IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルナ輸送機用品株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-車両用扉 図1
  • 特開-車両用扉 図2
  • 特開-車両用扉 図3
  • 特開-車両用扉 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062745
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】車両用扉
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/00 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
B61D19/00 D
B61D19/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172825
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】502203015
【氏名又は名称】アルナ輸送機用品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】高野 直樹
(57)【要約】
【課題】接合不良を低減させることができる車両用扉を提供する。
【解決手段】車内側面板20と車外側面板21との間にハニカム芯材22を設けて車両用扉本体2を形成するにあたって、
車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって、該車内側面板20と該車外側面板21同士を接合している。そして、車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって、該車内側面板20と該車外側面板21同士を接合し、これによって、車両用扉本体2の外周枠(下横枠23c)の一部又は全部を形成している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内側面板と車外側面板との間にハニカム芯材を設けて車両用扉本体を形成するにあたって、
前記車内側面板及び/又は前記車外側面板を折り曲げ加工することによって、該車内側面板と該車外側面板同士を接合してなる車両用扉。
【請求項2】
前記車内側面板及び/又は前記車外側面板を折り曲げ加工することによって、該車内側面板と該車外側面板同士を接合し、これによって、前記車両用扉本体の外周枠の一部又は全部を形成してなる請求項1に記載の車両用扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の乗降口における引戸式扉等の車両側部出入り口に設置される車両用扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用扉として、例えば、特許文献1に記載のような車両用扉が知られている。この特許文献1に記載の車両用扉は、車内側面板と車外側面板との間にハニカム芯材を接合し、さらに、車内側面板と車外側面板との外周に外周枠を接合することによって扉本体を形成しているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-240449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のように、車内側面板と車外側面板との間にハニカム芯材を接合し、さらに、車内側面板と車外側面板との外周に外周枠を接合するようにすると、接合する部材が多いことから、接合不良が発生する可能性が高くなるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、接合不良を低減させることができる車両用扉を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1の発明によれば、車内側面板(20)と車外側面板(21)との間にハニカム芯材(22)を設けて車両用扉本体(2)を形成するにあたって、
前記車内側面板(20)及び/又は前記車外側面板(21)を折り曲げ加工することによって、該車内側面板(20)と該車外側面板(21)同士を接合してなることを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の車両用扉(1)において、前記車内側面板(20)及び/又は前記車外側面板(21)を折り曲げ加工することによって、該車内側面板(20)と該車外側面板(21)同士を接合し、これによって、前記車両用扉本体(2)の外周枠(23)の一部又は全部を形成してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
請求項1に係る発明によれば、車内側面板(20)と車外側面板(21)との間にハニカム芯材(22)を設けて車両用扉本体(2)を形成するにあたって、車内側面板(20)及び/又は車外側面板(21)を折り曲げ加工することによって、車内側面板(20)と車外側面板(21)同士を接合している。これにより、従来に比べ、接合する部材を少なくすることができることから、接合不良を低減させることができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、車内側面板(20)及び/又は車外側面板(21)を折り曲げ加工することによって、車内側面板(20)と車外側面板(21)同士を接合し、これによって、車両用扉本体(2)の外周枠(23)の一部又は全部を形成するようにしている。これにより、従来において、接合不良が発生する可能性が高くなる外周枠(23)の部材を少なくすることができるから、接合不良をより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用扉であって、車両用扉を車内側から見た正面図である。
図2図1に示すX1-X1線断面図である。
図3図1に示すX2-X2線断面図である。
図4図1に示すX3-X3線断面図を示し、(a)は戸尻側の断面図、(b)は戸先側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る車両用扉の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0014】
<車両用扉の説明>
図1及び図2に示すように、車両用扉1は、車両用扉本体2と、窓枠3と、窓ユニット4と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0015】
<車両用扉本体の説明>
車両用扉本体2は、図2及び図3に示すように、断面視細長矩形状で車内側に位置する車内側面板20と、断面視細長矩形状で車外側に位置する車外側面板21と、を有しており、この車内側面板20と、車外側面板21とは、それぞれ、例えば、ステンレスにて形成されている。そして、このような車内側面板20と車外側面板21との間には、図2に示すように、ペーパーハニカムからなるハニカム芯材22が設けられている。そしてさらに、車内側面板20と車外側面板21との間の外周部には、図1に示すように、外周枠23が形成されている。
【0016】
<外周枠説明>
ここで、本実施形態の特徴とするところは、外周枠23の形成に関するところであるため、この点、以下、詳しく説明することとする。
【0017】
外周枠23は、図1に示すように、図示右側に位置する戸先側縦枠23aと、図示左側に位置する戸尻側縦枠23bと、図示下側に位置する下横枠23cと、図示上側に位置する上横枠23dと、で構成されている。
【0018】
戸先側縦枠23aは、図4(b)に示すように、車内側面板20の右端部20aによって形成されている。すなわち、車内側面板20の右端部20aは、例えば、ヘミング曲げによって、図4(b)に示すように、180度車内側面板20側に折れ曲がって車内側面板20に重なるように第1右端部20a1を形成する。そして、その第1右端部20a1の端部を90度折り曲げ、第2右端部20a2を形成し、その第2右端部20a2の端部を90度折り曲げることによって、車外側面板21の右端部21aに重なるように第3右端部20a3を形成する。しかして、この第3右端部20a3が、車外側面板21の右端部21aに溶接等で接合されることによって、戸先側縦枠23aが形成されることとなる。なお、この戸先側縦枠23aには、図4(b)に示すように、断面視略コ字状の右補強部24Aが取り付けられている。すなわち、図4(b)に示すように、右補強部24AのL字状に折れ曲がった一端部24Aaが、ネジN1によって、第2右端部20a2に取り付けられる。しかして、このようにして、戸先側縦枠23aに右補強部24Aが取り付けられることとなる。また、戸先側縦枠23aには、図4(b)に示すように、車外側面板21の右端部21aに、止め金T及びネジN2によって、戸先ゴム24Bが取り付けられている。
【0019】
戸尻側縦枠23bは、図4(a)に示すように、車内側面板20の左端部20bと、車外側面板21の左端部21bとで形成されている。すなわち、車内側面板20の左端部20bは、図4(a)に示すように、90度折り曲げることによって、第1車内側左端部20b1を形成し、その第1車内側左端部20b1の端部を90度折り曲げることによって、車外側面板21の左端部21bに重なるように第2車内側左端部20b2を形成するようにしている。
【0020】
一方、車外側面板21の左端部21bは、図4(a)に示すように、90度折り曲げることによって、第1車内側左端部20b1に重なるように第1車外側左端部21b1を形成するようにしている。しかして、この第1車内側左端部20b1と第1車外側左端部21b1、さらに、第2車内側左端部20b2と車外側面板21の左端部21bとが、溶接等で接合されることによって、戸尻側縦枠23bが形成されることとなる。なお、この戸尻側縦枠23bには、図4(a)に示すように、断面視細長矩形状の風止めゴム25AがネジN3によって、断面視矩形状の左補強部25Bが図示しないネジによって、第1車内側左端部20b1及び第1車外側左端部21b1に取り付けられている。
【0021】
下横枠23cは、図2に示すように、車内側面板20の下端部20cによって形成されている。すなわち、車内側面板20の下端部20cは、例えば、ヘミング曲げによって、図2に示すように、180度車内側面板20側に折れ曲がって車内側面板20に重なるように第1下端部20c1を形成する。そして、その第1下端部20c1の端部を90度折り曲げ、第2下端部20c2を形成し、その第2下端部20c2の端部を90度折り曲げることによって、車外側面板21の下端部21cに重なるように第3下端部20c3を形成する。しかして、この第3下端部20c3が、車外側面板21の下端部21cに溶接等で接合されることによって、下横枠23cが形成されることとなる。なお、この下横枠23cには、第2下端部20c2にリベットRによって、断面視下向きコ字状の取付片26Aが取り付けられており、この取付片26Aには、断面視下向きコ字形の摺接部材26Bが嵌合されている。そして、下横枠23cの左側面(車内側)には、細長矩形状の下補強部26Cが立設されており、この下補強部26Cは、図2に示すネジN4によって、車内側面板20の下端部20c及び第1下端部20c1に取り付け固定され、ネジN5によって、車内側面板20に取り付け固定される。なお、この摺接部材26Bは、乗降口の下側レール(図示せず)に跨るようにして嵌め込まれることとなる。
【0022】
上横枠23dは、図3に示すように、断面視下向きコ字形のコ字枠23daにて形成されており、このコ字枠23daは、L字状に折り曲がった車内側面板20の上端部20dに溶接等によって接合されると共に、車外側面板21の上端部21dに溶接等によって接合されている。なお、コ字枠23daには、図3に示すように、ナットNAが溶接等で取り付け固定されている。
【0023】
かくして、このように、外周枠23を形成するにあたって、上横枠23dを除き、車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって、車内側面板20及び車外側面板21同士を溶接等によって接合するようにしている。これにより、従来に比べ、接合する部材を少なくすることができることから、接合不良を低減させることができる。
【0024】
<車両用扉本体の説明>
ところで、車内側面板20と車外側面板21との間には、図2に示すように、下横枠23cの上部側、及び、図3に示すように、上横枠23dの下部側に、断面視略コ字形のアルミニウム押出型材よりなる補強骨27が設けられている。そして、車内側面板20と車外側面板21との間には、図4(a)に示すように、戸尻側(図示左側)には、断面視左向きコ字形の戸尻側補強部28Aが設けられ、図4(b)に示すように、戸先側(図示右側)には、断面視右向きコ字形の戸先側補強部28Bが設けられている。
【0025】
<窓枠の説明>
窓枠3は、図2に示すように、車内側面板20と車外側面板21との間にあって、補強骨27より車両用扉本体2の中心側に溶接等によって取り付け固定される。このように取り付け固定される窓枠3は、図2に示すように、断面視直線状の周枠部30と、この周枠部30の図示右側に一体的に形成される車外側面板21に沿うように形成される断面視直線状の外フランジ部31と、この周枠部30の図示左側に一体的に形成される車内側面板20に沿うように形成される断面視直線状に形成される内フランジ部32と、この内フランジ部32の端部に断面視L字状に折れ曲がって一体的に形成される支持枠部33と、で構成されている。
【0026】
<窓ユニットの説明>
窓ユニット4は、図2に示すように、窓ガラスWが予め嵌め込まれているもので、このように窓ガラスWが予め嵌め込まれた窓ユニット4は、上記説明した窓枠3に、ボルトB等を用いて取り外し可能に取り付けできるようになっている。より詳しく説明すると、窓ユニット4は、図2に示すように、窓枠3の支持枠部33に載置可能な断面視略コ字状の取付枠40と、窓ガラスWの車外側の周縁を支持する断面視台形状の支持枠41と、取付枠40と支持枠41とを連結する断面視直線状の連結枠42と、で構成されている。この取付枠40は、窓枠3の支持枠部33に載置され、取付枠40内にボルトBが嵌め込み可能となっており、もって、取付枠40内に嵌め込まれたボルトBによって、取付枠40は、窓枠3の支持枠部33に取り付け固定されることとなる。そして、図2に示すように、この取付枠40の内周縁部40a側には、窓ガラスWが嵌め込まれている。この際、窓ガラスWの外周面Waと、取付枠40の内周縁部40aとの間には、図2の下部側に短片状のパッキン43が挿入されて設けられており、図3の上部側に短片状の水密シール材44が挿入されて設けられている。なお、ボルトBを取り付けた後、取付枠40の内周縁に亘って、図2図4に示すように、化粧ゴムBaを取り付けることができるようになっている。
【0027】
一方、図2に示すように、取付枠40の内周縁部40a側に嵌め込まれた窓ガラスWの車外面Wb側には、窓ガラスWと支持枠41との間に、連結枠42に接するように短片状のパッキン45が挿入されて設けられ、さらに、パッキン45に接し車両用扉本体2の中心側に位置するように台形状の水密シール材46が挿入されて設けられている。
【0028】
かくして、このように構成される窓ユニット4は、窓ガラスWが予め嵌め込まれた状態で形成されているものである。それゆえ、このような窓ユニット4を、車両用扉本体2に設置するにあたっては、窓枠3の支持枠部33に、取付枠40を載置し、その取付枠40内にボルトBを挿入することによって、取付枠40が、窓枠3の支持枠部33に取り付け固定されることとなる。これにより、窓ユニット4は、窓枠3に取り付け固定されることとなるから、図2に示すように、窓ユニット4を、車両用扉本体2に設置することができる。なお、この際、図2に示すように、車外側面板21の内周面と、支持枠41との間には、短片状の水密シール材47が挿入されて設けられることとなる。
【0029】
ところで、車両用扉本体2に設置された窓ユニット4を取り外すにあたっては、化粧ゴムBaを取付枠40内から取り外すと共に、ボルトBを取付枠40内から取り外すようにすれば良い。このようにすれば、取付枠40が、窓枠3の支持枠部33の取り付けから開放されることとなるから、窓ユニット4は、窓枠3の取り付け固定から開放されることとなる。これにより、車両用扉本体2に設置された窓ユニット4を、車両用扉本体2から取り外すことができる。
【0030】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、車内側面板20と車外側面板21との間にハニカム芯材22を設けて車両用扉本体2を形成するにあたって、車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって、車内側面板20と車外側面板21同士を接合している。これにより、従来に比べ、接合する部材を少なくすることができることから、接合不良を低減させることができる。
【0031】
なお、本実施形態において示した車両用扉1は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、外周枠23を形成するようにあたって、上横枠23dだけコ字枠23daを用いて形成するようにしたが、それに限らず、上横枠23dも車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって形成するようにしても良い。また、上横枠23dに限らず、戸先側縦枠23a,戸尻側縦枠23b,下横枠23cの何れでも、すなわち、外周枠23の一部を車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって形成するようにしても良い。
【0032】
また、本実施形態においては、車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって外周枠23を形成するようにしたが、それに限らず、車両用扉本体2を形成するにあたって、外周枠23以外の部材を、車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって形成するようにしても良い。しかしながら、従来において、外周枠23を接合する際、接合不良が発生する可能性が高くなるから、車内側面板20及び/又は車外側面板21を折り曲げ加工することによって外周枠23を形成するのが好ましい。
【符号の説明】
【0033】
1 車両用扉
2 車両用扉本体
20 車内側面板
21 車外側面板
23 外周枠
23a 戸先側縦枠
23b 戸尻側縦枠
23c 下横枠
23d 上横枠
図1
図2
図3
図4