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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063100
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】繊維集合体及び繊維集合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20230427BHJP
   D04H 3/04 20120101ALI20230427BHJP
【FI】
C12M3/00 A
D04H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173395
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】中村 太一
(72)【発明者】
【氏名】塚原 法人
【テーマコード(参考)】
4B029
4L047
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029BB11
4B029CC02
4L047AA13
4L047AA19
4L047BA08
4L047BD02
4L047BD03
4L047CA03
4L047CC03
4L047EA01
(57)【要約】
【課題】配列した複数の繊維を含む繊維集合体において、繊維集合体の厚み方向のギャップとギャップ部分の空間領域の確保とを両立させた繊維集合体を提供する。
【解決手段】支持シートの主面上に高分子材料からなり、第1の方向に延在する複数のタテ糸が第1の方向と交差する第2の方向に沿って配列してなるタテ糸群と、高分子材料からなり、前記第2の方向に延在する複数のヨコ糸が第1の方向に沿って配列してなるヨコ糸群と、を備え、タテ糸群とヨコ糸群との接触部と非接触部とを複数有し、接触部は、タテ糸とヨコ糸とが一体化した領域であって、支持シートの主面上に離型処理が施され、タテ糸の線幅が1~10μmであり、ヨコ糸の線幅が10~80μmであり、隣接するタテ糸の間の距離は、隣接するヨコ糸の間の距離よりも狭く、ヨコ糸群は、2本以上のヨコ糸が第1の方向及び第2の方向と交差する厚み方向に積層している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持シートの主面上に、高分子材料からなり、第1の方向に延在する複数のタテ糸が前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って配列してなるタテ糸群と、
高分子材料からなり、前記第2の方向に延在する複数のヨコ糸が前記第1の方向に沿って配列してなるヨコ糸群と、
を備え、
前記タテ糸群と前記ヨコ糸群との接触部と非接触部とを複数有し、
前記接触部は、前記タテ糸と前記ヨコ糸とが一体化した領域であって、
前記支持シートの主面上に離型処理が施され、
前記タテ糸の線幅が1~10μmであり、前記ヨコ糸の線幅が10~80μmであり、
隣接する前記タテ糸の間の距離は、隣接する前記ヨコ糸の間の距離よりも狭く、
前記ヨコ糸群は、2本以上のヨコ糸が前記第1の方向及び前記第2の方向と交差する厚み方向に積層している、
繊維集合体。
【請求項2】
前記厚み方向に積層した2本以上のヨコ糸は、互いに融着することで一部が一体化して厚み方向に重なっている、
請求項1に記載の繊維集合体。
【請求項3】
前記高分子材料は熱可塑性樹脂が主成分である、請求項1または2に記載の繊維集合体。
【請求項4】
回転体に筒状に巻回して固定されて回転する支持シートに対して、高分子材料からなる繊維を供給する供給ノズルが回転軸方向に移動しながら繊維を略平行に紡糸することで配列してなる繊維群を配置する、請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維集合体の製造方法であって、
前記回転体に巻回している前記支持シートの周方向に対向する両端の間の隙間部に略直線上に取り付けたセンサによって、前記回転体の周期と前記供給ノズルの移動のタイミングとを同期することにより、単一の糸を厚み方向に複数重ねながら配列してなる糸の群を形成する工程を少なくとも含む、
繊維集合体の製造方法。
【請求項5】
支持シートを回転体の外周面に巻回するように取り付ける工程と、
前記回転体を回転軸について回転させると共に、第1繊維の原料液を供給する第1供給ノズルを前記回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第1繊維が筒状の支持シートの周面を周回するように配置する第1繊維群を形成する工程と、
前記支持シートが巻回して対向する部分の前記第1繊維群を切断し、前記第1繊維群を前記支持シートと共に前記回転体から取り外す工程と、
前記第1繊維群と共に前記回転体から取り外した前記支持シートを90°回転して前記回転体に巻回するように取り付ける工程と、
前記回転体を前記回転軸について回転させると共に、第2繊維の原料液を供給する第2供給ノズルを前記回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第2繊維を前記支持シートの第1主面に前記第1繊維群と交差して前記回転体の外周面を周回するように配置する第2繊維群を形成する工程と、
前記支持シートが巻回して対向する部分の前記第2繊維群を切断し、前記第1繊維群および前記第2繊維群を前記支持シートと共に前記回転体から取り外す工程と、
前記第1繊維群、前記第2繊維群と共に前記回転体から取り外した前記支持シートを90°回転して前記回転体に巻回するように取り付ける工程と、
前記回転体を前記回転軸について回転させると共に、第3繊維の原料液を供給する第3供給ノズルを前記回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第3繊維を前記支持シートの前記第1主面に前記第2繊維群と交差して前記回転体の外周面を周回するように配置する第3繊維群を形成する工程と、
前記支持シートが巻回して対向する部分の前記第3繊維群を切断し、前記第1繊維群、前記第2繊維群、前記第3繊維群を前記支持シートと共に前記回転体から取り外し、前記第1繊維群、前記第2繊維群、前記第3繊維群が形成された繊維集合体を得る工程と、
を含み、
前記第2繊維群を形成する工程において、
前記第2供給ノズルを前記回転軸の方向に沿って相対移動させる速度を減衰させて、厚み方向に複数本の前記第2繊維を塗布し、
前記第2供給ノズルを加速させて、間隔を空けて次の第2繊維を塗布する、
繊維集合体の製造方法。
【請求項6】
前記第2供給ノズルの相対速度を減衰から加速に切り替えるタイミングを、前記回転体の外周面に巻回している前記支持シートの周方向に対向する両端の間の隙間部と対応させる、請求項5に記載の繊維集合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、交差する複数の繊維を含む繊維集合体及び繊維集合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生物組織や微生物を培養するための培養用足場として、繊維基材が注目されている。特に、生物組織や微生物の成長に方向性が見られる場合、繊維基材を構成する繊維がある一定方向に配列していることが望ましく、繊維を巻取回転体の周面に周回するように堆積させることにより配列性を高める方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-79460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載した繊維集合体の製造方法では繊維の配列性は優れるものの、厚み方向のギャップが狭いため、脆弱体(例えば、生物組織や微生物)の保持量が少ない要因となっていた。
【0005】
本開示は上記に鑑みてなされ、細く、高度に配列した繊維を含む繊維集合体の厚み方向のギャップ確保とギャップ部分の空間領域の確保とを両立させた繊維集合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る繊維集合体は、支持シートの主面上に高分子材料からなり、第1の方向に延在する複数のタテ糸が第1の方向と交差する第2の方向に沿って配列してなるタテ糸群と、高分子材料からなり、前記第2の方向に延在する複数のヨコ糸が第1の方向に沿って配列してなるヨコ糸群と、を備え、タテ糸群とヨコ糸群との接触部と非接触部とを複数有し、接触部はタテ糸とヨコ糸とが一体化した領域であって、支持シートの主面上に離型処理が施され、タテ糸の線幅が1~10μmであり、ヨコ糸の線幅が10~80μmであり、隣接するタテ糸の間の距離は、隣接するヨコ糸の距離よりも狭く、ヨコ糸群は、2本以上のヨコ糸が第1の方向及び第2の方向と交差する厚み方向に積層している。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る繊維集合体によれば、繊維集合体の厚み方向のギャップ確保とギャップ部分の空間領域の確保との両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1-1】本実施の形態1に係る繊維集合体の主面において、タテ糸群の繊維密度が密のみのパターンを有し、ヨコ糸群の繊維密度が疎のみのパターンを有する場合を拡大例示した概略図である。
図1-2】図1-1の場合における、第1接触部領域を示す概略図である。
図2-1】本実施の形態1に係る繊維集合体の主面において、タテ糸群の繊維密度が密と疎のパターンを有し、ヨコ糸群の繊維密度が疎のみのパターンを有する場合を拡大例示した概略図である。
図2-2】図2-1の場合における、第1接触部領域を示す概略図である。
図3】本実施の形態1に係る繊維集合体の第1接触部領域の一部の断面を拡大例示した概略図である。
図4】本実施の形態1に係る繊維集合体の第1接触部領域の一部の断面を拡大例示した概略図である。
図5A】本実施の形態1に係る繊維集合体から実使用部分を個片カットする際の切断線を示す概略図である。
図5B図5Aで個片カットされた部分に枠体を押圧して接着する動作の一部を示す斜視図である。
図5C図5Bの枠体を支持シートから剥離した後の斜視図である。
図5D図5Cで枠体を介して自立化した繊維群を容器の開口面に接着した斜視図である。
図6】本実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法における各工程のフローチャートである。
図7】実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法のうち、第1取り付け工程、及び、第2取り付け工程の一例を示す斜視図である。
図8】実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法のうち、第1取り付け工程、第2取り付け工法の一例を示す断面図である。
図9】実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法のうち、第1繊維形成工程の一例を示す斜視図である。
図10】実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法のうち、第2繊維形成工程の一例を示す斜視図である。
図11】実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法のうち、第3繊維形成工程の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の態様に係る繊維集合体は、支持シートの主面上に、高分子材料からなり、第1の方向に延在する複数のタテ糸が第1の方向と交差する第2の方向に沿って配列してなるタテ糸群と、高分子材料からなり、前記第2の方向に延在する複数のヨコ糸が第1の方向に沿って配列してなるヨコ糸群と、を備え、タテ糸群とヨコ糸群との接触部と非接触部とを複数有し、接触部は、タテ糸とヨコ糸とが一体化した領域であって、支持シートの主面上に離型処理が施され、タテ糸の線幅が1~10μmであり、ヨコ糸の線幅が10~80μmであり、隣接するタテ糸の間の距離は、隣接するヨコ糸の間の距離よりも狭く、ヨコ糸群は、2本以上のヨコ糸が第1の方向及び第2の方向と交差する厚み方向に積層している。
【0010】
第2の態様に係る繊維集合体は、上記第1の態様において、厚み方向に積層した2本以上のヨコ糸は、互いに融着することで一部が一体化して厚み方向に重なっていてもよい。
【0011】
第3の態様に係る繊維集合体は、上記第1又は第2の態様において、高分子材料は熱可塑性樹脂が主成分であってもよい。
【0012】
第4の態様に係る繊維集合体の製造方法は、回転体に筒状に巻回して固定されて回転する支持シートに対して、高分子材料からなる繊維を供給する供給ノズルが回転軸方向に移動しながら繊維を略平行に紡糸することで配列してなる繊維群を配置する、上記第1から第3のいずれかの態様に係る繊維集合体の製造方法であって、回転体に巻回している支持シートの周方向に対向する両端の間の隙間部に略直線上に取り付けたセンサによって、回転体の周期と供給ノズルの移動のタイミングとを同期することにより、単一の糸を厚み方向に複数重ねながら配列してなる糸の群を形成する工程を少なくとも含む。
【0013】
第5の態様に係る繊維集合体の製造方法は、支持シートを回転体の外周面に巻回するように取り付ける工程と、回転体を回転軸について回転させると共に、第1繊維の原料液を供給する第1供給ノズルを回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第1繊維が筒状の支持シートの周面を周回するように配置する第1繊維群を形成する工程と、支持シートが巻回して対向する部分の第1繊維群を切断し、第1繊維群を支持シートと共に回転体から取り外す工程と、第1繊維群と共に回転体から取り外した支持シートを90°回転して回転体に巻回するように取り付ける工程と、回転体を回転軸について回転させると共に、第2繊維の原料液を供給する第2供給ノズルを回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第2繊維を支持シートの第1主面に第1繊維群と交差して回転体の外周面を周回するように配置する第2繊維群を形成する工程と、支持シートが巻回して対向する部分の第2繊維群を切断し、第1繊維群および第2繊維群を支持シートと共に回転体から取り外す工程と、第1繊維群、第2繊維群と共に回転体から取り外した支持シートを90°回転して回転体に巻回するように取り付ける工程と、回転体を前記回転軸について回転させると共に、第3繊維の原料液を供給する第3供給ノズルを回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第3繊維を前記支持シートの第1主面に第2繊維群と交差して回転体の外周面を周回するように配置する第3繊維群を形成する工程と、支持シートが巻回して対向する部分の前記第3繊維群を切断し、第1繊維群、第2繊維群、第3繊維群を支持シートと共に回転体から取り外し、第1繊維群、第2繊維群、第3繊維群が形成された繊維集合体を得る工程と、を含み、第2繊維群を形成する工程において、第2供給ノズルを回転軸の方向に沿って相対移動させる速度を減衰させて、厚み方向に複数本の前記第2繊維を塗布し、第2供給ノズルを加速させて、間隔を空けて次の第2繊維を塗布してもよい。
【0014】
第6の態様に係る繊維集合体の製造方法は、上記第5の態様において、第2供給ノズルの相対速度を減衰から加速に切り替えるタイミングを、回転体の外周面に巻回している支持シートの周方向に対向する両端の間の隙間部と対応させてもよい。
【0015】
以下、実施の形態に係る繊維集合体の製造装置及び線維集合体の製造方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
【0016】
(実施の形態1)
<繊維集合体>
図1-1、図1-2、図2-1及び図2-2は、本実施の形態1に係る繊維集合体100の主面において、タテ糸群の繊維密度が密のみのパターン又は密と疎のパターンを有し、ヨコ糸群の繊維密度が疎のみのパターンを有するそれぞれの場合を拡大例示した概略図である。便宜上、ヨコ糸群103を構成するヨコ糸の延在する方向をX方向とし、タテ糸群102-1、102-2を構成するタテ糸の延在する方向をY方向とし、繊維集合体100の主面X-Y面に垂直な方向をZ方向としている。
実施の形態1に係る繊維集合体100は、支持シート101の主面上に、高分子材料からなり、第1の方向(Y方向)に延在する複数のタテ糸が第1の方向(Y方向)と交差する第2の方向(X方向)に沿って配列してなるタテ糸群102-1、102-2と、高分子材料からなり、第2の方向(X方向)に延在する複数のヨコ糸が第1の方向(Y方向)に沿って配列してなるヨコ糸群103と、を備える。また、繊維集合体100は、タテ糸群102-1、102-2とヨコ糸群103との接触部30と非接触部とを複数有する。接触部は、タテ糸とヨコ糸とが一体化した領域である。また、支持シート101の主面上には離型処理が施されている。また、タテ糸の線幅が1~10μmであり、タテ糸の線幅が10~80μmである。隣接するタテ糸の間の距離は、隣接するヨコ糸の間の距離よりも狭い。また、ヨコ糸群103は2本以上のヨコ糸が第1の方向(Y方向)及び第2の方向(X方向)と交差する厚み方向(Z方向)に積層している。
【0017】
本実施の形態1に係る繊維集合体100は、支持シート101と、その主面上に配列されたタテ糸群A102―1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2と、で構成される。
【0018】
<支持シート>
支持シート101の主面に近い側から、タテ糸群A102-1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2が順に積層され、糸の線幅はタテ糸群A102-1、タテ糸群B102-2よりもヨコ糸群103の方が太く、また繊維密度はタテ糸群A102-1、タテ糸群B102-2よりもヨコ糸群103の方が疎である。
支持シート101は、75μm厚のPETフィルムを用い、主面にはフッ素材料により離型処理(図示せず)が施されている。支持シート101に、離型処理が施されているフィルムを用いる理由については後述の繊維集合体の製造方法で詳細に説明する。
【0019】
<タテ糸群及びヨコ糸群>
タテ糸群A102-1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2の素材である高分子材料はポリスチレンを用いている。
タテ糸群A102-1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2の素材については、後述するような紡糸法によって支持体を作製することができ、熱可塑性を有し、加熱により溶融化して紡糸可能な材料であればよい。タテ糸群A102-1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2の素材としては、ポリスチレンのみならず、例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリーL-乳酸(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、乳酸―グリコール酸共重合体(PLGA)などが挙げられるがこれらに限定されない。また、例えば、一定の導電性を持たせるため等、高分子を主成分とする素材中に無機フィラーが分散していてもよく、タテ糸群A102-1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2は同じ素材を用いても別の素材を組み合わせてもよい。
【0020】
また後述するようにタテ糸群A102-1、タテ糸群B102-2とヨコ糸群103の接触部分を一体化させる必要があるが、ここに挙げた候補材料は熱可塑性を示し、熱融着による一体化も満足する。
ここで「一体化」とは、接触部分が単に上下の糸が接触して界面を有するのではなく、上下の糸が熱融着により界面を形成していないことを意味する。
【0021】
<タテ糸群及びヨコ糸群の線幅>
タテ糸群A102-1とタテ糸群B102-2の線幅は、例えば、4μmであり、ヨコ糸群103の線幅は、例えば、50μmである。
タテ糸群A102―1とタテ糸群B102-2との線幅とは、原糸の長さ方向に垂直な断面の平均的な太さを意味する。例えば、タテ糸群102-1、102-2とヨコ糸群103とで形成された格子上で生物組織として細胞を培養する足場として用いる場合、細胞の接着性の観点から、タテ糸群A102―1、B102-2の線幅は、1μmから10μmが望ましく、1μmから5μm、2μmから4μm等としてもよい。
また、ヨコ糸群103の線幅とは、原糸の長さ方向に垂直な断面の平均的な太さを意味する。後述するように、ヨコ糸群103は、厚み方向にギャップを確保するために2本以上のヨコ糸が積層している。そこで、ギャップ確保と維持の観点から、ヨコ糸群103の線幅は、10μmから80μmが望ましく、20μmから70μm、30μmから60μm等としてもよい。
【0022】
また、タテ糸群A102―1、タテ糸群B102-2を構成するタテ糸は、1μm~10μmの範囲で、ヨコ糸群103を構成するヨコ糸は10μm~80μmの異なる径を用いてもよい。なお、タテ糸群A102-1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2で形成された格子の平面均一性や後述する熱融着を伴う略平坦化による接触部の強度確保を鑑みると同じ径を用いてもよい。
【0023】
<タテ糸群及びヨコ糸群の隙間の間隔>
次に、タテ糸群A102-1、タテ糸群B102-2とヨコ糸群103の隙間の間隔について、図1-1、図1-2、図2-1、図2-2を用いて説明する。
【0024】
図1-1は、タテ糸群A102―1、タテ糸群B102-2とヨコ糸群103とにおいて、隣接するタテ糸間の距離、隣接するヨコ糸間の距離が共に一定のパターンの場合を例示している。図1-2は、図1-1の場合における、第1接触部領域Aの区分を示す。
図1-1のタテ糸群A102―1、タテ糸群B102-2の各タテ糸の隙間の間隔は、例えば、20μmであり、ヨコ糸群103の各ヨコ糸の隙間の間隔は、例えば、600μmである。
【0025】
図2-1は、タテ糸群A102―1、タテ糸群B102-2に隣接するヨコ糸間の距離は一定であるが、隣接するタテ糸間の距離は2つのパターンを有する場合を例示している。図2-2は、図2-1の場合における、第1接触部領域Aの区分を示す。
図2-1のタテ糸群A102―1、タテ糸群B102-2の隣接するタテ糸間の間隔が短いパターンは各タテ糸間の間隔が20μmであり、隣接するタテ糸間の間隔が長いパターンは各タテ糸の隙間の間隔が1000μmである。
【0026】
ここで隙間の間隔とは、原糸の長さ方向に垂直な方向の隣接する糸と糸のエッジ間の平均的な距離を意味する。
繊維密度が密な部分の隙間は、例えば、タテ糸群A102―1、タテ糸群B102-2で形成された糸上で生物組織として細胞を培養する足場として用いる場合、糸上或いは糸間の両ケースで培養することを鑑みると5μmから100μmが望ましく、5μmから50μm、5μmから30μm等としてもよい。
繊維密度が密な部分の隙間は、空間領域確保の観点から、100μmから2000μmが望ましく、200μmから2000μm、500μmから2000μm等としてもよい。
【0027】
<第1接触部領域>
次に、図3は、本実施の形態1に係る繊維集合体における第1接触部領域Aの一部の断面を拡大例示した概略図である。
本実施の形態1に係る繊維集合体100のタテ糸A12―1、タテ糸B12―2とヨコ糸13との接触部30の平均厚さtは、例えば100μm相当である。
ここで接触部の平均厚さtとは、タテ糸群とヨコ糸群とが一体化した接触部30におけるタテ糸の厚みとヨコ糸の厚みとの和の平均を意味する。
【0028】
タテ糸群A102―1とタテ糸群B102-2とのギャップを確保するためには、後述するような紡糸方法並びに加熱処理によってヨコ糸13を2本以上厚み方向(Z方向)に積層させると共に一体化する接触部の厚さを大きくする方がよい。
【0029】
次に、図4は、本実施の形態1に係る繊維集合体の第1接触部領域Aの一部の断面を拡大例示した概略図である。この図を用いて接触部のズレの許容範囲について説明する。
上述のように、後述するような紡糸方法並びに加熱処理によってヨコ糸13を2本以上厚み方向に積層させると共に一体化している。一体化する前は図示したように糸の断面は略円状(図中点線で表現)であり、図のように断面において厚み方向(Z方向)と厚み方向に直交する平面(X-Y面)を考える。この場合において、糸の中心間を結ぶ線と平面とのなす角度をθとして構造上の安定性を鑑みると、θは、45°から135°が望ましく、60°から120°、85°から105°等としてもよい。また、上記θが45°から135°の範囲内の領域が図1-2、図2-2の主面の第1接触部領域Aの80%~100%の範囲であることがギャップ確保の観点から望ましい。
【0030】
次に、図5A乃至図5Dは、本実施の形態1に係る繊維集合体から枠体を介して繊維群を容器に接着する態様を示した模式図である。
図5Aは、本実施の形態1に係る繊維集合体100から実使用部分を個片カットする際の切断線601を示す概略図である。図5Bは、図5Aで固片カットされた部分に枠体602を押圧して接着する動作の一部を示す斜視図である。図5Cは、図5Bの枠体602を支持シート101から剥離した後の斜視図である。図5D図5Cで枠体602を介して自立化した繊維群604を603の容器の開口面に接着した斜視図である。
支持シート101のタテ糸群A102―1、ヨコ糸群103、タテ糸群B102-2を備えた主面と対向する側の枠体602の面には接着層(図示せず)が塗膜されている。枠体602を支持シート101に押圧した後に枠体602を剥離すると、枠体602の接着層にタテ糸群102-1、102-2とヨコ糸群103とからなる繊維群604を転写することが可能となる。
【0031】
本実施の形態1では容器603にポリスチレンを用い、容器603の開口面に対し繊維群604を熱圧着し、容器603に接着するが、熱圧着しなくてもよく、例えば、接着剤を介して接着してもよい。
【0032】
<繊維集合体の製造方法>
図6は、本実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法を示すフローチャートである。
(1)本実施の形態1では、支持シートを回転体の外周面に巻回するように取り付ける(S1)。
(2)そして、回転体を回転軸について回転させる。このとき、例えば、第1繊維(あるいは、その原料液)を供給する供給ノズルを回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第1繊維が筒状の支持シートの周面を周回するように配置され、高度な配列性を有する第1繊維群が形成される(S2)。
【0033】
(3)次に、支持シートが巻回して対向する部分の第1繊維群を切断し、第1繊維群を支持シートと共に回転体から取り外す(S3)。
(4)次に、例えば第1繊維群と共に回転体から取り外した支持シートを90°回転して回転体に巻回するように取り付ける(S4)。つまり、支持シートの上の第1繊維群の第1繊維が延在する方向が回転体の外周面の周回方向と異なるように支持シートを回転体の外周面に巻回させて取り付ける。
ここで、支持シートは、その柔軟性により、第1繊維群に過度な負荷をかけることなく、変形できるが故に、第1繊維群の配列性を損なわない状態で取り扱うことを可能とする。
【0034】
(5)次に、回転体を回転軸について回転させる。このとき、例えば、第2繊維(あるいは、その原料液)を供給する供給ノズルを回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第2繊維を支持シートの第1主面に第1繊維群と交差して回転体の外周面を周回するように配置して第2繊維群が形成される(S5)。
【0035】
(6)次に、支持シートが巻回して対向する部分の第2繊維群を切断し、第1繊維群および第2繊維群を支持シートと共に回転体から取り外す(S6)。
(7)次に、例えば第1繊維群、第2繊維群と共に回転体から取り外した支持シートを90°回転して回転体に巻回するように取り付ける(S7)。
【0036】
(8)次に、回転体を回転軸について回転させる。このとき、例えば、第3繊維(あるいは、その原料液)を供給する供給ノズルを回転軸の方向に沿って相対移動させることにより、複数の第3繊維を支持シートの第1主面に第2繊維群と交差して回転体の外周面を周回するように配置して第3繊維群が形成される(S8)。
(9)最後に、支持シートが巻回して対向する部分の第3繊維群を切断し、第1繊維群、第2繊維群、第3繊維群を支持シートと共に回転体から取り外し、高度な配列性を有する第1繊維群、第2繊維群、第3繊維群が形成された繊維集合体を得る(S9)。
【0037】
<繊維集合体の製造装置>
次に、上述した本実施の形態1に係る繊維集合体の製造方法を具現化するための繊維集合体の製造装置について説明する。
実施の形態1に係る第1取り付け工程(S1)、第2取り付け工程(S4)、第3取り付け工程(S7)の一例の詳細を、図7の斜視図、図8の断面図を用いて説明する。
第1取り付け工程(S1)の説明で上述したように、支持シート101が長尺の回転体41に固定テープ60を介して取り付けられる。
【0038】
また、支持シート101は、端面を回転体の外周面に同心円状に外接する環形状の複数のガイド部材90の側面に図7中の黒矢印の方向のように沿わせることで支持シートの位置を規制しながら回転体の外周面に巻回させて取り付けられる。
【0039】
更に、回転体41の外側にセンサ92が固定されており、隙間部85の位置を検知し、回転体41の回転数を後述する供給ノズル31、71、73の相対移動と同期させる。
【0040】
本実施の形態では、支持シート101は厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を用いたが、材質は特に限定されず、ポリエステル、ポリイミド等の樹脂、シリコーンゴム等のゴムを用いてもよい。第1繊維群および/または第2繊維群の性質に応じて設定されてよく、厚みについては自己支持性と柔軟性が両立できるように、材質がPETの場合は、例えば20μm以上、260μm以下であってよい。
【0041】
また、固定テープ60は、粘着剤層/基層として、薄膜シリコーン樹脂/厚み50μmのポリプロピレン(PP)を用いたが、材質は特に上記のものに限定されない。粘着剤層としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム、合成ゴムなどを用いてもよい。基層としてはポリイミド、ポリアミドなどの樹脂を用いてもよいが、基層の厚みについてはS2、S5、S8の第1繊維群、第2繊維群、第3繊維群の配列性を損なわない観点からは100μm以下であることが望ましい。
【0042】
また、ガイド部材90は、厚み200μmのポリウレタンを用いたが、材質は特に限定されず、ポリイミド、ポリアミドなどの樹脂を用いてもよい。なお、厚みについては図8のように、支持シート101の位置の規制のしやすさを鑑みると支持シート101の厚み以上であることが望ましい。
【0043】
ここで、第1取り付け工程(S1)、第2取り付け工程(S4)、第3取り付け工程(S7)で説明したように、支持シート101を固定テープ60に対して押し付けて取り付ける際に、支持シート101の隅部とガイド部材の切り欠き部80が隣接する。つまり支持シート101の隅部とガイド部材とが隣接しないことで、支持シート101の隅部を固定テープ60に対して垂直に押し付けやすくなり、固定性を担保することが可能となる。
【0044】
加えて、第1取り外し工程(S3)、第2取り外し工程(S6)、第3取り外し工程(S9)の説明で上述した、第1繊維群、第2繊維群、第3繊維群(図示せず)を回転体上で一括して切断するためには、ガイド部材の切り欠き部80と、粘着性部材上で固定される支持シートの端面間の隙間部85とが回転体の回転軸方向に同一直線関係にあることによって実現し得る。
【0045】
実施の形態1に係る第1繊維群形成工程(S2)の一例の詳細を図9の斜視図を用いて説明する。
【0046】
第1繊維群形成工程(S2)の説明で上述したように、回転体41に固定テープ60を介して取り付けられた支持シート101の主面上に、支持シート101に対応した供給ノズル31に充填された原料液21Aを塗布しながら、回転体を回転させ、供給ノズル31を軸方向に沿って相対移動させる。これにより、第1繊維21が筒状の支持シートの周面に周回するように配置され、平均繊維径4μm、繊維間隔20μmの第1繊維群11が形成される。
【0047】
また、配置される第1繊維群11の平均繊維径や繊維間隔は特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。
【0048】
ここで、平均繊維径とは繊維の直径の平均値である。繊維の直径とは、繊維の長さ方向に対して垂直な断面の直径であり、断面が円形でない場合には、最大径を直径とみなしてよく、また、繊維の長さ方向に対して垂直な方向の幅を繊維の直径とみなしてもよい。
平均繊維径は、例えば、繊維集合体に含まれる任意の10本の繊維の任意の箇所の直径の平均値である。つまり、平均繊維径は、各繊維の直径の数平均値である。
【0049】
原料液21Aは、第1繊維21の原料の溶融液が充填されており、本実施の形態1ではポリスチレン(PS)を溶融させた溶液を用いた。
【0050】
第1繊維の原料は特に限定されず、紡糸可能な材料としては、ポリスチレンのみならず、熱可塑性を有し、加熱によって原料を溶融化して紡糸可能な材料であればよい。例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリーL-乳酸(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、乳酸―グリコール酸共重合体(PLGA)などが挙げられる。
【0051】
また、原料として高分子単体に限定されず、例えば一定の導電性を持たせるため等、高分子を主成分とする素材中に無機フィラーが分散していてもよい。
【0052】
次に、高度な配列性を維持するためには、加熱体91を用いて回転体41を適宜加熱することにより、第1繊維21と支持シート101との接着性を促進してもよい。
【0053】
実施の形態1に係る第2繊維群形成工程(S5)の一例の詳細を図10の斜視図を用いて説明する。
【0054】
第2繊維群形成工程(S5)の説明で上述したように、回転体41に固定テープ60を介して取り付けられた支持シート101の主面上に、支持シート101に供給ノズル71に充填された原料液61Aを塗布しながら、回転体を回転させ、供給ノズル71を軸方向に沿って相対移動させる。これにより、複数の第2繊維61を支持シート上の第1繊維群11を介して周回するように配置して第1繊維群11と交差する、厚み方向に複数本(例えば2本)積層された平均径50μmの糸が、繊維間隔600μmの第2繊維群51が形成される。
【0055】
ここで、支持シート101に供給ノズル71を回転軸の方向に沿った相対移動について、厚み方向に複数本(例えば2本)を積層させる部分では供給ノズル71の移動速度を同列に2本塗布する程度に減衰させ、繊維間を跨ぐ部分、つまり間隔を空けて次の繊維を塗布する場合には供給ノズル71の移動速度を加速させる。
この減衰から加速に切り替えるタイミングは隙間部85であることが望ましいため、センサ92によって供給ノズル71の移動と回転体41の周期とを同期させている。
これは、供給ノズル71の移動速度が減衰から加速に切り替わるタイミングの原料液の塗布バラつきを回転体に巻回している支持シート101の周方向に対向する両端の間の隙間部85に相当させることで支持シート101上での配列品質を確保するためである。
【0056】
また、配置される第2繊維群51の平均繊維径や繊維間隔は特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。
【0057】
原料液61Aは、第2繊維61の原料の溶融液が充填されており、本実施の形態1ではポリスチレン(PS)を溶融させた溶液を用いた。
【0058】
第2繊維の原料は特に限定されず、紡糸可能な材料としては、ポリスチレンのみならず、熱可塑性を有し、加熱によって原料を溶融化して紡糸可能な材料であればよい。例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリーL-乳酸(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、乳酸―グリコール酸共重合体(PLGA)などが挙げられる。
【0059】
また、原料として高分子単体に限定されず、例えば一定の導電性を持たせるため等、高分子を主成分とする素材中に無機フィラーが分散していてもよい。
【0060】
次に、高度な配列性を維持するためには、加熱体91を用いて回転体41を適宜加熱することにより、第2繊維61と第1繊維群11の接着性を促進してもよい。
【0061】
実施の形態1に係る第3繊維群形成工程(S8)の一例の詳細を図11の斜視図を用いて説明する。
【0062】
第3繊維群形成工程(S8)の説明で上述したように、回転体41に固定テープ60を介して取り付けられた支持シート101の主面上に、支持シート101に供給ノズル73に充填された原料液81Aを塗布しながら、回転体を回転させ、供給ノズル73を軸方向に沿って相対移動させる。これにより、第3繊維83が筒状の支持シートの周面に周回するように配置され、平均繊維径4μm、繊維間隔20μmの第3繊維群81が形成される。
【0063】
また、配置される第3繊維群81の平均繊維径や繊維間隔は特に限定されず、用途に応じて適宜設定すればよい。
【0064】
ここで、平均繊維径とは繊維の直径の平均値である。繊維の直径とは、繊維の長さ方向に対して垂直な断面の直径であり、断面が円形でない場合には、最大径を直径とみなしてよく、また、繊維の長さ方向に対して垂直な方向の幅を繊維の直径とみなしてもよい。
平均繊維径は、例えば、繊維集合体に含まれる任意の10本の繊維の任意の箇所の直径の平均値である。つまり、平均繊維径は、各繊維の直径の数平均値である。
【0065】
原料液81Aは、第3繊維83の原料の溶融液が充填されており、本実施の形態1ではポリスチレン(PS)を溶融させた溶液を用いた。
【0066】
第3繊維の原料は特に限定されず、紡糸可能な材料としては、ポリスチレンのみならず、熱可塑性を有し、加熱によって原料を溶融化して紡糸可能な材料であればよい。例えば、ポリラクチド(PLA)、ポリーL-乳酸(PLLA)、ポリグリコリド(PGA)、乳酸―グリコール酸共重合体(PLGA)などが挙げられる。
【0067】
また、原料として高分子単体に限定されず、例えば一定の導電性を持たせるため等、高分子を主成分とする素材中に無機フィラーが分散していてもよい。
【0068】
最後に、高度な配列性を維持するためには、加熱体91を用いて回転体41を適宜加熱することにより、第3繊維群81と第2繊維群51との接着性を促進してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示の繊維集合体及び繊維集合体の製造方法によれば、細く、高度に配列した繊維を含む繊維集合体の厚み方向のギャップ確保とギャップ部分の空間領域の確保が両立され、種々の用途への適用が可能となる。
【符号の説明】
【0070】
100 繊維集合体
101 支持シート
102―1 タテ糸群A
102-2 タテ糸群B
103 ヨコ糸群
A 第1接触部領域
12―1 タテ糸A
12―2 タテ糸B
13 ヨコ糸
30 接触部
601 切断線
602 枠体
603 容器
604 繊維群
S1 第1取り付け工程
S2 第1繊維群形成工程
S3 第1取り外し工程
S4 第2取り付け工程
S5 第2繊維群形成工程
S6 第2取り外し工程
S7 第3取り付け工程
S8 第3繊維群形成工程
S9 第3取り外し工程
41 回転体
60 固定テープ
80 切り欠き部
85 隙間部
90 ガイド部材
91 加熱体
92 センサ
31 供給ノズル
21A 原料液
21 第1繊維
11 第1繊維群
71 供給ノズル
61A 原料液
61 第2繊維
51 第2繊維群
73 供給ノズル
81A 原料液
83 第3繊維
81 第3繊維群
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11