(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062986
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】パネルの体製造方法
(51)【国際特許分類】
E04H 17/14 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
E04H17/14 102Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173207
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻村 圭哉
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142DD02
2E142DD09
2E142DD13
2E142DD23
2E142HH03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、フェンスやバルコニーに設置するパネル体の製造方法に関するもので、使い勝手の向上を課題とする
【解決手段】本発明は、上桟12と下桟13を備え、上下にある付子14の間に列設した複数の竪パネル材11を有するパネル体1を用意する工程、上下桟12及び13を切断する位置を決める工程、上下桟12及び13を付子14からずらす工程、竪パネル材11を付子14から取り外す工程、上下桟12及び13をずらす前の付子14の位置まで戻す工程、上下桟12及び13を付子14ごと切断する工程、竪パネル材11の端部に竪パネル材端部カバー3を嵌めて、上下桟12及び13の切断面と竪パネル材端部カバー3の端面をほぼ揃える工程、を含むパネル体の製造方法とすることで課題を解決した。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上桟と下桟を備え、上下にある付子の間に列設した複数の竪パネル材を有するパネル体を用意する工程、
上下桟を切断する位置を決める工程、
上下桟を付子からずらす工程、
竪パネル材を付子から取り外す工程、
上下桟をずらす前の付子の位置まで戻す工程、
上下桟を付子ごと切断する工程、
竪パネル材の端部に竪パネル材端部カバーを嵌めて、上下桟の切断面と竪パネル材端部カバーの端面をほぼ揃える工程、
を含むパネル体の製造方法。
【請求項2】
上桟と下桟を備え、上下にある付子の間に列設した複数の竪パネル材を有するパネル体を用意する工程、
上下桟を切断する位置を決める工程、
上下桟を付子からずらす工程、
複数の竪パネル材を付子から取り外す工程、
上下桟をずらす前の付子の位置まで戻す工程、
上下桟を付子ごと切断する工程、
取り外した一の竪パネル材を、切り縮め用竪パネル材とし、その幅寸法を竪パネル材端部カバーの幅寸法を考慮して切り縮める工程、
切り縮めた竪パネル材を付子に戻す工程、
切り縮めた竪パネル材の端部に竪パネル材端部カバーを嵌めて、上下桟の切断面と竪パネル材端部カバーの端面をほぼ揃える工程、
を含むパネル体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスやバルコニーに設置するパネル体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
隣地境界にフェンスを設置する際に様々な工夫がなされてきた。例えば、フェンスの設置に際して、工場で単位長さ(例えば、2m)の長さのパネル体が予め作られ、施工を効率化することが行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、顧客の所有する敷地は様々である。フェンスを施工する一辺の長さも、顧客の要望に応じて様々であり、更なる使い勝手の向上が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上桟と下桟を備え、上下にある付子の間に列設した複数の竪パネル材を有するパネル体を用意する工程、上下桟を切断する位置を決める工程、上下桟を付子からずらす工程、竪パネル材を付子から取り外す工程、上下桟をずらす前の付子の位置まで戻す工程、上下桟を付子ごと切断する工程、竪パネル材の端部に竪パネル材端部カバーを嵌めて、上下桟の切断面と竪パネル材端部カバーの端面をほぼ揃える工程、を含むパネル体の製造方法とすることで、当該課題を解決した。
【0005】
また、異なる形態として、本発明は、上桟と下桟を備え、上下にある付子の間に列設した複数の竪パネル材を有するパネル体を用意する工程、上下桟を切断する位置を決める工程、上下桟を付子からずらす工程、複数の竪パネル材を付子から取り外す工程、上下桟をずらす前の付子の位置まで戻す工程、上下桟を付子ごと切断する工程、取り外した一の竪パネル材を、切り縮め用竪パネル材とし、その幅寸法を竪パネル材端部カバーの幅寸法を考慮して切り縮める工程、切り縮めた竪パネル材を付子に戻す工程、切り縮めた竪パネル材の端部に竪パネル材端部カバーを嵌めて、上下桟の切断面と竪パネル材端部カバーの端面をほぼ揃える工程、を含むパネル体の製造方法とすることで、当該課題を解決した。
【発明の効果】
【0006】
状況に応じて、現場で、様々な幅寸法のパネル体を製造することができる。施工が楽になり、使い勝手が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】パネル体及びその構成部材の説明図である。(A)パネル体を2枚取り付けたフェンスの正面図である。(B)
図1(A)のa-a間の断面拡大図である。(C)端部竪パネル材の断面拡大図である。(D)中間部竪パネル材の断面拡大図である。(E)パネル体接合部の断面拡大図である。
【
図2】パネル体の縦断面図と、上桟の分解拡大図および下桟の分解拡大図である。
【
図3】実施態様1[上下桟及び付子のみ切断する態様]のパネル体の製造方法のうち、(A)第1工程から(D)第4A工程までの説明図である。
【
図4】実施態様1[上下桟及び付子のみ切断する態様]のパネル体の製造方法のうち、(E)第4B工程から(G)第6工程までの説明図である。
【
図5】実施態様1[上下桟及び付子のみ切断する態様]のパネル体の製造方法のうち、(H)第7工程の説明図である。
【
図6】竪パネル材端部カバーの説明図である。(A)竪パネル材端部カバーの横断面図である。(B)切断していない中間部竪パネル材に竪パネル端部キャップ材を取り付ける説明図である。(C)上桟端部キャップ材および下桟端部キャップ材の平面図である。
【
図7】竪パネル材端部カバーと切断されずに残された中間部竪パネル材との位置関係を示す説明図である。
図7(A)~
図7(C)になるにつれ、竪パネル材端部カバーに中間部竪パネル材が呑み込まれて行く様子を図示している。上下桟は説明のため図示していない。
【
図8】切断する位置の工夫例。(A)パネル体1の両端を切断する説明図である。(B)端部竪パネル材を利用する説明図である。(C)上桟端部キャップ材または下桟端部キャップ材の平面図である。
【
図9】実施態様2(竪パネル材を切断すると共に、上下桟及び付子を切断)のパネル体の製造方法のうち、(A)第1工程~(D)第4A工程までの説明図である。
【
図10】実施態様2(竪パネル材を切断すると共に、上下桟及び付子を切断)のパネル体の製造方法のうち、(E)第4B工程から(H)第6工程までの説明図である。
【
図11】実施態様2(竪パネル材を切断すると共に、上下桟及び付子を切断)のパネル体の製造方法のうち、(I)第8工程~第10工程までの説明図である。
【
図12】切断した中間部竪パネル材に竪パネル端部キャップ材を取り付ける説明図である。(A)パネル面部で切断した中間部竪パネル材に竪パネル材端部カバーを取り付ける説明図である。(B)切断した中間部竪パネル材の枠部を竪パネル材端部カバーの呑み込み部に呑み込ませた説明図である。(C)中間部竪パネル材の枠部で切断した中間部竪パネル材に竪パネル材端部カバーを取り付ける説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のパネル体1は、窓やフェンスなど様々な箇所で使われているものである。
以下、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【実施例0009】
(パネル体の全体構造)
図1はパネル体1及びその構成部材の説明図であり、
図1(A)はパネル体1を2枚取り付けたフェンスFの正面図である。フェンスFは、4mあり、実施例1では1枚2mのパネル体1を2枚使い、それぞれのパネル体1をパネル体接合部18で接合して構成されている。1枚、1枚のパネル体1は、複数の支柱4で支えられている。パネル体1は、上桟12と下桟13を有している。上桟12と下桟13の間には、竪パネル材11が複数枚取り付けられている。竪パネル材11と隣接する竪パネル材11の間には、通風できるように間隙16が設けられている。それぞれの竪パネル材11は、後に説明する上下一対ある付子14(図示せず)の間に列設されて付子14に固定されている。
【0010】
(竪パネル材)
図1(B)は、
図1(A)のa-a間の断面拡大図である。パネル体1を構成する竪パネル材11は、2種類あり、その一方は中間部竪パネル材111であり、他方は端部竪パネル材112である。中間部竪パネル材111と端部竪パネル材112は、共に中空部115を有する押し出し形材である。パネル体1と隣接するパネル体1は、パネル体接合部18で接合されている。パネル体接合部18は、それぞれのパネル体1の端部竪パネル材112が向き合って接合されている。
なお、パネル体1に取り付けられる竪パネル材11の数や幅寸法は、適宜決め得るものである。
【0011】
(端部竪パネル材)
図1(C)は端部竪パネル材112の断面拡大図であり、
図1(E)はパネル体接合部18の断面拡大図である。そして、枠部117は、中空部115を有しており、中空部115内にタッピングホール114を有している。タッピングホール114は、後述する付子14に端部竪パネル材112を固定するのに使われる。
端部竪パネル材112は、見込み面に係合突起181と突起受け部182を備えている。パネル体接合部18は、一方のパネル体1の端部竪パネル材112の係合突起181と他方のパネル体1の端部竪パネル材112の突起受け部182が係合する接合構造を有する。端部竪パネル材112は、中空部115の片側(係合突起181の設けられていない側)の見付け方向にパネル面部116を備えている。
【0012】
(中間部竪パネル材)
図1(D)は中間部竪パネル材111の断面拡大図である。中間部竪パネル材111の中空部115の見付面の両側は、パネル面部116となっている。中間部竪パネル材111は、端部竪パネル材112より幅が広く、枠部117内に形成された中空部115にタッピングホール114を有している。タッピングホール114は、後述する付子14に中間部竪パネル材111を固定するのに使われる。
(付子)
図2はパネル体1の縦断面図と、上桟12の分解拡大図および下桟13の分解拡大図である。上桟12は、下部が開放されており、解放された下部の短手方向の両端には、上桟付子スライド溝121が設けられている。下桟13は、上部が開放されており、解放された上部の短手方向の両端には、下桟付子スライド溝131が設けられている。上下にある付子14は、その間に列設した竪パネル材11(中間部竪パネル材111又は端部竪パネル材112)が取り付けられている。
【0013】
中間部竪パネル材111又は端部竪パネル材112は、
図1(C)または
図1(D)に図示されている通り、タッピングホール114が中空部115に形成されている。付子14は、予め決められた取り付け間隔で竪パネル材11が取付けられるよう、定められた位置に取付孔(図示せず)が形成されている。竪パネル材11のタッピングホール114と付子14に形成された取付孔は位置合わせされる。ビス15が、付子14の取付孔を通して竪パネル材11のタッピングホール114を固定することで、付子14と竪パネル材11は一体化する。
【0014】
また、付子14は、一対のガイド片141を長手方向に有している。竪パネル材11と一体化した付子14のガイド片141は、上桟12と下桟13の端部に露出している上桟付子スライド溝121と下桟付子スライド溝131と位置合わせされる。そして、上桟12と下桟13は、竪パネル材11と一体化した付子14に対してスライドされ、ガイド片141が上桟付子スライド溝121と下桟付子スライド溝131に嵌って行く。これにより、ビス15の頭は、上桟12と下桟13に呑み込まれ、竪パネル材11の締結固定部が隠される。
パネル体1は、工場で組み立てられ、パネル体1の現場設置作業が効率化される。
【0015】
(現場での切断されたパネル体の製造)
パネル体1を設置するに当たり、従来技術で説明したように敷地の形状や周囲の長さは様々であり、それに合わせて現場でパネル体1を切り縮める等の現場作業が必要となる。切り縮める長さに制限があると、思った長さにパネル体1を切ることができない。制限を守ってパネル体1を切り縮めた結果、竪パネル材11が嵌っていない箇所ができ、美観を損ねたりする。さらに、敷地の隅部など、フェンスFの方向を変える箇所で、方向の異なる2枚のパネル体1がきれいな角を作らず、一方のパネル体1が角から飛び出て配置されてしまうなどの不都合が生じる。
以下の実施態様は、パネル体1の切り縮める長さ制限をできる限り無くし、現場で施工する際の使い勝手をよくするものである。
【0016】
(実施態様1:上下桟及び付子のみ切断)
実施態様1は、竪パネル材11を切らないで、上下桟(12、13)と付子14のみ切り縮めることで、目的とする幅寸法のパネル体1の製造方法の態様である。
図3は実施態様1[上下桟(12、13)及び付子14のみ切断する態様]のパネル体1の製造方法のうち、(A)第1工程から(D)第4A工程までの説明図である。
なお、以下の説明では第1工程~第7工程までを順を追って説明するが、工程によっては、説明した順でなくてもよく、工程の順番を変更することが可能である。
【0017】
[第1工程]
図3(A)で示された第1工程は、工場で作られた、上桟12と下桟13を備え、上下にある付子14の間に列設した複数の竪パネル材11を有するパネル体1を作業現場に用意する工程である。
【0018】
[第2工程]
図3(B)で示された第2工程は、上下桟(12、13)を切断する位置C1を決める工程である。
図3(B)の一点鎖線が切断する位置C1を示している。作業者は、顧客と共に現場でフェンスFを設置する場所を決める。フェンスFを設置する場所が決まったら、作業者は、フェンスFを設ける一辺の長さを計測し、計測された長さに合わせて除去する竪パネル材11の枚数と、上下桟(12、13)と共に付子14を切断する位置C1を決める。
実施態様1は、竪パネル材11を切らないで、上下桟(12、13)と付子14のみ切り縮めるものであるため、中間部竪パネル材111と中間部竪パネル材111の間にできた間隙16の部分に切断する位置C1を定めている。
後述するように、実施態様1は、切断する位置C1を様々な工夫によりずらすことが可能であり、必ず間隙16の部分を切断する位置C1とする必要はない。
図3(B)で図示した切断する位置C1は一例に過ぎない。
【0019】
[第3工程]
図3(C)で示された第3工程は、上下桟(12、13)を付子14からずらす工程である。作業者は、第2工程で決めた切断する位置C1に照らし、不要となる竪パネル材11を固定しているビス15が露出するまで上下桟(12、13)をスライドさせる。付子14は、上下桟(12、13)がスライドすることで露出する。上下桟(12、13)は、上桟付子スライド溝121、下桟付子スライド溝131を有しており、付子14のガイド片141に沿って滑るようにスライドする。
【0020】
[第4A工程]
図3(D)で示された第4A工程は、不要となる竪パネル材11を取り外すために、付子14と竪パネル材11を締結固定しているビス15を取り外す工程である。
実施例では、竪パネル材11はビス15で付子14に固定されているが、必ずしもビス15で固定されている必要はない。取り外し可能な他の手段、例えば、弾性を利用してワンタッチで嵌合するなど適宜な変形例も本発明に包含される。
【0021】
図4は、実施態様1[上下桟(12、13)及び付子14のみ切断]のパネル体1の製造方法のうち、(E)第4B工程から(G)第6工程までの説明図である。
[第4B工程]
図4(E)で示された第4B工程は、ビス15が取り外された竪パネル材11を付子14から取り外す工程である。
【0022】
[第5工程]
図4(F)で示された第5工程は、上下桟(12、13)をずらす前の付子14の位置まで戻す工程である。
【0023】
[第6工程]
図4(G)で示された第6工程は、第2工程で決めた上下桟を切断する位置C1で、上下桟(12、13)を付子14ごと切断する工程である。竪パネル材11を切らなくて済むため非常に作業効率が上がり、使い勝手が良くなる。
【0024】
[第7工程]
図5は実施態様1[上下桟(12、13)及び付子14のみ切断]のパネル体1の製造方法のうち、(H)第7工程の説明図である。
図5(H)で示された第7工程は、竪パネル材端部カバー3は、切断されてない中間部竪パネル材111の端部に竪パネル材端部カバー3を嵌める。そして、上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3の端面をほぼ揃える。上桟端部キャップ材2Aと下桟端部キャップ材2Bは、必要に応じて取り付けることができる。
【0025】
(竪パネル材端部カバー)
図6は、竪パネル材端部カバー3と上下桟端部キャップ材(2A、2B)の説明図である。
図6(A)は竪パネル材端部カバー3の横断面図である。竪パネル材端部カバー3は、カバー枠部32を備えており、カバー枠部32の中空部にカバータッピングホール33を有している。また、竪パネル材端部カバー3は、呑み込み部31を有している。
【0026】
図6(B)は、切断していない中間部竪パネル材111に竪パネル材端部カバー3を取り付ける説明図である。作業者は、竪パネル材端部カバー3の呑み込み部31が中間部竪パネル材111のパネル面部116の端部を呑み込むように竪パネル材端部カバー3を取り付けることができる。
【0027】
(上桟端部キャップ材と下桟端部キャップ材)
図6(C)は、上桟端部キャップ材2Aおよび下桟端部キャップ材2Bの平面図である。上桟端部キャップ材2Aと下桟端部キャップ材2Bは必要に応じて設ける部材である。実施例では、上桟12と下桟13に同じ構造の部材を採用しているため、上桟端部キャップ材2Aと下桟端部キャップ材2Bの構造は全く同じものとなっている。上桟12と下桟13の構造が異なる場合は、上桟端部キャップ材2Aと下桟端部キャップ材2Bの構造は必ずしも同じとならない。
上桟端部キャップ材2Aと下桟端部キャップ材2Bを取り付ける目的は、様々である。
上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3がずれた場合、揃えるために上桟端部キャップ材2Aと下桟端部キャップ材2Bを取り付けることもできる。また、意匠的な観点から取り付けることもある。
【0028】
(切断位置の柔軟性)
実施態様1は、竪パネル材11を切らない態様のため、切断する位置C1を決めるのに制約を受ける。作業者は、第2工程において、この制約を考慮して上下桟(12、13)を切断する位置C1を決める必要がある。
図7は、竪パネル材端部カバー3と切断されずに残された中間部竪パネル材111との位置関係を示す説明図である。
図7(A)~
図7(C)になるにつれ、竪パネル材端部カバー3に中間部竪パネル材111が呑み込まれて行く様子を図示している。上下桟(12、13)は説明のため図示していない。
竪パネル材端部カバー3は、中間部竪パネル材111の一部呑み込む呑み込み代が設けられている。この呑み込み代を使って、上下桟(12、13)を切断する位置C1を動かすことができる。竪パネル材端部カバー3があるため、意匠的に違和感を与えることが無い。
【0029】
図8は切断する位置C1の工夫例であり、
図8(A)はパネル体1の両端を切断する説明図である。フェンスFを設置するに当たり、作業者は、切断幅2×Wの幅を切断したいと思っている。パネル体1の両端を切断すると、右端部切断幅Wと左端部切断幅Wの計2×Wの切断幅とすることができる。この場合、中間部竪パネル材111と中間部竪パネル材111の間隙16の箇所で切断することができ、中間部竪パネル材111を切断する必要が無くなり、実施態様1[上下桟(12、13)及び付子14のみ切断]で対応できるようになる。ところが、切断幅2×Wの幅をパネル体1の片端を切断することで行おうとすると、どうしても中間部竪パネル材111を切断せざるを得なくなる。上下桟(12、13)及び付子14のみ切断する実施態様1では、対応できなくなる。このように、両端を切断することにより、実施態様1の適用範囲は広がる。また、パネル体1の両端部を均等に幅W切断する態様を説明したが、パネル体1の両端部を不均等な幅で切断してもよく、このような工夫をすることにより実施態様1の適用範囲はさらに広がる。
【0030】
図8(B)は、端部竪パネル材112を利用する説明図である。作業者は、中間部竪パネル材111と端部竪パネル材112を付子14から取外し、作業者が決めた切断する位置C1で上下桟(12、13)及び付子14を切断する。再び端部竪パネル材112を戻す。このようにすることで、中間部竪パネル材111を切断しなくとも、パネル体1を中間部竪パネル材111の幅単位で切り縮めることができる。また、このとき、作業者は、竪パネル材端部カバー3を取り付けない選択をすることもでき、竪パネル材端部カバー3を取り付ける場合と取り付けない場合で切断する位置C1を更に調整できる。
【0031】
図8(C)は、竪パネル材端部カバー3を利用する説明図である。この例では、作業者は、端部竪パネル材112を除去する選択をしている。中間部竪パネル材111と端部竪パネル材112の幅寸法は異なっており、作業者はどちらを除去するか選択することで切断する位置C1を調整できる。また、
図8(C)では、竪パネル材端部カバー3を取り付けている。前述したように、作業者は、竪パネル材端部カバー3を付ける選択、付けない選択のいずれもでき、切断する位置C1を調整できる。
【0032】
実施態様1は、竪パネル材11を切らない態様のため、切り縮める位置に制約を受けるが、以上の例のように、様々な工夫で切断する位置C1を調整することができるため、大した制約とはならない。このように、実施態様1は、パネル体1をかなり自由に切り縮めることができ、パネル体1を施工しようとする作業者にとって、使い勝手がよい態様である。
【0033】
作業者は、竪パネル材端部カバー3を付けても上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3の端面をほぼ揃えることができるように、切断する位置C1を決めることができる。竪パネル材端部カバー3を付ける前、切断された上下桟(12、13)の切断面と残った竪パネル材11の端部の位置関係は、当該切断面が当該竪パネル材11の端部より飛び出るような位置関係となる。
このように実施例は、切断する位置C1の位置が工夫されているので、竪パネル材端部カバー3を取り付けても、竪パネル材端部カバー3が不自然に上下桟(12、13)の切断面より飛び出ることが無く、意匠的に優れたパネル体1を製造できる。
【0034】
従来の切り縮めを含むパネル体の製造方法で、竪パネル材端部カバー3を取り付けると不自然に上下桟(12、13)の切断面より飛び出ることがあった。これを防ぐには、上下桟(12、13)端部にスペーサーを取り付ける必要があった。実施例では、竪パネル材端部カバー3の取り付け代を考慮して切断する位置C1の位置が決められるため、スペーサーを取り付ける必要が無く、上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3の端面をほぼ揃えることができ、意匠的に優れたパネル体の製造ができる。そして、作業者は、竪パネル材端部カバー3を付ける、付けないという選択が増え、その選択により切断する位置C1を広い幅で動かすことができるようになった。
なお、作業者が、竪パネル材11を切断するという判断を下した場合は、以下の実施態様2に進むことになる。
【0035】
(実施態様2:竪パネル材を切断すると共に、上下桟と付子を切断)
実施態様2は、竪パネル材11を切断すると共に、上下桟(12、13)と付子14を切り縮めることで、目的とする幅寸法のパネル体1の製造方法の態様である。
実施態様2は、実施態様1の第1工程~第5工程の上下桟(12、13)をずらす前の付子14の位置まで戻す工程までは概ね同じであり、実施態様1の説明を援用する。
第1工程~第5工程で実施態様1と若干異なる点は、第2工程の上下桟(12、13)を切断する位置C1を決める工程である。実施態様1は、竪パネル材11を切断しない態様であるため、竪パネル材11を切断しなくてもよい位置を選択するという制約を受けていた。
実施態様2は、竪パネル材11を切断する態様であるため、上下桟(12、13)を切断する位置C1を決めるに当たり、作業者は、実施態様1のような制約を受けない。
【0036】
図9は、実施態様2(竪パネル材11を切断すると共に、上下桟(12、13)及び付子14を切断)のパネル体1の製造方法のうち、
図9(A)第1工程~
図9(D)第4A工程までの説明図である。
【0037】
[第1工程]第1工程は実施態様1と変わらない工程である。工場で作られた、上桟12と下桟13を備え、上下にある付子14の間に列設した複数の竪パネル材11を有するパネル体1を作業現場に用意する工程である。
【0038】
[第2工程]
図9(B)で示された第2工程は、実施態様1と大きく変わる。実施態様2は、竪パネル材11を切断すると共に、上下桟(12、13)及び付子14を切断する態様であるため、上下桟(12、13)及び付子14を切断する位置C1を決める制約がほとんどない。作業者は、顧客と共に現場でフェンスFを設置する場所を決める。フェンスFを設置する場所が決まったら、作業者は、フェンスFを設ける一辺の長さを計測し、計測された長さに合わせて除去する竪パネル材11の枚数と、パネル体1を切断する位置C1を決める。
【0039】
図9(B)に示されているように、切り縮め用竪パネル材111Aの竪パネル材切り縮め位置C2は、上下桟(12、13)及び付子14を切断する位置C1と同じ直線状にない。竪パネル材切り縮め位置C2は、切断する位置C1よりもパネル体1の内側になっている。作業者は、切り縮めた竪パネル材11の端部に竪パネル材端部カバー3を取り付けることを見込んで、竪パネル材切り縮め位置C2を決める。最終的に、作業者は、切り縮めた竪パネル材113の端部に竪パネル材端部カバー3を嵌めて、上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3の端面をほぼ揃える。
なお、作業者は、第2工程の時点で、竪パネル材切り縮め位置C2を決める必要はなく、
図10(H)の第7工程の切り縮め用竪パネル材111Aを、竪パネル材端部カバー3の幅寸法を考慮して切り縮める工程の直前までに決めればよい。
図9(B)では、説明のために敢えて竪パネル材切り縮め位置C2を、第2工程中に図示している。
【0040】
図9(B)に示されているように、切り縮め用竪パネル材111Aの竪パネル材切り縮め位置C2は、上下桟(12、13)及び付子14を切断する位置C1より内側にあり、切断する位置C1が飛び出た状態となる。竪パネル材端部カバー3の取り付け代が考慮されているため、スペーサーを使用することなく、竪パネル材端部カバー3を飛び出た付子14の下に嵌め、締結できる。
ところが、従来技術では、切り縮め用竪パネル材111Aの竪パネル材切り縮め位置C2は、上下桟(12、13)及び付子14を切断する位置C1と同じ直線状になっている。すなわち、切り縮めた竪パネル材113と上下桟(12、13)及び付子14の切断面が同面となる。この状態で竪パネル材端部カバー3を取り付けると、竪パネル材端部カバー3は付子14の切断面からはみ出してしまうため、締結できなくなる。そのため、作業者は、上下桟(12、13)と付子14の切断にスペーサーを取り付け、竪パネル材端部カバー3を締結するための作業が必須となっていた。実施態様2は、竪パネル材端部カバー3の取り付け代が考慮されて切断されるため、スペーサーを使用することなく、作業効率が向上し、使い勝手が良くなった。
【0041】
作業者は、第2工程で、除去される予定となっている竪パネル材11の中から切り縮め用竪パネル材111Aを選ぶ必要はなく、同じく第7工程の竪パネル材11を切り縮める工程を行うまでに選べばよい。
図9(B)では、説明のために敢えて第2工程で、切り縮め用竪パネル材111Aを選択している。実施例では中間部竪パネル材111はすべて同じ形状なので、取り外そうとする中間部竪パネル材111のどれを切り縮め用竪パネル材111Aとして選んでもよい。切り縮め用竪パネル材111Aは、中間部竪パネル材111である必要はなく、端部竪パネル材112を選んでもよい。
【0042】
前述の(切断位置の柔軟性)の項でも述べたように、切断する位置C1を様々な工夫により動かすことが可能であることは、実施態様1と同様である。作業者は、これらの工夫を考慮して切断する位置C1を決めることができる。
【0043】
[第3工程]
図9(C)で示された第3工程は、実施態様1と同様であり、上下桟(12、13)を付子14からずらす工程である。作業者は、第2工程で決めた切断する位置C1に照らし、不要となる竪パネル材11を固定しているビス15が露出するまで上下桟(12、13)をずらし(スライドさせ)、付子14の上面を露出させる。
【0044】
[第4A工程]
図9(D)で示された第4A工程は、実施態様1と同様であり、不要となる竪パネル材11を取り外すために、付子14と竪パネル材11を締結固定しているビス15を取り外す工程である。
実施例では、竪パネル材11はビス15で付子14に固定されているが、必ずしもビス15で固定されている必要はない。取り外し可能な他の手段も本発明に包含される。
【0045】
[第4工程]
図10(E)第4B工程から(H)第7工程までの説明図である。
図10(E)で示された第4B工程は、実施態様1と同じ工程であり、ビス15が取り外された竪パネル材11を付子14から取り外す工程である。このとき、複数の竪パネル材11が、付子14から取り外される。
【0046】
[第5工程]
次いで、
図10(F)で示された第5工程は、概ね実施態様1と同じ工程であり、上下桟(12、13)をずらす前の付子14の位置まで戻す工程である。実施態様1と異なる点は、切り縮め用竪パネル材111Aが残され、他の竪パネル材11は除去されることである。
第4B工程~次の第6工程が終わるまでの間に、作業者は、取り外した竪パネル材11の中から、切断する対象となる一の竪パネル材11を切り縮め用竪パネル材111Aとして残し、他の取り外した竪パネル材11を除去する。
【0047】
[第6工程]
図10(G)の第6工程は、実施態様1と同じく上下桟(12、13)を付子14ごと切断する工程である。
【0048】
[第7工程]
図10(H)の第7工程は、切り縮め用竪パネル材111Aを、竪パネル材端部カバー3の幅寸法を考慮して切り縮める工程である。この工程は、第2工程の上下桟を切断する位置を決める工程と同時に決めてもよく、切り縮める前であれば、工程の順番を問わない。
このとき、切り縮めた竪パネル材113にタッピングホール114が残るように切断する。
【0049】
[第8工程]
図11(I)の第8工程は、切り縮めた竪パネル材113を付子14に戻す工程である。上下桟(12、13)は再び付子14に対してスライドされる。切り縮めた竪パネル材113は、付子14に戻され、ビス15で締結される。
【0050】
[第9工程]
図11(J)の第9工程は、竪パネル材端部カバー3を用意し、切り縮めた竪パネル材113を付子14に嵌め込み、ビス15で締結する工程である。
【0051】
[第10工程]
図11(K)の第10工程で、上下桟(12、13)がスライドされ、上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3の端面をほぼ揃える工程である。
【0052】
前述の(切断位置の柔軟性)の項目で説明したように、上下桟(12、13)を切断する位置は、工夫をすることで調整することができ、実施態様2においても有効である。実施態様2は、竪パネル材11を切断するため、自由に上下桟を切断する位置を決めることができ、上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3をほぼ揃えることができる。
【0053】
(竪パネル材端部カバーの取り付け)
図12は、竪パネル材端部カバー3の説明図である。
図12(A)はパネル面部116で切断した中間部竪パネル材111に竪パネル材端部カバー3を取り付ける説明図である。中間部竪パネル材111の枠部117の図中右にあるパネル面部116が切断され短くなっている。切断したパネル面部116の切断面は、竪パネル材端部カバー3に呑み込まれ、切断面が隠される。
【0054】
図12(B)は、切断した中間部竪パネル材111の枠部117を竪パネル材端部カバー3の呑み込み部31に呑み込ませた説明図である。中間部竪パネル材111のパネル面部116は
図12(A)よりさらに短く切断される。切断されたパネル面部116は、中間部竪パネル材111の枠部117と共に竪パネル材端部カバー3の呑み込み部31に呑み込まれる。竪パネル材端部カバー3の呑み込み部31の幅寸法は、中間部竪パネル材111や端部竪パネル材112の枠部117を呑み込むことができる寸法になっている。
【0055】
図12(C)は、中間部竪パネル材111の枠部117で切断した中間部竪パネル材111に竪パネル材端部カバー3を取り付ける説明図である。中間部竪パネル材111のタッピングホール114は、付子14に切り縮めた中間部竪パネル材111を締結するために必要である。作業者は、タッピングホール114の手前まで、中間部竪パネル材111を切断することができる。付子14には、切断した中間部竪パネル材111のタッピングホール114と竪パネル材端部カバー3のカバータッピングホール33にビス15を打ち込むための孔がそれぞれ穿設される。
そして、作業者は、切断した中間部竪パネル材111と竪パネル材端部カバー3をビス15で付子14に固定する。作業者は、上桟12と下桟13を付子14に対してスライドさせ、切り縮められたパネル体1の製造を終える。
【0056】
以上のように、実施態様1および実施態様2のパネル体1の製造方法は、パネル体1を切り縮める制限を実質的になくし、作業者は自由な幅でパネル体1を切り縮めることを可能にした。
【0057】
(実施例の効果のまとめ)
フェンスFを施工するに当たり、パネル体1を切り縮めるだけであるなら、従来から行われていたが、竪パネル材11を切断するようなことは行われておらず、切り縮める寸法は常に制限を受けていた。実施例は、竪パネル材端部カバー3を嵌める、嵌めないという選択ができるため、切り縮める寸法の制限にゆとりが生じた。また、竪パネル材端部カバー3が呑み込む竪パネル材11の呑み込み代も調整でき、さらに、切り縮める寸法の制限にゆとり生むことができた。
実施態様2は、竪パネル材11を切断することで、さらに、切り縮める寸法の制限にゆとり生むことができた。
竪パネル材11と上下桟(12、13)を同じ切断線で切断した場合、切断した竪パネル材11の端部に竪パネル材端部カバー3を嵌めると、上下桟(12、13)と付子14の切断面より竪パネル材端部カバー3が飛び出てしまい、意匠面で劣ることとなる。しかも、付子14の端より竪パネル材端部カバー3が飛び出てしまうため、付子14に竪パネル材端部カバー3を締結することができず、作業者は、上下桟(12、13)の切断面に付子14の代わりとなるスペーサー(図示せず)など別の締結用部材を別途用意する必要が出てくる。
実施態様2は、竪パネル材端部カバー3を嵌めることを考慮して、切断する位置C1を決めるため、付子14の端より竪パネル材端部カバー3が飛び出てしまうことはなく、作業効率が向上し使い勝手を改善できた。
実施態様1では、竪パネル材端部カバー3を嵌めることを考慮して上下桟(12、13)を切断する位置C1を決めているため、竪パネル材端部カバー3が飛び出てしまう不都合は実施態様2と同様に生じない。
実施例は、スペーサーなどの別途の締結用部材が必要なく、切り縮める寸法の制限が緩和し、かつ、コストや意匠的にも優れたパネル体1の製造方法を提供するものである。そして、両態様とも、上下桟(12、13)の切断面と竪パネル材端部カバー3をほぼ揃えることができる。
【0058】
また、前述の実施例および実施態様は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。