(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062859
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】電気機器用ケース
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20230427BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
H05K5/03 B
H05K5/02 E
H05K5/02 Q
H05K5/02 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173009
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 洋明
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB12
4E360AC02
4E360BA08
4E360BB22
4E360BC05
4E360BD02
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA11
4E360EA24
4E360EB02
4E360EB03
4E360EC12
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED07
4E360ED23
4E360ED27
4E360EE20
4E360GA08
4E360GA22
4E360GA53
4E360GB99
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】ダスト類がケース内に進入する不具合を構成が簡易な手段によって適切に防止または抑制することが可能な電気機器用ケースを提供する。
【解決手段】収容対象の電気機器1が上面側に取付けられる底板部20の前後両端部から上向きに立ち上がった一対の立上り板部21を有するベース部材2と、このベース部材2に組み付けられ、かつ天板部30の左右両端部から下向きに立ち下がった一対の立下り板部31を有する蓋部材3と、を備えている、電気機器用ケースCであって、天板部30の前後両端部から下向きに立ち下がった前後一対の下向き片部32を、さらに備えており、各立上り板部21の上側に天板部30が位置し、かつ各立上り板部21の上部の外面側に各下向き片部32が重なっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容対象の電気機器が上面側に取付けられる底板部、およびこの底板部の前後両端部から上向きに立ち上がって前記電気機器の配置箇所の前方および後方を覆う前後一対の立上り板部を有するベース部材と、
このベース部材に組み付けられ、かつ前記底板部の上方に位置して前記電気機器の上方を覆う天板部、およびこの天板部の左右両端部から下向きに立ち下がって前記電気機器の配置箇所の左右両側方を覆う左右一対の立下り板部を有する蓋部材と、
を備えている、電気機器用ケースであって、
前記天板部の前後両端部から下向きに立ち下がった前後一対の下向き片部を、さらに備えており、
前記各立上り板部の上側に前記天板部が位置し、かつ前記各立上り板部の上部の外面側に前記各下向き片部が重なった配置に構成されていることを特徴とする、電気機器用ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器用ケースであって、
前記各立上り板部の左右両端部から前記ベース部材の前後方向の中央側に向けて屈曲した一対の屈曲片部を、さらに備えており、
前記各屈曲片部は、前記各立下り板部の外面側に重なっている、電気機器用ケース。
【請求項3】
請求項2に記載の電気機器用ケースであって、
前記底板部の左右両端部から下向きに立ち下がった一対の起立片部を、さらに備えており、
前記各立下り板部は、前記各屈曲片部よりも下方に延び、前記各立下り板部の内面側に前記各起立片部が重なっている、電気機器用ケース。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電気機器用ケースであって、
前記各立下り板部の前後方向の幅が、上部側よりも下部側の方が小さくなるように、前記各立下り板部の前側縁部および後側縁部の少なくとも下部寄り領域は、側面視において傾斜している、電気機器用ケース。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の電気機器用ケースであって、
この電気機器用ケースを、前記底板部および前記天板部が上下高さ方向に起立し、かつ前記一対の立下り板部が上下高さ方向に離間する起立姿勢で、取付け対象位置上に載置することを可能とする起立姿勢設定用の支持脚部を、さらに備えている、電気機器用ケース。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電気機器用ケースであって、
前記各立上り板部および前記各下向き片部がネジ部材を用いて締結されるネジ締結部を、さらに備えている、電気機器用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路などの電気機器を収容するのに用いられる電気機器用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気機器用ケースの具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の電気機器用ケースは、金属板にプレス加工を施すことにより形成されたベース部材および蓋部材を備え、かつこれらが組み付けられた構成である。ここで、前記ベース部材は、電気機器が載せられる底板部、およびその前後両端部から上向きに立ち上がった前後一対の立上り板部を備えた側面視略コ字状である。前記蓋部材は、ベース部材の底板部および電気機器の上方を覆う天板部、およびこの天板部の左右両端部から下向きに立ち下がった左右一対の立下り板部を備えた正面視略コ字状である。
このような構成によれば、電気機器用ケースの全体構成を簡素かつ頑丈なものとしつつ、その製造コストを比較的廉価にすることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、電気機器用ケースを構成するベース部材と蓋部材とは、電気機器の上方や周囲を覆うように組み合わされるものの、それら両部材の合わせ部は、ただ単に両部材どうしが当接しているに過ぎない。より具体的には、たとえばベース部材の各立上り板部と、蓋部材の天板部とは、ただ単にこれらが当接しているに過ぎない。このため、それらの相互間には、ケース外面に向けて開口した隙間が発生して、この隙間から電気機器用ケース内にダスト類が進入し、電気機器に触れる可能性がある。これでは、電気機器がたとえば電気回路である場合に、電気回路がショートするなどの不具合を生じる虞があり、適切ではない。
【0005】
なお、前記従来技術においては、ベース部材に蓋部材を組み付けてビス止めしようとする際に、蓋部材がベース部材に対して位置ずれし易いものとなっている。したがって、組み付け作業性が劣る不具合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、ダスト類がケース内に進入する不具合を構成が簡易な手段によって適切に防止または抑制することが可能な電気機器用ケースを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供される電気機器用ケースは、収容対象の電気機器が上面側に取付けられる底板部、およびこの底板部の前後両端部から上向きに立ち上がって前記電気機器の配置箇所の前方および後方を覆う前後一対の立上り板部を有するベース部材と、このベース
部材に組み付けられ、かつ前記底板部の上方に位置して前記電気機器の上方を覆う天板部、およびこの天板部の左右両端部から下向きに立ち下がって前記電気機器の配置箇所の左右両側方を覆う左右一対の立下り板部を有する蓋部材と、を備えている、電気機器用ケースであって、前記天板部の前後両端部から下向きに立ち下がった前後一対の下向き片部を、さらに備えており、前記各立上り板部の上側に前記天板部が位置し、かつ前記各立上り板部の上部の外面側に前記各下向き片部が重なった配置に構成されていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、ベース部材の各立上り板部と、蓋部材の天板部との相互間に、ケース外面に向けて開口した隙間が形成されないようにすることができる。したがって、前記従来技術とは異なり、各立上り板部と天板部との相互間の隙間からケース内にダスト類が進入することを適切に防止または抑制し、電気機器の保護を適切に図ることが可能である。
また、ベース部材に蓋部材を組み付ける場合には、ベース部材の立上り板部の上側に、蓋部材の天板部を載せればよいこととなるため、これらの部分の位置合わせ作業が容易となる。さらに、ベース部材の立上り板部の上部がケース外方側に不当に変位するといったことも蓋部材の下向き片部の存在によって阻止することが可能である。したがって、組み付け作業の容易化、および組み付け状態の安定化をも図られる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記各立上り板部の左右両端部から前記ベース部材の前後方向の中央側に向けて屈曲した一対の屈曲片部を、さらに備えており、前記各屈曲片部は、前記各立下り板部の外面側に重なっている。
【0012】
このような構成によれば、ベース部材の立上り板部と蓋部材の立下り板部との相互間に、ケース外面に向けて開口した隙間が形成されないようにし、ケース内にダスト類が進入することをより適切に防止または抑制することが可能となる。
一方、ベース部材の立上り板部および屈曲片部は、蓋部材の立下り板部がケース外方側に位置ずれすることを効果的に阻止する。したがって、ベース部材に対する蓋部材の組み付け作業性、および組み付け安定性をより向上させることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記底板部の左右両端部から下向きに立ち下がった一対の起立片部を、さらに備えており、前記各立下り板部は、前記各屈曲片部よりも下方に延び、前記各立下り板部の内面側に前記各起立片部が重なっている。
【0014】
このような構成によれば、蓋部材の各立下り板部は、その外面側には、ベース部材の屈曲片部が重なり、かつその内面側には、ベース部材の起立片部が重なった構成となっている。このため、ベース部材に対する蓋部材の各立下り板部の位置決めをより的確に図り、組み付け安定性を一層向上させることができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記各立下り板部の前後方向の幅が、上部側よりも下部側の方が小さくなるように、前記各立下り板部の前側縁部および後側縁部の少なくとも下部寄り領域は、側面視において傾斜している。
【0016】
このような構成によれば、
図5を参照して後述する内容からも理解されるように、蓋部材をベース部材に組み付ける場合において、蓋部材の各立下り板部を、ベース部材の屈曲片部の内側に配置させるような作業を円滑に行なうことが可能となる。
【0017】
本発明において、好ましくは、本発明に係る電気機器用ケースを、前記底板部および前記天板部が上下高さ方向に起立し、かつ前記一対の立下り板部が上下高さ方向に離間する起立姿勢で、取付け対象位置上に載置することを可能とする起立姿勢設定用の支持脚部を
、さらに備えている。
【0018】
このような構成によれば、電気機器用ケースを本発明が意図する姿勢とは異なった所定の起立姿勢に設定することが可能となり、便利である。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記各立上り板部および前記各下向き片部がネジ部材を用いて締結されるネジ締結部を、さらに備えている。
【0020】
このような構成によれば、前記ネジ締結部は、ベース部材の各立上り板部と、蓋部材の下向き片部とが互いに位置ずれしないようにこれらの部分を効果的に締結する。したがって、ネジ締結部の総数を少なくしつつ、ベース部材に対する蓋部材の固定を適切に図ることができる。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る電気機器用ケースの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す電気機器用ケースの分解斜視図である。
【
図4】(a)は、
図1のIV-IV断面図であり、(b)は、(a)の分解断面図であり、(c)は、電気機器用ケースの組み付け作業途中状態の一例を示す要部断面図である。
【
図5】
図1に示す電気機器用ケースの蓋部材の側面図である。
【
図6】本発明に係る電気機器用ケースの他の例を示す斜視図である。
【
図7】(a)は、
図6に示す電気機器用ケースの起立姿勢を変化させた設置例を示す斜視図であり、(b)は、(a)のVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1~
図5に示す電気機器用ケースCは、たとえば浴室の天井裏に設置され、電気機器1の収容に用いられる。電気機器1は、たとえば浴槽洗浄装置の電源回路や制御回路などを構成する所望の電気・電子部品が基板上に搭載された電気回路基板である。図面においては、電気機器1を適宜簡略化して示している。
【0025】
この電気機器用ケースCは、ベース部材2と蓋部材3とが組み合われ、かつこれらが一対のネジ締結部4を利用して固定連結された構成である。
図1においては、蓋部材3に網点模様を付している(後述の
図6,
図7の蓋部材3も同様)。ベース部材2および蓋部材3は、金属板にプレス加工を施すことにより形成され、後述する各部が一体的に繋がった単一部材としてそれぞれ構成されている。
【0026】
ベース部材2は、底板部20、前後一対の立上り板部21、各立上り板部21に一対ずつ設けられた屈曲片部22、および起立片部23aを有する一対の支持脚部23を備えている。
底板部20は、平面視矩形の平板状であり、その上面側には、電気機器1が取付けられる。底板部20に対する電気機器1の取付けの容易化を図るための手段として、底板部20には、ビスなどを用いた固定用の複数の孔部(不図示)が設けられている。
前後一対の立上り板部21は、底板部20の前後両端部から上向きに立ち上がった部分
であり、正面視略矩形状である。これら一対の立上り板部21には、電気機器1の配線を通すための開口部5a,5bが適宜設けられている。
【0027】
ベース部材2の屈曲片部22は、各立上り板部21の左右両端部のそれぞれからベース部材2の前後方向の中央側に向けて屈曲した部位であり、前後方向の適当な幅をもち、かつ上下高さが各立上り板部21と略同一の縦長矩形状である。
起立片部23aは、底板部20の左右両端部のそれぞれから下向きに立ち下がった部位であり、側面視略矩形状である。支持脚部23は、起立片部23aと、この起立片部23aの下部から水平方向に屈曲した水平板部23bとを含んでおり、水平板部23bには、ビス止め用の孔部24が適宜設けられている。この孔部24を利用して水平板部23bを所望箇所にビス止めすることにより、この箇所への電気機器用ケースCの取付け固定が図られる。ただし、孔部24を用いたビス止めに代えて、または加えて、たとえば両面テープを用いた取付け固定でもよい。
【0028】
蓋部材3は、天板部30、左右一対の立下り板部31、および前後一対の下向き片部32を備えている。
天板部30は、底板部20の上方に位置して電気機器1の上方を覆うための部分であり、底板部20と略同一形状およびサイズの矩形平板状である。
左右一対の立下り板部31は、天板部30の左右両端部から下向きに立ち下がった部分であり、蓋部材3の側面視において、略矩形状である。ただし、後述するように、その前側縁部31aおよび後側縁部31bが傾斜した形態とされている。
前後一対の下向き片部32は、天板部30の前後両端部から下向きに立ち下がった部分であり、上下高さ方向に適当な幅をもち、かつ左右方向の長さが天板部30のそれと略同一とされた正面視横長の略矩形状である。
【0029】
蓋部材3は、ベース部材2に組み付けられているが、この組み付け状態においては、蓋部材3の天板部30の前後両端部付近が、ベース部材2の一対の立上り板部21の上側に位置し、かつ一対の下向き片部32が、一対の立上り板部21の上部の外面側に重なっている。ネジ締結部4は、下向き片部32および立上り板部21を締結すべく、それらに設けられている孔部32a,21aにビス40(ネジ部材)が挿通して締め付けられた部位であり、本実施形態においては、合計2箇所のみ設けられ、ベース部材2に対する蓋部材3の取付け・取り外し作業の容易化が図られている。
【0030】
蓋部材3の各立下り板部31は、前後に間隔を隔てた一対の屈曲片部22の相互間に形成されている開口領域Saを塞ぐように、それら一対の屈曲片部22の内側に位置している。ここで、開口領域Saは、電気機器1の配置箇所の左右両側方の領域に相当する。したがって、電気機器1の配置箇所の左右両側方は、立下り板部31によって覆われており、また前記配置箇所の前方および後方は、立上り板部21によって覆われている。
【0031】
図4(a)によく表れているように、各立下り板部31の下端先端寄り部分は、各屈曲片部22よりも下方に延び、起立片部23aの外面側に重なっている。屈曲片部22の下端部と起立片部23aの上端部との間には、立下り板部31の厚みと同程度の幅の隙間c1が形成されており、立下り板部31は、その隙間c1に挿通されていることにより、前記構成が得られている。
【0032】
図4(b)に示すように、蓋部材3がベース部材2に未だ組み付けられていない自然状態において、一対の立下り板部31は、好ましくは、同図仮想線で示すように、下部側が上部側よりも左右幅方向の相互間隔が広くなる傾斜状とされ、弾発力をもって同図の矢印Na方向に振れるように変形可能である。このような構成によれば、蓋部材3を下降させてベース部材2に組み付ける際に、一対の立下り板部31の下端部を、前記弾発力を利用
して屈曲片部22の内面部に当接させ、かつこの屈曲片部22の内面部に沿わせて下降させることができる。このことにより、
図4(c)に示すように、各立下り板部31の下端部を前記した隙間c1に挿通させる作業が容易化される。
【0033】
図5に示すように、蓋部材3の立下り板部31のうち、下向き片部32に対応した領域Haよりも下側の領域Hbにおいては、立下り板部31の前側縁部31aおよび後側縁部31bは、上部から下部に進むほど立下り板部31の前後方向中央側に位置するように傾斜している。このことにより、立下り板部31の前後方向の幅Lは、上部側から下部側に進むほど減少している。なお、前側縁部31aおよび後側縁部31bの傾斜角は小さめであり、立下り板部31の最下部の前後方向の幅Laが、前後一対の屈曲片部22の相互間寸法Lbよりも小さくならず、前側縁部31aおよび後側縁部31bが各屈曲片部22の内側に適切に重なった配置となるように配慮されている。
このような構成によれば、蓋部材3をベース部材2に組み付ける場合において、立下り板部31を前後一対の立上り板部21の相互間にその上方から下降させていくときに、その作業を容易かつ円滑に行なうことが可能となる。
なお、下向き片部32については、
図5の一部拡大図の仮想線で示すような傾斜状となるように形成すれば、この下向き片部32を各立上り板部21の外面側に配置させることが容易となり、そのような構成とすることも可能である。
【0034】
次に、前記した電気機器用ケースCの作用について説明する。
【0035】
まず、ベース部材2と蓋部材3との合わせ部に、電気機器用ケースC内にダスト類を進入させ易い上向きや横向き開口状の隙間が形成されないようにすることが可能である。具体的には、ベース部材2の前後一対の立上り板部21の上端部は、蓋部材3の天板部30と下向き片部32とが繋がった側面断面視略L字状の角部の内側に位置している。このため、立上り板部21の上端部と天板部30との合わせ部に、上向きや横向きに開口した隙間は形成されていない。また、ベース部材2の各立上り板部21の左右両端部には屈曲片部22が連設されており、この部分は平面断面視略L字状の角部となっているが、その内側に蓋部材3の立下り板部31の前側縁部31aおよび後側縁部31bが位置している。このため、立上り板部21の左右両端部と蓋部材3の立下り板部31との合わせ部にも、上向きや横向きに開口した隙間は形成されていない。
【0036】
さらに、蓋部材3の立下り板部31の下端部は、ベース部材2の起立片部23aに重なっている。このため、これらの両者間には、下向き開口の微小な隙間が形成される可能性はあるものの、このような部位から電気機器用ケースC内にダスト類が進入する虞は殆どない。立下り板部31の外面側には、屈曲片部22が重なっており、立下り板部31の下端部が起立片部23aから離間する方向に変形または変位することは阻止されている。したがって、立下り板部31の下端部と起立片部23aとの相互間に形成される下向き開口の隙間は、殆どゼロにすることができ、この部分から電気機器用ケースC内にダスト類が進入することは、より確実に防止される。
このように、本実施形態の電気機器用ケースCによれば、ベース部材2と蓋部材3との合わせ部に、電気機器用ケースC内にダスト類を進入させ易い隙間が形成されないようにすることができる。したがって、電気機器1を適切に保護し、たとえば電気機器1がダスト類と接触することによってショートするといった不具合を適切に防止することができる。
【0037】
一方、ベース部材2に蓋部材3を組み付ける場合には、
図4を参照して説明したように、蓋部材3の左右一対の立下り板部31を、一対の屈曲片部22の相互間に配置させつつ、蓋部材3をベース部材2の上方から下降させ、かつ各立下り板部31の下端部を隙間c1に挿通させる。また、蓋部材3の天板部30については、ベース部材2の立上り板部2
1の上側に載せる。このような作業の後に、一対のネジ締結部4を利用し、下向き片部32を立上り板部21にビス止め締結すればよい。このような一連の作業は容易であり、組み付け作業性がよい。
【0038】
ベース部材2および蓋部材3のビス止めは、一対のネジ締結部4においてなされているに過ぎないものの、ベース部材2と蓋部材3とは、次に述べるように、ネジ締結部4以外の箇所において位置ずれが防止された状態に組み付けられている。
すなわち、蓋部材3の前後一対の下向き片部32は、ベース部材2の一対の立上り板部21を前後方向において挟んだ配置にある。このため、下向き片部32が連設された天板部30と立上り板部21との前後方向の位置ずれは適切に防止される。また、蓋部材3の左右一対の立下り板部31は、その外面側にベース部材2の屈曲片部22が重なり、かつ内面側にベース部材2の起立片部23aが重なった配置にある。このため、各立下り板部31とベース部材2との左右幅方向の位置ずれも適切に防止される。このようなことから、ベース部材2と蓋部材3との組み付け状態を安定したものとすることができる。
【0039】
図6ないし
図8は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0040】
図6に示す電気機器用ケースCaは、ベース部材2に設けられる一対の支持脚部23,23Aを備えているが、これらのうち、一方の支持脚部23Aは、起立姿勢設定用の支持脚部であり、上下高さ方向に延びた起立片部23aは有するものの、この起立片部23aに屈曲状の水平板部23bが連設された構成とはされていない。これに対し、他方の支持脚部23は、前記実施形態の電気機器用ケースCと同様に、起立片部23aおよび水平板部23bを有している。ただし、起立片部23aの上下幅は、やや小さくされている。
【0041】
図7および
図8に示すように、電気機器用ケースCaは、起立姿勢設定用の支持脚部23Aが、最下部に位置した起立姿勢とする。この起立姿勢においては、底板部20および天板部30が上下高さ方向に起立し、かつ一対の立下り板部31が上下高さ方向に離間している。支持脚部23Aは、フラットであるため、電気機器用ケースCaを傾かせることなく、所望の設置対象場所に安定した状態に設置することが可能である。このような設置状態においては、
図8に示すように、蓋部材3を水平方向にスライドさせることにより、この蓋部材3をベース部材2に対して着脱することが可能である。電気機器1のメンテナンス作業を行なう際に、蓋部材3をベース部材2の上方に取り外すことが困難な状況下に電気機器用ケースCaを設置する場合、
図7および
図8に示した起立姿勢に設置して対応すればよく、便利である。
【0042】
図6~
図8の実施形態から理解されるように、本発明に係る電気機器用ケースは、いわゆる横置きの設置状態に代えて、これを起立させたいわゆる縦置きの設置状態で用いることも可能である。本発明における前後左右上下などの方向は、電気機器用ケースをいわゆる横置きの設置状態とした場合の方向である。
【0043】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る電気機器用ケースの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0044】
収容対象の電気機器は、浴槽洗浄装置用の電源回路や制御回路などを備えた電気回路基板に限定されず、浴槽洗浄装置以外の装置・機器類の電気回路基板の他、電気回路基板以外の電気機器をその収容対象とすることができる。したがって、本発明に係る電気機器用ケースの設置箇所は、浴槽の天井裏に限定されず、他の様々な箇所に設置することが可能である。
ベース部材および蓋部材のそれぞれは、単一の金属板から製作することが可能であるが、あえて複数の部材を接合して製作するといったことも可能である。また、ベース部材および蓋部材は、金属製以外の材質(たとえば、樹脂製)とすることもできる。
【符号の説明】
【0045】
C,Ca 電気機器用ケース
1 電気機器
2 ベース部材
20 底板部
21 立上り板部
22 屈曲片部
23a 起立片部
3 蓋部材
30 天板部
31 立下り板部
31a 前側縁部(立下り板部の)
31b 後側縁部(立下り板部の)
32 下向き片部
4 ネジ締結部