(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063019
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】学習モデルの生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06N 20/00 20190101AFI20230427BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20230427BHJP
【FI】
G06N20/00
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173252
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】521465267
【氏名又は名称】株式会社Crosstab
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 充
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】柔軟性を持たせた結果を出力する学習モデルの生成方法などを提供すること。
【解決手段】学習モデルの生成方法は、複数種類の入力項目に対応する入力データと、出力データとを含む訓練データを取得し、前記訓練データに基づいて、入力項目の組み合わせごとに、入力データを入力した場合に出力データを出力する複数の学習モデルを生成する。好適には、前記入力項目の変数をnとする場合、2
n-1の組み合わせの学習モデルを生成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の入力項目に対応する入力データと、出力データとを含む訓練データを取得し、
前記訓練データに基づいて、入力項目の組み合わせごとに、入力データを入力した場合に出力データを出力する複数の学習モデルを生成する
学習モデルの生成方法。
【請求項2】
前記入力項目の変数をnとする場合、2n-1の組み合わせの学習モデルを生成する
請求項1に記載の学習モデルの生成方法。
【請求項3】
複数種類の入力項目に対応する入力データを取得し、
取得した前記入力データから、基準値を満たす入力項目に対応する入力データを抽出し、
複数種類の入力項目に対応する入力データと、出力データとを含む訓練データに基づいて、入力項目の組み合わせごとに、入力項目に対応する入力データを入力した場合に、出力データを出力するよう学習された複数の学習モデルから、抽出した入力項目に対応する学習モデルを特定し、
特定した前記学習モデルに、抽出した入力データを入力して出力データを取得する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項4】
複数種類の入力項目に対応する入力データを入力した場合に、
特定した前記学習モデルが出力する出力データと、すべての入力項目に対応する入力データが入力された学習モデルが出力する出力データとを対比して表示する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
複数種類の入力項目に対応する入力データを取得し、
取得した前記入力データのうち、基準値を満たさない入力項目に対応する入力データを補正し、
入力項目に対応する入力データを入力した場合に出力データを出力するよう学習された第一学習モデルに、補正後の入力データと、補正していない元の入力データから前記補正後の入力データを除いた入力データとを入力して、出力データを取得する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項6】
複数種類の入力項目に対応する入力データを入力した場合に、
前記第一学習モデルが出力する出力データと、補正していない元の入力データが入力された学習モデルが出力する出力データとを対比して表示する
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記基準値は、複数種類の入力項目に対応する入力データから算出される所定の統計量である
請求項3から請求項6のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記基準値の設定を受け付ける
請求項3から請求項7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記基準値を満たす入力項目に対応する入力データが入力される学習モデルに対し、入力項目の追加を受け付け、
追加した入力項目に対応する入力データを含んだ学習モデルを特定し、
特定した学習モデルに、前記基準値を満たす入力項目に対応する入力データと、追加した入力項目に対応する入力データとを入力し、
特定した学習モデルが出力する出力データを取得する
請求項3、請求項4、請求項7または請求項8のいずれか一項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習モデルの生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動的にデータの特徴または法則性を見出し、その結果を活かして分類または予測をおこなう仕組みとして、機械学習が知られている。機械学習は、コンピュータが人間の経験または認識に基づく基準を再現できると期待され、幅広い領域で利用されている。
【0003】
たとえば、求職者の属性(学歴など)を表すデータから求人企業との相性を予測することにより、効率的な採用活動を支援できる機械学習モデルが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された発明では、求職者にとって不利となり得る要素(大学中退など)を学習した学習モデルが求人企業との相性を出力することがある。そのため、求職者や求人企業にとって納得のいかない判定結果が出力され、人間の経験または認識に基づく基準を再現できないおそれがある。
【0006】
一つの側面では、柔軟性を持たせた結果を出力する学習モデルの生成方法などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面に係る学習モデルの生成方法は、複数種類の入力項目に対応する入力データと、出力データとを含む訓練データを取得し、前記訓練データに基づいて、入力項目の組み合わせごとに、入力データを入力した場合に出力データを出力する複数の学習モデルを生成する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、柔軟性を持たせた結果を出力する学習モデルの生成方法などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1の概要を説明するための模式図である。
【
図2】情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】基準値DBのデータレイアウトを示す説明図である。
【
図4】入力項目の基準値を設定する基準値設定画面を示す説明図である。
【
図6】出力データを対比して表示する画面を示す説明図である。
【
図7】実施の形態1における学習モデルの生成処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態1における入力データの補正処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】実施の形態2の概要を説明するための模式図である。
【
図10】実施の形態2における学習モデルの生成処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】学習モデルを特定する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図12】入力項目の追加を受け付ける画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1から実施の形態3では、求人企業が実施する採用活動に機械学習モデルを利用する場合を例示する。なお、採用活動の他に、融資、医療保険の査定、人事査定、企業評価または医療診断などに機械学習モデルを利用してもよい。
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の概要を説明するための模式図である。
【0013】
求人企業が採用の参考とする求職者情報には、年齢、学歴および経験年数などがある。
図1に示す入力項目に対応する入力データは、たとえば年齢:50才、学歴:大卒および経験年数:11年以上などが含まれる。
【0014】
図1Aは、既知の技術によるモデリングの模式図である。
図1Aでは、求職者を不採用とする結果をAI(Artificial Intelligence)が出力している。一方、
図1Bは、入力データを別の値に置き換えた場合のモデリングの模式図である。
図1Bに示すように、求職者の年齢(50才)を後述する基準値(30才)に置き換える補正処理をおこなった際には、求職者を採用とする結果をAIが出力している。
【0015】
図1Bでは、求職者にとって不利となり得る要素の影響をなくすことにより、求職者および求人企業が
図1Aのモデリングとは異なる結果を得ている。
【0016】
以下、モデリングおよび補正処理の詳細について説明する。
【0017】
図2は、情報処理装置10の構成例を示すブロック図である。情報処理装置10は、制御部11、主記憶部12、補助記憶部13および通信部14を含む。
【0018】
なお、本実施の形態では、一つのコンピュータが処理をおこなうものとして説明するが、複数のコンピュータが分散して処理をおこなってもよい。
【0019】
制御部11は一または複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)もしくは量子プロセッサなどのプロセッサであり、種々の情報処理を実行する。
【0020】
主記憶部12はSRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの一時記憶領域であり、制御部11が処理を実行するうえで必要なデータを一時的に記憶する。
【0021】
補助記憶部13は、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)などのメモリである。補助記憶部13は、情報処理装置10に処理を実行させるプログラム130、基準値DB(data base)135およびその他のデータを記憶している。なお、情報処理装置10は可搬型記憶媒体10aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体10aからプログラム130(プログラム製品)を読み込んでもよい。
【0022】
通信部14は、通信ネットワークに接続するための通信インターフェイスである。
【0023】
情報処理装置10は、たとえばサーバコンピュータなどである。情報処理装置10は、所定の訓練データを学習する機械学習をおこない、機械学習モデルを生成する。情報処理装置10は、機械学習モデルに入力されるデータに対して、基準値を満たさないデータを基準値に補正する。
【0024】
基準値とは、採用活動をおこなうユーザの端末機(図示省略)を通じて、各入力項目に対応して設定される所定の数値、属性または範囲などである。入力項目の中に、評価したい対象データの値が小さいもしくは大きい変数がある場合には、情報処理装置10が当該変数を基準値と置き換える処理をおこなう。
【0025】
情報処理装置10が、対象となるデータを所定の基準値と置き換えることにより、求職者にとって不利となり得る要素の影響をなくすことができる。したがって、人間の経験または認識に近い判断が再現できる。
【0026】
なお、情報処理装置10は、求職者全体のデータから求められる平均値、中央値または最頻値などの所定の統計量を基準値として設定してもよい。
【0027】
補助記憶部13には、学習モデルを生成する処理に用いられる訓練データを記憶する訓練データ記憶部131と、第一学習モデルおよび2n-1の組み合わせの学習モデルを記憶する学習モデル記憶部132とが設けられている。なお、第一学習モデルは実施の形態1において用いられ、2n-1の組み合わせの学習モデルは実施の形態2および実施の形態3において用いられる。
【0028】
訓練データ記憶部131は、学習モデルの生成処理に用いる複数の訓練データを記憶する。訓練データは、たとえば学習モデルに対する入力情報と出力情報とを対応付けたデータである。本実施の形態では、入力情報を求職者に関する情報とし、出力情報を採用または不採用の結果とする。
【0029】
学習モデルは、たとえば複数のニューロンが相互に結合したニューラルネットワークの構造をなしている。ニューロンは複数の入力に対して演算をおこない、演算結果として1つの値を出力する素子である。ニューロンは、演算に用いられる重み付けの係数および閾値などの情報を有している。
【0030】
なお、学習モデルはニューラルネットワークの他に、決定木、ランダムフォレストまたはSVM(Support Vector Machine)などのアルゴリズムを用いて構成されてもよく、複数のアルゴリズムを組み合わせて構成されてもよい。
【0031】
学習モデル記憶部132には、第一学習モデルおよび2n-1の組み合わせの学習モデルについて、ニューラルネットワークの構成情報ならびに各ニューロンの係数および閾値などを含むデータが記憶される。
【0032】
情報処理装置10は、採用に必要な求職者の情報と、求人側が出した採用結果との組を訓練データとして学習し、学習モデルを生成する。
【0033】
具体的には、情報処理装置10は、求職者情報をニューラルネットワークに入力して、採用の可否を出力として取得する。情報処理装置10は、ニューラルネットワークから出力された採用の可否を、実際に求人側が出した採用結果と比較し、両者が近似するようにニューロン間の重みなどを更新する。また、情報処理装置10は、求職者情報をニューラルネットワークに入力してニューロン間の重みなどを更新していき、採用活動に利用するための最終的な学習モデルを生成する。学習の際には、補正前のデータが求職者情報として入力される。
【0034】
図3は、基準値DB135のデータレイアウトを示す説明図である。基準値DB135は、入力項目および基準値のフィールドを記憶するDBである。
【0035】
図3に例示するように、入力項目フィールドには、たとえば採用に必要となる求職者の基本的な情報が記憶されている。基準値フィールドには、ユーザが設定する基準値として、数値(たとえば30才)、属性(たとえば大卒)および範囲(たとえば3年から5年)が記憶されている。
【0036】
図4は、入力項目の基準値を設定する基準値設定画面を示す説明図である。情報処理装置10は、採用活動をおこなうユーザの端末機から、各入力項目に対応して基準値の設定変更を受け付ける。
【0037】
図4の画面例では、ユーザが各入力項目の基準値について、年齢を30才、学歴を大卒、経験年数を3年から5年と設定している。端末機は、各入力項目に対応する基準値の設定を受け付ける。端末機は、受け付けた基準値を情報処理装置10に送信する。情報処理装置10は、受信した基準値を基準値DB135に記憶する。
【0038】
なお、情報処理装置10の制御部11は、各入力項目に対応するデータの統計量(平均値など)を求職者全体のデータに基づいて算出し、各入力項目の基準値としてもよい。制御部11は、算出した基準値を入力項目ごとに基準値DB135に記憶する。
【0039】
図5は、学習モデルの構成例を示す模式図である。ニューラルネットワークの学習モデルは、一または複数のデータの入力を受け付ける入力層と、入力層にて受け付けたデータに対して演算処理をおこなう中間層と、中間層の演算結果を集約して一または複数の値を出力する出力層とを備える。
【0040】
図5に示すように、本実施の形態では、学習モデルには求職者情報が入力され、学習モデルから求職者の採用または不採用に関する結果が出力される。学習モデルへの入力情報は、補正せずにデータを入力する場合と、基準値に満たない入力項目のデータに対して、当該データを補正してから入力する場合とがある。
【0041】
制御部11は、基準値DB135に記憶されている求職者情報の入力データおよび基準値に基づき、補正するか否かを判定する。以下、各入力項目に対応する入力データを学習モデルに入力する際の詳細について説明する。
【0042】
入力項目が年齢である場合、求職者の年齢が基準値より高い際には、入力データを基準値DB135に記憶してある基準値に置き換えて入力する。求職者の年齢が基準値と同じか低い際には、年齢は置き換えずにそのまま入力する。
【0043】
入力項目が学歴である場合、求職者の学歴が基準値より低い際には、入力データを基準値DB135に記憶してある基準値に置き換えて入力する。求職者の学歴が基準値と同等もしくは高い際には、学歴は置き換えずにそのまま入力する。基準値DB135が記憶する学歴は、中卒、高卒、専門または短大卒、高専卒、学部卒、修士了および博士了の7種類に分けられている。なお、学歴の区別の仕方は、上記の例に限定されない。
【0044】
入力項目が経験年数である場合、求職者の経験年数が基準値より少ない際には、入力データを基準値DB135に記憶してある基準値に置き換えて入力する。求職者の経験年数が基準値と同等もしくは高い際には、経験年数は置き換えずにそのまま入力する。基準値DB135が記憶する経験年数は、未経験、3年未満、3年から5年、6年から10年および11年以上の5つの範囲に分けられている。なお、経験年数の区別の仕方は、上記の例に限定されない。
【0045】
以上、基準値に置き換える補正処理によって、求職者のハンデとなる要素の影響をなくすことができ、柔軟性を持たせた結果を出力する機械学習モデルが実現できる。
【0046】
図6は、出力データを対比して表示する画面を示す説明図である。情報処理装置10は、採用活動をおこなうユーザの端末機に出力データを表示する。
【0047】
図6に示すように、ユーザの端末機が表示する画面には、求職者情報とともに、補正処理後のデータを学習モデルに入力した際の結果が表示されている。
図6の例では、年齢に対して補正処理をおこなった際に、結果が採用である旨が表示されている。
【0048】
なお、補正処理をおこなっていない結果を端末機に表示してもよい。また、補正処理なしの結果を表示するか否かについて、ユーザが端末機を通じて設定できるようにしてもよい。
【0049】
ユーザは、学習モデルが出力する柔軟性を持たせた結果に基づいて比較検討し、最終的な採用の可否を決めることができる。
【0050】
次に、本実施の形態において情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。
【0051】
図7は、実施の形態1における学習モデルの生成処理手順を示すフローチャートである。情報処理装置10の制御部11は、プログラム130に基づき以下の処理を実行する。
【0052】
制御部11は、求職者情報と、採用または不採用のラベルとを含む訓練データを取得する(ステップS101)。制御部11は、当該訓練データに基づく学習モデルを生成し(ステップS102)、一連の処理を終了する。
【0053】
図8は、実施の形態1における入力データの補正処理手順を示すフローチャートである。情報処理装置10の制御部11は、プログラム130に基づき以下の処理を実行する。
【0054】
制御部11は、求職者情報を取得する(ステップS201)。制御部11は、基準値DB135から各入力項目の基準値を読み出す(ステップS202)。
【0055】
制御部11は、取得した求職者情報の年齢が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS203)。基準値以上であると判定した場合(ステップS203:YES)、制御部11は、年齢を基準値に補正する(ステップS204)。一方、基準値以上ではないと判定した場合(ステップS203:NO)、制御部11は補正処理をおこなわず、ステップS205の処理に移る。
【0056】
制御部11は、取得した求職者情報の学歴が基準値以下であるか否かを判定する(ステップS205)。基準値以下であると判定した場合(ステップS205:YES)、制御部11は、学歴を基準値に補正する(ステップS206)。一方、基準値以下ではないと判定した場合(ステップS205:NO)、制御部11は補正処理をおこなわず、ステップS207の処理に移る。
【0057】
制御部11は、取得した求職者情報の経験年数が基準値以下であるか否かを判定する(ステップS207)。基準値以下であると判定した場合(ステップS207:YES)、制御部11は、経験年数を基準値に補正する(ステップS208)。一方、基準値以下ではないと判定した場合(ステップS207:NO)、制御部11は補正処理をおこなわず、ステップS209の処理に移る。
【0058】
制御部11は、学習モデルに入力データを入力する(ステップS209)。制御部11は、学習モデルから出力された出力データを取得する(ステップS210)。制御部11は、取得した出力データについて、補正処理していない結果と補正処理した結果とを対比させて、ユーザが操作する端末に表示する(ステップS211)。そして、制御部11は一連の処理を終了する。
【0059】
以上より、実施の形態1によれば、基準値を満たさない入力データに補正処理をおこない、補正処理の有無ごとに結果を表示できる。
【0060】
[実施の形態2]
実施の形態2では、入力項目の組み合わせごとに事前に学習モデルを作成しておき、基準値に満たない入力データを除いて学習した学習モデルを特定する形態について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
図9は、実施の形態2の概要を説明するための模式図である。以下、入力項目の変数が3であるときを例示する。簡潔に、基準値を満たす入力項目は○、基準値を満たさない入力項目は×と表記する。
【0062】
図9の例では、求職者情報の入力項目が年齢、学歴および経験年数の3つあるため、学習モデルの組み合わせは、全部で2
3-1=7個となっている(
図9下の表参照)。
【0063】
実施の形態2における学習モデルには、入力項目の組み合わせごとに1番目から7番目までの学習モデルがある。たとえば、1番目の学習モデルは、年齢、学歴および経験年数の3つの入力項目に対応する入力データと、出力データとを含む訓練データに基づいて学習された学習モデルである。また、2番目の学習モデルは、年齢および経験年数の2つの入力項目に対応する入力データと、出力データとを含む訓練データに基づいて学習された学習モデルである。なお、すべての入力項目が基準値を満たさない場合には、学習モデルに入力する入力データが存在しないため、8番目の学習モデルは特定されない。
【0064】
図9の求職者Aにおいて、基準値を満たしている入力項目は年齢と学歴であり、基準値を満たしていない入力項目は経験年数である。よって、情報処理装置10は、求職者Aに5番目の学習モデルを特定する。
【0065】
図9の求職者Bにおいて、基準値を満たしている入力項目は年齢と経験年数であり、基準値を満たしていない入力項目は学歴である。よって、情報処理装置10は、求職者Bに2番目の学習モデルを特定する。
【0066】
なお、3番目、6番目、7番目のように、基準値を満たす入力項目が一つである場合、学習モデルを生成しなくてもよい。入力項目が一つである学習モデルを生成しないため、入力項目の変数をnとすると、学習モデルの組み合わせは、2
n-1-nと表される。つまり、
図9において生成される学習モデルは、全部で2
3-1-3=4個でもよい。
【0067】
本実施の形態では、基準値に満たない入力データを除いて学習した学習モデルを特定し、当該学習モデルに入力データを入力することにより、柔軟性を持たせた結果を出力することができる。
【0068】
次に、本実施の形態において情報処理装置10が実行する処理手順について説明する。
【0069】
図10は、実施の形態2における学習モデルの生成処理手順を示すフローチャートである。情報処理装置10の制御部11は、プログラム130に基づき以下の処理を実行する。
【0070】
制御部11は、求職者情報と、採用または不採用のラベルとを含む訓練データを取得する(ステップS301)。制御部11は、当該訓練データに基づき、2n-1の組み合わせの学習モデルを生成し(ステップS302)、一連の処理を終了する。
【0071】
図11は、学習モデルを特定する際の処理手順を示すフローチャートである。情報処理装置10の制御部11は、プログラム130に基づき以下の処理を実行する。
【0072】
制御部11は、求職者情報を取得する(ステップS401)。制御部11は、基準値DB135から各入力項目の基準値を読み出す(ステップS402)。制御部11は、学習モデル記憶部132から2n-1の組み合わせの学習モデルを取得する(ステップS403)。
【0073】
制御部11は、取得した求職者情報の年齢が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS404)。基準値以上であると判定した場合(ステップS404:YES)、制御部11は、年齢を除く入力データを抽出する(ステップS405)。一方、基準値以上ではないと判定した場合(ステップS404:NO)、ステップS406の処理に移る。
【0074】
制御部11は、取得した求職者情報の学歴が基準値以下であるか否かを判定する(ステップS406)。基準値以下であると判定した場合(ステップS406:YES)、制御部11は、学歴を除く入力データを抽出する(ステップS407)。一方、基準値以下ではないと判定した場合(ステップS406:NO)、ステップS408の処理に移る。
【0075】
制御部11は、取得した求職者情報の経験年数が基準値以下であるか否かを判定する(ステップS408)。基準値以下であると判定した場合(ステップS408:YES)、制御部11は、経験年数を除く入力データを抽出する(ステップS409)。一方、基準値以下ではないと判定した場合(ステップS408:NO)、ステップS410の処理に移る。
【0076】
ここで、すべての入力項目が基準値を満たしていない場合、学習モデルに入力するための入力データがないこととなる。そこで、制御部11は、学習モデルに入力する入力データが残されているか否かを判定する(ステップS410)。入力データが残っていない場合(ステップS410:NO)、すべての入力項目に対応する入力データが入力された学習モデルを特定する(ステップS411)。一方、入力データが残っている場合(ステップS410:YES)、ステップS412の処理に移る。
【0077】
制御部11は、2n-1の組み合わせの学習モデルから、抽出した入力データに対応する学習モデルを特定する(ステップS412)。制御部11は、特定した学習モデルに、抽出した入力データを入力して出力データを取得する(ステップS413)。制御部11は、特定した学習モデルが出力する結果と、すべての入力項目に対応する入力データが入力された学習モデルが出力する結果とを対比させて、ユーザが操作する端末機に表示する(ステップS414)。そして、制御部11は一連の処理を終了する。
【0078】
以上より、実施の形態2によれば、入力項目の組み合わせごとに事前に学習モデルを作成しておき、基準値に満たない入力データを除いて学習した学習モデルを特定することにより、柔軟性を持たせた結果を出力する機械学習モデルが実現できる。
【0079】
[実施の形態3]
実施の形態3では、ユーザが操作する端末機を通じて、情報処理装置10が入力項目の追加を受け付ける形態について説明する。なお、実施の形態1と重複する内容については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
図12は、入力項目の追加を受け付ける画面を示す説明図である。情報処理装置10は、採用活動をおこなうユーザの端末機に、入力項目の追加を受け付ける画面を表示する。
【0081】
図12に示すように、ユーザの端末機が表示する画面には、求職者情報と、特定された学習モデルに入力データを入力した際の結果と、入力項目の追加ボタンとが表示されている。
図12の例では、基準値を満たさない入力項目である年齢を除いて学習した学習モデル4を特定した際に、結果が採用である旨が表示されている。なお、年齢、学歴および経験年数を入力した学習モデルが出力する結果を表示してもよい。
【0082】
ユーザは、学習モデルに入力項目を追加するか否かについて、端末機を通じて追加ボタンを選択することにより設定できる。情報処理装置10は、追加ボタンの選択を受け付けると、入力項目に応じた学習モデルを特定し、当該学習モデルが出力する結果を端末機に表示する。
【0083】
ユーザは、学習モデルが出力する柔軟性を持たせた結果に基づいて比較検討し、最終的な採用の可否を決定することができる。
【0084】
以上より、実施の形態3によれば、学習モデルへの入力項目の追加により、柔軟性を持たせた結果を出力する機械学習モデルが実現できる。
【0085】
以上、実施の形態1から実施の形態3により、柔軟性を持たせた結果を出力する学習モデルの生成方法などを提供できる。
【0086】
今回開示された実施の形態はすべての点において例示であり、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は上記のように開示された意味ではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて定められ、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内において、すべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10 情報処理装置
10a 可搬型記憶媒体
11 制御部
12 主記憶部
13 補助記憶部
130 プログラム
131 訓練データ記憶部
132 学習モデル記憶部
135 基準値DB
14 通信部