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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062783
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】開口制限装置
(51)【国際特許分類】
   E05C 17/60 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
E05C17/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172881
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 征生
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 隆之
(57)【要約】
【課題】窓の開口幅を制限する開口制限状態に自動的に切り替えることができる開口制限装置を提供すること。
【解決手段】開口制限装置は、開口制限ストッパー4とアーム32とを備える。開口制限ストッパー4は、内召合せ框24Bに取り付けられるベースと、突出方向および没入方向に移動可能に保持され、係合部65を有するラッチフック60と、ラッチフック60を突出方向に付勢するコイルバネ90と、ラッチフック60を没入方向に移動可能な操作つまみ70とを備える。アーム32は、係合部65が挿入可能な挿入孔と、挿入孔から連続する長孔とを備え、障子のスライド方向に揺動自在に設けられる。係合部65は、障子を閉めた際にアーム32に当接してラッチフック60を没入方向に移動させる傾斜部67と、係合部65が長孔に位置する場合は没入方向に移動できないようにアーム32に係止される係止片部68とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内障子および外障子の少なくとも一方の障子がレールに沿ってスライド移動される窓に用いられる開口制限装置であって、
前記内障子の内召合せ框に取り付けられる開口制限ストッパーと、
前記外障子の外召合せ框に取り付けられるアームとを備え、
前記開口制限ストッパーは、
前記内召合せ框に取り付けられるベースと、
前記ベースに対して室外側に向かう突出方向および室内側に向かう没入方向に移動可能に保持され、前記アームに係合される係合部を有するラッチフックと、
前記ラッチフックを前記突出方向に付勢する付勢部材と、
前記ラッチフックを前記没入方向に移動可能な操作部材と、を備え、
前記アームは、
前記係合部が挿入可能な挿入孔と、前記挿入孔から連続する長孔とを備え、前記障子のスライド方向に揺動自在に設けられ、
前記係合部は、
前記障子を閉めた際に前記アームに当接して前記ラッチフックを前記没入方向に移動させる傾斜部と、
前記傾斜部の先端に連続して形成され、前記係合部が前記長孔に位置する場合は前記没入方向に移動できないように前記アームに係止される係止片部と、を備える
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開口制限装置において、
前記ラッチフックは、本体部と、前記係合部とを備えて構成され、
前記係合部は、
曲面部および平面部を備えて略半円柱状に形成されて、前記本体部の室外面から前記室外側に延出された軸部を有し、
前記係止片部は、前記軸部の先端に形成され、前記室外側から見た正面視で略半円状に形成され、
前記傾斜部は、前記係止片部および前記軸部の平面部に連続して形成され、前記係止片部から前記本体部の前記室外面まで連続して略円弧状に形成された当接面を備える
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の開口制限装置において、
前記アームは、
前記挿入孔および前記長孔が形成されたアーム本体と、
前記アーム本体の側面に設けられて、前記各障子を全閉位置に移動した際に、前記傾斜部に当接して前記ラッチフックを前記没入方向に移動させるガイド片と、を備える
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の開口制限装置において、
前記アームを前記外召合せ框に取り付けるブラケットを備え、
前記アームは、前記ブラケットに回動自在に取り付けられて前記挿入孔および前記長孔が形成されたアーム本体を備え、
前記アーム本体は、前記ブラケットに当接して前記アーム本体の前記外召合せ框側への移動を規制する係止片を備える
ことを特徴とする開口制限装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の開口制限装置において、
前記開口制限ストッパーは、前記内召合せ框に取り付けられたクレセントよりも高い位置に取り付けられ、
前記アームは、前記外召合せ框に取り付けられたクレセント受けよりも高い位置に取り付けられている
ことを特徴とする開口制限装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引違い窓や片引き窓において、障子が開く寸法つまり窓の開口幅を制限する開口制限装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防犯性を維持した状態で換気するために、引違い窓の障子の開口幅を制限する換気ロックあるいは開口制限ストッパーと呼ばれる装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の換気ロックは、引違い窓の召合せ框に取り付けられた機構本体部分と、外召合せ框に取り付けられた受け金具とで構成されている。機構本体部分は、操作部材の操作に連動して窓面に垂直方向に出没する係合体を有する。受け金具は、前記係合体が窓を閉じた状態のみに挿入可能な係合体挿入部分を含む形状の長孔を有し、長孔の上部位置を中心に窓面と平行面上で回動自在に設けられている。
そして、窓を閉めた状態で操作部材を操作して、係合体を係合体挿入部分に挿入し、この状態で窓を開くと、係合体が長孔の端部で係止される位置までしか障子を開くことができないため、換気ロック状態とすることができる。
また、窓を全開状態に切り替えるには、窓を閉めた状態で係合体を没する方向に操作部材を操作して、係合体を長孔から外れた位置に移動して解除状態とした後、障子を全開すればよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-193334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記換気ロックは、換気ロック状態と解除状態との切替操作を手動で行っているため、換気ロック状態に切り替える操作を忘れてしまい、窓の開口幅を制限できない場合があった。
本発明の目的は、窓の開口幅を制限する開口制限状態に自動的に切り替えることができる開口制限装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、内障子および外障子の少なくとも一方の障子がレールに沿ってスライド移動される窓に用いられる開口制限装置であって、前記内障子の内召合せ框に取り付けられる開口制限ストッパーと、前記外障子の外召合せ框に取り付けられるアームとを備え、前記開口制限ストッパーは、前記内召合せ框に取り付けられるベースと、前記ベースに対して室外側に向かう突出方向および室内側に向かう没入方向に移動可能に保持され、前記アームに係合される係合部を有するラッチフックと、前記ラッチフックを前記突出方向に付勢する付勢部材と、前記ラッチフックを前記没入方向に移動可能な操作部材と、を備え、前記アームは、前記係合部が挿入可能な挿入孔と、前記挿入孔から連続する長孔とを備え、前記障子のスライド方向に揺動自在に設けられ、前記係合部は、前記障子を閉めた際に前記アームに当接して前記ラッチフックを前記没入方向に移動させる傾斜部と、前記傾斜部の先端に連続して形成され、前記係合部が前記長孔に位置する場合は前記没入方向に移動できないように前記アームに係止される係止片部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、窓の開口幅を制限する開口制限状態に自動的に切り替えることができる開口制限装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る開口制限装置を有する引違い窓を示す内観姿図である。
図2】全閉状態の前記引違い窓の要部を示す分解斜視図である。
図3】前記開口制限装置の開口制限ストッパーを示す分解斜視図である。
図4】前記開口制限ストッパーを示す分解斜視図である。
図5】前記引違い窓の障子を閉鎖位置に移動する場合の開口制限ストッパーの動作を説明する説明図である。
図6】前記引違い窓の障子を開口制限位置に移動する場合の開口制限装置の動作を説明する説明図である。
図7】前記引違い窓の障子を開口制限位置に移動する場合の開口制限装置の動作を説明する説明図である。
図8】前記引違い窓の障子を開口制限位置に移動する場合の開口制限装置の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態の開口制限装置は、図1に示すように、引違い窓1に取り付けられる開口制限装置2である。引違い窓1は、窓枠10と、窓枠10内に左右方向にスライド移動可能に配置された外障子20Aおよび内障子20Bとを備える。
窓枠10は、上枠11、下枠12、左右の縦枠13、14を四周枠組みして構成される。外障子20Aは、上框21A、下框22A、戸先框23A、外召合せ框24A(図2参照)を枠組みし、面材25Aを組み込んで構成される。内障子20Bは、上框21B、下框22B、戸先框23B、内召合せ框24Bを枠組みし、面材25Bを組み込んで構成される。面材25A,25Bは、複層ガラス、単板ガラス等、引違い窓1に利用される様々な面材が利用できる。
外召合せ框24Aおよび内召合せ框24Bには、クレセント受(図示略)およびクレセント26が取り付けられている。なお、以下の説明において、外障子20A、内障子20Bのスライド方向である左右方向をX軸方向、室内外方向である見込み方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向と定義する。
【0009】
開口制限装置2は、図2にも示すように、外召合せ框24Aに取り付けられるストッパー受け3と、内召合せ框24Bに取り付けられる開口制限ストッパー4とで構成される。
【0010】
[ストッパー受け]
ストッパー受け3は、図2に示すように、ブラケット31と、アーム32と、アーム32をブラケット31に回動自在に支持するピン33とを備える。
ブラケット31は、金属板材で構成され、外召合せ框24Aに固定される固定部311と、固定部311からX軸方向の戸先框23A側に延長されて外障子20Aの面材25Aの室内側に配置される支持部312とを備える。固定部311は、図5の(A)に示すように、外召合せ框24Aの側面において、面材25Aの室内面を保持する保持片部241と煙返し242との間に配置され、上下一対のネジ313と、固定金具314とを用いて固定されている。固定金具314は、各ネジ313が螺合される一対のナット部315と、各ナット部315を連結するプレート316とを備えている。
【0011】
アーム32は、金属板材で構成され、図2に示すように、アーム本体321と、ガイド片322と、係止片323とを備えて構成される。アーム本体321は、ブラケット31の室内側に配置され、見込み方向(Y軸方向)の回転軸となるピン33により、外障子20Aのスライド方向、つまり面材25Aの面内方向に揺動自在に設けられる。
アーム本体321は、開口制限ストッパー4に係合していない非係合状態では、ピン33でブラケット31に支持される上端部から下方に延長された長尺板状に構成されている。すなわち、アーム本体321の幅寸法(X軸方向の寸法)に比べて、上下寸法が大きな形状とされている。
アーム本体321には、ピン33の下方位置に形成された挿入孔325と、挿入孔325から下方に連続する長孔326とが形成されている。挿入孔325の幅寸法(X軸方向の寸法)は、長孔326の幅寸法に比べて大きくされている。これらの幅寸法は、後述する開口制限ストッパー4の係合部65との関係で規定される。
【0012】
ガイド片322は、上下位置が挿入孔325の形成位置に対応する位置に設けられており、X軸およびZ軸を含む鉛直面に対して、アーム本体321から外障子20Aの戸先框23Aに向かうに従って室外側に向かう方向に傾斜されている。
係止片323は、挿入孔325の内周面から室外側に向かって突設されている。係止片323は、ブラケット31に当接することで、アーム本体321を図2に示す位置で停止させ、アーム本体321の下端が外召合せ框24Aに当接しないように規制している。
【0013】
[開口制限ストッパー]
開口制限ストッパー4は、図2に示すように、内召合せ框24Bの側面に固定され、外障子20A、内障子20Bを全閉状態とした際に、ストッパー受け3に対向する位置に配置されている。
開口制限ストッパー4は、図3および図4の分解斜視図にも記載したように、ベース50と、ラッチフック60と、操作つまみ70と、チャイルドロック操作つまみ75と、裏板80と、上下一対のビスカバー85と、付勢部材であるコイルバネ90とを備えている。なお、図3および図4は、X軸方向を上下方向とした図であり、内召合せ框24Bの側面側を下方、内召合せ框24Bから離れて縦枠13側に向かう方向を上方とした図である。
【0014】
ベース50は、内召合せ框24Bに対向する側面側が開口された略四角箱状に形成されたベース本体51と、ベース本体51から突出されて内召合せ框24Bに固定するビス59が挿通される固定片52と、ビスカバー85が係止される係止片53とを備える。
ベース本体51の室外面51Aには、半円状の孔と、長孔とが連続する挿通孔511が形成され、側面51Bには、矩形状の孔512が形成され、室内面51CにはZ軸方向(上下方向)に長い長孔513が形成されている。また、室内面51Cの内面側には、コイルバネ90の端部が配置される溝514が形成されている。
各固定片52の基端には、裏板80が係合される係合孔521が形成され、先端にはビスカバー85に当接する当接片522と、ビスカバー85が係合する係合凹部523とが形成されている。
また、係止片53の基端には、ビスカバー85をスライド係合するための溝部531が形成されている。
【0015】
ラッチフック60は、ベース50内をY軸方向(見込み方向)に進退可能に配置される本体部61と、本体部61の室外面61Aから突出された係合部65とを備える。
本体部61の側面61Bには長溝611が形成され、室内面61Cには円形の凹部612が形成されている。凹部612の中心には、コイルバネ90の端部に挿入される突部613が形成されている。
本体部61において、裏板80に対向する裏側(内召合せ框24B側)は凹部614が形成され、室内面61Cの一部には凹部614に連通する開口615が形成されている。
【0016】
係合部65は、軸部66と、傾斜部67と、係止片部68とを備える。
軸部66は、半円柱状に形成されて室外面61Aから室外側に突出されている。このため、軸部66は、曲面部661と、平面部662とを備える。
傾斜部67は、図5にも示すように、平面視で略扇形に形成され、図3に示すように、軸部66の先端に設けられる係止片部68と室外面61Aとの間に渡って略円弧状に形成された当接面671を備える。傾斜部67のZ軸方向の厚さ寸法は、軸部66の平面部662のZ軸方向の厚さ寸法よりも小さくされている。
係止片部68は、室外側から見た正面視で略半円状に形成されて軸部66の先端側に設けられている。係止片部68の直線部分、つまり傾斜部67に連続する部分は、軸部66の平面部662に沿って形成されている。また、係止片部68の円弧部分は、軸部66の曲面部661と略同心円であり、かつ、半径が大きな半円状に形成されている。このため、係止片部68は、軸部66の断面よりも大きく形成され、曲面部661よりも突出するフランジ部681を備える。
なお、本実施形態では、アーム32の長孔326の幅寸法(長孔326の長手方向に直交する方向の寸法)は約6.4mmである。軸部66の平面部662のZ軸方向の厚さ寸法は約5.9mmであり、長孔326の幅寸法の約0.9倍である。傾斜部67のZ軸方向の厚さ寸法は約3.0mmであり、長孔326の幅寸法の約半分程度である。さらに、傾斜部67の当接面671は、室外側に向かうにしたがってX軸方向の位置が平面部662や係止片部68に近づくように傾斜されている。一方、係止片部68のZ軸方向の最大寸法つまり直線部分の寸法は約8.7mmであり、長孔326の幅寸法の約1.35倍である。
このため、長孔326の挿入孔325側の開口に係合部65が位置する状態から、長孔326の端部に係合部65が位置する状態まで、アーム32が揺動してアーム本体321つまり長孔326のX軸方向に対する傾斜角度が変化しても、係止片部68は常にアーム本体321の室外面に係止可能とされ、長孔326内に配置される軸部66および傾斜部67は長孔326に引っ掛かることなく、スムーズに移動可能となるように各寸法等が設定されている。
【0017】
操作つまみ70は、矩形状の板部71と、板部71の表面から突出する操作部72と、板部71の裏面から突出する一対のフック部73と、一対のフック部73間に配置された係合突部74とを備える。操作つまみ70は、一対のフック部73がベース50の孔512に係止されることで、ベース50に対して見込み方向(Y軸方向)に進退可能に取り付けられる。また、一対のフック部73および係合突部74は、ラッチフック60の長溝611に係合される。これにより、操作つまみ70とラッチフック60とは一体で見込み方向(Y軸方向)に進退する。
チャイルドロック操作つまみ75は、ラッチフック60の移動を規制する部品であり、略L字板状に形成された本体部751と、本体部751の表面に形成された規制凸部752と、本体部751の側面から突出されて、ベース50の内側から長孔513に挿入される操作部753と、本体部751の裏面から突出された爪部754とを備える。
【0018】
裏板80は、ベース50の開口を塞ぐ部材であり、ベース50の係合孔521に係合するフック部81と、本体部61の凹部614内に配置されてラッチフック60の進退移動範囲を規制する規制突起82と、チャイルドロック操作つまみ75の爪部754が挿入される溝部83と、溝部83に突出する凸部を有するバネ部84とを備える。バネ部84の凸部はZ軸方向の中央に形成されている。これにより、チャイルドロック操作つまみ75を裏板80に対してZ軸方向(上下方向)にスライドする際に、爪部754がバネ部84の凸部を乗り越える際にクリック感が得られ、チャイルドロック操作つまみ75を下方位置および上方位置の2箇所に移動して保持できるように構成されている。
【0019】
ビスカバー85は、略箱状に形成され、溝部531にスライド係合する係合片部851と、係合凹部523に係合するフック部852と、当接片522が当接する凹部853とを備える。
コイルバネ90は、ベース50の溝514と、ラッチフック60の凹部612との間に配置され、ラッチフック60を室外側に向かって付勢する。
【0020】
以上の各部品で構成される開口制限ストッパー4は、以下のように組み立てられて内召合せ框24Bに固定される。まず、操作つまみ70をベース50の孔512に係止する。具体的には、操作つまみ70の一対のフック部73を、孔512の対角線上に位置させて孔512内に嵌め込み、さらに操作つまみ70を孔512に対して45度回転させてフック部73をベース50の孔512に係止する。
次に、コイルバネ90の一端をラッチフック60の凹部612に組み付け、ラッチフック60およびコイルバネ90を、ベース50のベース本体51内に組み付ける。この際、操作つまみ70のフック部73、係合突部74は、ラッチフック60の長溝611に係合し、コイルバネ90の他端はベース50の溝514に配置する。
次に、操作部753を長孔513に挿入させてチャイルドロック操作つまみ75をベース本体51内に配置する。
次に、裏板80のフック部81をベース50の係合孔521に係合させて裏板80をベース50に取り付ける。この際、チャイルドロック操作つまみ75の爪部754は溝部83に挿入する。
次に、固定片52を内召合せ框24Bの側面に当接させ、ビス59を用いてベース50を内召合せ框24Bに固定する。なお、図示は省略するが、内召合せ框24Bの側面(縦枠13に対向する面)には、ターンナットが取り付けられ、ビス59をターンナットにネジ込むことで、ベース50を内召合せ框24Bに取り付ける。
その後、ビスカバー85を溝部531に沿ってスライドさせ、さらに、フック部852を係合凹部523に係合させて、ベース50にビスカバー85を取り付ける。以上により、開口制限ストッパー4が組み立てられて内召合せ框24Bに固定される。
また、ストッパー受け3は、ブラケット31およびアーム32をピン33で予め連結しておき、固定金具314に固定部311を介してネジ313をネジ込むことで外召合せ框24Aに取り付ける。
【0021】
[障子閉鎖操作]
次に、外障子20A、内障子20Bを閉鎖状態にする際の開口制限ストッパー4の動作について図5を参照して説明する。なお、チャイルドロック操作つまみ75は、図2に示すように、操作部753が下方位置に移動されており、規制凸部752が開口615と対向する位置に配置されることで、チャイルドロック機能は解除された状態である。
外障子20A、内障子20Bの少なくとも一方を開いており、開口制限ストッパー4がストッパー受け3と見込み方向(Y軸方向)に重ならない状態では、ラッチフック60はコイルバネ90で室外側に向かう突出方向に突出されている。このため、外障子20A、内障子20Bを閉鎖位置に移動すると、図5の(A)に示すように、ラッチフック60の係合部65の傾斜部67がアーム32のガイド片322に当接する。
さらに、外障子20A、内障子20Bを閉鎖位置に移動し、外召合せ框24Aおよび内召合せ框24Bが互いに近づくと、図5の(B)に示すように、ラッチフック60は、傾斜部67がガイド片322にガイドされることで室内側に向かう没入方向に移動し、コイルバネ90を圧縮する。このため、ラッチフック60の係合部65は、ガイド片322からアーム本体321の室内面に当接しながら移動する。
さらに、外障子20A、内障子20Bを閉鎖位置に移動すると、図5の(C)に示すように、係合部65が挿入孔325の位置に移動するため、ラッチフック60はコイルバネ90で付勢されて突出方向に自動的に移動する。この際、係合部65の係止片部68は、見込み方向の位置がアーム本体321よりも室外側とされている。
【0022】
[障子開口制限機能]
次に、開口制限装置2を機能させた場合の動作について、図6から図8を参照して説明する。図1図5の(C)に示すように、外障子20A、内障子20Bを閉鎖位置に移動した場合、ラッチフック60はコイルバネ90によって自動的に室外側に移動され、係合部65は常に挿入孔325内に挿入された状態となる。
この状態のまま、外障子20A、内障子20Bの少なくとも一方を開いて外召合せ框24Aおよび内召合せ框24Bが互いに離れる方向に移動すると、図6に示すように、ストッパー受け3のアーム32は、係合部65が挿入孔325に当接することでピン33を回転軸として、アーム32の下端が戸先框23Aに近づく方向(図6の矢印R方向)に回転する。
【0023】
さらに、外召合せ框24Aおよび内召合せ框24Bが互いに離れる方向に移動すると、図7に示すように、係合部65はアーム32の長孔326内に移動し、アーム32はさらに矢印R方向に回転する。この際、係合部65の係止片部68は、長孔326の室外側に位置し、長孔326の幅寸法よりも大きい寸法であるため、係止片部68はアーム本体321の室外面に当接し、係合部65は長孔326から外れないように係合されている。
【0024】
さらに、外召合せ框24Aおよび内召合せ框24Bが互いに離れる方向に移動すると、図8に示すように、係合部65はアーム32の長孔326の端部まで移動して停止される。この際も、係合部65の係止片部68によって、係合部65は長孔326から外れないように係合されている。
係合部65がアーム32の長孔326の端部に位置すると、外召合せ框24Aおよび内召合せ框24Bは、それ以上は互いに離れる方向に移動できないため、外障子20A、内障子20Bを開いた場合の引違い窓1の開口幅を制限できる。
なお、係合部65がアーム32の長孔326内に位置する場合に、仮に操作つまみ70を操作してラッチフック60を室内側に移動させるようとしても、係止片部68がアーム32に当接して係止されるため、係合部65が長孔326から外れてしまうことを防止でき、開口幅の制限が解除されることも防止できる。
【0025】
[障子全開操作]
一方、開口制限装置2を機能させずに、外障子20A、内障子20Bを開く場合には、外障子20A、内障子20Bが閉鎖位置にある状態で、利用者が操作つまみ70を手動操作で室内側にスライドさせてラッチフック60を没入方向つまり室内方向に移動させ、係合部65を挿入孔325よりも室内側に位置させる。この状態のままで外障子20A、内障子20Bを開くと、ラッチフック60はアーム32に係合されていないため、開口制限装置2は機能せず、外障子20A、内障子20Bを全開位置まで移動することができる。
【0026】
[チャイルドロック機構]
障子の全開操作を禁止する場合は、チャイルドロック操作つまみ75の操作部753を上方に移動させる。すると、爪部754がバネ部84の凸部を押してバネ部84を撓ませ、爪部754が凸部を乗り越えた上方位置でチャイルドロック操作つまみ75を保持する。この状態では、規制凸部752が開口615に対向する位置から外れ、室内面61Cに当接する位置に移動する。このため、操作つまみ70でラッチフック60を室内側に移動させようとしても、室内面61Cが規制凸部752に当接するため、ラッチフック60の室内側への移動が規制される。したがって、ラッチフック60の係合部65は、アーム32の挿入孔325に挿入された状態に維持され、開口制限装置2が必ず機能するため、外障子20A、内障子20Bの開口幅が制限される。
【0027】
[実施形態の効果]
本実施形態の開口制限装置2によれば、ラッチフック60をコイルバネ90で突出方向に付勢しているので、外障子20A、内障子20Bを全閉位置に移動した際に、ラッチフック60の係合部65を、アーム32の挿入孔325に自動的に配置できる。このため、利用者が操作つまみ70を意図的に操作してラッチフック60を没入方向に移動しない限り、自動的に開口制限装置2を機能させることができる。したがって、開口制限装置2を設定し忘れることを防止でき、引違い窓1の開口寸法を所定寸法以下に確実に制限できる。このため、クレセント26の施錠を忘れた場合でも、引違い窓1の開口寸法が制限されるため、換気をしつつ、外部からの侵入を防止できて防犯性を向上でき、さらに、子供が窓の開口部分から室外側に勝手に出てしまうことも防止できるので、窓からの子供の脱落も防止できる。
【0028】
また、開口制限ストッパー4は、コイルバネ90でラッチフック60を付勢し、かつ、アーム32に当接する係合部65に傾斜部67を設けたラッチ構造としたので、障子20A,20Bを閉じる際に、ラッチフック60の傾斜部67がアーム32に当接することで、ラッチフック60を自動的に没入方向に移動できる。このため、係合部65がアーム32に引っ掛かって障子20A,20Bを全閉位置に移動できないといった不具合が発生せず、障子20A,20Bの開閉操作を容易に行うことができる。さらに、障子20A,20Bを全閉位置まで移動するだけで、ラッチフック60の係合部65を自動的に挿入孔325に挿入させることができ、操作つまみ70を操作してラッチフック60を移動させる必要が無いため、開口制限装置2の操作性を向上できる。
さらに、前記実施形態では、アーム32にガイド片322を形成したので、傾斜部67とガイド片322とが当接することで、ラッチフック60をより一層スムーズに没入方向に移動させることができる。
その上、係合部65の係止片部68は、傾斜部67とはX軸方向において反対側、つまり障子20A,20Bを閉めた際にアーム32に当接しない側に形成されているので、傾斜部67とアーム32とが当接することによるラッチフック60の没入方向への移動を阻害することがなく、ラッチフック60を確実に没入させることができる。
【0029】
ラッチフック60の係合部65を構成する軸部66を略半円柱状に形成し、傾斜部67は軸部66の平面部662に連続して形成したので、係合部65をアーム32の挿入孔325や長孔326に挿入した際に、軸部66の曲面部661や円弧状の当接面671が挿入孔325や長孔326の内周面に当接し障子20A,20Bを開いた際に、係合部65とアーム32との接触面積が少なくなり、係合部65をスムーズに移動することができる。
【0030】
障子20A,20Bを閉めた際に、アーム32にラッチフック60の係合部65が当接しても係止片323がブラケット31に当接してアーム32の揺動を規制するため、ラッチフック60を没入方向に確実に移動でき、さらに、アーム32が外召合せ框24Aに衝突することもを防止できる。さらに、障子20A,20Bの閉鎖時に、ラッチフック60の係合部65が挿入孔325に対向する位置にアーム本体321を位置決めでき、係合部65を確実にかつ自動的に挿入孔325に挿入できる。
【0031】
障子20A,20Bが全閉状態の時に、操作つまみ70でラッチフック60を没入方向に移動させたまま、障子20A,20Bを開くことで、簡単に開口制限装置2を解除して引違い窓1を全開状態にすることができる。このため、例えば、着脱可能なキーを操作して開口制限状態と解除状態とを切り替える場合に比べて、キーの保管も不要となり、簡単な操作で切り替えることができる。
さらに、チャイルドロック操作つまみ75を備えるため、操作つまみ70で開口制限装置2を解除できない状態にも容易に設定できる。
【0032】
アーム32はブラケット31を介して外召合せ框24Aに取り付けられるので、外召合せ框24Aの種類などに応じてブラケット31を変更する場合でも、アーム32は共通化でき、コストを低減できる。
【0033】
開口制限装置2は、クレセント26、クレセント受けと別体で構成しているので、開口制限装置2をクレセント26と異なる位置に取り付けることができる。このため、開口制限装置2のストッパー受け3、開口制限ストッパー4を、クレセント26、クレセント受けよりも高い位置に取り付けることができ、身長が低い子供が誤って操作する可能性を低減できる。
さらに、開口制限装置2がクレセント26と別体であり、ストッパー受け3、開口制限ストッパー4を外召合せ框24A、内召合せ框24Bに直接取り付けることができるので、既設のサッシに後付けで取り付けることもできる。
【0034】
[変形例]
本発明は、前記実施形態の引違い窓1に限定されず、内障子20Bまたは外障子20Aの一方がFIX窓とされた片引き窓にも適用できる。
また、開口制限ストッパー4の構成は前記実施形態に限定されない。例えば、付勢部材はコイルバネ90に限定されず、ラッチフック60を突出方向に付勢できるものあればよい。また、操作部材は、ラッチフック60と別体の操作つまみ70に限定されず、ラッチフック60の一部をベース50の側面51B等に露出させることなどで、ラッチフック60と一体の操作部材としてもよい。さらに、開口制限ストッパー4は、チャイルドロック操作つまみ75を備えない構成としてもよい。
【0035】
さらに、ラッチフック60の係合部65の構造は前記実施形態に限定されない。例えば、係合部65の軸部66は半円柱状に形成したが、円柱状や、断面が8角形などの多角形の柱状に形成してもよい。また、係止片部68の形状は、正面視で半円状に限定されず、例えばZ軸方向に長い長板状などでもよく、アーム32に係止されるフランジ部(返し部)を備えていればよい。傾斜部67の構造も前記実施形態に限定されず、例えば、当接面671が円弧状とされた平面視で略扇形の形状に限定されず、当接面が傾斜面とされて平面視で略三角形状の傾斜部としてもよい。
【0036】
ストッパー受け3のアーム32の構成は前記実施形態に限定されない。例えば、ガイド片322や係止片323を備えないアームを用いてもよい。
【0037】
[本発明のまとめ]
本発明は、内障子および外障子の少なくとも一方の障子がレールに沿ってスライド移動される窓に用いられる開口制限装置であって、前記内障子の内召合せ框に取り付けられる開口制限ストッパーと、前記外障子の外召合せ框に取り付けられるアームとを備え、前記開口制限ストッパーは、前記内召合せ框に取り付けられるベースと、前記ベースに対して室外側に向かう突出方向および室内側に向かう没入方向に移動可能に保持され、前記アームに係合される係合部を有するラッチフックと、前記ラッチフックを前記突出方向に付勢する付勢部材と、前記ラッチフックを前記没入方向に移動可能な操作部材と、を備え、前記アームは、前記係合部が挿入可能な挿入孔と、前記挿入孔から連続する長孔とを備え、前記障子のスライド方向に揺動自在に設けられ、前記係合部は、前記障子を閉めた際に前記アームに当接して前記ラッチフックを前記没入方向に移動させる傾斜部と、前記傾斜部の先端に連続して形成され、前記係合部が前記長孔に位置する場合は前記没入方向に移動できないように前記アームに係止される係止片部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、ラッチフックを付勢部材で突出方向に付勢しているので、障子を全閉状態にした際に、ラッチフックの係合部を、アームの挿入孔に自動的に配置できる。このため、利用者が操作部材を意図的に操作してラッチフックを没入方向に移動しない限り、自動的に開口制限装置を機能させることができる。したがって、開口制限装置を設定し忘れることを防止でき、意図して操作部材を操作しない限り、障子が開く寸法つまり窓の開口寸法を所定寸法以下に確実に制限できる。このため、クレセントの施錠を忘れた場合でも、窓の開口寸法が制限されるため、換気をしつつ、外部からの侵入を防止できて防犯性を向上でき、さらに、子供が窓の開口部分から室外側に勝手に出てしまうことも防止できるので、窓からの脱落も防止できる。
【0038】
本発明の開口制限装置において、前記ラッチフックは、本体部と、前記係合部とを備えて構成され、前記係合部は、曲面部および平面部を備えて略半円柱状に形成されて、前記本体部の室外面から前記室外側に延出された軸部を有し、前記係止片部は、前記軸部の先端に形成され、前記室外側から見た正面視で略半円状に形成され、前記傾斜部は、前記係止片部および前記軸部の平面部に連続して形成され、前記係止片部から前記本体部の前記室外面まで連続して略円弧状に形成された当接面を備えることが好ましい。
本発明によれば、係合部を構成する軸部を略半円柱状に形成し、傾斜部は軸部の平面部に連続して形成したので、係合部をアームの挿入孔や長孔に挿入した際に、軸部の曲面部や円弧状の当接面が挿入孔や長孔の内周面に当接するため、障子を開いた際に、係合部とアームとの接触面積が少なくなり、係合部をスムーズに移動することができる。
【0039】
本発明の開口制限装置において、前記アームは、前記挿入孔および前記長孔が形成されたアーム本体と、前記アーム本体の側面に設けられて、前記各障子を全閉位置に移動した際に、前記傾斜部に当接して前記ラッチフックを前記没入方向に移動させるガイド片と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、アームとラッチフックとが係合していない状態で障子を閉じると、付勢部材で室外側に付勢されているラッチフックの係合部の傾斜部がガイド片に当接し、ラッチフックを没入方向に移動させ、そのまま障子を閉じると、係合部は、ガイド片からアーム本体の室内面に当接しながら移動し、アーム本体の挿入孔に挿入される。このため、障子を全閉位置まで移動するだけで、ラッチフックの係合部を、自動的にかつスムーズに挿入孔に挿入させることができ、操作部材を操作してラッチフックを移動させる必要が無いため、開口制限装置の操作性を向上できる。
【0040】
本発明の開口制限装置において、前記アームを前記外召合せ框に取り付けるブラケットを備え、前記アームは、前記ブラケットに回動自在に取り付けられて前記挿入孔および前記長孔が形成されたアーム本体を備え、前記アーム本体は、前記ブラケットに当接して前記アーム本体の前記外召合せ框側への移動を規制する係止片を備えることが好ましい。
本発明によれば、障子を閉めた際に、アーム本体にラッチフックの係合部が当接しても係止片がブラケットに当接してアーム本体の移動を規制するため、アーム本体が外召合せ框に衝突することを防止できる。さらに、障子の閉鎖時に、ラッチフックの係合部が挿入孔に対向する位置にアーム本体を位置決めでき、係合部を確実にかつ自動的に挿入孔に挿入できる。さらに、アームはブラケットを介して外召合せ框に取り付けられるので、外召合せ框の種類などに応じてブラケットを変更する場合でもアームは共通化でき、コストを低減できる。
【0041】
本発明の開口制限装置において、前記開口制限ストッパーは、前記内召合せ框に取り付けられたクレセントよりも高い位置に取り付けられ、前記アームは、前記外召合せ框に取り付けられたクレセント受けよりも高い位置に取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、開口制限ストッパーおよびアームを、クレセント、クレセント受けよりも高い位置に取り付けているので、身長が低い子供が誤って操作する可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0042】
1…引違い窓、2…開口制限装置、3…ストッパー受け、4…開口制限ストッパー、10…窓枠、20A…外障子、20B…内障子、24A…外召合せ框、24B…内召合せ框、26…クレセント、31…ブラケット、32…アーム、33…ピン、50…ベース、51…ベース本体、51A…室外面、51B…側面、51C…室内面、60…ラッチフック、61…本体部、61A…室外面、61B…側面、61C…室内面、65…係合部、66…軸部、67…傾斜部、68…係止片部、70…操作つまみ、72…操作部、75…チャイルドロック操作つまみ、80…裏板、90…コイルバネ、321…アーム本体、322…ガイド片、323…係止片、325…挿入孔、326…長孔、661…曲面部、662…平面部、671…当接面、681…フランジ部、753…操作部。
図1
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図8