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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023062987
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】コマ玩具及びコマ玩具セット
(51)【国際特許分類】
   A63H 1/00 20190101AFI20230427BHJP
   A63H 31/00 20060101ALI20230427BHJP
【FI】
A63H1/00 B
A63H31/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173209
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003584
【氏名又は名称】株式会社タカラトミー
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂東 陽平
【テーマコード(参考)】
2C150
【Fターム(参考)】
2C150DA33
2C150DA39
2C150DH03
2C150DJ06
2C150EA04
2C150EA05
2C150EC03
2C150EC18
(57)【要約】
【課題】動き回りに変化を持たせることができるコマ玩具及びコマ玩具セットを提供すること。
【手段】 長手方向に第1の歯が等間隔に複数形成された案内部材と一緒に使用され、且つ、軸部及び胴部から構成される本体を備えたコマ玩具であって、前記本体の外周には、前記第1の歯に噛合可能な第2の歯が等間隔で複数形成された歯形成部材を備える、ことを特徴とするコマ玩具である。これによれば、コマ玩具を案内部材に沿って効果的に移動させることができるとともに、第2の歯が第1の歯と噛合する分、動きに変化をもたらすことができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に第1の歯が等間隔に複数形成された案内面を有する案内部材と一緒に使用され、且つ、軸部及び胴部から構成される本体を備えたコマ玩具であって、
前記本体の外周には、前記第1の歯に噛合可能な第2の歯が等間隔で複数形成されている、
ことを特徴とするコマ玩具。
【請求項2】
前記第2の歯は歯形成部材に形成され、前記歯形成部材は、前記本体に対して動作可能に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のコマ玩具。
【請求項3】
前記歯形成部材は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられた歯車である、ことを特徴とする請求項2に記載のコマ玩具。
【請求項4】
前記本体と前記歯形成部材との間の動作抵抗となる抵抗手段を備える、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のコマ玩具。
【請求項5】
前記歯形成部材は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられた歯車であり、
前記抵抗手段は、常態では前記回転軸と前記歯車とを一体的に回転させるとともに、前記歯車に衝撃が作用したときに前記歯車を前記回転軸に対して相対回転させ、前記第2の歯と前記1の歯が噛合した状態では前記回転軸の回転に伴う前記歯車の回転によって前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、ことを特徴とする請求項4に記載のコマ玩具。
【請求項6】
前記抵抗手段はクラッチから構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載のコマ玩具。
【請求項7】
前記抵抗手段は、噛み合いクラッチから構成され、前記歯車の軸方向の一端に形成された第1の爪部と、前記回転軸と相対回転不可で、且つ、前記軸方向に移動可能に設けられ前記第1の爪部と噛合可能な第2の爪部が形成された爪部材と、前記本体に設けられ前記爪部材を前記第1の爪部に前記第2の爪部を噛合させる方向に付勢する板ばねと、を備え、半クラッチ状態で前記第2の歯と前記1の歯とを噛合させつつ前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする請求項6に記載のコマ玩具。
【請求項8】
前記抵抗手段は、前記板ばねに代えてコイルばねを備えた、ことを特徴とする請求項7に記載のコマ玩具。
【請求項9】
前記抵抗手段は、前記本体と前記歯車との間に構成される摩擦クラッチから構成され、半クラッチ状態で前記第2の歯と前記1の歯とを噛合させつつ前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする請求項6に記載のコマ玩具。
【請求項10】
前記抵抗手段は、機械式クラッチから構成され、凹凸から構成され前記歯車と一体的に回転する係合部と、前記係合部の半径方向外側に設けられ前記係合部の凹部と係合可能な突起が形成された弾性部材と、前記弾性部材の前記突起から離れた場所に当接部を有し、当該当接部への当接によって、前記凹部に前記突起を嵌合させる当接部材と、を備え、半クラッチ状態で前記第2の歯と前記1の歯とを噛合させつつ前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする請求項6に記載のコマ玩具。
【請求項11】
前記突起から互いに異なる距離に前記当接部が形成された交換可能な複数の前記当接部材を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のコマ玩具。
【請求項12】
請求項1~請求項11のいずれか一項に記載のコマ玩具と、前記案内部材が固定して設けられたコマ玩具遊戯台とを備えた、ことを特徴とするコマ玩具セット。
【請求項13】
案内部材と一緒に使用され、且つ、軸部及び胴部から構成される本体を備えたコマ玩具であって、
前記本体の外周に、前記案内部材の案内面と当接される第1の摩擦抵抗部を備える、
ことを特徴とするコマ玩具。
【請求項14】
前記第1の摩擦抵抗部は、前記本体に対して動作可能に設けられている、ことを特徴とする請求項13に記載のコマ玩具。
【請求項15】
前記第1の摩擦抵抗部は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられたローラである、ことを特徴とする請求項14に記載のコマ玩具。
【請求項16】
前記案内部材の案内面には、前記第1の摩擦抵抗部に当接する第2の摩擦抵抗部が形成されている、ことを特徴とする請求項13~請求項15のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項17】
前記本体と前記第1の摩擦抵抗部との間の動作抵抗となる抵抗手段を備える、ことを特徴とする請求項13~請求項16のいずれか一項に記載のコマ玩具。
【請求項18】
前記第1の摩擦抵抗部は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられたローラであり、
前記抵抗手段は、常態では前記回転軸と前記ローラとを一体的に回転させるとともに、前記ローラに衝撃が作用したときに前記ローラを前記回転軸に対して相対回転させ、前記ローラと前記案内部材が当接した状態では前記回転軸の回転に伴う前記ローラの回転によって前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、ことを特徴とする請求項17に記載のコマ玩具。
【請求項19】
前記抵抗手段はクラッチから構成されている、ことを特徴とする請求項18に記載のコマ玩具。
【請求項20】
前記抵抗手段は、噛み合いクラッチから構成され、前記ローラの軸方向の一端に形成された第1の爪部と、前記回転軸と相対回転不可で、且つ、前記軸方向に移動可能に設けられ前記第1の爪部と噛合可能な第2の爪部が形成された爪部材と、前記本体に設けられ前記爪部材を前記前記第1の爪部に前記第2の爪部を噛合させる方向に付勢する板ばねと、を備え、半クラッチ状態で前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする請求項19に記載のコマ玩具。
【請求項21】
前記抵抗手段は、前記板ばねに代えてコイルばねを備えた、ことを特徴とする請求項20に記載のコマ玩具。
【請求項22】
前記抵抗手段は、前記本体と前記ローラとの間に構成される摩擦クラッチから構成され、半クラッチ状態で前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする請求項19に記載のコマ玩具。
【請求項23】
前記抵抗手段は、機械式クラッチから構成され、凹凸から構成され前記ローラと一体的に回転する係合部と、前記係合部の半径方向外側に設けられ前記係合部の凹部と係合可能な突起が形成された弾性部材と、前記弾性部材の突起から離れた場所に当接部を有し、前記当接部への当接によって、前記凹部に前記突起を嵌合させる当接部材と、を備え、半クラッチ状態で前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする請求項19に記載のコマ玩具。
【請求項24】
前記突起から互いに異なる距離で前記当接部が形成された交換可能な複数の前記当接部材を有する、ことを特徴とする請求項23に記載のコマ玩具。
【請求項25】
請求項14~請求項24のいずれか一項に記載のコマ玩具と、前記案内部材が固定して設けられたコマ玩具遊戯台とを備えた、ことを特徴とするコマ玩具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコマ玩具及びコマ玩具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コマ玩具同士をバトルさせるため専用のコマ玩具遊戯台が用いられている(例えば、特許文献1)。
このコマ玩具遊戯台では、バトルフィールドの周囲に当該バトルフィールドを区画する突壁を設けている。そして、バトルフィールドに放たれたコマ玩具が動き回り壁に当たると、突壁に沿って移動したり、突壁で弾かれたりして再びバトルフィールドの中央に戻り、バトルを繰り広げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3092080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコマ玩具の動き回りの速さは、コマ玩具を解き放った直後が最大であり、その後は、概ね、回転エネルギーの減少に伴って減衰するだけであり、突壁に当たった場合でも、コマ玩具の回転に伴ってコマ玩具が突壁に沿って滑動し、ある程度動き回りの速さの変化はみられるが、予測しえる範囲で動き回るに過ぎなかった。
本発明は、斯かる実情に鑑み、動き回りに変化を持たせることができるコマ玩具及びコマ玩具セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段は、
長手方向に第1の歯が等間隔に複数形成された案内面を有する案内部材と一緒に使用され、且つ、軸部及び胴部から構成される本体を備えたコマ玩具であって、
前記本体の外周には、前記第1の歯に噛合可能な第2の歯が所定間隔で形成されている、
ことを特徴とするコマ玩具である。
【0006】
第2の手段は、第1の手段であって、
前記第2の歯は歯形成部材に形成され、前記歯形成部材は、前記本体に対して動作可能に設けられている、ことを特徴とする。
【0007】
第3の手段は、第2の手段であって、
前記歯形成部材は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられた歯車である、ことを特徴とする。
【0008】
第4の手段は、第2又は第3の手段であって、
前記本体と前記歯形成部材との間の動作抵抗となる抵抗手段を備える、ことを特徴とする。
【0009】
第5の手段は、第4の手段であって、
前記歯形成部材は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられた歯車であり、
前記抵抗手段は、常態では前記回転軸と前記歯車とを一体的に回転させるとともに、前記歯車に衝撃が作用したときに前記歯車を前記回転軸に対して相対回転させ、前記第2の歯と前記1の歯が噛合した状態では前記回転軸の回転に伴う前記歯車の回転によって前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、ことを特徴とする。
【0010】
第6の手段は、第5の手段であって、前記抵抗手段はクラッチから構成されている、ことを特徴とする。
【0011】
第7の手段は、第6の手段であって、
前記抵抗手段は、噛み合いクラッチから構成され、前記歯車の軸方向の一端に形成された第1の爪部と、前記回転軸と相対回転不可で、且つ、前記軸方向に移動可能に設けられ前記第1の爪部と噛合可能な第2の爪部が形成された爪部材と、前記本体に設けられ前記爪部材を前記第1の爪部に前記第2の爪部を噛合させる方向に付勢する板ばねと、を備え、半クラッチ状態で前記第2の歯と前記1の歯とを噛合させつつ前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする。
【0012】
第8の手段は、第7の手段であって、
前記抵抗手段は、前記板ばねに代えてコイルばねを備えた、ことを特徴とする。
【0013】
第9の手段は、第6の手段であって、
前記抵抗手段は、前記本体と前記歯車との間に構成される摩擦クラッチから構成され、半クラッチ状態で前記第2の歯と前記1の歯とを噛合させつつ前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする。
【0014】
第10の手段は、第6の手段であって、
前記抵抗手段は、機械式クラッチから構成され、凹凸から構成され前記歯車と一体的に回転する係合部と、前記係合部の半径方向外側に設けられ前記係合部の凹部と係合可能な突起が形成された弾性部材と、前記弾性部材の前記突起から離れた場所に当接部を有し、当該当接部への当接によって、前記凹部に前記突起を嵌合させる当接部材と、を備え、半クラッチ状態で前記第2の歯と前記1の歯とを噛合させつつ前記歯車を前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする。
【0015】
第11の手段は、第10の手段であって、
前記突起から互いに異なる距離に前記当接部が形成された交換可能な複数の前記当接部材を有する、ことを特徴とする。
【0016】
第12の手段は、
第1~第11の手段のいずれかのコマ玩具と、前記案内部材が固定して設けられたコマ玩具遊戯台とを備えた、ことを特徴とするコマ玩具セットである。
【0017】
第13の手段は、
案内部材と一緒に使用され、且つ、軸部及び胴部から構成される本体を備えたコマ玩具であって、
前記本体の外周に、前記案内部材の案内面と当接される第1の摩擦抵抗部を備える、
ことを特徴とするコマ玩具である。
【0018】
第14の手段は、第13の手段であって、
前記第1の摩擦抵抗部は、前記本体に対して動作可能に設けられている、ことを特徴とする。
【0019】
第15の手段は、第14の手段であって、
前記第1の摩擦抵抗部は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられたローラである、ことを特徴とする。
【0020】
第16の手段は、第13~第15の手段のいずれかであって、
前記案内部材の案内面には、前記第1の摩擦抵抗部に当接する第2の摩擦抵抗部が形成されている、ことを特徴とする。
【0021】
第17の手段は、第13~第16の手段のいずれかであって、
前記本体と前記第1の摩擦抵抗部との間の動作抵抗となる抵抗手段を備える、ことを特徴とする。
【0022】
第18の手段は、第17の手段であって、
前記第1の摩擦抵抗部は、前記本体と一体的に回転する回転軸に設けられたローラであり、
前記抵抗手段は、常態では前記回転軸と前記ローラとを一体的に回転させるとともに、前記ローラに衝撃が作用したときに前記ローラを前記回転軸に対して相対回転させ、前記ローラと前記案内部材が当接した状態では前記回転軸の回転に伴う前記ローラの回転によって前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、ことを特徴とする。
【0023】
第19の手段は、第18の手段であって、前記抵抗手段はクラッチから構成されている、ことを特徴とする。
【0024】
第20の手段は、第19の手段であって、
前記抵抗手段は、噛み合いクラッチから構成され、前記ローラの軸方向の一端に形成された第1の爪部と、前記回転軸と相対回転不可で、且つ、前記軸方向に移動可能に設けられ前記第1の爪部と噛合可能な第2の爪部が形成された爪部材と、前記本体に設けられ前記爪部材を前記前記第1の爪部に前記第2の爪部を噛合させる方向に付勢する板ばねと、を備え、半クラッチ状態で前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする。
【0025】
第21の手段は、第20の手段であって、
前記抵抗手段は、前記板ばねに代えてコイルばねを備えた、ことを特徴とする。
【0026】
第22の手段は、第19の手段であって、
前記抵抗手段は、前記本体と前記ローラとの間に構成される摩擦クラッチから構成され、半クラッチ状態で前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする。
【0027】
第23の手段は、第19の手段であって、
前記抵抗手段は、機械式クラッチから構成され、凹部から構成され前記ローラと一体的に回転する係合部と、前記係合部の半径方向外側に設けられ前記凹部と係合可能な突起が形成された弾性部材と、前記弾性部材の突起から離れた場所に当接部を有し、前記当接部への当接によって、前記凹部に前記突起を嵌合させる当接部材と、を備え、半クラッチ状態で前記ローラを前記案内部材に沿って転動させる、
ことを特徴とする。
【0028】
第24の手段は、第23の手段であって、
前記突起から互いに異なる距離で前記当接部が形成された交換可能な複数の前記当接部材を有する、ことを特徴とする。
【0029】
第25の手段は、
第13~第24の手段のいずれかのコマ玩具と、前記案内部材が固定して設けられたコマ玩具遊戯台とを備えた、ことを特徴とするコマ玩具セットである。
【発明の効果】
【0030】
第1の手段によれば、第2の歯が第1の歯と噛合したとき、滑動させることなくコマ玩具を案内部材に沿って転動させるので、効果的に移動させることができる。また、第2の歯車が本体に固定されている場合には、第2の歯と第1の歯との噛合により、コマ玩具の回転が案内部材に伝達されコマ玩具の移動を急激に加速させることができる。このように、第2の歯が第1の歯と噛合する分、動きに変化をもたらすことができる。
【0031】
第2の手段によれば、第2の歯が案内部材に当接されたとき、弾かれ難く、第2の歯と第1の歯との噛合がし易くなる。
【0032】
第3の手段によれば、歯形成部材が第1の歯が回転軸に設けられた歯車であるので、歯形成部材の構成が簡単となるとともに、その取り付け構造も簡素なものとなる。また、歯車であるためコマ玩具の動力を利用し易い。
【0033】
第4の手段によれば、抵抗手段が設けられているため、コマ玩具の回転が歯形成部材を介して案内部材の第1の歯に伝達されコマ玩具の動き周りの速度を増大させることができる。
【0034】
第5の手段によれば、歯車が案内部材に衝突したときに歯車が回転軸に対して衝撃を緩和させる方向に回転するので、第1の歯が第2の歯と噛合し易くなる。また、第1の歯と第2の歯との噛合の後には、第1の歯が回転軸の回転に伴って回転することにより、コマ玩具の動き回りの速さが増大することとなる。
【0035】
第6の手段によれば、クラッチの働きによって、第1の歯と第2の歯とが容易に噛合し、コマ玩具の動き回りの速さを増大させることができる。
【0036】
第7の手段によれば、歯車が案内部材に衝突したときに板ばねの付勢力に抗して歯車を回転軸に対して衝撃を緩和させる方向に回転させるので、効果的に衝撃が吸収され、第1の歯が第2の歯と噛合し易くなる。また、第1の歯が第2の歯との噛合後には、歯車が回転軸の回転に伴って回転することにより、コマ玩具の動き回りの速さが増大することとなる。
【0037】
第8の手段によれば、歯車が案内部材に衝突したときにコイルばねの付勢力に抗して歯車を回転軸に対して衝撃を緩和させる方向に回転させるので、第7の手段と同様の効果を得ることができる。
【0038】
第9の手段によれば、歯車が案内部材に衝突したときに摩擦クラッチが歯車を回転軸に対して衝撃を緩和させる方向に回転させるので、第7の手段と同様の効果を得ることができる。
【0039】
第10の手段によれば、歯車が案内部材に衝突したときに弾性部材が弾性変形して歯車を回転軸に対して衝撃を緩和させる方向に回転させるので、第7の手段と同様の効果を得ることができる。
【0040】
第11の手段によれば、当接部材の交換によりコマ玩具の特性を変更することができる。
すなわち、突起から比較的に遠い距離に当接部が形成された当接部材を用いる場合には、
回転軸と歯車との間の動作抵抗が小さくなり、また、突起から比較的に近い距離に当接部が形成された当接部材を用いる場合には、回転軸と歯車との間の動作抵抗が大きくなる。
【0041】
第12の手段によれば、第1~第11の手段のコマ玩具の機能を有効に発揮させるコマ玩具セットが実現できる。
【0042】
第13の手段によれば、第1の摩擦抵抗部が案内部材と当接したとき、コマ玩具を案内部材に沿って転動させるので、効果的に移動させることができる。また、第1の摩擦抵抗部が本体に固定されている場合には、第1の摩擦抵抗部と案内部材との当接により、コマ玩具の回転が案内部材に伝達されコマ玩具の移動を加速させることができる。このように、第1の摩擦抵抗部と案内部材とが当接する分、動きに変化をもたらすことができる。
【0043】
第14の手段によれば、第1の摩擦抵抗部が案内部材に当接されたとき、弾かれ難く、第1の摩擦抵抗部と案内部材との当接がし易くなる。
【0044】
第15の手段によれば、第1の摩擦抵抗部が回転軸に設けられたローラであるので、その構成が簡単となるとともに、その取り付け構造も簡素なものとなる。また、ローラであるためコマ玩具の動力を利用し易い。
【0045】
第16の手段によれば、第1の摩擦抵抗部が案内部材の第2の摩擦抵抗部と当接するので、よりグリップ力が増し、ローラが転動し易くなる。
【0046】
第17の手段によれば、抵抗手段が設けられているため、コマ玩具の回転が第1の摩擦抵抗部を介して案内部材に伝達されコマ玩具の動き周りの速度を増大させることができる。
【0047】
第18の手段によれば、ローラが案内部材に衝突したときにローラが衝撃を緩和させる方向に回転するので、ローラが案内部材と当接し易くなる。また、ローラと案内部材との当接後には、ローラが回転軸の回転に伴って回転することにより、コマ玩具の動き回りの速さが増大することとなる。
【0048】
第19の手段によれば、クラッチの働きによって、第1の摩擦抵抗部と第2の摩擦抵抗部とが容易に当接し、コマ玩具の動き回りの速さを増大させることができる。
【0049】
第20の手段によれば、ローラが案内部材に衝突したときに板ばねの付勢力に抗してローラが衝撃を緩和させる方向に回転するので、ローラと案内部材と当接し易くなる。また、ローラと案内部材との当接後には、ローラが回転軸の回転に伴って回転することにより、コマ玩具の動き回りの速さが増大することとなる。
【0050】
第21の手段によれば、ローラが案内部材に衝突したときにコイルばねの付勢力に抗してローラが衝撃を緩和させる方向に回転するので、第20の手段と同様の効果を得ることができる。
【0051】
第22の手段によれば、ローラが案内部材に衝突したときに摩擦クラッチがローラを衝撃を緩和させる方向に回転させるので、第20の手段と同様の効果を得ることができる。
【0052】
第23の手段によれば、ローラが案内部材に衝突したときに弾性部材が弾性変形して歯車を回転軸に対して衝撃を緩和させる方向に回転させるので、第20の手段と同様の効果を得ることができる。
【0053】
第24の手段によれば、当接部材の交換によりコマ玩具の特性を変更することができる。
すなわち、突起から比較的に遠い距離に当接部が形成された当接部材を用いる場合には、
回転軸とローラとの間の動作抵抗が小さくなり、また、突起から比較的に近い距離に当接部が形成された当接部材を用いる場合には、回転軸とローラとの間の動作抵抗が大きくなる。
【0054】
第25の手段によれば、第13~第24の手段のコマ玩具の機能を有効に発揮させるコマ玩具セットが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】実施形態のコマ玩具セットの斜視図である。
図2】コマ玩具遊戯台の分解斜視図である。
図3】留め具の斜視図である。
図4】コマ玩具の分解斜視図である。
図5】コマ玩具の軸部を上面側から見た分解斜視図である。
図6】軸部を下面側から見た分解斜視図である。
図7】軸固定部材を下面側から見た斜視図である。
図8】コマ玩具の動作を示す図である。
図9】他の軸部の斜視図である。
図10】他の軸部を上面側から見た分解斜視図である。
図11】他の軸部を下面側から見た分解斜視図である。
図12】他のコマ玩具の斜視図である。
図13】他のコマ玩具を上面側から見た分解斜視図である。
図14】他のコマ玩具を下面側から見た分解斜視図である。
図15】交換可能な3つの上板の下面図である。
図16】一の上板の係合突起と係合部との関係を示す図である。
図17】軸部の変形例の斜視図である。
図18】軸部の変形例を上面側から見た状態の分解斜視図である。
図19】軸部の変形例を下面側から見た状態の分解斜視図である。
図20】他のコマ玩具の分解斜視図である。
図21】他のコマ玩具の軸部を上面側から見た分解斜視図である。
図22】他のコマ玩具の軸部を下面側から見た分解斜視図である。
図23】実施形態の他のコマ玩具セットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の実施形態のコマ玩具セットについて説明する。
【0057】
図1は、実施形態のコマ玩具セット100の斜視図である。
本実施形態のコマ玩具セット100は、コマ玩具1と、コマ玩具同士をバトルさせるためのコマ玩具遊戯台9とを備えている。
【0058】
《コマ玩具遊戯台9》
図2は、コマ玩具遊戯台9の分解斜視図、図3は、留め具97の斜視図である。
コマ玩具遊戯台9は、全体として、平面視略正方形で箱状となっており、コマ玩具1のバトルフィールド92を構成するベース盤90と、ベース盤90に対して着脱可能なカバー体91と、ベース盤90にカバー体91を固定するための留め具97(図3参照)とを備えている。
【0059】
ベース盤90は、平面視略正方形で1つの角隅が欠損した形状となっている。ベース盤90は所定の厚さを有し、上面が椀状の凹面となっており、その中央部分がバトルフィールド92を構成している。そして、ベース盤90の凹面内には、バトルフィールド92を区画するように水平方向に延びる帯状の案内部材93が2組設けられている。各組の案内部材93は、平面視でC字状に形成され、内面には歯が長手方向に等間隔に形成されている。2組の案内部材93は、C字の凹み部分が互いに対向するように設置され、各組の案内部材93の両端部はバトルフィールド92の中心側に向けて延在している。これにより、コマ玩具1を案内部材93に沿って加速させながら移動させ、中心にとどまっている他のコマ玩具に衝突するよう誘導することができる。
また、ベース盤90の3つの角隅にはそれぞれ段部94が形成されている。段部94には矩形孔94aが形成されている。
【0060】
カバー体91も、また、平面視略正方形となっている。カバー体91は、所定の厚さを有し、平面視でベース盤90の外周部の側方及び上方を覆う形となっている。カバー体91の上面には円形の窓91aが形成され、ベース盤90に装着された状態では、この窓91aからバトルフィールド92を直接視認可能となっている。
なお、カバー体91には、ベース盤90の3つの角隅に対応する部分に段部95が形成されている。段部95には矩形孔95aが形成されている。そして、カバー体91がベース盤90に装着された状態では、段部95と段部94とが重畳され、矩形孔95aと矩形孔94aとが上下で合致する。
カバー体91のうち、段部95が形成されていない角隅96は、ベース盤90から外方且つ下方に傾斜して張り出した状態となっている。この角隅96に、バトルで弾かれベース盤90から飛び出したコマ玩具1が当たった場合、ベース盤90の外に排出される。
【0061】
図3は、留め具97の斜視図である。
留め具97は、雌具98と雄具99とから構成されている。
雌具98は、筒状部98aを備え、筒状部98aの外周下端直上には鍔部98bが形成されている。雌具98は、カバー体91をベース盤90に固定する際に、鍔部98bが段部95の矩形孔95aの縁に上から当てられる。
雄具99は、矩形トレイ状の基体99aの凹部に一対の爪99bが立設された構造を有している。
そして、雄具99は、カバー体91をベース盤90に固定する際に、基体99aの縁が段部94の矩形孔94aの縁に下から当てられるとともに、爪99bが雌具98の筒状部98aの孔内に下から挿入され、筒状部98aの上端に係合される。これにより、カバー体91がベース盤90に固定される。
【0062】
≪コマ玩具1≫
図4は、コマ玩具1の分解斜視図である。
このコマ玩具1は、大別して、胴部10と軸部50とを備えている。
【0063】
〈胴部10〉
胴部10は、上胴部20と下胴部30とから構成されている。
【0064】
1.上胴部20
上胴部20は、複合体で円盤状に構成されている。上胴部20は、平面視で、円形の中央部22と環状の外周部23との間が環状溝25で仕切られ、環状溝25の底には部分的に弧状のスリット26が2つ形成されている。2つのスリット26は、軸心に対して互いに点対称となる位置に形成されている。
さらに、上胴部20の下面にはL字状の外向きの結合爪27が2つ形成されている。2つの結合爪27は、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。
【0065】
2.下胴部30
下胴部30は、複合体で円盤状に構成されている。下胴部30は、平面視で、円形の中央部32と環状の外周部33との間が環状溝35で仕切られ、環状溝35の底には略弧状のスリット36が2つ形成されている。2つのスリット36は、軸心に対して互いに点対称となる位置に形成されている。なお、環状溝35は上記環状溝25よりも広幅となっている。
また、各スリット36の円周方向一端部の外縁には、上胴部20の結合爪27と係合して上胴部20と下胴部30を結合させる結合爪(図示せず)が形成され、また、各スリット36の円周方向他端部の外縁には、後述の嵌合凹部53gと嵌合して下胴部30と軸部50を結合させる嵌合凸部37bとが形成されている。なお、2つの当該結合爪(図示せず)は、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられているとともに、2つの嵌合凸部37bは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。
【0066】
(軸部50)
図5は、コマ玩具1の軸部50を上面側から見た分解斜視図、図6は、軸部50を下面側から見た分解斜視図である。
回転軸51は、逆円錐台状の先細りの軸先51aと、軸先51aに連設された軸本体51bとを備える。軸先51aの上端径は軸本体51bの径よりも大きく、軸先51aの上端は軸本体51bから環状に外方に張り出している。
軸本体51bの上端部にはDカット部51cが2つ形成されている。2つのDカット部51cは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。
この回転軸51は、歯車52の孔52aと、カバー体53の孔53aと、爪部材54の孔54aとを下方から通された軸本体51bの上端部が軸固定部材55の嵌合孔55aに嵌合されることによって、軸固定部材55に固定されている。
【0067】
歯車52は案内部材93の歯に噛合可能となっており、回転軸51の軸先51aの上端の環状張出し部に下方から支持されている。この歯車52の上端面には噛合爪52bが円周方向に等間隔に複数形成されている。
【0068】
カバー体53は深丸皿状に形成され、底部に歯車52の上端部が嵌まり込む孔53aが形成されている。カバー体53の上端には外向フランジ53bが形成されている。外向フランジ53bには嵌合突起53cが外方に張り出すように2つ形成されている。2つの嵌合突起53cは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。この嵌合突起53cには嵌合凹部53gが形成されている。そして、嵌合突起53cは、嵌合凹部53gと嵌合凸部37bとが嵌合されるようにして、スリット36に嵌まり込む。これにより、軸部50と下胴部30とが結合されている。
また、カバー体53の内部には、ねじ孔付きのボス53dが2つ形成されている。2つのボス53dは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。
さらに、カバー体53の内面には、後述の嵌合突起54cが嵌合される嵌合凹部53eが円周方向に等間隔で4つ形成されている。
【0069】
爪部材54は、円板状に形成され、下面には、歯車52の噛合爪52bに噛合可能な噛合爪54bが円周方向に複数形成されている。また、爪部材54の外周部には、上記嵌合凹部53eに遊嵌される嵌合突起54cが外方に張り出すように4つ形成されている。なお、爪部材54と噛合爪52bとは噛み合いクラッチを構成している。この噛み合いクラッチは、半クラッチ状態で歯車52を案内部材93に沿って転動させる。
【0070】
軸固定部材55は、有天円筒状に構成されている。この軸固定部材55は、カバー体53の内側に嵌り込み、当該カバー体53との間で爪部材54を内部に収容する。軸固定部材55の天板55b下の円筒部55cには、爪部材54の各嵌合突起54cが嵌まり込む4つの切欠き55dが形成され、爪部材54が所定範囲で上下動可能となっている。
軸固定部材55の天板55bの外周部は円筒部55cの外周から環状に張り出している。この張出し部には弧状の切欠き55eが2つ形成されている。2つの切欠き55eは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。各切欠き55eはボス53dの外周部に当接される。
さらに、図7に示すように、軸固定部材55の天板55bには切り曲げした形の板ばね55fが円周方向に等間隔で3つ設けられている。この板ばね55fは爪部材54を下方に押圧し、噛合爪54bを噛合爪52bに押し付ける働きをする。
【0071】
軸固定部材55の上には円板状の上板57が設けられている。
上板57は、軸部50の上面を形成するもので、上記ボス53dに対応する部分にねじ挿通孔57aが形成されている。
そして、ねじ挿通孔57aに雄ねじ(図示せず)の軸部を上から通し、この雄ねじをボス53dの雌ねじに螺合させることにより、上板57はカバー体53に固定されている。
【0072】
〈コマ玩具1の組立て方法〉
上胴部20と下胴部30を軸方向から突き合わせ、上胴部20の結合爪27を上方から下胴部30のスリット36に挿入する。そして、上胴部20を下胴部30に対して時計方向に回転させる。これにより、上胴部20の結合爪27を下胴部30の結合爪(図示せず)に係合させて、上胴部20と下胴部30とを結合させる。
次に、上胴部20が取り付けられた下胴部30と軸部50とを軸方向から突き合わせ、嵌合凹部53gと嵌合凸部37bとが嵌合されるようにして、嵌合突起53cをスリット36に嵌め込む。これにより、軸部50と下胴部30とが結合される。
【0073】
〈コマ玩具1の回転付勢〉
コマ玩具1の回転付勢は、ランチャ(図示せず)によってなされる。ランチャは、上胴部20のスリット26に挿入されるフォークと、フォークを回転動作させる回転機構とを備える。そして、フォークを上胴部20のスリット26に挿入し、回転機構でフォークを回転動作させることにより、コマ玩具1を回転付勢する。回転付勢されたコマ玩具1は、ランチャから放たれる。
【0074】
〈動作〉
コマ玩具1はバトルフィールド92に放たれると、コマ玩具1の回転方向とは逆の方向に反動で動き回る。このとき、歯車52が回転軸51と一体回転する。そして、この動き回りによってコマ玩具1の歯車52が案内部材93に当たる。このときの衝撃力によって、回転軸51に対して歯車52が板ばね55fの付勢力に抗して相対回転して衝撃を緩和させる。これによって、コマ玩具1が案内部材93の近くに一時的に留まり易くなり、歯車52が案内部材93の歯に噛合する確率が上がることになる。そして、コマ玩具1は、図8に示すように、歯車52と案内部材93の歯との噛合したときには、半クラッチ状態で歯車52を回転軸51の回転に伴って回転させて案内部材93に沿って動き、コマ玩具1の移動が加速される。つまり、コマ玩具1の回転が案内部材9に伝達しやすくなりコマ玩具1の移動を加速させることができる。
【0075】
≪他の軸部50A≫
図9は他の軸部50Aの斜視図、図10は他の軸部50Aを上面側から見た分解斜視図、図11は他の軸部50Aを下面側から見た分解斜視図である。なお、軸部50Aにおいて、上記軸部50の構成要素に相当する部分には同一符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0076】
この軸部50Aが、上記軸部50と大きく異なるのは、軸部50では、噛合爪54bの噛合爪52bへの押し付けを板ばね55fにて行っていたのに対して、軸部50Aでは、噛合爪54bの噛合爪52bへの押し付けをコイルばね62によって行っている点である。
【0077】
このような構成とするため、軸部50Aでは、爪部材54と軸固定部材55との間に押圧板61を設けている。
押圧板61は円板状に構成され、中央には回転軸51の軸本体51bが挿通される孔61aが形成されている。また、押圧板61の上面には軸心に対する点対称位置にガイド棒61bが立設され、このガイド棒61bが、軸固定部材55のガイド孔55gと、上板57のガイド孔57bとに挿入されている。そして、各ガイド棒61bにはコイルばね62が巻回され、押圧板61が爪部材54を歯車52側に向けて付勢している。なお、ガイド棒61bを上から押さえ付け、爪部材54の上動を規制するパーツを設け、爪部材54と噛合爪54bの噛み合いクラッチの強さを調整することができる。
また、押圧板61には切欠き61cが2つ形成されている。2つの切欠き61cは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。各切欠き61cはボス53dの外周部に当接されている。
【0078】
その他、この軸部50Aは、嵌合突起53cやねじ挿通孔55hが軸固定部材55に設けられている点等、細かい点で軸部50と異なっているが、概ね、同じ構造となっている。
このように構成された軸部50Aを持つコマ玩具によれば、コマ玩具1と同様の作用、効果を奏する。
【0079】
《他のコマ玩具1A》
図12は他のコマ玩具1Aの斜視図、図13は、他のコマ玩具1Aを上面側から見た分解斜視図、図14は、他のコマ玩具1Aを下面側から見た分解斜視図である。
【0080】
このコマ玩具1Aの回転軸71は、円柱状で大径の軸先71aと、軸先71aに連設された軸本体71bとを備える。
軸本体71bの上端部にはDカット部71cが2つ形成されている。2つのDカット部71cは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。
そして、回転軸71の軸本体71bは、歯車72の孔72aと、カバー体73の孔73aとに下方から通され、上端部が軸固定部材74の下面の嵌合孔74iに嵌合されている。
【0081】
歯車72の上端部外周には、円周方向全周に亘って形成された波形の凹凸部からなる係合部72bが形成されている。
また、歯車72の上面凹部内には筒部が立設され、この筒部によって嵌合凹部72cが形成されている。
【0082】
カバー体73は深丸皿状に形成されている。カバー体73の上端には外向フランジ73bが形成されている。
また、カバー体73の内部には、ボス73cが2つ設けられている。2つのボス73cは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。各ボス73cには、ねじ挿通孔73dが形成されている。
また、外向フランジ73bの内端部分で各ボス73の外方には、円弧状の切欠き73eが形成されている。
さらに、外向フランジ73bの内端部分で各切欠き73dとは円周方向に90度離れた部分に、他の切欠き73fが形成されている。各切欠き73fは、外向フランジ73b下の部分に亘って設けられている。なお、2つの切欠き73fは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。
【0083】
軸固定部材74は、板状に構成され、平面視で略矩形の基体74bを備える。
基体74bの外側には、各切欠き73eに対応して2つの舌片74cが付設されるとともに、両端が各舌片74cに連結された2つのベルト状の弾性片74dが付設されている。各舌片74cには、ねじ挿通孔74eが形成されている。また、各弾性片74dの内面の長手方向中央には係合突起74fが形成されている。この弾性片74dと係合部72bとは、機械式クラッチを構成している。この機械式クラッチは、半クラッチ状態で歯車72を案内部材93に沿って転動させる。
さらに、基体74bの下面には、上記嵌合凹部72cの内側に嵌まり込む嵌合凸部74hが形成され、この嵌合凸部74hには、回転軸71の軸本体71bの上端部が嵌まり込む嵌合孔74iが形成されている。
また、基体74bの上面には円形凹部74gが形成され、その中央には座繰り孔74jが形成されている。そして、座繰り孔74jには、上方から雄ねじ(図示せず)の軸部が通され、当該雄ねじは回転軸51の軸本体51bの雌ねじ(図示せず)に螺合されている。
【0084】
円板75は、基体74aの上面の円形凹部74gに嵌合する。
また、円板75の上に設けられる蓋体76は略円板状に形成されている。蓋体76には、上記各ボス73cに対応して2つのねじ孔付きのボス76aが付設されるとともに、上記各切欠き73fに対応して2つの切欠き76bが形成されている。そして、カバー体73のねじ挿通孔73dと、軸固定部材74のねじ挿通孔74eとに下方から通された雄ねじ(図示せず)がボス76aの雌ねじ(図示せず)に螺合している。この蓋体76がカバー体73に取り付けられた状態では、切欠き76bと切欠き73fとの間に所定の隙間が形成される。
【0085】
上板77は、円盤状に形成され、上面中央には平面視で略6角形状の凸部77aが形成されている。凸部77aの中央には、雌ねじが形成された孔77bが形成され、雌ねじにはボルト78が螺合されている。
また、上板77の下面には、上記各切欠き76bに対応して2つのL字状の外向爪77cが形成されている。2つの外向爪77cは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。各外向爪77cの内側には当接突起77dが形成されている。この上板77は、切欠き76bと切欠き73fとの間の隙間に外向爪77cが挿入され、その外向爪77cが切欠き73fの縁に係合することによって、カバー体73に取り付けられる。
【0086】
図15(A)~(C)には、外向爪77cに対して当接突起77dの形成位置が互いに異なる3つの上板77A,77B,77Cが示されている。
この3つの上板77A,77B,77Cでは、当接突起77dの形成位置が円周方向で異なっている。また、上板77の当接突起77dが軸固定部材74の弾性片74dに当接して、弾性片74dの係合突起74fが歯車72の係合部72bに確実に係合するように、上板77A,77B,77Cの当接突起77dの長さも異なっている。この3つの上板77A,77B,77Cは交換可能に構成されている。そして、この上板77A,77B,77Cの交換によって、当接突起77dと弾性片74dとの当接位置を変更することができる。
【0087】
図16は、上板77Aを用いた場合の係合突起74fと係合部72bとの関係を示す図である。
同図に示すように、上板77Aの当接突起77dが軸固定部材74の弾性片74dに当接することで、弾性片74dの係合突起74fが歯車72の係合部72bに係合する。この場合、当接突起77cと弾性片74dとの当接位置が変更されると、係合突起74fの係合部72bへの押し付け力が変化する。したがって、上板77A,77B,77Cの交換によって、機械式クラッチの作動タイミングを変え、コマ玩具1Aの動き回り特性を変えることができる。
すなわち、係合突起74fから比較的に遠い距離に当接突起(当接部)77dが形成された当接部材77Aを用いる場合には、弾性片74dが変形し易いので、歯車72の歯と案内部材93の歯とが噛合し易くなり、また、係合突起74fから比較的に近い距離に当接突起(当接部)77dが形成された当接部材77Cを用いる場合には、噛合はし難いが歯車72の歯と案内部材93の歯とが噛合した後はコマ玩具1Aの動き回り速度を増大し易くなる。
【0088】
このコマ玩具1Aは、上記コマ玩具1を付勢するランチャとは異なるランチャによって回転付勢され、コマ玩具1と同様の作用、効果を奏する。
【0089】
〈変形例の軸部50B〉
図17は変形例である軸部50Bの斜視図、図18は、軸部50Bを上面側から見た状態の分解斜視図、図19は、軸部50Bを下面側から見た状態の分解斜視図である。
この変形例の軸部50Bでは、回転軸81は、軸本体81aと、軸先部材81bとを備える。
軸本体81aは円柱状で大径に形成され、下端部には外向フランジ81cが形成されている。外向フランジ81cの下端部分は、外周面に凹凸が形成された嵌合部81dとなっている。
一方、軸先部材81bの下部には、接地部となる円柱状の小突起81eが形成され、その上の部分は大径の有底円筒部81fとなっている。この有底円筒部81fの凹部内には軸本体81aの嵌合部81dが嵌合されている。
【0090】
軸本体81aには環状歯車82が上方から嵌合されている。また、軸本体81aの上面にはねじ孔付きボス81eが2つ形成されている。2つのボス81eは、軸心に対して互いに点対称となる位置に設けられている。そして、軸本体81aと環状歯車82との間に摩擦クラッチが構成されている。この摩擦クラッチは、半クラッチ状態で環状歯車82を案内部材93に沿って転動させる。
なお、軸本体81aの外周に凹部を形成しているのは、摩擦クラッチの作動タイミングを調整するためである。
また、軸本体81aには有天円筒状の軸固定部材83が被せられている。そして、軸固定部材83の下端部と外向フランジ81cとによって、環状歯車82が挟持されている。
さらに、軸固定部材83の上には、略6角形状の凸部83bが形成され、この凸部83bの中央の孔83fには雌ねじ83dが形成されている。また、中央の孔83fの外側には、上記各ボス81eに対応して2つの座繰り孔83gが形成されている。そして、この軸固定部材83は、座繰り孔83gに通した雄ねじ(図示せず)をねじ孔付きボス81eに螺合させることにより、回転軸81に組み付けられる。
【0091】
この軸部50Bは、例えば、雌ねじ83dに螺合する雄ねじ(図示せず)によって、図示しない胴部に結合される。
このように構成された軸部50Bを持つコマ玩具によれば、コマ玩具1と同様の作用、効果を奏する。
【0092】
《変形例のコマ玩具1B》
図20は、コマ玩具1の変形例であるコマ玩具1Bの分解斜視図、図21は、コマ玩具1Bの軸部を上面側から見た分解斜視図、図22は、軸部50Cを下面側から見た分解斜視図である。これらの図に付した符号が指示する部分で図4図5及び図6に付した符号と同じ部分は同じ構成であるので、その説明は適宜に省略する。
【0093】
このコマ玩具1Bが上記コマ玩具1と異なる点は、歯車52に代えてローラ52Cを設けている点である。ローラ52Cの外周面はゴム、ヤスリ状、ブラシ状、布、ベルクロ(登録商標)、粘着素材といった摩擦抵抗の強い材料で形成されている。
【0094】
このコマ玩具1Bは、図23に示すコマ玩具遊戯台9Bで特に有意義な効果を発揮する。この場合のコマ玩具遊戯台9Bの案内部材93B案内面は、ゴム、ヤスリ状、ブラシ状、布、ベルクロ、粘着素材といった摩擦抵抗の強い材料で形成されていることが好ましい。
【0095】
このコマ玩具1Bはバトルフィールド92に放たれると、コマ玩具1Bの回転方向とは逆の方向に反動で動き回る。このとき、ローラ52Cが回転軸51と一体回転する。そして、この動き回りによってコマ玩具1Bのローラ52Cが案内部材93Bに当たる。このときの衝撃力によって、回転軸51に対してローラ52Cが板ばね55f(図7参照)の付勢力に抗して相対回転して衝撃を緩和させる。これによって、ローラ52Cが案内部材93Bに当接し易くなり、ローラ52Cの摩擦抵抗によって滑動が抑制され、半クラッチ状態でローラ52Cを回転軸51の回転に伴って回転させて案内部材93Bに沿って動き、コマ玩具1Bの移動が加速される。つまり、コマ玩具1Bの回転が案内部材93Bに伝達しやすくなりコマ玩具1Bの移動を加速させることができる。
【0096】
≪その他の変形例≫
上記実施形態では、案内部材93をコマ玩具遊戯台9に固定して設けたが、案内部材93をコマ玩具遊戯台9と別体とし、遊戯者が案内部材93を直接手で持ってコマ玩具に近付けて使用できるようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、案内部材の歯と噛合する1つの歯車を回転軸に設けているが、回転軸と同心の1つの円上に軸を持つ歯車を複数設けてもよい。或いは、弧状に歯が形成された歯形成部材を円周方向に複数設けてもよい。
【0098】
また、他の軸部50A、他のコマ玩具1A、変形例の軸部50Bの場合の歯車52,72,82を上記コマ玩具1Bのローラ52Cに置き換えることも可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 コマ玩具
1A コマ玩具
9 コマ玩具遊戯台
10 胴部
10A 軸部
20 胴部
20 上胴部
30 下胴部
37b 嵌合凸部
50 軸部
50A 軸部
50B 軸部
51 回転軸
52 歯車
54 爪部材
54b 噛合爪
55 軸固定部材
61 押圧板
93 案内部材
100 コマ玩具セット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23