤は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro, 21st Ed. Mack Pub. Co., Easton, PA (2005))に記載されている。
【0063】
<マイボーム腺開口薬剤を利用する処置方法>
本明細書には、必要とする患者のMGDを処置する方法が記載され、該方法は、必要とする患者の眼瞼辺縁へのマイボーム腺開口薬剤の局所投与を含む。2つの潜在的な投与の分類が存在する。その1つは、医療従事者の支援により生じるものであり:この分類は、マイボーム腺開口薬剤の急性的及び維持的な使用を含んでいる。急性的使用は、1つの実施形態において、(薬剤の濃度又は薬剤本来の活性のいずれかにおいて)より強力なマイボーム腺開口薬剤を必要とする。維持的使用は、1つの実施形態において、より低濃度の薬剤の使用、又は元々活性が低い薬剤の使用を可能にする。維持的使用は、1つの実施形態において、医療従事者への定期的な訪問時に患者を巻き込む。急性的使用と維持的使用の両方は随意に、目を保護する装置又は器具の使用を含む。1つの実施形態において、急性的使用は医療従事者により行われ、維持的使用は患者又は非医療従事者により行われる。第2の潜在的な投与の分類は、医療従事者の積極的な支援では生じず、むしろ、自身の眼瞼辺縁にマイボーム腺開口薬剤を適用する患者を巻き込むものである。1つの実施形態で、そのような投与は長期間にわたって生じる;この患者に投与された複数回投与の形態を説明する1つの方法は、慢性的使用である。通常、マイボーム腺開口薬剤の異なる又は第2の製剤が、慢性的又は患者に投与される使用に推奨される。1つの実施形態において、異なる又は第2の製剤は、より低濃度のマイボーム腺開口薬剤を使用する。別の実施形態において、第2又は異なる製剤は、第1の製剤よりも活性が低い、マイボーム腺開口薬剤を使用する。
【0064】
本発明の方法はまた、マイボーム腺中の閉塞の物理的な除去、その後での本明細書に記載されるマイボーム腺開口薬剤の慢性的及び/又は維持的な投与を含むことを、理解されたい。
【0065】
1つの実施形態は、必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する方法を提供し、該方法は、患者の眼瞼辺縁に到達する組成物を患者に局所投与する工程を含み、ここで、前記組成物は、眼に許容可能な担体中に治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む組成物の局所投与は、マイボーム産生の増強を結果としてもたらす。
【0066】
幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む組成物の局所投与は、角化閉塞が軽減されるまで行われる。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む組成物の局所投与は、角化閉塞の軽減後に周期的に行われる。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む組成物の局所投与は、単回投与である。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む組成物の局所投与は、周期的投与である。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む組成物の局所投与は、1日1回行われる。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む組成物の局所投与は、1日2回行われる。
【0067】
幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む、局所投与用の組成物は、半固形である。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む、局所投与用の組成物は、均質である。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む、局所投与用の組成物は、分散液である。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む、局所投与用の組成物は、親水性である。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む、局所投与用の組成物は、油脂性基剤を有している。幾つかの実施形態において、眼に許容可能な担体中の治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含む、局所投与用の組成物は、少なくとも1つの眼に許容可能な賦形剤を有している。
【0068】
1つの実施形態は、必要とする患者のMGDを処置する方法を提供し、該方法はマイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与を含む。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与は、週に1回行われる。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与は、週に2回行われる。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与は、隔日ごとに行われる。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与は、毎日行われる。幾つかの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物の局所投与は、1日数回行われる。
【0069】
幾つかの実施形態において、前記方法は、急性処置のシナリオにおける処置を含む。別の実施形態において、前記方法は、未処置の患者の処置を含む。別の実施形態において、前記方法は、慢性処置のシナリオにおける処置を含む。別の実施形態において、前記方法は、維持療法のシナリオにおける処置を含む。急性処置のシナリオにおいて、投与されるマイボーム腺開口薬剤の用量は、慢性処置のシナリオ又は維持療法のシナリオで利用されるマイボーム腺開口薬剤の投与量よりも多くてもよい。急性処置のシナリオにおいて、マイボーム腺開口薬剤は、慢性処置のシナリオで利用されるマイボーム腺開口薬剤とは異なるものでもよい。幾つかの実施形態において、治療の過程は、急性処置のシナリオとして治療の初期段階において始まり、後に慢性処置のシナリオ又は維持療法のシナリオへと推移する。幾つかの実施形態において、急性処置のシナリオにおいて投与されるマイボーム腺開口薬剤は局所麻酔薬であり、慢性処置のシナリオ又は維持療法のシナリオにおいて投与されるマイボーム腺開口薬剤は、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬である。幾つかの実施形態において、急性処置のシナリオにおいて投与されるマイボーム腺開口薬剤は角質溶解薬及び/又は角質軟化薬であり、慢性処置のシナリオ又は維持療法のシナリオにおいて投与されるマイボーム腺開口薬剤は、角質溶解薬及び/又は角質軟化薬である。
【0070】
特定の臨床症状において、患者は、本明細書に記載される治療剤の1つのより高濃度の製剤を配することにより最初にマイボーム腺の遮断を開くために、医師又は医療従事者により施される初期治療を必要とし得る。この事象において、より高濃度の製剤が必要とされ、その適用は、眼表面又は周囲の組織の刺激又は混乱の影響を最小化するために、眼の遮蔽又は他の活動を必要とし得る。そのような手順に従い、患者は、マイボーム腺の開通性を維持するために、家に持ち帰って眼瞼縁へ周期的に適用するための、活性剤の異なる製剤を提供され得る。そのような適用は、製剤の活性及び治療の所望の産生物の特性に依存して、1日2回、1日1回、毎週、又は毎月行われてもよい。
【0071】
本明細書に記載される処置方法の1つの態様は、組成物の局所投与の位置である。1つの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物は、目に対する刺激が生じないように投与される。1つの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物は、眼瞼縁に投与される。
【0072】
本明細書に記載される処置方法の付加的な1つの実施形態は、目に対する刺激を回避するように目に提供される保護要素の使用である。本明細書に記載される製剤は通常、非刺激的なものではあるが、幾つかの実施形態において(例えば、高濃度の薬剤、又は敏感な目に使用された場合)、保護要素は、患者のための安全性と快適さの付加的な層をもたらす。1つの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物が投与される一方で、目に対する刺激が低減されるように薬剤が角膜及び/又は結膜に接触するのを減らすために、目の遮蔽物が目に配される。幾つかの実施形態において、目の遮蔽物は、コンタクトレンズ又アイカバーである。幾つかの実施形態において、アイカバーは自己接着性を含む。1つの実施形態において、マイボーム腺開口薬剤を含む組成物が投与される一方で、目に対する刺激が低減されるように薬剤が角膜及び/又は結膜に接触するのを減らすために、眼瞼は眼球から引き離される。
【0073】
<特定の定義>
本明細書及び添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段に指定していない限り、複数の指示対象を含む。故に、例えば、「薬剤」への言及は、複数のそのような薬剤を含み、「細胞」への言及は、1以上の細胞(又は複数の細胞)、及び当業者に既知の同等物などへの言及を含む。分子量などの物理的特性、又は化学式などの化学的特性についての範囲が本明細書で使用されると、範囲及びその中の特異的な実施形態の全ての組み合わせ及びサブ組み合わせ(subcombinations)が含まれるように意図される。用語「約」は、数又は数値域への言及が、言及される数又は数値域を意味する場合、実験的な変形内の(又は統計的実験誤差内の)概算であり、故に、数又は数値域は、明示された数又は数値域の1%と15%の間で変わり得る。用語「含んでいる(comprising)」(並びに、「含む(comprise)」又は「含む(comprises)」、或いは「有している(having)」又は「含んでいる(including)」などの関連語)は、他の特定の実施形態において、例えば、本明細書に記載される任意の合成物、組成物、方法、又はプロセスの実施形態などが、記載された特徴「から成る」又はそれら「から本質的に成る」場合があるものを除外するようには意図されない。
【0074】
本明細書で使用されるような用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、又は「処置(treatment)」は、慢性又は急性の治療のシナリオにおいてMGDに関連する症状を減少、低減、軽減、改善、又は緩和することを含む。1つの実施形態において、処置は末端管の閉塞の減少を含む。
【0075】
用語「再発」又は「再発の減少」は、慢性治療のシナリオにおけるMGD症状の回帰を指す。
【0076】
用語「開口」は、閉塞されたマイボーム腺の管又は開口部の(少なくとも部分的な)洗浄、及び/又はマイボーム腺の管又は開口部の開通性の維持を指す。
【0077】
本明細書で使用されるような用語「角質溶解薬」及び/又は「角質軟化薬」は、角化閉塞を軟化、妨害、溶解、可溶化、又は緩和し、又は角化閉塞の形成を予防する薬剤を指す。具体的に、用語「角質溶解薬」は、角質の軟化と溶解を促進するために使用される薬剤を指し、用語「角質軟化薬」は、角質産生を減らすために使用される薬剤を指す。
【0078】
用語「ローション」はエマルジョン液の剤形を説明する。この剤形は通常、皮膚への外部適用のためのものである(US FDA Drug Nomenclature Monograph, number C-DRG-00201)。
【0079】
用語「クリーム」は、エマルジョンの半固形の剤形を説明し、通常は>20%の水、及び揮発性物質、及び/又は<50%の炭化水素、ビヒクルとしてワックス又はポリオールを含有している。クリームはローションよりも粘性である。この剤形は通常、皮膚への外部適用のためのものである(US FDA Drug Nomenclature Monograph, number C-DRG-00201)。
【0080】
用語「軟膏」は、半固形の剤形を説明し、通常は<20%の水、及び揮発性物質、及び/又は>50%の炭化水素、ビヒクルとしてワックス又はポリオールを含有している。この剤形は通常、皮膚又は粘膜への外部適用のためのものである(US FDA Drug Nomenclature Monograph, number C-DRG-00201)。
【0081】
用語「溶液」は、溶媒、又は互いに混和する溶媒の混合物において溶解する1以上の化学物質を含有する、透明で均質な液体の剤形を説明する(US FDA Drug Nomenclature Monograph, number C-DRG-00201)。
【0082】
用語「懸濁液」は、沈澱には十分に大きな固形微粒子を含有する不均一な混合物を指す。
【実施例0083】
<実施例1:前腕(forearm)と眼瞼における角質除去に対する二硫化セレンとサリチル酸の効果>
この研究の目的は、リサミングリーンの除去により検出されるような、角質除去に対する潜在的な角質溶解薬の効果を評価することであった。リサミングリーンは角質を染色する。
【0084】
この研究のために以下の試薬を使用した:1%のサリチル酸(SA)、2.5%の二硫化セレン(SD)、1:10に希釈した二硫化セレン(SD/10)、クエン酸とサリチル酸を含んでいる石鹸(SK)、ティアレスシャンプー(SS)、及びリサミングリーン(LG)。
【0085】
<研究#1:前腕A>
LGは角質を染色し、従ってそれを用いて、LGの5つの角質スポット(2.5cm×2.5cm)を除去する能力に対する様々な薬剤の有効性を評価した。LGを、2人の被験体の両腕の各々に適用した。各スポットを、反対側の前腕における反対側のスポットと比較した。異なる物質をLGスポットにわたって投与した。
【0086】
以下の比較スポットを分析した:SA対対照;SA対SK;SA対SD;SD対対照;SD対SK。
【0087】
適用の10分後、LG除去を評価するためにゴルフクラブ型スパッド(golf club spud)を用いて、各スポットに優しくスクラビング(×10)を行った。リサミンの色彩強度を各対の間で比較して、LG除去の程度を評価した(より優れた除去=より少数のLGのレムナントを、優れたものとして定めた)。
【0088】
結果は、被験体と、角質の除去の優位性の両方において同一であった。SA>対照;SA<SK;SA<SD;SD>対照;SDはSKにほぼ等しい。
【0089】
<研究#2:前腕B>
リサミングリーン(LG)適用の3つのスポット(2.5cm×2.5cm)を、1人の被験体の各前腕において行った。各スポットを、反対側の前腕における反対側のスポットと比較した。異なる物質をLGスポットにわたって投与した。以下の比較を分析した:SS対SK;SD対SD/10。
【0090】
適用の10分後、LG除去の程度を評価するためにゴルフクラブ型スパッドを用いて、各スポットに優しくスクラビング(×10)を行った。
【0091】
結果は以下のとおりであった:SS<SK;SD>SD/10
【0092】
<研究#3:前腕C>
リサミングリーン(LG)適用の4つのスポット(2.5cm×2.5cm)を、1人の被験体の前腕に適用した。SKを、10分、5分、3分、2分、及び1分にわたって適用した。
【0093】
各期間の終わりに、ゴールドクラブを用いて、物質をこすった(×10)。
【0094】
10及び5分の適用後、SKは角質を略完全に除去した。SKの3分の適用の結果、角質の優れた除去がもたらされた。SKの2分の適用は、角質の除去において最適以下であった。1分の適用は、角質の除去において不十分であった。
【0095】
<研究#4:眼瞼A>
この研究の目的は、被験体の目に適用されたSDの耐用性を調査することであった。SDの光層を、1人の被験体の下眼瞼に適用した。SDの適用の結果、すぐに激しい刺激がもたらされた。目を直ちに洗浄した。刺激して赤くなった目を約30分間持続させ、次いで鎮静させた。
【0096】
<研究#5:眼瞼B>
LGを1人の被験体の下眼瞼に適用した。SDは目に刺激的であるため、安全措置を取った。角膜上にコンタクトレンズ、その後で麻酔滴剤を配し、及びSDが眼瞼の上にある間に眼球から眼瞼を離すことにより、目の前面を保護した。SDを眼瞼の中央部位に適用し、一方で鼻及び耳の部分はLGのみで染色されたままであった。適用の10分後、下眼瞼全体にスポンジチップにより優しいスクラビング(×2)を行った。
【0097】
LG染色は、SDで処置された中央部位では完全に除去され、処置されなかった耳又は鼻の領域では除去されなかった。この手順中に、刺痛感が幾らか感じられたが、被験体はこれに耐えることができた。有害事象は生じなかった。
【0098】
<研究#6:眼瞼C>
LGを下眼瞼に適用した。SDを、眼瞼の鼻側の3分の1のところ(nasal third)に適用し、SD/10を耳側の3分の1のところに適用し、中央の3分の1のところはLGのみで染色したままであった。適用の10分後、下眼瞼にスポンジチップにより優しいスクラビング(×2)を行った。
【0099】
LG染色は、SDで処置された鼻側の3分の1のところにおいて完全に除去された。LG染色は、処置されなかった中央の3分の1のところでは除去されなかった。LG染色は、SD/10で処置された耳側の3分の1のところにおいて僅かに除去された。この手順は平穏無事で終わり、鼻側に軽微な熱傷が感じられたが(希釈していないSD)、耳側では感じられなかった(希釈したSD)。
【0100】
<研究1-6の結論>
結果は以下のことを実証した:
【0101】
1)二硫化セレン(2.5%の調製物)は目に対して非常に被刺激的であり、粘膜と角膜の接触、及び局所麻酔の使用を回避するためには、実質的な警戒を行うことなく適用することができない。
【0102】
2)推定された有効性の尺度は以下の通りであった(最も有効なものから有効でないものまで):(SD=SK)>(SD/10)=(SA)>(SS)>(対照)。
【0103】
3)石鹸(洗浄剤)だけでは、角質の除去に十分ではない。
【0104】
4)二硫化セレンとSK石鹸は、皮膚の角質除去に対して同じ効果を有していることが分かった。SK石鹸は、濃度が分かっていない2、3の角質溶解薬(サリチル酸及び恐らくクエン酸)を含有していることに注意されたい。
【0105】
5)SKの適用の持続時間は、その効果の判定に重要である。
【0106】
6)二硫化セレンは、眼瞼から角質を除去するのに非常に有効である。
【0107】
7)1:10に希釈した二硫化セレンは、希釈していないSD(2.5%)と比較して、前腕の皮膚の角質除去にはあまり効果が無いことが分かった。
【0108】
8)1:10に希釈した二硫化セレンは、希釈していないSD(2.5%)と比較して、眼瞼の角質除去にはあまり効果が無いが、対照よりも優れていることが分かった。
【0109】
<実施例2:MGDを患う患者の眼瞼辺縁にわたる二硫化セレン2.5%での処置に関する17日間の研究>
二硫化セレンの使用に関する新しい観察もなされ、少なくとも1つの活性剤が、付加的な機械的介入を必要とすることなくマイボーム腺中の閉塞を薬理学的に処置するのに有効であるという新たな仮説を生じさせた。
【0110】
ドライアイの兆候及び症状があるマイボーム腺疾患を患う8人の患者の片目を、2.5%の二硫化セレンを含む市販で入手可能な懸濁液で、17日間にわたり週に2回(合計5回の適用)処置した。懸濁液を5分間、処置した眼瞼辺縁の上に配した。他眼は処置せず、対照として使用した。2.5%の二硫化セレン懸濁液が眼瞼辺縁に適用された5つの処置セッションの後、ドライアイの兆候と症状は、対照である他眼と比較して著しく改善した。2.5%の二硫化セレンでの処置を受けた8人の患者の結果を、表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
<実施例3:高濃度局所麻酔剤クリーム(リドカイン23%及びテトラカイン7%の軟膏)での処置の効果>
機械的圧搾とプロービングを比較する研究を行った。両方の方法は患者にとって苦痛なものであるため、眼への使用に示されていない高用量の局所麻酔(リドカイン23%とテトラカイン7%の軟膏剤)を、何れかの手順の前に眼瞼に適用した。局所麻酔は、適用後も目から除去されなかった。麻酔剤の付加的な機構に関する新しい観察もなされ、少なくとも1つの活性剤が、マイボーム腺中の閉塞を薬理学的に処置するのに有効であるという新たな仮説を生じさせた。特定の事例のセットにおいて、局所麻酔薬は、更に機械的な介入を必要とすることなく、且つ腺の内容物の機械的な抜出を補助するために名目上快適さをもたらすこととは別に、腺の閉塞の軽減において完全な治療効果を有することが、観察された。
【0113】
MGDを患う2人の患者の両目の下眼瞼を、23%のリドカインと7%のテトラカインのクリームを2-3回適用することで局所的に処置した。クリームは眼瞼から除去されなかった。プロービングを片目に行い、一方で圧搾を他眼に行った。プロービングは両方の患者において成功した。圧搾は、1人の患者において部分的に成功し(圧搾可能な物質は腺の約50%から生じる)、圧搾可能な物質は、他の患者の目から生じなかった(例えば、腺が完全に遮断された)。この手順の数時間後、両方の患者は、おそらく麻酔クリームにより引き起こされる角膜剥離を示した。
【0114】
48時間後、両方の患者を再び診察した。遮断が完全な患者(患者#2)は、自身のマイボーム腺機能(開いた腺の数とマイボームの性質の組み合わせ)の劇的な(50%の)改善を実証し(96から52までのMGスコアの改善)、透明なマイボームは、多くの腺において軽く指で圧搾した後に示された。他の患者(患者#1)は、約25%の改善(46から36まで改善されたスコア)を示した。患者1と2の結果を表2に示す。
【0115】
他の9人の患者を、リドカイン4%を含む眼科用ゲルを用いて処置した。このようにマイボーム腺の遮断が存在する場合、マイボーム腺の機能の改善は観察されなかった。
【0116】
【表2】
【0117】
<実施例4:マイボーム腺の開通性に対する、高濃度局所麻酔剤クリーム(リドカイン23%及びテトラカイン7%の軟膏)での処置の効果>
MGDを患う4人の患者を、下眼瞼縁のみに対する眼科用の使用には示されない、高用量の局所麻酔(リドカイン23%とテトラカイン7%の軟膏)で処置した。眼瞼を眼球から引き離し、15分間下方の頬にテープで固定し(taped)、薬物と目の前面との間の直接的な接触を回避した。コンタクトレンズも、眼球の方へ幾らか漏出が生じる場合に薬物のための障壁として配され、高濃度の局所麻酔クリームが薄層として適用され、15分後に拭き取られた。この手順は有害事象を引き起こさなかった。結果を以下の表3に示す。患者#6において、有意なマイボーム腺機能の改善を観察した。研究対象の目にOculus M5 Kertometerを使用して、涙液メニスカスの高さの倍化を測定し、他眼において変化は観察されなかった。他の全ての患者において、どちらの目における涙液メニスカスのMGスコアの変化は観察されなかった。実施例5において、高濃度の局所麻酔が眼瞼に残り且つ拭き取られない一方で、この群の患者においては15分後に拭き取られたことを、注意されたい。
【0118】
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2023-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする患者のマイボーム腺機能不全を処置する製剤の製造のための組成物の使用であって、前記組成物は、眼に許容可能な担体中に治療上有効な量の少なくとも1つの角質溶解薬を含み、前記処置は、前記患者の眼瞼辺縁に届くように前記製剤を局所投与することを含む、使用。
【請求項2】
前記マイボーム腺機能不全は、角質閉塞によって特徴づけられる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記角質溶解薬は、油脂性基剤とともに投与される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記組成物は、半固形である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物は、分散液である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物は、均質である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記組成物は、親水性である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記組成物は、自己投与される、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記製剤は、医療従事者又は医師により投与される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記製剤は、前記患者の眼瞼に周期的に投与される、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記製剤は、前記患者の眼瞼に、1日1回投与される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記製剤は、前記患者の眼瞼に、1日おきに1回投与される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記製剤は、前記患者の眼瞼に、1週間に1回投与される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記製剤は、角化閉塞が緩和するまで、前記患者に投与される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記製剤は、角化閉塞が緩和した後に、周期的に前記患者に投与される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記角質溶解薬は、過酸化ベンゾイル、コールタール、ジトラノール、サリチル酸、二硫化セレン、アルファヒドロキシ酸、尿素、乳酸、チオグリコール酸ナトリウム、ジンクピリチオン、又は亜鉛L-ピロリドンカルボン酸である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記角質溶解薬は、無機セレン化合物である、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
前記無機セレン化合物は、硫化セレンである、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記硫化セレンは、二硫化セレンである、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記組成物中の前記二硫化セレンの濃度は、約0.1%から約10%である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記マイボーム腺機能不全は、慢性的な眼部不快感、マイボーム腺開口部周囲の解剖学的異常、マイボーム腺の閉塞、又はマイボーム産生の減少の1つ以上を含む、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項22】
前記マイボーム腺開口部周囲の解剖学的異常は、血管うっ血、粘膜皮膚移行部の前部又は後部の変位、もしくは眼瞼辺縁の不規則状態の1つ以上を含む、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記製剤は、マイボーム腺中の閉塞の物理的な除去の前に投与される、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
前記製剤の投与は、マイボーム産生の増強をもたらす、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の使用。
【外国語明細書】