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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063037
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】放射性同位体の分析方法及び分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/167 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
G01T1/167 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173289
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 麻里子
(72)【発明者】
【氏名】前田 亮
(72)【発明者】
【氏名】藤 暢輔
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188AA12
2G188AA23
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB06
2G188CC22
2G188CC26
2G188DD05
2G188EE36
(57)【要約】
【課題】放射性同位体の化学形毎の放射線量を、長期間に亘って正確に分析可能な放射性同位体の分析方法を提供する。
【解決手段】放射性同位体の分析方法は、放射性同位体を化学形毎に分離する分離ステップ(S11)と、可視化シンチレータを介した薄層プレート及び標準光を放出する標準光シンチレータを撮像する撮像ステップ(S12)と、スポット領域の輝度値及び標準光シンチレータの領域の抽出輝度値を抽出する抽出ステップ(S13)と、標準輝度値及び抽出輝度値に基づいて、スポット領域の輝度値を補正する補正ステップ(S14)と、放射性同位体の輝度値と放射線量との予め求められた対応関係に基づいて、補正ステップで補正したスポット領域の輝度値に対応する放射線量を特定する特定ステップ(S15)とを含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液中の放射性同位体の分析方法であって、
放射性同位体を含む溶液を薄層プレートに滴下し、薄層クロマトグラフィによって、前記放射性同位体を化学形毎に分離する分離ステップと、
放射線を可視光に変換する可視化シンチレータを介して前記薄層プレートを撮像すると共に、予め定められた光量の標準光を放出する標準光シンチレータを撮像する撮像ステップと、
前記放射性同位体の各化学形に対応するスポット領域の輝度値、及び前記標準光シンチレータの領域の抽出輝度値を、前記撮像ステップで撮像した画像から抽出する抽出ステップと、
前記標準光に対応する標準輝度値及び前記抽出ステップで抽出した前記抽出輝度値に基づいて、前記スポット領域の輝度値を補正する補正ステップと、
前記放射性同位体の輝度値と放射線量との予め求められた対応関係に基づいて、前記補正ステップで補正した前記スポット領域の輝度値に対応する放射線量を特定する特定ステップとを含むことを特徴とする放射性同位体の分析方法。
【請求項2】
請求項1に記載の放射性同位体の分析方法において、
前記補正ステップでは、
複数の前記標準輝度値と露光時間との予め求められた対応関係に基づいて、前記抽出輝度値に対応する推定露光時間を導出し、
前記スポット領域の輝度値に、前記推定露光時間の逆数を乗じることを特徴とする放射性同位体の分析方法。
【請求項3】
請求項1に記載の放射性同位体の分析方法において、
前記補正ステップでは、前記スポット領域の輝度値に、前記標準輝度値に対する前記抽出輝度値の比を乗じることを特徴とする放射性同位体の分析方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の放射性同位体の分析方法において、
前記標準光シンチレータは、Lu1.9Y0.1SiO5を組成とするLYSO結晶であることを特徴とする放射性同位体の分析方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の放射性同位体の分析方法において、
前記放射性同位体は、211At、225Ac、223Ra、212Bi、213Bi、149Tb、224Ra、230U、226Th、227Th、3H、7Be、11C、14C、13N、18F、15O、24Na、28Mg、38Cl、38K、39Cl、42K、43K、43Sc、44Sc、46Sc、47Sc、44Ti、48V、55Fe、56Co、57Co、58Co、57Ni、60Cu、61Cu、2Zn、64Cu、67Cu、68Ge、67Ga、68Ga、74As、76Br、81Kr、81Rb、82Rb、83Rb、84Rb、86Rb、86Y、87Y、90Y、89Sr、88Zr、89Zr、95Zr、90Nb、91Nb、92Nb、95Nb、93Mo、99Mo、93Tc、94Tc、95Tc、96Tc、99Tc、107Cd、111In、124Sb、121Te、123I、124I、125I、131I、127Cs、132Cs、136Cs、135La、140Ba、139Ce、141Nd、143Pm、148Pm、145Eu、148Eu、153Sm、161Tb、166Ho、167Yb、169Yb、171Lu、177Lu、171Hf、172Hf、173Hf、175Hf、169Ta、177Ta、178Ta、179Ta、177W、178W、179W、181W、180Re、183Re、184Re、186Re、188Re、188Pt、191Pt、192Ir、195Au、196Au、198Au、201Tl、202Tl、201Pb、203Pb、207Bi、207At、210At、213Fr、238Np、235U、255Mdのいずれかであることを特徴とする放射性同位体の分析方法。
【請求項6】
溶液中の放射性同位体を分析する分析装置であって、
放射線を可視光に変換する可視化シンチレータと、
予め定められた光量の標準光を出力する標準光シンチレータと、
薄層クロマトグラフィによって前記放射性同位体が化学形毎に分離された薄層プレートを前記可視化シンチレータを介して撮像すると共に、前記標準光シンチレータを撮像する撮像装置と、
前記放射性同位体の輝度値と放射線量との予め求められた対応関係、及び前記標準光に対応する標準輝度値を記憶するメモリと、
前記撮像装置で撮像された画像を分析するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記放射性同位体の各化学形に対応するスポット領域の輝度値、及び前記標準光シンチレータの領域の抽出輝度値を、前記撮像装置によって撮像された画像から抽出する抽出ステップと、
前記メモリに記憶された前記標準輝度値及び抽出した前記抽出輝度値に基づいて、抽出した前記スポット領域の輝度値を補正し、
前記メモリに記憶された前記放射性同位体の輝度値と放射線量との予め求められた対応関係に基づいて、補正した前記スポット領域の輝度値に対応する放射線量を特定することを特徴とする分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶液中の放射性同位体の分析方法及び分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線(α線、β線、γ線など)を放出する放射性同位体(RI)は、加速器や原子炉での照射により生成された後、化学分離されて基礎研究、前臨床研究(非特許文献1、2を参照)、臨床での治療、産業応用に供される。
【0003】
ここで、RIまたはRI化合物から放出される放射線量(放射能)や化学状態(化学形)の安定性を精度よく調べることは、RIを利用した上記の研究や産業応用の実施及びRI取り扱い作業者の被爆リスクの低減化に不可欠である。そこで、RIから放出される放射線量と化学形とを同時に短時間で分析する新たな手法が特許出願され(特許文献1を参照)、論文発表されている(非特許文献3を参照)。
【0004】
特許文献1及び非特許文献3の手法では、薄層クロマトグラフィにより化学形毎に分離したRIから放出される放射線を、シンチレータ及び高感度カメラからなる撮像システムにより可視化し、事前に取得した輝度値と放射線量との関係から化学系毎の放射線量を特定する。これにより、従来の100分の1程度の短時間で放射線量を定量評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-021567号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】D. Scott. Wilbur, Nature Chemistry, Volume 5, pp 246 (2013)
【非特許文献2】I. Nishinaka, K. Hashimoto, H. Suzuki, Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Volume 318, Issue 2, pp 897-905 (2018)
【非特許文献3】M. Segawa, Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Volume 326, Issue,pp773-778 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の撮像システムを長期的に運用する場合、カメラセンサの劣化やシンチレータ表面の汚れなど(以下、「経時劣化」と表記する。)に起因して、放射線量に対する感度が変化(以下、「感度のずれ」と表記する。)する。すなわち、放射線量の特定精度が経時的に低下するという課題がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶液中の放射性同位体の化学形毎の放射線量を、長期間に亘って正確に分析可能な放射性同位体の分析方法及び分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態は、前記課題を解決するため、溶液中の放射性同位体の分析方法であって、放射性同位体を含む溶液を薄層プレートに滴下し、薄層クロマトグラフィによって、前記放射性同位体を化学形毎に分離する分離ステップと、放射線を可視光に変換する可視化シンチレータを介して前記薄層プレートを撮像すると共に、予め定められた光量の標準光を放出する標準光シンチレータを撮像する撮像ステップと、前記放射性同位体の各化学形に対応するスポット領域の輝度値、及び前記標準光シンチレータの領域の抽出輝度値を、前記撮像ステップで撮像した画像から抽出する抽出ステップと、前記標準光に対応する標準輝度値及び前記抽出ステップで抽出した前記抽出輝度値に基づいて、前記スポット領域の輝度値を補正する補正ステップと、前記放射性同位体の輝度値と放射線量との予め求められた対応関係に基づいて、前記補正ステップで補正した前記スポット領域の輝度値に対応する放射線量を特定する特定ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溶液中の放射性同位体の化学形毎の放射線量を、長期間に亘って正確に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る分析装置の概略構成図である。
図2】分析装置で得られた2次元画像を示す図である。
図3図2の領域1~10の輝度値を示す表である。
図4】領域1~9の輝度値と放射線量との対応関係を示す図である。
図5】領域10の輝度値と露光時間との対応関係を示す図である。
図6】分析処理のフローチャートである。
図7】分析処理の各ステップにおける薄層プレートPを示す図である。
図8図3の領域1~9の輝度値を補正した結果を示す表である。
図9】補正方法1で補正した輝度値と放射線量との対応関係を示す図である。
図10】補正方法2で補正した輝度値と放射線量との対応関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態に係る分析装置1及びこの分析装置1を用いた放射性同位体の分析方法を説明する。なお、以下に記載する本発明の実施形態は、本発明を具体化する際の一例を示すものであって、本発明の範囲を実施形態の記載の範囲に限定するものではない。従って、本発明は、実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る分析装置1の概略構成図である。分析装置1は、薄層プレートP上に化学形毎に展開された放射性同位体を分析する装置である。分析装置1は、図1に示すように、暗箱2と、載置台3と、可視化シンチレータ4と、対物レンズ5と、高感度カメラ6と、カメラ受信機7と、撮像制御機8と、画像表示機9と、標準光シンチレータ10とを主に備える。
【0014】
暗箱2は、薄層プレートP、載置台3、可視化シンチレータ4、対物レンズ5、及び標準光シンチレータ10を収容する筐体である。また、暗箱2は、内部空間に可視光が侵入するのを防止するために遮光されている。また、暗箱2の内壁は、光の反射を防ぐために黒色に塗装されている。また、暗箱2は、薄層プレートPを出し入れするために開閉される扉(図示省略)を有する。さらに、暗箱2の上面には、対物レンズ5及び高感度カメラ6を接続するための開口が設けられている。
【0015】
載置台3は、暗箱2の内部空間において、暗箱2の底壁に載置されている。載置台3には、測定対象物である薄層プレートPと、標準光シンチレータ10とが載置される。そして、載置台3は、薄層プレートP及び標準光シンチレータ10の載置面の高さを調整可能に構成されている。換言すれば、載置台3は、薄層プレートP及び標準光シンチレータ10と対物レンズ5との距離を調整可能に構成されている。載置面の高さは、手動で調整されてもよいし、撮像制御機8の指示に従って動作するモータ(図示省略)によって調整されてもよい。
【0016】
可視化シンチレータ4は、放射線を可視光に変換する。可視化シンチレータ4は、載置台3上の薄層プレートPに重畳される。換言すれば、可視化シンチレータ4は、載置台3上の薄層プレートPと、対物レンズ5との間に介在する。可視化シンチレータ4は、例えば、放射線(α線、β線、γ線、X線など)のうち、選択的にα線を可視光に変換し、その他の放射線を可視光に変換しないα線シンチレータでもよい。すなわち、可視化シンチレータ4は、薄層プレートP上の放射性同位体から放出される放射線のうち、α線のみを可視光に変換して対物レンズ5に導く役割を担うものでもよい。
【0017】
対物レンズ5は、可視化シンチレータ4から放出された可視光と、標準光シンチレータ10から放出された標準光とを高感度カメラ6に導く。対物レンズ5は、ピント及び画角を調整する機能を有していてもよい。高感度カメラ6は、対物レンズ5を通して入射した可視光を電気信号に変換するフォトダイオード(光電変換素子)を有する。そして、高感度カメラ6は、フォトダイオードで変換した電気信号(以下、「画像データ」と表記する。)をカメラ受信機7に出力する。対物レンズ5及び高感度カメラ6は、撮像装置の一例である。
【0018】
カメラ受信機7は、高感度カメラ6から画像データを受信し、受信した画像データを撮像制御機8に出力する。撮像制御機8は、分析装置1の動作を制御する。より詳細には、撮像制御機8は、カメラ受信機7を通じて取得した画像データを分析する。分析の具体的な方法は、図6を参照して後述する。また、撮像制御機8は、画像データで示される画像を画像表示機(ディスプレイ)9に表示させる。カメラ受信機7及び撮像制御機8は、コントローラの一例である。
【0019】
標準光シンチレータ10は、薄層プレートPと異なる(隣接する)位置において、載置台3上に載置される。また、標準光シンチレータ10は、必要に応じて載置台3から取り外し可能であってもよい。標準光シンチレータ10は、予め定められた光量の光(以下、「標準光」と表記する。)を放出する。標準光シンチレータ10から放出された標準光は、可視化シンチレータ4を通らずに対物レンズ5に入射する。
【0020】
標準光シンチレータ10は、同じ光量の標準光を長期間に亘って安定して放出することが求められる。そこで、標準光シンチレータ10は、例えば、Lu1.9Y0.1SiO5を組成とするLYSO結晶であってもよい。LYSO結晶は、176Luが放射する600keV以下のX線により常時微弱な光を放出しているため、標準光シンチレータ10として好適である。但し、標準光シンチレータ10の具体例はLYSO結晶に限定されない。他の例として、RIを含んで自ら発光するシンチレータ材で、または放射線を放出する物質または機器と可視化シンチレータとを組み合わせて、標準光シンチレータ10を構成してもよい。さらに他の例として、LEDランプ、ハロゲン、メタルハライド、白熱球、またはレーザーで標準光シンチレータ10を構成してもよい。
【0021】
コントローラは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を備える。コントローラは、ROMに格納されたプログラムコードをCPUが読み出して実行することによって、後述する処理が実現される。RAMは、CPUがプログラムを実行する際のワークエリアとして用いられる。
【0022】
但し、コントローラの具体的な構成はこれに限定されず、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0023】
コントローラは、メモリの一例であるROM、RAM、或いはHDD(Hard Disk Drive)を搭載している。メモリには、分析対象の放射性同位体の輝度値と放射線量との予め求められた対応関係、及び標準光に対応する標準輝度値が記憶されている。メモリに記憶させる情報を特定するために、日本原子力研究開発機構タンデム加速器施設ホット化学室において、定量性に関する実証実験を実施した。
【0024】
より詳細には、タンデム加速器を用いて211At溶液を製造し、乾式化学分離法によって化学分離した。放射能にして15~160[Bq]の211At溶液を薄層プレート上の9個所に滴下することで、画像の輝度値を検量するための検量用211At試料を用意した。この検量用211At試料を分析装置1により撮像し、得られた2次元画像の解析を行った。なお、9か所に滴下した211At溶液の放射線量は、既知であるものとする。
【0025】
図2は、分析装置1で得られた2次元画像を示す図である。より詳細には、図2(A)は、可視化シンチレータ4を積層した薄層プレートPと、標準光シンチレータ10とを、高感度カメラ6で撮像した写真である。図2(B)は、図2(A)の画像内の領域1~21を示す模式図である。図3は、図2の領域1~10の輝度値を示す表である。図4は、領域1~9の輝度値と放射線量との対応関係を示す図である。図5は、領域10の輝度値と露光時間との対応関係を示す図である。
【0026】
図2(A)に示すように、可視化シンチレータ4を介して薄層プレートPを撮像すると、211At溶液を滴下した領域1~9(以下、「プロット領域」と表記する。)が光って見える。また、プロット領域1~9は、滴下した211At溶液の放射線量(α線量)が高いほど明るい(すなわち、輝度が高い)。
【0027】
また、領域10は、標準光シンチレータ10の領域を撮像した部分である。標準光シンチレータ10から放出される標準光の光量は一定なので、高感度カメラ6の撮像条件(例えば、露光時間、ゲイン(内部増幅率)、カメラセンサの温度による暗電流の増減、試料とカメラセンサとの距離、暗箱2に侵入するバックグラウンド光など)が同一で、且つ分析装置1の経時劣化がなければ、領域10の輝度値は同一になる。
【0028】
さらに、領域11~20は、211At溶液が滴下されておらず且つ標準光シンチレータ10も配置されていないバックグラウンド領域である。すなわち、バックグラウンド領域11~20の輝度値は、暗箱2に侵入するバックグラウンド光やカメラセンサのノイズ等に起因するものである。一方、領域21は、本願とは別の目的の実験のための領域なので、本明細書での説明は省略する。
【0029】
互いに異なる撮像条件1~4で図2(A)の画像を撮像し、撮像した画像から領域1~10の輝度値を抽出すると、図3のようになる。撮像条件1は、露光時間が30秒で、ゲインが16倍である。撮像条件2は、露光時間が50秒で、ゲインが16倍である。撮像条件3は、露光時間が200秒で、ゲインが16倍である。撮像条件4は、露光時間が300秒で、ゲインが1倍である。
【0030】
図3の輝度値は、{領域xの平均輝度値-領域(x+10)の平均輝度値}×領域xの画素数によって算出される。xは1以上10以下の整数である。すなわち、撮像条件1における領域1の輝度値を算出する場合に、領域1及び領域11の平均輝度値を算出し、領域1の平均輝度値から領域11の平均輝度値を減じ、さらに領域1の画素数を乗じることによって、領域1の輝度値(=1808)を算出する。領域2~10の輝度値についても同様である。
【0031】
なお、輝度値は、画像を構成する各画素の予め定められた階調(例えば、8bit=256階調)に、対応する領域の画素数と、対応する撮像条件のゲインとを乗じた無次元の値である。また、領域1~10の画素数及び撮像条件は、予めメモリに記憶されているものとする。
【0032】
図4に示すように、図3に示すスポット領域1~9の輝度値と放射線量とをプロットすると、同一のスポット領域(すなわち、同一の放射線量)の輝度値が撮像条件によって異なる。より詳細には、同一のスポット領域における輝度値は、露光時間が長いほど高くなり、ゲインが大きいほど高くなる。なお、プロット“□”は撮像条件1に対応し、プロット“△”は撮像条件2に対応し、プロット“×”は撮像条件3に対応し、プロット“●”は撮像条件4に対応する。
【0033】
また、図4から明らかなように、撮像条件1~4のいずれでも輝度値と放射線量との間には、正の相関関係(より詳細には、線形の関係)があることが分かる。そして、コントローラのメモリには、図4に示す輝度値と放射線量との対応関係が記憶される。なお、メモリには、複数の撮像条件それぞれに対応付けて複数の対応関係が記憶されていてもよいし、単一の対応関係のみが記憶されていてもよい。また、メモリに記憶されている輝度値と放射線量との対応関係は、テーブル形式であってもよいし、輝度値を入力すると対応する放射線量が出力される関数(典型的には、一次関数)の形式であってもよい。
【0034】
図5に示すように、撮像条件1~3で撮像した領域10の輝度値と露光時間との間には、正の相関関係(より詳細には、線形の関係)があることが分かる。換言すれば、撮像条件1~3における領域10の輝度値と露光時間とは、破線で示す一次関数で近似することができる。なお、図5では、撮像条件4のプロットが近似直線から外れているが、ゲインを同一(すなわち、輝度値を16倍)すれば、近似直線の近傍に位置する。
【0035】
そして、コントローラのメモリには、標準光シンチレータ10の標準輝度値(より詳細には、複数の標準輝度値と露光時間との予め求められた対応関係)が記憶される。なお、標準輝度値とは、標準光シンチレータ10から放出される標準光の光量に対応する輝度値である。換言すれば、標準輝度値は、分析装置1の経時劣化がない状態で領域10から抽出される輝度値である。また、複数の標準輝度値と露光時間との予め定められた対応関係とは、例えば、図5に示す近似直線(一次関数の式)に相当する。
【0036】
次に、図6及び図7を参照して、分析装置1を用いた放射性同位体の分析処理(分析方法)を説明する。図6は、分析処理のフローチャートである。図7は、分析処理の各ステップにおける薄層プレートPを示す図である。
【0037】
まず、図7の上段に示すように、薄層プレートP上の原点Oに211At溶液を滴下する。薄層プレートPは、ガラスやアルミニウム等の板上に、吸着剤(例えば、シリカゲル、アルミナ、セルロース)を薄膜状に固定したものである。211At溶液は、複数の化学形(組成)のアスタチン-211を含む溶液である。また、211At溶液は、211AtO4 -211AtO3 -211At-等の各化学形に加えて、不純物としての207Poを含む。
【0038】
なお、放射性同位体(放射性核種)の具体例はアスタチン-211(211At)に限定されず、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、テルビウム-149(149Tb)、ラジウム-224(224Ra)、ウラン-230(230U)、トリウム-226(226Th)、トリウム-227(227Th)、水素-3(3H)、ベリリウム-7(7Be)、炭素-11(11C)、炭素-14(14C)、窒素-13(13N)、フッ素-18(18F)、酸素-15(15O)、ナトリウム-24(24Na)、マグネシウム-28(28Mg)、塩素-38(38Cl)、カリウム-38(38K)、塩素-39(39Cl)、カリウム-42(42K)、カリウム-43(43K)、スカンジウム-43(43Sc)、スカンジウム-44(44Sc)、スカンジウム-46(46Sc)、スカンジウム-47(47Sc)、チタン-44(44Ti)、バナジウム-48(48V)、鉄-55(55Fe)、コバルト-56(56Co)、コバルト-57(57Co)、コバルト-58(58Co)、ニッケル-57(57Ni)、銅-60(60Cu)、銅-61(61Cu)、亜鉛-62(62Zn)、銅-64(64Cu)、銅-67(67Cu)、ゲルマニウム-68(68Ge)、ガリウム-67(67Ga)、ガリウム-68(68Ga)、ヒ素-74(74As)、臭素-76(76Br)、クリプトン-81(81Kr)、ルビジウム-81(81Rb)、ルビジウム-82(82Rb)、ルビジウム-83(83Rb)、ルビジウム-84(84Rb)、ルビジウム-86(86Rb)、イットリウム-86(86Y)、イットリウム-87(87Y)、イットリウム-90(90Y)、ストロンチウム-89(89Sr)、ジルコニウム-88(88Zr)、ジルコニウム-89(89Zr)、ジルコニウム-95(95Zr)、ニオブ-90(90Nb)、ニオブ-91(91Nb)、ニオブ-92(92Nb)、ニオブ-95(95Nb)、モリブデン-93(93Mo)、モリブデン-99(99Mo)、テクネチウム-93(93Tc)、テクネチウム-94(94Tc)、テクネチウム-95(95Tc)、テクネチウム-96(96Tc)、テクネチウム-99(99Tc)、カドミウム-107(107Cd)、インジウム-111(111In)、アンチモン-124(124Sb)、テルル-121(121Te)、ヨウ素-123(123I)、ヨウ素-124(124I)、ヨウ素-125(125I)、ヨウ素-131(131I)、セシウム-127(127Cs)、セシウム-132(132Cs)、セシウム-136(136Cs)、ランタン-135(135La)、バリウム-140(140Ba)、セリウム-139(139Ce)、ネオジム-141(141Nd)、プロメチウム-143(143Pm)、プロメチウム-148(148Pm)、ユウロピウム-145(145Eu)、ユウロピウム-148(148Eu)、サマリウム-153(153Sm)、テルビウム-161(161Tb)、ホルミウム-166(166Ho)、イッテルビウム-167(167Yb)、イッテルビウム-169(169Yb)、ルテチウム-171(171Lu)、ルテチウム-177(177Lu)、ハフニウム-171(171Hf)、ハフニウム-172(172Hf)、ハフニウム-173(173Hf)、ハフニウム-175(175Hf)、タンタル-169(169Ta)、タンタル-177(177Ta)、タンタル-178(178Ta)、タンタル-179(179Ta)、タングステン-177(177W)、タングステン-178(178W)、タングステン-179(179W)、タングステン-181(181W)、レニウム-180(180Re)、レニウム-183(183Re)、レニウム-184(184Re)、レニウム-186(186Re)、レニウム-188(188Re)、白金-188(188Pt)、白金-191(191Pt)、イリジウム-192(192Ir)、金-195(195Au)、金-196(196Au)、金-198(198Au)、タリウム-201(201Tl)、タリウム-202(202Tl)、鉛-201(201Pb)、鉛-203(203Pb)、ビスマス-207(207Bi)、アスタチン-207(207At)、アスタチン-210(210At)、フランシウム-213(213Fr)、ネプツニウム-238(238Np)、ウラン-235(235U)、メンデレビウム-255(255Md)などであってもよい。
【0039】
なお、放射性同位体のうち、211At溶液はα線を放出するα線放出核種の一例である。また、分析処理の対象となる溶液に含まれる放射性同位体は、1種類でもよいし、複数種類でもよい。さらに、薄層プレートP上に滴下される放射性同位体の溶液は、放射性同位体単体でもよいし、放射性同位体の化合物でもよい。
【0040】
次に、薄層プレートPの原点Oに滴下された211At溶液は、吸着剤の間隙を毛細管現象により移動する。211Atの化学形毎に移動する距離が異なるので、図7の中段に示すように、薄層プレートP上の異なるスポット領域A、A、Aに、211Atが化学形毎に分離(展開)される(S11)。ステップS11の処理は、一般的な薄層クロマトグラフィであって、分離ステップの一例である。
【0041】
この例では、スポット領域A211AtO4 -が、スポット領域A211AtO3 -が、スポット領域A211At-が位置する。また、207Poは、211AtO4 -と重なってスポット領域Aに位置する。211At溶液の各化学形がどのスポット領域A~Aに位置するかは、予め特定されている。但し、211At溶液は無色透明なので、この時点では、スポット領域A~A211At溶液が化学形毎に分離されたことを、視覚的に確認することはできない。
【0042】
次に、211At溶液が化学形毎に分離された薄層プレートPを載置台3に載置し、その上に可視化シンチレータ4を重ねる。次に、載置台3及び対物レンズ5の一方或いは両方によって、ピント及び画角を調整する。そして、撮像制御機8は、可視化シンチレータ4を介した薄層プレートPと、標準光シンチレータ10とを、高感度カメラ6に撮像させる(S12)。ステップS12の処理は、撮像ステップの一例である。
【0043】
なお、撮像制御機8は、例えば、211At溶液の濃度に応じて、高感度カメラ6の露光時間(撮像時間)を調整してもよい。より詳細には、撮像制御機8は、211At溶液の濃度が高いほど露光時間を短くし、211At溶液の濃度が低いほど露光時間を長くしてもよい。高感度カメラ6の露光時間は、例えば、数ミリ秒~数千秒の範囲で適宜調整される。
【0044】
図7の下段に示すように、画像データで示される画像中の各スポット領域A~Aは、対応する化学形が放出する放射線に応じて明るさ(輝度値)が異なる。図7の下段では、ドットの密度で明るさを表現している。すなわち、ドットの密度が低いほど明るく、ドットの密度が高いほど暗い。換言すれば、スポット領域Aが最も明るく、スポット領域Aが最も暗い。
【0045】
次に、撮像制御機8は、高感度カメラ6から出力される画像データを、カメラ受信機7を通じて取得する。そして、撮像制御機8は、取得した画像データを画像処理することによって、211Atの各化学形に対応するスポット領域A~Aそれぞれの輝度値と、標準光シンチレータ10の領域の抽出輝度値とを抽出する(S13)。輝度値の抽出方法は、図2及び図3を参照して説明した方法と同様である。ステップS13の処理は、抽出ステップの一例である。
【0046】
次に、撮像制御機8は、メモリに記憶された標準輝度値と、ステップS13で抽出した抽出輝度値とに基づいて、ステップS13で抽出したスポット領域A~Aそれぞれの輝度値を補正(規格化)する(S14)。より詳細には、撮像制御機8は、ステップS14において、標準輝度値及び抽出輝度値に基づいて補正係数を算出し、スポット領域A~Aそれぞれの輝度値に補正係数を乗じる。輝度値の具体的な補正方法は、図8図10を参照して後述する。ステップS14の処理は、補正ステップの一例である。
【0047】
次に、撮像制御機8は、メモリに記憶されたスポット領域1~9の輝度値と放射線量との対応関係に基づいて、スポット領域A~Aそれぞれの輝度値に対応する放射線量を特定する(S15)。すなわち、撮像制御機8は、ステップS13で抽出したスポット領域A~Aそれぞれの輝度値に対応する放射線量を、211Atの化学形毎に特定する。ステップS14の処理は、特定ステップの一例である。
【0048】
そして、撮像制御機8は、例えば、ステップS12で撮像した画像と、ステップS15で特定した化学形毎の放射線量とを、互いに対応付けて画像表示機9に表示してもよい。また、211Atの単位量当たりの放射線量は一定なので、撮像制御機8は、例えば、ステップS14で特定した化学形毎の放射線量に基づいて、211At溶液に含まれる各化学形の割合(生成量)を特定してもよい。
【0049】
次に、図2に示すスポット領域1~9の輝度値を例として、ステップS14における具体的な補正方法を、図8図10を参照して説明する。図8は、図3の領域1~9の輝度値を補正した結果を示す表である。図9は、図8(A)の輝度値をプロットしたグラフである。図10は、図8(B)の輝度値をプロットしたグラフである。なお、分析装置1を人為的に経時劣化させるのは難しいので、撮像条件を変化させることによって、経時劣化を模擬する。すなわち、露光時間が短いことは経時劣化の程度が大きいことに対応し、ゲインが小さいことは経時劣化の程度が大きいことに対応する。
【0050】
[補正方法1]
次に、図8(A)及び図9を参照して、スポット領域の輝度値の補正方法1を説明する。補正方法1を採用する場合、メモリには、複数の標準輝度値と露光時間との予め求められた対応関係として、図5に破線で示す一次関数の式[露光時間=0.000013052024×輝度値-2.2875065]が記憶されている。また、図3のスポット領域1~9の輝度値が図7のスポット領域A~Aの輝度値に相当し、図3の領域10の輝度値が抽出輝度値に相当し、図5の横軸が標準輝度値に相当する。
【0051】
まず、撮像制御機8は、撮像条件1~4それぞれの抽出輝度値(=2353018/4145921/15479454/1702110)を、メモリに記憶された式の[輝度値]に代入する。そして、撮像制御機8は、前述の式によって得られる露光時間(≒28/52/200/20)を、推定露光時間とする。次に、撮像制御機8は、スポット領域1~9の輝度値に、対応する撮像条件の推定露光時間の逆数を乗じる。すなわち、補正方法1における補正係数は、推定露光時間の逆数である。
【0052】
前述の演算結果を図8(A)に示し、図8(A)の輝度値と放射線量との関係をプロットすると図9のようになる。図9に示すように、同一の放射線量に対応する補正後の各プロット“□”、“△”、“×”、“●”は、概ね重なる。すなわち、前述の方法でスポット領域の輝度値を補正することによって、撮像条件の差(=経時劣化の程度)を吸収することができる。
【0053】
なお、図8(A)に示す輝度値は、露光時間=1秒、ゲイン=16倍の撮像条件に対応する。そのため、撮像制御機8は、図6のステップS15において、メモリに記憶された輝度値と放射線量との対応関係のうち、前述の撮像条件で取得された対応関係を用いる。または、撮像制御機8は、メモリに記憶された輝度値と放射線量との対応関係を取得する際の撮像条件に合わせて、図8(A)に示す輝度値をさらに補正(例えば、対応関係を取得する際の露光時間が20秒の場合、図8(A)の各輝度値を20倍)すればよい。
【0054】
[補正方法2]
次に、図8(B)及び図10を参照して、スポット領域の輝度値の補正方法2を説明する。補正方法2を採用する場合、メモリには、予め定められた撮像条件(例えば、露光時間=200秒、ゲイン=16倍)で取得した標準輝度値(=15479454)が記憶されている。また、図3のスポット領域1~9の輝度値が図7のスポット領域A~Aの輝度値に相当し、図3の領域10の輝度値が抽出輝度値に相当する。
【0055】
撮像制御機8は、スポット領域1~9の輝度値に、標準輝度値に対する抽出輝度値の比(=抽出輝度値/標準輝度値)を乗じる。すなわち、補正方法2における補正係数は、抽出輝度値/標準輝度値である。前述の演算結果を図8(B)に示し、図8(B)の輝度値と放射線量との関係をプロットすると図10のようになる。補正方法2によっても撮像条件の差(=経時劣化の程度)を吸収することができる。
【0056】
なお、撮像制御機8は、図6のステップS15において、メモリに記憶された輝度値と放射線量との対応関係のうち、標準輝度値と同一の撮像条件で取得された対応関係を用いる。
【0057】
上記の実施形態によれば、例えば以下の作用効果を奏する。
【0058】
上記の実施形態によれば、標準輝度値及び抽出輝度値に基づいてスポット領域の輝度値を補正するので、分析装置1の経時劣化による感度ずれの影響を低減することができる。その結果、溶液中の放射性同位体の化学形毎の放射線量を、長期間に亘って正確に分析することができる。
【0059】
また、標準光シンチレータ10をLYSO結晶で構成することによって、同一の光量を長期間に亘って放出させることができる。その結果、分析装置1の分析精度を長期間に亘って維持することができる。
【0060】
さらに、図6の方法を採用することによって、薄層クロマトグラフィを“その場”で撮像し、得られた撮像画像は画像表示機9を用いて即時に2次元的画像で確認できる。この結果、分析に要する時間を最適化することができる。また、この分析装置1及び分析方法は、医療分野のみならず、基礎化学における分析手法としても応用できる。
【0061】
以上、本発明の実施形態等について説明したが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
【符号の説明】
【0062】
1…分析装置、2…暗箱、3…載置台、4…可視化シンチレータ、5…対物レンズ、6…高感度カメラ、7…カメラ受信機、8…撮像制御機、9…画像表示機、10…標準光シンチレータ
図1
図2
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図10