(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062820
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】クッション品複合体
(51)【国際特許分類】
A47C 27/12 20060101AFI20230427BHJP
D04C 1/06 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A47C27/12 H
D04C1/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172938
(22)【出願日】2021-10-22
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】591100448
【氏名又は名称】パネフリ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】田中 将史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 勝博
(72)【発明者】
【氏名】金田 絋幸
(72)【発明者】
【氏名】木崎 佳苗
【テーマコード(参考)】
3B096
4L046
【Fターム(参考)】
3B096AC05
3B096AD04
4L046AA01
4L046AA24
4L046BA00
4L046BB00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】折り畳みのパターンに富むクッション品複合体を提供すること。
【解決手段】折り畳み可能なクッション品複合体であって、所定箇所で相互に連続するように構成され全展開時にて複数のクッション品が行列形態にて配置可能となっており、第1行目にて第1のクッション品と第2のクッション品とが、第2行目にて第3のクッション品と第4のクッション品とが、第3行目にて第5のクッション品と第6のクッション品とが順に横並びに配置され、列方向における第1のクッション品と第2のクッション品、第3のクッション品と第5のクッション品、第4のクッション品と第6のクッション品との連続箇所が形成される側の主面が同一面側にあり、第1のクッション品と第3のクッション品との連続箇所および第2のクッション品と第4のクッション品との連続箇所が形成される側の主面とが相互に対向する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み可能なクッション品複合体であって、
所定箇所で相互に連続する複数のクッション品から構成され、全展開時にて該複数のクッション品が行列形態にて配置可能となっており、
少なくとも、第1行目にて第1のクッション品と第2のクッション品とが順に横並びに配置され、第2行目にて第3のクッション品と第4のクッション品とが順に横並びに配置され、第3行目にて第5のクッション品と第6のクッション品とが順に横並びに配置され、
列方向におけるクッション品の連続箇所が、前記第1のクッション品の第1主面と前記第2のクッション品の第1主面同士間、又は前記第1のクッション品の前記第1主面に対向する第2主面と前記第2のクッション品の前記第1主面に対向する第2主面同士間のみであり、
前記列方向における前記第1のクッション品と前記第2のクッション品との連続箇所が形成される側の主面と、前記行方向における前記第3のクッション品と前記第5のクッション品との連続箇所および前記第4のクッション品と前記第6のクッション品との連続箇所が形成される側の主面とが、同一面側にあり、
前記列方向における前記第1のクッション品と前記第2のクッション品との連続箇所が形成される側の主面と、前記行方向における前記第1のクッション品と前記第3のクッション品との連続箇所および前記第2のクッション品と前記第4のクッション品との連続箇所が形成される側の主面とが、相互に対向する、クッション品複合体。
【請求項2】
前記列方向における前記クッション品の連続箇所が1か所のみである、請求項1に記載のクッション品複合体。
【請求項3】
前記クッション品がクッション詰物と該クッション詰物が収められた外装体とを有して成り、前記クッション品の前記連続箇所が相互に隣り合う前記外装体同士の連結箇所である、請求項1又は2に記載のクッション品複合体。
【請求項4】
前記列方向におけるクッション品の非連続箇所が、前記第3のクッション品と前記第4のクッション品との間および前記第5のクッション品と前記第6のクッション品との間である、請求項1~3のいずれかに記載のクッション品複合体。
【請求項5】
前記複数のクッション品が、全展開時に3行×2列の形態をなしている、請求項1~4のいずれかに記載のクッション品複合体。
【請求項6】
前記複数のクッション品の全ての平面形状が正方形であり、前記複数のクッション品の各々の縦横寸法値と、前記複数のクッション品の各々の高さ寸法の合計値とが略同一である、請求項1~5のいずれかに記載のクッション品複合体。
【請求項7】
前記複数のクッション品の全折り畳み時に、キュービック状をなす、請求項6に記載のクッション品複合体。
【請求項8】
収納体に一括して収納可能となっている、請求項1~7のいずれかに記載のクッション品複合体。
【請求項9】
前記クッション詰物は、複数の繊材が互いに局所的に接合した立体網状繊材集合物を含む、請求項3に記載のクッション品複合体。
【請求項10】
形態変更自在となっている、請求項1~9のいずれかに記載のクッション品複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション品複合体に関する。具体的には、本発明は、折り畳み可能なクッション品複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従前よりクッション品を利用した折り畳み式マットが存在する(特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-130216号公報
【特許文献2】実用新案登録第3178197号公報
【特許文献3】実用新案登録第3208227号公報
【特許文献4】実用新案登録第3217360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らは、クッション品を利用した従前の折り畳み式マットには依然として改善し得る点があることを見出した。具体的には、本願発明者らは、従前の折り畳み式マットでは、折り畳みのパターンが限定的であり、これに伴い同マットの使用パターンも限定的であることを新たに見出した。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主目的は、折り畳みのパターンに富むクッション品複合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、
折り畳み可能なクッション品複合体であって、
所定箇所で相互に連続する複数のクッション品から構成され、全展開時にて該複数のクッション品が行列形態にて配置可能となっており、
少なくとも、第1行目にて第1のクッション品と第2のクッション品とが順に横並びに配置され、第2行目にて第3のクッション品と第4のクッション品とが順に横並びに配置され、第3行目にて第5のクッション品と第6のクッション品とが順に横並びに配置され、
列方向におけるクッション品の連続箇所が、前記第1のクッション品の第1主面と前記第2のクッション品の第1主面同士間、又は前記第1のクッション品の前記第1主面に対向する第2主面と前記第2のクッション品の前記第1主面に対向する第2主面同士間のみであり、
前記列方向における前記第1のクッション品と前記第2のクッション品との連続箇所が形成される側の主面と、前記行方向における前記第3のクッション品と前記第5のクッション品との連続箇所および前記第4のクッション品と前記第6のクッション品との連続箇所が形成される側の主面とが、同一面側にあり、
前記列方向における前記第1のクッション品と前記第2のクッション品との連続箇所が形成される側の主面と、前記行方向における前記第1のクッション品と前記第3のクッション品との連続箇所および前記第2のクッション品と前記第4のクッション品との連続箇所が形成される側の主面とが、相互に対向する、クッション品複合体が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に従えば、折り畳みのパターンに富むクッション品複合体を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す斜視図(全折り畳み時)
【
図2】本発明の一実施形態に係るクッション品複合体の構成要素であるクッション品の構造を示した模式的拡大断面図
【
図3A】本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す平面図(全展開時)
【
図3B】
図3Aの線分I-I’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)
【
図3C】
図3Aの線分II-II’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)
【
図3D】
図3Aの線分III-III’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)
【
図3E】
図3Aの線分IV-IV’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)
【
図4】本発明の一実施形態に係るクッション品複合体の複数の折り畳みパターンを模式的に示す斜視図
【
図5】本発明の一実施形態に係るクッション品複合体の用途の例を模式的に示す斜視図
【
図6】本発明の一実施形態に係るクッション品複合体が収納体に収納された状態を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照して本発明の一実施形態に係るクッション品複合体をより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す斜視図(全折り畳み時)である。本発明の一実施形態に係るクッション品複合体100は、所定箇所で相互に連続する複数のクッション品10から構成され、折り畳み可能な物品である。このクッション品複合体100は、複数のクッション品10の全折り畳み時にキュービック状をなすことが可能となっている(
図1参照)。なお、本明細書でいう「クッション品複合体」とは、複数のクッション品が相互に連続して一体物をなしているものを指す。
【0011】
(クッション品10の構成)
以下では、本発明の特徴部分を述べるに先立ち、クッション品複合体100の構成要素であるクッション品10の構成について説明する。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体の構成要素であるクッション品の構造を示した模式的拡大断面図である。
図2に示すように、クッション品10は、クッション詰物11と、その詰物を収めるための外装体12とから少なくとも構成される。
【0013】
クッション詰物11は、複数の繊材が互いに局所的に接合した立体網状繊材集合物11aから成る。立体網状繊材集合物11aは、複雑に絡み合う繊材により立体的な隙間が多く形成された嵩高い形態をなしている。かかる隙間の存在により、クッション品10は反発力および優れた通気性を有し得る。
【0014】
本明細書にいう「立体網状繊材集合物」とは、複数の繊材がランダムな方向に湾曲して互いに局所的に接合することで立体的に集合した構造体であって、全体として三次元的に網状を成す構造体である。「繊材」とは、全体が細長い形状を有するものの、布繊維よりも一般に太く、かつ、立体網状繊材集合物においてランダムに曲がりくねった形態を有する樹脂製の細長部材のことを意味している。更には、ここでいう「互いに局所的に接合する」とは、繊材全体が接続された形態にあるのではなく、繊材同士が点接続するように(好ましくは互いに異なる方向に向いた状態で点接続するように)引っ付いた形態を実質的に意味している。更には、本明細書にいう「複数の繊材」とは、例えば幅寸法1000mm、厚み寸法60mmの立体網状繊材集合物(即ち、個片体を得るための切断に付す前の状態)を想定した場合、その中に100~6000本程度の本数の繊材が存在することを意味している。
【0015】
立体網状繊材集合物の繊材の繊度は、150dtex以上、好ましくは300dtex以上、より好ましくは1000dtex以上であり、また、100000dtex以下、好ましくは80000dtex以下、より好ましくは60000dtex以下、さらに好ましくは10000dtex以下である。例示すると繊度は150~100000dtex、例えば300~60000dtex、好ましくは1000~10000dtexである。繊度が上記範囲内であると、立体網状繊材集合物がより好ましい弾性および/または通気性を供することになり、結果としてクッション詰物として好適な個片体がもたらされ得る。
【0016】
立体網状繊材集合物の見掛け密度は、好ましくは0.020g/cm3~0.300g/cm3、より好ましくは0.025g/cm3~0.200g/cm3、さらに好ましくは0.030g/cm3~0.150g/cm3、さらにより好ましくは0.035g/cm3~0.100g/cm3、特に好ましくは0.040g/cm3~0.080g/cm3である。見掛け密度が上記範囲内であると、立体網状繊材集合物がより好ましい弾性および/または通気性を供することになり、結果としてクッション詰物として好適な個片体がもたらされ得る。
【0017】
又、立体網状繊材集合物の圧縮率につき、圧縮率が50%の時の圧縮応力と圧縮率が25%の時の圧縮応力との比率(圧縮応力安定性)が、好ましくは1.2~5.0、より好ましくは1.5~3.5となっている。圧縮応力安定性が上記範囲内であると、クッション品を圧縮した際に生じる圧力が圧縮率によって大きく変化せず、急激な沈み込みがない。これにより、クッション品の上に座る場合に、硬すぎず、同時に沈み込みすぎないといった良好なクッション性が供され得る。
【0018】
又、繊材の断面の構造・形状は特に限定されず、例えば中実構造、中空構造、円形断面および/または異形断面であってよい。また、2種以上の樹脂から繊材が構成されていてもよく、その場合の繊材の断面構造が芯鞘構造、偏心芯鞘構造、サイドバイサイド構造、分割構造および/または海島構造などであってもよい。
【0019】
外装体12は、クッション詰物11を包み込むことができる包込部材である。外装体自体は、布材などの材質から構成されていることが好ましい。布材は、特に繊維布であることが好ましい。つまり、外装体12は、繊維から構成された包込部材であってよい。ここでいう「繊維」は、化学繊維、天然繊維またはそれらの混合繊維であってよい。
【0020】
化学繊維は、合成繊維、半合成繊維、再生繊維および/または無機繊維であってよい。
合成繊維としては、脂肪族ポリアミド系繊維(例えば、ナイロン6繊維、ナイロン66繊維)、芳香族ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維(例えば、ビニロン繊維)、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリエステル系繊維(例えば、ポリエステル繊維、PET繊維、PBT繊維、ポリアリレート繊維)、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリウレタン系繊維、フェノール系繊維およびポリフルオロエチレン系繊維などを挙げることができる。半合成繊維としては、セルロース系繊維および蛋白質系繊維などを挙げることができる。再生繊維としては、レーヨン繊維、キュプラ繊維およびリヨセル繊維などを挙げることができる。そして、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維および金属繊維などを挙げることができる。
【0021】
天然繊維は、植物繊維、動物繊維またはそれらの混合繊維であってよい。植物繊維としては、綿および麻(例えば、アマ、ラミー)などを挙げることができる。動物繊維としては、毛(例えば、羊毛、アンゴラ、カシミヤ、モヘヤ)、絹および羽毛(例えば、ダウン、フェザー)などを挙げることができる。
【0022】
繊維布に用いられる繊維自体は、短繊維であっても長繊維であってもよく、さらには中空繊維であってもよい。また、繊維布に用いられる繊維は、糸形態であってよく、例えば繊維を撚り合わせた撚糸の形態であってもよい。繊維またはそれから得られる繊維糸・撚糸などはそれ自体が弾性特性を有していてよい。
【0023】
繊維布の構造・構成に関していえば、繊維布が、繊維織物、繊維編物および不織布のいずれであってもよい。つまり、繊維布が、糸を編み込んだ(例えばいわゆるタテ糸とヨコ糸とを交差させるように織り込んだ)“織物”の形態を有していてよく、あるいは、糸が屈曲するように編み込まれた“網物”の形態を有していてもよい。さらには繊維布は、織ったり編んだりされていない“不織布”の形態(例えば、ニードルパンチ布またはスパンボンド布の形態)を有していてもよい。繊維布は繊維編物であり、例えばいわゆる“ラッセル”と称される布地である。かかる場合、外装体12の布地は、シングルラッセルまたはダブルラッセルのいずれであってもよい。
【0024】
なお、外装体12は、クッション詰物の出し入れに供するポート部分を有して成ることが好ましい。例えば、ポート部分にはファスナーが備えられてよい。あくまでも例示にすぎないが、金属ファスナー、樹脂ファスナーの他、面ファスナーなどが外装体のポート部分に縫着されていてよい。かかるポート部分を介して外装体12の内部にクッション詰物11を好適に詰めることができる。
【0025】
なお、クッション詰物11は、その少なくとも一部として、互いに部分的に係合する個片体(上記立体網状繊材集合物から構成されるもの)を含み得る。つまり、複数の個片体のうち少なくともいくつかは、個片体同士が互いに部分的に係合している又は係合できるようになっている。前者の場合、クッション品の使用前にて、即ちクッション品に押圧力などの外力が特に働いていない状態にて、個片体同士が互いに既に部分的に係合した状態にあることを意味している。後者の場合、クッション品の使用時において、即ちクッション品に押圧力などの外力が加えられた際、個片体同士が互いに部分的に係合することを意味している。本明細書にいう「係合する」とは、個片体同士が部分的に重なるように接している状態又はそのように接することが可能な状態を意味しており、好ましくは一方の個片体が他方の個片体の内部へと部分的に入り込んでいる又はそのように入り込むことができることを意味している。
【0026】
なお、上記クッション詰物11については、例えば以下の方法により製造することができる。具体的には、(1)溶融原料をダイから紡糸状に押し出すことによって得られる複数の繊材を液槽中へと降下させ、(2)複数の繊材が互いに局所的に接合した立体網状繊材集合物を液槽から回収することで立体網状繊材集合物を作製し、任意には(3)作製した立体網状繊材集合物を所定のサイズおよび形状となるように切断することで、上記クッション詰物11については、例えば以下の方法により製造することができる。切断手段としては、例えばカッターなどの機械的切断手段を用いることができる。
【0027】
工程(1)および(2)では、ダイから得られる複数の溶融状態の繊材を液槽で受けることによって、繊材が冷却されて固化すると共に、複数の繊材が互いに局所的に接合することで立体網状繊材集合物が得られる。具体的には、ダイから得られる複数の溶融状態の繊材が液槽の槽液体の中へと導入されるところ、その槽液体に接することで繊材が除熱されつつも、繊材がうねるように湾曲するので、複数の繊材同士が互いにランダムに局所的に接合することになる。
【0028】
工程(1)および(2)につき、より具体的には、各原料の融点以上の温度に加熱した二軸押出機に原料ペレット(例えば原料樹脂ペレット)を投入して原料ペレットを溶融させる。次いで、得られる溶融原料を二軸押出機からダイへと送り、紡糸を行う。特に、複数の孔を有するダイから連続的に下方向へと溶融原料を押し出すように吐出して紡糸を行う。紡糸により得られた複数の繊材は、液槽で受けられ冷却固化に付される。液槽で受けられた複数の溶融繊材は、液槽の槽液体中で湾曲状態で互いに不規則・無秩序に絡まり合うように融着接合しつつ冷却固化し、それによって、意図する立体網状繊材集合物が得られる。
【0029】
使用するダイは、例えばTダイであってよい。かかるTダイは、所定間隔で複数の孔を有しており、その複数の孔からそれぞれ溶融原料を押し出すことによって複数の溶融繊材が形成される。また、液槽は、水などの槽液体を貯留する槽であって、ダイから降下する溶融状態の繊材を冷却固化するのに資するだけでなく、繊材同士の融着接合にも資する。
【0030】
繊材の材質は、好ましくは樹脂材である。すなわち、繊材の元となる原料ペレットおよび溶融原料が樹脂成分を好ましくは含んでいる。かかる樹脂成分は熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、特に制限されるわけではないが、例えば、ポリオレフィン(例えばポリエチレンおよびポリプロピレンなど)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレートなど)、ポリアミド(例えばナイロン66など)、ポリ塩化ビニルならびにポリスチレンなどから成る群から選択される少なくとも1種である。なお、これらの樹脂を構成単位に含んだコポリマーまたはエラストマーであってもよく、更には、そのような樹脂材、コポリマーおよび/またはエラストマーなどが適宜ブレンドされたアロイ材であってもよい。例えば、繊材の樹脂成分がαオレフィン(特にポリプロピレン)の場合では、耐薬品性および/または耐熱性の点でより優れたクッション品を得ることができる。
【0031】
また、繊材自体は、単独の種類の樹脂成分からなるものに限られず、2種以上の種類の樹脂成分からなるものであってもよい。また、繊材には種々の添加剤が含まれていてもよい。例えば、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤、顔料、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、発泡剤、着色剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤および可塑剤から成る群から選択される少なくとも1種の添加剤が含まれていてよい。更にいえば、繊材には、ガラスフィラー、カーボンフィラーのような無機または有機フィラーが含まれていてもよい。
【0032】
液槽にはコンベア部材が好ましくは設けられている。コンベア部材は、ダイで形成された溶融繊材を全体的に所定方向へと導く作用を有すると共に、槽液体中における繊材同士の接合を助力し、また、最終的に得られる立体網状繊材集合物の厚みなどの形態を決定付けるように作用し得る。コンベア部材は、ダイの下方に位置付けられるところ、その大部分または全部が槽液体に浸かった状態で使用される。これにより、上流側においてダイから連続的に得られる複数の溶融繊材を液槽で冷却固化させつつ、それらを連続的により下流側へと送ることができる。下流側においては複数の繊材から構成される立体網状繊材集合物を連続的に液槽から取り出して回収する。なお、ダイから降下する溶融繊材が槽液体に先立ってコンベア部材に衝突する場合では、かかる衝突に起因して溶融繊材のランダムな湾曲が促進されることになる。
【0033】
液槽にコンベア部材が設けられる場合、コンベア部材としては一対のサブ・コンベア部材を離隔対向するように設けることが好ましい。かかる場合、一対のサブ・コンベア部材に挟持される形態で複数の繊材およびそれから構成される立体網状繊材集合物が下流へと送られることになり、連続的作製が実現され得る。
【0034】
(本発明の特徴部分)
以下、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体の特徴部分について説明する。本願発明者らは、折り畳みのパターンに富むクッション品複合体を供するために鋭意検討し、その結果として、その構成要素であるクッション品10同士が連続する箇所の構成に特徴をもたせることを案出するに至った(
図3A~
図3E参照)。
【0035】
図3Aは、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す平面図(全展開時)である。
図3Bは、
図3Aの線分I-I’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)である。
図3Cは、
図3Aの線分II-II’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)である。
図3Dは、
図3Aの線分III-III’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)である。
図3Eは、
図3Aの線分IV-IV’間における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体を模式的に示す側面図(全展開時)である。
【0036】
図3A~
図3Fは、全展開時における本発明の一実施形態に係るクッション品複合体100の模式図(平面図および側面図)である。
図3A~
図3Fに示すように、クッション品複合体100は、全展開時にて、所定箇所で相互に連続する複数のクッション品10が行列形態にて配置可能となっている。本明細書において、「複数のクッション品10が所定箇所で相互に連続する」とは、既述のクッション品10の構成要素である外装体同士が連結した状態であり、かつクッション品10の構成要素であるクッション詰物同士は連結することなく独立保持された状態を指す。かかる外装体同士の連結部分は、例えば、縫着により形成することができる。
【0037】
一実施形態では、少なくとも、第1行目にて、第1のクッション品10Aと第2のクッション品10Bとが順に横並びに配置され得る。第2行目にて、第3のクッション品10Cと第4のクッション品10D」とが順に横並びに配置され得る。更に、第3行目にて、第5のクッション品10Eと第6のクッション品10Fとが順に横並びに配置され得る。
【0038】
第1のクッション品10Aは、相互に対向する第1主面10AIおよび第2主面10AIIを有して成る(
図3A、
図3B、
図3E参照)。第2のクッション品10Bは、相互に対向する第1主面10BIおよび第2主面10BIIを有して成る(
図3A~
図3C参照)。第3のクッション品10Cは、相互に対向する第1主面10CIおよび第2主面10CIIを有して成る(
図3A、
図3E参照)。第4のクッション品10Dは、相互に対向する第1主面10DIおよび第2主面10DIIを有して成る(
図3A、
図3C参照)。第5のクッション品10Eは、相互に対向する第1主面10EIおよび第2主面10EIIを有して成る(
図3A、
図3D、
図3E参照)。第6のクッション品10Fは、相互に対向する第1主面10FIおよび第2主面10FIIを有して成る(
図3A、
図3C、
図3D参照)。
【0039】
かかる配置形態において、本発明では、
図3Aに示すように、列方向において、クッション品の連続箇所は、第1のクッション品10Aの第1主面10AIと第2のクッション品10Bの第1主面10BI同士間のみである。又は、
図3Aでは図示していないが、クッション品の連続箇所は、第1のクッション品10Aの第2主面10AIIと第2のクッション品10Bの第2主面10BII同士間のみであることもできる。
【0040】
換言すれば、本発明では、列方向におけるクッション品の非連続箇所は、第3のクッション品10Cと第4のクッション品10Dとの間および第5のクッション品10Eと第6のクッション品10Fとの間である。
【0041】
この場合において、本発明では、列方向における第1のクッション品10Aと第2のクッション品10Bとの連続箇所が形成される側の主面が第1主面側である場合を例に採ると、行方向における第3のクッション品10Cと第5のクッション品10Eとの連続箇所が形成される側の主面も第1主面側である。更に、行方向における第4のクッション品10Dと第6のクッション品10Fとの連続箇所が形成される側の主面も第1主面側にある。
【0042】
換言すれば、第1主面とは反対側の第2主面では、行方向における第3のクッション品10Cと第5のクッション品10Eとは非連続であり、第4のクッション品10Dと第6のクッション品10Fも非連続である。
【0043】
即ち、列方向における第1のクッション品10Aと第2のクッション品10Bとの連続箇所が形成される側の主面と、行方向における第3のクッション品10Cと第5のクッション品10Eとの連続箇所および第4のクッション品10Dと第6のクッション品10Fとの連続箇所が形成される側の主面とが、同一面側にある。なお、本明細書でいう「行方向」とは横方向に相当し、「列方向」とは縦方向に相当するものである。
【0044】
一方、本発明では、列方向における第1のクッション品10Aと第2のクッション品10Bとの連続箇所が形成される側の主面が第1主面側である場合を例に採ると、行方向における第1のクッション品10Aと第3のクッション品10Cとの連続箇所が形成される側の主面は第2主面側にある。更に、第2のクッション品10Bと第4のクッション品10Dとの連続箇所が形成される側の主面も第2主面側にある。
【0045】
換言すれば、第2主面とは反対側の第1主面では、行方向における第1のクッション品10Aと第3のクッション品10Cとは非連続であり、第2のクッション品10Bと第4のクッション品10Dも非連続である。
【0046】
即ち、列方向における第1のクッション品10Aと第2のクッション品10Bとの連続箇所が形成される側の主面と、行方向における第1のクッション品10Aと第3のクッション品10Cとの連続箇所および第2のクッション品10Bと第4のクッション品10Dとの連続箇所が形成される側の主面とが、相互に対向する。即ち、行方向における第1のクッション品10Aと第3のクッション品10Cとの連続箇所および第2のクッション品10Bと第4のクッション品10Dとの連続箇所が形成される側の主面は、列方向における第1のクッション品10Aと第2のクッション品10Bとの連続箇所が形成される側の主面とは反対面側にある。
【0047】
別の観点から言うと、列方向におけるクッション品の連続箇所が、相互に対向する第1のクッション品10Aの側面の上端と第2のクッション品10Bの側面の上端同士である場合にて、行方向におけるクッション品の連続箇所が、第3のクッション品10Cと第4のクッション品10Dを基準として、第1のクッション品10A/第2のクッション品10Bと相互に対向する側の第3のクッション品10C/第4のクッション品10Dの各々の一方の側面の下端Xに位置付けられる(
図3Cおよび
図3E参照)。
【0048】
更に、行方向におけるクッション品の連続箇所が、第3のクッション品10Cと第4のクッション品10Dを基準として、第5のクッション品10E/第6のクッション品10Fと相互に対向する第3のクッション品10Cと第4のクッション品10Dの各々の他方の側面の上端Yに位置付けられる(
図3Cおよび
図3E参照)。
【0049】
以上のように、本発明の一実施形態は、(1)列方向におけるクッション品の連続箇所を1か所(1辺に相当)のみとすると共に、(2)当該列方向におけるクッション品の連続箇所を基準として、行方向におけるクッション品の連続箇所の位置を第1主面側又は第2主面側(クッション品の側面の上端側又は下端側に相当)に位置付ける一方、これとは反対側である同連続箇所の位置を第2主面側又は第1主面側(クッション品の側面の下端側又は上端側に相当)に位置付ける点に特徴を有する。
【0050】
かかる特徴に従えば、複数のクッション品が行列形態にて配置される場合に、(1)列方向におけるクッション品の連続箇所が2か所(2辺に相当)以上である場合、および/または(2)行方向におけるクッション品の連続箇所に高低差をつけない場合と比べて、相互に隣り合うクッション品間の折り畳みの制約をかかりにくくすることができ、それによって複数のクッション品の折り畳みのパターンを富ませることができる。その結果として、所定の形態に拘束されることなく、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体100の形態変更自在とし得る。
【0051】
以下、複数のクッション品10が全展開時(即ち、折り畳み箇所無し)に3行×2列の形態をなす場合(
図4(c)参照)を例に採り説明する。なお、これに限定されることなく、上記特徴を有する限り、複数のクッション品10が全展開時(即ち、折り畳み箇所無し)に4行×2列の形態をなすこと等も可能である。
【0052】
図4は、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体の複数の折り畳みパターンを模式的に示す斜視図である。この例では、第1パターンとしては、
図4(a)に示すように、1行×2列(同一高さ型⇒いずれの列共に3層)の形態を採ることができる。第2パターンとしては、
図4(b)に示すように、2行×2列(段差型⇒1行目:2層、2行目:1層)の形態を採ることができる。第3パターンとしては、
図4(c)に示すように、3行×2列(全展開型⇒いずれの行列共に1層)の形態を採ることができる。
【0053】
第4パターンとしては、
図4(d)に示すように、3行×1列(同一高さ型⇒いずれの行共に2層)の形態を採ることができる。第5パターンとしては、
図4(e)に示すように、2行×1列(段差型⇒1行目:4層、2行目:2層)の形態を採ることができる。第6パターンとしては、
図4(f)に示すように、3行×1列(段差型⇒1行目:4層、2行目:1層、3行目:1層)の形態を採ることができる。
【0054】
第7パターンとしては、複数のクッション品10の全ての平面形状が正方形であり、かつ複数のクッション品10の各々の縦横寸法値と複数のクッション品10の各々の高さ寸法の合計値とが略同一である場合に、
図1および
図2に示すように、複数のクッション品10が全折り畳み時にキュービック状の形態を採ることができる。
【0055】
この場合、複数のクッション品10の各々の縦横寸法値がそれぞれxcmである場合に、複数のクッション品10の各々の高さがx/6cmとなるように、各クッション品10の縦横寸法値および高さ寸法を事前に決定および調整することが好ましい。
【0056】
以上の事からも、複数のクッション品10が全展開時(即ち、折り畳み箇所無し)に3行×2列の形態をなす場合を例に採ると、全部で7パターンに形態変更することができる。これにより、既述のように、所定の形態に拘束されることなく、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体100の形態変更自在とすることできる。かかる形態変更により、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体100を多用途型として用いることができる。
【0057】
あくまでも例示にすぎないが、一例では、
図5(A)に示すように、
図4(c)に相当する状態では、例えば、利用者はクッション品複合体100Aをストレッチ用マットとして用いることができる。別例では、
図5(B)に示すように、
図4(a)に相当する状態では、例えば、利用者はクッション品複合体100Bを足置き場として用いることができる。別例では、
図5(C)に示すように、
図4(a)に相当する状態では、例えば、利用者はクッション品複合体100Cをトランポリンとして用いることができる。更なる別例では、
図5(D)に示すように、
図1および
図2に相当する全折り畳み状態では、例えば、利用者はクッション品複合体100Dをストレッチ用マットとして用いることができる。これに限定されることなく、クッション品複合体を種々の形態パターンに変更することで、バランス部材(バランスボールに相当)、スツール(背もたれのない腰掛け)、オットマン(足掛け台)、ヨガブロック、サイドテーブル、プレイマット等として用いることもできる。
【0058】
本発明の一実施形態に係るクッション品複合体は上記のような用途で用いられ得るため、かかる用途を考慮して、その構成要素であるクッション品の立体網状繊材集合物の繊材の繊度は、既述の数値範囲の中でも、特に8000dtex~10000dtex以下であることが好ましい。又、同様の観点から、立体網状繊材集合物の見掛け密度は、既述の数値範囲の中でも、特に0.055g/cm3~0.080g/cm3であることが好ましい。
【0059】
なお、一態様では、本発明の一実施形態に係るクッション品複合体100は収納体200に一括して収納可能であることが好ましい(
図6参照)。特に、全折り畳み状態におけるキュービック状のクッション品複合体100を収納体200に一括して収納可能であることがより好ましい。かかる収納体200へのクッション品複合体100の収納により、クッション品複合体100を片付けなくとも、使用する箇所にそのまま静置しておくことが可能となる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明の適用範囲における典型例を示したに過ぎない。したがって、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変更がなされ得ることは当業者に容易に理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の一実施形態に係るクッション品複合体は、日常生活用、健康維持促進用、育児用およびスポーツ用等、多用途型として用いることができる。
【符号の説明】
【0062】
10 クッション品
10A 第1のクッション品
10AI 第1のクッション品の第1主面
10AII 第1のクッション品の第2主面
10B 第2のクッション品
10BI 第2のクッション品の第1主面
10BII 第2のクッション品の第2主面
10C 第3のクッション品
10CI 第3のクッション品の第1主面
10CII 第3のクッション品の第2主面
10D 第4のクッション品
10DI 第4のクッション品の第1主面
10DII 第4のクッション品の第2主面
10E 第5のクッション品
10EI 第5のクッション品の第1主面
10EII 第5のクッション品の第2主面
10F 第6のクッション品
10FI 第6のクッション品の第1主面
10FII 第6のクッション品の第2主面
11 クッション詰物
11a 立体網状繊材集合物
12 外装体
100、100A、100B、100C、100D クッション品複合体
200 収納体
X 第3のクッション品/第4のクッション品の各々の一方の側面の下端
Y 第3のクッション品/第4のクッション品の各々の他方の側面の上端