(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062926
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/00 20060101AFI20230427BHJP
B23K 9/095 20060101ALI20230427BHJP
B23K 9/073 20060101ALN20230427BHJP
【FI】
B23K9/00 330Z
B23K9/095 505B
B23K9/073 545
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173114
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(72)【発明者】
【氏名】西野 晋太朗
(72)【発明者】
【氏名】中俣 利昭
【テーマコード(参考)】
4E082
【Fターム(参考)】
4E082AA01
4E082AB01
4E082BA01
4E082CA01
4E082DA01
4E082DA03
4E082EB21
4E082EC03
4E082EF02
(57)【要約】
【課題】消耗電極アーク溶接において、種々な溶接条件に対応して良好な溶接終了制御を行うこと。
【解決手段】溶接電源に溶接終了信号Onが入力されると、送給モータMは駆動を停止し、送給モータMが慣性によって過渡的に減速して停止し溶接が終了するまでのアンチスティック期間中はアンチスティック溶接電圧設定値Varに基づいて溶接電圧Vwを制御して溶接を終了する消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法において、アンチスティック期間中の溶接状態を示す指標を検出し、指標に基づいてアンチスティック溶接電圧設定値Varを変化させる。指標は、アンチスティック期間中の短絡発生周期Pd及び/又は最終アーク期間の時間長さTadである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接電源に溶接終了信号が入力されると、送給モータは駆動を停止し、前記送給モータが慣性によって過渡的に減速して停止し溶接が終了するまでのアンチスティック期間中はアンチスティック溶接電圧設定値に基づいて溶接電圧を制御して溶接を終了する消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法において、
前記アンチスティック期間中の溶接状態を示す指標を検出し、
前記指標に基づいて前記アンチスティック溶接電圧設定値を変化させる、
ことを特徴とする消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法。
【請求項2】
前記指標は、前記アンチスティック期間中の短絡発生周期である、
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法。
【請求項3】
前記指標は、前記アンチスティック期間中の最終アーク期間の時間長さである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法。
【請求項4】
前記アンチスティック溶接電圧設定値は、前記送給モータの減速時の送給速度を入力とする関数である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消耗電極アーク溶接においては、溶接終了時に溶接ワイヤが溶融池に溶着(スティック)するのを防止し、溶接終了時に形成されるワイヤ先端粒のサイズを適正化して次のアークスタート性を良好にするための溶接終了制御(アンチスティック制御)が行われる。溶接終了制御は、溶接電源に溶接終了信号が入力されて、送給モータが慣性によって過渡的に減速して停止するまでの慣性期間における溶接電流及び溶接電圧の制御である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、送給モータの減速状態、溶接姿勢、継手形状等の種々の溶接条件において、溶接終了時に形成されるワイヤ先端粒のサイズを常に適正化することは困難であった。このために、ワイヤ先端粒のサイズが過大又は過少になる場合があり、次のアークスタート性が悪くなるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明では、消耗電極アーク溶接において、種々な溶接条件に対応して良好な溶接終了制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
溶接電源に溶接終了信号が入力されると、送給モータは駆動を停止し、前記送給モータが慣性によって過渡的に減速して停止し溶接が終了するまでのアンチスティック期間中はアンチスティック溶接電圧設定値に基づいて溶接電圧を制御して溶接を終了する消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法において、
前記アンチスティック期間中の溶接状態を示す指標を検出し、
前記指標に基づいて前記アンチスティック溶接電圧設定値を変化させる、
ことを特徴とする消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法である。
【0007】
請求項2の発明は、
前記指標は、前記アンチスティック期間中の短絡発生周期である、
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法である。
【0008】
請求項3の発明は、
前記指標は、前記アンチスティック期間中の最終アーク期間の時間長さである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法である。
【0009】
請求項4の発明は、
前記アンチスティック溶接電圧設定値は、前記送給モータの減速時の送給速度を入力とする関数である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消耗電極アーク溶接において、種々な溶接条件に対応して良好な溶接終了制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法を示す
図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法を実施するための溶接電源PSのブロック図である。以下、同図を参照して各ブロックについて説明する。
【0014】
電源主回路PMは、3相200V等の商用電源(図示は省略)を入力として、後述する駆動信号Dvに従ってサイリスタ位相制御、インバータ制御等の出力制御を行い、アーク溶接に適した溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。
【0015】
溶接ワイヤ1は、送給モータMに結合された送給ロール5の回転によって溶接トーチ4内を送給されて、ワーク2との間にアーク3が発生する。溶接ワイヤ1とワーク2との間には溶接電圧Vwが印加され、溶接電流Iwが通電する。溶接トーチ4の先端からはシールドガス(図示は省略)が噴出される。
【0016】
溶接開始・終了回路ONは、溶接を開始するときにHighレベル(溶接開始信号)となり、溶接を終了するときにLowレベル(溶接終了信号)となる溶接開始・終了信号Onを出力する。この回路は、溶接トーチ4に取り付けられたスイッチである。また、この回路は、ロボット溶接の場合はロボット制御装置に内蔵されている。
【0017】
アンチスティック期間設定回路TARは、予め定めたアンチスティック期間設定信号Tarを出力する。
【0018】
期間判別回路SIは、上記の溶接開始・終了信号On及び上記のアンチスティック期間設定信号Tarを入力として、以下の処理を行い、期間判別信号Siを出力する。
1)溶接開始・終了信号OnがHighレベル(溶接開始)のときは定常溶接期間Tcとなり、期間判別信号Si=1を出力する。
2)その後に、溶接開始・終了信号OnがLowレベル(溶接終了)に変化すると、その時点からアンチスティック期間設定信号Tarによって設定されるアンチスティック期間Ta中は、期間判別信号Si=2を出力する。
3)その後に、アンチスティック期間Taが終了すると、溶接電源の出力を停止するために期間判別信号Si=0を出力する。
【0019】
溶接電流設定回路IRは、予め定めた溶接電流設定信号Irを出力する。
【0020】
送給速度設定回路FRは、上記の溶接電流設定信号Irを入力として、予め定めた電流・送給速度変換関数によって算出された送給速度設定信号Frを出力する。
【0021】
送給速度検出回路FDは、上記の送給モータMからの回転数信号を入力として送給速度Fwに変換して、送給速度検出信号Fdを出力する。回転数信号は、送給モータMに設けられたエンコーダからの信号、電機子電圧信号等である。
【0022】
溶接電圧検出回路VDは、上記の溶接電圧Vwを検出して、溶接電圧検出信号Vdを出力する。溶接電流検出回路IDは、上記の溶接電流Iwを検出して、溶接電流検出信号Idを出力する。
【0023】
短絡判別回路SDは、上記の溶接電圧検出信号Vdを入力として、この値が短絡判別値(10V程度)未満のときは短絡期間であると判別してHighレベルとなり、以上のときはアーク期間であると判別してLowレベルとなる短絡判別信号Sdを出力する。
【0024】
短絡発生周期検出回路PDは、上記の期間判別信号Si及び上記の短絡判別信号Sdを入力として、期間判別信号Si=2となるアンチスティック期間Ta中に、短絡判別信号Sdによって短絡発生周期の平均値を検出して、短絡発生周期検出信号Pdを出力する。
【0025】
最終アーク期間検出回路TADは、上記の期間判別信号Si、上記の短絡判別信号Sd及び上記の溶接電流検出信号Idを入力として、期間判別信号Si=2となるアンチスティック期間Ta中に、短絡判別信号Sd=Lowレベルかつ溶接電流検出信号Id>0となるアーク期間を判別し、判別に基づいて最終アーク期間の時間長さを検出して、最終アーク期間検出信号Tadを出力する。
【0026】
送給制御回路FCは、上記の溶接開始・終了信号On及び上記の送給速度設定信号Frを入力として、以下の処理を行い、上記の送給モータMを制御するための送給制御信号Fcを出力する。
1)溶接開始・終了信号OnがHighレベル(溶接開始信号)のときは溶接ワイヤ1を送給速度設定信号Frによって設定された送給速度Fwで定速送給する。
2)溶接開始・終了信号OnがLowレベル(溶接終了信号)に変化してアンチスティック期間Taになると、送給モータMの駆動を停止する。これにより、送給速度Fwは慣性により減速する。
【0027】
送給モータMは、上記の送給制御信号Fcによって回転速度が制御されて、溶接ワイヤ1を送給速度Fwで送給する。
【0028】
定常溶接電圧設定回路VCRは、予め定めた定常溶接電圧設定信号Vcrを出力する。
【0029】
アンチスティック溶接電圧初期値設定回路VSRは、上記の期間判別信号Si及び上記の送給速度検出信号Fdを入力として、期間判別信号Si=2となりアンチスティック期間Taに入ると、送給速度検出信号Fdを入力とする予め定めた関数によって設定されるアンチスティック溶接電圧初期値設定信号Vsrを出力する。
【0030】
アンチスティック溶接電圧設定回路VARは、上記のアンチスティック溶接電圧初期値設定信号Vsr、上記の短絡発生周期検出信号Pd及び上記の最終アーク期間検出信号Tadを入力として、アンチスティック溶接電圧初期値設定信号Vsrの値を短絡発生周期検出信号Pd及び/又は最終アーク期間検出信号Tadに基づいて修正して、アンチスティック溶接電圧設定信号Varを出力する。修正方法については、
図2で後述する。
【0031】
溶接電圧設定回路VRは、上記の期間判別信号Si、上記の定常溶接電圧設定信号Vcr及び上記のアンチスティック溶接電圧設定信号Varを入力として、以下の処理を行い、溶接電圧設定信号Vrを出力する。
1)期間判別信号Si=1の定常溶接期間Tcのときは、定常溶接電圧設定信号Vcrを溶接電圧設定信号Vrとして出力する。
2)期間判別信号Si=2のアンチスティック期間Taのときは、アンチスティック溶接電圧設定信号Varを溶接電圧設定信号Vrとして出力する。
【0032】
電圧誤差増幅回路EVは、上記の溶接電圧設定信号Vrと上記の溶接電圧検出信号Vdとの誤差を増幅して、電圧誤差増幅信号Evを出力する。
【0033】
駆動回路DVは、上記の期間判別信号Si及び上記の電圧誤差増幅信号Evを入力として、期間判別信号Si=1又は2の期間中は、電圧誤差増幅信号Evに基づいて上記の電源主回路PMを駆動するための駆動信号Dvを出力する。したがって、溶接電源PSは、定常溶接期間Tc及びアンチスティック期間Ta中は出力制御を行う。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態に係る消耗電極アーク溶接の溶接終了制御方法を示す
図1の溶接電源における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始・終了信号Onの時間変化を示し、同図(B)は送給速度Fwの時間変化を示し、同図(C)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(D)は溶接電圧Vwの時間変化を示し、同図(E)は溶接電圧設定信号Vrの時間変化を示し、同図(F)は駆動信号Dvの時間変化を示す。以下、同図を参照して各信号の動作について説明する。
【0035】
同図において、時刻t1以前の期間が定常溶接期間Tcとなり、
図1の期間判別信号Si=1となる。時刻t1~t2の期間が予め定めたアンチスティック期間Taとなり、期間判別信号Si=2となる。そして、時刻t2において、アンチスティック期間Taが終了すると、期間判別信号Si=0となり、溶接電源は出力を停止する。
【0036】
時刻t1以前の期間が定常溶接期間となる。この期間中は、同図(A)に示すように、溶接開始・終了信号OnはHighレベル(溶接開始)となっている。そして、同図(B)に示すように、送給速度Fwは、
図1の送給速度設定信号Frによって設定された値となる。同図(E)に示すように、溶接電圧設定信号Vrは、
図1の定常溶接電圧設定信号Vcrによって設定された値となり、溶接電圧Vwの平均値がこの値となるように溶接電源は定電圧制御される。同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは、数Vの短絡電圧値となる短絡期間と、数十Vのアーク電圧値となるアーク期間とを繰り返す。同図(C)に示すように、溶接電流Iwは、短絡期間中は次第に増加し、アーク期間中は次第に減少する。
【0037】
(1)時刻t1以前の定常溶接期間Tc中の動作
この期間中は、同図(A)に示すように、溶接開始・終了信号OnはHighレベル(溶接開始)となっている。そして、同図(B)に示すように、送給速度Fwは、
図1の送給速度設定信号Frによって設定された値となる。同図(E)に示すように、溶接電圧設定信号Vrは、
図1の定常溶接電圧設定信号Vcrによって設定された値となり、溶接電圧Vwの平均値がこの値となるように溶接電源は定電圧制御される。同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは、数Vの短絡電圧値となる短絡期間と、数十Vのアーク電圧値となるアーク期間とを繰り返す。同図(C)に示すように、溶接電流Iwは、短絡期間中は次第に増加し、アーク期間中は次第に減少する。同図(F)に示すように、駆動信号Dvは、時刻t2まではHighレベルとなり溶接電源は出力を行い、時刻t2においてLowレベルとなり溶接電源は出力を停止する。
【0038】
(2)時刻t1~t2のアンチスティック期間Ta中の動作)
時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始・終了信号OnがHighレベル(溶接開始)からLowレベル(溶接終了)に変化すると、アンチスティック期間Taに移行する。これに応動して送給モータMの駆動が停止されるので、同図(B)に示すように、送給速度Fwは慣性により減速して時刻t12に0となる。同図(E)に示すように、溶接電圧設定信号Vrは、送給速度Fwの減速に伴って直線状又は曲線状に小さくなり、所定値に達するとその値を維持する。この期間中の溶接電圧設定信号Vrは、
図1のアンチスティック溶接電圧設定信号Varによって設定される。アンチスティック溶接電圧設定信号Varの値は、送給モータMの減速状態を示す
図1の送給速度検出信号Fdを入力とする関数である。このようにすると、溶接電圧Vwの平均値の変化が緩やかになり、溶接状態がより安定になる。この期間中も、同図(C)及び同図(D)に示すように、短絡期間とアーク期間とが繰り返される。そして、同図(D)に示すように、送給速度Fwが0となる直前の時刻t11において、最終の短絡期間が終了して最終アーク期間となる。同図(C)に示すように、最終アーク期間中の溶接電流Iwは小電流値となる。最終アーク期間中にアーク長が次第に長くなり、時刻t13においてアークを維持することができなくなると、アーク切れが発生する。アーク切れが発生すると、同図(C)に示すように、溶接電流Iwは0Aとなり、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは80V程度の無負荷電圧値となる。時刻t2において、
図1のアンチスティック期間設定信号Tarによって設定されたアンチスティック期間Taが終了すると、期間判別信号=0となり、同図(F)に示すように、駆動信号DvがLowレベルとなる。これに応動して、溶接電源の出力が停止されるので、同図(D)に示すように、溶接電圧Vwは0Vとなる。これにより、溶接が終了する。アンチスティック期間Taは、時刻t13~t2の無負荷電圧が印加される期間が50ms程度になるように設定され、例えば200msに設定される。
【0039】
本実施の形態によれば、アンチスティック期間Ta中の溶接状態を示す指標を検出し、指標に基づいてアンチスティック溶接電圧設定信号Varの値を変化させる。アンチスティック期間Ta中の溶接状態が安定になるようにアンチスティック溶接電圧設定信号Varを変化させると、種々の溶接条件において、溶接終了部のワイヤ先端粒を適正化することができる。この結果、アークスタート性を良好にすることができる。
【0040】
上記の指標は、アンチスティック期間Ta中の
図1の短絡発生周期検出信号Pdである。短絡発生周期検出信号Pdは、アンチスティック期間Ta中の短絡発生周期の平均値である。短絡発生周期検出信号Pdの値が予め定めた基準周期よりも長いときは、送給速度検出信号Fdに応じて減少するスロープが急峻になるようにアンチスティック溶接電圧設定信号Varを変化させる。逆に、短絡発生周期検出信号Pdの値が基準周期よりも短いときは、送給速度検出信号Fdに応じて減少するスロープが緩やかになるようにアンチスティック溶接電圧設定信号Varを変化させる。短絡発生周期検出信号Pdの値が基準周期と略等しくなると、溶接状態は安定した状態となる。基準周期は、例えば15msである。
【0041】
さらに、上記の指標は、アンチスティック期間Ta中の
図1の最終アーク期間検出信号Tadである。最終アーク期間検出信号Tadの値が予め定めた基準時間よりも長いときは、送給速度検出信号Fdに応じて減少した後の所定値が小さくなるようにアンチスティック溶接電圧設定信号Varを変化させる。逆に、最終アーク期間検出信号Tadの値が基準時間よりも短いときは、送給速度検出信号Fdに応じて減少した後の所定値が大きくなるようにアンチスティック溶接電圧設定信号Varを変化させる。最終アーク期間検出信号Tadの値が基準時間と略等しくなると、溶接状態は安定した状態となる。基準時間は、例えば12msである。上記の指標として、短絡発生周期検出信号Pd又は最終アーク期間検出信号Tadの少なくとも一つを使用すれば良い。
【符号の説明】
【0042】
1 溶接ワイヤ
2 ワーク
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
DV 駆動回路
Dv 駆動信号
EV 電圧誤差増幅回路
Ev 電圧誤差増幅信号
FC 送給制御回路
Fc 送給制御信号
FD 送給速度検出回路
Fd 送給速度検出信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
Fw 送給速度
ID 溶接電流検出回路
Id 溶接電流検出信号
IR 溶接電流設定回路
Ir 溶接電流設定信号
Iw 溶接電流
M 送給モータ
ON 溶接開始・終了回路
On 溶接開始・終了信号
PD 短絡発生周期検出回路
Pd 短絡発生周期検出信号
PM 電源主回路
PS 溶接電源
SD 短絡判別回路
Sd 短絡判別信号
SI 期間判別回路
Si 期間判別信号
TAD 最終アーク期間検出回路
Tad 最終アーク期間検出信号
TAR アンチスティック期間設定回路
Tar アンチスティック期間設定信号
VAR アンチスティック溶接電圧設定回路
Var アンチスティック溶接電圧設定信号
VCR 定常溶接電圧設定回路
Vcr 定常溶接電圧設定信号
VD 溶接電圧検出回路
Vd 溶接電圧検出信号
VR 溶接電圧設定回路
Vr 溶接電圧設定信号
VSR アンチスティック溶接電圧初期値設定回路
Vsr アンチスティック溶接電圧初期値設定信号
Vw 溶接電圧