(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062875
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】医療機器の利用者を支援するシステム、利用機器の利用者を支援する方法、情報処理装置及び医療機器の利用者を支援するプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/60 20180101AFI20230427BHJP
【FI】
G16H40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173034
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 敬明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】利用者が、医療機器を継続的に利用するために、利用者が医療機器を適切に、そして継続的に利用できるようにするための支援及び促進をする。
【解決手段】医療機器の利用者を支援するシステムは、前記利用者の反応、前記医療機器の状況、前記医療機器の使用履歴及び前記利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つの第1情報を取得する第1情報取得部10と、前記第1情報に対応する前記医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルを記憶するテーブル記憶部11と、前記第1情報取得部10において取得された第1情報に対応するメッセージを前記メッセージテーブルから抽出するメッセージ処理部12と、前記メッセージ処理部12において抽出されたメッセージを出力するメッセージ出力部13と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器の利用者を支援するシステムであって、
前記利用者の反応、前記医療機器の状況、前記医療機器の使用履歴及び前記利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つの第1情報を取得する第1情報取得部と、
前記第1情報に対応する前記医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルを記憶するテーブル記憶部と、
前記第1情報取得部において取得された第1情報に対応するメッセージを前記メッセージテーブルから抽出するメッセージ処理部と、
前記メッセージ処理部において抽出されたメッセージを出力するメッセージ出力部と、
を有する、
医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項2】
前記メッセージテーブルは、前記医療機器の利用を支援する及び/又は前記医療機器の利用を促進するメッセージを含む、
請求項1に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項3】
前記医療機器の状況は、前記医療機器が前記利用者によって適切に利用されているかどうかに関する情報である、
請求項1または2に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項4】
前記利用者の反応は、前記医療機器を睡眠時に利用することに伴う前記利用者の反応であって、
前記利用者の症状は、前記医療機器を睡眠時に利用することに伴う前記利用者の症状である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項5】
前記メッセージ処理部において抽出されたメッセージは、前記医療機器の利用を支援する及び/又は前記医療機器の利用を促進するメッセージである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項6】
前記第1情報を取得するより前に行われ、前記医療機器を利用している前記利用者が抱く前記医療機器への印象に関する事前情報を取得する事前情報取得部と、をさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項7】
前記テーブル記憶部は、複数種類のメッセージテーブルを記憶し、
前記事前情報に基づいて、前記メッセージ処理部が参照するメッセージテーブルが選択される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項8】
前記医療機器は、睡眠時に前記利用者の口に装着する機器である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項9】
前記医療機器から前記医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴を取得する医療機器情報取得部と、
前記第1情報取得部によって取得された前記医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴と、前記医療機器情報取得部によって取得された前記医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴とを照合させる取得情報照合部と、
前記取得情報照合部の情報を出力する取得情報出力部と、を備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の医療機器の利用者を支援するシステム。
【請求項10】
医療機器の利用者を支援する方法であって、
前記利用者の反応、前記医療機器の状況、前記医療機器の使用履歴及び前記利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つの第1情報を取得する第1情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップにおいて取得された第1情報に対応するメッセージを前記メッセージテーブルから抽出するメッセージ処理ステップと、
前記メッセージ処理ステップにおいて抽出されたメッセージを出力するメッセージ出力ステップと、
を有する、
医療機器の利用者を支援する方法。
【請求項11】
少なくとも一つのプロセッサーと、
メモリと、を有し、
前記メモリは、請求項10に記載の医療機器の利用者を支援する方法を実行するための処理命令を記憶し、
前記プロセッサーは、前記メモリから読み出された前記処理命令を実行することによって、
利用者の反応、医療機器の状況、前記医療機器の使用履歴及び前記利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つの第1情報を取得し、
取得された前記第1情報に対応する医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルから、前記第1情報に対応するメッセージを抽出し、
抽出された前記メッセージを出力する、
情報処理装置。
【請求項12】
医療機器の利用者を支援するプログラムであって、
コンピュータまたは少なくとも1つのプロセッサーに、請求項10に記載の医療機器の利用者を支援する方法を実行させる、
医療機器の利用者を支援するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器の利用者を支援するシステム、利用機器の利用者を支援する方法、情報処理装置及び医療機器の利用者を支援するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)装置に例示されるような医療機器が知られている。CPAP装置は、装置内に吸入した空気を使用者の気道に送り込む装置であり、睡眠時無呼吸症候群の治療に用いられる。
【0003】
CPAP装置などに例示される医療機器は、継続的な利用がなされることで、利用者が恩恵を受けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2019/189126号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
利用者が、医療機器を継続的に利用するためには、利用者が医療機器を適切に、そして継続的に利用できるようにするための支援及び促進が求められている。本開示の目的は、利用者が、医療機器を継続的に利用するために、利用者が医療機器を適切に、そして継続的に利用できるようにするための支援及び促進をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
医療機器の利用者を支援するシステムであって、
前記利用者の反応、前記医療機器の状況、前記医療機器の使用履歴及び前記利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つの第1情報を取得する第1情報取得部と、
前記第1情報に対応する前記医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルを記憶するテーブル記憶部と、
前記第1情報取得部において取得された第1情報に対応するメッセージを前記メッセージテーブルから抽出するメッセージ処理部と、
前記メッセージ処理部において抽出されたメッセージを出力するメッセージ出力部と、
を有する。
【0007】
この構成によれば、医療機器を利用する利用者が、支援または促進のメッセージを受けることで、適切に継続的に利用できる。
【0008】
前記メッセージテーブルは、前記医療機器の利用を支援する及び/又は前記医療機器の利用を促進するメッセージを含んでいてもよい。
前記メッセージ処理部において抽出されたメッセージは、前記医療機器の利用を支援する及び/又は前記医療機器の利用を促進するメッセージであってもよい。
この構成によれば、利用者が医療機器を利用するにあたって、適切に支援されたり、利用が促進されたりする。
【0009】
前記医療機器の状況は、前記医療機器が前記利用者によって適切に利用されているかどうかに関する情報であってもよい。
ここで、医療機器の利用状況とは、例えばCPAP装置の場合、空気の漏れ具合である。また、他の医療機器の場合、例えば、利用者への装置されている具合であってもよい。
この構成によれば、医療機器の状況を把握することで、適切に利用者を支援できる。
【0010】
前記利用者の反応は、前記医療機器を睡眠時に利用することに伴う前記利用者の反応であって、前記利用者の症状は、前記医療機器を睡眠時に利用することに伴う前記利用者の症状であってもよい。
この構成によれば、医療機器を睡眠時に利用するとき、適切に支援できる。
【0011】
前記メッセージ処理部は、
前記第一情報を予め設定されている条件と比較し、利用レベルの判定をし、判定結果に応じて前記メッセージテーブルからメッセージを抽出してもよい。
利用レベルは、多段階に区分される。例えば、2段階レベルであれば、ポジティブ(優)とネガティブ(劣)である。3段階レベルであれば、優、普通、劣など、である。
【0012】
上記システムは、
前記第1情報を取得するより前に行われ、前記医療機器を利用している前記利用者が抱く前記医療機器への印象に関する事前情報を取得する事前情報取得部をさらに備えていてもよい。
この構成によれば、利用者からの情報を増やすことができるため、より適切に医療機器を使用する利用者を支援できる。
【0013】
前記テーブル記憶部は、複数種類のメッセージテーブルを記憶し、前記事前情報に基づいて、前記メッセージ処理部が参照するメッセージテーブルが選択されてもよい。
前記メッセージ処理部は、前記事前情報に対応したメッセージテーブルを選択し、参照する構成であってもよい。
この構成によれば、事前情報に基づいて、利用者の状況に合わせた適切なメッセージテーブルが選択される。したがって、医療機器の利用者の個々の状況に合わせて、より適切なメッセージが選択される。その結果、利用者が医療機器を利用するにあたって、適切に支援及び促進できる。
【0014】
前記医療機器は、睡眠時に前記利用者の口に装着する機器であってもよい。
【0015】
前記医療機器から前記医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴を取得する医療機器情報取得部と、
前記第1情報取得部によって取得された前記医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴と、前記医療機器情報取得部によって取得された前記医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴とを照合させる取得情報照合部と、
前記取得情報照合部の情報を出力する取得情報出力部と、
をさらに備えていてもよい。
前記前記メッセージ処理部は、前記医療機器情報取得部で取得された前記医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴と、前記第1情報取得部で取得された第1情報(前記利用者の症状を含む)とに基づいて、メッセージを前記メッセージテーブルから抽出してもよい。
【0016】
この構成によれば、医療機器から直接得られた情報を用いてメッセージを出力でき、医療機器の使用履歴を用いることで、第1情報取得部によって取得された情報の精度を確認することができる。その精度の確認された情報を用いるため、さらに適切に、医療機器を利用する利用者を支援することができる。
【0017】
本開示は、医療機器の利用者を支援する方法であって、
前記利用者の反応、前記医療機器の状況、前記医療機器の使用履歴及び前記利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つの第1情報を取得する第1情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップにおいて取得された第1情報に対応するメッセージを前記メッセージテーブルから抽出するメッセージ処理ステップと、
前記メッセージ処理ステップにおいて抽出されたメッセージを出力するメッセージ出力ステップと、を有していてもよい。
【0018】
本開示は、医療機器の利用者を支援する情報処理装置であって、
少なくとも一つのプロセッサーと、
メモリと、を有し、
前記メモリは、上記医療機器の利用者を支援する方法を実行するための処理命令を記憶し、
前記プロセッサーは、前記メモリから読み出された前記処理命令を実行することによって、
利用者の反応、医療機器の状況、前記医療機器の使用履歴及び前記利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つの第1情報を取得し、
取得された前記第1情報に対応する医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルから、前記第1情報に対応するメッセージを抽出し、
抽出された前記メッセージを出力する構成である。
【0019】
本開示は、医療機器の利用者を支援するプログラムであって、
コンピュータまたは少なくとも1つのプロセッサーに、上記の医療機器の利用者を支援する方法を実行させる構成である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、医療機器の利用者を支援するシステムのブロック図の一例を示す。
【
図2】
図2は、医療機器の利用者を支援するシステムにおけるフローチャートの一例を示す。
【
図3A】
図3Aは、第1情報を取得するにあたって、情報端末に表示される利用者への質問事項を示す。
【
図3B】
図3Bは、第1情報に基づいて、情報端末に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。
【
図4A】
図4Aは、第1情報取得部によって取得された第1情報に関して、判定した結果を示す。
【
図4B】
図4Bは、第1情報の判定による結果と、医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルを示す。
【
図5A】
図5Aは、事前情報を取得するにあたって、情報端末に表示される利用者への質問事項を示す。
【
図5B】
図5Bは、事前情報に基づいて、情報端末に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。
【
図6】
図6は、医療機器の利用者を支援するシステムのブロック図の一例を示す。
【
図7A】
図7Aは、第1情報を取得するにあたって、情報端末に表示される利用者への質問事項を示す。
【
図7B】
図7Bは、第1情報に基づいて、情報端末に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。
【
図8A】
図8Aは、事前情報を取得するにあたって、情報端末に表示される利用者への質問事項を示す。
【
図8B】
図8Bは、事前情報に基づいて、情報端末に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
【0022】
(医療機器の利用者を支援するシステムのブロック図)
図1は、医療機器の利用者を支援するシステムのブロック図の一例を示す。
図1に示すように、このシステムは、第1情報取得部10、テーブル記憶部11、メッセージ処理部12,メッセージ出力部13及び事前情報取得部14を有する。
【0023】
第1情報取得部10は、医療機器を利用する利用者に関する第1情報を取得する。第1情報は、利用者の反応、医療機器の状況、医療機器の使用履歴及び利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つである。
ここで、医療機器の状況は、医療機器が利用者によって適切に利用されているかどうかに関する情報のことである。例えば、医療機器を利用者が利用する際、医療機器が適切に利用者へ装着されているか、が挙げられる。CPAP装置の場合、利用者がCPAP装置を利用する際、空気の漏れがないかどうかが例示される。また利用者の反応は、医療機器を睡眠時に利用することに伴う利用者の反応であってもよい。また、利用者の症状は、医療機器を睡眠時に利用することに伴う利用者の症状であってもよい。
【0024】
第1情報取得部10は、例えば、情報処理装置(例えば、クラウドサーバ、コンピュータなど)または携帯端末の入力手段(例えば、入力インターフェース、タッチパネルなど)、通信手段、メディア読取手段であってもよい。医療機器の販売者または利用者が、入力手段を用いて第1情報を入力することで取得されてもよく、別装置に保存されている第一情報を通信手段で受信することで取得されてもよく、または、メモリなどメディアで予め記憶されている第一情報をメディア読取手段で読み取ることで取得されてもよい。
【0025】
テーブル記憶部11は、第1情報に対応する医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルを記憶する。メッセージテーブルは、医療機器の利用を支援する及び/又は医療機器の利用を促進するメッセージを含んでいてもよい。テーブル記憶部11に記憶されるメッセージテーブルの数は、一つであっても、複数であってもよい。テーブル記憶部11は、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリであってもよい。
【0026】
メッセージ処理部12は、第1情報取得部10において取得された第1情報に対応するメッセージをメッセージテーブルから抽出する。メッセージ処理部12は、例えば、処理命令を実行するプロセッサー、専用回路、ファームウエアなどで構成されていてもよい。
【0027】
メッセージ出力部13は、メッセージ処理部において抽出されたメッセージを出力する。メッセージ出力部13は、例えば、ディスプレイ、プリンター、通信手段などで構成されていてもよい。
【0028】
事前情報取得部14は、第1情報を取得するより前に行われ前記医療機器を利用している利用者が抱く医療機器への印象に関する事前情報を取得する。
ここで、利用者が抱く医療機器への印象とは、例えば、
(1)医療機器を継続的に利用できるかどうか、
(2)医療機器を利用する上で不快さを感じているかどうか、
(3)医療機器を睡眠時にも利用できそうかどうか、
(4)医療機器を睡眠時に利用して、効果的であると感じるかどうか、
に関する。
【0029】
事前情報取得部14は、例えば、情報処理装置(例えば、クラウドサーバ、コンピュータなど)または携帯端末の入力手段(例えば、入力インターフェース、タッチパネルなど)、通信手段、メディア読取手段であってもよい。医療機器の販売者または利用者が、入力手段を用いて事前情報を入力することで取得されてもよく、別装置に保存されている事前情報を通信手段で受信することで取得されてもよく、または、メモリなどメディアで予め記憶されている事前情報をメディア読取手段で読み取ることで取得されてもよい。
【0030】
(医療機器の利用者を支援するシステムにおけるフローチャート)
図2は、医療機器の利用者を支援するシステムにおけるフローチャートの一例を示す。
図1において、説明した点については割愛して説明する。このシステムは、
図2に示すように以下のステップを有する。
【0031】
(S101)事前情報を利用者から取得する。
この事前情報とは、医療機器を利用している利用者が抱く医療機器への印象に関する。
【0032】
(S102)このシステムは、第1情報を取得する。
第1情報は、医療機器を利用する利用者に関する。第1情報は、利用者の反応、医療機器の状況、医療機器の使用履歴及び利用者の症状を含む第1情報群から選択される少なくとも一つである。
【0033】
(S103)このシステムは、テーブル記憶部に記憶されたメッセージテーブルから、第1情報に対応するメッセージを抽出する。第1情報に対応するメッセージとは、医療機器の利用に関する。
【0034】
(S104)この第1情報に対応するメッセージは、出力される。出力されたメッセージは、情報端末の表示部に表示されてもよい。出力されたメッセージは、例えば、情報端末のスピーカーから発せられてもよい。
【0035】
(第1の実施形態)
図3A及び
図3Bは、第1の実施形態における情報端末20への入力表示及び出力表示を示す。
はじめに、情報端末20は、表示部21を有する。情報端末20は、例えば、スマートフォンやタブレットである。本実施形態において、表示部21は、タッチパネル機能であり、第1情報取得部10および事前情報取得部14の機能も有し、メッセージ出力部13の機能も有する。
【0036】
図3Aは、第1情報を取得するための入力表示を示す。例えば、医療機器に関する営業担当が、この入力表示を確認しながら、利用者の反応、医療機器の状況、医療機器の使用履歴及び利用者の症状からなる群からなる少なく一つを利用者からヒアリングする。
例えば、利用者の反応を確認するため、営業担当は利用者へ、「症状はよくなりましたか?」と聞く。そして、利用者の回答にあわせて、「はい」、「いいえ」又は「変わらない」をクリックする。
医療機器の状況とは、例えば、医療機器がCPAP装置の場合、空気のリークの有無である。営業担当が利用者へヒアリングし、空気のリークがあるという印象を利用者が持つ場合、「ある」と営業担当が情報端末に入力する。空気のリークがないという印象を利用者が持つ場合、「ない」と営業担当が情報端末に入力する。また利用者から明確な回答が得られない場合、「わからない」と営業担当が入力する。また、空気のリークに関する情報は、医療機器から情報を抽出することで、空気のリークに関する具体的な値(例えば、24L/時間以下の空気のリーク)を取得して、営業担当が情報端末にその値を入力するような構成であってもよい。また医療機器がCPAP装置ではない場合、例えば医療機器が利用者に適切に装着されているかに関する情報であってもよい。
【0037】
医療機器の使用履歴とは、例えば、一日あたりの平均使用時間である。営業担当が、利用者に平均使用時間をヒアリングして、入力してもよい。また、一日あたりの平均使用時間に関する情報を、医療機器の使用履歴から情報を抽出することで、平均使用時間の具体的な値を取得して、営業担当が情報端末にその値を入力するような構成であってもよい。
【0038】
利用者の症状とは、例えば、医療機器がCPAP装置の場合、平均AHI(Apnea-hypopnea index)であってもよい。この平均AHIは、医療機器の使用履歴から情報を抽出することで具体的な値を取得し、営業担当が情報端末にその値を入力するような構成であってもよい。そして、表示部21に表示されるような構成であってもよい。
【0039】
図3Bは、第1情報に基づいて、情報端末に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。
入力された第1情報に基づいて、営業担当が医療機器の利用者へ伝えるべきメッセージが表示される。例えば、第1情報が比較的良好な場合、
図3Bに例示されるように、「利用者さんをほめてください。医療機器を今後も継続して利用するよう、利用者へ声をかけてください」と表示部に表示される。この表示に基づいて、営業担当は利用者へ声をかける。
【0040】
図4Aは、第1情報取得部10によって取得された第1情報に関して、判定した結果(つまり、第1情報の判定)を示す。第1情報とは利用者の反応、医療機器の状況、医療機器の使用履歴及び利用者の症状である。第1情報の詳細は次の通りである。利用者の反応とは、例えば、医療機器による利用者の体調がよくなったかどうか、である。医療機器の状況とは、例えば、平均の空気漏れ量である。医療機器の使用履歴とは、例えば、一日あたりの平均利用時間である。利用者の症状とは、例えば、無呼吸低呼吸指数(つまり、平均AHI)である。
【0041】
メッセージ処理部12は、第1情報と、予め設定されている条件と比較し、利用レベルを判定する。
医療機器による利用者の体調がよくなったかどうかについては、利用者が「よくなった」と感じた場合、ポジティブ(すなわち、〇)と判定される。一方、利用者が「変わらない」又は「悪くなった」と感じた場合、ネガティブ(すなわち、×)と判定される。
【0042】
平均の空気漏れ量については、例えば、<24L/時間の場合、ポジティブ(すなわち、〇)と判定される。一方、例えば、≧24L/時間の場合、空気の漏れが多いため、ネガティブ(すなわち、×)と判定される。
また空気のリークをヒアリングの結果(つまり、利用者の印象)を通して判定する場合、について説明する。例えば、利用者が空気のリークがないと感じて「ない」と営業担当へ回答した場合、ポジティブ(すなわち、〇)と判定される。一方、利用者が空気のリークがあると感じて「はい」と営業担当へ回答した場合、ネガティブ(すなわち、×)と判定される。また利用者から明確な回答がなく、「わからない」と利用者が営業担当へ回答した場合も、ネガティブ(すなわち、×)と判定される。
【0043】
一日の平均利用時間については、≧4時間/日の場合、ポジティブ(すなわち、〇)と判定される。一方、例えば、<4時間/日の場合、利用時間が短いため、ネガティブ(すなわち、×)と判定される。
【0044】
無呼吸低呼吸指数については、<10/hの場合、ポジティブ(すなわち、〇)と判定される。一方、例えば、≧10/hの場合、ネガティブ(すなわち、×)と判定される。
【0045】
次に、メッセージ処理部12は、利用レベルの判定結果に基づいて、メッセージテーブルからメッセージを抽出する。メッセージ出力部13である表示部21は、その抽出したメッセージを表示する。
図4Bは、第1情報の判定による結果と、医療機器の利用に関するメッセージを含むメッセージテーブルを示す。
【0046】
例えば、利用者の反応、医療機器の状況、医療機器の使用履歴及び利用者の症状がすべてポジティブ(すなわち、〇)と判定された場合、「どうか、医療機器を継続してご利用してください」というメッセージが抽出される。このようなメッセージは出力された後、営業担当が利用者へこのメッセージを伝えるように表示部21に表示されてもよいし(
図3Bのような例)、このメッセージがそのまま、表示部21に表示されてもよい。
例えば、利用者の反応がポジティブ(すなわち、〇)かつ医療機器の使用履歴がネガティブ(すなわち、×)と判定された場合、「どうか、医療機器を継続してご利用してください」と「医療機器を例えば、寝ている時に外していますか」というメッセージの両方を抽出する。
そして、これら両方のメッセージを出力した後、営業担当が利用者へこのメッセージを伝えるように表示部21に表示されてもよいし、このメッセージがそのまま、表示部21に表示されてもよい。
【0047】
(第2の実施形態)
第1の実施形態で説明された事項については、割愛して説明する。
【0048】
図5Aは、事前情報を取得するにあたって、情報端末20に表示される利用者への質問事項を示す。例えば、医療機器に関する営業担当が、この入力表示(つまり、表示部21)を確認しながら、医療機器を利用している利用者が抱く医療機器への印象を利用者へヒアリングする。医療機器への印象に関する質問事項とは、
図5Aに示されるように、「医療機器を使って、何か不具合はありませんか?」、「医療機器に由来する圧は、問題ないですか?」、「毎晩、医療機器を使えていますか?」、「医療機器は、睡眠と健康によさそうですか?」である。ここで、医療機器に由来する圧とは、例えば医療機器が腕や手に装着される場合、利用者が感じる圧力のことを意味する。そして、営業担当は、この質問事項に関する利用者からの回答(ここでは、「はい」又は「いいえ」)を入力する。
また、事前情報の取得は、第1情報を取得する時より前に行われる。事前情報は、医療機器を利用している前記利用者が抱く前記医療機器への印象に関する。事前情報は、
図1に示すように事前情報取得部14によって取得される。
【0049】
図5Bは、情報端末に表示される利用者への質問事項のつづきと質問事項に関する回答に基づく情報端末に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。
【0050】
図5Bに示すように、営業担当は利用者へ「医療機器を使う上でどのような懸念事項がありますか?」と聞いて、営業担当が自由に入力できるような構成であってもよい。
【0051】
また
図5Aに入力された利用者からの回答を踏まえ、
図5Bが示すように、質問事項に関する回答に基づいて、利用者へ向けたメッセージが表示される。
【0052】
図4Bでは、メッセージテーブルを一種類示したが、テーブル記憶部11は、複数のメッセージテーブルを記憶していてもよい。そして、事前情報(ここでは、質問事項に関する回答)に基づいて、メッセージ処理部12が参照するメッセージテーブルが選択されてもよい。
【0053】
例えば、
図5Aに示す質問事項において、「いいえ」が1つ以下の場合、
図4Bのようなメッセージテーブルが選択されてもよい。そして、
図5Aに示す質問事項において、「いいえ」が2つ以上の場合、
図4Bで示すメッセージテーブルより、第1情報群の多い(つまり、4つの第1情報より多い)メッセージテーブルが選択されてもよい。第1情報群が多いため、精度よく利用者からの情報を得ることができる。その結果、営業担当が利用者へより適切にフォローできる。
【0054】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態で説明された事項については、割愛して説明する。
図6が示すように、医療機器の利用者を支援するシステムは、さらに医療機器情報取得部15と、取得情報照合部16と、取得情報出力部17とを備える。医療機器情報取得部15は、医療機器から医療機器の状況及び/または医療機器の使用履歴を取得する。
【0055】
取得情報照合部16は、第1情報取得部10によって取得された医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴と、医療機器情報取得部15によって取得され医療機器の状況及び/または医療機器の使用履歴とを照合させる。そして、取得情報出力部17は、取得情報照合部16からの情報を出力する。
【0056】
取得情報照合部16は、照合された結果から、第1情報取得部10によって取得された医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴と、医療機器情報取得部15によって取得され前記医療機器の状況及び/または医療機器の使用履歴とにおいて、違いがある場合、医療機器情報取得部15によって取得され医療機器の状況及び/または医療機器の使用履歴を選択して、取得情報照合部16から取得情報出力部17へ情報を出力する構成であってもよい。この出力された結果に基づいて、メッセージ処理部11において、メッセージテーブルからメッセージが抽出されてもよい。そして、そのメッセージが、メッセージ出力部13から出力されてもよい。
【0057】
このように、第1情報取得部で取得された医療機器の状況及び/または前記医療機器の使用履歴を、医療機器情報取得部によって、精度よく確認することができる。よって、メッセージテーブルから適切なメッセージを選択できる。その結果、利用者を適切にフォローすることができる。
【0058】
(第1の変形例)
第1から第3の実施形態については、営業担当のツールという前提のもと、表示部21の説明をした。また、このようなツールは、例えば医療機器を利用する利用者のスマートフォンのアプリとして実現されてもよい。
【0059】
図7Aは、第1情報を取得するにあたって、情報端末に表示される利用者への質問事項を示す。これらの質問事項について、医療機器を利用する利用者は、「はい」、「いいえ」または各種情報を情報端末20の表示部21へ入力する。
【0060】
図7Bは、第1情報に基づいて、情報端末20に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。利用者の反応としてネガティブ(
図4A及び
図4Bを参照)と判定された場合、
図7Bで示すように「どのような懸念事項がありますか」と表示部21に表示され、この表示を利用者が確認できる。
【0061】
図8Aは、事前情報を取得するにあたって、情報端末20に表示される利用者への質問事項を示す。これらの質問事項について、医療機器を利用する利用者は、「はい」又は「いいえ」を情報端末20の表示部21へ入力する。
【0062】
図8Bは、事前情報に基づいて、情報端末20に表示される利用者へ向けたメッセージを示す。例えば、医療機器の平均利用時間が、≧4時間/日の場合、
図4Bに示すように、「どうか、医療機器を継続してご利用してください」のメッセージが選択される。このメッセージが、情報端末20の表示部21に表示され、この表示を利用者が確認できる。
【0063】
(第2の変形例)
医療機器は、睡眠時に利用者の口に装着する機器であってもよい。医療機器の中でも、睡眠時に利用する機器の場合、利用者が継続的にすることに課題がある。さらに口に装着する場合、睡眠の快適さを損なうことがある。そのため、第1情報を取得して利用者をフォローすることで、医療機器の継続的な利用が期待される。
【0064】
(別実施形態)
(1)医療機器の利用者を支援するシステムの一連の動作は、汎用機(つまり、プロセッサーとメモリとを有する情報処理装置)によって実現されてもよい。
(2)医療機器の利用者を支援するシステムおよび方法の一連の動作を実行させるプログラムであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 第1情報取得部
11 テーブル記憶部
12 メッセージ処理部
13 メッセージ出力部
14 事前情報取得部
20 情報端末
21 表示部