(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023063103
(43)【公開日】2023-05-09
(54)【発明の名称】被計測物の自働計測システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20230427BHJP
【FI】
G01B11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021173402
(22)【出願日】2021-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515086908
【氏名又は名称】株式会社トヨタプロダクションエンジニアリング
(71)【出願人】
【識別番号】594124993
【氏名又は名称】東京貿易テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】北澤 彰理
(72)【発明者】
【氏名】矢野 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】堤 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大城 信也
(72)【発明者】
【氏名】鷹見 壮一郎
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA06
2F065AA53
2F065BB05
2F065CC12
2F065DD03
2F065FF11
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ01
2F065MM06
2F065MM16
2F065MM26
2F065MM28
2F065PP22
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】任意の位置に停車した被計測物を自働で精度よく計測できる自働計測システムを提供する。
【解決手段】車両の外周方を移動する自律走行ロボットに搭載したトラッカーと、自律走行ロボットにロボットアームを介して搭載した計測スキャナーと、仮想マップの作成およびトラッカーと計測スキャナーを制御する制御部と、を備え、仮想マップ生成工程と、ポジション設定工程と、同期工程と、計測工程と、を有し、計測工程が、ポジション設定工程で仮想マップに設定された計測スキャナーの理想停止位置と、トラッカーよりレーザー光を照射して計測された計測スキャナーの実停止位置と、を比較して乖離量を算出し、理想停止位置と実停止位置との間に乖離が生じている場合、計測スキャナーを搭載した自律走行ロボットで位置補正する走行補正手段と、ロボットアームで位置補正するアーム補正手段と、の2つの補正手段により位置補正する自働計測システムを提供する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外周方を移動自在の自律走行ロボットと、
自律走行ロボットに搭載したトラッカーと、
自律走行ロボットにロボットアームを介して搭載した計測スキャナーと、
計測空間を計測して仮想マップの作成およびトラッカーと計測スキャナーを制御するための制御部と、を備えた自動計測システムであって、
自律走行ロボットを走行させて計測空間をマッピングすることで仮想マップを作成する仮想マップ生成工程と、
仮想マップ生成工程で生成された仮想マップにトラッカーおよび計測スキャナーの移動位置を設定するポジション設定工程と、
生成された仮想マップの車両停止位置と計測空間に停止した実車両の車両停止位置を合わせて実計測空間と仮想マップを同期させる同期工程と、
車体に組付けた部材と車体フレームとの間の段差や隙間を計測するための計測工程と、を有し、
計測工程は、ポジション設定工程で仮想マップに設定された計測スキャナーの理想停止位置と、
トラッカーよりレーザー光を照射して計測された計測スキャナーの実停止位置と、を比較して乖離量を算出し、
理想停止位置と実停止位置との間に乖離が生じている場合、
計測スキャナーを搭載した自律走行ロボットで位置補正する走行補正手段と、
ロボットアームで位置補正するアーム補正手段と、
の2つの補正手段により位置補正することを特徴とする被計測物の自働計測システム。
【請求項2】
計測工程のアーム補正手段は、トラッカーで計測した計測スキャナーの実停止位置と、仮想マップ上に設定した計測スキャナーの理想停止位置との乖離量をビット信号に変換するための情報変換部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の被計測物の自働計測システム。
【請求項3】
計測工程において、トラッカーで計測した計測スキャナーの実停止位置と理想停止位置の位置データを6DOF情報としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被計測物の自働計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計測物の隙間および段差などを計測するための自働計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被計測物としての車両を構成する車体フレームと車体フレームに組付けられる部材間の隙間や段差は、隣接部材間の隙間や段差に沿って計測用のスキャナーを移動させることで計測されていた。
【0003】
この計測作業は手作業で行われており、作業者が隣接する部材間の隙間を目視にて確認し、当該隙間部分に計測スキャナーからレーザー光を照射し、その反射光を受光することで行われる。
【0004】
このように被計測物の隙間を計測する計測作業は手作業で行われるため、被計測物としての車両が有する全ての隙間および段差を計測すると、全ての計測が完了するまでに多くの時間を要していた。また、計測作業が手作業であるため、作業者の熟練度に応じて計測結果にばらつきを生じやすく、正確な計測結果を得るためには、作業者の計測精度を向上する訓練を必要としていた。さらには、手作業による計測は、たとえ同一作業者による計測でも計測結果にばらつきを生じやすく、計測データは、計測した車両が設定された寸法公差内で製造されているかどうかを判断することができるものの、蓄積された計測データから不良組付けの傾向を確認することが困難であった。
【0005】
このような問題を解消する手段として、被計測物である車両の車体寸法を全自働で計測できる自働計測システムが開示されている(特許文献1参照。)。
特許文献1は、移動自在の移動プラットフォームと、移動プラットフォームに載置固定したロボット関節アームと、ロボット関節アームの先端部に固定された三角測量スキャナーと、移動プラットフォームの位置を調整するためのレーザートラッカーと、移動プラットフォームが移動するための指標となるターゲットと、を有する対象物の自働計測システムが開示されている。
【0006】
特許文献1の自働計測システムは、計測環境の床面に設置したターゲットを指標としてレーザートラッカーが車両の周囲を移動できる構成により、レーザートラッカーを基準として移動する三角測量スキャナーが車体に接触することなく車両の周囲を移動して車両の隙間や段差を自動で計測できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の自働計測システムにおいては、ターゲットを設置した空間の所定位置に車両を停止させる。特に、位置基準であるレーザートラッカーを移動させて車体を自動で計測する構成によれば、車両の建付け精度を測定する場合において、次のような問題がある。
【0009】
レーザートラッカーは、車体の寸法を自動で計測する移動プラットフォームの位置基準であり、床面に設置したターゲットを基準として移動できるように構成している。かかる場合、床面に設置された複数のターゲットに対してレーザートラッカーからレーザー光が照射され、その反射光をレーザートラッカーが受光することにより、レーザートラッカーが自己の位置を特定できる。そのため、レーザートラッカーが車両に接触することなく車両の周囲を移動して、設定された測定基準位置に自動で停止するためには、車両とターゲットとの位置関係が重要となる。
【0010】
具体的には、レーザートラッカーは、床面に設置されたターゲットに赤外線を照射し、ターゲットからの反射光を受光することで赤外線が照射されたターゲットとの距離を計測する。
そのため、レーザートラッカーは、照射された赤外線が停止車両によって遮られると、自己の位置情報を確認することができない、または、確認した自己の位置情報の精度が悪くなる虞があった。
【0011】
上述した問題を解決するためにレーザートラッカーから照射されるレーザー光が車体によって遮られることのない高さにターゲットを固定する手段が考えられる。しかしながら、この手段では、複雑な形状を有する車体の寸法値を計測する計測システムにおいて、計測に支障を来す虞がある。
【0012】
具体的には、従来の計測システムで使用される計測スキャナーは、ロボット関節アームの先端部に固定されており、当該ロボット関節アームを測定箇所に沿って移動させることにより自動で寸法を計測できるように構成している。そのため、車体の寸法を計測する際には、ロボット関節アームが自由に移動できる可動領域を確保する必要があった。
【0013】
仮に、ロボット関節アームの可動領域にターゲットが存在すると、ロボット関節アームの移動が阻害されて正しく寸法が計測できない、または、ロボット関節アームとターゲットが接触することにより、設置されたターゲットの向きが変更されてしまい、レーザートラッカーを正しく移動させることができなくなり、正確に測定できなくなる虞があった。
【0014】
また、ターゲットを利用して移動する場合、ターゲットを基準として各種計測がなされるため、ターゲットに対して車両を精度よく停止しないと、車両に対するレーザートラッカーの停止位置がずれ、そのズレ分だけ計測スキャナーの計測結果に誤差を生じる虞があった。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、任意の位置に停車した車両の建付けを自働で精度よく計測できる自働計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様は、車両の外周方を移動自在の自律走行ロボットと、自律走行ロボットに搭載したトラッカーと、自律走行ロボットにロボットアームを介して搭載した計測スキャナーと、計測空間を計測して仮想マップの作成およびトラッカーと計測スキャナーを制御するための制御部と、を備えた自働計測システムであって、自律走行ロボットを走行させて計測空間をマッピングすることで仮想マップを作成する仮想マップ生成工程と、仮想マップ生成工程で生成された仮想マップにトラッカーおよび計測スキャナーの移動位置を設定するポジション設定工程と、生成された仮想マップの車両停止位置と計測空間に停止した実車両の車両停止位置を合わせて実計測空間と仮想マップを同期させる同期工程と、車体に組付けた部材と車体フレームとの間の段差や隙間を計測するための計測工程と、を有し、計測工程は、ポジション設定工程で仮想マップに設定された計測スキャナーの理想停止位置と、トラッカーよりレーザー光を照射して計測された計測スキャナーの実停止位置と、を比較して乖離量を算出し、理想停止位置と実停止位置との間に乖離が生じている場合、計測スキャナーを搭載した自律走行ロボットで位置補正する走行補正手段と、ロボットアームで位置補正するアーム補正手段と、の2つの補正手段により位置補正することを特徴とする被計測物の自働計測システムである。
【0017】
本発明の第2の態様は、計測工程のアーム補正手段は、トラッカーで計測した計測スキャナーの実停止位置と、仮想マップ上に設定した計測スキャナーの理想停止位置との乖離量をビット信号に変換するための情報変換部を備えたことを特徴とする被計測物の自働計測システムである。
【0018】
本発明の第3の態様は、計測工程において、トラッカーで計測した計測スキャナーの実停止位置と理想停止位置の位置データを6DOF情報としたことを特徴とする被計測物の自働計測システムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の態様によれば、車両の外周方を移動自在の自律走行ロボットと、自律走行ロボットに搭載したトラッカーと、自律走行ロボットにロボットアームを介して搭載した計測スキャナーと、計測空間を計測して仮想マップの作成およびトラッカーと計測スキャナーを制御するための制御部と、を備えた自働計測システムであって、自律走行ロボットを走行させて計測空間をマッピングすることで仮想マップを作成する仮想マップ生成工程と、仮想マップ生成工程で生成された仮想マップにトラッカーおよび計測スキャナーの移動位置を設定するポジション設定工程と、生成された仮想マップの車両停止位置と計測空間に停止した実車両の車両停止位置を合わせて実計測空間と仮想マップを同期させる同期工程と、車体に組付けた部材と車体フレームとの間の段差や隙間を計測するための計測工程と、を有し、計測工程は、ポジション設定工程で仮想マップに設定された計測スキャナーの理想停止位置と、トラッカーよりレーザー光を照射して計測された計測スキャナーの実停止位置と、を比較して乖離量を算出し、理想停止位置と実停止位置との間に乖離が生じている場合、計測スキャナーを搭載した自律走行ロボットで位置補正する走行補正手段と、ロボットアームで位置補正するアーム補正手段と、の2つの補正手段により位置補正することにより、車両に対する計測スキャナーの停止位置だけでなく車両の計測対象箇所と計測スキャナーとの計測開始地点をあわせることができ、車両部材間の段差や隙間を正確に自動で計測できる。
すなわち、車両の建付けを測定するための計測空間を計測して仮想マップを作成することにより、トラッカー、計測スキャナーおよび車両の停止位置を仮想マップ上に任意に設定でき、どのような計測空間であったとしても車両を構成する部材間の隙間や段差を自動で計測できる。さらには、走行補正手段とアーム補正手段による2つの補正手段を用いて車両に対する計測スキャナーの位置補正を行うことにより、計測スキャナーのスキャン開始位置を理想停止位置と略同一の場所に位置でき、車両部材間の段差や隙間を正確に自動で計測できる。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、計測工程のアーム補正手段は、トラッカーで計測した計測スキャナーの実停止位置と仮想マップ上に設定した理想停止位置との乖離量をビット信号に変換するための情報変換部を備えたことにより、トラッカーで計測した計測スキャナーの理想停止位置からの乖離量を正確にロボットアームに伝達することができ計測スキャナーを確実に計測開始地点まで移動することができる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、トラッカーより照射したレーザー光で計測した計測スキャナーの理想停止位置と実停止位置の計測データを6DOF情報としたことにより、計測スキャナーの3次元の位置情報だけでなく、計測方向を加味して被計測物を確実に自動で計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態にかかる自律走行ロボットを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかるトラッカーを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態にかかるロボットアームを示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる計測スキャナーを示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかるブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態にかかる自動計測システムの計測フローを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態にかかるトラッカーと計測スキャナーの停止位置を仮想マップに表示した図である。
【
図8】本発明の実施形態にかかる計測スキャナーの位置補正の手順を示すフロー図である。
【
図9】本発明の実施形態にかかる計測スキャナーの位置補正情報を算出する手順を示すステップ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図9を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0024】
本実施形態における、自動計測システムは、自由に移動可能な自律走行ロボット10と、一方の自律走行ロボット10に台座21を介して載置固定されたレーザートラッカー20と、他方の自律走行ロボット10に台座21を介して載置固定されたロボットアーム30と、ロボットアーム30の先端部に固定された計測スキャナー40と、車両の停止位置や自律走行ロボット10の停止位置を記憶した仮想マップVと計測スキャナー40の移動距離・移動角度を制御する制御部50と、を有する。
【0025】
自律走行ロボット10は、
図1に示すように、略箱形状のロボット本体11と、ロボット本体11の左右下端部にそれぞれ設けた走行部12,12と、ロボット本体11の前端部の上下方向略中央部に設けたレーザースキャナー13と、レーザースキャナー13の下方に設置したレーザーセンサー14と、ロボット本体11に収納された自律走行ロボット10の制御を担う自律走行ロボット制御部15と、自律走行ロボット10の制御情報および各種データを保存するためのデータ記憶部16を有する。
【0026】
ロボット本体11は、下方開口の略箱形状に形成されており、前面11a、後面11b、左右側面11c,11d、天面11eを有する。ロボット本体11の前面11aは、平面視において前方に膨出した略円弧状に形成されており、上下略中央部に正面視略方形状の開口部11fを有する。すなわち、前面11aは、開口部11fにより前面上部11a1と前面下部11a2の2つに分割形成されている。前面下部11a2の略中央部には、挿通孔を穿設している。また、前面下部11a2の前方には、フロントバンパー17を配設している。
【0027】
フロントバンパー17は、正面視において前面下部11a2と略同形状で、前後方向に一定の厚みを有する。フロントバンパー17の背面略中央部には、後方に向けて支持棒17aを突設している。支持棒17aは、前面下部11a2に穿設した挿通孔に挿通しており、その先端部をロボット本体11に連結している。すなわち、フロントバンパー17は、前面下部11a2から一定距離前方に離間してロボット本体11に支持されており、前面下部11a2から離間した距離だけ後退可能に構成している。
【0028】
これにより、フロントバンパー17は、障害物に接触するとフロントバンパー17を支持する支持棒17aが挿通孔に押し込まれる。ロボット本体11は、支持棒17aがロボット本体11の内側に押し込まれることにより、ロボット本体11が障害物に接触したことを検知して停止する。このように、フロントバンパー17は、障害物に接触してしまった場合の非常停止装置として機能する。ロボット本体11は、左右側面11c,11dにそれぞれ走行部12,12を有する。
【0029】
走行部12は、自律走行ロボット10が移動するための左右車輪12a,12bと、左右車輪12a,12bの回動量を制御するための左右エンコーダを有する。左右車輪12a,12bは、ロボット本体11の左右側面11c,11dの前後方向略中央下部に配設している。左右車輪12a,12bは、左右側面11c,11dの下端縁から車輪の略1/4が下方に突出するようにロボット本体11に軸支されている。また、左右車輪12a,12bは、左右独立して回動できるように制御される2輪独立機構タイプであり、各車輪が左右エンコーダにそれぞれ連結されている。
【0030】
左右エンコーダは、ロボット本体11に搭載した自律走行ロボット制御部15に連結しており、自律走行ロボット10が目的地まで確実に移動できるように作用する。すなわち、自律走行ロボット10は、左右車輪12a,12bの回動量を左右エンコーダで制御できるように構成したことで、左右車輪12a,12bの回動量を同一とした場合、直進し、左右車輪12a,12bの一方の車輪の回動量を他方の車輪の回動量よりも少なくした場合、回動量が少ない車輪側に進行方向を変更できる。これにより、自律走行ロボット10は、左右車輪12a,12bを左右に回転させることなく、その進行方向を変更することができる。なお、左右エンコーダは、光学式や磁気式など種々のエンコーダを用いることができ、左右車輪12a,12bの回動量を独立して制御できればどのようなタイプのエンコーダを用いてもよい。
【0031】
このように左右車輪12a,12bを構成することにより、自律走行ロボット10は、自律走行時において、ロボット本体11の左右側面11c,11dから左右車輪12a,12bが突出することがない。すなわち、自律走行ロボット10は、後述のレーザースキャナー13およびレーザーセンサー14が検知できない範囲にある障害物にロボット本体11が接触する虞を可及的に低減して、目的地まで確実に移動することができる。
【0032】
また、自律走行ロボット10は、左右車輪12a,12bの各回動量をロボット本体11に収納したデータ記憶部16に記憶している。データ記憶部16に記憶された左右車輪12a,12bの回動量情報は、自律走行ロボット10を移動しながら仮想マップVを管理する制御部50に伝達される。これにより、制御部50は、仮想マップVにおける自律走行ロボット10の自己位置を推定できる。
【0033】
また、ロボット本体11の開口部11fにはレーザースキャナー13を配設し、前面下部11a2にはレーザーセンサー14を配設している。
【0034】
レーザースキャナー13は、計測空間のマッピングと、自律走行ロボット10が走行する際の障害物を検知するためのスキャナー機能を有する物体検知センサである。
【0035】
レーザースキャナー13は、ある一定角度のレーザー光を放射しており、レーザー光の放射を開始してから対象物に反射して再びレーザースキャナー13に戻るまでの時間を計測することで自律走行ロボット10から物体までの距離を計測する。
【0036】
レーザースキャナー13は、レーザー光による距離計測情報をデータ記憶部16に記憶させ、データ記憶部16に記憶させた左右車輪12a,12bの回動量情報と同期させることにより計測空間のマッピング作業が完了する。マッピングされた計測空間の情報は、制御部50で仮想マップVに変換される。すなわち、レーザースキャナー13を搭載した自律走行ロボット10が計測空間を走行するだけで、計測空間の障害物情報を読み取り、読み取った障害物情報を仮想マップVに容易にマッピングできる。
【0037】
このように構成したレーザースキャナー13の下方、すなわち、フロントバンパー17の前面下部11a2には、レーザーセンサー14を配設している。
レーザーセンサー14は、低位置の障害物を検出するための障害物回避用の物体検出センサである。自律走行ロボット10は、走行時において、レーザーセンサー14で床面に載置された障害物を検出して、自動で停止、または障害物を回避して目的地まで移動することができる。すなわち、自律走行ロボット10は、レーザーセンサー14で床面の障害物を検出することで走行部12の左右車輪12a,12bのいずれかが障害物に乗り上げ、バランスを崩して転倒する虞を低減し、確実に目的の箇所まで走行することができる。
【0038】
上述したレーザースキャナー13およびレーザーセンサー14で取得された計測空間の情報は、自律走行ロボット10のデータ記憶部16に記録され、その後、仮想マップVが保存された制御部50に伝達される。これにより、自律走行ロボット10は、仮想マップVのどこに位置しているかを推定できる。
【0039】
このように構成した一方の自律走行ロボット10には、レーザートラッカー20を配設しており、他方の自律走行ロボット10には、ロボットアーム30およびロボットアーム30の先端部に連結した計測スキャナー40を配設している。
【0040】
(レーザートラッカー20について)
レーザートラッカー20は、
図2に示すように、自律走行ロボット10の天面11eにボルト等の固定具で載置固定された台座21と、台座21の上端面に載置固定されたトラッカー22と、を有する。
【0041】
台座21は、水平断面を略方形状とする中空の箱体であり、前後側面21a,21b、左右側面21c,21dおよび上下側面21e,21fを有する。台座21は、上面21eの略中央部にトラッカー22を立設している。
【0042】
トラッカー22は、台座21の上面21eに水平方向に回動自在に立設した左右回動部23と、左右回動部23に連結したトラッカー筐体24と、トラッカー筐体24に垂直方向に回動自在に軸支したトラッカー本体25を有する。
【0043】
左右回動部23は、水平断面を円形状に構成している。左右回動部23は、円周方向に回動自在に構成している。左右回動部23の上部には、トラッカー筐体24を配設している。
【0044】
トラッカー筐体24は、正面視において、上方を開放状態とした略「コ」字状に形成されており、下部支持部24dと、下部支持部24dの左右端部に立設した左右の支持部24a,24bを有する。
【0045】
左右の支持部24a,24bは、側面視において、上下方向を長軸とする楕円形状を上下略中央部で水平に切断した略半楕円形状に形成されている。また、左右の支持部24a,24bは、正面視において、略長方形状に形成されている。
【0046】
下部支持部24dは、略直方体形状で略中央部を左右回動部23と連結している。トラッカー筐体24は、左右回動部23により水平状態を維持しつつ左右に回動できる。トラッカー筐体24の略中央部には、左右回動部23の上面および左右の支持部24a,24bに三方が囲われた回動空間24eを有する。回動空間24eには、トラッカー本体25を配設している。
【0047】
トラッカー本体25は、側面視において上下方向を長軸とする略楕円形状に形成されている。トラッカー本体25は、トラッカー本体25の左右側面に突設した回転軸により左右の支持部24a,24bに軸支されている。これにより、トラッカー本体25は、回転軸を基準として上下に回動自在に構成している。
【0048】
トラッカー本体25は、前端部の上下方向略中央部に配設したレーザー光照射部25aを有する。
【0049】
レーザー光照射部25aは、トラッカー本体25の上下方向略中央部から前方に突出した円筒体であり、レーザー光の照射と撮像機能を有する。レーザー光照射部25aは、発出したレーザー光が物体に反射して戻るまでの時間を計測することで物体までの距離を計測できる測距機能を有する。具体的には、トラッカー本体25は、計測箇所に設置されたリフレクターにレーザー光照射部25aからレーザー光を照射し、リフレクターに反射された光を受光することで計測箇所までの距離を計測できる。なお、計測箇所に設置されるリフレクターは、照射された光の入射角と反射角が同一となるコーナーキューブリフレクターである。
【0050】
また、レーザー光照射部25aは、測定対象物の特徴点を撮像して対象物の停止角度を測定する測角機能を有する。レーザー光照射部25aは、後述する計測スキャナー40を撮像することにより、計測スキャナー40に複数突設した角度検知用LED46,46・・・の相対位置関係から計測スキャナー40の姿勢(停止角度)を計測できる。
【0051】
このようにトラッカー本体25は、レーザー光照射部25aが計測スキャナー40のリフレクター45にレーザー光を照射し、その反射光を受光することでトラッカー22から計測スキャナー40までの距離を測定し、さらに、レーザー光照射部25aが計測スキャナー40の表面に配設した複数の角度検知用LED46,46・・・の光を検出することにより、検出された各LEDの相対位置関係から計測スキャナー40の姿勢(停止角度)を検出できる。
【0052】
また、他方の自律走行ロボット10の天面11eには、台座21が載置固定されている。台座21の上面21eの略中央部には、ロボットアーム30が載置固定されている。
【0053】
(ロボットアーム30について)
ロボットアーム30は、
図3に示すように、様々な位置および角度に姿勢制御されるフレキシブルなロボットアーム(多関節ロボット)として構成されている。ロボットアーム30の動作により、その可動範囲において、ロボットアーム30の先端部に連結固定された計測スキャナー40が3次元的に任意の方向に移動する。ロボットアーム30は、例えば、6つの関節を有する6軸ロボットである。
【0054】
ロボットアーム30は、ロボットアーム30の動作等を制御する制御部としてのロボット制御部31に接続されており、ロボット制御部31からの制御信号を受けて動作する。ロボット制御部31は、台座21に収納されており、予めティーチングされた所定の動作をロボットアーム30に行わせる。ロボットアーム30の動作により、計測スキャナー40は、位置や向き(姿勢)が制御されながら車両を構成する部材間の段差や隙間に沿って移動できる。
【0055】
(計測スキャナー40について)
計測スキャナー40は、2つの計測用LED照射部を有する高精度な3Dスキャン装置として構成されている。計測スキャナー40は、線状に照射されるLED光と点状に照射されるLED光とを同時に照射しており、2つのLED光が重なり合った部分に焦点を合わせ、線状のLED光で照射された範囲の物体が計測される計測装置である。すなわち、計測スキャナー40は、点状LED光の照射範囲内に線状LED光が照射された場合に線状LED光で照射された範囲の計測スキャナー40に対する位置情報が計測されるように構成している。
【0056】
計測スキャナー40は、
図4に示すように、計測スキャナー筐体41と、計測スキャナー筐体41の前面に設けた2つの計測用LED照射部42,43と、計測用LED照射部42,43の下方に配設した受光部44と、計測スキャナー40の天面および両側面に突設したリフレクター45,45,45と、計測スキャナー40の左右側面および天面に複数設けた角度検知用LED46,46・・・を有する。
【0057】
計測スキャナー筐体41は、平面視および側面視において略方形状の箱体である。計測スキャナー筐体41は、前面に上下に併設した2つの計測用LED照射部42,43と、計測用LED照射部42,43の下部に配設した受光部44を有する。
【0058】
上側に位置する計測用LED照射部42は、左右方向に伸延した線状のLED光を放射できるように構成している。また、下側に位置する計測用LED照射部43は、略円形状のLED光を放射できるように構成している。これらのLED光は、測定対象物に照射された後、計測スキャナー筐体41側に反射される。この反射光を計測スキャナー筐体41の前面に設けた受光部44で受光することにより計測部位の位置情報が計測できる。
【0059】
また、計測スキャナー筐体41は、天面および両側面に略円柱状のリフレクター45,45,45を配設している。リフレクター45は、入射した光を入射した方向に反射する、いわゆる、コーナーキューブリフレクターで構成されている。これにより、計測スキャナー40がどのような角度に変態しても、トラッカー22のレーザー光照射部25aから照射されたレーザー光がトラッカー22側に反射され、トラッカー22から計測スキャナー40までの距離を正確に計測できる。
【0060】
また、計測スキャナー筐体41は、天面の前後端部近傍に角度検知用LED46,46を突設するとともに、左右両側面の後端部近傍の上下隅部および上部前端部近傍に角度検知用LED46,46,46を突設している。
【0061】
角度検知用LED46は、円筒体であるLED収納部46aの先端に略半球状の頭部46bを有し、頭部46bの頂部に略円形の開口部46cを有する。LED収納部46aは、計測スキャナー40の姿勢を検知するための微発光のLEDを収納している。LED収納部46aに収納されたLEDは、開口部46cからLED収納部46aの外部に放射される。このLED光は、トラッカー22の撮像部25bで検知され計測スキャナー40がどのような角度で停止しているかを計測できるように作用する。具体的には、トラッカー22は、計測スキャナー筐体41の天面に配設された前後2つの角度検知用LED46,46と、計測スキャナー筐体41の左側面または右側面にそれぞれ配設した3つの角度検知用LED46,46,46の合計5つの角度検知用LED46,46,46,46,46をトラッカー22の撮像部25bで検知することで計測スキャナー40の計測姿勢を検知できる。
【0062】
このように、計測スキャナー40は、複数のリフレクター45,45と、複数の角度検知用LED46,46・・・により、車体の測定部位に沿って計測スキャナー40を移動させた場合にも、計測スキャナー40の軌跡をトラッカー22で確実に追跡でき、追跡した計測スキャナー40の軌跡と計測スキャナー40の2つの計測用LED照射部42,43による計測データにより車両を構成する部材間の隙間や段差などを正確に計測できる。計測された各種計測データは、リアルタイムで制御部50に伝達される。
【0063】
(制御部50について)
制御部50は、
図5に示すように自動計測システムを構成する各構成部材と相互に通信できるように構成されており、車両を計測するための計測空間をマッピングした仮想マップVの生成と、各自律走行ロボット10,10、レーザートラッカー20、ロボットアーム30および計測スキャナー40の位置確認と位置補正、および、予め保存された車両の正規CAD情報と計測された車両の3次元情報との比較演算を行う部分である。なお、計測スキャナー40については、直接的な移動手段を備えていないため、ロボットアーム30を介して位置補正がなされる。
【0064】
このように構成された車両を構成する部材間の隙間および段差の自動計測システムは、計測される実車両の停車位置に対応するように仮想マップVに設定した車両の正規CAD情報の位置を調整することで実車両に対するトラッカー22および計測スキャナー40の位置補正がなされ、任意の位置に停車した車両の建付け(部材間の隙間および段差)を精度よく自動で計測できる。
【0065】
また、仮想マップVで予め指定した位置に移動されたトラッカー22および計測スキャナー40は、仮想マップVで予め設定されたポジションに移動後、相互に位置関係を確認することで実車両に対して精度よく停止できる。これにより、車両を構成する部材間の取付隙間および段差を精度よく自動で計測できる。
【0066】
≪計測手順≫
このように構成された自動計測システムを利用して車両に組付けられた部材同士の隙間および段差を計測する手順について
図6、
図7を参照して詳細に説明する。
【0067】
図6に示すように、本発明の自動計測システムは、仮想マップVを生成するための仮想マップ生成工程S1と、仮想マップ生成工程S1で生成された仮想マップVにレーザートラッカー20および計測スキャナー40の移動位置を設定するポジション設定工程S2と、生成された仮想マップVの車両停止位置と実車両の停止位置を合わせるための同期工程S3と、車体に組付けた部材と車体フレームとの間の段差や隙間を計測するための計測工程S4の4つの工程からなる。
【0068】
≪仮想マップ生成工程S1≫
仮想マップ生成工程S1は、車両を計測するための計測空間をセンシングする空間計測工程S1-1と、自律走行ロボット10が走行した軌跡を制御部50に取り込みマッピングするための地図生成工程S1-2を有する。
【0069】
空間計測工程S1-1は、車両を構成する部材間の段差および隙間を計測するための計測空間に自律走行ロボット10を走行させて計測空間の障害物情報を取得して記録する工程である。
【0070】
自律走行ロボット10は、走行時にレーザースキャナー13からレーザー光を放射して周囲の障害物情報を取得する。また、自律走行ロボット10は、左右車輪12a,12bそれぞれの回転量と、左右車輪12a,12bの回転量に対応した周囲の障害物情報をデータ記憶部16に記録する。
なお、自律走行ロボット10は、計測空間のマッピングを行う際、自動で走行しても、コントローラを接続して手動で走行しても、自動と手動を組合わせて半自動で計測しても、どのように走行して計測されてもよい。
【0071】
空間計測工程S1-1で自律走行ロボット10のデータ記憶部16に保存された情報は、自動計測システムの制御部50に伝達される。制御部50は、自律走行ロボット10のデータ記憶部16に保存された情報を基に計測空間の障害物情報を基に仮想マップVを生成する(地図生成工程S1-2)。
【0072】
ポジション設定工程S2は、地図生成工程S1-2で生成された計測空間の仮想マップVに車両計測時におけるトラッカー22及び計測スキャナー40の理想停止位置を決定する工程である。
【0073】
ポジション設定工程S2は、地図生成工程S1-2で生成された計測空間の仮想マップVに、各自律走行ロボット10,10が走行できない領域を設定する走行禁止エリア設定工程S2-1と、部材間の隙間および段差が計測される車両の停車位置を設定する車両停止位置設定工程S2-2と、計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10の理想停止位置を設定する計測スキャナーポジション設定工程S2-3と、トラッカー22を搭載した自律走行ロボット10の理想停止位置を設定するトラッカーポジション設定工程S2-4と、各自律走行ロボット10,10の現在位置を仮想マップVと照合する位置確認工程S2-5と、仮想マップVに設定した車両の停車位置Rに実車両を停車させる実車両停止工程S2-6と、を有する。
【0074】
走行禁止エリア設定工程S2-1は、地図生成工程S1-2で生成した仮想マップVに自律走行ロボット10が走行できない走行禁止エリアFを設定する。走行禁止エリアFの設定は、制御部50において、走行できない範囲をモニター上で塗りつぶすことで設定される。
【0075】
走行禁止エリアFは、例えば、自律走行ロボット10が走行する際の障害物や計測空間の壁面部などを設定し、自律走行ロボット10の自動走行時において、障害物や壁面などと接触して移動できなくなる虞を可及的に低減している。また、走行禁止エリアFを設定することにより、自律走行ロボット10は、スキャンポジションを変更する際、余計な走行経路をたどることなく最短で次の測定場所まで移動することができる。
【0076】
車両停止位置設定工程S2-2は、仮想マップVに設定した走行禁止エリアFに車両の停車位置Rを設定する工程である。車両の停車位置Rは、計測空間において、車両の周囲を自律走行ロボット10が自由に移動できる位置に設定されていることがよく、例えば、計測空間の略中央部に設定されることが望ましい。車両の停車位置Rは、車両を収納する平面視略方形状に設定された停止スペースR1と、停止スペースR1内に設定した車輪の停止位置を示す車輪停止位置R2により設定される。なお、車輪停止位置R2は、平面視略三角形状で表示しており、その頂点部に車輪の前後方向略中央部が停止するように設定される。この車輪停止位置R2に合わせて車両を停止することにより、車両は、確実に停止スペースR1内に停車されることとなる。
【0077】
計測スキャナーポジション設定工程S2-3は、仮想マップVに設定した車両の停車位置Rの周囲に計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10の理想停止位置であるスキャンポジションを設定する工程である。計測スキャナーポジション設定工程S2-3では、車両停止位置設定工程S2-2で設定した車両停止位置に正規のCAD情報(理想形態の車両)を有する車両を停止した場合における部材間の隙間および段差を計測するのに最適なポジションを設定する工程である。
【0078】
スキャンポジションは、実車両の前側3箇所のスキャンポジションP1,P2,P3と、実車両の左側2箇所のスキャンポジションP4,P5と、実車両の後部1箇所のスキャンポジションP6と、実車両の右側2箇所のスキャンポジションP7,P8の合計8箇所に設定される。なお、本実施形態では、計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10の停止位置を8箇所としたが、自律走行ロボット10の停止位置はこれに限定されず、車両に組付けた部材間の隙間や段差を正確に全て計測できれば何箇所設定されていてもよい。
【0079】
トラッカーポジション設定工程S2-4は、仮想マップVに設定した車両の停車位置Rに合わせてトラッカー22を搭載した自律走行ロボット10の停止位置を設定する工程である。トラッカーポジション設定工程S2-4では、計測スキャナーポジション設定工程S2-3で設定した各スキャンポジションに自律走行ロボット10が停止した際、トラッカー22と計測スキャナー40とが相互に位置を計測できるようトラッカー22の停止位置を設定する。すなわち、車両停止位置設定工程S2-2で設定した停止位置に停車した車体によってトラッカー22のレーザー光照射部25aから照射されたレーザー光が遮断されない位置にトラッカー22を搭載した自律走行ロボット10の理想停止位置であるトラッカーポジション(計測基準ポジション)を設定する。これにより、計測スキャナー40とトラッカー22との間で相互に位置確認を実施できる。
【0080】
トラッカーポジション設定工程S2-4で設定されるトラッカーポジションは、停止車両の進行方向の正面に位置する第1ポジションT1と、停止車両の左後方に位置する第2ポジションT2と、停止車両の右後方に位置する第3ポジションT3と、の合計3箇所に設定される。なお、本実施形態では、トラッカー22を搭載した自律走行ロボット10の停止位置を3箇所としたが、自律走行ロボット10の停止位置はこれに限定されず、計測スキャナー40とトラッカー22とが車体に遮られることなく相互に位置確認を実施できる位置にトラッカーポジションが設定されていれば何箇所でもよい。ただし、トラッカーポジションは、計測スキャナー40が移動する際の基準点であるため、トラッカーポジションの停止位置を増やすと計測結果に誤差を生じやすくなる。そのため、トラッカーポジションは、できるだけ少なく設定されていることが望ましい。
【0081】
位置確認工程S2-5は、トラッカー22を搭載した自律走行ロボット10および計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10の現在位置を仮想マップVと照合する工程である。
【0082】
位置確認工程S2-5は、各自律走行ロボット10,10のレーザースキャナー13で計測した周囲の障害物情報と、仮想マップV上に図示された障害物情報を照合して、自律走行ロボット10,10の現在位置(待機ポジションTw,Pw)と決定する工程である。待機ポジションTw,Pwは、制御部50に記録される。
【0083】
実車両停止工程S2-6は、仮想マップVに設定した車両の停車位置Rに実車両を停車させる工程である。実車両停止工程S2-6では、車両の前後方向および車幅方向が収まる停止線を計測空間の床面に貼付している。この停止線は、平面視略方形状の部分であり、床面にテープなどで表示されている。なお、実車両は、平面視において、停止線の内側に車両の全長および全幅が収まっていればよい。
【0084】
同期工程S3は、計測空間の停止線内に停車した実車両と、仮想マップVに設定した正規の停止車両の位置とを合わせる工程である。
【0085】
同期工程S3では、まず、仮想マップVに設定した待機ポジションTwから第1ポジションT1にトラッカー22を搭載した自律走行ロボット10を移動させる。
【0086】
次に作業者は、計測空間の車両の停車位置Rに停車した実車両のボンネットを開きエンジンルームの各測定箇所にコーナーキューブリフレクターを設置する。
【0087】
作業者は、トラッカー22のレーザー光照射部25aからコーナーキューブリフレクターにレーザー光を照射することで計測箇所に設置された各リフレクターの3次元座標およびトラッカー22に対する角度を計測する。計測された各リフレクターの3次元座標および角度情報は、制御部50に記録される。
【0088】
制御部50は、計測した各リフレクターの3次元座標と、予め仮想マップVに設定した正規車両に設けた各リフレクターの3次元座標を比較し、その乖離量を算出する。制御部50は、算出された乖離量の分だけ仮想マップVおよび仮想マップVに設定した正規車両の位置を補正する。これにより、実車両の停車位置および停止形態と仮想マップVに設定した正規車両の停車位置および停止形態が一致する。
【0089】
なお、同期工程S3において、実車両と仮想マップVの正規車両の車両停止位置を確実に一致させるため、実車両は、コーナーキューブリフレクターを取り付ける取付箇所以外の孔部を蓋体で閉塞されている。また、計測した各リフレクターの3次元座標が仮想マップVで設定された3次元座標から著しく乖離していた場合、計測ミスを示すエラーメッセージが報知されるように制御部50の制御プログラムを設定していてもよい。
【0090】
このように、コーナーキューブリフレクターの3次元座標を正しく計測して、実車両と仮想マップVの正規車両の車両停止位置が確実に一致するよう構成することで実空間と仮想マップVを同期させることができ、車両を構成する部材同士の隙間および段差が正確に計測できる。また、このような構成により自律走行ロボット10の走行時において、自律走行ロボット10が車両と接触する虞、および車両の計測時に計測スキャナー40が車体と接触する虞を可及的に低減できる。
【0091】
計測工程S4は、ポジション設定工程S2で設定した計測スキャナー40の理想停止位置であるスキャンポジションPおよびトラッカー22の理想停止位置であるトラッカーポジションTに計測スキャナー40およびトラッカー22を移動させて車両に組付けた部材間の隙間や段差を計測する工程である。
【0092】
計測工程S4は、車両の前方を計測する第1計測工程S4-1と、車両の左側方を計測する第2計測工程S4-3と、車両の右側方を計測する第3計測工程S4-5と、第1計測工程S4-1から第2計測工程S4-3の間にトラッカー22を移動させる第1段替工程S4-2と、第2計測工程S4-3から第3計測工程S4-5の間にトラッカー22を移動させる第2段替工程S4-4を有する。
【0093】
各計測工程は、実停止位置に停止した計測スキャナー40の理想停止位置からの乖離量を算出し、算出された乖離量に基づき自律走行ロボット10の左右車輪12a,12bを回動させることで計測スキャナー40の位置を補正する走行補正手段M1と、走行補正手段M1で補正した計測スキャナー40の実停止位置を計測して計測スキャナー40の理想停止位置との乖離量を再度算出し、算出された乖離量に基づきロボットアーム30で計測スキャナー40の位置を補正するアーム補正手段M2と、を有する。各計測工程は、走行補正手段M1とアーム補正手段M2との2つの補正手段で位置補正を行うことにより、計測スキャナー40が計測開始地点である理想停止位置に位置することができる。これにより、車両を構成する部材の隙間および段差を正しく計測することができる。計測工程は、以下の手順で実施される。計測工程のフローを示す
図8は、計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10を待機ポジションPwからスキャンポジションP1に移動した時点を開始地点として図示しているが、
図8はスキャンポジションP1における計測スキャナー40の補正に限らず、各スキャンポジション(例えば、スキャンポジションP1からスキャンポジションP2に移動した場合)での補正にも適用される。
【0094】
第1計測工程S4-1では、まず、計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10を待機ポジションPwからスキャンポジションP1に移動させる(
図8のS40参照)。この際、自律走行ロボット10は、左右車輪12a,12bの回転タイミングと回転量で自己の移動距離を判断している。
【0095】
スキャンポジションP1に移動した計測スキャナー40は、仮想マップVに設定した正規形態の車両を基準とする車両座標系において、予め設定された理想停止位置の6DOF情報P1Aに計測スキャナー40の両側面に設けたリフレクター45を停止させる(
図9のSTEP1)。この際、計測スキャナー40は、左右側面に突設したリフレクター45,45のうちいずれかのリフレクター45の6DOF情報P1Aを第1ポジションT1に停止したトラッカー22が計測できるよう予め設定された形態で停止する。なお、計測スキャナー40の停止形態はどのような形態で停止していてもよい。
【0096】
トラッカー22は、トラッカー22を基準とするトラッカー座標系において、計測スキャナー40のリフレクター45にレーザー光照射部25aからレーザー光を照射して計測スキャナー40の実停止位置の6DOF情報P1aを取得する(
図9のSTEP2)。計測スキャナー40の実停止位置における6DOF情報P1aは、トラッカー22から制御部50に伝達される。
【0097】
制御部50は、計測した計測スキャナー40の6DOF情報P1aを車両基準の車両座標系の6DOF情報P1cに変換する(
図9のSTEP3)。
【0098】
制御部50は、車両座標系の6DOF情報P1cを予め設定された計測スキャナー40の理想停止位置の6DOF情報P1Aと比較して6DOF情報のズレ量P1dを算出する(
図9のSTEP4)。
【0099】
制御部50は、算出した6DOF情報のズレ量P1dをトラッカー22を経由して計測スキャナー40に伝達する。
【0100】
計測スキャナー40は、ズレ量P1dに応じて自律走行ロボット10を移動させる(
図9のSTEP5)。
【0101】
上述した計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10の移動が走行補正手段M1である。当該移動は、ズレ量P1dの6DOF情報の内、各座標(3次元座標)が±15mmの範囲内となるまで繰り返し自律走行ロボット10を移動して調整する(
図8のS41およびS42参照)。
【0102】
その後、トラッカー22は、トラッカー座標系において計測スキャナー40の6DOF情報P1eを計測する(
図9のSTEP6)。
【0103】
トラッカー22は、計測スキャナー40の6DOF情報P1eを制御部50に伝達する。制御部50は、トラッカー座標系で計測された6DOF情報P1eを車両座標系の6DOF情報P1fに変換する(
図9のSTEP7)。
【0104】
制御部50は、車両座標系に変換した計測スキャナー40の6DOF情報P1fを正規の6DOF情報P1Aと比較してそのズレ量P1gを算出する(
図9のSTEP8)。
制御部50は、算出したズレ量P1gを車両座標系からロボット座標系のズレ量P1hに変換する(
図9のSTEP9)。
【0105】
ロボット座標系に変換されたズレ量P1hは、台座21の内側に収納した情報変換部32でビット信号に変換されてロボット制御部31に伝達される(
図9のSTEP10)。ロボット制御部31は、受信したビット信号を再び差分情報P1jに変換する(
図9のSTEP11)。
【0106】
ロボットアーム30は、差分情報P1jの分だけ移動する(
図9のSTEP12)。これにより、計測スキャナー40は、理想停止位置の6DOF情報P1Aと比較して3次元座標が略±0mmの計測開始位置に停止することができ、また、そのピッチング・ヨーイング・ローリングを理想停止位置の6DOF情報P1Aと略同一にできる(
図8のS43参照)。
【0107】
すなわち、計測スキャナー40は、上述のスキャンポジションP1に対するズレ量を±15mm以下とする自律走行ロボット10により位置補正する走行補正手段M1と、計測開始位置に対するズレ量を略±0mmとしつつ計測スキャナー40のピッチング・ヨーイング・ローリングをロボットアーム30で位置補正するアーム補正手段M2の2つの補正手段により、車両を構成する部材間の隙間および段差を精度よく計測することができる。
【0108】
計測スキャナー40は、理想停止位置に停止していることがトラッカー22で再度確認されると、車両を構成する部材間の隙間および段差の計測を開始する(
図8のS44参照)。
【0109】
計測スキャナー40は、スキャンポジションP1において、計測開始位置を基点として予めティーチングされた軌跡に沿って移動する。計測スキャナー40は、計測スキャナー40の前面に備えた計測用LED照射部42,43から照射されたLED光で計測する。計測スキャナー40は、予めティーチングされた軌跡の終了地点まで移動すると、計測が終了したことを制御部50に伝達する。
【0110】
制御部50は、スキャンポジションP1において、計測スキャナー40が終了地点まで移動した信号を受け取ると、計測スキャナー40をスキャンポジションP2に移動させる信号を計測スキャナー40に発信する。なお、このスキャンポジションP1からスキャンポジションP2への移動信号は、計測スキャナー40の位置を確認するトラッカー22にも伝達される。
【0111】
スキャンポジションP2に移動した計測スキャナー40は、スキャンポジションP1と同様にスキャンポジションP2の理想停止位置に対するズレ量が±15mm以下となるまで自律走行ロボット10による位置補正を繰り返す。その後、計測スキャナー40は、計測開始位置に対するズレ量が略±0mmとなるようロボットアーム30による位置補正が行われる。計測スキャナー40が計測開始位置に位置していることがトラッカー22によって確認されると、計測スキャナー40は、車両を構成する部材間の隙間および段差の計測を開始する。なお、計測スキャナー40は、スキャンポジションP1と同様にスキャンポジションP2において予めティーチングされた軌跡に沿って計測する。計測スキャナー40は、予めティーチングされた軌跡を移動し終えると、計測が終了したことを制御部50に伝達する。
【0112】
制御部50は、スキャンポジションP2における車両の段差および隙間の計測が終了すると、スキャンポジションP3に移動させる信号を計測スキャナー40に送信する。スキャンポジションP3では、スキャンポジションP2同様に計測スキャナー40を理想停止位置となるように位置補正し、予めティーチングされた軌跡に沿って計測スキャナー40を移動させることにより車両の段差および隙間を計測する。なお、計測スキャナー40の位置補正は、スキャンポジションP1における補正方法と同一であるため、その説明については省略する。
【0113】
計測スキャナー40は、スキャンポジションP3での計測が終了すると、ロボットアーム30で所定の3次元座標位置に移動して予め設定した向きに停止する。この際、計測スキャナー40の3次元座標および停止向き(6DOF情報)は、トラッカー22で計測され、制御部50に保存される。
【0114】
次に、制御部50は、トラッカー22を載置固定した自律走行ロボット10を第1ポジションT1から第2ポジションT2に移動させる(第1段替工程S4-2)。
【0115】
第1段替工程S4-2は、トラッカーポジション設定工程2-4で設定した第2ポジションT2にトラッカー22を精度よく移動させる工程である。
【0116】
第2ポジションT2に移動したトラッカー22は、スキャンポジションP3において、理想停止位置に停止した計測スキャナー40のリフレクター45の3次元座標を計測して位置情報として制御部50に保存する。
【0117】
制御部50は、トラッカー22の移動前後におけるリフレクター45の3次元座標を比較してその差分を計測する。
【0118】
トラッカー22の移動前後でリフレクター45の3次元座標に差分が生じている場合、トラッカー22は、その差分に応じて自律走行ロボット10を移動して位置補正を行う。トラッカー22は、位置補正後に再度リフレクター45の3次元座標を計測する。
【0119】
リフレクター45の3次元座標が、トラッカー22の移動前後で一致した場合、第1段替工程S4-2を終了する。自動計測システムは、第1段替工程S4-2が終了すると車両の左側方を計測する第2計測工程S4-3に移行する。
【0120】
第2計測工程S4-3は、車両の左側方および後方の段差および隙間を計測する工程である。
【0121】
第2計測工程S4-3では、まず、計測スキャナー40を搭載した自律走行ロボット10をスキャンポジションP3からスキャンポジションP4に移動させる。
スキャンポジションP4に移動した計測スキャナー40は、ロボットアーム30を移動させることにより、理想停止位置の3次元座標に計測スキャナー40のリフレクター45を移動させる。
【0122】
トラッカー22は、スキャンポジションP1と同様に計測スキャナー40のリフレクター45の3次元座標を計測し、計測された3次元座標と理想停止位置の3次元座標を比較して各座標の差分が±15mm以内となるまで自律走行ロボット10で計測スキャナー40の位置を補正する走行補正手段M1を実施する。なお、詳細の補正方法は、スキャンポジションP1で記載した補正方法と同一であるため、その説明を省略する。
【0123】
スキャンポジションP4に移動した計測スキャナー40は、スキャンポジションP4における計測初期位置にリフレクター45が位置するようにロボットアーム30を移動する。計測初期位置への計測スキャナー40の位置補正は、スキャンポジションP1の補正方法と同一であるため、その説明を省略する。スキャンポジションP4での計測が終了すると計測スキャナー40は、計測が終了したことを制御部50に伝達する。制御部50は、計測スキャナー40をスキャンポジションP5に移動するよう指令を伝達する。
【0124】
計測スキャナー40は、スキャンポジションP4からスキャンポジションP5に移動する。計測スキャナー40の計測初期位置への位置補正および計測手順などはスキャンポジションP1で説明した手順と同一であるため、詳細の説明を省略する。
【0125】
第2計測工程S4-3での計測スキャナー40による計測が終了すると、第2段替工程S4-4にて第2ポジションT2から第3ポジションT3にトラッカー22を移動させる。なお、第2段替工程S4-4は、第1段替工程S4-2と同様にトラッカー22で計測スキャナー40のリフレクター45の位置情報をトラッカー22の移動前後で計測することにより実施されている。詳細については、第1段替工程S4-2と同一であるため、その説明を省略する。第2段替工程S4-4により第3ポジションT3へのトラッカー22の移動が終了すると第3計測工程S4-5に移行する。
【0126】
第3計測工程S4-5は、第3ポジションT3に停止したトラッカー22を基準として計測スキャナー40をスキャンポジションP7およびスキャンポジションP8に移動して車両の右側方の段差および隙間を計測する工程である。
【0127】
スキャンポジションP7およびスキャンポジションP8に移動した計測スキャナー40の位置合わせ、および計測スキャナー40による段差および隙間の計測方法は、スキャンポジションP1における計測スキャナー40の位置合わせおよび計測方法と同一であるため、その詳細の説明を省略する。
【0128】
第3計測工程S4-5での計測スキャナー40による計測が終了すると、ロボットアーム30を変態して、計測スキャナー40を車両から遠ざけた位置に停止させる。
【0129】
その後、計測が終了した車両を移動させて、当該車両における段差および隙間の計測を終了させる。
【0130】
上述した通り、第1計測工程S4-1で車両前方の計測を行い、第1段替工程S4-2で位置基準となるトラッカー22を第1ポジションT1から第2ポジションT2に移動し、第2計測工程S4-3で第2ポジションT2に移動したトラッカー22を基準として車両の左側方および後方の計測を行い、第2段替工程S4-4で位置基準となるトラッカー22を第2ポジションT2から第3ポジションT3に移動し、第3計測工程S4-5で第3ポジションT3に移動したトラッカー22を基準として車両の右側方の計測を行うことで車両と車両を構成する部材間の段差および隙間を正確に計測することができる。
【0131】
すなわち、本発明において、計測スキャナー40の位置基準となるトラッカー22と計測スキャナー40とで相互に位置関係を把握することにより、理想停止位置にトラッカー22と計測スキャナー40を位置させることができ、計測スキャナー40による計測が自動で正確にできる。
【0132】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したリ組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0133】
10 自律走行ロボット
11 ロボット本体
12 走行部
13 レーザースキャナー
14 レーザーセンサー
15 自律走行ロボット制御部
16 データ記憶部
17 フロントバンパー
20 レーザートラッカー
21 台座
22 トラッカー
23 左右回動部
24 トラッカー筐体
25 トラッカー本体
30 ロボットアーム
31 ロボット制御部
32 情報変換部
40 計測スキャナー
41 計測スキャナー筐体
42、43 計測用LED照射部
44 受光部
45 リフレクター
46 角度検知用LED
50 制御部
F 走行禁止エリア
M1 走行補正手段
M2 アーム補正手段
P スキャンポジション
R 停止位置
S1 仮想マップ生成工程
S2 ポジション設定工程
S3 同期工程
S4 計測工程
T トラッカーポジション
V 仮想マップ