(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062940
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】クロロシラン液輸送容器の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B08B 9/08 20060101AFI20230427BHJP
B65D 90/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
B08B9/08
B65D90/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173138
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】523119425
【氏名又は名称】高純度シリコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝則
(72)【発明者】
【氏名】城野 智也
【テーマコード(参考)】
3B116
3E170
【Fターム(参考)】
3B116AA13
3B116AB52
3B116BB21
3B116BB88
3E170AA03
3E170AB09
3E170BA10
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】クロロシラン液輸送容器の接続部における汚染を低減し、清浄なクロロシラン液の抜き出し及び充填を可能とするクロロシラン液輸送容器の洗浄方法の提供。
【解決手段】クロロシラン液消費装置又はクロロシラン液充填装置に接続される配管に、ボールバルブを介して脱着可能に接続されるクロロシラン液輸送容器の洗浄方法である。配管から切り離された状態のボールバルブの弁体を含むバルブ開放部分の表面に有機溶剤を噴霧してバルブ開放部分の表面に有機溶剤の液膜を形成する工程と、バルブ開放部分の表面に付着及び/又は浸入しているクロロシラン液残留分を有機溶剤の液膜中に溶出させる工程と、クロロシラン液残留分が溶出した液膜を除去する工程と、液膜が除去されたバルブ開放部分を不活性ガス又は圧縮空気でブローする工程とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロシラン液消費装置又はクロロシラン液充填装置に接続される配管に、ボールバルブを介して脱着可能に接続されるクロロシラン液輸送容器を洗浄する方法であって、
前記配管から切り離された状態の前記ボールバルブの弁体を含むバルブ開放部分の表面に有機溶剤を噴霧して前記バルブ開放部分の表面に前記有機溶剤の液膜を形成する工程と、
前記バルブ開放部分の表面に付着及び/又は浸入しているクロロシラン液残留分を前記有機溶剤の液膜中に溶出させる工程と、
前記クロロシラン液残留分が溶出した液膜を除去する工程と、
前記液膜が除去された前記バルブ開放部分を不活性ガス又は圧縮空気でブローする工程とを含むクロロシラン液輸送容器の洗浄方法。
【請求項2】
前記不活性ガス又は圧縮空気でブローした後で、可燃性ガス検知器により前記バルブ開放部分における前記有機溶剤の残留の有無を検査する工程を更に含む請求項1記載のクロロシラン液輸送容器の洗浄方法。
【請求項3】
前記有機溶剤の液膜中に溶出したクロロシラン液残留分の除去が布による拭き取り及び/又は吸引機による吸引である請求項1又は2記載のクロロシラン液輸送容器の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロシラン液の充填と抜き出しを交互に繰り返して行うように構成されたクロロシラン液輸送容器を有機溶剤で洗浄する方法に関する。本明細書において「クロロシラン液」とは、トリクロロシラン液、四塩化ケイ素液、二量体の塩化ケイ素液又はこれらの混合液をいう。
【背景技術】
【0002】
クロロシラン液に代表される液状化学物質は製造元から使用先まで専用の輸送容器(タンク)を用いて輸送される。従来、液状化学物質をその輸送容器に充填する際、及び輸送容器から抜き出す際に、その接続部での汚染を避けるために、接続部を不活性ガスから構成されるシールガスで洗浄されている(例えば、特許文献1(段落[0001]及び段落[0018]~[0024]、
図3、
図4)参照。)。
【0003】
特許文献1に示される「液状化学物質のためのタンク」では、不活性ガスをその接続部にブローして、接続部に存在していた気体をパージし、気体を不活性ガスで置換することにより、接続部に残存する液状化学物質を追い出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるタンクの洗浄方法では、接続部に残存する液状化学物質を追い出そうとしても、接続部に吸着している液状化学物質や、接続部のガスケットの隙間に入り込んだ液状化学物質の残留分は、不活性ガスのブローだけでは十分に除去することができなかった。そのため、液状化学物質消費装置又は液状化学物質充填装置に接続される配管から輸送容器を切り離したときに、ボールバルブの大気開放されたバルブ開放部分に存在する上記液状化学物質の残留分が空気に触れ、空気中の水分と反応し、液状化学物質がクロロシラン液である場合には、バルブ開放部分の表面にシリカが析出したり、或いは錆を発生させていた。その結果、クロロシラン液の充填と抜き出しが繰返される輸送容器の汚染除去が不十分となり、輸送容器に充填又は輸送容器から抜き出されるクロロシラン液の品質低下の原因となっていた。輸送容器の接続部における上記液状化学物質の残留分は、通常は問題にならない程度の量であっても、極めて高い純度が求められる半導体用のクロロシラン液では、何らかの対策が必要であった。
【0006】
本発明の目的は、クロロシラン液輸送容器の接続部における汚染を低減し、清浄なクロロシラン液の抜き出し及び充填を可能とするクロロシラン液輸送容器の洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、クロロシラン液消費装置又はクロロシラン液充填装置に接続される配管に、ボールバルブを介して脱着可能に接続されるクロロシラン液輸送容器を洗浄する方法であって、前記配管から切り離された状態の前記ボールバルブの弁体を含むバルブ開放部分の表面に有機溶剤を噴霧して前記バルブ開放部分の表面に前記有機溶剤の液膜を形成する工程と、前記バルブ開放部分の表面に付着及び/又は浸入しているクロロシラン液残留分を前記有機溶剤の液膜中に溶出させる工程と、前記クロロシラン液残留分が溶出した液膜を除去する工程と、前記液膜が除去された前記バルブ開放部分を不活性ガス又は圧縮空気でブローする工程とを含むクロロシラン液輸送容器の洗浄方法である。
【0008】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、前記不活性ガス又は圧縮空気でブローした後で、可燃性ガス検知器により前記バルブ開放部分の表面における前記有機溶剤の残留の有無を検査する工程を更に含むクロロシラン液輸送容器の洗浄方法である。
【0009】
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、前記有機溶剤の液膜中に溶出したクロロシラン液残留分の除去が布による拭き取り及び/又は吸引機による吸引であるクロロシラン液輸送容器の洗浄方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の観点の洗浄方法では、配管から切り離された状態の輸送容器の接続部のボールバルブの弁体を含むバルブ開放部分の表面に、有機溶剤を噴霧することにより、有機溶剤が、接続部に付着又は吸着しているクロロシラン液の残留分や、接続部のボールシール部と弁体との隙間に入り込んだクロロシラン液の残留分に行き渡り、そこで有機溶剤の液膜を形成する。クロロシラン液の残留分はこの液膜中に溶出され、この液膜を除去することにより、残留していたクロロシラン液が取り除かれる。更に液膜が除去されたバルブ開放部分の表面に不活性ガス又は圧縮空気をブローすることにより、噴霧した有機溶剤とともに残留していたクロロシラン液を除去することができる。
【0011】
本発明の第2の観点の洗浄方法では、不活性ガス又は圧縮空気でブローした後で、可燃性ガス検知器によりバルブ開放部分の表面における有機溶剤の残留の有無を検査することにより、有機溶剤に起因した、輸送用のクロロシラン液への混入を未然に防止することができる。
【0012】
本発明の第3の観点の洗浄方法では、布及び/又は吸引機を用いて、有機溶剤の液膜中に溶出したクロロシラン液残留分の除去するため、迅速かつ確実に液膜を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の外部の配管から切り離された状態のボールバルブの開放部分の表面に有機溶剤を噴霧している状態を示す要部拡大断面図である。
【
図2】そのボールバルブの開放部分の表面に有機溶剤の液膜が形成された状態を示す要部拡大断面図である。
【
図3】その液膜を除去した後で不活性ガス又は圧縮ガスをブローしている状態を示す要部拡大断面図である。
【
図4】そのガスをブローした後で可燃性ガス検知器で有機溶剤の残留の有無を検査している状態を示す要部拡大断面図である。
【
図5】本発明の実施形態のクロロシラン液輸送容器が外部の配管から切り離された状態を示す構成図である。
【
図6】そのクロロシラン液輸送容器が外部に配管接続された状態を示す構成図である。
【
図7】比較例1における四塩化ケイ素液の充填が完了し輸送容器から配管を切り離し後に何も処置を行わなかった場合の、バルブ開放部分であるボールバルブ内部の状態を示す写真図。
【
図8】実施例1における四塩化ケイ素液の充填が完了し輸送容器から配管を切り離し後にエタノール清掃、N
2ガスブロー、ガス検知器確認を行った場合の、バルブ開放部分であるボールバルブ内部の状態を示す写真図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図6に示すように、本発明の実施形態のクロロシラン液輸送容器(以下、単に輸送容器ということもある。)10は、容器本体11とこの容器本体11に付設された接続部12とを有する。接続部12はクロロシラン液流路13及び気体流路14を含んでいる。クロロシラン液流路13は、容器本体11内に充填されるクロロシラン液(図示せず)に浸漬される浸漬部13aと容器本体11から延出する延出部13bとを有する。
【0016】
延出部13bには、容器本体11へのクロロシラン液充填方向に見て下流側に位置する第1ボールバルブ21とクロロシラン液充填方向に見て上流側に位置する第2ボールバルブ22とが配設されている。第2ボールバルブ22はクロロシラン液流路13の延出部13bの延出端に設けられる。
【0017】
気体流路14は容器本体11内に連通された延出部14bから延出している。この気体流路14には、容器本体11への気体流入方向に見て下流側に位置する第3ボールバルブ23と気体流入方向に見て上流側に位置する第4ボールバルブ24とが配設されている。第4ボールバルブ24は気体流路14の延出端に配設されている。
【0018】
連結流路15は、クロロシラン液流路13における第1ボールバルブ21と第2ボールバルブ22との間の部位と気体流路14における第3ボールバルブ23と第4ボールバルブ24との間の部位とを連結している。この連結流路15には、第5ボールバルブ25が設けられる。連結流路15の右端はクロロシラン液流路13に連通され、その左端は気体流路14に連通されている。
【0019】
第2ボールバルブ22のクロロシラン液充填方向に見て上流側の配管31には、第6ボールバルブ26を介して、この実施形態では、クロロシラン液充填装置であるクロロシラン液供給源32が設けられる。また第4ボールバルブ24の気体流入方向に見て上流側の配管33には、第9ボールバルブ29を介して、排ガス又は残液処理装置34が設けられる。そして配管31及び配管33には、それぞれ配管35及び配管36を介して不活性ガス供給源であるN2ガス供給源37が接続される。配管36に第7ボールシール27が設けられ、配管35には第8ボールバルブ28が設けられる。
【0020】
このように構成された輸送容器10のクロロシラン液の充填等に関する動作について説明する。
【0021】
〔流路内のガスパージ〕
先ず、流路13、14、15内をN2ガスでパージする。具体的には、先ず、輸送容器10とクロロシラン液供給源32とN2ガス供給源37とを繋げる。これらを繋げる流路を含めて気密確認が完了した後、ボールバルブ22、24、25、28、29を開け、流路13、14、15をパージして、流路13、14、15内に混入した空気を追い出しN2ガスに置換する。置換完了後、ボールバルブ25、28を閉める。
【0022】
〔クロロシラン液の充填〕
次いで、ボールバルブ21、23、26を開け、クロロシラン液供給源32から輸送容器10にクロロシラン液を送り充填を行う。所定量の充填が完了した場合、ボールバルブ26を閉めた後、ボールバルブ28を再び開けて流路13内に残留したクロロシラン液を輸送容器10へ押し込む。
【0023】
〔充填後の流路内ガスパージ〕
ボールバルブ21、23を閉め、ボールバルブ25を開けて流路13,14、15をN2ガスで再度パージし、流路13,14、15内の残液を追い出し置換する。
【0024】
次に、
図1~
図5を参照して、本実施形態のボールバルブ21と23について説明する。
図1~
図5における各要素の符号は、
図6において説明した各要素の符号と同一である。ボールバルブ21と23の構成は同一であるので、
図1~
図4では、2つのボールバルブ21と23を合わせて説明する。
図5に示される輸送容器10の接続部12における延出部13b、14bの延出端には、
図1~
図4に示すように、固定フランジ38が設けられる。
【0025】
図1~
図4に示すように、ボールバルブ21、23は、球面状の弁座41aを有するハウジング41、ハウジング41の上下両端に設けられた接続フランジ42,43、弁座41aに回動可能に保持されて管路41bを開閉する略球状の弁体44、弁体44の操作部45及びハウジング41と弁体44の間の隙間を塞ぐボールシール部46を備える。
【0026】
ボールバルブ21、23の下端の接続フランジ43は、ボルト51とナット52により固定フランジ38に固定される。これにより、ボールバルブ21、23は容器本体11(
図5参照)に取付けられる。また、ボールバルブ21、23の上端の接続フランジ42には、
図6に示したクロロシラン液流路13及び流体流路14の各端部に設けられた取付フランジ(図示せず)が接続されるようになっている。接続フランジ42には、上記取付フランジに接続するためのボルト孔42aが設けられる。
【0027】
ボールバルブ21,23においては、弁体44に貫通孔44aが形成されており、
図1~
図4に示すように貫通孔44aをボールバルブ21,23の管路41bと直交する方向に配置することにより管路41bが遮断され、操作部45を回動させてこの貫通孔44aを一点鎖線で示すようにボールバルブ21,23の管路41bと一致させることにより、管路41bが開放されるようになっている。
【0028】
このように構成された輸送容器10の接続部12におけるボールバルブ21、23の大気に開放されたバルブ開放部分Sの表面における洗浄方法について説明する。
図1に示すように、ボールバルブ21、23の弁体44を含むバルブ開放部分Sの表面に有機溶剤60を噴霧器61を用いて噴霧して、
図2に示すように、有機溶剤60の液膜62を形成する。
図2において、液膜62は黒く塗りつぶして示している。なお、噴霧器61は縮小して示している。バルブ開放部分Sの表面は、バルブ開放部分Sに面するボールバルブ21、23の管路41bの内面、管路41bの上縁近傍の接続フランジ42の上面、ボールシール部46の露出面及び弁体44の露出面である。有機溶剤60としては、クロロシラン液よりも蒸気圧の低く、作業環境の安全性の観点から、炭素数が1~3のアルコールが好ましい。特に好ましい有機溶剤60はエタノールである。有機溶剤60の噴霧量は、
図2に示すように、バルブ開放部分Sの表面に液膜62を形成し得る量である。有機溶剤60の噴霧により、有機溶剤60の液膜62が形成されると、噴霧前にバルブ開放部分Sの表面に付着又は吸着していたクロロシラン液の残留分及びボールシール部46と弁体44の間に浸入していたクロロシラン液の残留分が液膜62中に溶出する。
【0029】
クロロシラン液の残留分を液膜62に十分に溶出させるために、噴霧してから一定時間、例えば2~3分間放置する。一定時間が経過してた後に、図示しないが、例えば、清浄な吸液性の高い柔らかい布で液膜62を完全に拭き取るか、或いは吸引機で液膜62を吸引して、液膜62を除去する。次いで、
図3に示すように、バルブ開放部分Sにブロア63を用いて窒素ガスのような不活性ガス又は圧縮空気64をブローする。これにより、噴霧した有機溶剤60とともに残留していたクロロシラン液が除去される。なお、ブロア63は縮小して示している。更に、
図4に示すように、可燃性ガス検知器65の検知棒65aをバルブ開放部分Sに差し込んで、バルブ開放部分Sにおける有機溶剤60の残留の有無を検査することが好ましい。なお、可燃性ガス検知器65は縮小して示している。ここで、可燃性ガス検知器65で検出した値が基準値を超えていた場合には、再度、
図3に示される不活性ガス又は圧縮空気64によりブローを行う。これにより、有機溶剤60に起因した、輸送用のクロロシラン液への混入を未然に防止することができる。
【実施例0030】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0031】
<実施例1>
クロロシラン液の一種である四塩化ケイ素液を14500Lの輸送容器であるISOタンクコンテナへ充填し、配管のパージまで完了した。その後、供給源及び排ガス・排液ラインの配管を輸送容器から切り離し、輸送容器に取り付けられたボールバルブのバルブ開放部分の表面にエタノールを噴霧し、2~3分放置した。その後、吸液性が高く柔らかい布でエタノールを拭き取り、N
2ガスでブローし、残留したエタノールを除去した。最後に、エタノールが残留していないか確かめるため、可燃性ガス検知器を噴霧箇所に近づけて反応しないか確認した後、ボールバルブに閉止蓋を取り付けた。ここで、閉止蓋とは、
図1~
図4に示す接続フランジ42に、
図6に示したクロロシラン液流路13及び流体流路14の各端部に設けられる取付フランジ(図示せず)の代わりに、固定されることにより、バルブの弁体との空間を密封する平板状の蓋である。
【0032】
<比較例1>
実施例1と同様に、四塩化ケイ素液の輸送容器への充填、配管のパージまで完了した。続いて、輸送容器から配管を切り離した後、ボールバルブのバルブ開放部分に対して処置を何も行わず、ボールバルブに閉止蓋を取り付けた。
【0033】
<評価方法と結果>
実施例1及び比較例1の双方とも、ボールバルブに閉止蓋を取り付けてから、3日間放置した後、閉止蓋を開け、ボールバルブのバルブ開放部分の変化の有無を目視で確認した。
【0034】
比較例1では、四塩化ケイ素液の充填が完了し輸送容器から配管を切り離し後に何も処置を行わなかった場合、バルブ開放部分であるボールバルブ内部にシリカが析出しており、かつ錆による変色が見られ、汚染されていた。この状況を
図7に示す。
【0035】
これに対して、実施例1では、四塩化ケイ素液の充填が完了し輸送容器から配管を切り離し後にエタノール清掃、N
2ガスブロー、ガス検知器確認を行った場合、作業完了後のバルブ開放部分であるボールバルブ内部に汚染は見られなかった。この状況を
図8に示す。
本発明のクロロシラン液輸送容器の洗浄方法は、この輸送容器に収納されるクロロシラン液の汚染を防ぎ、クロロシラン液を充填又は抜き出しを繰り返す輸送容器を清浄にする方法に利用される。