(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062721
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】コンクリート補強用複合材料およびコンクリート補強筋
(51)【国際特許分類】
E04C 5/07 20060101AFI20230427BHJP
D07B 1/16 20060101ALI20230427BHJP
C04B 14/42 20060101ALI20230427BHJP
C04B 14/38 20060101ALI20230427BHJP
C04B 16/06 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
E04C5/07
D07B1/16
C04B14/42 Z
C04B14/38 Z
C04B14/38 A
C04B16/06 A
C04B16/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172774
(22)【出願日】2021-10-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、国立研究開発法人科学技術振興機構研究成果展開事業 センター・オブ・イノベーションプログラム「革新材料による次世代インフラシステムの構築~安全・安心で地球と共存できる数世紀社会の実現~」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】593165487
【氏名又は名称】学校法人金沢工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 久偉
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 潔
(72)【発明者】
【氏名】松本 大輝
(72)【発明者】
【氏名】山下 博
(72)【発明者】
【氏名】豊 秀喜
【テーマコード(参考)】
2E164
3B153
【Fターム(参考)】
2E164AA05
2E164AA11
2E164BA06
3B153AA02
3B153AA45
3B153CC12
3B153CC13
3B153CC23
3B153CC41
3B153CC42
3B153CC43
3B153EE15
3B153GG07
(57)【要約】
【課題】低コストで二次加工が容易な新たなコンクリート補強用複合材料を提供する。
【解決手段】コンクリート補強用複合材料10において、芯材12は、強化繊維の繊維束から形成される。熱可塑性樹脂の被覆層14は、芯材12を被覆する。芯材12には熱可塑性樹脂が含浸しており、被覆層14の厚さは85μm以上であり、芯材12の繊維体積含有率V
fが60%以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維の繊維束から形成された芯材と、
前記芯材を被覆する熱可塑性樹脂の被覆層とを含み、
前記熱可塑性樹脂は前記芯材に含浸しており、前記被覆層の厚さは85μm以上であり、前記芯材の繊維体積含有率Vfが60%以上であることを特徴とするコンクリート補強用複合材料。
【請求項2】
前記コンクリート補強用複合材料の非円率が1~5%であり、前記芯材の非円率が1~6%であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート補強用複合材料。
【請求項3】
前記強化繊維の撚り角度が0.087~15°であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート補強用複合材料。
【請求項4】
前記強化繊維の撚り角度が前記芯材の中心からの距離と比例することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコンクリート補強用複合材料。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコンクリート補強用複合材料。
【請求項6】
前記強化繊維は、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維およびアラミド繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコンクリート補強用複合材料。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコンクリート補強用複合材料を含むことを特徴とするコンクリート補強筋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート補強用複合材料およびコンクリート補強筋に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造体は、それに使用される鉄筋が水分や塩分などによって腐食を受けやすく経年劣化する。そのため、コンクリート構造物の長寿命化のために、鉄筋の代替物として繊維強化プラスチック(FRP)などの複合材料を使用することが提案されている。例えば、特許文献1には、熱硬化性樹脂を用いたコンクリート補強用材料が記載されている。特許文献1に記載のコンクリート補強用材料の製造においては、熱硬化性樹脂を強化繊維へ含浸させた後、熱による硬化反応により固まるまで時間を要するため、生産効率が低く、製造コストが高い。また、熱硬化樹脂は一度固まると加熱して柔らかくすることができないため、曲げ加工等の二次加工ができない。そのため、熱硬化性樹脂に代わって熱可塑性樹脂を含浸させたコンクリート補強用材料が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱可塑性樹脂を含浸させたコンクリート補強用材料において、耐アルカリ性およびハンドリング性に改善の余地がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、耐アルカリ性およびハンドリング性が良好な熱可塑性樹脂を含浸させたコンクリート補強用複合材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、コンクリート補強用複合材料である。このコンクリート補強用複合材料は、強化繊維の繊維束から形成された芯材と、芯材を被覆する熱可塑性樹脂の被覆層とを含み、熱可塑性樹脂は前記芯材に含浸しており、被覆層の厚さは85μm以上であり、芯材の繊維体積含有率Vfが60%以上である。
【0007】
本発明の他の態様は、コンクリート補強筋である。このコンクリート補強筋は、上記のコンクリート補強用複合材料を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐アルカリ性およびハンドリング性が良好な熱可塑性樹脂を含浸させたコンクリート補強用複合材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料の横断面の断面図である。
【
図2】実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料の縦断面の断面図である。
【
図3】実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料の製造装置を示す概略図である。
【
図4】
図3における引取機を説明するための図である。
【
図5】
図4に示すローラの角度を説明するための図である。
【
図6】実施例1、2、比較例1、2のFRPロッドのX線CT写真である。
【
図7】実施例3~7の撚り角度と中心からの距離との関係を示すグラフである。
【
図8】90度曲げおよび180度曲げしたBFPPを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面等を参照しながら、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0011】
(コンクリート補強用複合材料)
図1は、実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料の横断面の断面図である。
図2は実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料の縦断面の断面図である。
図1および
図2に示すコンクリート補強用複合材料(以下、単に複合材料とも称する)10は、強化繊維の繊維束から形成された芯材12と、芯材12を被覆する熱可塑性樹脂の被覆層14とを含む。
【0012】
芯材12には熱可塑性樹脂が含浸しており、被覆層14の厚さは85μm以上であり、芯材12の繊維体積含有率Vfが60%以上である。芯材12には熱可塑性樹脂が含浸し、被覆層の厚さおよびVfがこのような範囲内にあることによって、耐アルカリ性が高く、高強度であり、可撓性が高く、曲げ加工等の二次加工が可能なコンクリート補強用複合材料を提供できる。ここで、被覆層14の厚さは、20箇所で測定した被覆層の厚さであり、測定値すべてが85μm以上の範囲内にある。芯材の繊維体積含有率Vfは、複合材料の横断面のX線CT写真から算出した芯材に対する強化繊維の体積割合である。
【0013】
耐アルカリ性および強度をさらに向上させるという観点から、被覆層14の厚さは、好ましくは250μm以上、より好ましくは320μm以上である。
【0014】
コンクリート補強用複合材料10の非円率が1~5%であり、芯材12の非円率が1~6%であることが好ましい。コンクリート補強用複合材料10の非円率および芯材12の非円率がそれぞれ上記の範囲内にあることによって、複合材料の成形性を向上させることができる。具体的には、これらの非円率がそれぞれ上記の範囲内にあることで、被覆層の厚さが均一な断面となることで、繊維が表面から突出しにくくなり、ケバが抑えられる。ケバの抑制によって、含浸後の引抜成形工程においてダイスと繊維が接触することが抑制される。このため、繊維の断線を抑制でき、すなわち成形性を向上させることができる。
【0015】
非円率が低いほど、複合材料の横断面の形状が真円に近くなる。ここで、「非円率」は、以下の式によって算出される。
非円率(%)=(a-b)/c×100 (1)
式中、aは5箇所の横断面の長径の平均値、bは5箇所の横断面の短径の平均値、cは5箇所の横断面の平均径の平均値を示す。具体的には、a、bおよびcは、横断面のX線CT写真から次のようにして算出される。1つの横断面につき、長径、短径のそれぞれを3回ずつ(N=3)測定し、それぞれの平均値を算出する。さらに、測定した長径および短径すべて(9つの測定値)の平均値を平均径として算出する。5箇所の横断面の長径、短径および平均径のそれぞれを平均し、式(1)のa、bおよびcとする。コンクリート補強用複合材料の非円率は、この複合材料の芯材と被覆層の両方を含む5箇所の横断面のX線CT写真から算出される。芯材の非円率は、複合材料の横断面のX線CT写真において、被覆層を除いた芯材の5箇所の横断面から算出される。
【0016】
芯材12に含まれる強化繊維の撚り角度が0.087~15°であることが好ましい。撚り角度がこの範囲内であれば複合材料の成形性を向上させることができる。具体的には、強化繊維に撚りがかかることによって、引抜成形工程において繊維が中心に寄る。それ故に、引抜成形工程においてダイスと繊維との接触が抑制される。これにより、繊維の断線を抑制でき、すなわち成形性を向上させることができる。ここで、「撚り角度」とは、複合材料の縦断面の中心(芯材の中心)に近い箇所から被覆層に近い箇所において3点計測した繊維の撚り角度の平均値である。複合材料の径が細かい(例えば)場合、中心からの距離0.25mmから0.25mm間隔で撚り角度の計測を行い、各距離にて3点の平均値を求める。複合材料の径が太い場合、中心からの距離0.5mmから0.5mm間隔で撚り角度の計測を行い、各距離にて3点の平均値を求める。このように中心から被覆層に近い箇所まで等間隔で測定した撚り角度すべてが上記範囲内にあることが好ましい。
【0017】
強化繊維の撚り角度が芯材の中心からの距離と比例することが好ましい。これによれば、複合材料の成形性およびハンドリング性を向上させることができる。
【0018】
熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。これによれば、安価で耐薬品性、耐水性に優れ、曲げ加工等の二次加工が容易な複合材料を提供することができる。ポリオレフィン系樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。より安価であることから、ポリプロピレンが好ましい。
【0019】
芯材12を形成する強化繊維は、ガラス繊維、バサルト繊維、炭素繊維およびアラミド繊維からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
強化繊維の繊維径、繊度、本数は目的の複合材料のサイズに応じて調整できる。例えば、繊維径は、7~19μmであってもよい。例えば、繊度は、2400~24000texであってもよい。例えば、本数は8000~120000本であってもよい。
【0021】
(コンクリート補強用複合材料の製造方法)
以下、実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料の製造方法について説明する。実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料は、引抜成形によって製造できる。
図3は、実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料の製造装置を示す概略図である。
図3に示す製造装置100は、ロービングヒーター102と、含浸ヘッド104と、押出機106と、ダイ108と、冷却装置110と、引取機112と、を備える。
【0022】
図1に示すように、強化繊維(ロービング)の繊維束(ロービング束)114は、予熱のためにロービングヒーター102に導かれる。ロービングヒーター102の下流側には含浸ヘッド104と、スクリュ116を備える押出機106とが設けられている。含浸ヘッド104には、溶融した熱可塑性樹脂(溶融樹脂)118が押出機106から連続的に供給されている。含浸ヘッド104の出口にはダイ108が取り付けられている。ダイ108は、含浸ヘッド104から引き取られる、撚りが付与された高温の樹脂含浸繊維束から形成されるコンクリート補強用複合材料120の賦形を行う。
【0023】
含浸ヘッド104の下流側には、含浸ヘッド11からの高温の複合材料120を冷却水中で冷却する冷却装置110が設けられている。冷却装置110の下流側には、1対のローラ122,124を備える引取機112が設けられている。引取機112は、ローラ122,124によって樹脂含浸繊維束に撚りを付与し、かつ上流側からの複合材料120を引き取る。
【0024】
図4は
図1における引取機を説明するための図である。
図5は
図2に示すローラの角度を説明するための図である。引取機15は、それぞれの回転軸線を平行な平面(水平面)上に保持し、かつ、該回転軸線を交差させた状態で上流側からの複合材料120を挟むように対向配置された一対のローラ122,124を備える。
図2における上側のローラ122の回転軸線と下側のローラ124の回転軸線とは、複合材料120の引き取り方向(走行方向)と直交する向きでなく、平面視において引き取り方向に対して互いに相反する方向に、かつ同角度をなして所定角度ずれた向きに設定されている。
【0025】
図5に示すように、平面視において、ローラ122(124)の回転軸線aと直交する線と、複合材料120の引き取り方向(走行方向)とのなす角度をローラ角度2θとして定めている。なお、金属製のローラ122,124は、ローラ表面(ローラ外周面)全体にわたってローレット加工による微小凹凸が形成されている。
【0026】
このように構成される製造装置100において、まず、繊維束114は、ロービングヒーター102によって加熱され、含浸ヘッド104内に導かれる。繊維束114は、押出機106から供給された高温の溶融樹脂118が充満されている含浸ヘッド104内で樹脂含浸を受けて、樹脂含浸繊維束が形成される。この樹脂含浸繊維束は、ローラ122,124による撚り動作によって、含浸ヘッド104内で撚りが生成し、成長する。このように、繊維束114に押出機106から供給された溶融樹脂118を含浸させつつ、樹脂含浸繊維束に撚りを付与し、撚りが付与された樹脂含浸繊維束から形成される複合材料120が含浸ヘッド104から連続的に引き取られる。
【0027】
含浸ヘッド104からダイ108を経て連続的に引き取られる高温の複合材料120は、冷却装置110によって冷却硬化されて、ローラ122,124へと導かれる。冷却装置110によって冷却された複合材料120に対して、所定の撚り角度θが設定されたローラ122,124により、撚り動作と引き取りとが行われる。このようにして実施の形態に係るコンクリート補強用複合材料を得ることができる。
【0028】
(コンクリート補強筋)
実施の形態に係るコンクリート補強筋は、上記のコンクリート補強用複合材料を含む。例えば、複合材料を素線とし、これを数本を束ねるか、または撚線加工することによって直径を鉄筋相当まで太くすることによって、コンクリート補強筋を得ることができる。実施の形態に係るコンクリート補強筋は、耐アルカリ性が高く、高強度であり、曲げ加工等の二次加工が容易であり、鉄筋よりも軽量である。また、実施の形態に係るコンクリート補強筋は、低コストで製造することができる。
【0029】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【実施例0030】
(FRPストランドロッドの製造)
株式会社神戸製鋼所製引抜成形装置を用いてFRPロッドを製造した。製造工程は
図3~5を参照して上記で説明した通りである。バサルト繊維(BF)を強化繊維に用いてFRPストランドロッドを5本(実施例1~3、比較例1、2)試作した。マトリクスには流動性の高いポリプロピレン(PP)に数%程度の相溶化剤を加えた。BFは繊維径17μm/繊度4800texを用いた。成形したFRPロッドは、X線CT(ZEOSS製)にて内部観察し、非円率、V
fを算出した。また、万能試験機(島津製作所株式会社製)を用いて引張試験を行い、荷重保持率をアルカリ浸漬後の引張破断荷重÷アルカリ浸漬前の引張破断荷重×100によって算出した。
【0031】
JIS A1193を準拠したFRPロッドの耐アルカリ性評価を行った。コンクリートの細孔溶液を模したアルカリ溶液を60℃、pH12.5~13.0に調整し、FRPロッドを恒温槽内で28日間浸漬した。その後、引張試験により荷重を測定した。測定結果を、「優秀」(荷重保持率が95%以上)、「良好」(荷重保持率が90~94%)、「不良」(荷重保持率が98%以下)の3段階で評価した。また、素手でFRPロッド表面を擦る感応評価とX線CTによる表面に繊維の突出の有無によってハンドリング性を、「優秀」(繊維が手に刺さらず、突出もない)、「良好」(繊維が手に刺さらないが、糸切れした細かな繊維の吐出が認められる)、「不良」(手に繊維が刺さる)の3段階で評価した。
【0032】
実施例1、2、比較例1、2のX線CT写真を
図6に示す。実施例1は、3本のロービング、ダイΦ4.8mmで製造したFRPロッドである。実施例2は、3本のロービング、ダイΦ5.0mmで製造したFRPロッドである。比較例1は、4本のロービング、ダイΦ4.8mmで製造したFRPロッドである。比較例2は、4本のロービング、ダイΦ5.0mmで製造したFRPロッドである。
図6から、実施例1、2ではPP樹脂による被覆層が確実に形成されているのが分かる。
【0033】
実施例1~3、比較例1、2のFRPロッドの特性を表1に示す。ここで、実施例3は4本のロービング、ダイΦ5.0mmで製造したFRPロッドである。
【表1】
【0034】
表1から、被覆層の厚さが85μm以上であり、かつ芯材のVfが60%以上である実施例1、2のFRPロッドは、比較例1、2と比較して強度、耐アルカリ性、ハンドリング性に優れていることが分かる。
【0035】
次に、以下のサンプルを試作した。試作したFRPロッドのX線CT(ZEOSS製)から、撚り角度(各距離ごとに3点計測し、3点の計測値を平均したもの)を算出した。
・実施例4
繊維:ガラス繊維(GF) 芯材Vf(X線CTによる画像解析により算出)80.2%、ローラ角度2θ(成形時)10度
・実施例5
繊維:GF 芯材Vf(X線CTによる画像解析により算出)63.9%、ローラ角度2θ(成形時)30度
・実施例6
繊維:GF 芯材Vf(X線CTによる画像解析により算出)82.5%、ローラ角度2θ(成形時) 60度
・実施例7
繊維:バサルト繊維(BF) 芯材Vf(X線CTによる画像解析により算出)80.5%、ローラ角度2θ(成形時) 30度
・実施例8
繊維:BF 芯材Vf(X線CTによる画像解析により算出)61.5%、ローラ撚り角度2θ(成形時)30度
【0036】
実施例4~8の撚り角度は以下の通りである。
・実施例4:0.87~3.82度(中心からの距離0.25、0.5、0.75、1.0mm)
・実施例5:1.59~5.61度(中心からの距離0.25、0.5、0.75mm)
・実施例6:3.38~14.27度(中心からの距離0.25、0.5、0.75mm)
・実施例7:1.9~10.46度(中心からの距離0.5、1.0、1.5mm)
・実施例8:3.11~14.78度(中心からの距離0.5、1.0、2.0、2.5mm)
実施例4~8の撚り角度と芯材中心からの距離との関係を
図7に示す。
図7から、撚り角度は、芯材中心からの距離と比例することが分かる。
【0037】
束と撚線加工により太径化したFRPロッド(バサルト繊維およびポリプロピレンによって形成されたもの,以下、BFPPとも称す)を作成した。BFPPのロープは、小松マテーレ株式会社の協力のもと撚線加工を行った。
図8は90度曲げおよび180度曲げしたBFPPを示す写真である。ヒートガンを用いた熱風により容易に曲げ加工ができることを確認した。