(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062838
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】モータ装置、ワイパー装置、及びモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 6/08 20160101AFI20230427BHJP
H02P 6/14 20160101ALI20230427BHJP
【FI】
H02P6/08
H02P6/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172968
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560AA10
5H560BB04
5H560BB08
5H560BB12
5H560DA03
5H560DA19
5H560DB20
5H560EB01
5H560EC02
5H560GG04
5H560JJ02
5H560SS02
5H560TT11
5H560TT12
5H560TT15
5H560UA05
5H560XA10
5H560XA12
5H560XA15
(57)【要約】
【課題】過電流の発生を低減する。
【解決手段】モータ装置は、3相の巻線を有し、回転駆動するモータと、前記モータの回転数を検出する回転数検出部と、前記モータの駆動出力を示すデューティ比を、デューティ比上限値を超えないように制御するとともに、前記3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い、前記デューティ比に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号に基づいて、前記3相の巻線に交流電流を通電するインバータとを備え、前記駆動信号生成部は、前記通電角を120度より大きくした状態において、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が所定の閾値以下である場合に、前記進角制御を行いつつ、前記通電角を120度以下に変更する進角通電角制御部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相の巻線を有し、回転駆動するモータと、
前記モータの回転数を検出する回転数検出部と、
前記モータの駆動出力を示すデューティ比を、デューティ比上限値を超えないように制御するとともに、前記3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い、前記デューティ比に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記駆動信号に基づいて、前記3相の巻線に交流電流を通電するインバータと
を備え、
前記駆動信号生成部は、
前記通電角を120度より大きくした状態において、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が所定の閾値以下である場合に、前記進角制御を行いつつ、前記通電角を120度以下に変更する進角通電角制御部を有する
モータ装置。
【請求項2】
前記進角通電角制御部は、前記モータの回転数が、前記所定の閾値である第1閾値より小さい第2閾値以下である場合に、前記進角制御を行わずに、前記通電角を120度に変更する
請求項1に記載のモータ装置。
【請求項3】
前記進角通電角制御部は、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が前記所定の閾値より大きい場合に、前記進角制御を行いつつ、前記通電角を120度より大きく変更し、前記モータの目標回転数に応じて、進角及び前記通電角の可変制御を行うように変更する
請求項1又は請求項2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記進角通電角制御部は、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が前記所定の閾値以下である場合の進角を、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が前記所定の閾値より大きい場合の進角よりも小さくする
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のモータ装置。
【請求項5】
前記デューティ比上限値は、前記モータの回転数に応じて変更される
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のモータ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のモータ装置を備え、
前記モータ装置を用いて、ワイパー部材にウィンド面での払拭動作を行わせる
ワイパー装置。
【請求項7】
3相の巻線を有し、回転駆動するモータと、駆動信号に基づいて、前記3相の巻線に交流電流を通電するインバータとを備えるモータ装置のモータ制御方法であって、
回転数検出部が、前記モータの回転数を検出する回転数検出ステップと、
駆動信号生成部が、前記モータの駆動出力を示すデューティ比を、デューティ比上限値を超えないように制御するとともに、前記3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い、前記デューティ比に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成ステップと
を含み、
前記駆動信号生成ステップにおいて、
前記駆動信号生成部の進角通電角制御部が、前記通電角を120度より大きくした状態において、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が所定の閾値以下である場合に、前記進角制御を行いつつ、前記通電角を120度以下に変更する進角通電角制御ステップを含む
モータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ装置、ワイパー装置、及びモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用のワイパー装置などに使用されるモータ装置では、過電流を防止するために、出力デューティの上限値によりモータの出力を制限する機能を有するものが知られている。また、このようなモータ装置では、モータの出力を向上させるために、通電角を120度より大きく設定する広角通電を用いる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来のモータ装置では、広角通電を行うと、出力デューティの上限値よる出力抑制を行っても、過電流が発生する場合があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、過電流の発生を低減することができるモータ装置、ワイパー装置、及びモータ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、3相の巻線を有し、回転駆動するモータと、前記モータの回転数を検出する回転数検出部と、前記モータの駆動出力を示すデューティ比を、デューティ比上限値を超えないように制御するとともに、前記3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い、前記デューティ比に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記駆動信号に基づいて、前記3相の巻線に交流電流を通電するインバータとを備え、前記駆動信号生成部は、前記通電角を120度より大きくした状態において、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が所定の閾値以下である場合に、前記進角制御を行いつつ、前記通電角を120度以下に変更する進角通電角制御部を有するモータ装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、3相の巻線を有し、回転駆動するモータと、駆動信号に基づいて、前記3相の巻線に交流電流を通電するインバータとを備えるモータ装置のモータ制御方法であって、回転数検出部が、前記モータの回転数を検出する回転数検出ステップと、駆動信号生成部が、前記モータの駆動出力を示すデューティ比を、デューティ比上限値を超えないように制御するとともに、前記3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い、前記デューティ比に応じた駆動信号を生成する駆動信号生成ステップとを含み、前記駆動信号生成ステップにおいて、前記駆動信号生成部の進角通電角制御部が、前記通電角を120度より大きくした状態において、前記デューティ比が前記デューティ比上限値以上であり、且つ、前記モータの回転数が所定の閾値以下である場合に、前記進角制御を行いつつ、前記通電角を120度以下に変更する進角通電角制御ステップを含むモータ制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、過電流の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態によるモータ装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態によるモータ装置の通電制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】従来技術の通電制御処理の動作を示す図である。
【
図4】第1の実施形態によるモータ装置の通電制御処理の動作の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態によるモータ装置の通電角が120度を超える場合のモータに流れる電流を説明する図である。
【
図6】第1の実施形態によるモータ装置の通電角が120度である場合のモータに流れる電流を説明する図である。
【
図7】第2の実施形態によるワイパー装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態によるモータ装置、ワイパー装置、及びモータ制御方法について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態によるモータ装置100の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、モータ装置100は、モータ2と、回転軸センサ30と、制御部40と、インバータ50とを備える。
本実施形態によるモータ装置100は、例えば、車両のウィンドウガラスを払拭するワイパー装置に利用される。
【0011】
モータ2は、例えば、3相4極形のブラシレスモータである。モータ2は、後述する駆動信号に基づいて、インバータ50が出力する出力信号(印加電圧)により回転駆動する。
また、モータ2は、ステータ21と、ロータ22とを備える。
【0012】
ステータ21は、モータ2のケースの内周に固定されている。ステータ21は、3相の電機子コイル(21u、21v、21w)を備える。ステータ21は、電機子コイル(21u、21v、21w)が巻装されている。例えば、3相の電機子コイル(21u、21v、21w)は、デルタ結線により接続される。
【0013】
デルタ結線において、電機子コイル21uと、電機子コイル21wとが、接続点21aにより接続され、電機子コイル21vと、電機子コイル21wとが、接続点21bにより接続され、電機子コイル21uと、電機子コイル21vとが、接続点21cにより接続されている。
【0014】
ロータ22は、ステータ21の内側に設けられている。ロータ22は、例えば、ロータ軸22aと、ロータ軸22aに取り付けた4極の永久磁石22bとを備える。モータ2のケース内には、複数の軸受(不図示)が設けられており、ロータ軸22aは、複数の軸受により回転可能に支持されている。
【0015】
回転軸センサ30は、ロータ22の回転に応じた信号を検出する。回転軸センサ30は、例えば、3つのホールIC(不図示)を備える。これらの3つのホールICは、ロータ22が回転すると、それぞれ互いに120度位相のずれたパルス信号を制御部40に対して出力する。すなわち、回転軸センサ30は、ロータ22の回転にともない、ロータ軸22aに配置されたセンサマグネット(不図示)の磁極の変化に基づいたパルス信号を発生し、制御部40に出力する。各ホールICは、それぞれ電気角で120°毎ずれた位置を検出する。また、各ホールICは、各ホールICの出力信号のレベルが変化する各位置、すなわち出力信号にエッジが発生する各位置で直ちにインバータ50の出力を変化させた場合に電気角で30度の進角となるようにロータ22に対して設置されている。
【0016】
インバータ50は、後述する駆動信号生成部43が生成した駆動信号に基づいて、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御され、モータ2の3相の電機子コイル(21u、21v、21w)に電圧を印加する。すなわち、インバータ50は、駆動信号生成部43が生成した駆動信号に基づいて、スイッチング素子(51a~51f)をスイッチング動作(導通/非導通)させて、モータ2への印加電圧の出力の大きさ(デューティ比)、通電期間(通電角)、通電タイミング(進角)を変更する。ここで、デューティ比は、PWM周期における対応するスイッチング素子の導通期間の比率を表す。
【0017】
なお、インバータ50は、バッテリ3から供給される直流電力により、印加電圧を生成する。 バッテリ3は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン電池などの直流電源であり、モータ2を駆動する電力を供給する。
【0018】
インバータ50は、3相ブリッジ接続された6個のスイッチング素子51a~51fと、ダイオード52a~52fとを備える。
スイッチング素子51a~51fは、例えば、NチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、3相のブリッジ回路を構成している。
【0019】
スイッチング素子51aとスイッチング素子51dとは、バッテリ3の正極端子と負極端子との間に、直列に説明されて、U相のブリッジ回路を構成している。スイッチング素子51aは、ドレイン端子がバッテリ3の正極端子に、ソース端子がノードN1に、ゲート端子がU相の上側の駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、スイッチング素子51dは、ドレイン端子がノードN1に、ソース端子がバッテリ3の負極端子に、ゲート端子がU相の下側の駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、ノードN1は、モータ2の接続点21aに接続されている。
【0020】
スイッチング素子51bとスイッチング素子51eとは、バッテリ3の正極端子と負極端子との間に、直列に説明されて、V相のブリッジ回路を構成している。スイッチング素子51bは、ドレイン端子がバッテリ3の正極端子に、ソース端子がノードN2に、ゲート端子がV相の上側の駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、スイッチング素子51eは、ドレイン端子がノードN2に、ソース端子がバッテリ3の負極端子に、ゲート端子がV相の下側の駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、ノードN2は、モータ2の接続点21bに接続されている。
【0021】
スイッチング素子51cとスイッチング素子51fとは、バッテリ3の正極端子と負極端子との間に、直列に説明されて、W相のブリッジ回路を構成している。スイッチング素子51cは、ドレイン端子がバッテリ3の正極端子に、ソース端子がノードN3に、ゲート端子がW相の上側の駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、スイッチング素子51fは、ドレイン端子がノードN3に、ソース端子がバッテリ3の負極端子に、ゲート端子がW相の下側の駆動信号の信号線に、それぞれ接続されている。また、ノードN3は、モータ2の接続点21cに接続されている。
【0022】
また、ダイオード52aは、アノード端子がノードN1に、カソード端子がバッテリ3の正極端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード52dは、アノード端子がバッテリ3の負極端子に、カソード端子がノードN1に、それぞれ接続されている。
【0023】
また、ダイオード52bは、アノード端子がノードN2に、カソード端子がバッテリ3の正極端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード52eは、アノード端子がバッテリ3の負極端子に、カソード端子がノードN2に、それぞれ接続されている。
【0024】
また、ダイオード52cは、アノード端子がノードN3に、カソード端子がバッテリ3の正極端子に、それぞれ接続されている。また、ダイオード52fは、アノード端子がバッテリ3の負極端子に、カソード端子がノードN3に、それぞれ接続されている。
【0025】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、モータ装置100を統括的に制御する。制御部40は、目標のロータ22の回転出力(例えば、目標回転数TRPM)に応じた駆動信号を生成して、生成した駆動信号をインバータ50に出力する。また、制御部40は、インバータ50を介して、例えば、矩形波通電によりモータ2の駆動を制御する。
また、制御部40は、位置検出部41と、回転数検出部42と、駆動信号生成部43と、記憶部48とを備える。
【0026】
位置検出部41は、回転軸センサ30から供給されるパルス信号に基づいて、ロータ22の回転位置(θ)を検出する。位置検出部41は、検出したロータ22の回転位置を後述する駆動信号生成部43に出力する。
【0027】
回転数検出部42は、回転軸センサ30から供給されるパルス信号に基づいて、例えば、モータ2(ロータ22)の回転数(RPM)を検出し、検出したモータ2(ロータ22)の回転数(モータ回転数)を後述する駆動信号生成部43に出力する。
なお、本明細書において、「回転数」とは、単位時間当たりの回転数を示す「回転速度」のことである。
【0028】
駆動信号生成部43は、モータ2の駆動出力を示すデューティ比(出力デューティ)である出力指令値を、デューティリミット値(デューティ比上限値)を超えないように制御するとともに、3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い、出力指令値(出力デューティ)に応じた駆動信号を生成する。
【0029】
また、駆動信号生成部43は、デューティ制御部44と、上限値設定部45と、進角通電角制御部46と、目標回転数制御部47とを備える。
【0030】
目標回転数制御部47は、後述する記憶部48に格納された目標回転数マップを参照し、位置検出部41および回転数検出部42の出力信号に基づいて、現在のモータ2の目標回転数(TRPM)を決定する。また、目標回転数制御部47は、決定した目標回転数を示す出力信号をデューティ制御部44に出力する。また、目標回転数制御部47は、モータ装置100とは別に設けられた外部スイッチ31(例えば、ワイパスイッチ)からの信号(例えば、高速払拭を要求する信号や、低速払拭を要求する信号)に基づき、参照する目標回転数マップを変更するように構成してもよい。
【0031】
デューティ制御部44は、目標回転数制御部47により決定された目標回転数に応じたデューティ比の出力指令値を生成する。デューティ制御部44は、例えば、回転数検出部42から取得した現在のモータ回転数と、目標回転数とを比較し、モータ回転数を目標回転数に近づけるように、出力するデューティ比を算出する。そして、デューティ制御部44は、デューティ比が後述するデューティリミット値以下となるように出力指令値を生成し、インバータ50に出力する。
【0032】
上限値設定部45は、モータ回転数に応じて、デューティ比の上限値であるデューティリミット値を設定し、デューティ制御部44に出力する。上限値設定部45は、例えば、モータ回転数が高い程、デューティリミット値を高くするように、多段階にデューティリミット値を設定する。
【0033】
進角通電角制御部46は、インバータ50がモータ2に出力する印加電圧の進角および通電角の出力指令値を生成する。進角通電角制御部46は、回転数検出部42から出力されるモータ回転数と、予め定められた複数の回転数閾値(第1閾値、第2閾値)とを比較した結果および、デューティ制御部44から出力されるデューティ比の出力指令値と、上限値設定部45から出力されるデューティリミット値とを比較した結果に応じて、進角制御および通電角制御を行い、インバータ50に出力指令値を出力する。
【0034】
ここで、進角制御とは、回転軸センサ30の出力信号のエッジが発生する位置を基準位置として、インバータ50がモータ2に出力する印加電圧の通電タイミングを、基準位置から意図的にずらす制御のことである。例えば、本実施形態においては、予め機械的に進角が30度に設定されているから、進角30度は、進角制御を行っていない状態とし、例えば、進角40度、及び進角20度は、進角制御を行っている状態である。なお、進角20度のように、基準位置に対して遅角させる制御も進角制御に含める。
【0035】
ここで、通電角制御とは、インバータ50がモータ2に出力する印加電圧の通電において、同一の通電状態を継続する期間の制御のことである。例えば、進角通電角制御部46は、通電角を120度以下の通電角、121度以上の通電角(広角通電)、等に変更する制御を行う。
【0036】
進角通電角制御部46は、低速通電制御、高速通電制御、ブースト制御、及び広角禁止制御に切り替えて制御を行う。
ここで、低速通電制御は、モータ2が所定の閾値(第2閾値)以下の回転数で低速回転している場合の通電制御であり、進角通電角制御部46は、通電角を120度以下の所定値に固定し、進角制御を行わない(例えば、機械的な進角30度に固定)。
【0037】
また、高速通電制御は、出力指令値(出力デューティ)がデューティリミット値に達していない場合で、且つ所定の閾値(第2閾値)より大きい回転数で高速回転している場合の通電制御であり、進角通電角制御部46は、通電角を120度を超える所定値に固定し、進角を所定値に固定し進角制御を行う。
【0038】
また、ブースト制御は、出力指令値(出力デューティ)がデューティリミット値に達している場合で、且つ所定の閾値(第1の閾値)より大きい回転数で高速回転している場合の通電制御であり、進角通電角制御部46は、通電角を120度を超える値で変化させるとともに、進角を変化させる進角制御を行う。ブースト制御において、進角通電角制御部46は、目標回転数(TRPM)に応じて、進角及び通電角を変化させる制御を行う。具体的には、進角通電角制御部46は、目標回転数(具体的には、例えば、目標回転数とモータ回転数との誤差)が大きくなるにつれて進角及び通電角を大きくし、モータの回転数を上昇させる。また、進角通電角制御部46は、出力指令値(出力デューティ)がデューティリミット値に達している場合で、且つ所定の閾値(第1の閾値)より大きい回転数で高速回転している場合で、且つモータ回転数が目標回転数未満の場合にブースト制御を行うようにしてもよい。
【0039】
また、広角禁止制御は、過電流を抑制する通電制御であり、出力指令値(出力デューティ)がデューティリミット値に達している場合で、且つ、ブースト制御と低速通電制御との間の回転数(第2の閾値より大きく、且つ第1の閾値以下の回転数)で回転している場合の通電制御である。進角通電角制御部46は、広角禁止制御において、通電角を120度以下の固定値に変更するとともに、進角制御を行う。ここで、モータ回転数が小さい場合に進角を大きくすると、モータ位置検出精度が低下するおそれがある。そこで、本実施形態の進角通電角制御部46は、広角禁止制御において、例えば、機械的な進角30度に対して、進角0度にずらして変更する等、高速通電制御又はブースト制御よりも進角を小さくする方向の固定値にする進角制御を行うようにしてもよい。これにより、広角禁止制御によりモータ回転数が小さくなった場合であっても、位置検出部41の検出精度の低下を抑制できる。
【0040】
なお、上述した第1閾値は、第2閾値よりも大きな値であり、出力デューティがデューティリミット値以上の状態で、通電角を120度以下にした場合において、過電流が発生しないように(モータ駆動電流が、過電流の制限値に達しないように)所定の値が設定されている。
【0041】
記憶部48は、例えばROM等により構成され、モータ2の目標回転数と回転位置との関係を表す目標回転数マップや、デューティリミット値、回転数閾値などが予め格納されている。
【0042】
次に、図面を参照して、本実施形態によるモータ装置100の動作について説明する。
図2は、本実施形態によるモータ装置100の通電制御処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、モータ装置100による通電制御の変更処理(切替処理)について説明する。
【0043】
図2に示すように、モータ装置100の進角通電角制御部46は、まず、回転数検出部42から取得したモータ回転数が第2閾値より大きいか否かを判定する(ステップS101)。進角通電角制御部46は、モータ回転数が、第2閾値より大きい場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS102に進める。また、進角通電角制御部46は、モータ回転数が、第2閾値以下である場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS108に進める。
【0044】
ステップS102において、モータ装置100は、高速通電制御を行う。この場合、進角通電角制御部46は、例えば、進角制御有り、且つ、通電角を121度以上の所定の通電角に固定した制御を行う。
【0045】
次に、進角通電角制御部46は、モータ回転数が第2閾値より大きいか否かを判定する(ステップS103)。進角通電角制御部46は、モータ回転数が、第2閾値より大きい場合(ステップS103:YES)に、処理をステップS104に進める。また、進角通電角制御部46は、モータ回転数が、第2閾値以下である場合(ステップS103:NO)に、処理をステップS108に進める。
【0046】
ステップS104において、進角通電角制御部46は、出力デューティがデューティリミット値以上であるか否かを判定する。進角通電角制御部46は、デューティ制御部44が生成する出力デューティ(出力指令値)と、上限値設定部45が設定したデューティリミット値とを取得し、出力デューティがデューティリミット値以上であるか否かを判定する。進角通電角制御部46は、出力デューティがデューティリミット値以上である場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS105に進める。また、進角通電角制御部46は、出力デューティがデューティリミット値未満である場合(ステップS104:NO)に、処理をステップS102に戻す。
【0047】
ステップS105において、進角通電角制御部46モータ回転数が第1閾値以下であるか否かを判定する。進角通電角制御部46は、モータ回転数が、第1閾値以下である場合(ステップS105:YES)に、処理をステップS106に進める。また、進角通電角制御部46は、モータ回転数が、第1閾値より大きい場合(ステップS105:NO)に、処理をステップS107に進める。
【0048】
ステップS106(制御変更ステップ)において、モータ装置100は、広角禁止制御を行う。この場合、進角通電角制御部46は、例えば、進角制御有り(例えば、進角0度)、且つ、通電角を120度以下の所定の通電角(例えば、120度)に固定した制御を行う。ステップS106の処理後に、進角通電角制御部46は、処理をステップS103に戻す。
【0049】
また、ステップS107において、モータ装置100は、ブースト制御を行う。この場合、進角通電角制御部46は、例えば、進角制御有り、且つ、通電角を121度以上で目標回転数に応じて可変に進角及び通電角の制御を行う。ステップS107の処理後に、進角通電角制御部46は、処理をステップS103に戻す。
【0050】
また、ステップS108において、モータ装置100は、低速通電制御を行う。この場合、進角通電角制御部46は、例えば、進角制御なし、且つ、通電角を120度に固定した制御を行う。ステップS108の処理後に、進角通電角制御部46は、処理をステップS101に戻す。
【0051】
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施形態によるモータ装置100の通電制御処理における過電流への影響について説明する。
図3は、比較のための従来技術の通電制御処理の動作を示す図である。また、
図4は、本実施形態によるモータ装置100の通電制御処理の動作の一例を示す図である。
【0052】
図3に示すグラフは、従来技術の通電制御処理を示しており、グラフの横軸は、時間を示し、縦軸は、通電角、出力デューティ、回転数、及び電流を示している。また、波形W1は、出力デューティを示し、波形W2は、デューティリミット値を示し、波形W3は、モータ回転数を示している。また、波形W4は、通電角を示し、波形W5は、モータ2に流れる電流を示している。
【0053】
また、
図4に示すグラフは、本実施形態の通電制御処理を示しており、グラフの横軸は、時間を示し、縦軸は、通電角、出力デューティ、回転数、及び電流を示している。また、波形W11は、出力デューティを示し、波形W21は、デューティリミット値を示し、波形W31は、モータ回転数を示している。また、波形W41は、通電角を示し、波形W51は、モータ2に流れる電流を示している。
【0054】
図3に示す従来技術の通電制御処理では、期間TR1において、モータ回転数の低下(波形W3参照)に応じて、出力デューティが上昇してデューティリミット値に達し(波形W1及び波形W2参照)、モータ2に流れる電流が増大する(波形W5)。ここで、従来技術の通電制御処理では、期間TR1、通電角が120度より大きい広角通電が維持されるため、波形W5に示すモータ2に流れる電流は、期間TR1において上昇し、過電流が発生することを示している。
【0055】
これに対して、
図4に示す本実施形態の通電制御処理では、期間TR2において、モータ回転数の低下(波形W3参照)に応じて、出力デューティが上昇してデューティリミット値に達し(波形W11及び波形W21参照)、通電角が120度より大きい高速通電制御から、通電角が120度の広角禁止制御に変更される。このため、本実施形態の通電制御処理では、期間TR2において、波形W51に示すモータ2に流れる電流は、
図3に示す従来技術(波形W5)のように上昇せずに、過電流が発生しない。
【0056】
また、
図5及び
図6を参照して、通電角が120度より大きい広角通電から、120度以下の通電角に変更することで、モータ2に流れる電流値を制限できる原理について説明する。
【0057】
図5は、本実施形態によるモータ装置100の通電角が120度を超える場合のモータ2に流れる電流を説明する図である。
図5(a)に示すように、通電角が120度を超える場合に、2相通電となり、各巻線(電機子コイル21u、電機子コイル21v、電機子コイル21w)の抵抗を“R”とした場合に、端子間抵抗は、(R/2)となる。
【0058】
また、
図5(b)は、この場合(例えば、通電角140度の場合)におけるモータ2に流れる電流を示している。
図5(b)において、グラフは、横軸が時間を示し、縦軸が電流を示している。
【0059】
また、波形W6は、この場合(例えば、通電角140度の場合)におけるモータ2に流れる電流の波形を示し、波形W7は、過電流の判定基準である電流リミット値を示している。
図5(b)に示すように、通電角140度の場合、モータ2は、2相通電となり、波形W7を超える過電流が発生する(波形W6参照)。
【0060】
これに対して、
図6は、本実施形態によるモータ装置100の通電角が120度である場合のモータ2に流れる電流を説明する図である。
この場合、
図6(a)に示すように、通電角が120度であるため、3相通電となり、各巻線(電機子コイル21u、電機子コイル21v、電機子コイル21w)の抵抗を“R”とした場合に、端子間抵抗は、(2R/3)となる。すなわち、通電角が120度である場合には、通電角が120度を超える場合に比べて、端子間抵抗が、(4/3)=約1.33倍となる。そのため、3相通電によりモータ2に流れる電流は、2相通電によりモータ2に流れる電流に比べて、約25%低減される。
【0061】
また、
図6(b)は、この場合(例えば、通電角120度の場合)におけるモータ2に流れる電流を示している。
図6(b)において、グラフは、横軸が時間を示し、縦軸が電流を示している。
【0062】
また、波形W61は、この場合(例えば、通電角120度の場合)におけるモータ2に流れる電流の波形を示し、波形W7は、過電流の判定基準である電流リミット値を示している。
図6(b)に示すように、通電角120度の場合、モータ2は、3相通電となり、波形W7より低い電流に抑制される(波形W61参照)。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によるモータ装置100は、モータ2と、回転数検出部42と、駆動信号生成部43と、インバータ50とを備える。モータ2は、3相の巻線(電機子コイル21u、電機子コイル21v、電機子コイル21w)を有し、回転駆動する。回転数検出部が42は、モータ2の回転数を検出する。駆動信号生成部43は、モータ2の駆動出力を示す出力指令値である出力デューティ(デューティ比)を、デューティリミット値(デューティ比上限値)を超えないように制御するとともに、3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い出力デューティに応じた駆動信号を生成する。インバータ50は、駆動信号に基づいて、3相の電機子コイル(21u、21v、21w)に交流電流を通電する。駆動信号生成部43は、進角制御を行い、通電角を120度より大きくした状態において、出力デューティがデューティリミット値以上であり、且つ、モータ2の回転数が所定の閾値以下(第1閾値以下)である場合に、進角制御を行いつつ、通電角を120度以下に変更する進角通電角制御部46を有する。
【0064】
これにより、本実施形態によるモータ装置100は、上述した
図5及び
図6に示すように、通電角を120度以下に変更することで、モータ2に流れる電流を約25%低減することができ、
図3及び
図4に示すように、デューティリミット値による制限でも発生する可能性がある過電流の発生を低減することができる。また、本実施形態によるモータ装置100は、過電流の発生を低減することができるため、永久磁石22bの減磁を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態では、進角通電角制御部46は、モータ2の回転数が、所定の閾値である第1閾値より小さい第2閾値以下である場合に、進角制御を行わずに、通電角を120度に変更する。
これにより、本実施形態によるモータ装置100は、モータ2の回転数が第2閾値以下である低速回転において、低速通電制御により適切に制御を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、進角通電角制御部46は、出力デューティがデューティリミット値以上であり、且つ、モータ2の回転数が第1閾値より大きい場合に、進角制御を行いつつ、通電角を120度より大きく変更し、モータ2の目標回転数に応じて、進角及び通電角の可変制御を行うように変更する。
【0067】
これにより、本実施形態によるモータ装置100は、高回転でより出力が必要な場合に、ブースト制御により、さらに適切に制御を行うことができる。また、高出力が必要な場合のみブースト制御を行うことで、通常時の静音性悪化を抑制できる。
【0068】
また、本実施形態では、進角通電角制御部46は、デューティ比がデューティリミット値以上であり、且つ、モータ2の回転数が第1閾値以下である場合の進角を、デューティ比がデューティリミット値以上であり、且つ、モータ2の回転数が第1閾値より大きい場合の進角よりも小さくする。
これにより、本実施形態によるモータ装置100は、過電流の発生をさらに低減するとともに、モータ位置検出精度の低下を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態では、デューティリミット値は、モータ2の回転数に応じて変更される。
これにより、本実施形態によるモータ装置100では、モータ2の回転数に応じてデューティリミット値が適切に設定され、過電流の発生をさらに低減することができる。
【0070】
また、本実施形態によるモータ制御方法は、3相の電機子コイル(21u、21v、21w)を有し、回転駆動するモータ2と、駆動信号に基づいて、3相の電機子コイル(21u、21v、21w)に交流電流を通電するインバータ50とを備えるモータ装置100のモータ制御方法であって、回転数検出ステップと、駆動信号生成ステップとを含む。回転数検出ステップにおいて、回転数検出部42が、前記モータの回転数を検出する。駆動信号生成ステップにおいて、駆動信号生成部43が、モータ2の駆動出力を示す出力デューティを、デューティリミット値を超えないように制御するとともに、3相の各相の通電角の制御及び位相を基準位置からずらす進角制御を行い、出力デューティに応じた駆動信号を生成する。さらに、駆動信号生成ステップにおいて、駆動信号生成部43の進角通電角制御部46が、通電角を120度より大きくした状態において、出力デューティがデューティリミット値以上であり、且つ、モータ2の回転数が所定の閾値以下(第1閾値以下)である場合に、進角制御を行いつつ、通電角を120度以下に変更する進角通電角制御ステップを含む。
【0071】
これにより、本実施形態によるモータ制御方法は、上述したるモータ装置100と装用の効果を奏し、デューティリミット値による制限でも発生する可能性がある過電流の発生を低減することができる。
【0072】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態によるワイパー装置200について説明する。
図7は、第2の実施形態によるワイパー装置200の一例を示す構成図である。
【0073】
図7に示すように、ワイパー装置200は、車両1のウィンドウガラス10のウィンド面に対して、払拭動作を行う。ワイパー装置200は、モータ装置100と、リンク機構11と、2本のワイパーアーム12と、各ワイパーアーム12の先端部に装着されたワイパーブレード13とを備える。
【0074】
図7に示すモータ装置は、上述した第1の実施形態のモータ装置100であり、ここではその詳細な説明を省略する。
ワイパーアーム12は、モータ装置100の回転駆動により、ウィンドウガラス10のウィンド面を動作し、先端部に装着されたワイパーブレード13により払拭動作を行う。
2つのワイパーアーム12は、リンク機構11により連結されている。
【0075】
ワイパーブレード13は、ワイパーアーム12によって、ウィンドウガラス10に押し付けられるようにして設けられている。
ワイパーブレード13は、ワイパーアーム12の先端部に装着されるブレードホルダに保持されるブレードラバー(不図示)を備えている。ワイパーブレード13は、モータ装置100によってワイパーアーム12が揺動されると、ウィンドウガラス10の外表面上の払拭範囲を往復動し、ブレードラバー(不図示)によってウィンドウガラス10を払拭する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態によるワイパー装置200は、モータ装置100を用いて、ワイパー部材(ワイパーアーム12及びワイパーブレード13)にウィンド面での払拭動作を行わせる。
これにより、本実施形態によるワイパー装置200は、上述したモータ装置100と同様の効果を奏し、デューティリミット値による制限でも発生する可能性がある過電流の発生を低減することができる。
【0077】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、モータ2の3相の電機子コイル(21u、21v、21w)は、デルタ結線により接続される例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、スター結線などの他の結線であってもよい。
【0078】
また、上記の実施形態において、モータ回転数の第1閾値と第2閾値との2つの閾値を用いる制御を説明したがこれに限定されるものではなく、モータ装置100は、第2閾値の制御を含まない制御を行うようにしてもよい。
【0079】
また、上記の実施形態において、モータ回転数の第1閾値および第2閾値を予め所定値に設定する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、第1閾値および第2閾値は、モータ2に流れる電流に応じて設定されるようにしてもよい。
これにより、モータ装置100は、適切に第1閾値を設定することができ、上述した広角通電制御(例えば、高速通電制御)の範囲を限界まで広げつつ、過電流の発生を適切に低減することができる。すなわち、モータ装置100は、モータ2のパフォーマンスを可能な低減させずに、過電流の発生を適切に低減することができる。
【0080】
また、上記の実施形態において、第1閾値および第2閾値をモータ回転数とする例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、モータ装置100に電流値検出部を設け、第1閾値および第2閾値は、モータ2に流れる電流値としてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態において、モータ装置100が、ワイパー装置200に用いられる例を説明したが、これに限定されるものではなく、モータ装置100は、他の用途に利用されてもよい。
【0082】
なお、上述したモータ装置100が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述したモータ装置100が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述したモータ装置100が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0083】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…車両、2…モータ、3…バッテリ、10…ウィンドウガラス、11…リンク機構、12…ワイパーアーム、13…ワイパーブレード、21…ステータ、21u,21v,21w…電機子コイル、22…ロータ、22a…ロータ軸、22b…永久磁石、30…回転軸センサ、31…外部スイッチ、40…制御部、41…位置検出部、42…回転数検出部、43…駆動信号生成部、44…デューティ制御部、45…上限値設定部、46…進角通電角制御部、47…目標回転数制御部、48…記憶部、50…インバータ、51,51a~51f…スイッチング素子、52,52a~52f…ダイオード、100…モータ装置、200…ワイパー装置