(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063085
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/70 20180101AFI20230427BHJP
F24F 6/04 20060101ALI20230427BHJP
F24F 11/52 20180101ALI20230427BHJP
F24F 11/39 20180101ALI20230427BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20230427BHJP
【FI】
F24F11/70
F24F6/04
F24F11/52
F24F11/39
F24F110:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173367
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小松 和隆
(72)【発明者】
【氏名】小東 弘明
【テーマコード(参考)】
3L055
3L260
【Fターム(参考)】
3L055BA01
3L260AB02
3L260AB07
3L260AB17
3L260BA06
3L260BA13
3L260CA13
3L260FB67
3L260FC02
3L260FC03
3L260GA17
(57)【要約】
【課題】住戸内の加湿を簡便に行うことができる空気調和システムを提供する。
【解決手段】住戸の外部から取り入れた空気と住戸の内部から外部に排出する空気との間で熱交換させる熱交換部と、熱交換部にて熱交換された後の空気に対して加湿する加湿部とを有し、天井裏に配置された換気装置と、換気装置から吐出された空気を、住戸の内部に供給する供給流路と、住戸の内部の空気を換気装置に供給する還気流路と、供給流路から空気が供給される供給部位と空気が換気装置に供給される還気部位とを連通する連通路と、供給部位の湿度を検出する湿度センサの検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、検出湿度と目標湿度との湿度差が予め定められた所定湿度差以上である場合には、加湿部にて加湿するように、換気装置の作動を制御する制御装置と、を備える空気調和システム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住戸の外部から取り入れた空気と当該住戸の内部から外部に排出する空気との間で熱交換させる熱交換部と、当該熱交換部にて熱交換された後の空気に対して加湿する加湿部とを有し、天井裏に配置された換気装置と、
前記換気装置から吐出された空気を、前記住戸の内部に供給する供給流路と、
前記住戸の内部の空気を前記換気装置に供給する還気流路と、
前記供給流路から空気が供給される供給部位と空気が前記換気装置に供給される還気部位とを連通する連通路と、
前記供給部位の湿度を検出する湿度センサの検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、当該検出湿度と当該目標湿度との湿度差が予め定められた所定湿度差以上である場合には、前記加湿部にて加湿するように、前記換気装置の作動を制御する制御装置と、
を備える空気調和システム。
【請求項2】
前記供給部位は居室であり、前記還気部位は廊下およびキッチンの少なくともいずれかである、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記検出湿度が前記目標湿度以上であるか、または、前記湿度差が前記所定湿度差未満である場合には、前記加湿部の作動を停止する、
請求項1または2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記加湿部は、水分を吸収する素材で成形された加湿エレメントと、当該加湿エレメントに対して水道水を供給する給水部とを有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【請求項5】
前記換気装置は、前記住戸の外部から取り入れた空気中の固形物を取り除くフィルタを有し、
前記制御装置は、前記フィルタの交換時期を報知する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、集合住宅における複数の居室それぞれに室内機を設置する技術が記載されている。そして、各居室に設置された室内機にて、当該居室の温湿度を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、集合住宅の住戸に設置された室内機には加湿機能は備わっていないため、室内機とは別に加湿器を設置して加湿を行っている。そのため、加湿器を設置するスペースが必要となってしまう。また、居住者は、加湿器に対して、水を頻繁に補給する必要がある。
本発明は、住戸内の加湿を簡便に行うことができる空気調和システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的のもと完成させた本発明は、住戸の外部から取り入れた空気と当該住戸の内部から外部に排出する空気との間で熱交換させる熱交換部と、当該熱交換部にて熱交換された後の空気に対して加湿する加湿部とを有し、天井裏に配置された換気装置と、前記換気装置から吐出された空気を、前記住戸の内部に供給する供給流路と、前記住戸の内部の空気を前記換気装置に供給する還気流路と、前記供給流路から空気が供給される供給部位と空気が前記換気装置に供給される還気部位とを連通する連通路と、前記供給部位の湿度を検出する湿度センサの検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、当該検出湿度と当該目標湿度との湿度差が予め定められた所定湿度差以上である場合には、前記加湿部にて加湿するように、前記換気装置の作動を制御する制御装置と、を備える空気調和システムである。
ここで、前記供給部位は居室であり、前記還気部位は廊下およびキッチンの少なくともいずれかであっても良い。
また、前記制御装置は、前記検出湿度が前記目標湿度以上であるか、または、前記湿度差が前記所定湿度差未満である場合には、前記加湿部の作動を停止しても良い。
また、前記加湿部は、水分を吸収する素材で成形された加湿エレメントと、当該加湿エレメントに対して水道水を供給する給水部とを有しても良い。
また、前記換気装置は、前記住戸の外部から取り入れた空気中の固形物を取り除くフィルタを有し、前記制御装置は、前記フィルタの交換時期を報知しても良い。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、住戸内の加湿を簡便に行うことができる空気調和システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る空気調和システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る空気調和システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図5】制御装置が行う換気装置の作動制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1および
図2は、実施形態に係る空気調和システム1の概略構成の一例を示す図である。なお、
図1は、住戸100を、天井の上方から示した図であり、天井を省略して示している。
図2は、住戸100を、横方向から示した図である。
図3は、換気装置20の概略構成の一例を示す図である。
図3は、換気装置20を上方から示した図である。
【0009】
本実施形態に係る空気調和システム1は、第1種換気型の集合住宅の住戸100に適用されるシステムである。本実施形態においては、住戸100として、第1居室101、第2居室102、第3居室103、キッチン104、トイレ105、洗面室106、浴室107、廊下108、玄関109およびベランダ110等を有する住戸を例示する。第1居室101および第2居室102は、それぞれ、洋室または和室等の個室であり、第3居室103は、リビング・ダイニングルームであることを例示することができる。
【0010】
廊下108と、第1居室101、第3居室103、トイレ105および洗面室106とは壁にて仕切られている。また、第2居室102と第3居室103とは壁にて仕切られている。また、第1居室101、第2居室102、第3居室103、トイレ105、洗面室106の各入り口には、扉が設けられている。なお、第3居室103とキッチン104とは壁にて仕切られておらず、キッチン104には扉が設けられていない。
【0011】
また、第1居室101の扉101aと床111との間には隙間が設けられており、当該隙間を介して、第1居室101と廊下108との間で空気が流通することが可能となっている。また、第3居室103の扉103aと床111との間には隙間が設けられており、当該隙間を介して、第3居室103と廊下108との間で空気が流通することが可能となっている。また、トイレ105の扉105aと床111との間には隙間が設けられており、当該隙間を介して、トイレ105と廊下108との間で空気が流通することが可能となっている。また、洗面室106の扉106aと床111との間には隙間が設けられており、当該隙間を介して、洗面室106と廊下108との間で空気が流通することが可能となっている。また、第2居室102の扉102aと床111との間には隙間が設けられており、当該隙間を介して、第2居室102と第3居室103との間で空気が流通することが可能となっている。
【0012】
空気調和システム1は、複数の空気調和機10と、加湿機能が付いている全熱交換型の換気装置20と、床暖房装置30と、住戸100内の空気を住戸100外に排出する排気ファン35とを備える。また、空気調和システム1は、空気調和機10、換気装置20、床暖房装置30および排気ファン35等の作動を制御する制御装置40を備える。
【0013】
また、空気調和システム1は、換気装置20から各居室に空気を供給する供給流路50と、住戸100の外部の空気を換気装置20に取り入れる外気用流路60と、換気装置20から住戸100の外部に空気を排出する排出流路70と、廊下108およびキッチン104の空気を換気装置20に供給する還気流路80とを備える。また、空気調和システム1は、トイレ105、洗面室106および浴室107の空気を排出流路70に排出する第2排出流路75を備える。
【0014】
また、空気調和システム1は、第3居室103に、ユーザが、温度および湿度の少なくともいずれかを設定可能な設定器90を備えている。
また、空気調和システム1は、各居室および廊下108に、それぞれ、居室内または廊下108の温度を検出する温度センサ91と、居室内または廊下108の湿度を検出する湿度センサ92と、人の存在を検知する人感センサ93とを有している。
【0015】
(空気調和機10)
空気調和機10は、圧縮機、四路切換弁、熱交換器、ファン、膨張弁等を有する室外機11と、熱交換器、ファン等を有する室内機12とを備える。空気調和機10は、1台の室外機11と1台の室内機12が接続されている。
【0016】
(換気装置20)
換気装置20は、直方体状の筐体21の中に、給気を送る給気ファン22と、排気を送る排気ファン23と、給気と排気との間で熱交換を行う熱交換素子24と、熱交換素子24を通過した空気を加湿するための加湿器26とを備えている。また、換気装置20は、熱交換素子24の上流側で住戸100の外部から取り込んだ空気である外気中に混ざり込んだ固形物や異物を取り除くフィルタ27と、フィルタ27における上流側の圧力と下流側の圧力との圧力差を検知する差圧センサ28とを備えている。
図1および
図2に示すように、換気装置20は、廊下108の天井裏112に設置されている。
【0017】
筐体21は、
図2および
図3の左右方向が長手方向、
図2の紙面に直交する方向および
図3の上下方向が短手方向、
図2の上下方向および
図3の紙面に直交する方向が上下方向である直方体状である。筐体21における長手方向の一方(
図2においては右側)の側面には、外気を吸い込む外気吸い込み口211と、排気を吐き出す排気吐き出し口212とが設けられている。また、筐体21における長手方向の他方(
図2においては左側)の側面には、各居室に供給される給気を吐き出す給気吐き出し口213と、住戸内から戻ってくる還気を吸い込む還気吸い込み口214とが設けられている。
図2においては、模式的に記載しているが、
図3に示すように、外気吸い込み口211と排気吐き出し口212は短手方向に並ぶように設けられており、給気吐き出し口213と還気吸い込み口214は短手方向に並ぶように設けられている。
【0018】
外気吸い込み口211には外気用流路60の一方の端部が接続されている。外気用流路60の他方の端部は、玄関109の近くに設けられた、住戸100の外部と内部とを仕切る壁に取り付けられており、外気が外気用流路60の他方の端部、外気吸い込み口211を介して筐体21内に吸い込まれる。
【0019】
排気吐き出し口212には排出流路70の一方の端部が接続されている。排出流路70の他方の端部は、第3居室103とベランダ110とを仕切る壁に取り付けられており、排気吐き出し口212から吐き出された空気が排出流路70を介して住戸100の外部に排出される。
【0020】
給気吐き出し口213には供給流路50の一方の端部が接続されている。供給流路50の他方の端部は、第1居室101、第2居室102、第3居室103それぞれに設けられた吐き出し口51と連通しており、給気吐き出し口213から吐き出された空気が供給流路50、吐き出し口51を介して各居室に供給される。
【0021】
還気吸い込み口214には還気流路80の一方の端部が接続されている。還気流路80の他方の端部は、廊下108およびキッチン104に設けられた吸い込み口81と連通しており、吸い込み口81から吸い込まれた廊下108およびキッチン104の空気が、還気流路80、還気吸い込み口214を介して筐体21内に吸い込まれる。なお、還気流路80の他方の端部が連通するのは、廊下108またはキッチン104のいずれかであっても良い。
【0022】
また、換気装置20は、筐体21の内部に、外気吸い込み口211から吸い込んだ外気を給気吐き出し口213に供給するための給気流路215と、還気吸い込み口214から吸い込んだ還気を排気吐き出し口212に供給するための排気流路216とを有している。給気流路215上には給気ファン22が設けられ、排気流路216上には排気ファン23が設けられている。
【0023】
[熱交換素子24]
熱交換素子24は、例えば、平板紙上に波板紙(コルゲートシート)を接着して形成された熱交換素子24内の給気流路215と、同様に平板紙上に波板紙(コルゲートシート)を接着して形成された熱交換素子24内の排気流路216とが、給気流路215の方向と排気流路216の方向が直交するように多数積層されて構成されている。そして、熱交換素子24内の給気流路215を通る給気と、熱交換素子24内の排気流路216を通る排気との間で熱交換が行われる。
【0024】
[加湿器26]
加湿器26は、熱交換素子24と給気吐き出し口213との間に配置されている。加湿器26は、滴下気化式の加湿器であり、水分を吸収する素材で成形された加湿エレメント261と、加湿エレメント261に対して給水する給水部262と、加湿エレメント261を通った水を排水する排水部263とを有している。そして、加湿器26は、水が含ませられた加湿エレメント261に給気ファン22からの給気が当てられることで給気を加湿する。
【0025】
給水部262は、水道等の給水源と接続された給水配管接続口264と、加湿エレメント261と給水配管接続口264とを連通させる給水配管265と、給水配管265内を流通する水量を調整する給水弁266とを有している。
加湿エレメント261には、給水配管265と給水配管接続口264を介して、給水源の水が供給される。
【0026】
給水弁266は加湿エレメント261の給水流量を調整する弁である。給水弁266は給水配管265の途中に配置されている。給水弁266は例えば弁の開度を制御することができる二方弁であることを例示することができる。制御装置40は、給水弁266の開度を制御することで、加湿エレメント261への給水流量を制御する。
【0027】
排水部263は、加湿器26から排出される水を受ける排水パン267と、排水パン267に溜まった水を排水する排水口268とを備えている。排水パン267に溜まった水の排水方法は、排水口268に、例えば塩ビ管を接続し、塩ビ管の自然勾配を利用して排水する方法であることを例示することができる。また、排水パン267に溜まった水をポンプにて強制的に排水しても良い。
【0028】
(床暖房装置30)
床暖房装置30は、例えば住戸100の外部に設置された熱源機で作られた温水を、配管を用いて床材直下まで導き、床材を加温することで居室を温める温水式であることを例示することができる。あるいは、床暖房装置30は、電気を熱源とする発熱体を床材直下に組み込み、通電して床材を加温することで居室を温める電気式であっても良い。本実施形態においては、床暖房装置30は、第3居室103に設置されている。
【0029】
(排気ファン35)
排気ファン35は、浴室107の天井裏112に設置されて、トイレ105、洗面室106および浴室107の空気を吸い込み口76から吸い込み、第2排出流路75、排出流路70を介して住戸100外に排出する。
【0030】
(供給流路50)
供給流路50は、換気装置20の給気吐き出し口213と、各居室とを連通するように住戸100の天井裏112に配置されている。より具体的には、換気装置20の給気吐き出し口213から吐出された給気を、第1居室101、第2居室102、第3居室103それぞれに設けられた吐き出し口51から、各居室へ吐出するように、給気吐き出し口213と、第1居室101、第2居室102および第3居室103とを連通する。供給流路50は、ダクト等で構成される。
【0031】
(外気用流路60)
外気用流路60は、換気装置20の外気吸い込み口211と、住戸100の外部とを連通するように住戸100の天井裏112に配置されている。より具体的には、外気用流路60は、玄関109の外にある共用廊下から吸い込んだ外気を、換気装置20の外気吸い込み口211から吸い込むように、外気吸い込み口211と住戸100の外部とを連通する。外気用流路60は、ダクト等で構成される。
【0032】
(排出流路70)
排出流路70は、換気装置20の排気吐き出し口212と、住戸100の外部とを連通するように住戸100の天井裏に配置されている。より具体的には、排出流路70は、一方の端部に接続された換気装置20の排気吐き出し口212から吐出された排気を、ベランダ110に吐出するように、排気吐き出し口212と、ベランダ110とを連通する。排出流路70は、ダクト等で構成される。なお、上述したように、排出流路70の他方の端部は、第3居室103とベランダ110とを仕切る壁に取り付けられているが、排出流路70の他方の端部は、玄関109の近くに設けられて、住戸100の外部と内部とを仕切る壁に取り付けられていても良い。
【0033】
(第2排出流路75)
第2排出流路75は、トイレ105、洗面室106および浴室107と、排出流路70とを連通するように住戸100の天井裏112に配置されている。より具体的には、第2排出流路75は、トイレ105、洗面室106および浴室107それぞれに設けられた吸い込み口76から吸い込んだ空気を第2排出流路75に吐出するように、トイレ105、洗面室106および浴室107と排出流路70とを連通する。第2排出流路75は、ダクト等で構成される。
【0034】
(還気流路80)
還気流路80は、換気装置20の還気吸い込み口214と、廊下108およびキッチン104とを連通するように住戸100の天井裏112に配置されている。より具体的には、還気流路80は、廊下108およびキッチン104に設けられた吸い込み口81から吸い込んだ還気を、換気装置20の還気吸い込み口214から吸い込むように、還気吸い込み口214と、廊下108とを連通する。還気流路80は、ダクト等で構成される。
【0035】
(設定器90)
設定器90は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示部と、操作ボタン等の操作部と有する機器であることを例示することができる。設定器90は、壁に備え付けられていても良いし、可搬型の機器であっても良い。壁に備え付けられている場合には、設定器90は、他の居室や廊下108に備え付けられていても良い。また、設定器90は、全ての居室に備え付けられていても良いし、全ての居室に加えて廊下108に備え付けられていても良い。
【0036】
(制御装置40)
図4は、制御装置40の概略構成の一例を示す図である。
制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バックアップRAM等からなる算術論理演算回路である。制御装置40と、温度センサ91、湿度センサ92、人感センサ93、空気調和機10、換気装置20、床暖房装置30および排気ファン35とは、ネットワークを介して互いに通信を行うことが可能となっている。ネットワークは、データ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)であることを例示することができる。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。無線LANは、例えばWiFi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)であることを例示することができる。
【0037】
そして、制御装置40には、各居室に設けられた、温度センサ91、湿度センサ92にて検出された、温度、湿度が入力される。また、制御装置40には、各居室に設けられた人感センサ93の検知結果である、人の存在の有無が入力される。
制御装置40は、天井裏112や床111の下方に配置されていることを例示することができる。
そして、制御装置40は、各種センサからの出力に基づいて、空気調和機10、換気装置20、床暖房装置30および排気ファン35の作動を制御する。以下、制御装置40による制御態様について詳述する。
【0038】
制御装置40は、湿度センサ92にて検出された湿度(以下、「検出湿度」と称する場合がある。)に基づいて、換気装置20の作動を制御する。例えば、制御装置40は、複数の居室の内のいずれかの湿度センサ92に検出された湿度が、設定器90を用いて設定された湿度、または、ROM等の記憶領域に予め記憶された湿度(以下、設定された湿度および予め記憶された湿度を「目標湿度」と称する場合がある。)となるように、換気装置20の作動を制御する。
【0039】
例えば、制御装置40は、複数の居室の内の少なくともいずれかの居室の検出湿度が目標湿度よりも低く、検出湿度と目標湿度との湿度差が予め定められた所定湿度差以上である場合には、加湿器26にて加湿するように、換気装置20の作動を制御する。つまり、制御装置40は、給水弁266の開度を0度よりも大きくすることで、加湿エレメント261に給水するとともに、給気ファン22および排気ファン23を作動させる。これにより、給気ファン22からの空気を、水分を吸収した加湿エレメント261を通過させることで加湿して各居室に供給する。以下、給水弁266の開度を0度よりも大きくして加湿エレメント261に給水させることを、「加湿器26を作動させる」と称する場合がある。
【0040】
他方、制御装置40は、複数の居室の検出湿度が目標湿度以上である場合には、加湿器26の作動を停止する。つまり、制御装置40は、給水弁266の開度を0度とすることで、加湿エレメント261に給水しないようにし、給気ファン22からの空気が加湿エレメント261を通過したとしても加湿しないようにする。以下、給水弁266の開度を0度として加湿エレメント261に給水しないことを、「加湿器26の作動を停止する」、あるいは、「加湿器26を作動させない」と称する場合がある。
【0041】
また、制御装置40は、複数の居室の内の少なくともいずれかの居室の検出湿度が目標湿度よりも高く、検出湿度と目標湿度との湿度差が予め定められた所定湿度差以上である場合には、加湿器26の作動を停止するとともに、当該居室に設置されている空気調和機10を除湿運転しても良い。
【0042】
また、制御装置40は、人感センサ93からの出力に基づいて換気装置20等の作動を制御しても良い。例えば、制御装置40は、複数の居室の内、人感センサ93が人の存在を検知した居室の湿度が、目標湿度となるように、換気装置20の作動を制御する。
【0043】
より具体的には、制御装置40は、複数の居室の内の少なくともいずれかの居室に人が居る場合であって、人が居る居室の検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、検出湿度と目標湿度との湿度差が予め定められた所定湿度差以上である場合には、加湿器26を作動させて加湿するとともに、給気ファン22および排気ファン23を作動させる。これにより、換気装置20から吐出された加湿された空気が、検出湿度が目標湿度よりも低い、人が居る居室に供給され、当該居室の湿度が目標湿度となり易くなる。
【0044】
他方、制御装置40は、複数の居室の内の少なくともいずれかの居室に人が居る場合であって、人が居る居室の検出湿度が目標湿度よりも低くても検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差未満であるか、または、人が居る居室の検出湿度が目標湿度以上である場合には、少なくとも加湿器26の作動させないように、換気装置20の作動を制御する。つまり、制御装置40は、少なくとも、給水弁266の開度を0度とすることで、加湿エレメント261に給水しないようにし、給気ファン22からの空気が加湿エレメント261を通過したとしても加湿しないようにする。また、制御装置40は、給気ファン22および排気ファン23を作動させる。ただし、制御装置40は、人が居る居室の検出温度(温度センサ91にて検出された温度(以下、「検出温度」と称する場合がある。)と、設定器90を用いて設定された温度、または、ROM等の記憶領域に予め記憶された温度(以下、設定された温度および予め記憶された温度を「目標温度」と称する場合がある。)との温度差が予め定められた所定温度差(例えば0.5度)未満である場合には給気ファン22および排気ファン23の作動を停止しても良い。
【0045】
なお、制御装置40は、複数の居室の内の少なくともいずれかの居室に人が居る場合であって、人が居る居室の検出湿度が目標湿度よりも高く、検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差以上である場合には、人が居る居室に設置されている空気調和機10を除湿運転しても良い。
【0046】
図5は、制御装置40が行う換気装置20の作動制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
制御装置40は、この処理を、例えば予め定めた制御周期にて(例えば1ミリ秒毎に)繰り返し実行する。
制御装置40は、先ず、いずれかの居室に人が居るか否かを判断する(S501)。居ない場合(S501でNO)には、本処理を終了する。他方、居る場合(S501でYES)には、制御装置40は、人が居る居室の検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差以上であるか否かを判断する(S502)。人が居る居室の検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差以上である場合(S502でYES)、制御装置40は、加湿器26、給気ファン22および排気ファン23を作動させる(S503)。
【0047】
他方、人が居る居室の検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差未満である場合、または、人が居る居室の検出湿度が目標湿度以上である場合(S502でNO)、制御装置40は、少なくとも加湿器26の作動を停止させる(S504)。
【0048】
なお、制御装置40は、加湿器26を作動させずに、人が居る居室の検出温度と目標温度との温度差が予め定められた所定温度差以上であることに起因して給気ファン22および排気ファン23を作動させる際には、以下のように空気調和機10や床暖房装置30の作動を制御しても良い。すなわち、制御装置40は、検出温度が目標温度よりも高い場合には人が居る居室の空気調和機10にて当該居室を冷却し、検出温度が目標温度よりも低い場合には人が居る居室の空気調和機10や床暖房装置30にて当該居室を暖めても良い。
【0049】
また、制御装置40は、複数の居室の全てに人が居なくても、換気装置20を作動させても良い。その際、制御装置40は、いずれかの居室(例えば設定器90を用いて設定された居室(例えば第3居室103))の検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差未満となるように、換気装置20を作動させることを例示することができる。複数の居室の全てに人が居なくても換気装置20を作動させる場合、制御装置40は、いずれかの居室に人が居る場合の制御態様よりも省エネ運転モードとしても良い。例えば、加湿器26を作動させるか否かの閾値となる所定湿度差を、複数の居室の全てに人が居ない場合における所定湿度差が、いずれかの居室に人が居る場合における所定湿度差よりも大きくなるようにしても良い。
【0050】
また、複数の居室の全てに人が居なくても、換気装置20を作動させる際、制御装置40は、検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差未満であっても、いずれかの居室(例えば設定器90を用いて設定された居室(例えば第3居室103))の検出温度と目標温度との温度差が所定温度差未満となるように、換気装置20や空気調和機10や床暖房装置30を作動させても良い。複数の居室の全てに人が居なくても換気装置20を作動させる場合、制御装置40は、いずれかの居室に人が居る場合の制御態様よりも省エネ運転モードとしても良い。例えば、空気調和機10を作動させるか否かの閾値となる所定温度差を、複数の居室の全てに人が居ない場合における所定温度差が、いずれかの居室に人が居る場合における所定温度差よりも大きくなるようにすると良い。また、省エネ運転モードとする際に、制御装置40は、いずれかの居室の検出温度が目標温度よりも低く、検出温度と目標温度との温度差が所定温度差以上である場合に、空気調和機10を作動させずに床暖房装置30だけを作動させても良い。
【0051】
また、換気装置20は、排気流路216の途中に、還気吸い込み口214から吸い込んだ還気を、熱交換素子24を迂回して排気吐き出し口212に供給するバイパス流路を有するとともに、制御装置40は、検出湿度、検出温度と、検出した外気湿度、外気温度とに基づいて、還気吸い込み口214から吸い込んだ還気を、バイパス流路を通すか、熱交換素子24を通すかを切り替えても良い。例えば、検出温度が目標温度よりも高く、外気温度が検出温度よりも低い場合には、制御装置40は、還気吸い込み口214から吸い込んだ還気を、バイパス流路を通すように、換気装置20を制御すると良い。また、検出した外気の温度および湿度から算出される不快指数が60以上70以下であり、熱交換素子24にて還気と外気とを熱交換させることによって悪化する場合には、制御装置40は、還気と外気とを熱交換させないようにするべく、還気吸い込み口214から吸い込んだ還気を、バイパス流路を通すように、換気装置20を制御すると良い。なお、外気湿度、外気温度は、給気流路215における、例えばフィルタ27の上流側に設けられたセンサにて検出されることを例示することができる。また、外気の不快指数は以下の式(1)にて算出される値である。
不快指数=0.81×温度(℃)+0.01×湿度(%)×(0.99×温度(℃)-14.3)+46.3・・・(1)
【0052】
また、各居室には、結露を感知する結露センサを備えていても良い。そして、制御装置40は、複数の居室の内の少なくともいずれかの居室の結露センサが結露を感知した場合に、当該居室に設置されている空気調和機10を除湿運転しても良い。
また、各居室には、サーキュレーターファンを備えていても良い。そして、制御装置40は、例えば空気調和機10を作動させているときにサーキュレーターファンを作動させると良い。
【0053】
(フィルタ27の交換時期の報知)
制御装置40は、差圧センサ28が検出した、フィルタ27における上流側の圧力と下流側の圧力との圧力差が予め定められた値以上である場合に、フィルタ27に目詰まりが生じていると判断する。そして、制御装置40は、フィルタ27に目詰まりが生じていると判断した場合には、フィルタ27に目詰まりが生じており、フィルタ27の交換時期であることをユーザに報知する。報知する手法としては、設定器90の表示部にフィルタ27の交換時期である旨を表示することを例示することができる。ただし、制御装置40は、他の方法にて報知しても良い。
【0054】
以上説明したように、空気調和システム1は、住戸100の外部から取り入れた空気と住戸100の内部から外部に排出する空気との間で熱交換させる熱交換部の一例としての熱交換素子24と、熱交換素子24にて熱交換された後の空気に対して加湿する加湿部の一例としての加湿器26とを有し、天井裏112に配置された換気装置20を備える。また、空気調和システム1は、換気装置20から吐出された空気を、住戸100の内部に供給する供給流路50と、住戸100の内部の空気を換気装置20に供給する還気流路80と、供給流路50から空気が供給される供給部位(例えば第3居室103)と空気が換気装置20に供給される還気部位(例えば廊下108およびキッチン104の少なくともいずれか)とを連通する連通路(例えば扉103aと床111との間の隙間)とを備える。また、空気調和システム1は、居室(例えば第3居室103)の湿度を検出する湿度センサ92の検出湿度が目標湿度よりも低く、かつ、当該検出湿度と当該目標湿度との湿度差が予め定められた所定湿度差以上である場合には、加湿器26にて加湿するように、換気装置20の作動を制御する制御装置40を備える。
【0055】
このように構成された空気調和システム1によれば、住戸100の内部に対して加湿器26にて加湿された空気が供給される。そして、加湿器26を有する換気装置20は、天井裏112に配置されているので、例えば住戸100の床111に、空気調和機10とは別体の加湿器を設置する必要がない。それゆえ、例えば住戸100の床111に空気調和機10とは別体の加湿器を設置するスペースがなくても住戸100内の加湿を行うことができる。
【0056】
また、換気装置20の熱交換素子24は、住戸100の内部の還気部位(例えば廊下108およびキッチン104の少なくともいずれか)から外部に排出する空気と外気との間で熱交換させる。また、この還気部位は、供給部位(例えば第3居室103)と連通している。それゆえ、例えば冬場等の冷間時であっても、冷たい外気を、還気部位の温かい空気と熱交換させた後に住戸100の内部に供給するので、住戸100の内部が急激に冷たくなることを抑制することができる。
【0057】
ここで、供給部位は居室(例えば第3居室103)であり、還気部位は廊下108およびキッチン104の少なくともいずれかであることを例示することができる。これにより、居室(例えば第3居室103)の床111に空気調和機10とは別体の加湿器を設置するスペースがなくても居室内の加湿を行うことができる。また、供給部位である居室とは異なる還気部位の空気を還気することで、換気装置20から供給された空気が居室の空調を行くことなく、直接換気装置20に還気されることが抑制される。
【0058】
また、加湿器26は、水分を吸収する素材で成形された加湿エレメント261と、加湿エレメント261に対して水道水を供給する給水部262とを有する。それゆえ、居住者が加湿器26に対して水を補給する必要がない。そのため、水を頻繁に補給する必要がある加湿器を使用するのに比べて、水を補給する手間をなくすことができる。このように、空気調和システム1によれば、居住者に、空気調和機10とは別体の加湿器を設置することを考えることや水を補給する手間をなくすことを実現するので、居住者は、住戸100内の加湿を簡便に行うことができることとなる。
【0059】
制御装置40は、検出湿度が目標湿度以上であるか、または、検出湿度と目標湿度との湿度差が所定湿度差未満である場合には、加湿器26の作動を停止する。これにより、例えば夏場等、外気の湿度が高い場合には、加湿器26を作動させないので、省エネを図ることができる。
【0060】
また、換気装置20は、住戸100の外部から取り入れた空気中の固形物を取り除くフィルタ27を有し、制御装置40は、フィルタ27の交換時期を報知する。それゆえ、例えばフィルタ27にて圧力損失が生じることに起因して熱交換性能などが低下することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…空気調和システム、10…空気調和機、11…室外機、12…室内機、20…換気装置、22…給気ファン、23…排気ファン、24…熱交換素子、26…加湿器、30…床暖房装置、35…排気ファン、40…制御装置、262…給水部、263…排水部、265…給水配管、266…給水弁