(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062894
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】リバーシブル衣服のポケット構造
(51)【国際特許分類】
A41D 27/20 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
A41D27/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173062
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】521320911
【氏名又は名称】HONESTIES株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】西出 喜代彦
【テーマコード(参考)】
3B035
【Fターム(参考)】
3B035AA02
3B035AA16
3B035AA19
3B035AB09
3B035AB15
3B035AC15
(57)【要約】
【課題】製造コストの増加をさせることなく、かつ、構造の複雑化させることなく、リバーシブル衣服のどちらの着用面を着用した場合でも使用することのできるリバーシブル衣服のポケット構造を提供する。
【解決手段】一重のリバーシブル生地から形成された身頃を備えており、両面のいずれを表側にしても着用可能であるリバーシブル衣服において、ポケット構造は、前記身頃の所定箇所に貫通状に形成されているポケット口と、袋口部が前記ポケット口と一体化するように前記身頃に取り付けられ、着用時の前記リバーシブル衣服の裏側に配置されて袋ポケット部を形成するように表裏反転可能となされた袋ポケット布とを備えている。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一重のリバーシブル生地から形成された身頃を備えており、両面のいずれを表側にしても着用可能であるリバーシブル衣服において、
前記身頃の所定箇所に貫通状に形成されているポケット口と、
袋口部が前記ポケット口と一体化するように前記身頃に取り付けられ、着用時の前記リバーシブル衣服の裏側に配置されて袋ポケット部を形成するように表裏反転可能となされた袋ポケット布とを備えている、リバーシブル衣服のポケット構造。
【請求項2】
一重のリバーシブル生地から形成された身頃を備えており、両面のいずれを表側にしても着用可能であるリバーシブル衣服において、
パッチポケット部および前記パッチポケット部内に通じる第1ポケット口を形成するように前記身頃の一方の面の所定箇所に取り付けられているパッチポケット布と、
前記身頃の他方の面側から前記パッチポケット部内に通じるようにかつ表裏方向から見て前記第1ポケット口と重ならないように前記身頃の所定箇所に貫通状に形成されている第2ポケット口とを備えている、リバーシブル衣服のポケット構造。
【請求項3】
一重のリバーシブル生地から形成された身頃を備えており、両面のいずれを表側にしても着用可能であるリバーシブル衣服において、
第1パッチポケット部および前記第1パッチポケット部内に通じる第1ポケット口を形成するように前記身頃の一方の面の所定箇所に取り付けられている第1パッチポケット布と、
表裏方向から見て前記第1パットポケット部と少なくとも一部が重なる第2パッチポケット部および前記第2パッチポケット部内に通じる第2ポケット口を形成するように前記身頃の他方の面の所定箇所に取り付けられている第2パッチポケット布と、
前記第1パッチポケット部と前記第2パッチポケット部とを連通させるように前記身頃の所定箇所に形成されている連通用切り欠き部とを備えている、リバーシブル衣服のポケット構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、衣服等に使用されるポケットに関し、より詳細にはリバーシブル着用が可能なリバーシブル衣服のポケット構造に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、衣服は脱衣時に裏返しされることが多い。特に肌着やスポーツウェアといった肌に直接触れて使用される衣服は汗等で湿っている場合が多く、裏返しながら脱ぐことでスムーズな脱衣が可能になる。しかし、裏返しにされた衣服は再度着用する際や洗濯時に裏返しを直す必要があり、使用者の作業負担を増加させるだけでなく、裏返しを直し忘れて再度着用した場合、使用者のファッション性が損なわれるおそれもある。一方で、表側と裏側で同等の意匠を有するリバーシブル衣服が考案され、広く流通している。リバーシブル衣服であれば、脱衣時に裏返しになっても直す必要がなく、ファッション性を損なわずに再度着用することができる。さらに、表側と裏側で配色等を変えることで、一着で二通りの着方を楽しむことも可能になる。また、裏側の見栄えをよくするために、裏側の縫目の上からテープ状の布を縫い付ける方法も考案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなリバーシブル衣服においては、ポケットが設けられていない場合が多く、着用者が携帯する小物等の収納に困るという問題があった。また、ポケットが設けられている場合であっても、一方の面を外面として着用している時にしか使用できない場合も多く、さらに、裏表どちらの面を外面として着用した場合でも使用できるポケットが設けられている場合であっても、ポケットの構造が複雑化し、使い勝手が良くないうえに製造コストも嵩むという問題があった。
【0005】
この発明の目的は、簡素な構造で、使い勝手も良く、かつ、製造コストも嵩まないリバーシブル衣服のポケット構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0007】
1)一重のリバーシブル生地から形成された身頃を備えており、両面のいずれを表側にしても着用可能であるリバーシブル衣服において、
前記身頃の所定箇所に貫通状に形成されているポケット口と、
袋口部が前記ポケット口と一体化するように前記身頃に取り付けられ、着用時の前記リバーシブル衣服の裏側に配置されて袋ポケット部を形成するように表裏反転可能となされた袋ポケット布とを備えている、リバーシブル衣服のポケット構造。
【0008】
2)一重のリバーシブル生地から形成された身頃を備えており、両面のいずれを表側にしても着用可能であるリバーシブル衣服において、
パッチポケット部および前記パッチポケット部内に通じる第1ポケット口を形成するように前記身頃の一方の面の所定箇所に取り付けられているパッチポケット布と、
前記身頃の他方の面側から前記パッチポケット部内に通じるようにかつ表裏方向から見て前記第1ポケット口と重ならないように前記身頃の所定箇所に貫通状に形成されている第2ポケット口とを備えている、リバーシブル衣服のポケット構造。
【0009】
3)一重のリバーシブル生地から形成された身頃を備えており、両面のいずれを表側にしても着用可能であるリバーシブル衣服において、
第1パッチポケット部および前記第1パッチポケット部内に通じる第1ポケット口を形成するように前記身頃の一方の面の所定箇所に取り付けられている第1パッチポケット布と、
表裏方向から見て前記第1パットポケット部と少なくとも一部が重なる第2パッチポケット部および前記第2パッチポケット部内に通じる第2ポケット口を形成するように前記身頃の他方の面の所定箇所に取り付けられている第2パッチポケット布と、
前記第1パッチポケット部と前記第2パッチポケット部とを連通させるように前記身頃の所定箇所に形成されている連通用切り欠き部とを備えている、リバーシブル衣服のポケット構造。
【発明の効果】
【0010】
上記1)のリバーシブル衣服のポケット構造によれば、簡素な構造で、使い勝手も良く、かつ、製造コストも嵩まず、リバーシブル衣服のどちらの着用面を着用した場合でもポケットを使用することができる。
【0011】
上記2)のリバーシブル衣服のポケット構造によれば、簡素な構造で、使い勝手も良く、かつ、製造コストも嵩まず、リバーシブル衣服のどちらの着用面を着用した場合でもポケットを使用することができる。
【0012】
上記3)のリバーシブル衣服のポケット構造によれば、簡素な構造で、使い勝手も良く、かつ、製造コストも嵩まず、リバーシブル衣服のどちらの着用面を着用した場合でもポケットを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1a】この発明の第1の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、前身頃の一方の着用面の正面図である。
【
図1b】この発明の第1の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、他方の着用面で着用するために袋ポケット布を移動させている過程の前身頃の正面図である。
【
図2a】この発明の第2の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、一方の着用面の要部拡大図である。
【
図2b】この発明の第2の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、他方の着用面で着用するために袋ポケット布を移動させている過程の要部拡大図である。
【
図3a】この発明の第3の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、前身頃の一方の着用面の正面図である。
【
図3b】この発明の第3の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、前身頃の他方の着用面の正面図である。
【
図4a】この発明の第4の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、前身頃の一方の着用面の正面図である。
【
図4b】この発明の第4の実施形態に係るリバーシブル衣服のポケット構造を示すものであって、前身頃の他方の着用面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態を、
図1a~
図4bを参照して説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1に示すように、この発明の第1の実施形態は、セットイン袖の形態が採用された半袖のリバーシブルシャツ(1)に形成されたポケット構造(2)である。リバーシブルシャツは、リバーシブル生地よりなる前身頃(11)、前身頃(11)と同一の形状および大きさを有する後身頃、左袖および右袖を接合してなる。なお、この実施形態のリバーシブルシャツ(1)は、1枚の生地が表と裏の両面のいずれを外面として着用可能である布、例えば両面編みによって編成されたニット生地、を使用した一重仕立てのリバーシブルシャツである。なお、リバーシブルシャツの生地はニット生地に限定されず、例えば布帛といった伸縮性の低い生地を使用することもできる。また、この発明において、「同一の形状および大きさ」との用語には若干の寸法誤差も含めるものとする。
【0016】
詳細には、前身頃(11)および後身頃が肩接ぎで接合されるとともに、前身頃(11)およびが脇接ぎで接合され、さらに、肩接ぎおよび脇接ぎ間に形成される左右一対の袖刳りに筒状の左袖および右袖が接合されている。また、前身頃(11)および後身頃が接合された後、前身頃(11)および後身頃の襟刳り全周に亘って補強のための襟部(ラッパ)が襟刳りに重ねられるように接合され、右側の脇接ぎの裾側端部にサイズや洗濯表示等を記載することができるタグ(6)が取り付けられている。なお、この発明において、「接合」との用語は、複数の生地片同士を一体に繋げる処理をいい、具体的には、糸で縫い付ける縫着処理(例えば、フラットシーマ)、接着剤で接着する接着処理等をいう。この実施形態では、主に縫着された例を示す。
【0017】
ポケット構造(2)は、前身頃(11)における一方の面を外面として着用した時の左胸の位置に形成されている。
【0018】
詳細には、前身頃(11)における一方の面を外面として着用した時の左胸の位置に、水平方向に所定長さにわたって、かつ、リバーシブル生地の裏表両面に貫通するようにポケット入口(3)が形成されている。さらに、袋ポケット布(4)がポケット入口(3)を介して前身頃(11)に取り付けられている。より詳細には、袋ポケット布(4)は、使用者が携行品を出し入れする際に手を差し入れる袋口部(41)と、携行品を収容する袋ポケット部(42)とを含んだ袋形状を有しており、袋口部(41)がポケット入口(3)と一体化するように接合され、かつ、袋ポケット部(42)がリバーシブルシャツ(1)の裏側に配置されている。ポケット構造(2)は、ポケット入口(3)および袋ポケット布(4)から構成されている。なお、この実施形態において、袋口部(41)はポケット入口(3)の下縁に縫い代を介して縫着されているが、袋口部(41)およびポケット入口(3)の接合方法はこれに限定されない。例えば、接合箇所については、袋口部が全周にわたってポケット入口の上下の縁に接合されていても良いし、接合方法についても、例えば接着(ボンディング)によって接合されていてもよい。
【0019】
リバーシブルシャツ(1)の裏表を替えて着用する際は、
図1bに示すように、ポケット入口(3)から袋ポケット部(42)の底部をつまんで引き出すと、ポケット入口(3)および袋ポケット布(4)の接合部(この実施形態では縫着部(5))を軸に袋ポケット布(4)の裏表が反転しながら、袋ポケット布(4)がリバーシブルシャツ(1)の外面側に引き出される。そして、リバーシブルシャツ(1)の裏表を反転させて着用すると、袋ポケット布(4)はリバーシブルシャツ(1)の裏側に配置される。この構成によって、リバーシブルシャツ(1)の裏表どちらの面を外面として着用した場合でも、ひとつの袋ポケット布(4)を簡単な手順で配置を入れ換えてポケットとして使用することができる。また、袋ポケット布(4)がひとつ取り付けられていればよいため、構造も簡素化され、製造コストも抑えられる。
【0020】
また、前身頃(1)および後身頃が同一形状であるため、裏表だけでなく前後においてもどちらの向きでも着用できることから、例えば、ポケット入口(3)にジッパー等を取り付けて開閉自在にするとともに、後身頃における前身頃(1)のポケット構造(2)と左右対称の位置にポケット構造(2)と同様の構造のポケット構造を形成しておくことで、裏表および前後の入れ替えによって、ポケット構造の位置を着用者の好みによって左胸とすることも右胸とすることもできる。また、リバーシブルシャツを背中側から見たときに、使用していないポケット構造のポケット入口のジッパーが見栄えのアクセントにもなる。
【0021】
上記において、ポケット構造(2)を形成することのできる衣服は上記のリバーシブルシャツ(1)に限定されず、前身頃および後身頃が異なる大きさおよび形状を有するものであってもよいし、例えば、ボタンダウンのシャツや、ジャケットやコートといったアウター、あるいは、ズボン等にも形成することができる。また、ポケット入口(3)が形成される位置、すなわちポケット構造(2)を形成する位置も上記のものに限定されず、ポケット構造(2)を形成する衣服の用途によって好適に変更される。
【0022】
[第2の実施形態]
図2に示すように、この発明の第2の実施形態は、リバーシブルズボン(101)に形成されたポケット構造(102)であり、
図4(a)において左側ポケットが示されているが、右側ポケットが設けられている場合は左側ポケットと左右対称の構造を有しているのが好ましい。リバーシブルズボン(101)は、リバーシブル生地よりなる前身頃(111)と同一の形状および大きさを有する後身頃(112)を有している。なお、この実施形態のリバーシブルズボン(101)は、1枚の生地が表と裏の両面が外面として着用可能である布、例えば両面編みによって編成されたニット生地、を使用した一重仕立てのリバーシブルズボンである。なお、リバーシブルズボンの生地はニット生地に限定されず、例えば布帛といった伸縮性の低い生地を使用することもできる。また、この発明において、「同一の形状および大きさ」との用語には若干の寸法誤差も含めるものとする。
【0023】
詳細には、リバーシブルズボン(101)における左足の外側の前身頃および後身頃の接合部における上端近傍に、所定の長さにわたってリバーシブルズボン(101)の裏表に貫通するようにポケット入口(103)が形成されている。さらに、袋ポケット布(104)がポケット入口(103)を介して前身頃(111)および後身頃(112)に取り付けられている。より詳細には、袋ポケット布(104)は、使用者が携行品を出し入れする際に手を差し入れる袋口部(141)と、携行品を収容する袋ポケット部(142)とを含んだ袋形状を有しており、袋口部(141)がポケット入口(103)と一体化するように接合され、かつ、袋ポケット部(142)がリバーシブルズボン(101)の裏側に配置されている。ポケット構造(102)は、ポケット入口(103)および袋ポケット布(104)から構成されている。なお、この実施形態において、袋口部(142)はポケット入口(103)の前後の縁部に縫い代を介して縫着されているが、袋口部(142)およびポケット入口(103)の接合方法はこれに限定されない。例えば、接合箇所については、袋口部がポケット入口の前縁部のみ、あるいは、後縁部のみに接合されていても良いし、接合方法についても、例えば接着(ボンディング)によって接合されていてもよい。
【0024】
リバーシブルズボン(101)の裏表を替えて着用する際は、
図2bに示すように、ポケット入口(103)から袋ポケット部(142)の底部をつまんで引き出すと、ポケット入口(103)および袋ポケット布(104)の接合部(この実施形態では縫着部(105))を軸に袋ポケット布(104)の裏表が反転しながら、袋ポケット布(104)がリバーシブルズボン(101)の外面側に引き出される。そして、リバーシブルズボン(101)の裏表を反転させて着用すると、袋ポケット布(104)はリバーシブルズボン(101)の裏側に配置される。この構成によって、リバーシブルズボン(101)の裏表どちらの面を外面として着用した場合でも、ひとつの袋ポケット布(104)を簡単な手順で配置を入れ換えてポケットとして使用することができる。また、袋ポケット布(4)がひとつ取り付けられていればよいため、構造も簡素化され、製造コストも抑えられる。
【0025】
また、前身頃および後身頃が同一形状であるため、裏表だけでなく前後を入れ替えて着用した際にも着用時の外観やポケットの使用感が損なわれることはない。また、ポケット入口(103)が形成される位置、すなわちポケット構造(102)を形成する位置も上記のものに限定されず、ポケット構造(102)を形成する衣服の用途によって好適に変更される。
【0026】
上記において、ポケット構造(102)を形成することのできる衣服はズボンに限定されず、例えば、シャツ、ジャケットやコートといった上着にも取り付けることができる。
【0027】
[第3の実施形態]
図3に示すように、この発明の第3の実施形態は、セットイン袖の形態が採用された半袖のリバーシブルシャツ(201)に形成されたポケット構造(202)である。このリバーシブルシャツ(201)については、第1の実施形態のリバーシブルシャツ(1)と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0028】
詳細には、リバーシブルシャツ(201)の前身頃(211)における一方の面側の腹部中央に、パッチポケット部(242)およびパッチポケット部(242)内に通じる第1ポケット口(241)を形成するようにパッチポケット布(204)が取り付けられている。さらに、前身頃(211)における他方の面側からパッチポケット部(242)に通じるように、かつ、表裏方向から見て第1ポケット口と重ならないように前身頃(211)の腹部中央に貫通状に第2ポケット口(205)が形成されている。ポケット構造(202)はパッチポケット布(204)および第2ポケット口(205)から形成されている。
【0029】
より詳細には、パッチポケット布(204)は、所定の長さを有する底辺、底辺の両端から上方へ延びる両側辺、および、底辺と平行であり、かつ、底辺の約半分の長さを有する上辺を有している。両側辺はそれぞれ上下方向中央から上辺の両端に向かって内側へ円弧状に傾斜させられている。パッチポケット布(204)は、底辺、両側辺の下半分(上方へ伸びている部分)、および、上辺が前身頃(211)に接合されることで(この実施形態においては縫着されている)、前身頃(211)に取り付けられている。パッチポケット布(204)における前身頃に(11)に接合されていない箇所、すなわち、内側へ円弧状に傾斜させられている部分が左右一対の第1ポケット口(241)を形成している。さらに、前身頃(211)におけるパッチポケット布(204)の底辺の接合箇所には補強のための補強部(207)が形成され、ポケット構造(202)としての耐久性の向上が図られている。補強部(207)は前身頃(211)の裏表両面に形成されているのが好ましい。また、第2ポケット口(205)には開閉自在なジッパーが取り付けられているのが好ましい。
【0030】
このリバーシブルシャツ(201)を一方の面を外面として着用する際、着用者が携行する小物等を第1ポケット口(241)からパッチポケット部(242)内へ入れて収納することができる。この際、パッチポケット布(204)の底辺、両側辺の下半分(上方へ伸びている部分)、および、上辺が前身頃(211)に接合されていることで、小物等がパッチポケット部(242)からこぼれ落ちるのが防止される。さらに、第2ポケット口(205)に設けられたジッパーを閉めておくことで、収納した小物がリバーシブルシャツ(201)および着用者の腹部の間にこぼれ落ちることもない。また、リバーシブルシャツ(201)を他方の面を外面として着用する際、着用者は第2ポケット口(205)を介して携行する小物等をパッチポケット部(242)内に出し入れすることができる。さらに、第2ポケット口(205)に設けられたジッパーを閉めておくことで、小物等がパッチポケット部(242)から外部にこぼれ落ちるのが防止される。さらに、裏表どちらを外面として着用した場合でも共通の収納空間を使用することができるため、構造の単純化、製造コストの抑制が達成されている。
【0031】
ポケット構造(202)を形成することのできる衣服はシャツに限定されず、例えば、ジャケットやコートといったアウター、あるいは、ズボン等にも取り付けることができる。さらに、パッチポケット布(204)の形状、および、パッチポケット布(204)の取付位置および第2ポケット口(205)の位置も上記のものに限定されず、パッチポケットとしての使用が可能な範囲で適宜変更可能である。
【0032】
[第4の実施形態]
図4に示すように、この発明の第4の実施形態は、セットイン袖の形態が採用された半袖のリバーシブルシャツ(301)に取り付けられたポケット構造(302)である。このリバーシブルシャツ(301)については、第1の実施形態のリバーシブルシャツ(1)と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
詳細には、リバーシブルシャツ(301)の前身頃(311)における一方の面側の腹部中央に、第1パッチポケット部(342)およびパッチポケット部(342)内に通じる第1ポケット口(341)を形成するように第1パッチポケット布(304)が取り付けられている。さらに、表裏方向から見て第1パッチポケット部(342)と重なる第2パッチポケット部(344)および第2パッチポケット部(344)内に通じる第2ポケット口(343)を形成するように、前身頃(311)における他方の面に第2パッチポケット布(340)が取り付けられている。さらに、第1パッチポケット部(342)と第2パッチポケット部(344)とを連通させるように前身頃(311)の所定箇所に連通用切り欠き部(306)が形成されている。ポケット構造(302)は第1パッチポケット部(342)、第2パッチポケット部(344)および連通用切り欠き部(306)から形成されている。また、前身頃(311)における両パッチポケット布(304,340)の底辺の接合箇所には補強のための補強部(307)が形成され、ポケット構造(302)としての耐久性の向上が図られている。
【0034】
第1パッチポケット布(304)および第2パッチポケット布(340)は、第3の実施形態におけるパッチポケット布(204)と同一の形状を有しているため詳細な説明は省略する。なお、この実施形態において、第1パッチポケット布(304)および第2パッチポケット布(340)は同一の形状および大きさとされているが、異なる形状および/あるいは大きさとしてもよい。
【0035】
このリバーシブルシャツ(301)を一方の面を外面として着用する際、着用者が携行する小物等を第1ポケット口(341)から第1パッチポケット部(342)内へ入れて収納することができる。そして、リバーシブルシャツ(201)を他方の面を外面として着用する際、着用者は小物等を第2ポケット口(343)から第2パッチポケット部(344)内へ入れて収納することができる。第1パッチポケット部(342)および第2パッチポケット部(344)は連通用切り欠き部(306)を介して連通し、1つの収納空間として機能しているため、ポケット構造(302)の容量が大きくなる。また、リバーシブルシャツ(301)の裏面表面で1つの収容空間を共有しているため、リバーシブルシャツ(301)の他方の面を外面として着用する際に収容した小物を一旦取り出して着替える必要がない。さらに、裏表どちらを外面として着用した場合でも共通の収納空間を使用することができるため、構造の単純化、製造コストの抑制が達成されている。
【0036】
ポケット構造(302)を形成することのできる衣服はシャツに限定されず、例えば、ジャケットやコートといったアウター、あるいは、ズボン等にも取り付けることができる。さらに、第1パッチポケット布(304)および第2パッチポケット布(340)の形状ならびに取付位置も上記のものに限定されず、パッチポケットとしての使用が可能な範囲で適宜変更可能である。
【0037】
上記の通り、この発明によるリバーシブル衣服のポケット構造によれば、製造コストの増加をさせることなく、かつ、構造の複雑化させることなく、さらには、使用感が損なわれることなく、リバーシブル衣服の裏表どちらの面を外面として着用した場合でもポケットとして使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
この発明によるリバーシブル衣服のポケット構造は、肌着、スポーツシャツ、ズボン等の種々の衣服のポケット構造に適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
(1)(201)(301)リバーシブルシャツ
(101)リバーシブルズボン
(11)(111)(211)(311)前身頃
(2)(102)(202)(302)ポケット構造
(3)(103)ポケット入口
(4)(104)袋ポケット布
(41)(141)袋口部
(42)(142)袋ポケット部
(204)パッチポケット布
(241)(341)第1ポケット口
(242)パッチポケット部
(205)第2ポケット口
(304)第1パッチポケット布
(340)第2パッチポケット布
(342)第1パッチポケット部
(343)第2ポケット口
(344)第2パッチポケット部
(306)連通用切り欠き部