(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062835
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】画像処理装置、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230427BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T1/00 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172964
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100154759
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 貴子
(72)【発明者】
【氏名】渡部 祥
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊也
(72)【発明者】
【氏名】福地 一真
【テーマコード(参考)】
5B057
5H181
【Fターム(参考)】
5B057AA16
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181CC27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
(57)【要約】
【課題】合成画像からの物体の消失を減らす。
【解決手段】画像処理装置10は、車両後方のリア画像と、左の後側方及び右の後側方のサイド画像とを合成する合成部14と、各画像から後方車両を含む物体を検出する検出部12と、リア画像から検出された後方車両が車両に接近したか否かを判定する判定部13と、を備える。合成部14は、後方車両が接近したと判定されるまでは第1モードによって、後方車両が接近したと判定されると特定の合成モードによって、合成画像を生成する。第1モードではサイド画像の一部にリア画像が重ねられ、後方車両が接近するほどリア画像を重ねる領域が広がる。特定の合成モードでは、サイド画像の一部にリア画像が重ねられるが、サイド画像から検出された物体とリア画像の重なりが第1モードよりも少ないか、又はサイド画像にリア画像が重ねられない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方の複数の撮影画像から1つの合成画像を生成する画像処理装置であって、
前記車両の後方を撮影したリア画像と、左の後側方及び右の後側方をそれぞれ撮影した2つのサイド画像とを合成し、前記合成画像を生成する合成部と、
前記リア画像及び前記サイド画像から後方車両を含む物体を検出する検出部と、
前記リア画像から検出された前記後方車両が前記車両に接近したか否かを判定する判定部と、を備え、
前記合成部は、
前記後方車両が接近したと判定されるまでは第1モードによって前記合成画像を生成し、前記後方車両が接近したと判定されると前記第1モードを特定の合成モードに切り替えて前記合成画像を生成し、
前記第1モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ね、前記後方車両が接近するほど前記リア画像を重ねる領域を広げ、
前記特定の合成モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ねるが、前記サイド画像から検出された前記物体と前記リア画像の重なりが前記第1モードよりも少ないか、又は前記サイド画像に前記リア画像を重ねない
画像処理装置。
【請求項2】
前記特定の合成モードは、第2モードを含み、
前記合成部は、前記第2モードにおいて、前記リア画像の縮小画像を生成し、連結した2つの前記サイド画像の中央あるいは前記物体に重ならない位置に前記縮小画像を重ねるか、又は2つの前記各サイド画像の間に前記縮小画像を配置して各画像を連結することにより、前記合成画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記合成部は、前記縮小画像を透過処理する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記合成部は、前記サイド画像を垂直方向に拡大し、その拡大率を水平方向において前記車両側に近いほど大きくする
請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記特定の合成モードは、第3モードを含み、
前記合成部は、前記第3モードにおいて、前記サイド画像の縮小画像を生成し、前記縮小画像を前記リア画像中の前記後方車両の左右にそれぞれ配置することにより、前記合成画像を生成する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記特定のモードは、第4モードを含み、
前記合成部は、前記第4モードにおいて、前記リア画像の両端部を透過処理し、連結した2つの前記サイド画像の中央に透過処理した前記リア画像を重ねることにより、前記合成画像を生成し、
前記リア画像の両端部のうち、前記物体が検出されていないサイド画像側の端部の透過処理範囲を前記リア画像中の前記後方車両の位置に応じて変更し、前記物体が検出されたサイド画像側の端部の透過処理範囲を固定する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記サイド画像の特定領域から前記物体が検出されたか否かをさらに判定し、
前記合成部は、前記リア画像中の前記後方車両が前記車両に接近し、かつ前記特定領域から前記物体が検出されたと判定された場合に、前記第1モードを前記特定の合成モードに切り替える
請求項1~6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記特定領域は、前記サイド画像の前記車両側の端部に位置し、
前記判定部は、前記車両と前記後方車両との接近レベルを判定し、前記接近レベルに応じて前記特定領域のサイズを変更する
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記合成部は、前記第1モードにおいて、前記リア画像の両端部を透過処理し、連結した2つの前記サイド画像の中央に透過処理した前記リア画像を重ねることにより、前記合成画像を生成し、前記リア画像の両端部の透過処理範囲を前記リア画像中の前記後方車両の位置に応じて変更する
請求項1~8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記リア画像から検出された前記後方車両の端部の位置が、前記リア画像の水平方向又は垂直方向に配置された基準線を超える場合に、前記車両に前記後方車両が接近したと判定する
請求項1~9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記検出部は、前記物体の種別を検出し、
前記判定部は、前記後方車両の種別によって前記基準線の位置を移動する
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
車両後方の撮影画像を提供するシステムであって、
前記車両後方の複数の撮影画像から1つの合成画像を生成する画像処理装置と、
前記合成画像を表示する表示装置と、を備え、
前記画像処理装置は、
前記車両の後方を撮影したリア画像と、左の後側方及び右の後側方をそれぞれ撮影した2つのサイド画像とを合成し、前記合成画像を生成する合成部と、
前記リア画像及び前記サイド画像から後方車両を含む物体を検出する検出部と、
前記リア画像から検出された前記後方車両が前記車両に接近したか否かを判定する判定部と、を備え、
前記合成部は、
前記後方車両が接近したと判定されるまでは第1モードによって前記合成画像を生成し、前記後方車両が接近したと判定されると前記第1モードを特定の合成モードに切り替えて前記合成画像を生成し、
前記第1モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ね、前記後方車両が接近するほど前記リア画像を重ねる領域を広げ、
前記特定の合成モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ねるが、前記サイド画像から検出された前記物体と前記リア画像の重なりが前記第1モードよりも少ないか、又は前記サイド画像に前記リア画像を重ねない
システム。
【請求項13】
コンピュータに、
車両の後方を撮影したリア画像と、左の後側方及び右の後側方をそれぞれ撮影した2つのサイド画像とを合成し、1つの合成画像を生成するステップと、
前記リア画像及び前記サイド画像から後方車両を含む物体を検出するステップと、
前記リア画像から検出された前記後方車両が前記車両に接近したか否かを判定するステップと、を実行させるためのプログラムであり、
前記合成画像を生成するステップは、前記後方車両が接近したと判定されるまでは第1モードによって前記合成画像を生成するステップと、前記後方車両が接近したと判定されると前記第1モードを特定の合成モードに切り替えるステップと、前記特定の合成モードによって前記合成画像を生成するステップと、を含み、
前記第1モードによって前記合成画像を生成するステップは、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ね、前記後方車両が接近するほど前記リア画像を重ねる領域を広げ、
前記特定の合成モードによって前記合成画像を生成するステップは、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ねるが、前記サイド画像から検出された前記物体と前記リア画像の重なりが前記第1モードよりも少ないか、又は前記サイド画像に前記リア画像を重ねない
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラによって車両の後方と左右の後側方とを撮影し、それらを車両内部のディスプレイに表示する運転支援システムが利用されている。後方と後側方とではカメラの位置や画角が異なるため、各撮影画像を単純に連結して1つの画像に合成しただけの合成画像からは、後方車両との距離感がわかりにくいことがある。
【0003】
そこで、視認したときと同様に合成画像を観察できるように、合成時に各撮影画像に画像処理が施されることが一般的である。例えば特許文献1によれば、後方車両との距離感を把握しやすいように、後方の撮影画像が縮小される。また、後方と後側方の各撮影画像間で車線及び地平線が連続するように左右の後側方の撮影画像が変形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、各撮影画像中の車線の位置が一致するように、後側方の撮影画像上に後方の撮影画像を重ねる画像処理が行われる。後側方の撮影画像に隣の車線を走行する後方車両が含まれる場合、この後方車両上に後方の撮影画像が重ねられ、合成画像から後側方の後方車両が消失することがある。そのため、後方車両の存在にドライバが気付くのが遅れてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、合成画像からの物体の消失を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を包含する。
[1]車両後方の複数の撮影画像から1つの合成画像を生成する画像処理装置であって、
前記車両の後方を撮影したリア画像と、左の後側方及び右の後側方をそれぞれ撮影した2つのサイド画像とを合成し、前記合成画像を生成する合成部と、
前記リア画像及び前記サイド画像から後方車両を含む物体を検出する検出部と、
前記リア画像から検出された前記後方車両が前記車両に接近したか否かを判定する判定部と、を備え、
前記合成部は、
前記後方車両が接近したと判定されるまでは第1モードによって前記合成画像を生成し、前記後方車両が接近したと判定されると前記第1モードを特定の合成モードに切り替えて前記合成画像を生成し、
前記第1モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ね、前記後方車両が接近するほど前記リア画像を重ねる領域を広げ、
前記特定の合成モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ねるが、前記サイド画像から検出された前記物体と前記リア画像の重なりが前記第1モードよりも少ないか、又は前記サイド画像に前記リア画像を重ねない
画像処理装置。
【0008】
上記[1]によれば、後方車両が接近するまでは第1モードで合成が行われる。第1モードではサイド画像の一部にリア画像が一部重ねられるが、後方車両の位置が遠く、リア画像が重ねられる領域が小さいため、サイド画像中の物体の消失は少ない。一方、後方車両が接近すると特定の合成モードで合成が行われる。特定の合成モードでは、第1モードよりもリア画像が重ねられる領域が小さいか、リア画像が重ねられない。よって、サイド画像中の物体の消失を減らすことができる。
【0009】
[2]前記特定の合成モードは、第2モードを含み、
前記合成部は、前記第2モードにおいて、前記リア画像の縮小画像を生成し、連結した2つの前記サイド画像の中央あるいは前記物体に重ならない位置に前記縮小画像を重ねるか、又は2つの前記各サイド画像の間に前記縮小画像を配置して各画像を連結することにより、前記合成画像を生成する
上記[1]に記載の画像処理装置。
【0010】
上記[2]によれば、第2モードの合成により生成された合成画像においてリア画像は縮小されるため、サイド画像に重ねられるリア画像の領域が減る。また縮小画像は、サイド画像上の物体と重なりにくい位置か、又は重ならない位置に配置される。よって、サイド画像中の物体の消失を減らすことができる。
【0011】
[3]前記合成部は、前記縮小画像を透過処理する
上記[2]に記載の画像処理装置。
【0012】
上記[3]によれば、縮小画像は透過率が高いため、サイド画像の物体上に縮小画像が重ねられた場合でも、合成画像からの当該物体の消失を防ぐことができる。
【0013】
[4]前記合成部は、前記サイド画像を垂直方向に拡大し、その拡大率を水平方向において前記車両側に近いほど大きくする
上記[2]又は[3]に記載の画像処理装置。
【0014】
上記[4]によれば、サイド画像は車両に近いほど垂直方向に大きく拡大される。サイド画像中の物体も拡大されるため、リア画像が重ねられたときにも消失しにくくなる。またサイド画像に奥行きを生じさせることができ、視認したときと同じような自然な合成画像を提供できる。
【0015】
[5]前記特定の合成モードは、第3モードを含み、
前記合成部は、前記第3モードにおいて、前記サイド画像の縮小画像を生成し、前記縮小画像を前記リア画像中の前記後方車両の左右にそれぞれ配置することにより、前記合成画像を生成する
上記[1]に記載の画像処理装置。
【0016】
上記[5]によれば、第3モードの合成によりサイド画像が縮小されてリア画像上の左右に重ねられた合成画像が生成される。サイド画像上にリア画像が重ねられないため、リア画像によるサイド画像の物体の消失を減らすことができる。またリア画像中の後方車両は通常、リア画像の中央に位置するため、サイド画像をリア画像上に重ねることによりリア画像の物体の消失も減らすことができる。
【0017】
[6]前記特定のモードは、第4モードを含み、
前記合成部は、前記第4モードにおいて、前記リア画像の両端部を透過処理し、連結した2つの前記サイド画像の中央に透過処理した前記リア画像を重ねることにより、前記合成画像を生成し、
前記リア画像の両端部のうち、前記物体が検出されていないサイド画像側の端部の透過処理範囲を前記リア画像中の前記後方車両の位置に応じて変更し、前記物体が検出されたサイド画像側の端部の透過処理範囲を固定する
上記[1]に記載の画像処理装置。
【0018】
上記[6]によれば、第4モードの合成により、サイド画像同士を連結した中央に両端部が透過処理されたリア画像が配置される。リア画像の端部の透過処理される範囲は、リア画像中の後方車両の接近レベルによって狭められるが、物体が検出されたサイド画像側の端部については透過処理される範囲は固定され、狭められない。透過処理される範囲が広いままであるため、サイド画像中の物体の消失を減らすことができる。
【0019】
[7]前記判定部は、前記サイド画像の特定領域から前記物体が検出されたか否かをさらに判定し、
前記合成部は、前記リア画像中の前記後方車両が前記車両に接近し、かつ前記特定領域から前記物体が検出されたと判定された場合に、前記第1モードを前記特定の合成モードに切り替える
上記[1]~[6]のいずれかに記載の画像処理装置。
【0020】
上記[7]によれば、サイド画像の車両側の端部にリア画像が重ねられる場合、特定領域に物体が位置するか否かを判定することにより、重ねられたリア画像によって消失しやすい物体か否かを判定することができる。
【0021】
[8]前記特定領域は、前記サイド画像の前記車両側の端部に位置し、
前記判定部は、前記車両と前記後方車両との接近レベルを判定し、前記接近レベルに応じて前記特定領域のサイズを変更する
上記[7]に記載の画像処理装置。
【0022】
上記[8]によれば、後方車両が接近し、リア画像の表示範囲が拡張された場合に合成画像から消失する物体を検出しやすくすることができる。
【0023】
[9]前記合成部は、前記第1モードにおいて、前記リア画像の両端部を透過処理し、連結した2つの前記サイド画像の中央に透過処理した前記リア画像を重ねることにより、前記合成画像を生成し、前記リア画像の両端部の透過処理範囲を前記リア画像中の前記後方車両の位置に応じて変更する
上記[1]~[8]のいずれかに記載の画像処理装置。
【0024】
上記[9]によれば、第1モードにおいて、サイド画像上にリア画像を重ねる領域を拡張し、リア画像中に後方車両を含めることができる。よってリア画像中の後方車両が合成画像から消失することを減らすことができる。
【0025】
[10]前記判定部は、前記リア画像から検出された前記後方車両の端部の位置が、前記リア画像の水平方向又は垂直方向に配置された基準線を超える場合に、前記車両に前記後方車両が接近したと判定する
上記[1]~[9]のいずれかに記載の画像処理装置。
【0026】
上記[10]によれば、基準線との照合によって後方車両の接近を簡易に判定することができる。
【0027】
[11]前記検出部は、前記物体の種別を検出し、
前記判定部は、前記後方車両の種別によって前記基準線の位置を移動する
上記[10]に記載の画像処理装置。
【0028】
上記[11]によれば、後方車両の種別によって基準線の位置を変更することにより、後方車両の接近を判定するタイミングを簡易に調整することができる。
【0029】
[12]車両後方の撮影画像を提供するシステムであって、
前記車両後方の複数の撮影画像から1つの合成画像を生成する画像処理装置と、
前記合成画像を表示する表示装置と、を備え、
前記画像処理装置は、
前記車両の後方を撮影したリア画像と、左の後側方及び右の後側方をそれぞれ撮影した2つのサイド画像とを合成し、前記合成画像を生成する合成部と、
前記リア画像及び前記サイド画像から後方車両を含む物体を検出する検出部と、
前記リア画像から検出された前記後方車両が前記車両に接近したか否かを判定する判定部と、を備え、
前記合成部は、
前記後方車両が接近したと判定されるまでは第1モードによって前記合成画像を生成し、前記後方車両が接近したと判定されると前記第1モードを特定の合成モードに切り替えて前記合成画像を生成し、
前記第1モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ね、前記後方車両が接近するほど前記リア画像を重ねる領域を広げ、
前記特定の合成モードにおいて、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ねるが、前記サイド画像から検出された前記物体と前記リア画像の重なりが前記第1モードよりも少ないか、又は前記サイド画像に前記リア画像を重ねない
システム。
【0030】
上記[12]によれば、後方車両が接近するまでは第1モードで合成が行われる。第1モードではサイド画像の一部にリア画像が一部重ねられるが、後方車両の位置が遠く、リア画像が重ねられる領域が小さいため、サイド画像中の物体の消失は少ない。一方、後方車両が接近すると特定の合成モードで合成が行われる。特定の合成モードでは、第1モードよりもリア画像が重ねられる領域が小さいか、リア画像が重ねられない。よって、サイド画像中の物体の消失を減らすことができる。
【0031】
[13]コンピュータに、
車両の後方を撮影したリア画像と、左の後側方及び右の後側方をそれぞれ撮影した2つのサイド画像とを合成し、1つの合成画像を生成するステップと、
前記リア画像及び前記サイド画像から後方車両を含む物体を検出するステップと、
前記リア画像から検出された前記後方車両が前記車両に接近したか否かを判定するステップと、を実行させるためのプログラムであり、
前記合成画像を生成するステップは、前記後方車両が接近したと判定されるまでは第1モードによって前記合成画像を生成するステップと、前記後方車両が接近したと判定されると前記第1モードを特定の合成モードに切り替えるステップと、前記特定の合成モードによって前記合成画像を生成するステップと、を含み、
前記第1モードによって前記合成画像を生成するステップは、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ね、前記後方車両が接近するほど前記リア画像を重ねる領域を広げ、
前記特定の合成モードによって前記合成画像を生成するステップは、前記サイド画像の一部に前記リア画像を重ねるが、前記サイド画像から検出された前記物体と前記リア画像の重なりが前記第1モードよりも少ないか、又は前記サイド画像に前記リア画像を重ねない
プログラム。
【0032】
上記[13]によれば、後方車両が接近するまでは第1モードで合成が行われる。第1モードではサイド画像の一部にリア画像が一部重ねられるが、後方車両の位置が遠く、リア画像が重ねられる領域が小さいため、サイド画像中の物体の消失は少ない。一方、後方車両が接近すると特定の合成モードで合成が行われる。特定の合成モードでは、第1モードよりもリア画像が重ねられる領域が小さいか、リア画像が重ねられない。よって、サイド画像中の物体の消失を減らすことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、合成画像からの物体の消失を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】一実施形態の運転支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態における合成画像を生成する合成処理を示すフローチャートである。
【
図4A】後方車両の接近の判定方法を説明する図である。
【
図4B】後方車両の接近の判定方法を説明する図である。
【
図5A】第1モードの合成方法を説明する図である。
【
図5B】第1モードの合成方法を説明する図である。
【
図6A】合成画像からの後側方車両の消失を説明する図である
【
図6B】第2モードの合成画像の例を示す図である。
【
図7A】第2モードの合成画像の他の例を示す図である。
【
図7B】第2モードの合成画像の他の例を示す図である。
【
図7C】第2モードの合成画像の他の例を示す図である。
【
図8】第2実施形態における合成処理を示すフローチャートである。
【
図10】第3モードの合成画像の例を示す図である。
【
図11】第3実施形態における合成処理を示すフローチャートである。
【
図12】第4モードの合成画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の画像処理装置、システム及びプログラムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の運転支援システム100の構成を示す。
運転支援システム100は、車両に搭載され、当該車両の後方及び後側方の撮影画像を表示することによって、ドライバの運転を支援する。
【0037】
図1に示すように、運転支援システム100は、画像表示システム25、3つのカメラ3C、3L及び3R、各種センサ4及び計測装置5等を備える。画像表示システム25は、画像処理装置10及び表示装置20を備える。
【0038】
カメラ3C、3L及び3Rは、それぞれ車両の後方、左の後側方及び右の後側方を連続的に撮影し、時系列の撮影画像を順次生成する。以下、後方の撮影画像をリア画像、後側方の撮影画像をサイド画像という。後方を撮影するカメラ3Cは、例えばナンバープレート付近に配置される。左右の後側方を撮影するカメラ3L及び3Rは、例えば左右のサイドミラーの位置にそれぞれ設けられる。
【0039】
計測装置5は、車両周辺の物体、例えば車両、人等の位置、方向、物体までの距離、物体の移動速度等を計測する。計測装置5としては、例えば超音波ソナー又はミリ波レーダー等が挙げられる。運転支援システム100は、これら計測装置5から車両周辺の物体の計測情報を取得することができる。
【0040】
センサ4は、車両の状態を検出する。センサ4としては、例えば車速センサ、舵角センサ、ウィンカーセンサ等の車両に搭載された各種センサが挙げられる。運転支援システム100は、これらセンサ4からの検出信号を車両の状態を示す情報として取得することができる。
【0041】
(表示装置)
表示装置20は、画像処理装置10によって生成された合成画像を表示する。表示装置20は、一般的な縦横比を有する車載用ディスプレイであってもよいし、縦に対する横の比率が長いルームミラー型のディスプレイであってもよい。
【0042】
図2は、車両における表示装置20の配置例を示す。
表示装置20は、車両の室内のダッシュボード21上か、又はフロントウインドウ22の上部中央付近にインナーミラーに代えて設置される。
図2において、表示装置20は、横長の単一の液晶ディスプレイ等により構成され、これに1つの合成画像Jが表示される。
【0043】
カメラ3C、3L及び3Rにより撮影された画像(映像)は合成され、表示装置20には1つの合成画像Jが表示される。合成画像Jにおいて、左側にはカメラ3Lの撮影画像JLが表示され、中央にはカメラ3Cの撮影画像JCが表示され、右側にはカメラ3Rの撮影画像JRが表示される。
【0044】
なお、表示装置20は、一列に連結された複数台のディスプレイにより構成されてもよい。この場合、1つの合成画像Jが分割され、各分割画像が各ディスプレイの表示領域に表示される。
【0045】
(画像処理装置)
画像処理装置10は、カメラ3Cにより撮影されたリア画像と、カメラ3L及び3Rにより撮影されたサイド画像とを1つの画像に合成する。
【0046】
画像処理装置10は、補正部11、検出部12、判定部13、合成部14及び表示制御部15を備える。画像処理装置10の各部の機能は、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)、マイクロコンピュータ等のコンピュータによりプログラムを読み取って実行されるソフトウェア処理により実現されてもよい。また画像処理装置10の各部が、FPGA(field-programmable gate array)のようなハードウェアによって構成されてもよい。
【0047】
補正部11は、リア画像及びサイド画像に歪み補正、色補正等の補正処理を施す。
【0048】
検出部12は、補正処理後の各画像に含まれる物体を検出する。検出対象の物体としては、例えば車両、人、動物、ガードレール、又は建物等が挙げられる。検出方法は特に限定されないが、例えば深層学習(ディープラーニング)を用いた検出を行うことができる。
【0049】
深層学習では、検出部12は、車種や遠近感が異なる車両、人等の検出対象を様々な方向から撮影した複数の撮影画像を訓練データとして使用し、検出対象の物体の特徴を学習する。例えば、検出部12は、バスや乗用車の特徴を学習し、これらと類似する特徴を有する画像部分を車両として検出することができる。車種ごとの特徴を学習することにより、車両の車種も判別することができる。
【0050】
検出部12は、検出した物体を囲む検出枠を画像中に設定することができる。本実施形態において、検出枠は四角形状であるが、検出枠のサイズが物体のサイズと略一致するのであれば、形状は四角形状に限られない。例えば、検出枠は物体の輪郭を縁取る形状であってもよいし、水平方向及び垂直方向のサイズが物体と同じ楕円形状等であってもよい。
【0051】
判定部13は、検出部12によりリア画像から検出された後方車両が、車両に接近したか否かを判定する。判定部13は、センサ4により検出される車両の状態又は計測装置5により計測された物体の位置や速度等の情報を、判定に使用することができる。
【0052】
合成部14は、補正処理後のリア画像及びサイド画像を合成して、1つの合成画像を生成する。合成部14は、複数の合成モードを有し、判定部13の判定結果に応じて合成モードを切り替える。
【0053】
表示制御部15は、合成部14により生成された合成画像を表示装置20により表示させる。
【0054】
図3は、画像処理装置が合成画像を生成する合成処理を示す。この合成処理は、各カメラ3C、3L及び3Rにより1フレームの撮影画像が入力されるごとに繰り返される。
各カメラ3C、3L及び3Rによりリア画像及びサイド画像が撮影されると、画像処理装置10では、補正部11が各画像を補正処理する(ステップS11)。検出部12は、補正処理後のリア画像及びサイド画像に含まれる物体及びその種別を検出する(ステップS12)。
【0055】
リア画像から検出された物体のなかに車両が含まれる場合、つまりリア画像から後方車両が検出された場合、判定部13は当該後方車両が車両に接近したか否かを判定する(ステップS13)。判定部13は、計測装置5から取得した計測情報に基づいて後方車両の接近を判定することもできるし、リア画像を解析することによって後方車両の接近を判定することもできる。
【0056】
図4A及び
図4Bは、リア画像の解析による後方車両の接近の判定方法を説明する。
図4Aに示すように、判定部13は、垂直方向yに平行な2本の基準線L11と、水平方向xに平行な2本の基準線L21とを、リア画像JC上に配置する。2本の基準線L11は、水平方向xにおけるリア画像JCの中心線から一定距離離れた左右の位置にそれぞれ配置される。2本の基準線L21は、リア画像JCの下端からそれぞれ所定の距離離れた位置に配置される。
【0057】
後方車両51が車両に接近するほど、後方車両51はリア画像JCの下側に位置し、画像中のサイズも大きくなる。よって、判定部13は、リア画像JCにおいて検出された後方車両51の端部の位置、例えば後方車両51に設定された検出枠の4辺の位置がすべての基準線L11及びL21を超えてその外側にある場合、後方車両51が車両に接近したと判定することができる。このように、基準線L11及びL21との照合によって後方車両51の接近を簡易に判定することができる。
【0058】
基準線L11及びL21の位置は、あらかじめ計測して決定することができる。例えば車両の後方15mの位置まで後方車両51が接近したときのリア画像JCにおいて、後方車両51の水平方向xの両端と垂直方向yの両端の位置を計測し、これを基準線L11及びL21の位置として決定することができる。
【0059】
本実施形態のように、基準線L11及びL21を用いて水平方向x及び垂直方向yの両方で判定することが判定の精度が高く、好ましい。簡易に判定する場合は、基準線L11及びL21のいずれかを用いて水平方向x及び垂直方向yの一方のみで判定することができる。
【0060】
判定部13は、基準線L11及びL21の位置を、後方車両51の車種によって移動することができる。例えば、トラックやバス等の大型車両は普通車両及び軽車両に比べて車幅が大きい。よって、
図4Bに示すように、基準線L11よりも間隔が狭い基準線L12か、又は基準線L21よりも上側に位置する基準線L22を用いて接近を判定することにより、接近したと判定するタイミングを早めることができる。基準線L11及びL21の位置を変更する簡単な操作によって後方車両51の接近を判定するタイミングを簡易に調整することができる。
【0061】
後方車両51が接近していないと判定された場合(ステップS13:NO)、合成部14は合成モードを第1モードに切り替える(ステップS14)。後方車両51が接近したと判定された場合(ステップS13:YES)、合成部14は合成モードを第2モードに切り替える(ステップS17)。合成部14は、補正処理後のリア画像JC、サイド画像JL及びJRを用いて、切り替えた合成モードにより合成画像を生成する。
【0062】
図5A及び
図5Bは、第1モードによる合成方法を説明する。
図5Aに示すように、カメラ3Cの撮影範囲61Cは、カメラ3L及び3Rの撮影範囲61L及び61Rと一部が重複する。合成部14は、車両50の後方n(m)(例えば、n=15)の合成面L3においてリア画像JC、サイド画像JL及びJRがシームレスに合成されるように、リア画像JC、サイド画像JL及びJRの各トリミング範囲62C、62L及び62R、パン、チルト及びロールを調整する。
【0063】
合成部14は、左右のサイド画像JL及びJRを連結し、その中央にリア画像JCを重ねたレイヤ構造の合成画像Jを生成する(ステップS15)。合成部14は、リア画像JCの両端部Csを透過処理することにより、合成画像Jにおけるリア画像JCの表示範囲63Cを狭めて、サイド画像JL及びJRの表示範囲63L及び63Rを広げる(ステップS16)。
【0064】
図5Aにおいて、いずれのトリミング範囲62C、62L及び62Rにもない領域は合成画像J上の死角となる。リア画像JC中に検出された後方車両51が車線変更等によりこの死角に移動すると、後方車両51が合成画像Jから消失する。このような消失を防ぐため、第1モードにおいて、合成部14は、合成画像Jにおいてリア画像JCの表示範囲63Cを決定する境界線L1の位置を、リア画像JC中の後方車両51の位置に応じて変更する。
【0065】
図5Bに示すように、後方車両51が車両50側に接近しつつ右の後側方の位置に移動した場合、合成部14は、リア画像JCから検出された後方車両51の検出枠のすべてがリア画像JC中に含まれるように、境界線L1の位置を車両50側に移動することができる。その結果、リア画像JCにおいて透過処理する右側の端部Csの範囲を減らすことができる。これにより、トリミング範囲62C、62L及び62Rが変わり、合成画像Jにおけるリア画像JCの表示範囲63Cが右側に広がって、その分だけ右のサイド画像JRの表示範囲63Rが減る。このように、リア画像JCの表示範囲63Cを変更することで、合成画像Jの死角の位置をずらし、後方車両51の消失を減らしている。
【0066】
第1モードでは、リア画像JCの表示範囲63Cの変更によって、サイド画像JL及びJR中の後側方車両が合成画像Jから消失することがある。
図6Aは、第1モードの合成画像の例を示す。
図6Aに示すように、リア画像JC中に車両50と同一車線を走行中の後方車両51が検出され、左のサイド画像JL中に隣の車線を走行中の後側方車両52が検出されている。
【0067】
第1モードでは、後方車両51が車両50に接近するほど、後方車両51の消失を防ぐためにリア画像JCの表示範囲63Cが広がっていく。つまり、サイド画像JL及びJRに重なるリア画像JCの領域が広がる。その結果、サイド画像JL中の後側方車両52上にもリア画像JCが重なると、後側方車両52が合成画像Jから消失する。このような消失を防ぐため、リア画像JC中の後方車両51が接近したと判定されると、合成部14は第2モードに切り替える。
【0068】
図6Bは、第2モードの合成画像の例を示す。
図6Bに示すように、第2モードでは、合成部14はリア画像JCの縮小画像JCaを生成する(ステップS18)。
【0069】
合成部14は、左右のサイド画像JL及びJRを連結する。このとき、合成部14は、左右のサイド画像JL及びJRを拡大することができる。これにより、サイド画像JL及びJR中の後側方車両52のサイズも拡大され、後側方車両52の確認が容易になる。合成部14は、連結したサイド画像JL及びJRの中央にリア画像JCの縮小画像JCaを重ねて、合成画像Jを生成する(ステップS19)。縮小によってリア画像JCが重ねられる領域が減るため、後側方車両52にリア画像JCが重ならず、後側方車両52が合成画像Jから消失していない。
【0070】
合成部14は、合成画像Jの下部中央に車両50のアイコン画像50aを表示し、その上部にリア画像JCの縮小画像JCaを配置することができる。リア画像JCの縮小により後方車両51との距離感が把握しづらくなるが、アイコン画像50aにより車両50と後方車両51との位置関係が明確となる。
【0071】
図7A~
図7Cは、第2モードによる合成画像の他の例を示す。
図7Aに示すように、合成部14は、リア画像JCの縮小画像JCaを透過処理することができる。縮小画像JCaは透過率が高いため、サイド画像JL中の後側方車両52上に縮小画像JCaが重ねられた場合でも後側方車両52が合成画像Jから消失することを防ぐことができる。
【0072】
透過処理する場合は、透過処理しない場合よりも縮小画像JCaの縮小率を小さくしてもよい。縮小画像JCaのサイズが大きくなるため、ドライバは後方車両51を把握しやすくなる。サイズが大きくても透過処理されているため、後側方車両52の視認も可能である。
【0073】
図7Bに示すように、合成部14は、リア画像JCの縮小画像JCaを、サイド画像JL中の後側方車両52と重ならない位置に重ねることができる。例えば、合成部14は、サイド画像JL中の地平線又は車線を検出し、これらよりも上部の道路ではない領域に縮小画像JCaを配置することができる。縮小画像JCaが後側方車両52上に重なることがないため、合成画像Jからの後側方車両52の消失を防ぐことができる。
【0074】
図7Cに示すように、合成部14は、各サイド画像JL及びJRの間にリア画像JCの縮小画像JCaを配置して各画像を連結してもよい。リア画像JCがサイド画像JL及びJRと重ならないため、合成画像Jからの後側方車両52の消失を防ぐことができる。
【0075】
合成部14は、自然な合成画像Jを提供するため、サイド画像JL及びJRを変形してもよい。具体的には、
図7Cに示すように、合成部14は、サイド画像JL及びJRを垂直方向yに拡大し、その拡大率を車両50側に近いほど大きくする。さらに合成部14は、サイド画像JL及びJRを水平方向xに縮小することが好ましい。このように変形されたサイド画像JL及びJRでは無限遠点がより遠くなり、奥行きのある自然な画像となる。後側方車両52の距離感を把握しやすい合成画像Jを提供でき、合成画像J上の車両50近傍の死角も減る。
【0076】
以上のように、第1実施形態によれば、リア画像JC中の後方車両51の接近が判定され、接近するまでは第1モードにより、接近した場合には第2モードにより、合成画像Jが生成される。第2モードでは、リア画像JCが縮小されるため、リア画像JCがサイド画像JL又はJRの一部に重ねられても、その重なりが第1モードよりも小さい。または、リア画像JCがサイド画像JL又はJRに重ねられない。よって、リア画像JCがサイド画像JL及びJR中の後側方車両52に重なって消失することを減らすことができる。
【0077】
<第2実施形態>
第2実施形態では、画像処理装置10において次のような合成処理が行われる。合成処理の内容が異なるのみで、第1実施形態と第2実施形態における画像処理装置10及び運転支援システム100の構成は同じである。
【0078】
図8は、第2実施形態における合成処理を示す。この合成処理は、各カメラ3C、3L及び3Rからリア画像JC、サイド画像JL及びJRが入力されるごとに繰り返される。
各カメラ3C、3L及び3Rによりリア画像JC、サイド画像JL及びJRが生成されると、画像処理装置10では、補正部11が各画像を補正処理する(ステップS21)。検出部12は、補正処理後のリア画像JC、サイド画像JL及びJRに含まれる物体及びその種別を検出する(ステップS22)。
【0079】
リア画像JCから後方車両51が検出された場合、判定部13は当該後方車両51が車両50に接近したか否かを判定する(ステップS23)。判定方法は、第1実施形態と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0080】
リア画像JC中の後方車両51が接近したと判定された場合(ステップS23:YES)、判定部13はさらにサイド画像JL及びJRの特定領域において物体が検出されたか否かを判定する(ステップS24)。特定領域は、第1モードにおいてリア画像JCが重ねられる領域である。すなわち、ステップS24では、リア画像JCによって合成画像Jから消失する可能性があるサイド画像JL及びJR中の物体の有無が判定される。ここで判定対象となる物体は、車両、人、又は二輪車等のドライバに注意を促すべき物体である。
【0081】
図9は、特定領域の例を示す。
特定領域66は、左のサイド画像JL及び右のサイド画像JRの車両50側の端部に位置する。判定部13は、特定領域66のサイズを、リア画像JC中の後方車両51の接近レベルに応じて変更することができる。後方車両51が車両50から遠い位置にある場合、リア画像JCの表示範囲63Cの拡張もないため、特定領域66のサイズも小さくてよい。逆に後方車両51が車両50に近いと表示範囲63Cが拡張されるため、特定領域66のサイズを大きくすることにより、サイド画像JL中の後側方車両52のように合成画像Jから消失する物体を検出しやすくすることができる。
【0082】
後方車両51の接近レベルは、後方車両51の車両50からの距離、移動速度、又は車両50に到達するまでの時間等によって判定することができる。距離、移動速度又は到達時間は、計測装置5によって計測することもできるし、判定部13がリア画像JC中の後方車両51の位置やサイズ等から解析することもできる。例えば、車両50からの距離が15m未満、15m以上30m未満、及び30m以上の3つの接近レベルに対して、それぞれ大、中及び小サイズの特定領域66が割り当てられる。判定部13は、計測装置5により計測された距離から接近レベルを判定し、当該接近レベルに割り当てられたサイズの特定領域66を使用することができる。
【0083】
リア画像JC中の後方車両51が接近していない場合(ステップS23:NO)、合成部14は合成モードを第1モードに切り替える(ステップS25)。リア画像JC中の後方車両51が接近していても(ステップS23:YES)、サイド画像JL又はJRの特定領域66に物体が検出されていない場合(ステップS24:NO)、合成部14は第1モードに切り替える(ステップS25)。
【0084】
合成部14は、第1モードにおいて、サイド画像JL及びJRを連結し、その中央にリア画像JCを重ねて合成画像Jを生成する(ステップS26)。さらに合成部14は、リア画像JCの両端部Csを透過処理する(ステップS27)。第1モードによる合成方法は、第1実施形態で説明した方法と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0085】
一方、リア画像JC中の後方車両51が接近し(ステップS23:YES)、かつサイド画像JL及びJRの特定領域66の物体が検出された場合(ステップS24:YES)、合成部14は合成モードを第3モードに切り替える(ステップS28)。
【0086】
図10は、第3モードによる合成画像の例を示す。
第3モードでは、合成部14は、リア画像JCを表示装置20の表示領域全体に拡大する(ステップS29)。次いで、合成部14は、サイド画像JL及びJRの縮小画像JLa及びJRaを生成してリア画像JC上の左右に重ね、合成画像Jを生成する(ステップS30)。合成部14は、縮小画像JLa及びJRaをリア画像JC中の後方車両51の左右、例えばドアミラーの位置に配置することができる。これにより、後方車両51と左右側方の物体、例えば後側方車両52の位置関係と距離感の把握が容易となる。
【0087】
以上のように、第2実施形態によれば、リア画像JC中の後方車両51の接近と、サイド画像JL及びJR中の物体(例えば、後側方車両52等)が判定され、後方車両51が接近し、かつ物体が検出されるまでは第1モードにより、後方車両51が接近し、かつ物体が検出された場合には第3モードにより、合成画像Jが生成される。
【0088】
第3モードでは、サイド画像JL及びJR上にリア画像JCが重ねられないため、サイド画像JL及びJR中の後側方車両52が消失することがない。また、リア画像JC中の後方車両51は通常、リア画像JCの中央に位置するため、サイド画像JL及びJRによる後方車両51の消失も減らすことができる。
【0089】
<第3実施形態>
第3実施形態では、画像処理装置10において次のような合成処理が行われる。合成処理の内容が異なるのみで、第1実施形態と第3実施形態における画像処理装置10及び運転支援システム100の構成は同じである。
【0090】
図11は、第3実施形態における合成処理を示す。この合成処理は、各カメラ3C、3L及び3Rからリア画像JC、サイド画像JL及びJRが入力されるごとに繰り返される。
各カメラ3C、3L及び3Rによりリア画像JC、サイド画像JL及びJRが生成されると、画像処理装置10では、補正部11が各画像を補正処理する(ステップS41)。検出部12は、補正処理後のリア画像JC、サイド画像JL及びJRに含まれる物体及びその種別を検出する(ステップS42)。
【0091】
リア画像JCから後方車両51が検出された場合、判定部13は当該後方車両51が車両50に接近したか否かを判定する(ステップS43)。判定方法は、第1実施形態と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0092】
リア画像JC中の後方車両51が接近したと判定された場合(ステップS43:YES)、判定部13はさらにサイド画像JL及びJRの特定領域66において物体が検出されたか否かを判定する(ステップS44)。判定方法は、第2実施形態と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0093】
リア画像JC中の後方車両51が接近していない場合(ステップS43:NO)、合成部14は合成モードを第1モードに切り替える(ステップS45)。またリア画像JC中の後方車両51が接近していても(ステップS43:YES)、サイド画像JL又はJRの特定領域66に物体が検出されていない場合(ステップS44:NO)、合成部14は第1モードに切り替える(ステップS45)。
【0094】
合成部14は、第1モードにおいて、サイド画像JL及びJRを連結し、その中央にリア画像JCを重ねて合成画像Jを生成する(ステップS46)。さらに合成部14は、リア画像JCの両端部Csを透過処理する(ステップS47)。第1モードによる合成方法は、第1実施形態で説明した方法と同じであるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0095】
一方、リア画像JC中の後方車両51が接近し(ステップS43:YES)、かつサイド画像JL及びJRの特定領域66の物体が検出された場合(ステップS44:YES)、合成部14は合成モードを第4モードに切り替える(ステップS48)。
【0096】
図12は、第4モードの合成画像の例を示す。
第4モードにおいて、合成部14は、第1モードと同様にサイド画像JL及びJR上にリア画像JCを重ねて合成する(ステップS49)。また合成部14は、リア画像JCの端部Csを透過処理する(ステップS50)。
【0097】
第1モードでは、透過処理する端部Csの範囲がリア画像JC中の後方車両51の位置によって変動する。第4モードでも、合成部14は、後側方車両52が検出されたサイド画像JL又はJR側の端部Csの透過処理範囲をリア画像JC中の後方車両51の位置に応じて変更する。
【0098】
しかし、第4モードでは、合成部14は、
図12に示すように、後側方車両52が検出されたサイド画像JL側の端部Csの透過処理範囲を固定する。これにより、後方車両51が接近してもサイド画像JL上にリア画像JCが重ねられる領域は拡張されないため、リア画像JCの重なりによる後側方車両52の消失を減らすことができる。
【0099】
以上のように、第3実施形態によれば、リア画像JC中の後方車両51の接近と、サイド画像JL及びJR中の消失する可能性がある物体が判定される。後方車両51が接近し、かつ物体があると判定されるまでは第1モードにより、後方車両51が接近し、かつ物体があると判定された場合には第4モードにより、合成画像Jが生成される。
【0100】
第4モードでは、物体が検出されたサイド画像JL又はJR側へのリア画像JCの表示範囲63Cの拡張はなく、サイド画像JL又はJRの表示範囲63L又は63Rが固定される。リア画像JCがサイド画像JL又はJRの一部に重ねられるが、その重なりが広がることはなく、第1モードよりも重なる領域が小さい。よって、リア画像JCによりサイド画像JL又はLR中の後側方車両52が合成画像Jから消失することを減らすことができる。
【0101】
上記実施形態は本発明の好適な一例であり、これに限定されず、適宜変更可能である。
例えば、上記第2及び第3実施形態では、後方車両51が接近し、かつサイド画像JL又はJRの特定領域66に物体がある場合に第3モード又は第4モードに切り替えられた。これにより、特定領域66に物体がない場合は、当該物体の消失もないため、不要な合成モードの切り替えを避けることができるが、後方車両51が接近したと判定された段階で、特定領域66の物体の有無によらず第3モード又は第4モードに切り替えてもよい。
【0102】
また第1実施形態では、後方車両51の接近のみが判定されたが、第2及び第3実施形態のように、さらにサイド画像JL又はJRの特定領域66に物体の有無が判定されてもよい。後方車両51が接近し、かつ特定領域66に物体があると判定された場合に第2モードに切り替えられてもよい。
【符号の説明】
【0103】
100 運転支援システム
25 画像表示システム
10 画像処理装置
12 検出部
13 判定部
14 合成部
15 表示制御部
20 表示装置
3C、3L、3R カメラ